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ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅢ Lv6

40孤高の剣技、未だ道険し  ◆CASELIATiA:2016/08/28(日) 18:22:08 ID:OBqYEFU20
「何やってんだよ、じーさん……」

年の割に、茶目っ気もあるのがメルビンだ。
マスコットキャラクターみたく振る舞えている、とメルビン本人は思っているのだろう。
しかし、声を作ることは忘れているのか、バリトンボイスから繰り出される「にゃん」という語尾は強烈なインパクトを持っていた。

「ささっ、ヒューザどのも一緒に」
「誰がやるか!」

傍から見れば噴飯物のやりとりをしているのだが、観客はおそらく見えない何者か一人。
それにしたって、笑ったり噴き出したりと、何らかのリアクションを見せる気配はない。

「わしの名前はメルビン。 怯えることはないでござるよ」
「おい、もうキャラ作んの忘れてるぞじーさん」

一瞬、空気が変わった。
見えない何者が身じろぎをするかのような、衣擦れの音が聞こえてきたのだ。
メルビンのフレンドリーな対応が功を奏したのだろうか。 そんな淡い期待を抱く。
しかし、その淡い対応は無慈悲にも打ち砕かれる。
何物かがいるであろう場所の土が跳ね上がる。
同時に、メルビンが腰に差した刀を抜いた。
金属が打ち合う音が響く。 メルビンの抜いた刀からかすかに火花が散った。
やがて、つばぜり合いが終わったのだろうか、メルビンが刀を握ってる手から力を抜いた。
何物かの気配がメルビンから離れるのを、ヒューザも確認する。

「何だ!?」
「気を付けよヒューザどの、攻撃されたでござる!」

語気を鋭くしてメルビンが言う。
その手に握った刀はかがみ石とヘビーメタルがふんだんに使われた名刀、斬鉄丸。
極上の業物を握ったメルビンは、その刀の重さを自分の体に覚えさせるためか、何度か軽く振り回す。

「いい刀でござる」

伝説の英雄メルビンは、この斬鉄丸を当面の相棒とすることに不服はない様だ。
突如として襲い掛かってきた何者かの攻撃、そしてそれを受けきったメルビンの技量。
どちらも、ヒューザには驚異的な出来事だった。
ヒューザもダークナイトやシルバーマントとは何度も戦ったことがあるが、持っている武器すら見えない敵というのは初めての経験だった。
達人は見えない者が相手でも、心の眼で相手を捉えることが可能だという。
心眼とかいう、いかにも眉唾なものをメルビンは持っているというのか。
しかし、今はそれを考える場合ではない。
ヒューザもハンマーを取りだした。

「ちっ、軽い武器は嫌いなんだけどな……」

普段のヒューザは状況に応じて様々な武器を扱うが、一番のお気に入りは両手剣だった。
多数の敵と戦う時も、タイマンで戦う時も、両手剣を使う場面が一番多かった。
両手剣は後範囲への攻撃、単体への火力、その両方をバランス備えているのだ。
しかし、今はそれがない。
無いが、嘆いている場面でもない。


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