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DQBR一時投下スレ

616命の重さ、愛の固さ ◆jHfQAXTcSo:2016/07/07(木) 23:19:30 ID:reO1xxo20
チャモロの説明にローラは成程と頷く。
アベルに会いにくく、尚且つアレフに追い付き易いというのなら、ローラに反対する理由はない。

「ですが、東で人に出会うことができなかった場合は、どうするのです?」

追い付くことはできてもアレフの前に出られない、というのは心苦しい。
そんな思いも込めて、尋ねる。

「東にも村があるのですから、そこにも人は集まるでしょう。最も、アレフさんが向かっている以上、追い付いた頃には戦闘になっている可能性も高いですが……」

言いつつ、チャモロは目を伏せる。
チャモロ自身その場合厄介な事態になるのは分かっているが、今はそれしか選ぶ道がない。
ローラな行動を逃げだと糾弾しておきながら運に賭けることが悔しいのだろう、複雑な顔をしていた。





身を整えるのもそこそこに、二人は早速東に向かって歩き出した。
しかしハッサンの死という出来事から、その間にある空気は張りつめていて、会話らしい会話すらない。
そこには、ひたすら静かな歩みがあるだけだ。

(アレフ様、待っていて下さい。このローラ、すぐにお側に参ります。
 私が追い付いたら、その時はーー今度は、アレフ様ひとりに誰かの命を背負わせることはいたしません。
 私も、共に戦い、共に命を背負いますわ)

チャモロの後に続きながら、ローラはアレフへの想いを巡らせる。
チャモロに突き付けられ、自分の覚悟の甘さは自覚した。
それでもローラは選んだ道を変えようとは思わなかった。
彼女を頑なにさせる理由。それはアレフにあった。

我が子の為に、既にアレフは手を汚しているのだ。
今更ひとりで改心して新たな道を選ぼうなどと、言えるはずがなかった。
アレフはローラとの愛の証、ローラとの子の為に、覚悟を以てハッサンを殺めた。
ならば自分も覚悟を以て、彼との愛を貫く為に戦おう。
そう、決意を新たにしたのだった。

(まずは隙を見て、チャモロさんを……殺さなければ)

もう命を背負う重さから逃げはしない。
再びアレフに会う為の、ローラなりのけじめとして。
まずは目の前の少年を殺そう。


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