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DQBR一時投下スレ

740愛さえも、夢さえも ◆EJXQFOy1D6:2019/09/01(日) 22:37:01 ID:gYmjXASs0
 
"愛している───だから"

だから?

もう聴きたくなかった。何も言って欲しく無かった。父は生きたまま地獄に落ちたのだと確信した。
サフィールは再び魔力を集中させる。

「───思い切った事をしますね。彼女は、まだこと切れていなかったでしょうに」

煙の向こうから聴こえる声。それを目掛けサフィールは両手の間に完成した呪文を放とうとした、矢先。

「危ねえ!!」

がきん、と鉄同士がぶつかる音が耳を刺す。サフィールは顔を顰めつつも自分が太い両腕にさっと
抱き取られた事に気付いた。

前方を見る。二体のキラーマジンガがそれぞれハンマーを手に競り合っている。サフィールは状況を
理解した。まず最初に父はジンガーを自分にけしかけたのだ。

とにかくもう一度!

半身をジャンボに庇われたままサフィールは既に仕上がっている呪文、マヒャドを放った。極大冷気は
キラーマジンガ達の脇を通り抜け、守るものの居なくなったアベルを襲うはずだった。

「不可解だぜ。いくらジンガーが庇ったとしても、さっきの声はずいぶんとへっちゃらそうだった。
その上ジンガーを離すなんて」

「あの鎧に何かがありそうです。前回会った時あんな鎧は身に着けていなかった。違う属性の呪文を
ぶつけてみましたが、もしかしたら呪文そのものに強い抵抗力があるのかも」

ジャンボは少女の冷静な分析と行動に瞠目した。そして言われてみれば確かに、アベルの佇まいには
本人の凶悪さだけでない禍々しい何かを感じていた。ターニアの無残な有り様にすっかり気を取られて
いたが、そもそもターニアは人質としてまだ使えたはずだ。敢えて捨てる必要があったとは思えない。

(呪いの装備だとしたら……いや、そいつは後だ!)

天使の鉄槌を握り締めジャンボはネプリムの加勢に飛び出す。驚くべき事に、両腕に武器を装備した
ネプリムがバレットハンマーのみを手にしたジンガーに押され始めている。

「おいネプリム!遊んでんじゃねえぞ!」

ジャンボが戦列に加わった事でジンガーは猛攻を止めて飛び退る。

「バカヲユーンジャナイ。単純ナ事、コイツガ強イノダ」

戦闘機械の本分だからなのか、ネプリムの音声は心なしか楽しげだった。

「くっそ、ご主人に会えて力が湧いたってか?」

あり得る事だ。ジンガーには確かに心があったのだから。しかしそれだけでなく、彼が与えられた
バレットハンマーは機械の体に対して特別な威力を持つ。一発いいのを貰ったらネプリムでも
かなり危ないだろう。

「ジンガー、受け取れ」

癒しの光が忠臣を包む。薄れ始めた煙幕を割ってアベルが姿を現した。


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