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DQBR一時投下スレ

761転がり込んだ幸運 ◆EJXQFOy1D6:2019/12/23(月) 23:10:16 ID:RUDAQ9iE0
「可愛いな。解った、大切に預からせてもらうよ。それと一つ頼みがあるんだけど」

「ターニアさんについては、残念ですが本当に一度会ったきりです。今も城周辺から東の辺りには
居るのではと思いますが…」

「そうじゃなくてさ、剣を余分に持ってないかな?俺のは結構前に折れちゃって。あるなら出来れば
貰いたいんだけど」

要望を聞いてエイトは暫し値踏みをするようにレックを見詰めた。竜王と言う存在が人間を試そうと
ミーティアを人質に、彼らと一戦交えたと言う話に嘘は無いだろう。だが気になるのはやはり
ジャンボと言う縁もゆかりもなさそうな人物に狙われている理由だ。

「…あいにく剣はこれ一振りしか持ち合わせませんでした。代わりと言っては何ですが、これまでの
お礼に差し上げたい物が」

言うとエイトは袋から「魔法の聖水」を二つ取り出した。元々六個入りでエイトに支給されていた
物で、すでに二個消費している。

「おお、良かったじゃないか!けどエイト、俺は魔法を使えないから二つともレックにやっていいよな?」

「そうでしたか。ええ勿論、どうぞレックさん」

「ありがとなエイト。けどさん付けでなくて良いよ」

礼を言うとレックはその場で瓶を開けて一気に飲み干した。不用心な行動にエイトは少し面食らう。

「…ぷはーッ!丁度喉も乾いてたから美味かったぜ!じゃ、行くかキーファ」

「おう。じゃあ姫さん、何かあったらトーポに手紙を持たせるから、安心して仲良くやっててくれよ」

「あ……どうかお気をつけて!」

なし崩しに置いて行かれる形になったミーティアは名残りを惜しむ間もなく、走り去っていく仲間の背に
手を振った。そしてエイトに向き直り、毅然とした顔で問い質す。

「済んだ事は仕方ありませんし、貴方の立場上言う事は理解出来ます。でもなぜ私の意見も聞こうとして
くれないのですか?」

確かに歩きどおしで疲れているし、自分が付いたままでは間に合わなかったのではないかとも思う。
その理由で置いて行かれるのならやむを得ないが、仮にたっぷり時間があろうとエイトは同じ事を
言ったであろうとミーティアは確信していた。

「…すみませんでした、姫。ご不満は承知の上で差し出がましい真似を」

畏まりながらもエイトは言えなかった。あれから時間は経っているが、城では戦闘が起きていた。
あの二人に話さないまま送り出し、あまつさえ祖父まで付けた事は。

(結局、レックについてはよく解らなかった。アルスの知り合いである所のキーファ共々、見た通りの
ただのお人好しと判断して良いのかどうか…)


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