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ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅢ Lv6

1ただ一匹の名無しだ:2016/08/23(火) 21:28:42 ID:1wMv/96g0
こちらはドラゴンクエストのキャラクターのみでバトルロワイアルを開催したら?
というテーマの参加型リレー小説スレッドです。

参加資格は全員にあります。
初心者歓迎、SSは矛盾の無い展開である限りは原則として受け入れられます。
殺し合いがテーマである以上、それを許容できる方のみ参加してください。
好きなキャラが死んでも涙をぐっと堪えて、次の展開に期待しましょう。

まとめWiki
http://seesaawiki.jp/dragonquestbr3rd/

避難所
http://jbbs.shitaraba.net/game/30317/

前回企画

ドラゴンクエスト・バトルロワイアルII
http://seesaawiki.jp/dqbr2/

前々回企画

ドラゴンクエスト・バトルロワイアル
http://dqbr.rasny.net/wiki/wiki.cgi
http://seesaawiki.jp/dqbr1/

DQBR総合 お絵かき掲示板
http://w5.oekakibbs.com/bbs/dqbr2/oekakibbs.cgi

1361One More Chance ◆2zEnKfaCDc:2019/05/05(日) 00:41:04 ID:GvrPP0H60
「……深奥ヨリ込ミ上ゲテ来ル心ニ従イ、オ前達ヲ守ロウ。」


「………成功…したのか?」

「…ええ。彼が導いてくれたんです。」

「やった……あんな怖い機械兵でも仲良しになれるんだ!」

魔物が仲間になる。
ホイミン以外にとっては何度も経験したことのある出来事だ。

しかしここは魔物だけでなく人までもが他者を殺す世界。そんな中で殺戮を命じられた機械兵を仲間に出来た達成感は、今までのそれとはまた違ったものであった。

「さて……まずはコイツに名前を付けてやらねえとな。」

「そうですね…。何かいい名前は………」

「ねぷりむ。」

「「「え?」」」

「ごーれむノ心ガ言ッテイル。守レナカッタ少女ノ名。ソシテ志半バデ倒レタ守護者ノ名。ドウカワタシニ継イデ欲シイト。」

「うん、分かったよ。よろしくね!ねぷりむ!」

誰もが新たな仲間との邂逅に喜びの声を上げる。
でも、まだだ。
まだやるべきことは残っている。

機械兵との戦い、それだけをピックアップしても、まだ戦いは終わっていない。

1362One More Chance ◆2zEnKfaCDc:2019/05/05(日) 00:44:17 ID:GvrPP0H60
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「サフィール、本当にいいの?」

「断言するが、コイツは仲間にならねえぞ?」

「ええ、分かってます。だけどやっぱり、このまま終わらせたくないんです。」

「居タ。……コレナラ、マダ直セル。」

2人と2体は再び、ジンガーが倒れている場所にやって来ていた。
その目的は、ジンガーの蘇生。

アベルに関するジンガーの反応を見るに、ジンガーのアベルに対する忠誠はかなり深い。
だからこそこんな形で終わらせたくないとサフィールは思った。

ジンガーはこの世界に来る前の父のことを知らない。
父がどれほど心優しい人物で、どれだけ慕われる国王だったのか。
この世界で破壊の限りを尽くすことが、本当に父の幸せに繋がるのか。

「ねぷりむ。ジンガーを生き返らせてください。話がしたいんです。」

「承知シタ。」

形式上はスカウトした俺がマスターのはずなんだけどな…と舌を巻きながらも、ジャンボは蘇生の前にジンガーの支給品を回収する。


「Code 87:Remote Repair 開始。」


ジンガーは再び蘇り、顔を合わせる2体の機械兵。
但し今度は、敵と味方に分かれているのだが。

「……あべる様ヲ裏切ッタカ、個体Bヨ。」

「個体Bデハナイ。ねぷりむ。ソレガワタシノ名前。」

「マアイイ。何故ワタシヲ蘇ラセタ?」

これが山場だ。
恐怖を抑え込み、サフィールはジンガーと向き合う。

「貴方と、話をしに来ました――おとうさんについて。」

仲間にはなれなくても。貴方を止めることは出来ないのだとしても。
せめてもう一度、貴方と理解し合えるチャンスを、どうか私に………。

1363One More Chance ◆2zEnKfaCDc:2019/05/05(日) 00:45:25 ID:GvrPP0H60
【F-3/平原/2日目 早朝】

【サフィール@DQ5娘】
[状態]:HP:7/10 MP 2/5 左足矢傷(応急処置済み)
[装備]:ドラゴンの杖
[道具]:支給品一式×3、へんげの杖、ショットガン、999999ゴールド
[思考]:ジンガーと話をする。
怖い人を無視してマリベルさんの遺志に流される
おとうさんを見つけて止める
みんな友達大作戦を手伝う

【ジャンボ(DQ10主人公・ドワーフ)@DQ10】
[状態]:HP7/10 MP1/8
[装備]:天使の鉄槌@DQ10
[道具]:支給品一式、道具0〜4 四人の仲間たち(絵本)@DQ5、道具0〜1(ゲレゲレの支給品)支給品0〜1(ヒューザの支給品) ナイトスナイパー@DQ8 名刀・斬鉄丸@DQS 悪魔の爪@DQ5 天空の剣、罠抜けの指輪 罠の巻物×2 ドラゴンローブ  砂柱の魔方陣×1 折れた灼熱剣エンマ@DQS メガトンハンマー@DQ8 ビッグボウガン@DQ5
[思考]:
基本方針:エビルプリーストに借りを返す。
1:サフィールとジンガーの話を見守る
2:ターニアを見つける 
3:首輪解除を試みる

[備考]:※職業はどうぐ使いです。弓スキルは150です。ハンマースキルは100以上です。

【ホイミン@DQ4】
[状態]:健康 MP1/8 仲間死亡によるショック
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 道具1〜3個 ヒューザのメモ(首輪解除の手掛かりが書いています)
[思考]:ジャンボを手伝う ターニアを追う
『みんな友達大作戦』を成功させる ヒューザがくれた手掛かりを守る。


【ジンガー@DQ6キラーマジンガ】
[状態]:HP 1/4
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:アベルを探す、邪魔する者は破壊する。
[備考]:サフィール達に疑問を抱いています。

【ねぷりむ(キラーマジンガB@DQ10)】
[状態]:HP1/3
[装備]:聖王のつるぎ@DQ10 聖王のハンマー@DQ10 壊れた聖王の弓@DQ10 アクセルギア@DQ10
[道具]:支給品一式×3、魔封じの杖、道具0〜2個(ブライの不明支給品)、道具0〜2個(ゴーレムの不明支給品)
[思考]:サフィールについていく
[備考]:DQ10のキラーマジンガの特技を使いこなします。
ゴーレムの記憶を持っています。

1364One More Chance ◆2zEnKfaCDc:2019/05/05(日) 00:47:07 ID:GvrPP0H60
投下終了しました。

1365ただ一匹の名無しだ:2019/05/05(日) 05:10:48 ID:KK0m5ik.0
投下乙です
まもの使いメイン職にしてる身としては、どうぐ使いとのスカウトの差は興味深かった
そしてそれをドワーフの特性と絡めてて上手いなあって思いました

そして決め手になったのがゴーレムの心…上手く繋げたなあ
改めて、乙です!

1366ただ一匹の名無しだ:2019/05/05(日) 20:27:12 ID:OgbbwOpg0
投下乙です
キラーマジンガを御するには、確かに道具使いとしての技術、熟練度がモノを言ったわけだけど
最後の最後、仲間に入れる為には最初にジャンボが言った”50点”がとても大事だったって話。
ゴーレムもマジンガも同じ物質系、ココロなき魔物ではあるはずにもかかわらず、
”主”というか側にいた人物の思いがこうも明暗分けるかという、なんとも言えない感情が生まれました。
マーダー達の主戦力がぼつぼつ落ちていくなかマジンガとアベルの動向がさらに気になりました。
改めて乙です。

1367 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:51:45 ID:TSPijSe20

それは今からちょうど10年前の話。

アリアハンという、小さな町の出来事。


その日は町中で、大騒ぎが起こっていた。

「オイ!!誰か助けに行け!!」
「イヤだよ!!なんでオレが行かなきゃなんねえんだ!!」
「誰かがどうにかしねえと、大変なことになるのが、わかんねえのか?」


髭もじゃの男が、空き家の2階から顔を出し、一人の少女を見せつけながら叫ぶ。


「このガキを返してほしけりゃ、今日中に838861ゴールド用意しろ!!」

デフレが進み、一番高い品でも500ゴールドに満たない物価安のアリアハンに、そんな大金があるわけない。


アリアハンは、犯罪件数が異常な程少ない。
虫メガネを使えれば探偵の資格を得ることが出来るのも、犯罪捜査を吸うこと自体がほとんどないからだ。
よって珍しいもの見たさに、町中の群衆が集まってきたのだ。


助けに行きたいのはやまやまだが、私はまだ、8歳の少女だった。

それに私は、8歳にして才能を見出され、『アリンピック強化合宿』へ向かわなければいけなかった。


合宿所へ向かっている途中、一人の女性が私の道を塞いだ。

「どいてください!!急いでいるんです!!」
「ん、グッドなおねーさんの私から言わせるとねえ。今焦るのはあなたのためにならないさね。」
「何を言ってるんですか!!早くいかないと!えぇ!?」


突然、その空き家から凄い音と悲鳴が聞こえ、「何か」大きいものが吹っ飛んできた。
グッドなおねーさん?とやらが止めてくれなかったら、私は下敷きになっていただろう。


何が起こったのかは、すぐ気が付いた。
少女が誘拐犯の男の腕をへし折り、拘束が解けるや否やそのまま私の近くに投げ飛ばしたのだ。

助かった少女のもとに、やじ馬たちがケガはないかと一斉に走っていく。

私よりも幼く、相手は大の大人。
それでも容易に投げ飛ばせたことには、確かな理由がある。



誘拐された少女が、勇者だからだ。

1368 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:51:59 ID:TSPijSe20
投下宣言忘れてました。

1369 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:52:21 ID:TSPijSe20
彼女が後の勇者であることを知っているから、そんな大金を吹っ掛けたわけではない。
運命のいたずらか、それが偶々勇者だったというだけのこと。


男がこのようなことになったのは、空き家の二階から足を滑らせたことにされた。

「あの……ありがとうございます。声をかけてくれなかったら………。
本当に助かりました!!『アリアハン検定3級』のこの私に、お礼をさせてください!!」

「嬢ちゃん、誰に話しているのだ?」
その女性はもう消えていた。

でも、その女性がどこへ行ったかよりもっと重要なことがある。

この地面に埋まっている男も、ゴールド欲しさとは言え、愚かなことをしたものだ。



私が近づこうとするも、アスナは群衆に囲まれて、姿を見ることさえなかった。


やがて、アスナの母親が血相変えて走ってくる。


その誘拐事件はそれっきりに終わった。
人の噂も七十五日、というが、多くのアリアハンの住人が初めて見たであろう誘拐事件の話も、3日経たずに噂されなくなった。

しかし、私だけは彼女のことが気になり、合間を縫ってアスナの家に顔を出した。
門前払いかと思いきや、意外とアスナの家族は話をしてくれた。

何度かアスナの母と話をしているうちに、いくつか分かったことがあった。
近所には内緒にしているが、アスナは英雄オルテガの娘で、勇者として世界を救う人物になるという

だが、それに関する問題が出来てしまった。

アスナの母親曰く、娘はあの時のショックで、知らない人を兎に角怖がっている、らしい。
誘拐されたことよりも、自分の力をコントロールできずに、人を傷つけてしまったことにショックを受けている、らしい。
元々内気な性格を治そうと、一人でおつかいに行かせてみたのだが、今回の事件で逆に引っ込み思案が加速してしまったとか。


その後も何度かアスナの家を訪ねてみたが、ついぞアスナに会うことは出来なかった。

そもそも私はあの事件では、ただの野次馬の一人でしかなかった。
誘拐された少女の年が私と近いから、というわけでもない。
誰に頼まれたわけでもないのに、何故か私はやっていた。

思えば、私の様々な資格は、色んな大人が自分の才能を褒めたたえ、努力を強制させたことの結果だ。

1370 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:52:57 ID:TSPijSe20

取った資格は両手でも数えきれないほどあれど、自分の意思で挙げた成果は、片手で数え切れるほどもない。


結局、アスナの顔を初めて見たのは、10年後。
彼女には初対面であるかのように、自己紹介をした。

当然のことではあるが、アスナは私を知ってはいなかった。



――――――――――――――――そして、10年後。現在


私は、これまでで最大の危機を目の当たりにしていた。

この戦いに巻き込まれてから、自分の予想をもはるかに上回る敵相手に生き延びてきた。
だが、最大の危機とは、今目の前にいる敵の強さだけではない。

自分達の手札が、ほとんど残されていないこと。

アスナのギガデイン
私のグランドネビュラ
使うための魔力は、もう残ってない。
そして、コニファーさんが持っている矢も、底を尽きている。


反面、敵は幾分かダメージを受けている様子だが、戦いに差し支えるほどではなさそうだ。
加えて持っている剣。
それから、とてつもないほどのオーラを感じる。
まさしく、私が読んだ創世記に出てくる、巨大な剣を持ち、邪魔する者全てを葬り去ろうという魔王のようだった。


「逃げるぞ!!おまえら!!オオカミアタック!!」
「何!?」

二頭のオオカミが、魔王に襲い掛かる。

先手を取ったコニファーさんが、すぐに私とアスナを引っ張る形で、城の中へ入っていく。

「とりあえず、第一作戦、成功ってトコか………。」
逃げた先は図書館の内部。

魔王は既にオオカミを斬り裂き、追いかけてきている。


「まだここがゴールじゃねえんだ。もっと奥へ行くぞ!!」
「「はい!!」」

コニファーさんの指示に従って、さらに進む。

1371 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:53:36 ID:TSPijSe20

私は改めて感心した。
コニファーさんという人間の頭の良さに。

攻める目的、逃げる目的で同じ技でも使い分け、状況が不利なら、有利になるまで逃げる。
加えて私たちは城内の構造をよく知っているが、相手は知らない可能性が高い。

逃げる先は図書館から食堂、食堂から玉座の間へ。


「玉座の間まで逃げるぞ。
そしたらフアナは柱の裏、アスナは玉座の裏に隠れろ。
そしてアイツが攻撃の動作に入ったらフアナ、ヤツに飛び掛かれ。オトリは俺がやる。」
「え!?逆にやられたら……私……。」
突拍子もない作戦に、私は冷や汗をかく。

「大丈夫だ。フアナはオトリのオトリってやつだ。
敵がフアナに意識を向けた瞬間こそ、アスナ、一気に斬りかかれ。」


確かにコニファーさんの作戦は納得のいくものだった。
どんなスポーツでも戦いでも、少ない力で相手を破るなら、カウンター攻撃が一番だ。
そしてオトリや陽動作戦は、戦場において手を変え品を変え、取り入れられている。

だが、私はそれが不安でならなかった。

本当に相手に通用するのか。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2頭のオオカミが私に襲い掛かる。
初めて見た攻撃に一瞬戸惑うも、すぐに一頭目を斬り裂き、返す刀で二頭目も両断する。
しかし、相手が企んでいたのは、オオカミで自分を倒すことではないようだ。

既に相手は城の中へ逃げていた。
(なるほど、考えましたね……。)

だが、どこへ逃げても無駄だ。
ジゴスラッシュで、城ごと薙ぎ払ってやろう。


懐から剣の秘伝書を取り出そうとしたところ、急に考えを改める。
もしや、奴等の狙いはそれではないだろうか。

ジゴスラッシュを打たせようとして、その隙をついて反撃を仕掛ける。
現に、奴等は一度私のジゴスラッシュを見ている。

ジゴスラッシュに頼るという考え方は、どうやら悪手になりそうだ。


それと、奴等の逃げ方、明らかに思い切りが良い。
恐らく、この城の構造を私よりも知っているだろう。

大方、奴らは残り体力こそ劣っているが、ステージは有利だ。

そう思っているのだろう。

1372 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:54:02 ID:TSPijSe20

その考えの失敗は、私自身が王だということ。
王にとって、城とは切っても切れない縁にある。


城の外見さえ見れば、王であり、世界中の城を見てきた私にとって、城の中身を見抜くなどどうということはない。

私は同じように図書館から入る、ようなことはせず、正面玄関から入る。
鬼ごっこにわざわざ付き合う必要はない。
入り口は茨が覆っていたが、破壊の剣で扉ごと突き破る。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

コニファーは食堂から、玉座の間へ向かう際に、急にうすら寒いものを感じた。


アベルが追ってくる様子も、ザンクローネを殺したあのギガブレイクのような技を使う素振りもない。

それどころか、まず姿さえも見えないではないか。

自分達が焦りすぎたあまり、振り切ってしまったのかとも思った。
だが、もう遅い。

この食堂は図書館から入ると、玉座の間への道一本しかない。
もう片方の入り口は、茨と瓦礫で封鎖されている。

作戦は変更せずに、このまま先へ進むことにしよう。


「「「!!」」」

三人の目の前で、破壊の剣を持ったアベルが襲い掛かる。

「フアナ!!コニファーさん!!今のうちです!!」
剣が振り下ろされる前に、アスナのゴディアスの剣が、止めに入った。

「どうしました?剣筋が乱れていますよ。」
しかし、その剣は破壊の剣で弾き返される。

「アスナ!!」
「無理だ!!逃げろ!!」

言われた通り、アスナは踵を返してコニファー達の所に逃げる。

1373 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:54:30 ID:TSPijSe20

アスナとアベルの鍔迫り合いで出来た僅かな時間を利用し、フアナとコニファーは既に玉座の間の後方へ離れていた。


あの体勢から逃れることが出来るなんて、反射神経も、流石勇者だなとコニファーは思う。
だが、そのアスナの体力でさえ、もう限界に近い。

魔英雄との戦いでの消耗が、明確に表れ始めている。

作戦の手順は決まったが、どうやらゴーサインを出すまでの猶予は、あまり残されていない。


玉座の間の奥の通路を走る。
右へ行けば、行き止まりなので、左の2階へ続く道を選択する。

幸いなことに、その先にあるのは螺旋階段。
段差と見晴らしの悪さは、逃走者の方に有利な設計だ。


そのまま2階へ3階へと上に登っていく。

しかし2階は、登ってすぐの通路が瓦礫で塞がれている。
3階には、屋上の出口しかない。

「屋上まで行くぞ。走れるか?」
「「はい!!」」


コニファーは仲間の安否を気遣いながら、作戦を練っていく。
またしても奴は自分を追いかけるのをやめて、先回りしてくるかと推測したが、下から聞こえてくる足音からそうでもないようだ。



アベルより早く屋上へ着き、三人は敵がやってくる瞬間を待つ。
作戦は大体玉座の間の時と変わらない。


コニファーが目の前に出て、アベルの攻撃をしようとした瞬間、アスナが斬りかかる。


魔英雄との戦い、そして1度目の作戦の失敗で、相手に手の内をある程度読まれてしまった。
だが、もう手札が残されていない以上は、ここで手札を切るしかない。

自分を信じろとフアナに言った自分が、ここで仲間を信じられなくてどうするとコニファーは自分に言い聞かせる。


「失敗した時の脱出経路なら任せてください!!
実はあのせくしいぎゃるの本以外に、こんなのも支給されてたんですよ!!」

フアナが得意げに、先端にフックが付いている頑丈そうなロープを見せる。
いざとなれば、ここからこれで中庭まで降りろというわけか。

「だからアレはそんなものじゃねえって……」
コニファーは呆れながらも、フアナの諦めない心に励まされる。

1374 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:54:56 ID:TSPijSe20

「よし、頼むぜ、アスナ!!」

そろそろ時間だ。
コニファーが屋上の出口の前に構え、アスナとフアナは瓦礫と茨の陰に隠れる。
本当なら、フアナだけでも先に逃げるべきだったが、自分一人で逃げたくはないとそれを拒否する。
いざとなれば、いつでもロープを使って降りろと命令する。


亡き天使であった友に、そして今も酒場を経営している旧友に願をかけ、コニファーは屋上の扉の前に構える。


「随分、手間をかけさせてくれましたね。」
アベルも遅れて、屋上に到着した。

「ああ、でも一つだけ聞きてえ。アンタ、ゲレゲレの主人だろ?なんでこんなことしてんだ?」

「知った所で、どうなりますか?これから死ぬあなた方が。」


アベルは直にコニファーに斬りかかるわけでも、ジゴスラッシュを打つわけでもなかった。


「バギクロス!!」
「なっ………!!」

使ったのは、彼が元いた世界で使っていた最強の魔法


(それはちょっと予想外だったな。だがアスナ、今だ!!今しかねえ!!)

竜巻が飛ばされると同時に、アスナが瓦礫の裏から脚に全力を籠め、カウンターの準備を始める。

斬撃にしろ、バギクロスにしろ、ジゴスラッシュにしろ、攻撃後にはスキが生まれる。

斬撃ならば、コニファーが躱した直後の隙をついて攻撃。
ジゴスラッシュなら、構えに入ってから打たれる前に攻撃。

しかし、斬撃より攻撃範囲が広く、なおかつジゴスラッシュよりラグが短いバギクロスは予想外だった。

1375 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:55:17 ID:TSPijSe20
コニファーは敵の攻撃手段がジゴスラッシュか斬撃しか考慮に入れておかなかったことを後悔する。

しかし、バギクロスは外れ、明後日の方向に飛んで行った。
ある程度のダメージは覚悟していたが、コニファーは自分の運の良さに感謝するしかなかった。


もう邪魔なものはない。
アスナの動体視力と膂力、腕力ならこの瞬間、コイツを斬り付けることが出来る。
コニファーはそう確信した。






「え!?どうして!?ああああああ!!」

コニファーの後ろから聞こえたのは、フアナの悲鳴。

見れば、フアナが隠れていた辺りの場所に、城の屋根の一部が、落ちてこようとしていた。


((しまった!!))

ようやく気付いた。
アベルのバギクロスはコニファーを狙っていたのではなく、城の屋根を狙ったということ。

その瓦礫で、徒手空拳のレンジャーではなく他の二人を優先して圧死させようとしたのだ。
アスナは既に瓦礫の落下地点からは逃れられていたが、フアナは完全に逃げ遅れた。
「フアナ!!間に合っ……!!」

アスナは方向を変えて、ゴディアスの剣をバットのように振り回して、瓦礫を打ち飛ばす。





「そんな…………。」

小さい礫がフアナの体に降り注ぐが、致命傷にはならない。
しかし、そんなこととは比べ物にならない程、絶望的な光景がフアナの目の前に広がっていた。

アスナが方向を変える隙、そしてフアナを助けるために瓦礫を破壊する隙を、アベルは決して逃さなかった。

「ぐ………あっ………。」

アスナの心臓から、破壊の剣の刃が生えていた。
「これで、終わりですよ。」

1376 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:57:33 ID:TSPijSe20
残酷にも、剣は引き抜かれる。
勇者と言えども、心臓を貫かれては生きることは出来ない。

出血量から見て、フアナは分かった。何よりも分かりたくなかったが。
自分の魔力ではどうにもならないし、そもそも今は魔法が使えない。

フアナの目の前が、白黒になった。

「ダメ………とど……け……。ラ……い………でい……ん。」

アスナは事切れる瞬間、残された最後の魔力で、ライデインを唱えた。
空から雷が、アベルの邪悪な心を焼き焦がさんとする。

しかし、避雷針となる相手は待ってましたとばかりの得意げな顔を見せた。
アベルは避けるどころか、剣をまっすぐに構えた。




「いいじゃないですか。あなた方もあの勇者の向こうへ行けるのですから。」

剣に落ちた聖なる雷が、真っ黒な地獄の雷へと姿を変える。

(何だよ………アレ……。ふざけんなよ!!)

その瞬間は、聖なる力を持った天使が、人間の絶望に飲み込まれ、堕天使と化したかのように思えた。

――――――斬り裂け、ジゴスラッシュ。

闇を纏った一撃が、二人を呑み込む。

1377 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:57:50 ID:TSPijSe20

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ここは………?

気が付くと、私はよく知らない場所にいた。

それはどこかで見た、どこにもない街だった。

とりあえず辺りを探ってみる。アリアハンの地図を町全体を歩破することで作った私だからやれることだ。

「おーい!!フアナ!!どうしたんだよ!!」
歩き始めてすぐに、目の前に現れたのは、浅黒い肌と、白髪が印象的な少年。

「え!?ホープくん……ですよね?」

思いがけない再会に、私は目を丸くしてホープを見つめる。
「そうだよ。買い物済ませたし、これから宿屋にいるアスナを迎えに行こうとしてるんじゃん。」
「!?」
イマイチ状況が飲み込めず、戸惑う私に、後ろから賢者の男が声をかけた。

「おいおい。何ボンヤリしてんだよ〜。そーゆーのは僕の役目なのに。」

「サヴィオ!?無事だったのですか!?」
ヘルバトラーとの戦い以来の再開だ。

「は!?僕がキミを庇って死んだ?やめてよね。フアナのガラでもないでしょ。」


「ええ〜。フアナ、泣いてるよ。確かにズレてる所あったけど、そんなキャラだっけ?」

ホープも何事もなかったかのように私をからかう。
よかった。もう二度と話せないと思っていたのに、嬉しかった。
我慢できずに、涙がとめどもなくあふれてきた。

もう、絶対に離さない。
アリアハンにいた時は、自分の事はすべて自分で出来ていたと思っていたが、私は寂しがり屋で、どうしようもなく弱い人間だった。

それから宿屋へ行き、アスナの部屋に入る。

「おーい!!アスナ〜。食べ物と武器と防具買って来たよ〜。」

「あ、いつもいつも、ありがとうございます。」
アスナは部屋の隅から私たちの姿を確認すると、ようやく出てくる。

「いやいやいいよ別に。人には人の向き不向きってのあるし。」
それをホープが謙遜する。

「ところでさあ、フアナ。その首輪、何?」
「そ………それは……ですね…。」


昔から、サヴィオは妙なところで勘が働くのだ。

はっきりと覚えている。戦いが始まってからずっとつけられた、生殺与奪を握る装置。
本当は、忘れたふりをしていただけかも。

1378 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:58:11 ID:TSPijSe20

やっぱりあれは、夢じゃなかったのだ。

いや、ひょっとして今いるこの世界は。

「え!?私、死んじゃったんですか?」
「大丈夫です。フアナ、あなたは生きてますよ。」


アスナは私「は」と言った。
やっぱり、アスナはあの時死んでしまったのだろう。

「でも、私なんかが残っても、出来ることなんかないですよ!!
どうやってあんな恐ろしい人と戦えるんですか!?」

「そんなことない!!フアナは、色んな事が出来た!!わたしよりも、ずっと!!」

アスナがそれを否定する。
彼女は、ただ強かっただけじゃなかった。

私達三人が持っていた弱い部分を、受け入れてくれた。
私達がマイナス思考に陥った時、励ましてくれた。
私達が傷ついた時、敵を倒すより先に傷を癒してくれた。


アスナは、そんな意味でも勇者だったのだ。

「わたし、フアナのこと、昔から知っていた。色んなコンテストで優勝し続ける、凄い人がいたって。」

でも、そんな経歴、この戦いでは通用しなかった。
結局悪戯に仲間を死なせてしまい、挙句の果てにアスナまで犠牲になった。

「そんなの、勇者の力には、足元にも及びませんよ!!」

「力ってのは、強い弱いじゃなくて、どう使うかだと思うな。
盗賊の使い方だって、人の為になるってみんなとの冒険で分かったから。」

ホープが私を元気づけようとする。

「今まではさ、色んな人に言われて色んな事をやってきたんじゃん。
でも、その時間はもう終わり。これからは、自分自身の為に、その力を使ってよ。」

「へえ、サヴィオにしては、良いこと言うね。」
「サヴィオにしては、は余計だ!!」


いつものようなやり取りをしているホープとサヴィオ。
でも、その姿は段々と消えていく。


「分かりました。やるだけやって見せます。」

「やるだけ、じゃダメだよ。いつものフアナらしく、やってやるって言わなきゃ。」

最後にアスナがVサインを送り、消えていく。

1379 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:58:30 ID:TSPijSe20


「おい!!大丈夫か?」

代わって、聞こえてきたのは、別の人の声。
アスナとは別の方向から、私を励ましてくれた人の声だ。


「コニファーさん!?」
突然視界が、元のトロデーン城に戻る。

どういうわけか、服のあちこちに葉っぱやら雑草が付いている。

よく見ればトロデーン城の中庭に広がっている茂みだった。

「危なかったぜ。さっきあいつがギガブレイクもどきを打つ瞬間、おまえを引っ張ってロープで降りたんだ。
途中であいつがロープを斬りやがったけど、下が茂みで助かったぜ。」

「コニファーさん……。無事でよかったです。」

「そうでもねえな。さっき、不時着した時、足をくじいたらしい。ちょっとキツイかもな。」

よく見ればコニファーさんの脚に、枝が刺さっていた。

「俺のケガなんか心配している暇はねえ。上を見ろ!!」


上を見ると、屋上が一部崩壊している。
さっきターバンの男が放った技のすさまじさを物語っていた。


そしてさらにもう一つ、フアナが驚いたのは。
上からロープも使わずに、落ちてくる男の姿だ。


しかし地面に叩きつけられる瞬間、地面に風の魔法を打ち、衝撃を緩和させる。

風の魔法は自分でも得意としていたが、相手の方が1枚も2枚も上手だった。

「まだ生きていたのですか……いいかげん楽になってくださいよ。」


最早魔力の残っていない僧侶と、片目で、脚を負傷したレンジャー。
敵は未だカードを使いきっていない魔王。

勝てない。
アスナが私を庇わなければ。
五体満足の状態で戦えれば。

そんなことを考える暇もないのに、考えてしまう。

1380 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:59:25 ID:TSPijSe20

「おらぁ!!」

「何っ!?」
「へへっ、ちょっとだけ格闘スキル、積んどいてよかったぜ。」
魔王が剣を構えた所、コニファーさんが殴り掛かった。
予想外の反撃に、さしもの魔王も怯む。

「何終わったかのような顔してんだ!!『おまえの』逃避行はまだ終わってねえんだよ!!」


そうだった。
私は魔力はないけど、手足も付いてるし、命に関わるほどの傷も負ってない。

この戦いは、負けだ。
惨敗だ。
けれど、私はまだ生きている。

生きて、必ずアスナの仇を打つ。


コニファーさんの支給品を受け取ると、すぐに私は立ちあがり、走り出した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


私はあの女僧侶の気持ちは、よくわかった。
どんなに絶望しても、いや、どんなに絶望してるからこそ、何よりも純粋に希望を追い求めたくなる。
それはかつての私と同じだから。

だからそれを、丁寧にぐちゃぐちゃにしてやろうと思った。
だが、最早何も残されていないはずの狩人が、素手で歯向かってくるとは。


よく見れば狩人は脚を怪我している。
だから狙うのは、五体満足な女僧侶の方だ。

「逃がしませんよ。」

だが、急に狙いを定めていた片手が、急に上がらなくなる。

「オマエの相手はオレだ。それとも、五体満足な相手じゃ、楽しくないのか?」

狩人が地面に散らばっていた、折れた矢を私の腕に突き刺していた。
毒があるらしく、僅かに虚脱感が襲う。

こんなもの、キアリーでどうにでもなる。
だが、三人全員を殺すチャンスはもう失われた。


「邪魔をするなあ!!」
破壊の剣を一振り。

狩人の腹と口から、どっと鮮血が迸る。
立ち上がろうとするが、もう立てる肌の色はしていない。
狩人の男の浅黒い肌からも、その状態が見える。
もう、立って歩けるような状態ではないだろう。

1381 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 00:59:48 ID:TSPijSe20

しかし、狩人の顔は、思ったより安らかだった。

「なんだよ……魔王かと思ったら、よく見りゃオレと同じくらいの年じゃねえか。」
「それがどうしました?これからの世界は、若いことも年老いたことも関係ありません。力が全てですよ。」

「まだ、希望とか、あるだろ?好きな人……とか、子供……とかよお。」
「すべて私が捨てた物ですね。」

私は力を手に入れた。
勇者だって殺したし、魔王だって殺した。
この世界の人間もこの戦いを開いた魔物も必ず殺す。

「持ってるモノを託すことが出来ねえ命に、価値なんてねえんだよ。
力なんて、やがて無くなるモノに縋ってどうするんだ。」


捨てようとしたはずの怒りが、戻ってきた。
「愛や友情の方が、すぐに無くなるものだって、なぜ分からない?」

幻想にしか縋れない男の、寝言などはもう聞き飽きた。

刺された矢の毒を治癒する方が先だ。

勇者は殺した。
そして私の世界の勇者はもういない。
勇者の雷も手に入れた。

あとはどこかで生き残っているはずのジンガーを取り戻し、残された人間をせん滅するだけだ。

出血多量だし、回復手段も持ち合わせていないようでは、助からないはずだが、最後に心臓に一太刀入れ、最後の炎を吹き消した。


だが、この満足そうな顔は何故だ。
絶望的な戦いに投じられて、仲間は次々に倒れていき。

あんな無力な女一人残せただけで、満足しているというのか?

服に付いたインクのように消えない疑念は、早く払ってしまおう。
もっと強い色で塗りつぶせば、消えてしまうはずだ。

力への欲求と言う、強い色で。

1382 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 01:00:05 ID:TSPijSe20
D-3/トロデーン城入口/2日目 黎明】

【フアナ(女僧侶)@DQ3】
[状態]:HP1/10 MP 0
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 パラディンの秘伝書 不明支給品0〜1(本人確認済み) かりうどの弓@DQ9 カマエル@DQ9
[思考]:自分だけが出来ることを探す。
:最後まで、生きる
※バーバラの死因を怪しく思っています。


【D-3/トロデーン城外/2日目 黎明】

【アベル@DQ5主人公】
[状態]:HP1/3 手に軽い火傷 MP ほぼ0
[装備]:破壊の剣
[道具]:支給品一式 剣の秘伝書 ヘルバトラーの首輪 支給品一式 アスナの支給品0〜2 サヴィオの支給品一式 道具0〜1個バレットハンマー@DQ10  ウェディングドレス@DQ9 アルゴンリング@DQ8
[思考]:過去と決別するために戦う 全てを破壊する

※トロデーン城の屋上が一部分崩壊しました。
また茨で覆っている城の正面玄関が開かれています。

【アスナ@DQ3 死亡】
【コニファー@DQ9 死亡】

【残り19人】

1383 ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 01:00:15 ID:TSPijSe20
投下終了です。

1384ただ一匹の名無しだ:2019/06/27(木) 06:26:51 ID:QmEjLfu60
投下乙です
魔英雄戦から続けて頑張ってきたが、遂に犠牲者が出てしまったか
残されたフアナがんばれ

1385ただ一匹の名無しだ:2019/06/27(木) 06:29:38 ID:QmEjLfu60
ああそれとタイトル忘れてるみたいですよ

1386とある勇者の始まり ◆vV5.jnbCYw:2019/06/27(木) 09:47:54 ID:TSPijSe20
タイトル抜けてました。「とある勇者の始まり」です。

1387 ◆2zEnKfaCDc:2019/06/28(金) 01:06:59 ID:IaVqPUIA0
投下乙です!
トロデーン内を駆け回りながらの追いかけっこ、引き込まれますね
過去の回想や夢の中の世界とリンクしながら進んでいく手法だからか、夜の城での鬱話という舞台のせいか、ドラクエ10のアンルシアの記憶の中のようなモノクロ調の世界がイメージされて、悲壮感溢れる話でした。

1388 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:15:00 ID:Vu.ru6IU0
投下させて頂きます

1389吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:15:45 ID:Vu.ru6IU0
  
【C-7/南西の荒野/黎明】

トロデーン城を目指すレック、キーファ、そしてミーティアの一行。
彼らは『月の世界の人』イシュマウリに会うべく道を急いでいた。

「あ、あらあら?…ごめんなさい、この道じゃなかったみたいですわ…」

かつて来た道として二人を先導していたミーティアだったが、行き止まりに出てしまい
狼狽えながら謝罪する。

「気にするなよ姫さん。こんな入り組んだ地形で、しかも夜中だもんな。
こりゃ確かに昔は海だったって感じの峡谷だぜ。古代の船があったのも納得だ」

「トンネルを抜けたらお城はもう見えてくるんだろう?焦らなくとも大丈夫さ」

「キーファさん、レックさん…ありがとうございます」

ミーティアは二人の励ましに応えるべく、精一杯の元気な声を出す。

「参りましょう。ミーティア、今度こそきちんとご案内しますわ!」

しかし二人の優しさを有り難く感じると同時に、ミーティアは卑屈な感情を覚えていた。
彼らもまた大切な仲間を失っているだろうに、悲しみを表に出すことなく他人を思いやって
くれさえする。

もし月影の窓が現れなかったらと思うと怖くなる。
自分は完全に役立たずのお荷物、それだけでなく彼らに無為に時間を費やさせ、彼らの
大切な人達に会う機会を奪ったどうしようもない足手まといになってしまう。

エイトだけは、そんな自分でも見捨てずに居てくれるだろうと思う。けれどそれは、飽くまで
忠実な兵士としてなのかも知れない。そう考えるととても悲しかった。

1390吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:16:37 ID:Vu.ru6IU0
 
 
【C-4/平原/黎明】

一方その頃。
はやる気持ちとは裏腹に、エイトもまた歩みが進まずにいた。

「ゼシカ、君なのか…」

自分がトラペッタ付近でトラブルに嵌っていた間、トロデーン城周辺でも相当に激しい戦いが
繰り広げられていた事をエイトは見て取っていた。先程通り過ぎた巨大なクレーターの他にも
あちこちで地面がえぐれ、木々がなぎ倒されている。

だがこんな場所に仲間が居たのだとは、放送でその名を聴いた時も想像出来てはいなかった。

「──すまない。本当にすまない」

ややあって、エイトが喉から絞り出したのは謝罪だった。
ゼシカの横にもう一人、若い男の遺体が並んで横たわっていた。
二人とも胸の前で手を組み、穏やかな顔をしている。ゼシカの遺体は所々火傷に爛れていたが、
その髪やドレスは誰かの手で綺麗に整えられていた。

エイトは袋から小さな花のついた木の枝を取り出し、組まれた手の間に添えた。
何の慰めにもならないとはいえ、遺体を整えてくれた誰かの例に倣いたかった。

ゼシカの身に何が起きたのかは解らない。
しかし彼女がどのように戦い抜いたか解ってしまったから、エイトは「申し訳ない」と言う気持ちに
襲われていた。

仲間達が全員死んだのを知った時、エイトは安堵した。もはや何の憂慮も無くミーティアを探し
守る事に徹していられると。
その気持ちは今なお変わっておらず、否定する必然性があるとは到底思えない。

仲間として死を悼む資格はもう無い。
ただただ申し訳ないと言う思いに、エイトは項垂れていた。

1391吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:17:05 ID:Vu.ru6IU0
 
 
 
【C-5/平原/早朝】

「この男だ。しかとは見えなかったが、まだ生き残っている中で特徴が一致するのはこの男のみ」

竜王が顔写真付きの名簿の一点を指差した。

「名前はアベル、か…。会った事は無いわね」

暫定容疑者の顔と睨めっこをしながらアンルシアが答える。しかし名前には覚えがある気がした。
一体どこで聞いたのだったろう?

「あ、一応念を押したいんだけど。
この人って貴方の戦いを何か誤解したり、止めようとした結果割りこんだって訳じゃないのね?」

「無い」

二度と間違いは起こしたくないと思うアンルシアの問いに、竜王はきっぱりと断言する。

「そんな即答されると逆に不安だわ…もう少し、誰とどんな状況で戦ったとか教えてくれない?」

「それこそ貴様には関り無い事だ。誰にも、何にも恥じぬ一対一の勝負だった。卑劣にも漁夫の利を
漁ろうとしたこの男、けして生かしては置かん」

「…オーケー、とりあえず解った。この人には気を付けとく」

これ以上竜王から客観的な証言は得られそうになかったので、アンルシアは話題を締め括った。
どのみち彼と勝負した相手はオルテガ(亡くなってしまったけれど)、キーファ、レックのいずれかで
あるのは状況的に確実だし、また会えたならその時ははっきりするだろう。

それよりも今はティアの事だ。

如才なく氷柱の杖を振るってのけたティア。兄の死を告げられた事で、彼女の眠っていた才能が目覚め
かけている様だった。
正しく育てられれば勇者たり得る才能。でも現状では、彼女を傷つけた世界に対して小さな牙が芽生えた
と言う処。

(その牙が誰かを傷つければ、やがてティア自身も傷つく事になる)

そうならない為に早く見つけて、あの子をしっかりつかまえていなくては。

「何やら思い耽っているようだが、勇者姫よ。周りをよく見てみろ」

「え?あ…!」

言われて周囲を見渡すと、前方のなだらかな丘の上に歩く人影があった。ティアか、と思ったが背格好は
まるで違う。男性のようだった。

「あの姿、あの人は……!」

1392吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:19:54 ID:Vu.ru6IU0
 
不意に名前を呼ばれて見ると、さして懐かしくもない人物が海側から駆けてくる処だった。後ろのもう一人、
悠々と歩いてくる男に見覚えは無い。関りたくなかったが、無防備に背中を向ける訳にも行かなかった。

「よ、よかった、エイト。貴方には謝り損ねていたから──あの時は、本当にごめんなさい」

一気に駆け抜けて来たアンルシアはエイトの前に辿り着くと、乱れた呼吸もそのままに謝罪を口にした。

「…どうも。ですが別に構いません。色々な間が悪かっただけ、それだけの事です」

「それなら貴方を刺した子の事も許してくれるかしら?私が連れていた子なんだけど、彼女があんな
真似をしたのも私を助けようと夢中でした事なの。あの子の分まで謝るわ、この通り!」

エイトは自分を刺した者の姿を見ていない。念のためを考えてか名前を言わないのは引っかかったが、
却って信憑性は増した。なるほど、そう言う事だったかと納得する。

「良いんですよ。ヤンガスが死ぬ羽目になったのも、元々あの場に居た誰も責めるつもりはなかった」

敢えて責めるとしたらヤンガス以外の全員だ。しかしそれは全員を救おうとした彼の意思に反する。

「ごめんなさい…ありがとう」

アンルシアは顔を上げてエイトの目を暫く見詰めた。そして意を決した様に言う。

「あの、私その女の子を探しているの。ティアって言うんだけど、身長はこれくらい。顔写真は…」

「いえすみませんが、私はあれ以降誰にも会っていません」名簿を取り出そうとするアンルシアを
エイトは制する。

「一応、顔を覚えて置いて。実はあの子に説明する暇もないままはぐれてしまって。もしかしたら
貴方を敵だと思い込んでる事もあるかも…」

そう言う事はそっちで片付けておいて欲しかった。エイトは軽く溜め息をつき、名簿の顔を確認する。

「ごめんね」

「もう良いです。折角だから私も尋ねますが、この女性を見かけてはいませんか?伝聞でも構いません」

今度はエイトが名簿をめくり、一人の女性を指し示す。

「んん…ミーティアさん、おでこの綺麗な人ね。残念だけど知らないわ」

「そうですか。ではこれで」

軽く会釈をして踵を返したエイトに、今までアンルシアの後ろで黙していた竜王が声を掛けた。

「知っている」

「──何だと?」

「へっ、そうなの?」

エイトはゆっくりと振り返った。早くも警戒心をたっぷり含んだ目つきで竜王を睨んでいる。

1393吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:20:56 ID:Vu.ru6IU0

「貴様は竜の一族だな。そこの小ねずみも真の姿ではない。そんな貴様があの姫とどう関りを持つ?」

突然言い当てられ、エイトも流石にたじろぐ。思わずポケットに目を遣ると、トーポが身を乗り出して
竜王をじっと見ていた。

「──ただの兵士だ。トロデ王亡き今、私が仕えるべきは姫だけ。お前こそ姫を知っているとは?
返答によっては容赦しない」

「ちょ、ちょっと待ってよ」

和解した端からこんな空気になると思わなかったアンルシアが慌てて割って入ろうとする。まさか、
まさか竜王はミーティアを……

「そうか兵士か。ならば早く迎えに行くが良い。姫はここから南、地図で言えばD7の荒野に居る。
もっとも今頃こちらへ向かっているかも知れんがな」

続いた言葉に、アンルシアはかくんと膝の力が抜けた。

「なによ、生きてるって事!?」

「達者だ。わしが最後に観た限りではな」

なによもう!ともう一度、今度は嬉しそうに声を上げてアンルシアがエイトの方を見る。と、緊張が
一気に抜けたらしくエイトは脱力してへたり込んでいた。

「良かったわねエイト!ごめんなさいね、この人王様気質強めだから言い方とかちょっとアレで」

「ええ、いえ…。本当に、本当なんですね?」

エイトは一転して縋るような目で竜王を見る。言葉だけだ、なんの保証もないと頭で解っていつつも
ついに見えてきた希望に冷静ではいられなかった。

「愚か者が、このわしに保証を求めるな。兵ならば走れ。それが役目であり答えだろう」

「ッ……」

喉元で詰まった言葉を捨ててエイトは走り出した。背後から「頑張って!」と聴こえる声があったが、
振り返らずエイトは南へと駆ける。

1394吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:21:34 ID:Vu.ru6IU0

段差を飛び降り、また飛び越えてエイトは最短距離を全速力で走り抜けていく。

───こんな風に走るのは久しぶりだ。

エイトは思った。ドルマゲスを追って西へ東へ奔走していたあの頃。
足が重くなったのはいつからだったろう。

兵士、と言う言葉が頭に浮かんだ。名を訊き忘れた不思議な男が言った言葉。

そうなんだ。やるべきことが解っていたから走れた。
トロデ王と姫、そして城の人々を襲った怨敵ドルマゲスを追う旅に疑問は一点もなかった。
しかし旅を続けるうちに問題は複雑になっていった。他人の事情に振り回され、肝心な時に賢者の末裔を
むざむざ死なせてしまった。
英雄なんかじゃない。最終的に暗黒神が空に現れたのを幸いに、自分はただ突撃していっただけだ。

こんな自分だからなのか?
姫の傍に居て良い場所は、そこしかないと思うのは。

あの従兄弟を笑えないじゃないか。
自分だって充分臆病で、卑怯で───

エイトは走った。心臓が破れんばかりに暴れて脈打ち、呼吸する度吐き気を覚えながら。
しかしいくら走っても心に浮かんだ疑問は彼を追いかけ続けていた。
たった一つ解っている事──ミーティアの傍に居る──彼にとってたった一つの真実を目指して
エイトはひた走る。

1395吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:22:01 ID:Vu.ru6IU0
  
【C-5/トロデーン西のトンネル/早朝】

三人はトンネルを慎重に歩いていた。魔物が出ないのは良いが、それぞれの手にランタンを持っても
トンネルはなお暗い。

「姫、足は大丈夫かい?」

「ええ、ちょっとマメが出来たくらいです。回復の杖もありますし、ここを抜けたら草地ですから。
ミーティアも靴を脱いでぱっと走る事ができますわ」

精一杯元気よく返事を返すミーティアだったが、自分のせいで速度が落ちているのだと再び卑屈な
気持ちになっていた。
お馬さんのままだったら良かったのに。と何度目かに彼女が考えていた時、キーファが声を掛けた。

「姫さん、レックも。無理しなくたって良いんだぜ」

「えっ。…そんな」

咄嗟に否定しつつ、ミーティアは後ろを歩くキーファを振り返る。

「俺は王族でもなくなったし、世界を救う冒険者でもなくなった。元はと言えば自分から誘った事
だったのにな。こんな俺が言っても有難みなんかないだろうけどさ、お前たちは凄いよ。竜王が
頑張るまでもなく誇りをしっかり持ってる」

ミーティアはキーファの言わんとする事を考えて黙り込んだ。先頭を行くレックも沈黙している。

「…どう、でしょうか。ミーティアには自信がありません…」

「それでも良いじゃないか。姫さん、こうならなきゃって思うのは否定しないが、本当にそう
ありたい自分ってのを忘れないでいて欲しいんだ。二人とも会いたい人が居るんだろ?脱出方法も
そりゃ大事だけど、どっちを先に探すかは自分で選んで良いんだぜ。……そろそろ出口だな」

その言葉にミーティアも足元から前へ視線を移す。窓の様にぽっかりと海辺の景色が開けていた。

「遠くに誰か居るな」

レックが呟く。後ろの二人にもその姿が見えた。

「あれは──あの人は」

ランタンが地面に落ちてガシャンと音を立てる。その時にはミーティアは既にレックを追い越し
出口へ走り出していた。

「エイト!!」

1396吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:22:33 ID:Vu.ru6IU0
【C-5/草原/早朝】
 
 
 
ミーティアは走った。足に出来た幾つものマメが潰れるのも構わず。

エイトも走っていた。もはや歩いているのと変わらない程の速度だったが、その姿を見とめた以上
彼に足を止めると言う選択はもうなかった。

身分と使命。それぞれ自分を縛りつけていた呪いの事も忘れ、二人はお互いの元へただ走っていた。

「ミーティア!!!」

肺の中身を全て吐き出すようにエイトは叫んだ。そこで足がもつれて地に膝を着く。辿り着いた
ミーティアが両腕を伸ばすと、二人は手を取り合って草の上に座り込んだ。
 
 

「心配する事なかったかな?」

トンネルを出た所で立ち止まり、キーファは肩をすくめて言う。

「いいや、俺は嬉しかったよ。有難うキーファ」

レックは言った。息を切らせたまま見つめ合う二人を眺めながら。


 
【レック@DQ6】
[状態]:HP9/10 MP2/3
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、大魔神の斧@DQJ 蒼炎のツメ@DQ10モリーの支給品1~3個 確認済み支給品1~2個
[思考]:①キーファと共にトロデーン城で月影の窓を探すか、ターニアを探すかを考える
    ②竜王と協力する
    ③アベルを追う

【キーファ@DQ7】
[状態]:HP9/10 
[装備]:はやぶさの剣・改@DQ8
[道具]:支給品一式、月影のハープ@DQ8、支給品1〜2個、ユーリルの不明支給品0~1個
[思考]:竜王を追ってトロデーン城へ行く。イシュマウリに会う。

1397吊り橋効果と云うけれど ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:22:48 ID:Vu.ru6IU0
【ミーティア@DQ8】
[状態]:健康 足にマメ 若干の疲労
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、あぶないみずぎ、レースのビスチェ、あぶないビスチェ、祝福の杖@DQ7 アサシンダガー@DQ8 その他道具0~1個
[思考]:トロデーン城に向かい、月影の窓からイシュマウリに出会う。
    エイトと共に誇りを持って進む。

【エイト@DQ8】
[状態]:健康 MP1/2 若干の疲労
[装備]:奇跡の剣
[道具]:支給品一式 トーポ(DQ8)、激辛チーズ(DQ8)
[思考]:ミーティアを守る

※レックとチャモロを危険人物ではないかと【若干】疑っています。
※トーポは元の姿には戻れなくされています。

※エイトの不明支給品0〜2「サクラのひとえだ」はC-4平原、ゼシカの遺体の傍に放置されました。
不明支給品の残りは有りません。

1398 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/06(金) 11:33:00 ID:Vu.ru6IU0
間違いなく全文置けたようです。問題が無ければまた自分でまとめ更新をしておきます。
立て続けに書かせて頂きましたが、これで自分にも動かせそうなキャラは居なくなりました。
今後は読み手として定住させて頂きたく思います。ありがとうございました。

1399ただ一匹の名無しだ:2019/09/06(金) 17:29:11 ID:pCISO.CM0
投下乙です
ようやっとエイトとミーティアが再会したが…
エイトはレックに多少とはいえ疑惑抱いてるし、放送でターニア呼ばれるし、波乱の予感…

1400ただ一匹の名無しだ:2019/09/06(金) 19:57:49 ID:pCISO.CM0
ああ、すみません
乙した後なんですが、気になる点が
トラペッタの後、エイトは真っ先にその場を後にして、アンルシアは遅れて出発しています
その上、エイトは城によりませんでしたが、アンルシアたちは北上して城の目前までは来る寄り道をしています
この進行状況で、西に進むエイトが東へ進むアンルシアと遭遇するのは、結構無理があるように思います

1401ただ一匹の名無しだ:2019/09/06(金) 19:59:56 ID:pCISO.CM0
>>1400

×トラペッタの後

〇145話の乱戦の後

間違えた

1402 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/07(土) 03:48:23 ID:4ds2wAGo0
あれっ!?今自分の脳内移動ルートがどこで読み間違え(見落とし)したか迷子になってるようです。
少しお時間を頂いて整理してみます。

1403 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/07(土) 04:14:10 ID:4ds2wAGo0
先にどういう認識で書いたかを記録してみます。
①エイトは乱戦の後誰にも会わず、160話/深夜に城で戦闘があるのを遠巻きに知り、C-4の辺りに居た。
②アンルシアも城の戦闘を遠巻きに知り、それを避けてB-5の教会でティアを休ませていたが、
 169話/黎明にティアが城へピサロ(の道具)を追って出て行く。
③171話で足止めをされたアンルシアが遅れてB-5からティアを追う矢先、南から来た竜王に会い、早朝に共に城へ向かおうとする。
この認識で、B-5を出発したばかりのアンルシアと竜王にエイトを会わせていました。

1404 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/07(土) 04:19:29 ID:4ds2wAGo0
…というか今気づいたんですが、話の最後の方にいたキャラ以外の状態表を書き忘れてました!!!!
すいません!!!!

1405 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/07(土) 19:12:49 ID:gL6Z7Fw20
どこかで見落としたまま思い込みをしていて見えてるものが見つからないでいるのかもしれないと思ってはいるのですが、
どうしても169話/黎明の時点でピサロ、アンルシア、ティアは一旦「B-5 海辺の教会」におり、
次の171話/早朝に竜王と出会って城へ向かう事になり、今回で早朝にエイトと出会うと言う流れの中に
間違いを見つける事がまだ出来ていません。
もしかしたらアンルシアと竜王の状態表を書き忘れた事で齟齬を生じさせてしまったのではないかとも考えていて、
当面どうすればよいか解らないでおります。もうちょっと考えさせてください。

1406ただ一匹の名無しだ:2019/09/07(土) 20:51:06 ID:M3bsX/DM0
>>1405
1400でわからないとなると説明に困るが…
145話時点でエイトとアンルシアの位置関係は

エイト→西
アンルシア→東

こうなってる
それが今回の話では

エイト→東
アンルシア→西

こうなってる
アンルシアがエイトを追い抜いて位置関係逆転させるのが可能かって考えたら分からないですかね?

1407ただ一匹の名無しだ:2019/09/08(日) 01:30:45 ID:4d90TSvE0
完璧に把握できてるかはわからないんで間違ってたらごめんなさいだけど、
最新作が通ったとしたら、エイト、アンルシア、竜王がどういう進行になったかを図にしてみた
結構この辺の時系列複雑かつ制約多いような?
http://ichinichiittai.wiki.fc2.com/upload_dir/i/ichinichiittai/439b72b8e785e71773c63915c037045b.png

今回指摘されてそうなところ
・深夜→黎明で、エイトがC4からほとんど動かず、アンルシア組とエイトがお互い気付かないまま追い抜いてたことになる
  →アンルシアたちは上空の流れ星ポーラに気を取られて、エイトはゼシカのお墓を見ててお互いに気付かなかったとか?
・黎明→早朝で、ピサロとポーラもトロデーンに向かっているため、こちらの二人もすれ違ったことになるのではないか?

最新話ひとつ前時点での制約
・竜王が深夜→早朝にエイトに会わずに教会まで来ているため、エイトは深夜の早い段階でトンネルを抜けたかまだトンネルを抜けてないかのどちらかになりそう
 エイトは竜王を見たけどミーティアじゃないのでスルーしたか、竜王が深夜→黎明の時間に荒野で迷ってたかもありうる?
・ティアははっきりとどこに行くかは明言してないっぽいので、会わなくてもなんとかなるけど竜王に鉢合わせてないからトンネル側に行くのは難しそう
 竜王が人間じゃないので隠れて様子見てたとかでフォローは効くのかな?
 でもティアがトロデーンに向かってた場合は彼女もエイトとすれ違うことに

エイトの位置はきっちり整合性取るの結構難しいかもしれない

1408 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/08(日) 04:31:19 ID:wbUsOS7.0
あ、そうか「エイトいつまでも北西側でうろうろしすぎ」と言う事だったんですね!
それに加えてティアがどこに行ったかが難しくなりそうだと。

確かにそこは最初考えてました。しかしエイトは結構悩んでいたのと、あの辺りを丁寧に姫探しを
していたら時間も経つかも。と考えそのままうろうろさせていました。
ティアについてはトロデーンに向かっているとアンルシアから聞いているのでそのまま向かうものと考え
エイトとは単にお互い気付かなかったかエイトのみ気付かなかったものと考えました。

うーん、「うろうろしていたから」と言うのはやはり強引ですね…。それを追記してもやはり
きついものがあるでしょうか?

1409ただ一匹の名無しだ:2019/09/08(日) 06:59:58 ID:l4Y8mAPM0
>>1408
その理屈で行くと、エイトはうろうろして丁寧に探してたのに「アンルシア、ピサロ、ティア」を見逃し、「ピサロ、ポーラ」を見逃し、「ティア」を見逃したことになる
丁寧に探しててこれだけの通行人を見逃すのは変じゃないか?
それ以前にただの通り道であるあの辺を重点的に探すこと自体が不自然だし

>>1407で触れられてるように、エイトはアンルシアと合流する前の竜王とすれ違ってると思う
竜王側が気づいてなさそうだから、お互い気づかなかったか、エイトが目視したけどスルーしたかになるだろうけど

1410 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/08(日) 16:23:35 ID:vDCqkE8w0
うーん、実走してみるとあのへんは段々畑的な高低差が多い地形で、「平原」と言うのは
飽くまでロワ共通用語としての表現と思っていました。あえてそれに矛盾する地形描写を
入れるのも妙だし、大丈夫だろうと片付けていたんですね。
ですので見逃してください!とお願いしたい所ですが、後もつかえていますしなかった事に
させて頂こうと思います。お時間を取らせてしまいすみません。

1411 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:23:17 ID:Q0q9LtoQ0
今回は残念でしたが、またどこか書けるパートを見つければ投下してください。

では、私も投下します。

1412 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:26:16 ID:Q0q9LtoQ0
「ローラさん!!しっかりしてください!!」
チャモロは魔法をかけながら、動かなくなったローラを揺さぶる。

その姿をアルスは冷や汗をかきながら見ていた。


つい数分前まで、出来るだけ苦しめて殺そうとした相手。
だが、こんな形で死ぬことを望んではいなかった。
しかし、居ても立ってもいられず、アルスは言葉を発する。

「チャモロさん!!僕はターニアを追うよ!!」
「ええ、お願いします!!」

二人にとって目下の課題は、ローラだけではない。
先程の戦いから、多くの血を見せてしまったことで、恐怖を覚え逃げ出したターニア。


アルスがそう言ったのは、本当は自分がそれをやりたかったからではなかった。
最早戦闘能力はほとんどなくなったとはいえ、ライアンや、マリベルの死の原因になった相手を、これ以上見たくなかったのもあった。


しかし、ターニアが逃げた方向に向けて、走り出そうとした瞬間、突然アルスの体が崩れ落ちた

「あれ?」
何故か言うことを聞かない体に、疑問を覚える。
アルスの異変を察したチャモロが、慌てて駆け寄る。

「アルスさん!!大丈夫ですか!?」
「キミは、ローラさんを……。」
「もうダメです。呼吸も脈も止まってました。」

ローラが助からないと分かるや否や、アルスの手当てを始める。

アルスが動けなかった原因は、いたってシンプルな要因だった。

呪われたライアンとの戦いによる出血。
手当こそはしたが、極めて簡易的なものでしかない上に、失った血は戻らない。
それに加えて、ローラに刺された毒針による毒は、致死量ではないにしろ、まだ体に残っていた。

これまでは怒りに任せて動いていたから気力でカバーできたものの、いざその矛先を失ってしまうと、代償は一気に襲ってくる。


「チャモロ、僕より、あの子を……。」
「こんな所に置いていくなんて出来ません!!」

慌ててチャモロはキアリーを、アルスにかけ始める。

1413見え始めた光明 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:26:44 ID:Q0q9LtoQ0
今はいないだけで、別の襲撃者が来ない保証はどこにもない。
簡単な話、歩くことさえ難しい人間を戦場に置いていくなんて、殺すようなものだ。

「どうして……?」

チャモロは突然、魔法を唱える動作に入ってから硬直した。
「チャモロさん!?」
「魔法が……出ないんです。」

「魔力が切れた?」

アルスはありきたりな理由を挙げる。

「いえ、確かに魔法はまだ使えるはずです。」


理由はこれまた簡単だった。
運や身体的な動きだけではなく、魔法を制限する呪いと言うのも存在する。
そして、呪いと言うのは一部の魔法と同じで、術者が死しても解けることはない。
むしろ、怨みの心を死の間際に残せば、さらに増幅する。
それが近くの者にも伝染することくらい、全くおかしい話ではない。

つまり、死してもローラの呪いは消えなかったということだ。


「あそこに……」
アルスは不自由な手を動かして、ローラの死骸を指さす。
ローラの亡骸の近くに、支給品袋が転がっていた。

確かに、回復するための道具があるかもしれない。

チャモロは中身を空けてみる。
妙に高貴なティーセット、いくつかの杖、そして、何かの草が入った袋。

(何か、薬草……。)
薬草や毒消し草が入っている可能性も高い。


一縷の望みをかけて、袋から草を取り出す。
だが、出てくるのはチャモロの知らない草と、知っていても薬にならないものばかり。

見たことのない草が、薬なのかもしれないが、そんなものをアルスに飲ませるのはリスクが高すぎる。


(くそ……動いてくれよ……僕の身体………。)
チャモロが道具を探すのに苦労している間も、アルスは自分に魔法をかけようとする。
アルスの想いに呼応したからか、手に光が宿り始める。
回復魔法を使う時にある、淡い光だ。

1414見え始めた光明 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:27:09 ID:Q0q9LtoQ0
回復魔法とは異なり、解毒魔法は制限されていない。
アルスから虚脱感は幾分か抜け、顔色も僅かだが良くなる。


「アルスさん……ダメでした……薬になりそうなものはもうありません。」
「見てきてくれて、ありがと。チャモロ。」

それからも二人は回復魔法を唱え続ける。
不幸中の幸いか、魔法は常に封じられるというわけではなく、何度かに一度くらいだった。

毒は抜け、立って歩ける程度にはアルスは回復する。
しかし、ターニアの姿はとっくに見えなくなってしまった。
チャモロはジャンボにピオリムをかけてもらっていたが、その効果も既に切れている。


「もう大丈夫だ。チャモロ、あの子を追いかけよう」

アルスの体調も完治していないまま、すぐに二人はターニアが走った方向へと駆ける。
彼女は北上した後、西か東かどちらへ向かったか分からない。
アルスは東であることを願った。
東のトラペッタなら、その先でブライやサフィール、ゴーレムが助けてくれるはずだから。


しかし、二人が気を付けなければならないのは、他にもあった。
むしろ、この戦いの中では、1,2を争うほど重要なことだ。



「「警告だ。禁止エリアに侵入した。30秒以内に立ち退かない場合は首輪を爆破する。」」



二人の首輪から同時に発された警告と共に、ピッ、ピッ、と聞きなれない音が聞こえる。
チャモロがいち早く、アルスの首輪が点滅していることに気付いた。
「しまった!!禁止エリアです!!」

【G-5】からターニアを追っているうちに、二人は禁止エリア【G-4】へと足を踏み入れてしまっていた。

ターニアのことや、自分達の既存の危険に夢中になりすぎて、禁止エリアのことまで頭になかった。

「チャモロさん!!来た道を戻ろう!!」

二人の心に、ターニアもこうして禁止エリアに踏み込んでしまったのではないかという恐れがよぎった。

だが、それどころではない。
もう地図を見ている余裕はないので、首輪の音が止むまで来た方向に走るしかない。


「「残り、20秒だ。」」
首輪の警告が始まった場所からして、あまり深く踏み込んではない。
地面も草原や街道、石畳ほどではないが、走るのに難儀するほど悪くもない。
従って、ここで自分達が首輪の爆破による可能性は低い。

1415見え始めた光明 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:27:31 ID:Q0q9LtoQ0

しかし、呪い以外のことを心配した瞬間、呪いは不幸となって訪れる。

「っ!!」
アルスの靴が、根の丈夫な草に引っかかった。

アルスが脚を押さえて蹲っている
どうやら転んだ先に尖った石が転がっており、打ち所が悪かったようだ。

制限されている魔法でもすぐに治療できる傷だが、今はそれどころではない。

「アルスさん!!しっかりしてください!!」
チャモロがアルスの手を引っ張る。

「「残り10秒」」
首輪の光も、段々とまぶしくなっていく。


「チャモロさん!!キミだけでも!!」
あと数mで、死地からは脱出できる。だが、その数mが長い。

アルスは脚の怪我をした自分を置いていくように頼む。

「そんなこと出来ません!!」
「残り7秒」
チャモロは無理矢理アルスを抱える。

「やめろ……そんなことしたら……」

アルスはチャモロに背負われることを拒否する。
「ゲントの神よ!!我々に光を!!」

チャモロが突然叫んだと思ったら、アルスを思いっきり投げた。
「え!?うわああああ!!」



悲鳴と共に、アルスは禁止エリア外へ飛んでいく。
彼は、アルスを背負って禁止エリアから脱出しようとしたのではない。
巴投げ。武闘家の修行の過程で、仲間と共に覚えた技だ。


「残り3秒」
アルスを禁止エリア外に投げ飛ばすと、自分も全速力でエリア外に出る。


「残り1秒」

「ゼ……禁止エリアからの立ち退きを確認。カウント停止だ。」

済んでのところで、チャモロは脱出した。

「無事でよかった。流石にアレは予想してなかったよ。」
体のあちこちに草や土で汚れながらも、互いの無事を喜ぶ。

1416見え始めた光明 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:28:45 ID:Q0q9LtoQ0
「僕も、仲間と共に覚えた技が、こんな形で役に立つなんて思いませんでした。」


「何とか助かったけど、これからどうする?」
アルスは自分の脚に回復魔法をかけながら、チャモロに問いかける。
相変わらず魔法は成功したりしなかったりだ。
さらにアルスが追い始めた時に既に姿が見えなくなっていた。ターニアとの距離は完全に離れてしまった。
このままでは追いつくことが出来ないし、奇跡的に追いついたとしても、拒絶される可能性もある。

「仕方ありません。一度トラペッタに行きましょう。
サフィールさん達がまだキラーマジンガ達と戦っているかもしれません。」
「キラーマジンガだって!?」

アルスは驚く。
こんなタイミングでチャモロはウソを言うような人間ではないし、あの時キラーマジンガはチャモロの攻撃で、砕かれたはずだ。


「ええ。僕としても全く訳が分からないんです。」


チャモロは、キラーマジンガの件以外にも疑問に残っていることが多かった。


1つめは、ジャンボというドワーフの正体。
自分はサフィールと共にキラーマジンガに殺されかけた所を、ジャンボに救われた。
何度も苦戦を強いられた強敵を鮮やかに翻弄する戦いを見ても、彼にはこの戦いから脱出するための重要人物だと確信していた。
だが、ターニアはジャンボを恐れていた。
さらに、ジャンボは自分とレックを殺そうとしていたらしい。
そして、今のターニアは、かつてチャモロがライフコッドで会った天真爛漫な少女とは、まるで違っていた。



2つめは、自分達の今の状態。
魔法が突然使えなくなることといい、連続の不運続き。
不運は不運だと言えばそこまでだが、何か超常的なものが纏わりついているような気がした。
このバトルロワイヤル自体が超常的な何かで作られたような気もするが。


「2体目……。」
「はい。アルスさんと別れてトラペッタへ行った後すぐに、2体のキラーマジンガが襲ってきました。」

トラペッタへ向かう途中、チャモロは身に起こったことを全部話した。

「そして、僕はジャンボさんに頼まれて、ターニアを追いかけて来たんです。」
「じゃあ、早くブライさん達を助けに行かないと!!」
「大丈夫。恐らくジャンボさんが助けに行っているはずです。」

1417見え始めた光明 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:29:05 ID:Q0q9LtoQ0

本当のことを言うと、チャモロはまだジャンボに対して疑問を抱いている。
しかし、今頼れる人物がジャンボしかいない以上、そう言わざるを得なかった。

「勿論、ターニアやブライ達のこともあるけど、僕はそれ以上に気になることがある。」
「え!?」

チャモロは、ジャンボの目的だと思っていたが、違っていた。

立ち止まったアルスが、紙とペンを取り出し、さらさらと書く。



『首輪の正体、分かったかも』
「!!」

戦いが始まってほぼ1日、自分達を縛り付けていた首輪の正体が分かった。
周りにはチャモロしかいないが、もしもっと多くの人がいれば、一斉に注目の視線を浴びることになっていただろう。


「もっと詳しく教えてください!!」
『聴かれるとまずい。』


チャモロははやる気持ちを押さるようにと指示を出す。

『呪い』

二文字だけの内容の紙を、チャモロに見せる。
さらにアルスは二枚目の紙に続きを書く。

「呪われた装備って、見たことある?」
「はい。少しだけですが……。」

アルスは呪われた面を身に着け、襲ってきたライアンとの戦いから薄々感じていた。
立て続けに不運がやってくる現在の状況を。
2度や3度くらいなら、ただの偶然と割り切ることが出来るが、こうまで立て続けに不運に見舞われると、何か原因があるとしか思えない。


そして、普段は使える魔法まで突然使えなくなるのは、完全に何か違う原因があるとしか思えなくなる。
恐らく、自分達を殺そうとして、無念のうちに死したローラが、怨念となって付きまとっているのだ。



だが、自分達に付き纏っている呪いはローラのものだけではない。
この殺し合いが始まってから色んな事が立て続けに起こったため忘れていたが、先程の禁止エリアで、長らく存在を忘れていた首輪のことを思い出した。

1418見え始めた光明 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:29:24 ID:Q0q9LtoQ0

首輪も、呪われた装備と同様の存在なのではないかと。
外そうと思っても外せず、回復や蘇生と言った魔法を阻害する。

『恐らく、僕らの首輪も、その一種だ。』
『一理あるかもしれません。』

チャモロも予想外だった。
首輪爆破の原因が、自分の想像もつかない超常的な何かではなく、呪いだということを。


アルスにとっても、予想外だった。
だが、マジャスティスを打っても首輪に異常はなかったことから、首輪の正体が魔法ではない可能性が高い。

二人共この世界で見た支給品で、呪いを解除できる道具など一度も見たことがなかった。
いや、たとえあったとしても、支給されている道具程度では解除できない強い呪いなのかもしれない。


『あの首輪の爆破も「首輪をしている人」にだけ大ダメージを与えるのかもしれない。』
『破滅の盾みたいなものですか?』

二人は、装備するとかえってダメージが大きくなり、大したことのない魔法でさえ致命傷になる盾を思い出した。
この罠を応用すれば、首輪に干渉する魔法を増大させることも可能なのではないか。


「そうだ!!」
書きながら、アルスは突然叫んだ。

「え!?何かアルスさんは手掛かりがあるのですか?」
「サフィールさんが……。」

2度目の放送の直後、情報交換中に、サフィールが話していた。

彼女はリーザス村で呪いの仮面を付けた男に襲われたと。
呪いの仮面、とはあのライアンに付けられたもので間違いないのだが、問題はそこではない。
あの時サフィールはマリベルと共に、呪いを解いたと言っていた。
仮に使い捨ての道具だったとしても、何かを応用して、その道具を作る可能性もある。

「なるほど……そんな話を。では早速サフィールさんの所へ行きましょう。ジャンボさんに聞きたいこともあります。」

1419見え始めた光明 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:31:53 ID:Q0q9LtoQ0
新たな目的を見つけた瞬間、少年たちは再び走り出す

ローラからの不幸の呪いを、首輪と関連付けて、初めてアドバンテージとして利用した二人。
それもそのはず。多くの犠牲の果てに生き延びてきた二人が、呪い程度で死ぬわけがないだろう。
いや、本当の小さな光とは、闇の中にいないと見えないのかもしれない。




【F-4/草原/2日目 早朝】

【チャモロ@DQ6】
[状態]:HP3/5 MP1/10 左腕骨折(応急処置済み) ※竜化した場合、片翼損傷(飛行不可能)(加速状態)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 支給品1〜2(本人確認済み)
[思考]:諦めない。ハッサンの意思を継ぎ、ゲームを止める 首輪解除の為に、ジャンボ、サフィールへ会いに行く (ジャンボには半信半疑)
[備考]:チャモロは少なくとも、僧侶、武闘家、パラディンをマスターしています。また、はぐれメタルの職業を少なくともLv7まで経験しています。魔法使い、魔法戦士、賢者、勇者は経験していません。
ジャンボに対しては信頼感の反面、疑いも抱いています。

【 アルス@DQ7】
[状態]:HP1/6 MP1/5 左足に怪我(素早さ低下) 右腕から胸にかけて裂傷(応急処置済み)左肩に刺傷(治療済み)
[装備]:オチェアーノの剣@DQ7
[道具]:支給品一式 白き導き手@DQ10(エイトからミーティアへの遺言を録音済み) ドラゴンキラー@DQ3 トンヌラのメモ(トラペッタの簡易見取図) ギガデーモンのふくろ(不明支給品0〜1) ゲルダの不明支給品0〜1個(確認済み) 道具0〜2個(本人確認済み) 
[思考]:この戦いを終わらせる。ミーティア、キーファを探す。サフィール達に会いに、トラペッタへ戻る。
[備考]:戦いに対する「心」を得たことで下級職全てをマスターしました。
この小説内のアルスの習得技は3DS版DQ7に沿っているため職歴技は習得していません。

※アルス、チャモロには『ローラの呪い』が付き纏っています。どのように解呪されるかは次の書き手におまかせします。

※首輪の状態についてある程度知りました。

・首輪には何かしらの呪いがかかっています。現在判明した呪いは以下の通りです。
1.原作のはめつの盾のように、何らかの魔法のみ大した威力でなくとも瞬殺級の効果に変える呪い
2.従来の呪い装備のように、外せない呪い

1420見え始めた光明 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/08(日) 21:32:38 ID:Q0q9LtoQ0
投下終了です。今回の話で首輪について新たな発見がありましたが、何か不備があれば指摘お願いします。

1421 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/08(日) 22:22:21 ID:FjijLnKQ0
お疲れ様です!ローラこっわ!本人がもう亡くなってるだけにぞわぞわしました。
>「ゲントの神よ!!我々に光を!!」
この台詞で巴投げを放つチャモロ好きです。いえ切羽詰まってるんだから当然ですがw

1422 ◆EJXQFOy1D6:2019/09/12(木) 17:55:09 ID:zEQSja760
もし宜しければまとめ更新をお手伝いしますが如何でしょうか。
作品本文のページは、例えば自分などは前回空白スペースの行をスレッドでは省略して貼り付けしたりしていたので
他の自分でまとめをされる方はそこは自分でやりたいのではないかとは思いますが、マップなど細かい部分は
是非お手伝いさせて頂きたく思います。

1423 ◆vV5.jnbCYw:2019/09/13(金) 23:49:12 ID:bXh3oGWc0
>>1422
ありがとうございます。
ページ制作の際にWiki更新一通りやったので必要ありませんよ。
それとWikiの書き手枠の欄に◆EJXQFOy1D6 さんのページを作っておきました。

1424 光の中に消え去った : 光の中に消え去った 
 光の中に消え去った 

1425 ◆vV5.jnbCYw:2020/02/29(土) 17:26:27 ID:aKiBk96I0
以前破棄した、フアナの話を投下します。

1426そっちへ行ってたの? ◆vV5.jnbCYw:2020/02/29(土) 17:27:06 ID:aKiBk96I0
「う〜ん。ここはどこでしょうか……。」
分け入っても分け入っても青い森。
時計を見たらそろそろ太陽が出そうな時間ですね。
けれど森の中だからか、時計も地図と同じでおかしくなってるのか、まだ暗いままです。


え?地図がおかしい?
何を言ってるのかって?
そりゃあ、当たり前ですよ!!
私、あの紫のターバンの人から逃げたんですよ。
もう走って走って、走りまくりました。
橋を走った(これダジャレじゃないですよ!!)後、いつの間にか森に入ってしまったんですよ!!


え!?それでも地図は悪くないって?


どう考えても自分の方向音痴が原因です。本当にありがとうございました。


しかしどうしたものやら。
私はあの紫ターバンを、強い人たちがいる場所に誘導して、その人と協力して戦おうと思ってたんですよ。
ところが行けども行けどもいないし、しかも紫ターバンを振り切ってしまったようなんです。


そういや、ちょっと前の話なんですけど、確かに見たんですよ。
森の中、一人の青い髪の少女が横切っていたんです。
この辺り危ないですよ、気を付けて、って言ったんですけど、何か切羽詰まっているようで、走って行ってしまいました。


そうしたら、突然衝撃的なことが起こりました。
蒼い髪の少女が何か出したと思いきや、砂煙が発生したんですよ!!
というか、あれは砂柱です。
子供が砂場でバタバタってやったりとか、浜辺の全力ビーチバレーとか、そんなチャチなものじゃありません!!
もっと恐ろしい砂の片鱗を味わいましたよ!!


まあ、砂柱はすぐに消えてしまったんですが、その後もう女の子はいなくなりました。
どっちへ行ったのか分かりませんし、あれは私に止められそうな人じゃなかったので、もう諦めます。
そもそも、あれは本当に人間だったんでしょうか?


寂しくなった私が作り出したヴィジョンじゃないんでしょうか?
え?寂しいのかって?


そりゃあ寂しいですよ。
今までずっと誰かと旅をしてきた私が、一人になってしまったんですから。
ゼシカさんも、ズーボーさんも、バーバラさんも、コニファーさんも、ホープ君も、サヴィオも、アスナもいませんからね。
でも、泣くのはあの紫ターバンを倒して、エビなんとか(いい加減このネタしつこくないですか?)を倒して、帰ってからにしようと思っているんです。
こんな所で泣き崩れてるなんて、誰も望んでいないと思います。


だから、幻を見るのはおかしい気がしますね。

1427そっちへ行ってたの? ◆vV5.jnbCYw:2020/02/29(土) 17:27:28 ID:aKiBk96I0
まあいいでしょう。
この世界でおかしいこと一つ一つ挙げて行けば、キリがありませんからね。

お?ようやく森の出口が見えたようです。
とはいっても、夜の草原。
見晴らしがよいのに、人は見えません。
そういえば、もう参加者の数も、大分少なくなっているようです。

放送と、城での戦いを合わせると、25人にも上らないでしょう。


だからといって、もう少し人に会えてもいいんじゃないですか?
え?町とか村とか、もっと人が集まる場所へ行けばいいんじゃないかって?
いやいやいやいや。私方向音痴じゃないですよ?
元の世界で旅をしていた時は、ほとんど道案内をホープ君に任せてただけです!!
行き先が分からなくても、サヴィオが「こっちいけばいいと思うよ」って指した方向は、確実に町や村があったんです。


そういや、私、旅に出てから自分で行き先を決めて歩いたこと、ないんでした。
最後に自分で道を決めて、自分が先頭に立って歩いたのはいつでしたっけ?


ん?
何か向こうの方の森から声が聞こえましたね。
え?なになに?
『げんとの神よ、我に力を?』


私の知らない神ですね。
そういや、私達が教会で信仰している神って、名前なかったですね。
神父様も、『おお神よどうのこうの』って言ってるだけで、名前を聞いたことないですね。
ルビス……は精霊でしたっけ。
とりあえず、げんととは知らない名前です。


まあ、この戦いは色んな世界の人が呼ばれているようだし、別世界の神様と言われれば納得が行きますが。
気になることですし、あの紫ターバンを倒すための戦力強化のためにも、声の方へ行きましょう。

1428そっちへ行ってたの? ◆vV5.jnbCYw:2020/02/29(土) 17:27:51 ID:aKiBk96I0

さらに草原を進むと、向こうの方に、緑フードと、黄色トンガリ帽子の二人組がいました。
恐らくどっちかが、さっきの声のモトのようですね。


何やら二人で樹と向かい合って黙りっぱなしです。
どうやら、筆談?をしているようですね。

こっちには気づいていないようですが……。
誰にも聞かれたくないようですね。
でも、私には嫌な感じがするんですよね。


二人組の所に、何だか分かりませんが、黒いモヤが漂っているんです。



アリアハン視力コンテスト1位の私でも、目を凝らさないと見れませんが。
いや、これってむしろ、僧侶がなせる業というやつですか?
何かは分かりませんが、どうにもイヤな気がします。
決して、近くにいて良いようなものではありません。

そうそう、どこかで見たと思ったら、アレですよアレ!!



呪われた武器や防具から感じるアレです。
はんにゃの面……でしたっけ……。
珍しいデザインだったから、付けてみたら、急に意識がなくなったんです!!
そのあとしばらくどうなっていたか分からないんですが、その時の私は相当ヤバかったらしいです。
あの人たちも、何か間違って呪われた装備を付けてしまったのでしょうか。



(ん!?)

さっき、黒いモヤの方から、何か聞こえました。
『ゆ×さな×?×ども、返せ?』


ゆるさない、子供、返せ?
全部は聞こえなかったですが、こんなことが聞こえてきたような気がします。
これは、怨念のようなものですか?
実際に、アスナ達との旅の最中も、怨念の敵とは何度も戦いましたね。
そういえば一度アスナに殺されたはずのヘルバトラーも、怨念になって襲ってきましたね。

この世界は、死した者が怨念になりやすいのでしょうか?
それとも、呪いが力を出しやすいのでしょうか?

1429そっちへ行ってたの? ◆vV5.jnbCYw:2020/02/29(土) 17:29:01 ID:aKiBk96I0
あの二人は気付いているのかいないのか今一つ分かりません。
サヴィオがいれば、シャナクの一つでもかけてくれたかもしれませんが、私にはできません。


それに、私は今、魔力がすっからかんです。
どうせターバン男を振り切ってしまったら、一度休憩するか、魔力回復用の道具でも欲しい所なんですがね。


あっ!!
あの二人、私に気付かないまま、走り出しました。


ちょっと、待ってくださいよ!!


……そういや私、この世界で、誰かを追いかけたり追いかけられたりしているような気がします。


私が誰の為でもなく、一人で走ることが出来るのはいつになるのでしょうか?

【F-4/草原/2日目 早朝】

【フアナ(女僧侶)@DQ3】
[状態]:HP1/10 MP 0
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 パラディンの秘伝書 不明支給品0〜1(本人確認済み) かりうどの弓@DQ9 カマエル@DQ9
[思考]:自分だけが出来ることを探す。
[目的]1:仲間たちの死を受け止め生きる。
2:緑フードと、トンガリ帽子(アルスとチャモロ)を追いかける
3:アベルを倒し、アスナとコニファーの仇を討つために仲間を集める。
※バーバラの死因を怪しく思っています。
※ローラがアルスとチャモロにかけた呪いを見ることが出来ます。

1430そっちへ行ってたの? ◆vV5.jnbCYw:2020/02/29(土) 17:31:10 ID:aKiBk96I0
投下終了です。
長らく書いていなかったため、何か矛盾点があるかもしれません。

1431ただ一匹の名無しだ:2020/02/29(土) 17:45:33 ID:rPHeq96w0
投下乙です
フアナはピサロ達と合流するかと思ったが、そっちに行ったかあ
確かに教会で解呪を行う神官に近い僧侶なら呪いに敏感そう(3の僧侶は解呪できないけど)

1432 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:07:07 ID:u8H6lGfA0
投下します。

1433追う者追われる者 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:07:48 ID:u8H6lGfA0
「あれは……。」

ピサロとポーラがトロデーン城へ向かう途中のこと。
まだ小さい姿でしか見えないトロデーン城の、城壁の一部が大きく崩れた。


(アスナ達は、無事なのか?)
ピサロは胸騒ぎを感じながら、足を速める。


(コニファーさん……待ってて……。)
ポーラも、かつて別れた仲間との再会に、期待と不安を抱いて走る。
武闘家の経験を活かした俊足に、星降る腕輪の力も手助けしている。

人間とは異なる筋力や膂力を持っているピサロでさえ、付いていくのが精一杯なほどだ。

数時間前は、未知の敵の存在から、ピサロは退避せざるを得なかった城。
だが、今回は行かざるを得ない。


幸いなことに、同行者はほぼ戦闘能力が無い3人だった前回とは異なり、かなり腕の立つ剣士だ。


しかし、城が大きくなるにつれ、ピサロは違和感を覚え始めた。

「ポーラ、何か邪悪な気配を感じるか。」
「ううん。何も。アンタは感じるの?」


彼にとっての違和感と言うのは、気配がまるで感じなかったことだ。
以前にトロデーン城を訪れた際には、城内から邪悪な気配がこれでもかと言うほど漂ってきた。
だが、いくら城に近づいても、気配を感じない。


気配を消して、自分達が来るのを待ち伏せしている可能性もある。
「待て、ポーラ!待ち伏せしている者がいるかもしれない!!」

「ステルスみたいな?」


ピサロは自分の世界にない魔法の名前を聞かれて、僅かながら戸惑う。
「何だそれは?」
「ピサロは知らないの?姿と気配を消す魔法よ。私は出来ないけど、コニファーさんが得意だった。」


城門を潜り、二人を迎えたのは、最初に見た以上に荒れ果てた城だった。
辺りには瓦礫が散乱し、土地は隆起したり陥没したり焦げたりと、城の中庭とはとても思えないほどだ。
イバラに包まれた時のものとはいえ、その城の姿を知っているピサロは、その変貌には驚くばかりだった。
これが惨状の結果だ、と言わんばかりに、赤い鎧を付けた男が、体を裂かれて倒れている。

(この男は……確かジャンボの言ってた……)

しかし、ピサロにとって肝心なことはそこではない。
ザンクローネの死体を一瞥し、周囲を良く観察する。
城にいるはずの者、特にカマエルの安否の確認。
同様に城にとどまっているはずの襲撃者の討伐。
そして、もう一つは―――――――

1434追う者追われる者 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:08:11 ID:u8H6lGfA0

「コニファーさん?」
ポーラは転がっている、もう一人の死体に駆け寄る。

「待て!!」
それが誰の死体か知っているピサロは、ポーラを止めようとする。
死体をあえて転がしておいて、物陰からその死体に近づいた者や、死体に動揺した者に攻撃を仕掛けるのは一つの作戦だ。


しかし、その制止も意味なく、ポーラは動かなくなったコニファーを、揺さぶったり、声を掛けたりしている。

「間に合わなかったか……。」
その動作で、既にコニファーの魂はこの世を去ったのだと分かった。



敵が隙を晒したポーラを狙わないか、ピサロは気を配る。
だが、なおも襲撃者の姿どころか、敵意すら感じない。

ポーラはピサロを強く見つめる。
理由があったとはいえ、コニファーを助けるのが遅れて、結果として死なせたことを詰られるとピサロは思った。


「ねえ、ピサロって、コニファーと一緒にいたんでしょ?」
しかし、ポーラが話したのは一つの質問だけだった。

「僅かな間だけだ。」
「じゃあ、知らないんだね。何でコニファーが満足そうな顔しているのか。」


血と泥、埃に塗れ、それでいて満足そうな表情を浮かべたまま。

「分からん。だが、この先に分かるかもしれぬ。」

ポーラにとって、久々の再会だった。
ずっと前、最後にポーラが見たコニファーは、世界を守るという大仕事を完了したとは思えない程絶望に満ちていた。


本当は自分達に、本心を悟られまいと取り繕っていたが、それが猶更痛々しく感じた。
もし何らかの形で再会したとしても、きっとあの顔以外を見ることは出来ないだろうと思っていた。


コニファーも、海岸沿いで見たアークもどこか何かをやり遂げたような顔をしていた。
自分も最後はあんな顔が出来るのか、スクルドやアークは出来ると言っていたが、ポーラには僅かな希望と不安がよぎった。

1435追う者追われる者 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:09:30 ID:u8H6lGfA0

ピサロはポーラからの質問も話半分で流し、そのまま城内へ入っていく。
最初は絡みつく茨によって閉鎖させられていた玉座の間への扉が、茨ごと斬り裂かれていたことにピサロは違和感を覚えた。


爆音が静かな城内に響く。
ピサロ早速魔法を放った。


「ちょっと!何してるのよ!!」

ポーラはピサロの挙動を怪しむ。
「誰もいないから燻りだそうとしたが……。」


最後にこの城を後にした時、コニファー以外にアスナと、仲間らしき女僧侶とすれ違った。
従って、コニファー以外はまだ城内のどこかにいるかもしれないと、ピサロは疑う。
「ねえ!!誰かいる!!私達は敵じゃないわ!!」

ポーラの大声が、静まり返った城内に木霊する。


敵じゃないと言われても信用しないだろう、と言いたい気持ちを抑えて、ピサロは辺りを伺う。

しかし、城内はなおも死んだように静まり返ったまま。
死んだように、と言うより文字通り、城内の生存者はポーラとピサロのみなのだが。

「上にも行ってみよう。」
まだ二人は、見回ったことのない2階へ、3階へと足を速める。
とは言っても、柱が倒れている通路は進むことは出来ないので、屋上へまっすぐ向かった。


屋上に着いて、真っ先に目にしたのは、大きな月の光と、それに包まれて倒れている勇者だった。
「アスナ……」
ポーラは初対面の相手なので特別な憐憫の情を抱いたわけではない。
ただ、これほど強い力を持った人間でさえ、死ぬときは死ぬことを思い知らされた。


寿命ではなく、戦った果てに死ぬ。
アークの時点でその事実を知らされていたが、改めてその事実を実感した。


「遅かった……。」

再びそう呟くピサロ
その顔は酷く憎々し気だった。

「ピサロ、遅れたことを悔やんでも、意味がないわよ。」
ポーラはいつもより数倍眉間に皺が寄ったピサロを宥める。

遅れたことを後悔しても仕方がない、という言葉は、ポーラが自身に向けて発した言葉でもあるのだが。


「助けるのが遅れたことじゃない。襲撃者は、もうここにはいない。」
「え?」

ピサロとしても、迂闊だった。
一体どうして、自分はいつまでも襲撃者が一か所に留まっていると思い込んでいたのだろうと。

1436追う者追われる者 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:11:39 ID:u8H6lGfA0
城に入る直前、城壁が大きく崩れたことから、二人はまだ襲撃者が暴れていると勘違いをしていた。
だが襲撃者、アベルは既にこの城を後にしていることに、ようやく二人は気が付いた。


「そうだ……もしかしたらアスナさんが、カマエルを……。」

一瞬ポーラはアスナがカマエルを持っているか期待したが、支給品袋さえなかった。
コニファーも同様に袋そのものが無なかった。
ザンクローネの死体は、強力な技を浴びたからか、支給品袋ごと焼け焦げていた。

「ない…か。襲撃者に奪われたか、それとも誰かに渡したか……。」


「東へ行こう。カマエルは襲撃者が持って行ったんだ。」
「そうだな……これ以上無暗に戦いたくはないのだが……。」

ピサロとポーラは、教会から城へ向かう途中には誰にも会わなかった。
従って、襲撃者は橋を渡り、トラペッタ方面へ向かったと結論付けた。


だが、すぐにもう一つ重要なことを忘れていたことに沈みゆく月から、ピサロは気付く。


「しまった!!月影の窓だ!!」
「ピサロ?何だって?」

今度はポーラの質問を無視して、急いで城の階段を駆け下りた。
トロデーン城の図書室でヤンガスに言われた、月影の窓。


おわかれのつばさに執着するあまり、ピサロにとってもう一つ肝心な情報、月影の窓のことは忘れられていた。

日暮れにトロデーン城を抜け出してから戻るまでに、多くのことがありすぎた。
その過程で、おわかれのつばさという手がかりを掴めた際に、月影の窓の優先順位を下に置いてしまっていた。
ピサロとしては、間近で見て、尚且つその道具について解説している本まで持っているからである。
一方で月影の窓は、ヤンガス一人から聞いただけで、その内容もどうにも御伽噺じみている。


だが、カマエルが奪われた今、月影の窓と、その先の世界に頼らざるを得ないかもしれない。
溺れる者は藁をもつかむと言うが、脱出の可能性がある可能性は手当たり次第に引き寄せなければいけない。


そして、月影の窓と言うのだから、月が沈めば対面は不可能のはず。
次の夜まで待てというのは、いくらなんでものんびりしすぎている。

1437追う者追われる者 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:11:56 ID:u8H6lGfA0
既に空が白み始めている中、二人は急いだ。


「ここなの?どう見ても普通の図書し……!!」
すぐに1階の図書室に到着した二人の目の前には、予想外の光景が広がっていた。

「ピサロ、窓の影が……!!」
「言われなくても分かっている!!」


むき出しになった窓が、巨大な月の光に当てられ、その影が図書館の床を走っている。
その不自然に長く伸びた影は、壁に突き当たっていた。


「「!!!!」」
一見、ただの壁に映った窓の影にしか見えなかった。
だが、影にしては本物の窓のように見えた。


無意識のうちに、二人は影に手を伸ばす。


それは、普通の扉とは何の変わりもなく、

1438追う者追われる者 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:12:28 ID:u8H6lGfA0







開いた。
















ピサロはその中を覗く。
その時、月影の窓が消えた。


「え?」
その理由は子供でも分かるほど簡単なことだった。
月が沈み、この世界で2度目の日が昇る。
窓の影を造る月光が、消えたからだ。


「何が起きたの?」
それに気づかず、ポーラは壁を叩く。



「夜明けだ。ここでやることはもうない。東へ行くぞ。」
ピサロはただそう言った。


「もう少し、待ってみない?」
「月光がないのに、どうしてもう少し待てというのだ?」

ピサロはそのまま図書室を出る。


朝の光が、城を照らした。
恐らくこの太陽が沈むまで、この戦いは終わるだろうと二人には確信があった。

1439追う者追われる者 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:12:51 ID:u8H6lGfA0

だが、この時、ポーラは気付かなかった。
扉の先を見てから一瞬ではあるが、ピサロに驚愕と恐怖が合わさった表情を見せていたことを。
ピサロがこの城を後にすることを主張した理由は、カマエルを持った相手を追うためだけではないのかもしれない。


そして、もう一つ。
これはポーラだけではなく、ピサロにも気づいていないことだった。
ロトの剣を持った少女が、二人を追いかけて、たった今トロデーン城へ入った。


脱出のための手がかりを追う立場だと思っている二人は、実は脱出のために追われる立場なのかもしれない。



【A-4/トロデーン城/2日目 早朝(放送直前)】

【ポーラ@DQ9】
[状態]:HP1/2 MP1/3
[装備]:銀河の剣@DQ9 星降る腕輪@DQ3
[道具]:支給品一式 支給品0〜3個 キメラの翼×1 炎竜の守り@DQ8 魔勇者アンルシアの首輪 アリーナの首輪 割れたラーの鏡
[思考]:殺し合いを止める。
元の世界に戻り、天使信仰を復活させる

※未練を残す死者の幽霊が見えます。そのままでは会話は出来ませんが、何かしらの道具を通すことで会話が出来るかもしれません。
※ラーの鏡を通して人の心の中を見ることが出来ました。今後何かほかの道具でも可能かもしれません。


【ピサロ@DQ4】
[状態]:健康 焦り ???
[装備]:堕天使のレイピア
[道具]:支給品一式 『世界道具百科辞典』『勇者死すべし』 大魔道の手紙 おわかれのつばさ
[思考]:トラペッタ方面へ向かい、カマエルを取り返す。
エビルプリーストをこの手で葬り去る
ロザリーの安否を確認する。
1:ロザリーはどうなった……?
2:月影の窓で見たものは………!?
※ジバ系呪文を実際に見せてもらいました。
※エビルプリーストの背後に黒幕がいることを、手紙によってほぼ確信しました。
現状ではラプソーンが怪しいと考えています
※首輪の仕組み、機能を知りました



【ティア@DQ2(サマルトリアの王女)】
[状態]:健康
[装備]:ロトの剣 氷柱の杖(残4)@トルネコ3 ようせいのくつ@DQ9 
[道具]:支給品一式 脱いだ靴 パーティードレス@DQ7
[思考]:おわかれのつばさを使ってサマルトリアに帰る
※第二放送の内容を聞いてません。

1440追う者追われる者 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/11(水) 11:13:04 ID:u8H6lGfA0
投下終了です。

1441ただ一匹の名無しだ:2020/03/11(水) 21:20:40 ID:nUtmVzcY0
お疲れ様です!暫く見ておらず立ち寄ったら丁度投下が、それも2本もされていて嬉しいです。
フアナは上の方が言われているのと同意見でピサロ、さもなくばティアか竜王達と言った西側勢と
合流する形になるのかと思っていたので、実はもう東にいたというのが意外で面白かったです。
そして月影の窓(?)にただのイシュマウリじゃなくピサロが焦る程の何かがあったとは考えもしませんでした。

1442第四回放送 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/29(日) 17:59:07 ID:XK74tlC60
放送、投下します。

1443第四回放送 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/29(日) 17:59:51 ID:XK74tlC60
時は早朝。
朝日に照らされた雲が集まり、一つの魔族の顔を形成する。
最早新鮮味も何も感じない演出。
4度目の放送の始まりだ。


「諸君、放送の時間だ。」

参加者も僅かになり、高揚したエビルプリーストの声が、島中に響き渡る。

「いきなりだが、前置きはなしにして、死者の放送をさせてもらう。勝手な判断で誠に申し訳ないが、聞くが良い。


セラフィ!
スクルド!
ブライ!
ゴーレム!
ザンクローネ!
ライアン!
ローラ!
アスナ!
コニファー!
ターニア!

死者、10名!!


フフ………フハハハハ!!どうする?
あれほどいた参加者も、とうとう20人を切ってしまったぞ!?
この状況でもまだ、愛や正義を信用するというのか?


否、信用すること自体、不必要だ。
殺せ。そして、勝て。
勝てばそんな幻想など比べ物にならない物を手に入れることが出来る。
進むべきゴールは、もう諸君らの見えるところにある!!

最早私が出来ることは、何もない。
ただ優勝すれば叶う願いのみを目指すがよい!!


そうだ。禁止エリアの追加を報告し忘れていたな。
ここまで死者が出てしまった以上、どうでも良い様な気がしてならないが、一応ルール上なのでな。


2時間後、【F-9】、【B-7】
4時間後、【H-4】、【D-7】
6時間後、【G-1】、【I-7】

以上6箇所を封鎖する。


この世界で改めて太陽が拝めた己の力に感謝し、それを優勝まで繋げるが良い!!


そう遠くない優勝者との我は出会いを楽しみに待とう。これにて放送の終了だ!!」

1444第四回放送 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/29(日) 18:00:11 ID:XK74tlC60

放送が終わってすぐのこと。
デビルプリンスが、何やら怪しげな針のような、また杖のようなものを取り出していた。
その道具を、壁にかかってある地図の、【J-7】、と【F-1】の場所に突き刺す。
3度目の放送で呼ばれた場所だ。


「うむ。ご苦労だ。次の放送も頼むぞ。」


放送を終え、禁止エリアが作られたことを確認し、エビルプリーストは玉座に腰を下ろす。

「ときにキサマは、新たな可能性を手にしたか?」
「……どういうことでしょうか。」

6時間ほど前、自分がした質問をおかしな形で返されたが、今度は突拍子もない質問をされたことに、言い淀む。

「気付かないのか?私もキサマも、新たな可能性を手にしているということを。
試しにそこで念じてみると良い。」

「………!?」

言っていることが分からないながらも、その通りにしてみると、目の前で紫色の魔法エネルギーの塊が爆ぜた。

「今のは……」
それは、ドルマドンという、別世界のデビルプリンスが使っていた魔法。
創造神グランゼニスの作りし世界で、使われていた闇属性の魔法だ。

「それがキサマの、新たな世界の可能性のようだな。」


不敵な笑みを浮かべたエビルプリーストとは対照的に、その下僕の表情は引き攣っていた。
何しろ、自分が知りもしない呪文を唱えたのだから。


そもそも、彼らの世界は、炎や氷、風や雷を操る魔法があっても、光や闇そのものを操る魔法はなかった。
本当にないのか、世界中を探したことがあるのかと聞かれれば肯定しかねるが、魔族の王、ピサロでさえ使えなかったというのだから本当なのだろう。


何が原因か分からないが、エビルプリーストは「別世界の可能性」とやらで、この戦いを開くに至ったことは、哀れな配下の魔物にも理解できた。


「我は新たな力、そして技術を手に入れた。この戦いで世界中の勇者を粛清し、全世界の神になる。」

そして、紅の皇子の顔色が、一層蒼ざめる理由は真実を知ったからではなかった。
この外道が本当のことをベラベラと述べる時を、生前から知っていたからだ。

1445第四回放送 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/29(日) 18:02:29 ID:XK74tlC60
「我がなぜただの下僕でしかない貴様に、ここまで話すか分かるか?」
(!!)
彼にとって、最も恐れていた言葉が耳に飛んできた。
死刑宣告より恐ろしい、いや、その言葉自体が死刑宣告のようなものだが。


「なぜなら……」
エビルプリーストが全て答える前に、闇の力が爆ぜた。

「殺されるくらいなら、キサマを殺すまでだ!!」
窮鼠猫を噛む。それを体現したような状況だ。
悪魔の皇子は、さらに炎の魔法を唱える。
その火球は、デスキャッスルで戦っていた時よりさらに巨大だった。

メラガイアーという名称を、彼は知らないのだが。

「人の話を遮るとは、礼儀をわきまえねばならぬな。」
しかし、闇の爆発も、巨大な火球も、エビルプリーストの前に消えた。
この戦いが始まる前に、ゾーマという魔族が吐いた吹雪のように。


なぜ反射でも、当たった上で無力化されたのでもなく、消えたのか。
それだけは疑問になったが、解明する時間はどうにも有りそうになかった。


「もう貴様も不要だ。次の放送と禁止エリア魔方陣の設置は我一人で行う。」

最後の賭けも敗れ、哀れな下僕は二度目の死を覚悟した。


(!?)
急にエビルプリーストは頭を押さえ始めた。


何度目かの、突然の変貌に恐れる。
そのままエビルプリーストは処刑するつもりだった配下に背を向け、蹲り始めた。

戦意を削がれた悪魔の皇子に、反撃する気は起きなかった。
ただ、逃げようと思った。

互いに背を向け合うという、奇妙な絵面が完成した時、片方の姿が消えた。


「キ……サ……マ…………は………。」
「この男を操るつもりだったが、下僕のことも忘れていたな。」


デビルプリンスの姿は、消えていく。
「……様………じゃ………な……………い」
発声器官まで消され、言葉さえも消えてなくなった。

残ったのは、僅かな羽のみ。
意識を取り戻したエビルプリーストは、知らぬ間に部下を粛清したと自己完結した上で、玉座に戻った。


【デビルプリンス  消滅】


残り、18人

1446第四回放送 ◆vV5.jnbCYw:2020/03/29(日) 18:02:42 ID:XK74tlC60
放送投下終了です。

1447 ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:14:54 ID:n6gfRTV20
投下します。

1448Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:15:28 ID:n6gfRTV20
朝日に混ざった色の服を纏った少年と、草原に混ざった色の服を纏った少年が、一人ずつ。
生まれ出たばかりの、この世界二度目の太陽が、草を、木の葉を照らす。
辺りは両足が草を蹴る音と、植物の匂いのみがある、静かな空間だった。
しかし、アルスとチャモロの、今までの無事を祝うかのような光景を、見る余裕は彼らにはなかった。


目的地を決めて以降、二人は全く会話をせず、放送を聞いた後でも同じだった。
その理由は単純にして簡単。二人はとにかく急いでいたからだ。
どちらも五体満足の状態ではないにしろ、休む余裕も立ち止まって話す余裕はなかった。
二人の表情は緊迫と暗鬱が現れていた。


最も二人が恐れていた、サフィールの死亡報告はなかった。
だが、どういうわけか見失ってしまったターニアが放送で呼ばれていた。


何度も著すのは忍びないことだが、二人は放送以降も走ることに集中していて、一切の会話はしていない。
だが、サフィール達の方向から離れて、自分達からも逃げて、その先で死んだということは、何が起こっているか二人共察しがついていた。


西側、すなわちトロデーン方面から、キラーマジンガ以外のマーダーが向かっているということだ。
そして、サフィールやホイミン、ジャンボは放送でこそ呼ばれてないが、今生きているかどうかは分からないということも。


サフィールに首輪を解く技術があるのかは不明だが、一度サフィールは忌まわしい呪いの仮面を外したという。
従って、そのタネを知っているサフィールが死ねば、呪いを媒体とした首輪を解く情報も無くなってしまう。


走れど走れど目に入るのは、単純な草原地帯。
風景こそ細かく変わっているとはいえ、そんなものは誤差でしかない。
一刻も早くサフィールの元へ。


二人の願いが通じてか、ようやくトラペッタの街を囲む、高い塀が見えてきた。
しかしアルスの表情は、さらに強張り始める。


トラペッタから少し離れた場所から、爆発音が聞こえたのだ。
恐らくそれはサフィールのイオナズンだと、すぐに二人は判断し、爆音の方向に走る。
しかし、その方向に向かうと、急に二人は速度を緩めた。


「ねえ、チャモロさん。これって……。」
心臓が握り潰されるような禍々しい空気を感じ、アルスは久々に声を出す。
このような感触を受けたのは、ダークパレスでオルゴ・デミーラの目の前に出た時以来だ。

「ええ。恐らく、新たな敵がいるのでしょう。」
チャモロも同様に、デスタムーアの城で覚えた感触を思い出した。


「急ごう。取り返しのつかないことになるかもしれない。」
しかし、アルスは元のペースで走り始める。
チャモロも、無言でその言葉に同意した。

待っていた所でこの禍々しい空気は晴れるとは思わないし、もっと悪化する可能性もある可能性も高い。
しかもその先に肝心のサフィールとジャンボがいることを考慮すると、立ち止まって様子を伺うなんて選択肢は愚の骨頂でしかない。

1449Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:16:23 ID:n6gfRTV20

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
こちらでも、放送の内容が響いていた。
同じように、戦友の訃報を嘆く暇は誰にもなかったが。


「コイツを食らいやがれッ!!」
すっかりなじみの武器になったナイトスナイパーから4本の矢が放たれる。
しかし、サフィールの魔法をほとんど無力化した魔王には、大したダメージにはなってない。

(畜生……なんて奴が来やがった……!!)
自分が劣勢の状況に追い込まれているのは、ジャンボはよく分かっていた。
弓矢と魔法が効かない以上は、現在の自分達の攻撃手段の多くが塞がれているということになる。
一応ハンマーか爪を使う攻撃も自分は出来るが、出来るからと言って長剣を持った相手に飛び込みたくはない。


「おい、ネプリム!!しっかりしやがれ!!」
ジャンボは苦戦中のネプリムにバイキルトを唱える。
壁になりうる存在が彼しかいないこの戦いでは、絶対に崩されるわけにはいかない。


聖王の剣と聖王のハンマー、そしてバレットハンマーがぶつかり合い、金属音が辺りに響く。
「マダさふぃーるノ話ハ終ワッテイナイ。」
「不要ダ。あべる様ガ戻リシ以上、破壊シ尽クスマデ戦ウノミ。」


(ジンガーを止められるのも、いつまで出来るか分かんねえ……。マスターを何とかしねえと……!!)
ジャンボは呪いの力に包まれたアベルを見つめ、策を練る。


その時、ジンガーの姿がジャンボから見て、次第に大きくなっていった。
(しまった!!)
一体どうして、ジンガーがネプリムしか攻撃しないと思い込んでいたのか?

回転攻撃でねぷりむを吹き飛ばしたまま、追加攻撃も他所に、まっすぐジャンボの所に向かって行った。
トラップジャマーで回収した砂柱も、もう間に合わない。


「ねぷりむ……じゃんぼ、守ル……。」
「お前……。」
吹き飛ばされたねぷりむはすぐにジャンボとジンガーの間に割り込み、自らの背中を盾にジャンボをハンマーから守った。

「ネプリム、大丈夫!?」
「構ワナイ。コレシキデ壊レタリスルコトハナイ。」
その姿は、かつてジンガーから自分を守った、ゴーレムさながらだとサフィールは感じる。


しかし、ろくに自らの守りも固めずに、ジャンボを守ろうとしたのはネプリムの失敗でもあった。
ジンガーの追加のバレットハンマーの一撃が、ネプリムの左腕にヒットする。

「間に合え!!磁界シールド!!」
ジャンボが咄嗟に這った魔方陣の力で、一撃必殺にすることを止める。
しかし、機械系の魔物に効果を発揮するハンマーにより、ネプリムの左腕には大きなヒビが入った。
ジンガーはなおも前線で攻撃を続ける

1450Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:16:39 ID:n6gfRTV20

ネプリムは剣で受け止めるも、傷ついた腕では受け止めきれず、聖王の剣を腕ごと落としてしまう。

「ネプリム!!」
ホイミンが慌ててホイミを掛けようとする。しかし、欠損は回復魔法では癒せない。


(これは……マジでやべえぞ……!!)

この戦いで経験してしまったことだが、前衛を崩されたまま、敵に内部に入られれば、容易にパーティーは瓦解する。
不変のルールに、ジャンボはメンバー壊滅の危機を感じる。

「どっか行きやがれ……ランドインパクト!!」
「マダ……負ケナイ……ぐらんどいんぱくと!!」
せめてジンガーだけでもこの場所にいさせてはならないと、地面を隆起させる。

ジャンボとネプリムが地面にはなった一撃は、地面を隆起させる。
地面からの鉄槌を受けたジンガーは、ジャンボ達の攻撃が届く箇所から離れる。


それと同時に地面に転がった聖王の剣も離れた所に飛んでいく。
ジャンボの目的としては、地面に聖王の剣をジンガーに奪われまいとすることもあった。
一刀流のジンガーにさえ、苦労している現在、新たな武器を手に入れられれば、ジャンボ達の勝利は極めて遠いものになるのも、周知の事実だ。

「薙ぎ払え……バギクロス!!」
しかしそこへ、魔王からの追撃が来る。
ジャンボとジンガー、近くに固まりすぎたことをチャンスに、風魔法が放たれた。

「爆ぜろ大気よ……イオナズン!!」
「守れ!マジックバリア!!」
ジャンボの放つ魔法の壁が、サフィールの爆発魔法が、横から来る竜巻を吹き飛ばした。

(敵さんの風魔法のコントロールが少しずれてくれて、助かったぜ。)
ジャンボはバギクロスの軌道がずれたおかげで、マジックバリアの詠唱に間に合ったことに感謝する。


壊滅の危機は一時的に去ったが、ジンガーとアベルの波状攻撃は止まらない。
しかもまだアベルが破壊の剣を振るっていないことから、まだ本気を出していないことも分かった。


出来ることならジャンボは物理ダメージを抑えることが出来る磁界シールドの範囲内で戦いたかった。
しかし、一か所に全員で留まり続ければ、全体魔法一網打尽にされる。

そして、ジャンボにとって最悪の状態が訪れた。
「助カリマス。ますたー。」

気が付けば、ジンガーの手にネプリムが落とした聖王の剣が握られていた。

1451Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:17:01 ID:n6gfRTV20

(しまった……ヤツの狙いは……!!)
アベルはバギクロスの軌道を「意図的に」ずらしたことに、ようやくジャンボは気づいた。

竜巻魔法は、敵への攻撃を目的とせずに、地面に転がっていた剣を、味方側に移動させることが狙いだった。


(こうなりゃ……『アレ』を出すしかねえか……。)
二つ目の武器を入手したことで、一気に攻め込もうとするジンガー。
剣を失ったねぷりむの守りが崩されるのも、そう長くはないことだ。


しかし、攻め込みすぎるあまり、ジンガーとアベルの距離が離れていたことをジャンボは見逃さなかった。


(距離が空きすぎだぜ……そらよ!!)
ジャンボは液体の入った瓶を、アベルめがけて投げつける。


しかし、その液体はアベルに降りかかることなく、剣で瓶を割り、中身は草原に染み込んだ。


だが、瓶の中身がアベルに当たらなかったのも気にせず、ジャンボは鞄から折れた灼熱剣エンマを取り出し、瓶の中身が散布された場所に投げつける。



「ねぷりむ!サフィール!!ホイミン!!退くぞ!!」

ジャンボが撤退の合図とともに、アベルとジンガーがいる辺りに、炎が立ち上る。
彼自身、先ほどのマジックバリアが使える最後の魔法だ。
戦っても勝ち目がない以上、撤退を決意した。



「なっ……これは……」
灼熱剣から発せられる炎は、緑の草の上に引かれた赤い絨毯のように広がっていく。
突然燃え盛る炎に、アベルも驚く。


地獄の鎧の力で炎の熱さはほとんどシャットアウトできるにせよ、炎による酸素不足は鎧ではどうにもならない。
空気を求めて、後ろへと下がる。

ジャンボが投げた瓶の中身は、ドワチャカオイル。
彼の第二の故郷、ドワチャッカ大陸でしか採取できない油で、装備品を作るときの潤滑剤や燃料として使われる。
それを炎の力を持つ剣で引火させた。
揮発材として使われることはあまりなかったが、油という名の通り活躍してくれた。



ジャンボの目論見通りジンガーも炎の向こうに行き、アベルの安否を確認する。

「逃ガスカ!!」
「追いますよ!!ジンガー!!」
ジンガーに追跡の指示を出し、炎の渦をバギクロスで吹き飛ばしたアベルも追いかける。

1452Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:17:56 ID:n6gfRTV20
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「あの炎は……」
突然巻き起こる炎の渦に、ただ事じゃないと否が応でも認識させられる。
アルスとチャモロも、冒険中に幾度となく炎の魔法を目にしている。
しかし、目の前に広がる炎は、魔法によるものではなかった。
黒い煙の出方は、明らかに揮発材を燃やした時の炎だ。


ペース配分など知ったこっちゃないとばかりに、二人はさらに足を速める。


そして、二人の片割れ、アルスは剣を構え、限界までその足を速めた。


前方に刃を向け、草原を駆ける。

炎に照らされた場所にいた二人組のうち、人間で「無くなった」方に斬りかかる。
ガキィンと剣がぶつかり合う音が響くが、それを奏でたのは破壊の剣ではなかった。

「あべる様ノ敵ダナ。覚エテイルゾ」


アベルへ斬りかかるのを止めたのは、元から人間で「無い」方、キラーマジンガ。
復活したという話をチャモロから聞いていたが、こうしてみると奇妙に思えた。

「よく出来ました。ジンガー。」
余裕綽々でジンガーの手柄を褒めるアベル。


アルスは鍔迫り合いの相手ではなく、そのマスターを睨みつけて叫んだ。

「あんたはサフィールの父親なんだろ?何でこんなことしてんだよ!!」
アルスは先ほどまで自分達から逃げていた少女の死体が、アベルの足元にあったのを見て、その所業に対して怒鳴りつける。

「何で?何でとはどういう意味ですか?私はただすべてを愛そうとしているだけですよ。」
アベルは即答する。だが、全く話は噛み合っていない。
「ふざけるのもいい加減にしろ!!」


そんなものは愛ではない。
愛のことを気付くのが遅かったアルスでさえ、それだけは分かる。
愛とは、誰かを壊すことではなく、守ることだ。そして、繋ぐことだ。
壊し続けることで作る愛なんて、そんな暴力的なものは間違っている。



「あべる様ノ反逆者ハ、全テ排除スル。」
そして、彼が唱える愛におかしいと意見を唱える場合ではないことにすぐに気付く。
ジンガーの回転で吹き飛ばされるアルス。


間髪入れずに、聖王の剣での攻撃が来た。
慌ててオチェアーノの剣で受け止めるも、一度戦った時とはまるで違う攻撃の精度に、押し切られてしまいそうになる。


(ダメだ……避けきれない……!!)
しかし、チャモロの風の刃が二人の間に入り込み、剣を弾いた。

1453Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:18:19 ID:n6gfRTV20

「アルスさん。一人で行かないでください。」


アベルはチャモロを見つめ、過去の経験を思い返す。
「その雰囲気は……なるほど。初めに私の邪魔をした、あの忌々しい竜ですか。」
見た目こそまるで異なるが、ムシが障るほど発せられる聖なる気配が、同じだった。


「チャモロさんは、サフィールさんたちの所へ!」
「え……アルスさんは……。」

今目の前にいる敵は、二人。
しかもうち一体は、チャモロを幾度となく苦しめてきた強敵だ。
もう一人も得体のしれない鎧と剣を身に着け、異様な雰囲気を醸し出している。


「この場で全滅だってあり得る!だからどっちか一人でも、聞きに行くべきだ!!
僕もすぐに追いかける!!」
「分かりました!!なら絶対に……死なないでください!!」
確かに、どちらか一人でも情報を伝えに行く方が、堅実なやり方だ。
今しなくてはならないことは、アベルとジンガーを倒すことより、首輪の情報を共有することだ。

自分達に対してローラの怨念が取り憑いているはずだが、その呪いが、「害を与えた相手」ならアベルも同じ条件であるはず。
そうなってくれることを願いながら、チャモロはアルスに背を向け、トラペッタへと向かって走る。


「逃ガスト思ッタカ?」
ジンガーはアイセンサーの照準を、チャモロの進行方向に合わせる。
「手を出す必要はありません。折角別れてくれるなら、ありがたく一人ずつ破壊しましょう。」
それをアベルは止めさせ、まずはアルスを殺そうと提案する。


確かに、ジャンボ達相手には余裕を持って戦えていた以上は、アルスとチャモロさえ撃破出来れば問題はない。


「いいんですか?二人なら私達にも勝てたかもしれませんよ。」
余裕綽々とチャモロを見送る。

「僕の命より、重要なものがあるからね。」

そしてアルスは、アベルの鎧の弱点を見抜いていた。
魔法の力を大きく無効化し、物理的な攻撃もあまり効果を示さない、呪われた鎧。
だが、チャモロの鎌鼬が、アベルの顔に短い赤線を走らせていたことで見抜いた。


あの鎧は、防御力を無視した、魔法以外の攻撃からは身を守ることが出来ない。
それを認知したアルスは、アベルの脚めがけて、鎌鼬を打つ。

「あべる様ニ当テルツモリダッタカ?ソウハサセナイ。」
しかし、風の刃が走る軌道上にジンガーが入り込み、無効化させる。
(こいつにはかまいたちは効かないのか……。)

1454Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:18:36 ID:n6gfRTV20

「良いですよ。ジンガー。」
今度はアベルまでも破壊の剣を掲げ、斬りかかってきた。
それまでずっと後ろで指示を出していた相手が急に攻撃に転じたことに対応しきれない。

破壊の剣を受け止め、聖王のハンマーは後ろに飛びのいて躱す。
しかし、避けた先の銀の刃は避けきれない。


(ダメだ……やられる……。)



「やらせません!!」
アルスの背後から、何者かの声が聞こえる。

「邪悪なあなたたちは、清めの灰でも食らってなさい!!バギ!!」
(え……?)

後ろにいた僧侶風の女性は、誰なのか分からない。
だが、目の前の敵は一人はマホカンタがかかっており、もう一人は魔法威力を減退させる鎧を着ている。

だが、彼女の目論見は違った。
一つはアルスへと振るわれた剣の動きを鈍らせること。
もう一つは、ドワチャカオイルと灼熱剣エンマによって、灰と化した草原を、巻き上げること。


「ナンダ!?」
「くっ……考えましたね……。」

いかに頑丈な鎧だろうと機械の体だろうと守りにくい部分の一つに、視覚がある。
真っ黒な灰は、人間の目にはもちろん、機械のモノアイにも覆いかぶさった。


「ここから反撃で「誰か知らないけどありがとう。逃げるよ!!」」
そこから反撃に転じようとするフアナを連れて、アルスは撤退を決意する。
時間はわずかだが確かに稼げたはずだから、もうチャモロたちを追いかけてもよいだろうと判断する。

1455Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:19:00 ID:n6gfRTV20


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

「何とか巻いたみたいですね……。」
トラペッタに戻れて、ひとまず安堵するサフィール。

「安心してんじゃねえ!誰か、ジンガーの腕を修理出来そうなモノを出せ!!」
ジャンボのイマイチ何を用意すればいいのか分からない指示に、残りのメンバーは戸惑う。

「何か……持ってねえか?鉄材だ!武器でも防具でもクズ鉄でも何でもいい!!」


ジャンボの問いかけに、サフィールはショットガンを、ホイミンは鉄の塊のような何かを渡す。

「このボウガンみてえな道具は義手として使えそうだな……。」
ショットガンの原理をよく知らないジャンボは、形状からその用途を判断する。
しかし、もう一つの部品は、ジャンボの目を見張るものがあった。

(これは……いったい何なんだ?ドワーフがかつて使っていたものとは微妙に違うようだが……。)

ウルベア地下遺跡や、ガデリアの洞窟で見たことのある古代兵器のパーツに似ているが、デザインは微妙に異なる。
アストルティアとは異なる世界のからくりを修理するためのパーツは、ジャンボの目から見ても異様なものだった。
だが、見れば見るほど、

「おっと……こればっかりに気にしている場合じゃねえな……。ホイミン!!」
「えっ?」
ジャンボはザックから一束の巻物を投げる。

「それを入り口で読んで、ワナをしかけて来てくれ。」
「うん。わかったよ。」
完全武装状態のアベルと、ワナを踏むことのない魔物のジンガーに通用するかどうかは分からないが、ねぷりむを修理する時間稼ぎにはなると期待して、ワナの巻物を読ませた。


ホイミンに用事を頼んだ後、ねぷりむの修理に取り掛かる。

「スゴイナじゃんぼ。マモノ使イカト思ッタガ、機械職人ダッタノカ?」
「まあ、そんなところだ。防具職人のスキル積んでおいて良かったぜ。」
ドルワームで培った技術が、こんな所で役に立ったことに驚きながらも、手際よく事を進めていく。
銃弾を抜いたショットガンを腕の骨代わりにして、手の指や関節のような細かい箇所は、からくりパーツで代用していく。
壊れたボウガンも、ジンガーから奪ったビッグボウガンに付け換えた。

1456Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:19:47 ID:n6gfRTV20
(……もう少し待ってくれよ……。もう少し……。)

心で強く念じながら、ジャンボは作業を続ける。




【G-2/トラペッタ/2日目 朝】

【サフィール@DQ5娘】
[状態]:HP:7/10 MP 1/6 左足矢傷(応急処置済み)
[装備]:ドラゴンの杖
[道具]:支給品一式×3、へんげの杖、999999ゴールド
[思考]:父の狂気を治める。不可能ならば倒す。
怖い人を無視してマリベルさんの遺志に流される
みんな友達大作戦を手伝う

【ジャンボ(DQ10主人公・ドワーフ)@DQ10】
[状態]:HP7/10 MPほぼ0
[装備]:ナイトスナイパー@DQ8
[道具]:支給品一式、道具0〜3 四人の仲間たち(絵本)@DQ5、道具0〜1(ゲレゲレの支給品)ドワチャカオイル@DQ10
支給品0〜1(ヒューザの支給品) 悪魔の爪@DQ5 
天空の剣、罠抜けの指輪 罠の巻物×1 ドラゴンローブ 砂柱の魔方陣×1 折れた灼熱剣エンマ@DQS 天使の鉄槌@DQ10 
メガトンハンマー@DQ8 
[思考]:基本方針:エビルプリーストに借りを返す。
1:アベルを倒す
2:首輪解除を試みる
[備考]:※職業はどうぐ使いです。弓スキルは150です。ハンマースキルは100以上です。

【ホイミン@DQ4】
[状態]:健康 MP1/8 仲間死亡によるショック
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 道具0〜2個 ヒューザのメモ(首輪解除の手掛かりが書いています)
[思考]:ジャンボとサフィールを手伝う
『みんな友達大作戦』を成功させる ヒューザがくれた手掛かりを守る。

【ねぷりむ@DQ10キラーマジンガB】
[状態]:HP1/6 背中にヒビ 右腕義手
[装備]:名刀・斬鉄丸 @DQJ 聖王のハンマー@DQ10 ビッグボウガン @DQ7 アクセルギア@DQ10
[道具]:支給品一式×3、魔封じの杖、道具0〜2個(ブライの不明支給品)、道具0〜2個(ゴーレムの不明支給品)
[思考]:サフィールについていく。ガンガン戦う。
[備考]:DQ10のキラーマジンガの特技を使いこなします。
ゴーレムの記憶を持っています。

1457Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:20:31 ID:n6gfRTV20
【ジンガー@DQ6キラーマジンガ】
[状態]:HP1/3
[装備]:バレットハンマー@DQ10 聖王の剣@DQ10
[道具]:なし
[思考]:アベルに従う



【アベル@DQ5主人公】
[状態]:HP1/4 手に軽い火傷 MP1/6 ※マホキテによる回復
[装備]:破壊の剣 地獄の鎧@DQ3
[道具]:支給品一式 剣の秘伝書 ヘルバトラーの首輪 毒針
[思考]:過去と決別する為戦う。力を得る為、愛情をもって接する(そして失う為に)
アルス達を追う?一度態勢を整える?

※破壊の剣と地獄の鎧の重複効果により、更に強力になった呪いを受けています。
動けなくなる呪いの効果が抑えられている反面、激しい頭痛に襲われています。

【F-3/草原 /2日目 朝】


【 アルス@DQ7】
[状態]:HP1/6 MP1/5 左足に怪我(素早さ低下) 右腕から胸にかけて裂傷(応急処置済み)左肩に刺傷(治療済み)
[装備]:オチェアーノの剣@DQ7
[道具]:支給品一式 白き導き手@DQ10(エイトからミーティアへの遺言を録音済み) ドラゴンキラー@DQ3 トンヌラのメモ(トラペッタの簡易見取図) ギガデーモンのふくろ(不明支給品0〜1) ゲルダの不明支給品0〜1個(確認済み) 道具0〜2個(本人確認済み) 
[思考]:この戦いを終わらせる。
ミーティア、キーファを探す。
サフィール達に会いに、トラペッタへ戻る。
[備考]:戦いに対する「心」を得たことで下級職全てをマスターしました。
この小説内のアルスの習得技は3DS版DQ7に沿っているため職歴技は習得していません。


【フアナ(女僧侶)@DQ3】
[状態]:HP1/10 MP 0
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 パラディンの秘伝書 不明支給品0〜1(本人確認済み) かりうどの弓@DQ9 カマエル@DQ9
[思考]:自分だけが出来ることを探す。
[目的]1:仲間たちの死を受け止め生きる。
2:緑フード(アルス)と共に、トラペッタへ向かう
3:アベルを倒し、アスナとコニファーの仇を討つために仲間を集める。
※バーバラの死因を怪しく思っています。
※ローラがアルスとチャモロにかけた呪いを見ることが出来ます。

1458Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:20:46 ID:n6gfRTV20

迅速に、ジャンボ達のもとに、近づいてくる。
首輪の正体を部分的にだが知った人物が、魔王より先に。
だが、忘れてはならない。
彼が来るということは、同時に『呪い』が来るということを。




彼が、トラペッタの町へ足を踏み入れた瞬間、悪魔が嗤った。
ホイミンが、魔王相手に仕掛けようとして町の入り口で使った、ワナの巻物。


その瞬間、町中に、爆音が響いた。


結論から言うと、誰が悪かったというわけではない。
だが、トラペッタ町はこの戦いの場で、特に死者や争いが多かった場所。
言ってしまえば、呪いというものが、力を特に発揮する場所なのだ。

【チャモロ@DQ6】
[状態]:HP?? MP1/10 左腕骨折(応急処置済み) ※竜化した場合、片翼損傷(飛行不可能)(加速状態)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 支給品1〜2(本人確認済み)
[思考]:諦めない。ハッサンの意思を継ぎ、ゲームを止める 首輪解除の為に、ジャンボ、サフィールへ会いに行く (ジャンボには半信半疑)
[備考]:チャモロは少なくとも、僧侶、武闘家、パラディンをマスターしています。また、はぐれメタルの職業を少なくともLv7まで経験しています。魔法使い、魔法戦士、賢者、勇者は経験していません。
ジャンボに対しては信頼感の反面、疑いも抱いています。

1459Overture to the end ◆vV5.jnbCYw:2020/10/31(土) 00:21:00 ID:n6gfRTV20
投下終了です。

1460 光の中に消え去った : 光の中に消え去った 
 光の中に消え去った 


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