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DQBR一時投下スレ
401
:
LOVE & TRUTH ...more
◆CruTUZYrlM
:2013/08/26(月) 23:26:32 ID:???0
.
「おにい、ちゃ、ん! おに、い、ちゃ、ん!!」
何度も、何度も、妹は自分のことを呼ぶ。
服は血に塗れ、体のあちこちには擦り傷が出来ている。
ここにたどり着くまでに、果たしてどれだけの出来事があったのか?
考えなくても、分かる。
「……リア、もう大丈夫だ」
自分の胸で泣き続ける妹を、優しく抱きしめながら、頭をなで続ける。
「あのね、リアね。お兄ちゃんにずっと会いたかったの」
「うん」
涙をこらえて口を開く妹の話に、相づちを打つ。
「どんなに辛いことがあっても、邪魔する奴がいっぱい居ても、リア頑張ったの」
「うん」
体と震わせながら絞り出される声を、一音たりとも漏らさずに耳に入れる。
「お兄ちゃんのことが好きだから、お兄ちゃんのためなら何だって出来るから」
「うん」
肌の温もりが、涙の冷たさが、リアが生きていることを教えてくれる。
「リアはすっごく嬉しいの、こうやってお兄ちゃんにやっと会えて」
「うん」
ようやく落ち着きを取り戻してきたのか、少しクリアになってきた妹の言葉に。
「一緒に死ねるんだから」
「うん」
首を縦に動かして、頷く。
「――――うん?」
違和感を覚えたときには既に遅く。
リアの手は真っ直ぐに自分の首へ伸びていた。
首をカッ切るため? 違う、妹の手には何も握られていない。
首を絞めるため? 違う、妹の手は僕の首には触れていない。
首を抉るため? 違う、妹はもょもとみたいな怪力じゃない。
じゃあ、何か?
簡単なことだ。
この殺し合いという会場の中で、誰しもが平等につけられている"命の枷"。
無理に外そうとする者に、平等に死を与える悪魔の産物に。
僕の妹は、僕のそれにめがけて、手を伸ばしていた。
理解できなくて、動けなくて、ただ呆然と見ていることしかできなかった。
402
:
LOVE & TRUTH ...more
◆CruTUZYrlM
:2013/08/26(月) 23:27:23 ID:???0
.
そして、カランと音が響く。
カラン、カランカラン。
金属が地面に落ちる音が、空に木霊する。
「――――あれ?」
声を出したのは、リア。
「おかしいよ、どうして爆発しないのかな?」
人の命を簡単に奪い去るはずの枷は、何もしなかった。
「あれ、あれあれあれ? なんで、なんでなんでなんで!?」
理解できない、理解できるわけがない。
「どうして、お兄ちゃんを殺してくれないの!!」
その枷が、何の意味もない事など、知るわけがないのだから。
「リア……お前」
「リアは!! お兄ちゃんのいない世界なんて!! 嫌だから!!」
呆然とした表情のカインの言葉なんて、今のリアには届かない。
「生きても意味がないの! そんな世界、リアはいらないの!!
だから、死んでしまえば、お兄ちゃんと一緒に死んでしまえば、ずっと一緒にいられる!!
この首輪が、あたしも、お兄ちゃんも殺してくれるって思ってたのに!!」
だって、今リアの全ては。
爆発しなかった首輪に、全て奪われてしまったのだから。
それでも、それでも欲したい。
「……ねえ、お兄ちゃん」
まだ、そこに彼女にとっての希望があるのだから。
「リアと一緒に」
彼女は、それを呟く。
「死んで」
孤独な男は一人、取り残される。
403
:
LOVE & TRUTH ...more
◆CruTUZYrlM
:2013/08/26(月) 23:27:50 ID:???0
【C-7/中央部/黎明】
【男魔法使い@DQ3】
[状態]:MP消費(中)
[装備]:毒蛾のナイフ(DQ6)、砂柱の杖@トルネコ
[道具]:支給品一式、不明支給品(確認済み0〜1)、どくがのナイフ@DQ7、ラドンの不明支給品(1〜2)
消え去り草*1、弟切草*4@トルネコ
[思考]:ジャミラス達と共に、世界を破壊する。
[備考]:過去に盗賊を経験しているようです。
※名前は後続の書き手にお任せします。
【マーニャ@DQ4】
[状態]:HP5/8 MP2/4
[装備]:太陽の扇@DQ6
[道具]:猫車@現実、基本支給品一式、※不明支給品(後述)
[思考]:ゲームには乗らないが、向かってくる相手には容赦しない。
ミネアを探す、休息。
【C-7/C-8との境界/黎明】
【ジャミラス@DQ6】
[状態]:HP6/7
[装備]:ルカナンソード@トルネコ3、サタンネイル@DQ9
[道具]:剣の秘伝書@DQ9、超ばんのうぐすり@DQ8(半分のみ) 支給品一式*2
[思考]:ロッシュを殺害。その後リアを利用し、サマルトリアの王子(カイン)を労無く殺害。
[備考]:支給品没収を受けていません。飛行に関して制限なし。
【ロッシュ@DQ6】
[状態]:睡眠中 HP9/10(回復)、MP微消費、打撲(ほぼ回復)、片足・肋骨骨折(ほぼ回復)
[装備]:はじゃのつるぎ@DQ6
[道具]:支給品一式 、白紙の巻物@トルネコ、聖者の灰@DQ9、食材やら水やら(大量)、調理器具(大量)、※不明支給品(後述)
[思考]:ジャミラスを止める
【C-7/中央部/黎明】
【リア(サマルトリア王女)@DQ2】
[状態]:HP3/5 頬に傷 全体に切り傷
[装備]:竜王のツメ@DQ9、
[道具]:支給品一式*2、ツメの秘伝書@DQ9、不明支給品(本人確認済み)
[思考]:おにいちゃんを、ころす。
【カイン(サマルトリアの王子)@DQ2】
[状態]:HP6/10 脇腹打撲 肋骨が折れる、内蔵微損傷、首輪解除
[装備]:プラチナソード、ロトの剣
[道具]:支給品一式×6、モスバーグ M500(2/8 予備弾4発)、オーガシールド@DQ6、満月のリング@DQ9
世界樹の雫@DQ6、エルフの飲み薬@DQ5、デュランの剣@DQ6、もょもとの手紙、毒入り紅茶、※不明支給品(後述)
[思考]:
※旅路の話をしましたが、全てを話していない可能性があります。少なくともリアについては話していません。
404
:
LOVE & TRUTH ...more
◆CruTUZYrlM
:2013/08/26(月) 23:28:02 ID:???0
【うるふわ(ガボの狼)@DQ7】
[状態]:睡眠中 おなかいっぱい
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:ガぅ(ごはんくれたからロッシュに従う、この名前いやだなあ)
【テリー@DQ6】
[状態]:睡眠中 ダメージ(中)、背中に打撲、MP消費(中)、焦げ、" "
[装備]:雷鳴の剣@DQ6、ホワイトシールド@DQ8
[道具]:支給品一式、※不明支給品(後述)
[思考]:休息。
[備考]:職業ははぐれメタル(マスター)
(経験職:バトルマスター・魔法戦士・商人・盗賊 追加)
【マリベル@DQ7】
[状態]:睡眠中 MP消費(小)
[装備]:マジカルメイス@DQ8 水のはごろも@DQ6
[道具]:支給品一式、※不明支給品(後述)
[思考]:休息。
※カイン、テリー、ロッシュ、マリベル、マーニャで支給品分配を行いました。
全員分で計2〜8個、うち一つは武器では無い物が分配されています。
誰に何が分配されたかはお任せします。
405
:
LOVE & TRUTH ...more
◆CruTUZYrlM
:2013/08/26(月) 23:28:23 ID:???0
以上で投下終了です。
●が死んだので2chに書き込めなくなってしまいました……どなたか代理投下をお願いします。
406
:
LOVE & TRUTH ...more
◆CruTUZYrlM
:2013/08/26(月) 23:33:07 ID:???0
>>403
状態表修正
【C-7/中央部/黎明】
【男魔法使い@DQ3】
[状態]:MP消費(中)
[装備]:毒蛾のナイフ(DQ6)、砂柱の杖@トルネコ
[道具]:支給品一式、不明支給品(確認済み0〜1)、どくがのナイフ@DQ7、ラドンの不明支給品(1〜2)
消え去り草*1、弟切草*4@トルネコ
[思考]:ジャミラス達と共に、世界を破壊する。最強を証明する。
[備考]:過去に盗賊を経験しているようです。
※名前は後続の書き手にお任せします。
【マーニャ@DQ4】
[状態]:HP5/8 MP2/4
[装備]:太陽の扇@DQ6
[道具]:猫車@現実、基本支給品一式、※不明支給品(後述)
[思考]:ゲームには乗らないが、向かってくる相手には容赦しない。
目の前のジジイをぶっ飛ばす
407
:
LOVE & TRUTH ...more
◆CruTUZYrlM
:2013/08/26(月) 23:34:13 ID:???0
なんか本投下デキルっぽいんで本投下してきます。
お騒がせしました。
408
:
◆.YEzVA6BUc
:2013/08/27(火) 01:34:57 ID:nBwfi2LQ0
リュカ、影の騎士投下します
409
:
◆.YEzVA6BUc
:2013/08/27(火) 01:49:19 ID:nBwfi2LQ0
「18時間が経過した、これより定時の放送を始める。」
その言葉に、放心していた影の騎士は我に帰る。
「ハッ、もうそんな時間かよ。」
口に出して笑ってみるが、自分の中の空虚な感覚は消えない。
理由は、分かっている。だが、それを彼は肯定出来なかった。
(・・・ハッ、俺にもそんな感情があったなんてなァ)
手は止めず、そんな感傷を味わう。
「人を殺した事なんざ、ザラにあんのによォ・・・」
自嘲するように。
いや、事実それは自嘲だった。
「なんで、俺は・・・」
「・・・・・・嘆いてんだよ・・・」
それは、誰にも聞かれない。
だからこそ、彼はそれを吐き出した。
己の心の、小さな歪みを。
410
:
◆.YEzVA6BUc
:2013/08/27(火) 02:04:52 ID:nBwfi2LQ0
「答えを、聞けなかった・・・だからかい?」
だが、そこには一人。
「・・・!?」
死から、甦った男が、いた。
「何で、生きてんだよ・・・?」
放送の声は、影の騎士が知る名前を、一つだけ語らなかった。
伝説の魔物使い、リュカの名前を。
「・・・君に、殺されたんだ。僕とフローラは。」
その男は、至って冷静に見える。
「・・・ああ、そのとーりですよ。」
その男の問いに軽口で答えつつも、影の騎士は感じていた。
彼の主君、竜王にも勝るとも劣らない、その殺気を。
「だからほら、攻撃すりゃいいじゃねーか。
こっちは魔物、あんたは人間。
当たり前の正当防衛、敵討ちにはもっともってか」
だが、影の騎士はあえて誘う。
411
:
◆.YEzVA6BUc
:2013/08/27(火) 02:15:53 ID:nBwfi2LQ0
自分がいま生死の境にいることぐらい、簡単に分かる。
だが、人間の大きな欠点、すなわち驕り。
「必ず殺せる」と思った人間は、無意識に「予想外」を予想しない。
だからーーー
(いきなり、死んだ奥さんやらがいたら、ビックリするよなァ?)
ーーーそこを突く。
勝率は、今出る手では最良の目。
そして、歩いてくるリュカに対して、いつ杖を振ろうと、影の騎士がタイミングを見計らいーーー
「それで、なぜ嘆いていたんだ?」
その言葉に、意表を突かれる。
412
:
◆.YEzVA6BUc
:2013/08/27(火) 02:42:27 ID:nBwfi2LQ0
すいません。
何らかのエラーだと思いますが、一定の文字数を越えると、全て消えてしまうことが起きています。
期限内に直ったら、改めて投下しなおします。
413
:
◆PZGErfdbRU
:2013/08/27(火) 09:54:39 ID:nBwfi2LQ0
直ったので続きから投下します
414
:
◆PZGErfdbRU
:2013/08/27(火) 10:12:50 ID:nBwfi2LQ0
「・・・何で、んなこと聞くんだ?」
問いかける。
「単純に、君のことを聞いておきたい」
「殺す前の、冥土の土産って訳か?ハッ、いいぜ」
影の騎士は、簡潔に答えようとする。
そして、
「いいや、違う。。」
「君がさ、改心してくれる兆しを見せてほしい。」
返ってきた言葉に、呆気にとられる。
415
:
◆PZGErfdbRU
:2013/08/27(火) 10:26:41 ID:nBwfi2LQ0
彼は、かつて、魔物との交戦で、一人の部下を失っていた。
双子の兄弟がまだ、戦うことに慣れていない頃。
二人をかばって、呪文の連打に耐え続け。
彼が駆け付けた時には、手遅れだった。
その魔物を、討とうとした時のこと。
彼は、魔物のある一言を聞いた。
その一言を聞いた彼は、とどめを刺さず、魔物を自ら従えた。
彼は、魔物の心が読める。
だが、彼は読んでいても、魔物自ら声を出さない限り、従えることをしない。
いま、影の騎士が何を思っているか、彼は知っている。
彼は、影の騎士を試す。
自らが抱く気持ちを、吐き出すか否か。
それは、まだ誰も知らない。
416
:
◆PZGErfdbRU
:2013/08/27(火) 10:58:13 ID:nBwfi2LQ0
【E−5/森林/真夜中】
【影の騎士@DQ1】
[状態]右腕負傷
[装備]メタルキングの槍@DQ8
[道具]基本支給品一式、変化の杖@DQ3、ゾンビキラー@DQ6
不明支給品(0〜3)
[思考]闇と人の中に潜み続け、戦わずして勝ち残る。
争いを加速させるためあらゆる手段で扇動する。
[備考]千里眼、地獄耳の効果は、第二放送時に消失しました。
【リュカ@DQ5】
状態健康
[装備]パパスの剣@DQ5
[道具]支給品一式×3、祝福の杖@DQ5,王女の愛@DQ1,デーモンスピア@DQ6、結婚指輪@DQ9
[思考]影の騎士を試す。
417
:
◆PZGErfdbRU
:2013/08/27(火) 11:00:20 ID:nBwfi2LQ0
投下終了です。
代理投下お願いします。
途中お騒がせして申し訳ありませんでした。
418
:
◆PZGErfdbRU
:2013/08/27(火) 11:04:16 ID:nBwfi2LQ0
すいません、タイトル忘れてました・・・
「闇への問」
です。
よろしくお願いします。
419
:
ただ一匹の名無しだ
:2013/08/27(火) 11:24:49 ID:???0
投下乙です。
時間軸が放送前(真夜中)になっていますが、こちらは深夜との設定ミスでしょうか?
420
:
◆.YEzVA6BUc
:2013/09/01(日) 01:54:08 ID:.X2bz6d20
>>419
ものすごい今更ですがそうです すいませんでした
421
:
◆CruTUZYrlM
:2013/09/20(金) 00:00:41 ID:???0
だから、ビアンカは"彼女"に賭ける。
戦うことを強いられたこの場所で、戦うことしか知らない者に対して。
戦う以外の、人間の側面を見せられる手段を知っているのは、きっと彼女だけだから。
「ほら、ビアンカさん達も!」
「えっ?」
そうこうしているうちに、リッカがビアンカに声をかけてくる。
ぼうっとしていると後ろからぐいぐいと押され、襲撃者の座る卓へと案内された。
「こう言うときは、たくさんで食べた方が楽しいんですよ?」
そういって席につかされ、食事を目の前に出される。
食事という概念のないサイモンも座らせたのは、とにかく"にぎやかにしたい"という一心からなのだろうか。
「不思議な気分ね……」
誰にも聞こえないように、一人言葉をつぶやく。
先ほど、自分たちを殺しに来た人間と卓を囲んで食事を取るなんて、長い人生でも滅多に出来ない経験なのかも知れない。
そして、彼女を変えうる、ないしその片鱗を掴むことが出来るなら。
自分も、それに手を貸し、少しでもリッカの望みに近づかなければ。
「っと、いただきます」
食事の前の儀式を済ませ、ビアンカもまた、食卓に置かれた食事にを、口に運んでいった。
ここはリッカの宿屋。
全ての冒険者に、全ての旅人に、全ての人間に。
平等に癒しを与える、最高の宿屋。
【A-4/ろうごくのまち・居住区/黎明】
【リッカ@DQ9】
[状態]:右腕負傷(手当て済み)
[装備]:なし
[道具]:復活の玉@DQ5、大量の食糧(回復アイテムはなし)、支給品一式
[思考]:絶望しない、前を向く。
[備考]:寝ていたため、第二放送を聞き逃しています
【サイモン(さまようよろい)@DQBR2nd】
[状態]:騎士は、二人の"ともだち"。
[装備]:さまようよろい@DQ5、ミネアの頭の飾り、ミネアの首飾り、アリーナのマント(半焼)
アリーナの帽子、エイトのバンダナ、アレルのマント、ギュメイ将軍のファー
[道具]:なし
[思考]:リッカを見守る
[備考]:マホトーン、イオを習得、今後も歩くことで何か成長を遂げるかもしれません。
胸部につけているミネアの飾りが光り輝いています。
【ビアンカ@DQ5】
[状態]:健康、リボンなし
[装備]:女帝の鞭@DQ9、エンプレスローブ@DQ9
[道具]:支給品一式、炎のリング@DQ5、カマエル@DQ9
[思考]:リッカを見守る。リュカ、フローラに会いたい、彼らの為になることをしたい。
[備考]:カマエルによって錬金釜の使用方法を教わっています
ビアンカの傷が治っているのはミネアのメガザルによる効果です。
料理の仕込でドタバタしていたため、第三放送の内容を聞いていません
422
:
◆CruTUZYrlM
:2013/09/20(金) 00:02:10 ID:???0
【リンリン@DQ3女武闘家】
[状態]:HP1/20、全身に打撲(重・処置済)、全身に裂傷(重・処置済)中度の火傷(処置済)、左腕喪失(処置済)
[装備]:星降る腕輪@DQ3 オリハルコンの棒@DQS
[道具]:場所替えの杖[6]、引き寄せの杖[9]、飛び付きの杖[8]、賢者の聖水@DQ9(残り2/3) ふしぎなタンバリン@DQ8
銀の竪琴、笛(効果不明)、ヤリの秘伝書@DQ9、 光の剣@DQ2 ハッピークラッカーセット@DQ9(残り4個) 使用済みのハッピークラッカー
草・粉セット(毒蛾の粉・火炎草・惑わし草は確定しています。残りの内容と容量は後続の書き手にお任せします。)
※上薬草・特薬草・特毒消し草・ルーラ草は使い切りました。
支給品一式×10
[思考]:全員殺す 世界を壊す たとえ夢であろうと その為に休息しつつ片腕に慣れたい
少し、食事を摂る。
[備考]:性格はおじょうさま
※献立は後続の書き手にお任せします。
----
以上で投下終了です。
最後の最後でサルった……
タイトルは「夢が叶うのは、誰かのおかげじゃないから」でお願いします。
次スレの容量も近いので、スレ立ててきます。
423
:
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:33:43 ID:C3nF/rro0
加えて、身体に限界までかけたスクルト、反撃として放ったロトの剣による斬撃。
幾つもの要素が重なった結果、カインの命脈は尽きず、今もこの世界に留まっていた。
「やだ……来ないで! だめったらだめ!」
「大切な妹のお願いごとでも、それだけは聞けないね」
「うるさい! もう、大人しくしててよ! どうせ、死ぬのに無駄だよ!」
「死なないさ。思ってるよりも傷は浅いんだよね」
嘘だ。刻まれた三爪痕はカインの身体を大きく引き裂き、多大なダメージを与えた。
今すぐ倒れてもいいのなら、倒れたいくらいに辛いし、視界は霞み、リアの顔をはっきりと見ることすら敵わない。
満身創痍。カインの身体は、限界だった。
「という感じだからさ。残念だったね、リア。僕は死なないよ」
「……ッ!」
「そう、睨まないでよ。僕は、怒った顔よりも笑っている顔の方が好きなんだからさ」
自分は何を口走っているのか。普段通りに喋れているかすらわからない程に、辛い。
痛みに喘ぎ、身体の動きは足を動かすだけでも一生分の体力を使った錯覚さえ覚える。
もう、止まってもいいのか。地面に倒れてもいいのではないか。
何度も、何度も。浮かび上がる諦めは、カインの体力を奪っていく。
――僕は、何を、護ると誓ったんだっけ?
自分の中にいる諦めが、囁く。
もう、十分やりきった、と。
――僕は、誰を救けると、誓ったんだっけ?
自分の中にいる絶望が、嗤う。
お前には無理だ、と。
424
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:40:38 ID:???0
「なぁ、リア」
それでも。それでも――!
カインは、倒れない。今までのどんな旅路よりも辛い路でも、止まらない。
ハーゴン討伐の時には横にいた二人がいなくても、リアが生きているなら頑張れる。
彼女が笑ってくれるならどこまでも強い兄を演じられる。
「僕が死なない理由なんて簡単なものさ。ロトの血なんて関係なく、リアと一緒に生きていきたい。
世界の奴等の為に、死んでやるのはもったいないだろ? 僕らは誰よりも幸せであるべきなんだからさ」
それが、兄というものだから。
少しの諦めで消えてなくなりそうな想いを必死に抱え込みながら、カインは言葉を紡ぐ。
「それに、僕が死んだら……誰がリアの面倒を見るんだよ」
「そんなのいらないもん! お兄ちゃんを殺した後にすぐ!」
「何度も言わせないでくれよ、僕は死なない。お前と、二人で生きるって決めてるんだ」
ふらつく身体を必死に保ちながら、一歩ずつリアへと近づいていく。
こんな所で、終われない。自分がここで倒れたら、誰がリアの涙を拭うのか。
誰がロトの呪いに囚われた妹を、救いに行けるのか。
死んでも救ってみせるという覚悟を胸に刻み、手を伸ばす。
「だから――泣くなよ」
「な、泣いてなんか」
「はっ、そんな潤んだ目で言われても説得力がないよ。
殺すだのなんだのってさ、今のお前に言われても全く怖くないね。数時間前に会ったバトルジャンキーの方がよっぽど怖かった」
額から滴り落ちる血は、一向に止まらないし、スクルトをかけていることにより身体の重さは半端じゃない。
足は棒のように固く動かないし、手に握っていたロトの剣はとっくに手放している。
コンディションは最悪だ、今までで一番ひどいとも言っていいぐらいだ。
425
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:41:17 ID:???0
「でも、これ以上、動いたら本当に死んじゃうよ?」
「……妹を残して死ねる訳ないだろ」
「死ぬよ! 本当に死ぬってば! これ以上動いたら、本当に……!」
「死なない!! 僕は、まだ死なない! お前を残して、死んでたまるか! 大好きな人にそんな思いは絶対にさせない!」
しかし、それがどうしたというのだ。
ここで最悪を超えなくて、いつ超える。彼女の涙を拭えなくて、何が兄貴だ。
「はっ、どうだい? これで大体は論破したと思うけど?」
一歩、一歩噛みしめるかのようにカインは、リアに近づいていく。
誰よりも辛い思いをしてきた彼女に、本物の幸せを教えるまで死ねない。
カインの中に生まれた意地は、彼の限界を踏み越えていく。
誰かに負けるのは仕方ないことかもしれないけれど、忌々しいロトの呪いにだけは負けられない。
「それに……やっと、辿り着いた」
「あっ……」
そして、カインとリアの距離が手を触れ合える距離にまで縮められた。
彼らを隔てていた距離はもう、ない。
「最初に言っておくとさ」
今度こそ、カインの手がリアへと届く。ふらふらになりながらも伸ばしてくる両手は、青白く生気が感じられなかった。
兄に怒られても仕方ないことをしてしまったのだ。叩かれるかと思った両手は、リアの頬をすり抜けて、背へと寄せられていく。
次いで、ほんの少しの力が込められ、優しくぎゅっと抱きしめられた。
426
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:45:05 ID:???0
「僕は、リアのやったことについて、詳しくはわからない。この世界で何を想って、何を行ったか。
まぁ、大体は察することができるけどね」
カインは、この世界でリアがやってきたことはわからない。まともに会話をしていないのだから当然だ。
だが、血で真っ赤に染まった衣服に、魔物と一緒にいた事実から大体のことは察することができる。
あくまで、推測であるが、妹は自分の知らぬ参加者を排除して回ったのだろう。
自分と一緒に死ぬ為に、幾人もの参加者を切り捨てたマーダーだ。
そんな経緯が本当にあるのだとしたら、殺された参加者やその知り合いから恨みを掛けられてもおかしくはないし、実際に殺されても文句は言えない。
カインだってどんな理由があるにしろ、もょもとやアイラを殺した奴等を許すことはできない。
「それでも、リアと一緒に生きるっていう夢は、終わらない」
しかし、身内には甘くなってしまうのはカインの駄目な所なのだろう。
ああ、仕方ないのだとカインは自嘲する。
自分はリアの兄でもあり、大好きな人でもあるのだから。
どれだけの人を切り捨てて、ロトの呪いに侵されても、妹を突き放すことはどうしてもできなかった。
これは、兄として、一人の少女を愛する少年としてのエゴだ。自分勝手で、相手の気持ちを無視した個人的な感情だ。
だから、今の自分はロトの王子でも救世の英雄でもない――ただのカインだ。
「起きてしまったことは変えられないし、死んだ人達は蘇らない。皆、リアの想いを否定するかもしれない。
そんなの、悲しいよな。苦しいよな」
もう離してやるものかと言わんばかりに強く抱きしめる。
やっと、掴めたのだ。大切な人に届いたのだ。
427
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:45:30 ID:???0
「だから、僕だけはお前の味方になる。どんなにひどいことをしても、僕は許すよ」
「やめてよ……やめてってば!」
「ごめんな、僕がお前の想いにもっと早く気づいていれば。一緒に心中する程に追い詰められていたお前に、何か与えていたら」
「そんなことない! お兄ちゃんは私の為に十分過ぎるくらいのことをしてくれたよ!
怖い夢を見た時はずっとずっと、一緒にいてくれた! 政略結婚の道具でしかないって噂が流れた時は、私を慰めてくれた!」
薄っすらと笑みを浮かべながら、ただただ抱きしめるカインに、リアは耐え切れなかった。
右手にはめられていた爪が地面に滑り落ち、両手はカインの背へと回される。
「他にもお兄ちゃんにはいっぱい助けてもらったんだから!」
「もういいから。僕のことをどれだけ思っているか、よくわかったから」
「わかってないよ! お兄ちゃんは私のこと、全然わかってないよ……」
わかっていないという意味をカインは理解できなかった。
後は、ゆっくりとリアの心を解きほぐしていけばいいだけのはずなのに。
「あんな技を出して、リアの身体が耐えれる訳、ないんだよ」
妹の口から吐き出されたのは、どうしようもない絶望だった。
泣いているのか、笑っているのか。どちらとも言えない半端な表情を浮かべ、抱きしめられていた両手はそっと降ろされた。
何を言っているのか、カインには理解ができない。否、理解をするのを頭が拒んでいた。
428
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:45:52 ID:???0
「そんな訳ない、嘘だ」
「お兄ちゃんと違って、何の訓練もしていない私が……何の代償もなしに使えると、思う?」
思わない、とカインは口には出せなかった。
口にしてしまえば、認めてしまう。明晰な頭が導き出した答えを理解してしまう。
「違う……っ! そんな訳があるか! だって、だってさ……」
リアが使った技は、カインから見ても凄絶ともいえるものだった。
大地を薙ぎ、暴風を起こす爪技はもょもとの一撃並だ。
そんな一撃を、リアが代償なしに使えることができたならば、自分達の旅に付いてきたはずだ。
「これ以上、いいよ……自分でも、わかってやったことだから。
あの技はね、本来なら魔力で補うものだけど……私には補える程、なかった。だから、代わりに補填したのが」
「やめろ、やめてくれ!」
「私の、命だったんだ。生命力で無理矢理補って、発動させたの」
リアの掠れた言葉に、カインは頷くしかなかった。
妹が最後の力を振り絞って投げかける想いを、切り捨てるなんてできなかった。
……どうして。
心中で投げかけた疑問に答えてくれる者なんていない。
何度も繰り返して唱える回復呪文は効かず、リアの力は徐々に衰弱していく。
握り返してくれた手も、悲しそうに笑う顔も、数分後にはもう見れないものになるだろう。
429
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:47:03 ID:???0
「本気だったんだよ? お兄ちゃんと一緒に死ぬ為に、私の全力でお兄ちゃんを……倒そうとした。
私の中のお兄ちゃんが現実のお兄ちゃんと変わってさえいなければ、きっと……殺しきれた。
あはは……お兄ちゃんと死ねるなら、それで満足だったの。一緒に死ぬことで、私達の関係が永遠になれるなら――よかったのに」
リアが望んだ願いの根幹は、永遠だった。
ずっと、大好きな人の中に在り続けたい。兄と過ごす時間を刹那に凍結したい。
だから、殺した。ロトの先祖も、友達になってくれるかもしれなかったお姫様も。
兄以外、リアにはいらなかった。兄に抱く感情をこの殺し合いに侵されぬまま、死にたかった。
「結局、私は何一つ得るものなんて」
その願いが叶わぬものなら、もうどうでもいいのだ。
未練を抱え、永遠になれぬまま消えていくことに妥協してしまったから。
きっと、兄はこれからも自分を置き去りにして進んでいくことだろう。
その横には自分じゃない別の誰かがいる未来へと、振り向かずに。
諦観に満ちた後悔にリアが潰されようとした時。
「ふざけんな」
「おにい、ちゃん?」
「何、言ってんだ。一緒に死ぬことで永遠になれる? そんなことしなくても、僕達の愛は永遠だろ。
得るものはない? 散々に振り回しておいて、何にもなかったことになんてするなよ」
言葉が口から勝手に漏れだしていた。
妹の言葉を認めてはいけない。思うのはそれだけだった。
「で、でも」
「……ずっと、ずっと死ぬまで私達はいっしょにいよう。約束したよな、僕達が初めて自分を曝け出した夜に。
あの時交わした約束は、まだ僕の中で生きている。いや、むしろ更に強まったね。死ぬまで?
冗談じゃない、死んでからもずっと一緒だ。じゃないと、僕は嫌だ」
まだ、約束の履行は続いている。死が二人を分かつまで自分達の永遠は、壊れない。
これ以上、取り零してなるものかと、ギシリと歯を食いしばり、カインは回復呪文を唱え続けた。
430
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:47:28 ID:???0
「リアがどんなにひどいことをしてきたとしても、変わらない。
僕が好きだっていう事実も、これからの未来を望むことも」
例え、世界がリアを悪姫と呼び、蔑んでも。
周りの誰にも受け入れられず、元の環境よりも酷くなったとしても。
自分だけは変わらない。お互い、欠かすことのできない存在でなのだから。
「僕達の未来をロトの呪いにくれてなんかやるもんか。だって、ムカつくじゃないか。
そんなものがなければ、僕達は普通に愛し合えるのに。
お前と一緒に過ごし足りないし、もっともっと言葉を交わしあいたいし、この世界を抜けだした後は僕達が僕達でいられる場所を見つけて暮らしたい」
「……私だって、もっともっとお兄ちゃんと過ごしたいよっ。こんな場所で終わるなんて嫌っ!」
「なら、それでいいじゃん。僕達はまだ、やり直せるんだしさ。未来だって選択肢がよりどりみどりだしね」
故に、カインは願い続ける。
これから先の未来は、きっと明るいことだらけだ。
行き先の不安定さに悲観するよりも、楽しいことを考えた方が見える世界は綺麗で美しい。
「春が来たら桜を見に行こう。桜の下で僕の作った弁当を食べて、リアは最ッ高にいい笑顔を見せるんだ」
「うん」
「夏になったらさ、海に行こうよ。お前、ずっと王城に閉じ込められていたから見たことないだろ?
本当に綺麗なんだ、透き通るような青が一面に広がっているんだ、きっと驚くぜ」
「うん」
「秋になったら山に行こう。色とりどりの紅葉を見に行ってさ、のんびりとお茶を飲んでさ」
「……うん」
「冬になったら家でのんびりと暖炉の横で寝っ転がってさ。コーヒーを飲みながら雪を眺めてさ、何もせずに過ごすんだ」
「う、ん……」
431
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:47:52 ID:???0
無理な未来だってことは最初から理解している。
必死に取り繕ってる笑顔も剥がれかけ、いつもの軽口にもキレがない。
けれど、弱いな、とは思わなかった。大切な人がいなくなるというのに、悲しまない訳がない。
押し寄せる涙は拒まず瞳から流し、伝えたい言葉は惜しみなく声に出す。
ただ、それだけの行為が今のカインにはとても難しく感じた。
「やっぱり、お兄ちゃん変わったね。……昔のお兄ちゃんみたい」
「そうかな? でも、お前を想う気持ちは何一つ変わっちゃいないからな」
「ふふっ、わかってるよ。私だってお兄ちゃんのことずっと想っていたんだからね。愛憎入り混じってたけどさ」
「今じゃあ、こうして両思いだからね。本当に、わからないものだよ」
辛かった過去の中で見つけた拠り所だった。
永遠に続く世界だと思っていた。
だけど、それももうお終いなのだ。
「なぁ、リア」
「なぁに、お兄ちゃん」
それでも。それでも――。
「愛してる。死が僕達を離しても、ずっとだ」
「うん、私も。約束したもんね、ずーっと一緒だって」
二人が交わした約束は、永遠に破られることはないだろう。
その想い出だけで、カインはこれからも戦うことができる。
これから先、どれだけ辛いことがまっていたとしても、想いがこの胸に遺っている限り、ずっと。
「またね、お兄ちゃん」
少しの間だけ、離れ離れになるけれど――また、逢える。
カインがこれから先の人生を諦めず、自分らしく生きた先で妹は待っている。
だから、口にするのは――さよならじゃない、もう一度逢う為の言葉。
今、この瞬間だけは彼らが待ち望んでいた自由が其処にあった。
432
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:48:11 ID:???0
###
この世界は残酷だ。
たった一人、薄暗い空を見上げたカインは、なんの気なしにつぶやいた。
親友に護られ、仲間に救けられ、最愛の妹には最後まで心配をかけてしまった。
今だけは殺し合いのことなんて考えず眠りたい。ずっと、妹の思い出に浸りたかった。
生きる意味の大半を喪失してしまった今、カインが剣を取る理由はない。
ただ流れるままに受け入れて、死んでいく。
一緒に死ぬというありきたりな救いを否定した自分にはお似合いの未来だと、笑う。
「だけど、そんなのゴメンだね」
しかし、一番楽な方法だって知っているからこそ、カインはその方法を投げ捨てた。
精一杯、最後まで生き抜いた先でまた逢おうと、リアと約束をしてしまったのだから。
今は、少しの間離れてしまったけれど、想いを貫き、信じ続ければ逢えるだろう。
433
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:52:10 ID:???0
「またな……か。いつか、僕が最後まで進んだ先にお前が待っているのなら、僕は走れる。まだ、歩みを止めないでいられるから」
人によってはカインの行為を馬鹿にするのかもしれない。
ありもしない終着点に無理矢理に意味を見出しただけと否定するかもしれない。
されど、カインにとってはそれだけで十分なのだ。
他の誰から見ても意味のない約束だとしても、行為は永遠の愛と呼べるものだと信じているから。
――――寄る辺なきこの世界を終わらせた後に、君に逢いに行く。
もう、二人の永遠を邪魔するものはいない。
【リア(サマルトリア王女)@DQ2 死亡】
【残り15人】
【C-8/中央部/黎明】
【カイン(サマルトリアの王子)@DQ2】
[状態]:HP1/10 脇腹打撲 肋骨が折れる、内蔵微損傷、首輪解除、ゴーグル喪失、重傷
[装備]:プラチナソード、ロトの剣
[道具]:支給品一式×8、モスバーグ M500(2/8 予備弾4発)、オーガシールド@DQ6、満月のリング@DQ9
世界樹の雫@DQ6、エルフの飲み薬@DQ5、デュランの剣@DQ6、もょもとの手紙、毒入り紅茶、※不明支給品(後述)
竜王のツメ@DQ9、ツメの秘伝書@DQ9、不明支給品(リア確認済み)
[思考]:諦めない、最後まで。
※旅路の話をしましたが、全てを話していない可能性があります。少なくともリアについては話していません。
434
:
永遠の約束に願うこと
◆1WfF0JiNew
:2013/12/04(水) 23:53:10 ID:???0
長くなりましたが、投下終了です。猿ってるかつ、何故か接続不をpcが起こしてるので本スレに転載してくれると超感謝です。
435
:
天才の条件
◆CruTUZYrlM
:2013/12/21(土) 00:50:59 ID:???0
「万を溶かす力、この手に宿れ――――」
「「メラゾーマ!!」」
「燃える勇気の力よ、悪を貫け――――」
交差するように木霊する両者の声と、巨大な火球。
相手を追いつけ、押し返せ、とせめぎ合う火球同士は、大きな音と共に破裂して消えていく。
飛び散る火の粉、燃えあがる草原。
それを微塵も気にしないまま、二人は次の呪文を放つ。
「地獄の火炎よ、全てを無に還せ――――」
「「ベギラゴン!!」」
「裁きの火炎よ、罪人に裁きを今――――」
燃えているなら、それを利用すればいい。
メラゾーマによって燃え上がり始めた地面に、まるで油を注ぐかのように炎が降り注ぐ。
ただでさえ強烈な火炎が、辺り一帯を包み込むように燃え上がっていく。
だが、互いの炎は消して消えない。
ぶつかり合っても、混ざり合うことなく、それぞれの形を保ったまま。
それはまるで炎で出来た決闘の場所、"コロッセオ"を具現化するように。
炎に囲まれながらも、両者は互いに相手を睨み、動かない。
「爆ぜろ、全ての記憶と共に――――」
「「イオナズン!!」」
「巻き起これ、全てを包む力――――」
少し遅れて、二つの大きな爆発が起こる。
二人を包んでいた、草原の炎は吹き飛ばされ、そこに残ったのはただの焦土。
だが、煙の中、二人の男女は確かにそこにいた。
煤を払うこともせず、目に入りそうになる土をのけることもなく。
まっすぐに、相手だけを見るため、目を見開いて。
「流石に、埒があかねえな」
「泣いて許しを乞うなら、今のウチだけど」
「ハッ、そりゃこっちのセリフだ嬢ちゃん」
両者の顔には、余裕。
相手を下に見るだけの力と、心持ち。
いや、それを出さなければいけない。
でなければ、"ナメられてしまう"から。
油断を誘うとか、そういう細かい問題の話ではない。
ただ、目の前の奴に"ナメられたくない"だけ。
お前なんかより、こちとら遙か上に居るんだ。
そう思っているからこそ、両者は動じない。
「……確かに魔術の筋はいい、だが」
その状況を動かすように、老人は口を開く。
マーニャは動かず、相手の様子を伺う、が。
436
:
天才の条件
◆CruTUZYrlM
:2013/12/21(土) 00:51:15 ID:???0
「攻めに特化しすぎて、搦め手を想定してねえ」
集中して見ていたにも関わらず、次の瞬間には相手の姿が綺麗さっぱり無くなっていたのだ。
空を飛んだわけでも、地面に潜ったわけでもない。
文字通り"消えた"と表現するしかない。
驚きの表情を浮かべたまま固まっていると、どこからともなく氷柱が現れた。
ヒャドの系列の最上位、ブライがよく使っていた呪文――――
「何なの、よッ!!」
一人だけでなく二人までも、あのピサロのように多岐にわたる呪文を操る者がいる。
その事実に戸惑いながら、マーニャは飛び交う氷柱を避け、時には扇で弾いていく。
「何だァ? マヒャドは使えねえのか!?」
どこからともなく、声だけが聞こえる。
襲われているという事は分かっているのに、それに対処できない。
その現状と、相手に"ナメられている"という事実が、マーニャを焦らせる。
同じ性質の力をぶつけて打ち消すのは、まだ容易だ。
相手の放つ同等、ないしそれ以上の力を放てばよいのだから。
だが、違う質の力をぶつけて消すのは、少し難しい。
少なくとも相手の魔力よりも上の力であることはもちろん、どの質の力をどれだけ盛ってぶつければよいのか、というのは咄嗟に判断しにくい。
無用な魔力の消費は避けたい、だが現状を切り抜けなければ話にならない。
最悪なことに、向こうはまだ魔力をたっぷりと残している。
マホトラで魔力切れを狙う作戦は、狙えそうにはない。
どうするか、次の一手を――――
「だのに……俺より強ぇ魔法使いを、名乗ってんじゃねえよ!!」
考えていたとき、ついに裁ききれなくなった一本の氷柱が、マーニャのわき腹に刺さる。
体の芯から冷やされる感覚、凍り付いていく血液。
すぐさま小さな炎を生み出して対処をするが、想像以上に傷が深い。
体勢を立て直しながら、次の攻撃に備える。
「ムカつくんだよ! テメーみたいにちょっと魔法が使えるからって調子に乗る奴が!
俺からすりゃ! テメーの魔法なんざ屁でもねぇ! 」
響く怒号、巻き起こる氷柱の嵐。
肌を掠め、突き抜け、傷つけていく。
「だのに! アイツは! カーラは!!
魔法が使える前も、そしてちょっと魔法が使えるようになった後も!!
俺のことを見下して来やがった!!
さも俺より魔法が上手いです、みたいなツラしやがってなぁ!!」
そこで、聞き覚えのある名前を耳にする。
この殺し合いが始まって、はじめに刃を交えた相手。
赤く燃えるような瞳、ただまっすぐに闘争を追い求めていた、彼女。
そんな彼女の名が、こんなところで聞けるとは。
老人の言葉から、マーニャは次第に事態を把握していく。
「俺が、俺が真の魔法使いなんだ!! 魔法じゃ、誰にも、絶対負けねえ!!」
老人が魔物と連んでまで戦う理由。
自分に率先して刃を向けにきた理由。
そして、今ここまで怒り狂っている理由。
437
:
天才の条件
◆CruTUZYrlM
:2013/12/21(土) 00:52:08 ID:???0
「……ククク、ハハハハ、アハハハハハハ!!」
その全てを理解して、笑う。
いや、笑わずにいられるだろうか。
目の前の男は、女々しくも死んでいった女の姿を、自分に重ね合わせているのだから。
「何がおかしいっ!!」
当然、男は怒る。
さも自分が"ナメられている"ように見えるのだから、無理はない。
それを分かった上で、この上なく楽しい表情を浮かべながらマーニャは追い打ちをかける。
「あれこれ御託を並べて、結局やってる事は女の尻を追っかけてるだけの変態エロオヤジじゃない」
「んだとォ!?」
「アンタみたいな自称天才じゃ、彼女には一生勝てないわ。そして……アタシにもね」
息をつく間もなく、次々に言葉を返していく。
火に油を注ぐような行為だとは自覚しているが、それでももう止まれない。
だって、こんなにも相手を"ナメきれる"のだから、止まれるはずがない。
さぞかし、怒りに震えているのだろう。
「……言ってくれるじゃねえか、だがよ、この状況を破れずにいるテメェが、どうやって俺に勝つ?」
響く言葉は、静かに、落ち着いている。
けれど、その奥底に秘められている感情を、マーニャが見逃すわけがない。
百戦錬磨、ギャンブルで鍛えた感情の読み合い。
ド三流のポーカーフェイスが、彼女に通用するわけがない。
「勝つ? 何を勘違いしてるのかしら」
だから、言葉という最高のカードで。
「今からは、アンタを全力で"ブッ潰す"」
三流の仮面を、引きはがしていく。
「ハハハ!! そりゃ笑い草だ! 今圧倒してるのは俺だってのによぉ! テメェの方が俺に泣いて詫びた方がいいぜ? 嬢ちゃん!!」
男は笑う。
マーニャの言うことが夢幻で、虚勢を張っているだけに過ぎないと。
まだ、余裕であると、見せつけている。
「……カーラは、あの人は」
「あ?」
ならば、マーニャは次のカードを切るだけ。
「誇り高き、戦士だった」
飛び出した唯一の名前、そして自身の知る全ての情報を使って。
「心に曲がらない一本の誇り、それを持って遠くへ、高くへ行こうとしていた。
どんな相手だろうと、誇りを持って、全力で、戦い抜く人だった。
だから、彼女は強かった、上へ登れた、新たな力を手に出来た。
……それに比べて、今優位に立ってるからって慢心しまくって相手を見下して、戦いに誇りのかけらもないようなアンタじゃねえ……。
いッ…………生彼女に勝てないって言ってんのよ!!」
JOKERを殺す最強の手札、ロイヤルストレートフラッシュ。
その絵面が、綺麗に揃う。
「五月蠅ぇんだよ雑魚がァッ!!」
余裕という仮面をかなぐり捨て、怒りに打ち震える声が聞こえる。
それと同時に、炎と氷の嵐が、辺り一面に巻き起こる。
二つの相反する力で、身が焼かれていく。
このまま立っていれば、いずれ死んでしまうだろう。
そんな中、マーニャは冷静に一つの呪文を唱える。
438
:
天才の条件
◆CruTUZYrlM
:2013/12/21(土) 00:52:41 ID:???0
「ギラ」
それは、ちっぽけで、それでいて頼りになった、一筋の炎。
仇討ちだ何だと言って、必死こいて覚えた呪文の討ちの一つ。
力がほしかった、何もかもを圧倒する力が。
その切っ掛けになった、始まりの炎が、まっすぐに彼女の手から延びる。
「ハハハ! どうしたァ!? やっぱりテメェも口だけで、弱いじゃねぇか!!」
男は笑う。
あれだけ大見得を切っていた女が放ったのが、スライム一匹殺せるかどうかというレベルの炎だったからだ。
避ける価値も、潰す価値も、気にとめる価値もない。
「そんなカスみたいな魔法じゃ、俺には一生――――」
「見えた」
それが、最大の判断ミス。
「ガッ!?」
次の瞬間、自分の体がふわりと浮く感覚に襲われる。
ギリギリと音を立てて締め上げられる自分の体。
そして、それを成しているのは。
先ほど弱ったらしい呪文を放った女だ。
「……教えてあげるわ、今私がギラを使ったのは"節約"の為。
相手の出方を伺うための、必要な"チップ"でしかない」
姿が見えないなら、その姿を察知できればいい。
ならば、あえて弱い呪文を放つことで、それを叶えることが出来る。
慢心しきった相手ならば、"避ける価値もない"と判断すると確信していた。
だが、避けないと言うことは、"そこにいる"と自分から伝えているようなものだ。
わずかに曲がる炎を見て、マーニャは即座に駆けだし、全力を込めて腕を突き上げた。
「てめ……このや、ろ」
何もないところから、苦しい声が漏れる。
だが、マーニャにとっては違う。
今、両手には確かに、人の肌を掴んでいる感覚があるのだから。
捕まえた、そしてもう二度と逃さない。
「冥土の土産よ、私のような超天才が、努力したらどうなるかってことを、教えてあげるわよっ!!」
叫びと共に、それは始まる。
「我が身に宿る全ての力よ。今こそ、その真なる姿を放つ時」
それは、かつての敵の呪文。
己が内にある魔力を全て解き放つ、禁忌の魔法。
「吹き飛べ……」
悔しかった。
仇敵だと思っていた存在と、肩を並べて戦うことになることが。
だから、だからせめて、"アイツ"にだけはナメられたくないと。
来る日も来る日も、いつかの日のように、魔術の研究に勤しんだ。
そして、それは今。
「マッ、ダンテェエエエエエエエエエエ!!」
全て、全て、解き放たれる。
.
439
:
天才の条件
◆CruTUZYrlM
:2013/12/21(土) 00:54:17 ID:???0
「……アンタも努力してたのかもしれないけど。
私も、カーラも、努力をサボってたわけじゃないのよ。
自分より努力が出来るから、強い。
その存在を認めなかったのが、アンタの敗因よ」
塵一つ残らない場所に向かい、マーニャはただただ呟く。
暴走する魔力が生み出した力は、全てを飲み込み、破壊していった。
ほぼ直接それを叩き込まれた男の体など、残る余地などあるわけがないのだ。
「……って、もう聞こえてないか」
ふと、笑う。
聞こえていない、聞こえるわけがないと分かり切っていたのに。
どうしても言いたかったからか、それとも事実関係をはっきりさせたかったからか。
まあ、それもどうでもいい事だ。
そこまで考えたところで、ふらつき倒れ込む自分の体では、その先にたどり着けそうにもないのだから。
「……っあー、やっぱ無理だったかなー」
魔族ですら有数の者しか扱えず、それでいてなお禁忌とされていた呪文。
半ば無理矢理血路を開き、習得したは良いものの、消費は思っていたより激しかった。
間違いない、魔力だけでなく体力まで持って行かれている。
結局、魔族の持つあふれ出る魔力にたどり着くには、彼女の体力すらも魔力に変換しなければならなかった。
これだけ頑張ってもたどり着けない場所、そこにヤツは居た。
……だからこそ、追いつけ追い越せと努力出来たのかもしれないが。
「まだ、アイツを、殴っ、てない……のに」
倒れ込み、拳だけを握りしめて天に掲げる。
そうだ、まだ倒れるわけにはいかない。
本当にぶっ飛ばさなければいけない相手が、まだいるというのに。
禁忌を開いた代償は、彼女の全てだった。
そこまでして、いやそこまでしなければ勝てなかった相手だった。
だから、禁忌を開いたことに後悔はない。
ただ、やっぱり"弱い"ままの自分に対して、悔しいだけだ・
「ごめ、ミネア……仇、とれそ……に、ない、や」
ゆっくりと、それだけを呟き。
目を閉じると同時に拳はぱたりと地につき。
頭に描くのは、一足先にそこにいるであろう仲間の姿と。
「そ、だ……けっ、ちゃく、つけな、きゃね」
あの誇り高き女賢者の姿。
それらを見て、彼女は笑いながら旅立っていった。
【男魔法使い@DQ3 死亡】
【マーニャ@DQ4 死亡】
【残り13人】
※男魔法使いのアイテムは全て吹き飛びました。
マーニャのアイテムにも余波が飛んでいるかもしれません。
440
:
◆CruTUZYrlM
:2013/12/21(土) 01:17:17 ID:???0
忘れてました投下終了です。
441
:
◆oN0T8/322o
:2014/01/08(水) 23:53:10 ID:yUu2Bwnc0
すいません、本スレに最初の部分だけ投稿したのですが、その後なぜか書き込めないので、こちらに投下します
442
:
◆oN0T8/322o
:2014/01/08(水) 23:53:32 ID:yUu2Bwnc0
「少し寝る。放送までには起こせ」
飯を食べ終わった後、そう言って、リンリンと名乗った武闘家は奥へと進んでいった。
「…はあ」
彼女が放っていた殺気から解かれ、やっと一息をつけたビアンカは、食器を洗っているリッカのもとへ向かう。
「あ、ビアンカさん!」
満面の笑みを浮かべ、入ってきたビアンカに声をかけるリッカ。
「もう少しで終わりますから、サイモンと一緒に向こうで休んでて下さい。後で掃除もしなきゃいけないし。」
そう言って笑うリッカ。本当に、ここが殺し合いの場だということを忘れているかのようだ。
「そう?じゃあ、お言葉に甘えて…」
そう言って、彼女は調理場から出た。
サイモンは、一人隅で佇んでいた。
ビアンカは彼に近づき、その隣に座った。
「リッカは…強いな…」
「…そうね」
なぜ、彼女がそこまでするのか、二人には分からなかった。
「…彼女も、大事な人が死んだというのに…」
「…え?」
だが、サイモンのそのセリフで、ビアンカは顔を上げる。
彼女は、自分が放送を聞いていないことを思い出した。
「そうだ、忘れてた。サイモン、放送の内容を教えてくれない?」
「ああ、分かった」
443
:
◆oN0T8/322o
:2014/01/08(水) 23:53:53 ID:yUu2Bwnc0
「…ビアンカ。悪かっ―――」
「いいの、サイモンは悪くないし。ただ、ちょっと一人にしてくれない?」
そう言ってビアンカは外へ出る階段へ足を進めた。
―――フローラさんが…
彼女が、死んだ。
“彼”が伴侶として選び、その後共に石にされ、それでも最後には幸せを掴んだはずの彼女が。
そして、
「リュカ…」
“彼”の名を口にしたビアンカは、再び身を切られるような思いに駆られた。
もう彼は、その身に余るほどの傷を受けたはずなのに。
なぜ、家族を再び失わなければいけないのか。
なぜ彼が、ここまで傷つかなければいけないのか―――
そう思ったところで、彼女は外に出た。
そして、彼女は目にする。
こちらへ歩いてくる、一人の人影を。
そして、それは―――
「…リュ…カ…?」
今思っていた、幼馴染の形をしていた。
444
:
◆oN0T8/322o
:2014/01/08(水) 23:54:17 ID:yUu2Bwnc0
時は、少し遡る。
影の騎士は、今出来上がったばかりの、二つの土の山に目を向ける。
それは、リュカとフローラの、墓標だった。
「こんな事するなんて、俺もヤキが回ッたのかねェ」
だが、彼はそうした。
そうしないといけない、そんな気がしたから。
大した理由もなく、ただそれだけ。
「…さて、これからどうすっかねえ」
影の騎士は、改めて今後のことを考える。
自分をこれまで支えたものは、全て無くなっている。
どうするかは、彼にとって切実な問題だった。
「そういや、まだ…」
見てない支給品があった。
シンシアからせしめたものである。
「あんときはろくに見もせずに中身突っ込んだからな、焦ってたし」
そういいながら、彼が取り出したのは―――杖、指輪、そして少しの水が入った小瓶。
運悪く、説明書は入れる時に落としたらしく、入っていなかった。
「コイツは…魔法の聖水か。んで、残りの二つだが…」
指輪を翳してみると、僅かな旋風が巻き起こった。
水のリング。
かつて、目の前に眠る二人を結んだ指輪である。
「こいつは使えるな…さて」
この杖。
若干の魔力を感じるが、魔力が詰まった杖など何が起こるか分かった物では無い。事実、変化の杖も役には立ったものの、巻物が無ければ使い方が難しいなんてものでは無かった。
まして説明書もないのだ。リスクは高い。
「でもまあ、一応使ってみっか」
だが、ここで燻っているのも仕方がない。
そう思った影の騎士は、自らに向けて杖を振り―――
次の瞬間、光の球に包まれた。
「オ、オイ!?」
かろうじて荷物を掴み、そして、彼は何処へと飛んで行った。
445
:
◆oN0T8/322o
:2014/01/08(水) 23:54:44 ID:yUu2Bwnc0
影の騎士は平野に落ちた。
「……禁止エリアじゃなかっただけ、いいと思うか」
荷物は何とか持ってこれた。コンパスと地図、そして近くに見える大きな建造物から場所を把握する。
「A−4…か。となれば」
北にそびえる、ろうごくのまちへ。
彼は歩を進めようとし―――
「…変化、しとくか」
相手が知人だった時のリスクは大きいが、どの道この姿なら疑われる。
そして、彼は変化する相手を考えるが―――
何故か、彼には一つの顔しか思い浮かばなかった。
先刻死んだ男、リュカ。
他にも候補はいる筈だが、彼にはそれしか思い浮かばなかった。
「…もしかして、あれかねぇ。あいつになりたいのかね、俺は」
幸せを教えてくれたあの男になれば、自分もそうなれるのか、と。
そんな筈はないのに、彼はそうせずにはいられなかった。
冷静に考えれば、あと二時間もあれば放送で呼ばれる名前は、リスクが高すぎる。
ここは、ロッシュなどの方がいいと、彼の理性は告げていた。
だが。
「いいぜ、リスクぐらい背負ってやろうじゃねーか」
どの道一度死んだはずの命。
ならば、この姿で、理想を追ってみるのもまたいいかもしれない。
そう思い、杖を振った。
10分ほど歩き、彼はろうごくのまちの前にたどり着いた。
「ッタク、ボロボロじゃねーか…」
荒れ果てている町の外見に文句を言いながら進み、彼は一つの視線に気づく。
目を向けると、それを向けてくるのは金髪の女だった。
そして、よく見れば彼女は、こちらへ向かってきていた。
446
:
◆oN0T8/322o
:2014/01/08(水) 23:55:09 ID:yUu2Bwnc0
何者か。彼はとっさに身構える。
だが、相手はまっすぐこちらへ歩を進め―――
二人は、いつの間にか対面していた。
「オ、オイ…」
影の騎士が相手に話しかけようとして。
女、ビアンカは、影の騎士を殴りつけた。
「ぬがっ!?」
想像もしていなかった一撃に思わず仰け反るが、すぐに反応しようとして。
影の騎士は、自分が抱きしめられていることを感じた。
抱き寄せたビアンカは―――泣いていた。
「リュカ!!リュカああああっ!」
嘗ての思い人との再会。
それを前に、彼女は幼い子供の様に泣きじゃくっていた。
抱いている男が、偽物だと知らずに。
そして、それを前にして、影の騎士は。
(…一発目からアウトかよ)
と、悲嘆に暮れていた。
真実を知らす放送までは、まだ少し、時間があった。
:
【A−4/ろうごくのまち前/夜明け前】
【影の騎士@DQ1】
[状態]:健康
[装備]:メタルキングの槍@DQ8
[道具]:基本支給品一式、変化の杖@DQ3、ゾンビキラー@DQ6
バシルーラの杖@、水のリング@DQ5、魔法の聖水@シリーズ全般
[思考]:リュカの姿となり、理想を追ってみる。
目の前の女をどうしよう。
447
:
◆oN0T8/322o
:2014/01/08(水) 23:55:26 ID:yUu2Bwnc0
【ビアンカ@DQ5】
[状態]:健康、リボンなし
[装備]:女帝の鞭@DQ9、エンプレスローブ@DQ9
[道具]:支給品一式、炎のリング@DQ5、カマエル@DQ9
[思考]:リュカと会えて嬉しい。リッカを見守る。
[備考]:カマエルによって錬金釜の使用方法を教わっています
ビアンカの傷が治っているのはミネアのメガザルによる効果です。
第三回の放送内容をサイモンから聞きました。
【A-4/ろうごくのまち・居住区/夜明け前】
【リッカ@DQ9】
[状態]:右腕負傷(手当て済み)
[装備]:なし
[道具]:復活の玉@DQ5、大量の食糧(回復アイテムはなし)、支給品一式
[思考]:絶望しない、前を向く。
[備考]:寝ていたため、第二放送を聞き逃しています
【サイモン(さまようよろい)@DQBR2nd】
[状態]:騎士は、二人の"ともだち"。
[装備]:さまようよろい@DQ5、ミネアの頭の飾り、ミネアの首飾り、アリーナのマント(半焼)
アリーナの帽子、エイトのバンダナ、アレルのマント、ギュメイ将軍のファー
[道具]:なし
[思考]:リッカを見守る
[備考]:マホトーンを習得、今後も歩くことで何か成長を遂げるかもしれません。
胸部につけているミネアの飾りが光り輝いています。
【リンリン@DQ3女武闘家】
[状態]:HP1/20(回復中)、全身に打撲(重・処置済)、全身に裂傷(重・処置済)中度の火傷(処置済)、左腕喪失(処置済)、睡眠
[装備]:星降る腕輪@DQ3 オリハルコンの棒@DQS
[道具]:場所替えの杖[6]、引き寄せの杖[9]、飛び付きの杖[8]、賢者の聖水@DQ9(残り2/3) ふしぎなタンバリン@DQ8
銀の竪琴、笛(効果不明)、ヤリの秘伝書@DQ9、 光の剣@DQ2 ハッピークラッカーセット@DQ9(残り4個) 使用済みのハッピークラッカー
草・粉セット(毒蛾の粉・火炎草・惑わし草は確定しています。残りの内容と容量は後続の書き手にお任せします。)
※上薬草・特薬草・特毒消し草・ルーラ草は使い切りました。
支給品一式×10
[思考]:全員殺す 世界を壊す たとえ夢であろうと その為に休息しつつ片腕に慣れたい
睡眠をとる。
[備考]:性格はおじょうさま
448
:
◆oN0T8/322o
:2014/01/08(水) 23:57:39 ID:yUu2Bwnc0
投下終了です
ぎりぎりになってしまい申し訳ありません
代理投下お願いします
タイトルは「悲嘆、選択、そして…」です
449
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/01/09(木) 00:06:55 ID:???0
代理投下して来ました。
450
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/01/09(木) 00:07:23 ID:???0
途中送信失礼。
代理投下してて気になった点がありましたので、本スレのほうに書かせていただきました。
451
:
崩れ、生まれる銀の庭
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:40:50 ID:aEho6lwE0
牢獄の町、その深部。
「…良かったのかい、こんなに食べて」
ビアンカをなんとか宥めたリュカ―――に扮する影の騎士は、落ち着いた彼女に連れられて、食卓の前に座っていた。
食卓の上にあった料理は、彼らによってすっかり平らげられている。
「いいのよ、まだ食材もいっぱいあるし」
食器を片付けながらビアンカは言う。
食事中、彼らは、それぞれのこれまでの事を話していた。
無論―――影の騎士は、自らの行動を「いかにもリュカがしそうなこと」として話したのだが。
また、フローラの死のくだりも話してはいない。
ついでに、ビアンカの話にあったドラゴンの話も付け加えておいた。
…つうか、あいつも会ってたのか。
嘗て少し話を聞いたくらいだが、彼は魔族の中でもエリートだったはず。
彼も何か不満でもあったのだろうかと、僅かな疑問を覚える。
まあ、どうでもいいか。
そう結論付けた影の騎士は、改めて彼女に話しかける。
「それで、これからどうするんだい、ビアンカ?」
今後の事について、彼は少し焦っていた。
出来れば、放送が来る前に彼女の前から姿を消しておきたかった。
理由は簡単。リュカの事がバレれば、それは自分にとってリスクしか生まない、ということ。
そんな影の騎士の打算と裏腹に、ビアンカは笑みを浮かべた。
「まあ、それもいいんだけど、一つ質問いい?」
「一体なんだい?話せることは一応全部話したけれど」
「そのモノマネ、いつまで続けるの?」
452
:
崩れ、生まれる銀の庭
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:41:12 ID:aEho6lwE0
ドアが開く音で、リンリンは目を覚ました。
「…何ですか?」
小さく問うと、音の主―――リッカは笑って、
「あ、起こしちゃいました?」
と言った。
彼女はディパックの中から、どこからか持ってきた治療道具を取り出した。
それを手慣れた様子で扱い、怪我の治療の準備を始めた彼女を見て、リンリンは僅かに嫌がる。
「貸しなさい、自分で出来るわ」
自らの身体を扱う武闘家として、彼女がそれを他人に預けることは少なかった。
まして治癒を任せる相手など、それこそアレルかカーラの魔法ぐらいのものだ。
だが、リッカは譲らない。
「いいんですよ、これは宿屋としてやらなきゃいけないことなんですから」
そう言って、薬を取り出すリッカ。
どうやら、どうしても譲る気はないらしい。
リンリンは、はあ、と息をつく。
「仕方無いわね…でも、傷の治療だけにして」
今後、身体に支障がでるようなことはされたくないと主張するリンリン。
それを受け入れ、リッカは慎重に傷の治療を開始する。
しばらくの無言のあと、リッカは問う。
「あの…あなたは、この場所でどんなことをしていたんですか?」
「…え?」
あまりの急な言葉に、リンリンは少し固まる。
「…それを聞いて、どうするんです?」
「いいじゃないですか。少しぐらい」
笑顔で答えるリッカに、リンリンは少し考える。
自らの服に付いた鮮血から、自分が人を殺した―――少なくとも、人が死ぬ現場に居合わせたことは分かるはず。
…まあ、自分から言い出したことですもの。
後悔したとて自業自得だ。
そう思い、リンリンは自らのこれまでを語ることにした。
453
:
崩れ、生まれる銀の庭
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:42:29 ID:aEho6lwE0
「…気づいてたのかよ」
驚きに口を歪ませた影の騎士。それとは対称的に、笑みを深めてビアンカは言った。
「まあ、あいつとは長い付き合いだし…それに、サイモンのリボンにも何も言わなかったし」
そこで一旦区切り、ビアンカは笑みに僅かに憂いを含ませた。
「あなたの目に、見覚えがあるから」
「目?」
「そう、目。あいつに改心させられた魔物がたまにする、後悔とか葛藤とかがごっちゃになってる、そんな目」
―――彼女がかつて、初めてリュカが改心させた魔物を見た時もそうだった。
これまで人間と戦ってきたのに、共に戦うことが許されるのか、と。
それにビアンカが気付く事が出来たのは、やはり彼女がリュカの姿を見て学んでいたから。
「んで?どうすんだ?分かってんだろうが、あんたと仲が良かったリュカは死んだよ。
俺が、殺した。
なんなら、復讐でもするかい?大方、俺のことを憎んでんだろうが―――」
「あのね、」
ビアンカは、彼の言葉を遮って言う。
そんな目をしていた魔物に、彼女がいつか贈った言葉を。
「いつまでも、後ろ向いてんじゃないの!」
突然の強い言葉に、魔物が僅かに飛び上がる。
「あいつは、あんたを信じたんだから。
そんなに卑屈になるのは―――あいつへは、多分一番失礼よ」
その言葉を聞いた魔物は、しばらく無言だったが。
ふと、彼女に問いかけた。
彼がずっと求めていた幸せのカギが、見つかる気がして。
「…なあ。あいつは、どんな風に生きてやがったんだ?」
454
:
崩れ、生まれる銀の庭
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:42:55 ID:aEho6lwE0
「…まだ話の途中ですわよ?人の話は、最後まで聞くものではないですか?」
立ち上がった少女に、リンリンは言った。
話は、丁度佳境に入り―――青髪の女と、桃色髪の少女を殺した話を終えたところだ。
どうやら知り合いだったようだと、リンリンは醒めた心で思う。
そもそも、いくら御託を並べたところで、人間が抱いた本気の人間への殺意は抑えられない。
事実、今話した少女がそうだったではないか。
彼女は、それが修羅の道だとすら自覚せず、仇を討たんとしていた。
自分自身が守ろうとした人さえ見捨て。
あまつさえ、自ら手にかけて―――
………ああ、それをしたのは私でしたわね。
と、思考が追い付いた所で、リンリンは改めて隣の少女に目を向ける。
「それで、一体どうするんですか?
仇討ちなら、いくらでもお受けしますが」
あくまで丁寧に、相手の反応を伺う。
それに対し、リッカはしっかりと前を向いて答えた。
「そんなこと、しません。」
「…あら、意外な返事ですわね。てっきり、あの娘みたいに襲い掛かって来ると思っていましたが」
リンリンは意外と思いつつ答える。
とはいえ、それが虚勢であるだろうことは分かっていた。
彼女の頬は紅潮し、手は固く握りしめられている。
ただ、それでもリッカが手を出してこない事に、リンリンは感心していた。
「別に、耐える必要はありませんのよ?ある意味では、自然な衝動なのですから」
その頑なな姿勢に対し、彼女は揺さ振りをかけてみることにした。
もしかしたら、彼女は無意識に、アレルを勇者に仕立て上げた「一般人」の思考が知りたかったのかもしれない。
だが、彼女から返ってきたのは、あるいはあったかもしれない彼女の疑問への答えではなく、質問への答えですら無かった。
「あなたはどうして、人を殺すんですか?」
小さな声の、質問だった。
「…それを聞いて、どうするつもりですか?」
「わかりません」
震える声で、リッカは答える。
「宿屋の仕事は、どんなお客様にも公平に癒しを与えること」
そう、そんなことは分かっている。
でも。
「でも、それだけじゃないんです。
元気になった人が、笑顔で出ていくのを見守ること。そこまでが宿屋の仕事です。
だから、そのために話を聞くのは、私の仕事なんです
私にできるのは、宿屋の仕事だけだから」
だから、彼女は、出来ることを。
宿屋の仕事を完遂する。
「…いいでしょう。その代わり、後悔してももう遅いとは言っておきます」
リンリンは、目の前の少女がただの少女ではないと、その肌で感じる。
彼女もまた、あるいは戦士なのかもしれないと。
それを認め、リンリンは語りだす。
血に塗れた、勇者の話を。
455
:
崩れ、生まれる銀の庭
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:43:19 ID:aEho6lwE0
「そうして、眠っていた地獄の帝王を倒して、あいつはグランバニアに凱旋した…これが、あたしの知ってるリュカの全て」
長い長い、彼の人生を語り終え、ビアンカは一息を付く。
実のところ、彼女が知っているのはそのほんの一部だけである。
彼が道中に何を考えたのか、何を思ったのかなど、ただの幼馴染みである自分には分からない。
だが、今目の前にいる、この悩める魔物に道を示すために。
彼女が知っている彼の全てを、有らん限りの言葉として、伝えようとした。
だから、後は。
前を向くのも、逃げるのも、影の騎士次第だと。
ただ、その方向が自分と同じ事になる事を祈った。
しばらくの、無言のあと。
ふと、影の騎士が立ち上がる。
そして、傍らにある―――白銀の槍へと手を伸ばす。
………駄目、だったか。
ビアンカは動かない。
どんな選択をしようと、それは彼次第だと。
だから、彼がそれを選んだなら、悔しいけれど認めなければならない。
………あいつみたいには、できなかったな…
そして、ビアンカは顔を上げた。
それと同時に―――
「あンの、馬ッ鹿野郎ォォォォォォ!!!!」
咆哮が、そして槍を叩きつけた乾いた音が、町に鳴り響いた。
「なんなんだよそりゃ!!人には幸せを語りやがって、結局は自分が幸せになれなかったら意味ねーじゃねーか!!」
その叫びは、ある意味では懺悔だった。
「それともあれか?自分はどうでもいいってか?自分とは違う幸せなヤツを増やしてやりたい、救ってやりたいなんて思ってたのかよォ!」
彼の、儚い幸せを奪った自分への。
「…クソッタレが」
未だに荒ぶる気持ちを抑えられない様子で、影の騎士は走って行った。
その後ろ姿を見ながら、ビアンカは一人呟く。
「リュカ。あたしにも…出来たのかな?」
外に出た、未だリュカの姿を保つ影の騎士は、空を見て呟く。
「…いいぜ、まだ何もわかんねぇがよ…」
その手に、たった今填めた翠色の指輪を。
「テメエがそう思ってたんなら…掴んでやるよ、幸せって奴をよ」
そして、その目に輝きを伴って。
「テメエが、そっちで嫉妬する位に…な」
決意をした影の騎士は笑う。
「だから、安心して家族と寝てやがれ」
天へ向けた槍が、僅かに瞬いた。
456
:
崩れ、生まれる銀の庭
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:43:47 ID:aEho6lwE0
「…」
「だから、憎くて憎くて堪らないのよ―――あなたみたいな、他人任せにして、自分は何もしない人が」
リンリンの言葉が、だんだんと熱を帯びる。
「アレルが、それにどれだけ縛られたか分かる?」
再び、あの怒りが燃え盛る。
「あなたみたいな人間に、分かりもしないでしょう」
言い放つ。
怒りに任せ、吐き捨てるように。
そして、リッカは答えた。
「分からなくは…ないです」
「…ふざけないでもらえる?冗談なら…」
「冗談じゃありません!」
リッカは思わず叫ぶ。
「私だって、最初にセントシュタインの宿屋を任せられて、お父さんと比べられることが、本当は怖かった!」
他人の期待の重さは、知っている。
世界中の人ではなくても。
背負うことは、辛すぎると。
「ずっと、誰にも言えないで、抱え込んでて!」
押し潰されそうになって。
独りでは、耐えられなかった。
「―――だけど、私には、いたから」
―――独りでは。
「一緒に笑える仲間がいたから、だから私はこうやって仕事が出来るんです」
でも、独りじゃなかったなら。
分け合えたなら、それはあるいは耐えられるものだと。
「陳腐だけど、私は、皆がいたから生きてこれたんです」
「なら、何で」
なら。
「何でアレルは、いなくなったの?」
何で、私の親友は。
「私はあの子と、ずっと一緒に過ごしていたのに―――」
私の前から、消えたの…?
「それは、私には分かりません。
でも、あなたなら、分かるはずじゃないですか。
あなたが、その人と一緒にいたなら」
「―――そんなこと、今更言って何になるの!?」
何デ、今更気付カセルノ。
「あの子はもういないのに、どうしろって言うのよ!!」
モウ、戻レナイノニ。
「もう遅いのよ!!何もかも!!」
私ハ、彼ガ望ンダ事ヲシテイルト、
「なら、どうするんですか?」
信ジテ、
「決まっているわ。あの子を縛ったこの世界を壊す、それだけ」
イタカッタノニ、
「でも、それじゃ」
ヤメテ。
「あなたは、ずっと」
ヤメロ。
「その人に…」
ダマレ。
「五、月蝿い―――!!」
リンリンは、瞬時に拳を振るった。
相手は鍛えていないただの人間。頭蓋骨を狙えば、すぐに即死する。
そして、事実そうなった。
少女は赤い花を頭部に咲かせながら、石の壁にぶつかり、動きを止めた。
「……行かなきゃ」
リンリンは立ち上がり、ドアに手を伸ばして―――
457
:
崩れ、生まれる銀の庭
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:44:09 ID:aEho6lwE0
袋の中で、何かが、壊れる音がした。
それは、ある紳士に贈られた宝玉。
彼女はそんなことは知らず、ただ去り行こうとする少女に言った。
「その人に、自分を見て欲しかったんですよね?」
何故、自分はそんなことを言っているのかなど、分からない。
ただ、考えたことをぶつけるなんて、自分らしくもないことだ。
もしかしたら、それはささやかな復讐だったのかもしれない。
真実を突きつける、なんて、ちっぽけすぎる復讐。
―――だって、やっぱり本当の気持ちは、抑えられないから。
そんなことを考えながら、リッカは目の前に迫ろうとする拳を見ていた。
もしも。
真実を、彼女が認めたなら。
その拳は飛んでこなかっただろう。
だが、ある意味で純粋すぎたその少女が認めるには、重すぎたのかもしれない。
だから、その拳は放たれた。
彼女に理解させてしまった元凶を、打ち抜くために。
そして、銀色が閃く。
「おれは、もう」
白銀の盾が、拳撃を止めた。
「ともだちを、失いたくない」
マントを翻し、騎士は呟いた。
「頼む、もう…やめてくれ」
その硬直の一瞬。
外では、追ってきた女が魔物に追い付いた、その時。
彼らに、四回目の悪魔の声が訪れる。
458
:
崩れ、生まれる銀の庭
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:44:44 ID:aEho6lwE0
【A−4/ろうごくのまち前/早朝(放送直前)】
【影の騎士@DQ1】
[状態]:健康
[装備]:メタルキングの槍@DQ8、命のリング@DQ5
[道具]:基本支給品一式、変化の杖@DQ3、ゾンビキラー@DQ6
バシルーラの杖@、魔法の聖水@シリーズ全般
[思考]:あいつよりも、幸せになってやる。
【ビアンカ@DQ5】
[状態]:健康、リボンなし
[装備]:女帝の鞭@DQ9、エンプレスローブ@DQ9
[道具]:支給品一式、炎のリング@DQ5、カマエル@DQ9
[思考]:影の騎士、リッカを見守る。
[備考]:カマエルによって錬金釜の使用方法を教わっています
ビアンカの傷が治っているのはミネアのメガザルによる効果です。
第三回の放送内容をサイモンから聞きました。
【A-4/ろうごくのまち・居住区/早朝(放送直前)】
【リッカ@DQ9】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:大量の食糧(回復アイテムはなし)、支給品一式
[思考]:絶望しない、前を向く。
[備考]:寝ていたため、第二放送を聞き逃しています
【サイモン(さまようよろい)@DQBR2nd】
[状態]:騎士は、二人の"ともだち"。
[装備]:さまようよろい@DQ5、ミネアの頭の飾り、ミネアの首飾り、アリーナのマント(半焼)
アリーナの帽子、エイトのバンダナ、アレルのマント、ギュメイ将軍のファー
[道具]:なし
[思考]:リッカを見守る
“ともだち”を守る。
[備考]:マホトーンを習得、今後も歩くことで何か成長を遂げるかもしれません。
胸部につけているミネアの飾りが光り輝いています。
【リンリン@DQ3女武闘家】
[状態]:HP1/20(回復中)、全身に打撲(重・処置済)、全身に裂傷(重・処置済)中度の火傷(処置済)、左腕喪失(処置済)、睡眠
[装備]:星降る腕輪@DQ3 オリハルコンの棒@DQS
[道具]:場所替えの杖[6]、引き寄せの杖[9]、飛び付きの杖[8]、賢者の聖水@DQ9(残り2/3) ふしぎなタンバリン@DQ8
銀の竪琴、笛(効果不明)、ヤリの秘伝書@DQ9、 光の剣@DQ2 ハッピークラッカーセット@DQ9(残り4個) 使用済みのハッピークラッカー
草・粉セット(毒蛾の粉・火炎草・惑わし草は確定しています。残りの内容と容量は後続の書き手にお任せします。)
※上薬草・特薬草・特毒消し草・ルーラ草は使い切りました。
支給品一式×10
[思考]――――――――――
[備考]:性格はおじょうさま
459
:
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 00:45:33 ID:aEho6lwE0
仮投下終了です。
460
:
◆oN0T8/322o
:2014/03/01(土) 14:25:11 ID:aEho6lwE0
すいません、またやらかしました…
リンリンの状態表を変え忘れました
【リンリン@DQ3女武闘家】
[状態]:HP7/10、全身に打撲(重・処置済)、全身に裂傷(重・処置済)中度の火傷(処置済)、左腕喪失(処置済)、思考停止
[装備]:星降る腕輪@DQ3 オリハルコンの棒@DQS
[道具]:場所替えの杖[6]、引き寄せの杖[9]、飛び付きの杖[8]、賢者の聖水@DQ9(残り2/3) ふしぎなタンバリン@DQ8
銀の竪琴、笛(効果不明)、ヤリの秘伝書@DQ9、 光の剣@DQ2 ハッピークラッカーセット@DQ9(残り4個) 使用済みのハッピークラッカー
草・粉セット(毒蛾の粉・火炎草・惑わし草は確定しています。残りの内容と容量は後続の書き手にお任せします。)
※上薬草・特薬草・特毒消し草・ルーラ草は使い切りました。
支給品一式×10
[思考]――――――――――
[備考]:性格はおじょうさま
としていただけると有難いです。
461
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/03/03(月) 18:52:54 ID:???0
投下乙です
リンリンはついに壊れちゃったか...
お前のマントの持ち主の代わりに色々ガンバレサイモンw
そして漸く「幸せ」に気づいた影の騎士 果たして掴み取れるのだろうか?
462
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/03/04(火) 01:47:49 ID:???0
投下乙!
ただ、話を聞いてあげたくて、それから感じ取ったものが、彼女にとっては残酷で。
そして、魔物は真実を知り、新たな道を突き進む。
463
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:51:57 ID:???0
ビアンカが気づいた時、そこは森だった。
よろよろと立ち上がり、彼女は近くを見回す。
しかし、見回したところで彼やあの魔鳥がいる訳でもない。
「…」
おそらくはあの杖の力で、自分が逃がされたと。
そんな真実を自らに突きつけてしまうだけだった。
自分の手で幸せを掴もうとしたばかりの彼を、死へ向かわせてしまった。
「…ごめんなさい…」
自分が代わりになれていたら。
元から知っていた友もいなくなり、未来もないような自分が、あの未来ある魔物に希望を託せていたらと。
そんな事は彼が許さないだろうと分かっていながら、いるからこそ後悔は渦を巻いて彼女の心を襲う。
「…本当に、ごめんなさい…」
涙がこぼれる。
取り残された者の哀しみが、森の深い霧と同じように彼女を包み込む。
「…ごめんなさい。そして、」
涙をこぼしながら、彼女は呟く。
幸せを求めて、最期まで戦っていた騎士を悼んで。
そして―――
「ありがとう」
「行かなくちゃ、あなたに顔向けできないわ」
いつまでも立ち止まったままでいる訳にはいかない。
それが彼の選択ならば、それに自分がしがみついている暇はない。
前を向くために。
彼の意志に応えるために。
464
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:52:32 ID:???0
「まずはリュカやフロー……あれ?」
はずだった。
「私、今…なんて…?」
僅かな心のスキマに、森に渦巻く霧が潜んでいなければ。
「…そう、そうよ、帰ったらまずは二人の墓を作らなきゃって思ったんだ」
じわりじわりと、霧は染み込む。
「行きましょう」
絶望を作るために。
465
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:53:01 ID:???0
ゲロゲロ、ソフィア、ゼシカの3人は、当初の予定通り北上していた。
ゲロゲロの、不意打ち警戒するべきという助言により、彼らが歩くのは禁止エリア沿い。
体の傷は、ゲロゲロが持つ杖、祝福の杖によって3人ともかなり回復していた。
もうすでに参加者は少ない。
これ以上無駄な被害者を出さないために、彼らはひたすら突き進んでいた。
ふと、草がすれ合う音がした。
とっさに身構え、質問を放つ。
「へい、そこのアンタ。ちょっと止まってくれる?
武器を置いて、名前を言ってくれるとありがたいね」
武器を置くような音の直後、返答が返ってきた。
「あたしはビアンカ。あなたたちは?」
「ソフィア、ゼシカ、それと―――にわかには信じられないかもしれねぇが、ムドー」
「…へぇ」
案の定、返事は訝しげだ。
それはそうだ。参加者の一覧に載っているムドーは魔物。
魔物が人間とともにいれば、疑われるのは当たり前。
どうやって説明するかと、3人は考えたが―――
「一つ質問」
事態はそう厳しくはなかった。
「リュカという人間を知っている?
知っていれば、その特徴も」
466
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:53:53 ID:???0
ゲロゲロが話した、リュカ、そしてその周囲の人々の旅路。
それは、ビアンカを信用させるに足るものだった。
だが。
「…つまり、リュカを殺したのは」
それは、リュカの最期の真実を彼女に伝える、残酷な物語だった。
「おい、こいつを恨むのは筋違いってもんだぞ。
こいつだって、やりたくてやった訳じゃ―――」
「いいのだ、ソフィア。これは私が受けるべき罰だ」
ムドーとしてやったこと。それは今の自分がゲロゲロだからといって、許されていいことではない。
「すまない…私は貴女の大切な人々を死に追いやってしまった」
魔王はひたすらに謝罪する。
彼らを―――タバサを、フローラを、リュカを。
死なせてしまった自らの不甲斐なさが、今更ながらに心を責め立てた。
「本当に、すまない…」
こんなに滑稽な王がいただろうか?
いないだろう。自分はもう王ではない。
惨めでちっぽけな情けない、只の魔物なのだ。
せめて今、ここで断罪が下るならば、甘んじて受けるのみだと。
そうして頭を下げ続けるゲロゲロを、ビアンカは。
ゆっくりと抱きしめた。
467
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:54:18 ID:???0
「…謝る必要なんてないの。だってあなたは今、私に謝れる程に心優しいじゃない」
赤ん坊をあやす母のように、ビアンカは語りかけた。
「いつまでも引きずっていても、前が見えるわけじゃない。
今ここでする事は、私に謝ることではないわ。」
先刻の影の騎士と同じように、リュカが言っていた事を思い浮かべて。
それに、彼女自身の気持ちをのせて。
「心を一つにして、デスタムーアを倒す。
そうして、皆で再び、幸せをつかめばいいんだと、私は思う」
そして、彼女は微笑む。
僅かな狂気を孕んだ顔で。
「それが、二人も喜んでくれるだろうし」
その独り言が、三人の耳に入る事はなかった。
468
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:55:00 ID:???0
(…どういうこった)
聞こえはしなかったが。
怪しんでいる者はいた。
ソフィアである。
(あの目、なんというか…既視感がある?
それに、さっきからちらちら、殺気が出てる…
やっぱり、ゲロゲロを憎んでるのかね)
だが、それなら。
ゲロゲロに語りかけた時に殺気が微塵もなかったのは不自然だ。
それに、殺気が発するポイントもバラバラだ。核心を突かない様な所でも関係ない。
まるで、心までバラバラになったかのようで。
(…そうだ、この違和感。
食い違ったことを受け入れて、しかもバカに機嫌がいい。この違和感は)
狂気に囚われた、ミーティアと同じ。
彼女と違って死を受け入れてはいるようだが、場所が場所だ。その可能性はかなり高い。
ならば。
確かめ、そしてもし思った通りならその目を醒ますため。
ソフィアはビアンカに近付こうとした、その瞬間に。
「伏せて!」
周囲を警戒していたゼシカの緊迫した一声が、静寂を切り裂く。
469
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:56:41 ID:???0
同時に放つのは、凍てつくような冷気の呪文。
それにより散らされたのは、深紅の業火。
そして、それを放ったのは―――
「貴様も、か。魔王の威厳まで無くし、無様なものよ」
魔鳥ジャミラス。
ジョーカーとして送り込まれ、今なおその役目を全うせんと飛び続ける、大魔王の忠君。
地上へと降り立ちながら、彼は
「何故人間なんぞと共にいる?ムドーよ、我らがここに来た目的を忘れたのか?」
「その名で呼ぶな。今の私はもうムドーではない。
私の名前は、ゲロゲロだ」
その目にある、魔王にはあり得ないような希望の光にジャミラスは顔を歪めた。
「ふん、そこまで面白くもない戯れ言を言えるなら世話はないな。
それと―――そこの女。さっきぶりだな」
話しても無駄だと思い、矛先を変える。
つい先程も勝てない事を見せつけてやったにも関わらず、希望を目に宿す女に。
「ヤツの犠牲も、大して意味はなかったと言うわけか。どうする?尻尾を巻いて逃げ出した方が、ヤツの意を汲んでいると思うがな」
「悪いけど、そういう訳にはいかないわ。
こんなところで諦めたら、皆に顔向けできないもの」
そして、彼女は叫ぶ。
「あいにく、諦めは悪いのよ!
猛る火焔よ、善なる左手に集え。そして、太陽の如く溶かせ!穿ち、進め! メラゾーマッ!」
470
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:57:03 ID:???0
ビアンカの手から、燃え盛る火球が噴き出す。
心からの想いが詰まった火球は、先程放った物より遥かに強い。
「諦めが悪いのは弱者の証拠とは、よく言ったものだな。
つい先程言ったはずだぞ、微温いと!」
だが通じない。
あっさりと火球は破られ、ジャミラスは一気に肉薄する。
そして、その爪を振り下ろそうとして―――
一閃の銀に、身を引いた。
「殺し合いやるってんなら、容赦する気はないんでね」
ソフィアが、天空の剣を改めて正眼に構える。
「ビアンカさん、こっちです!
荒れ狂え、地獄の使いよ!集え、深紅の炎!メラゾーマ!」
ビアンカに声を掛けつつ、火球を放ったのはゼシカ。
先程のビアンカと見た目は似た火球だが、ジャミラスはその危険度を瞬時に察知した。
業火から身を引いた魔鳥の上空で、音が生まれる。
イオン化した空気が放つ、はじけるような音。
ムドーの放った稲妻が、ジャミラスを襲う。
迸る光に身を引き、態勢を立て直す。
仕切り直し。
471
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:57:42 ID:???0
だが、尚もこちらへ向かって来ようとするビアンカに気付き、ジャミラスは呆れの視線を飛ばす。
「救えないヤツだな。女、ここまで力の差を見て、尚も向かってくるのか?
全く、愚かなものよ」
「さっきも言ったでしょう?諦めは悪いの」
だが、そこには確かな光があった。
自分の出来ることを見つけた、そんな光が。
「どいつもこいつも…呆れたものだ」
「余計なお世話だ」
「全くね」
それが合図になり、再び戦いが始まった。
ジャミラスに襲い掛かったのは、冷気と剣。
そして―――見分けのつかない、二つの火球。
「なっ…」
魔王と勇者の放つ殺気が、魔鳥に火球の危険度を教えない。
これが、ビアンカの見つけた『出来ること』。
これに対し、ジャミラスは。
「小癪な…!」
吐き出した炎で火球の一つを打消し、勇者と自分との狭間にもう一つの火球と冷気を挟む。
そして、そのまま後衛の二人へと突撃しようとして。
迫り来る三つ目の火球が、翼を掠めた。
完全な不意打ちに、ジャミラスは狼狽える。
いかに高速詠唱をしたとしても、呪文を放つには早すぎる。
何故―――そこでジャミラスは思い出す。
目の前にいる魔王が自分たちの主に与えられた書物。
呪文を一度の詠唱で2回放つことを可能とする、そのアイテムの名は。
「賢者の秘伝書か…猪口才な」
472
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:58:23 ID:???0
少し回復したとはいえど、ゼシカの魔力は残り少ない。
それを思い出したゲロゲロは、先程の稲妻の陰でそれを彼女に投げ渡していた。
「…厄介な」
ただでさえ強力な呪文を、連続で放ってくる赤毛の女。
さらにそれを見分けづらくする、金髪の女の攪乱。
近接攻撃で向こうへと踏み込ませない、翠髪の女。
そして、自らと同じ四魔王の一人。
一見すると不利極まりないが、敵―――特に翠髪と赤毛の女に魔力は少ない。
魔力が尽きてしまえば、翠髪はともかく、赤毛は無力となるだろう。
そして、そうなってしまえば、いくらでも突き崩す余地が出てくる。
それに、策を弄したところで、あの魔王は見破ってくるだろう。
つまり、―――逃げ場もない。
結論。
「ふん、いいだろう」
相手にとって、不足はない。
決死の戦いが始まろうとしていた。
473
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:58:56 ID:???0
殺しなさい 何を
あの2体を どうして
リュカとあの魔物を殺した なぜ 彼らは生きてる
いいえ 死んでる そう
なら? 殺せばいい
やつらを殺せ いや そんなことは
目の前の魔物が 二人を殺した
そんな ゲロゲロさんは 何故?
だってあれは ムドーが 本当に?
嘘じゃないの? 違う
皆 うそつき なら
みんな ころせばいい
「…違う」
自らの心を覆う闇を否定し、ビアンカは改めて眼前の魔鳥を見据える。
彼女の瞳の中に二つ、紫色のターバンが翻った。
【Eー4/森/昼】
【ソフィア(女勇者)@DQ4】
[状態]:HP4/5、MP1/4表情遺失(人形病)
[装備]:天空の剣@DQ4、メタルキングの盾@DQ6、メイド服@DQ9、ニーソックス@DQ9
[道具]:ソードブレイカー@DQ9、小さなメダル@歴代、オリハルこん@DQ9
キメラの翼@DQ3×5、奇跡の剣@DQ7、ブロンズナイフ@歴代
基本支給品*2、聖なる水差し@DQ5
[思考]:終わらない 殺し合いを止める 北へ。
ジャミラスを倒す。
[備考]:六章クリア、真ED後。
【ゼシカ@DQ8】
[状態]:HP4/5、MPほぼ0
[装備]:さざなみの杖@DQ7、おふとん@現実
[道具]: 賢者の秘伝書@DQ9
[思考]:首輪を外し世界を脱出する。北へ。
ジャミラスを倒す。
474
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 18:59:39 ID:???0
【ゲロゲロ@DQBR2nd】
[状態]:HP4/5
[装備]:スライムの服@DQ9、スライムヘッド@DQ9、雷の刃@DQS
[道具]:支給品一式*4、超万能薬@DQ8、トルナードの盾@DQ7、ビッグボウガン(矢なし)@DQ5
パパスの剣@DQ5、祝福の杖@DQ5,王女の愛@DQ1,デーモンスピア@DQ6、結婚指輪@DQ9
[思考]:ゲロゲロとして、生きる。北へ。
ジャミラスを倒す。
[備考]:ムドーが死に、彼が呼び覚まされました。
主催者が彼をどう扱うかは未知数です。主催からアイテムに優遇措置を受けていました。
【ビアンカ@DQ5】
[状態]:HP9/10、リボンなし、精神に異常(自覚あり、今は押し留めている)
[装備]:女帝の鞭@DQ9、エンプレスローブ@DQ9
[道具]:支給品一式、炎のリング@DQ5、カマエル@DQ9
[思考]:前を向かなければ でも…
ジャミラスを倒す。
[備考]:カマエルによって錬金釜の使用方法を教わっています
ビアンカの傷が治っているのはミネアのメガザルによる効果です。
第三回の放送内容をサイモンから聞きました。
霧のせいで精神に異常をきたしています。
【ジャミラス@DQ6】
[状態]:HP3/7
[装備]:ルカナンソード@トルネコ3、サタンネイル@DQ9、はじゃのつるぎ@DQ6
[道具]:剣の秘伝書@DQ9、超ばんのうぐすり@DQ8(半分のみ) 支給品一式*3、メタルキングの槍@DQ8、命のリング@DQ5
変化の杖@DQ3、バシルーラの杖@、魔法の聖水@シリーズ全般
[思考]:こいつらを殺す。
[備考]:支給品没収を受けていません。飛行に関して制限なし。
ターニアの件の真偽は不明です
475
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 19:00:24 ID:???0
ところで、今金髪の女が知っている事実として。
かつて、天空の勇者とその家族は、3つのリングを捧げ、暗黒の世界へ向かっていった。
今、そのリングは段々と近づきつつある。
1つは、女が持つ袋の中で。
1つは、魔鳥の持つそれの中で。
1つは―――数百メートル南東。
翠の髪の少女がその位置を知る、ある遺体の指に。
476
:
幻にしがみついて
◆oN0T8/322o
:2014/09/17(水) 19:01:19 ID:???0
投下終了です。
どなたか代理投下お願いします
477
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/09/18(木) 01:04:48 ID:???0
いってきます
478
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/09/18(木) 01:37:52 ID:???0
志半ばでさるりました……
しかも2レス目の改行を忘れるという愚行
大変申し訳ありません……
479
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/09/18(木) 02:50:49 ID:???0
代理行ってきます
480
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/09/18(木) 02:54:28 ID:???0
最後のレスの改行が無視されてしまいました…
申し訳ありません
481
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/09/26(金) 01:22:49 ID:???0
【C-5/東部/昼】
【ジャミラス@DQ6】
[状態]:HP3/7、ターニアに変化
[装備]:プラチナソード、サタンネイル@DQ9、はじゃのつるぎ@DQ6
[道具]:剣の秘伝書@DQ9、超ばんのうぐすり@DQ8(半分のみ) 支給品一式*3、メタルキングの槍@DQ8、命のリング@DQ5
変化の杖@DQ3
[思考]:勝ち残る。
[備考]:支給品没収を受けていません。飛行に関して制限なし。
ターニアの件の真偽は不明です
【ロッシュ@DQ6】
[状態]:――――――――――――
[装備]:
[道具]:支給品一式 、白紙の巻物@トルネコ、聖者の灰@DQ9、食材やら水やら(大量)、調理器具(大量)
[思考]:――――――――――――
【カイン(サマルトリアの王子)@DQ2】
[状態]:HP1/10 脇腹打撲 肋骨が折れる、内蔵微損傷、首輪解除、ゴーグル喪失、重傷 、気絶
[装備]:ロトの剣
[道具]:支給品一式×8、モスバーグ M500(2/8 予備弾4発)、オーガシールド@DQ6、満月のリング@DQ9
世界樹の雫@DQ6、エルフの飲み薬@DQ5、デュランの剣@DQ6、もょもとの手紙、毒入り紅茶
竜王のツメ@DQ9、ツメの秘伝書@DQ9、不明支給品(リア確認済み)
[思考]:――――――――――――
※旅路の話をしましたが、全てを話していない可能性があります。少なくともリアについては話していません。
【ゲロゲロ@DQBR2nd】
[状態]:――――――――――――
[装備]:スライムの服@DQ9、スライムヘッド@DQ9、雷の刃@DQS
[道具]:支給品一式*4、超万能薬@DQ8、トルナードの盾@DQ7、ビッグボウガン(矢なし)@DQ5
パパスの剣@DQ5、祝福の杖@DQ5,王女の愛@DQ1,デーモンスピア@DQ6、結婚指輪@DQ9
[思考]:――――――――――――
[備考]:ムドーが死に、彼が呼び覚まされました。
主催者が彼をどう扱うかは未知数です。主催からアイテムに優遇措置を受けていました。
「定時放送、禁止エリアなし。
死者、影の騎士、リッカ、リンリン、マリベル、以上四名
残り、八名」
やけに機械的な声だけが、放送として告げられる。
その責務を背負っていたはずのものは、すでにそこには居ない。
次に逢い見えるのは。
惨劇の、舞台。
【残り 8人】
※アクバーが会場に登場しました、いつ、どこで、どのように現れるかは不明です。
※アクバーの目的は不明ですが、デスタムーアの命であることは確かです。
----
以上で投下終了です。
特に問題がなければ、9/28の0時には予約解禁にしたいと思います。
482
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/11/29(土) 00:42:08 ID:???0
本筋とはあまり関係のないことなのでこちらで失礼します。
とても今更なのですが
>ここにいる訳がない、死んだはずの彼女がいた。
と、ありますが、これは"エンディングのシンシアは幻だった"ということでしょうか。
すでに結論の出ているものでしたらすみません。
その上単なるふとした疑問ですので、きちんとしたお答えでなくとも大丈夫です。
483
:
◆CruTUZYrlM
:2014/11/29(土) 01:39:28 ID:???0
>>482
レスありがとうございます。
本編では六章エンドのシンシアについて特に触れていませんが、
ご存じの通り解釈の分かれる要素となっています。
どちらも取れるあやふやな要素なので、本編で揺るぎない事実である「シンシアは死んでいる」にフォーカスさせていただきました。
ただ、今回の投下で今後の展開を絞るつもりもありません。
幻説でも、蘇生説でも自由に描写していただければと思っています。
DQ2ndのソフィアは、必ずしもラストシーンでシンシアに会っているわけではない、くらいで読んでいただけると幸いです。
484
:
ただ一匹の名無しだ
:2014/11/29(土) 23:10:37 ID:???0
おお!わざわざありがとうございます!
485
:
死体描写なし修正版
◆1WfF0JiNew
:2014/12/03(水) 23:51:25 ID:???0
「久しぶり、バーバラ」
崩れ落ちた瓦礫。乾いた血飛沫。
かつては天真爛漫な笑顔を見せてくれた少女はどうしようもなく終わっていた。
彼女が最後にいたという場所で、ロッシュは静かに佇み、彼女への想いに浸っている。
(ま、感傷だよねぇ。死者は生者とは大きな隔たりがある。今更、君に声をかけても――届かない)
彼女の魂は今もデスタムーアに囚われているのだろうか。
それとも、どこでもない無の世界へと溶けていったのか。
ロッシュ自身が言ったように、幾ら考えても感傷の領域を出ない。
ビアンカが彼女と同行していたというが、又聞きで詳しくもわからず本心はやはり闇の中だ。
486
:
◆1WfF0JiNew
:2014/12/03(水) 23:51:53 ID:???0
本スレに落とすには短すぎるのでこちらに修正版を投下しました。
487
:
◆KV7BL7iLes
:2014/12/04(木) 20:58:43 ID:R69Ok5660
最後の最後で規制が…
状態表だけこちらに投下します
【A-4/ろうごくのまち跡/夜中】
【ビアンカ@DQ5】
[状態]:健康、首輪解除
[装備]:モスバーグ M500(2/8 予備弾4発)、祝福の杖@DQ5、エンプレスローブ@DQ9、ブロンズナイフ、リッカのバンダナ@DQ9
[道具]:支給品一式、炎のリング@DQ5、カマエル@DQ9、調理器具(大量)、ふしぎなタンバリン@DQ8、聖なる水差し@DQ5
小さなメダル@歴代、命のリング@DQ5、白紙の巻物@トルネコ、猫車@現実、結婚指輪@DQ9、キメラの翼@DQ3
[思考]:生き残り、彼らの分まで夢を叶える。
[備考]:カマエルによって錬金釜の使用方法を教わっています
【ロッシュ@DQ6】
[状態]:健康、首輪解除
[装備]:銀河の剣@DQ9、トルナードの盾@DQ7、星降る腕輪@DQ3
[道具]:支給品一式、
[思考]:諦めない。ジャミラスには落とし前をつける、やり残したことを済ませる
【ゲロゲロ@DQBR2nd】
[状態]:健康、首輪解除
[装備]:メタルキングの槍@DQ8、地獄の魔槍@DQ9、パパスの剣@DQ5、サタンネイル@DQ9、スライムの服@DQ9、スライムヘッド@DQ9
[道具]:支給品一式、ヤリの秘伝書@DQ9、王女の愛@DQ1
[思考]:己が信念を貫く。
[備考]:ムドーが死に、彼が呼び覚まされました。
これで投下終了です
488
:
未来へ――――
◆CruTUZYrlM
:2014/12/08(月) 01:24:22 ID:???0
【ロッシュ@DQ6】
[状態]:健康、首輪解除
[装備]:銀河の剣@DQ9、トルナードの盾@DQ7、星降る腕輪@DQ3
[道具]:支給品一式、
[思考]:諦めない。ジャミラスには落とし前をつける(?)
【ゲロゲロ@DQBR2nd】
[状態]:健康、首輪解除
[装備]:メタルキングの槍@DQ8、地獄の魔槍@DQ9、パパスの剣@DQ5、サタンネイル@DQ9、スライムの服@DQ9、スライムヘッド@DQ9
[道具]:支給品一式、ヤリの秘伝書@DQ9、王女の愛@DQ1
[思考]:己が信念を貫く。
[備考]:ムドーが死に、彼が呼び覚まされました。
【ジェノシドー@DQBR2nd(DQMシリーズ)】
[思考]:絶望を、与える
[備考]:アクバーが"夢"の力とジャミラス、デュランの肉体によって変異しました。
----
以上で投下終了です。
ご意見、ご感想などあればお気軽にどうぞ。
489
:
渇望1/6
◆S0i4l3vvG2
:2015/10/29(木) 15:31:08 ID:5745YWtY0
暗い闇の中をわたしは漂っていた。
そこには何もない。光も、熱も、魂すら……。
わたしは漂っていた。
そう過去形だ。
なぜならわたしは何者かによってその暗闇の海から引きずり出されたからだ。
誰かはわからない。
気づけばわたしは玉座の間と思わしき場所に佇んでいて、そこにはわたし以外誰一人として存在していなかったからだ。
いや、思わしき場所ではない。ここは玉座の間だ。
忘れもしないわたしの居城となるはずだったデスパレス。魔族の長たるわたしエビルプリーストが座る場所だ。
そしてこの場でわたしはあの勇者を名乗る下賎な人間とあろうことかそやつらと手を組んだ憎き裏切り者のピサロと相対し敗れた。
思い出すとわたしの魂の奥底からドス黒い憎悪がこみ上げて来る。
奴らはわたしの悲願を、踏みにじった。進化の秘法で究極の存在となったはずの私を打ち砕いて滅ぼした。
何故だ、わたしは最強の存在となったはずではなかったのか。
あの伝説の帝王エスタークをも超越した至高へと辿り着いたのではなかったのか。
わたしは叫んだ。
なぜわたしがここに居るのかわからない。ただ無性にわたしを殺した全てのものにこの憎しみを伝えたかった。
そんなことができるわけがない。ただそれでも我が内から溢れる憎悪を形にして吐き出したかった。
そうしなければ壊れてしまいそうなほど私は昂ぶっていた。
だがその行動は恐るべき結果をもたらす。
このわたしを中心とした破壊の衝撃によってデスパレスが粉々に砕け散ったのだ。
わたしは変身していない。わたしの中にある進化の力はいまだに眠っていることが感じられる。
そう進化の力は失くしていない。なのに未だ秘法を使用しない状態で城を粉々にするほどの魔力を放出できたことがわからない。
進化後ならばまだしもそうでないわたし自身がここまでの力を発揮することはできなかった筈だ。
ふと吹きさらしになった玉座の間の外を見る。
そこは見知った世界の景色ではなかった。虹色と鈍色が斑になったような奇妙な空間。
得体の知れぬ場所にこのデスパレスは浮遊していたのだ。
490
:
渇望2/6
◆S0i4l3vvG2
:2015/10/29(木) 15:32:06 ID:5745YWtY0
ここは何処なのだ?
なぜこのような異常な場所にデスパレスが存在していたのか。
死んだはずのわたしが何故このような場所にいるのか。
わたしはまだ死んでいてここは死後の世界とでもいうのか。
では先ほど放出した魔力の津波はなんだというのか。
これこそわたしが生きている証ではないのか。
再び魔力を、今度は意識して高める。わたしの身体が変化を――いや、進化を始める。
我が皮膚は白く染まり硬質化していき、筋繊維は赤く露出し巨大化していく。
古き四肢は新生し強靭な魔王の腕が現れる。
そしてわたしの首はグズグズに融解し、それらは新たな魔王の貌を形作る。
わたしはエビルプリースト。至高にして唯一の存在。
そしてわたしは理解した。
わたしは神となった。
このデスパレスは神として新生するわたしの卵の殻だったのだ。
その象徴としてわたしが死したデスパレスを模してわたしの魂の新生を包みこんでいた。
誰がそうしたのかはどうでもいい。いや、わたしは元々そうなる運命だったのだろう。
進化の秘法は神へと至る秘法であり、奴らに破れ死することもその道程のひとつだったのだ。
だがまだわたしには足りないものがあることを理解する。
このまま元の世界へ還りすべてを支配する――ということはできない。
わたしは言わばまだ未完成の神でありこのゆりかごの空間から出ることはできないのだ。
生贄が要る。
わたしの器を満たすための餌が。それも極上のものが。
ただ強いだけの者ではだめだ。数多の選ばれし魂をぶつけ合い、磨きぬかれた器となった生贄が。
491
:
渇望3/6
◆S0i4l3vvG2
:2015/10/29(木) 15:32:42 ID:5745YWtY0
粉々になったデスパレスを復元し、造りかえる。わたしに相応しい居城となるように。
次にわたしは奴らによって殺されてしまった手駒たちを蘇生させ我が前に跪かせる。
奴らは神となったわたしの力を理解したのだろう。わたしを主と認め平伏した。
魔性と野性の理想形ヘルバトラー。
剛力無双ギガデーモン。
増殖する魔竜アンドレアル。
獅子王キングレオ。
錬金術師の成れの果てバルザック。
彼らにあることを命じ、わたしはこの牢獄の空に箱庭世界を創世する。
元居た神々が創り上げた世界とは比べるべくもない小さなものであるが、
神として産声を上げたばかりのわたしとしては仕方のないことだ。
真の神として覚醒した後はかの世界を破壊してわたし好みの新たな世界を創世してやろう。
わたしは生贄に相応しいものたちを検索する。
資格ある魂の格を持つものたちは過去未来異次元全て含めて十ほどの世界から感じ取れた。
わたしに備わった新たな力を使いその資格ある者たちをこのゆりかごの世界へと引き寄せる。
誤算なことに魂の格が見合わぬ弱き者も幾人か混じってしまったようだが問題はないだろう。
まかり間違ってそれらが勝ち抜いたとしてもそうなることで魂の格が磨き上げられて相応しいステージへと至っている筈だ。
この大規模召喚は神となったわたしを持ってしても困難を極め、78の贄をこの城へと召喚し終えた頃にはほぼ全ての力を使い果たしていた。
だがそれでも問題ない。生贄たちには飼い主たつわたしに逆らえぬように首輪を付けている。文字通り行動を縛る鎖として。
突如召喚されて混乱しているのであろう。ざわめいている彼らをしばらく面白く眺めていたが、いつまでもそうしていても始まらない。
わたしは挨拶をしてやることにした。
パチンと指を鳴らすと薄暗かった広間をわたしの魔力が明るく照らし出し、互いの姿と一際高い殿堂にいるわたしの姿をあらわにする。
効果は会ったようで一同に会した生贄たちの視線をわたしへと集めることに成功した。
492
:
渇望4/6
◆S0i4l3vvG2
:2015/10/29(木) 15:33:32 ID:5745YWtY0
「ようこそ、わたしの居城へ。さっそくだが目的を伝えよう。
―― 君たちには 『殺し合い』 をしてもらう ――」
動揺の気配が広がっていくのがわかる。
彼らは勇者だ魔王だとかつて己のいた世界では名をはせた連中なのだろう。
そんな彼らをわたしが翻弄しているかと思うと愉悦を感じざるを得ない。
「いわばバトルロワイアルとして残り一人となるまで殺しあうゲームだ。
生き残った一人にはわたしの名にかけて望みを叶えてやろう。わたしは――」
そこでふと言葉を止める。
わたしはエビルプリースト。魔界の神を崇めし司祭であり、本当の名は神へと捧げてそれこそがわたしの洗礼名だった。
しかしながら神となったわたしには相応しくないように思える。
神の名を考えねばならない。
「わたしはかつてエビルプリーストと名乗っていたものだ。我が真名は再びわたしの前に立った者に教えてやろう」
「貴様! 生きていたのか!?」
金切り声をあげるねずみの一匹へと視線をやるとそこには薄汚い裏切り者ピサロの姿があった。
「黙ってわたしの話を聞いておれ、ネズミ。いや首輪に繋がれた犬、か」
「何?」
自分の首に付けられた金属塊には気がついていたのだろう。
不穏な空気を感じ取ったのか奴は動きを止め首輪に触れながらわたしを睨み付けるにとどまった。
493
:
渇望5/6
◆S0i4l3vvG2
:2015/10/29(木) 15:34:17 ID:5745YWtY0
舌打ちする。ここで見せしめとしてみじめに殺すのも復讐としてひとつの道だったが……まぁいい。
わたしを完成させるための生贄として悲惨な殺し合いの坩堝へと叩き込むほうが楽しめると思おう。
「ひとつ伝えておこう。諸君らには首輪を付けさせてもらった。それはわたしの任意で爆破することができる。
例え魔王であろうとその死の呪縛からは逃れられないと思っていただこう」
「調子に乗るなよ小童」
底冷えのする冷気とともに威圧のこもった声が響く。
見やるとそこには強大な魔力を秘めた巨躯の老魔族がいた。
大魔王。彼の姿を見たもの全てがそんな言葉を思い浮かべる。
事実彼は幾人もの魔王の上に立つ大魔王という存在だった。
「我はゾーマ……大魔王ゾーマよ。貴様ごとき矮小な存在に縛られると思うたか」
「ほう。ならば試してみるがいい小魔王よ」
「ほざけ! 貴様は我が腕の中で眠る価値すらない、千々に砕け散るがいい!!」
わたしは指を鳴らしてゾーマの首輪を発動させる。
だが自身の首から鳴り始めた警告音を無視してゾーマは凍える吹雪をわたしへと放った。
さすがは大魔王を名乗るだけのことはある――しかし
凍える吹雪はわたしに届くことなく途中で雲散霧消する。
「何ィ!?」
「調子に乗っていたのはそちらのようだな、ゾーマよ。そら、わたしに跪くならばその首輪を止めてやるぞ?
」
「おの――」
ゾーマは最後まで言葉を発することはできず、首輪が爆発した。
494
:
渇望6/6
◆S0i4l3vvG2
:2015/10/29(木) 15:35:06 ID:5745YWtY0
ボンッとしけった火薬のような気の抜けた音。
だがそれは確実に大魔王の首を切断し宙へと舞い踊らせた。
「バ…カな――」
それが大魔王ゾーマの最後の言葉となった。
驚愕に顔を歪めたままゾーマの首は地に落ちてゴロゴロと転がった。
誰も言葉を発しない。
当然だろう。ゾーマは誰の目にも明らかなほど巨大な力を持っていた。
それが虫けらのように殺されたとなればわたしの力がどれほどか想像できぬほど高みにいると誰でも予想できよう。
実際にはそうでもないのだがな。さすがに大魔王と名乗るだけあってそれに見合うパワーはあった。
召喚にほぼ力を使い果たし、魔力が残り少なかったこともあるが神となったわたしがギリギリ防ぐことができたほどの力だった。
だがそれは誰にも気取られてはいない。これ以上反逆されては負けはしないまでも面倒なことにはなるだろう。
さっさと進行するべくわたしは指を鳴らして77の袋をそれぞれの足元へと現出させる。
「お前たちにはわたしからの餞別としてその袋を与える。そこには生存に必要な物資や武器が入っている。
このゲームにおけるルールが書かれた冊子もな。文字が読めぬものにも理解できる術式を込めてあるので魔物も心配は要らぬ」
ここまでする必要はなかったかもしれないが、まぁいずれわたしの力となる者たちへのサービスだ。
彼らをここへ召喚した際に彼らに因縁深きアイテムもいくつか一緒に引き寄せられた。それらも無差別に袋に入れ込んである。
どうせ神へと完全覚醒を果たせばいかに伝説の武器とてわたしには敵わぬ。
それよりもそれらを殺し合いの武器として貶めたほうがより愉悦を感じられそうであった。
「それでは諸君らの健闘を祈る――さぁ、それでは殺し合いを始めよう――」
わたしは立ち上がり、両腕を広げる。
広間をわたしの魔力が包み込み、全てを箱庭世界へと転移させた。
「さぁ踊れ、わが生贄たちよ!! わたしが真の神へとなるためにっ!
フゥーハッハッハッハッ!!」
【ドラゴンクエスト・バトルロワイアルIII GAME START】
【大魔王ゾーマ 死亡】
【残り77名】
495
:
渇望6/6
◆S0i4l3vvG2
:2015/10/29(木) 16:15:05 ID:5745YWtY0
【主催者:エビルプリースト】
目的:神として完全覚醒するための器の選別としてバトルロワイアルを成功させる。
思考:1 殺し合いを見物して愉悦を楽しもう。
思考:2 神となったわたしの名前を考えよう。
思考:3 大魔道あたりを召喚して以降の運営進行を任せようかな。
496
:
開幕1/4
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:44:17 ID:/qeU8mJw0
ひとつ、燭台に火が灯る。
揺らめく火には暖かさを感じるのが常というもの。
しかしその火は……これから始まるたくさんの"死"
それを予感させる、はじまりの火種。
ひとつ、またひとつ、燭台に火が灯る。
徐々に薄闇の中、照らしだされるのは、邪気に満ちた魔城。
そして、そこには。
「悲しいなぁ……」
暗闇に、絡みつくような、じっとりとした声が響き渡る。
"彼"はそれに軽い不快感を感じながら、自らの頭を振って、覚醒した。
すると、そこには彼の他に、数多くの人々が倒れ伏している。
老若男女に飽きたらず中には魔物と思しき影すら確認できた。
「……!?」
バンダナを巻いた青年が、辺りの景色に驚きの声を上げる。
リボンで銀髪を束ねた青年が、玉座に座った何者かを指さした。
姫君らしき少女は怯えた声を上げ、でっぷりとした体型の男性が前に進み出て大声を上げている。
だが、素性を知るであろう彼らをまるで意に介した様子が無い。
その玉座に足を組み座り続けていた"不気味な道化"は、徐ろに立ち上がる。
そして、深々と頭を垂れたのだ。
「ごきげんよう、皆さま方……本日は、この私めの催しに参加していただき、誠に感謝しています」
わざとらしいほど恭しげに、その道化師は前口上を述べる。
ようやく全ての者達が自分の置かれている状況を理解したのか、口々に皆が声を上げた。
何のことだ、ふざけるな。
ここは一体どこなのか。
そんな喧騒が押し寄せ、今にも誰かが食ってかかりそうなその瞬間。
「!?」
497
:
開幕2/4
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:45:30 ID:/qeU8mJw0
ある一つの音が、静寂を生み出した。
それは何かが弾ける音、びしゃびしゃと液体が溢れる音。
商人風の身なりをした男、であったのであろうか。
今となっては確かめるのも憚れる。
もはやその人間の首から上は消失し、血を垂れ流す単なる肉塊と成り果てた後だったのだから。
少し遅れ、その静けさを蹂躙するように、どよめきと悲鳴が起こる。
目の前で起きた惨劇を理解し始めたのだ。
「皆様、ご静聴くださいませ」
その騒ぎも、もう一つの爆発音に静まり返った。
今度は老人であろうか、同じく首をごろりと転げ、細い肉体を遅れて横たえた。
老人の屍に、首を刈り取った謎に、そして道化師の言葉に皆一様に押し黙る。
「ただいまお見せいたしましたのは最初の演目……軽い、手品にございます」
血の匂いが皆の顔を曇らせているのとは対照的に、軽い笑みを浮かべていた。
続けて、ややおどけるように皆に問いかける。
「不思議なものです。彼の顔は一体、どこに消え仰せたのでございましょう?……種をこっそりと、お教えしましょうか」
クスクスといたずらっぽく笑う道化師。
この場に集められたほとんどに、今まで以上に更なる巨大な畏怖が渦巻いた。
「身体のどこかに、気づかぬうちに何かの戒めがされてはいませんか?例えばそう……首、の辺りなぞにご注目くだされば」
498
:
開幕3/4
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:46:44 ID:/qeU8mJw0
誰ともなく、驚きの声が上がっていた。
ある者は自らの首に手をやり、またある者は互いの首元を指差して。
首などが無い異形の者も、自分の身体につけられた何かしらの"枷"に驚きを隠せなかった。
「種明かしでございます……これはあなた方の善良な意志を封じ、狂気へと駆り立てるための舞台装置の一つ」
玉座に再び腰を下ろし、道化師は手にした杖をくるくると弄ぶ。
その姿は、本当にこの状況を、ただただ楽しんでいるだけかのようだった。
一同、皆が固唾を飲む。
混乱している者もいた。
予感をしていた者もまた、いた。
道化師はそんな彼らの顔を見回し、再び満足そうに笑う。
「続いての演目は、あなた方の協力が必要なものでして。何、簡単なことですよ」
そこには恨みも、殺意も感じられない。
むしろにこやかに、愛想良く振舞っているようにすら感じられた。
道化師の存在意義の一つである、観客の心を惹きつけ離さない─
その役割を、ただ演じ続けているかのように。
「あなた方にはこれより、殺し合いをして頂きます」
*****
どこからともなく現れた、漆黒の怪鳥に睨みつけられる。
体中に隈を刻んだ、4足の巨体が腕を組み見下ろす。
その魔物らは道化師と意志を同じくしているのか、彼の指示通り集められた者たちを誘導していた。
腕のたつ者も居ただろうが、ここには同じく力なき者も居た。
そのためか、あれ以上に道化師に逆らい、彼ら魔物へと反発したものは居なかった。
目の前には広がる、蒼色の光。
話には聞いたことがある、"旅の扉"と呼ばれる神秘の門だ。
これから自分たちは、こことは違う地にて殺戮ショーを演じることになるらしい。
そこに足を踏み入れる前に……堪忍袋の緒が切れた。
「馬鹿げている……」
ぽつり、と初めて"彼"は呟いた。
499
:
開幕4/5
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:48:56 ID:/qeU8mJw0
「馬鹿げている、こんな、こんなことが許されていいはずが無い!」
周りの人々が驚くほどに、大きな声を上げて道化師に食って掛かる。
巨体の魔物に鳥の魔物。
確かに恐ろしいことに変わりがない。
しかし義憤が彼を動かした。
「私の鍛えたこの手は、貴様のような外道を倒す為にあるのだ!覚悟しろ!」
素手で構わない、自分の最も得意とする武装である。
固めた正拳を古い、道化師の鼻っ柱をへし折るべく疾走した。
(不気味な術を使うとは言え、あの痩せた男に遅れなど取らぬ!なにせ……)
確固たる自信が、渾身の一撃をまっすぐ放つ足がかりとなった。
修行、修行、ひたすら修行。
その積み重ねが彼に……悪魔の宿った鎧の化身である魔物を倒すまでの腕を持たせた。
そんな努力の結晶が、この場で通じぬわけがない。
ない、はずであった。
「悲しいなぁ」
拳は届くことは無い。
声を上げることもできない。
「あと少しで私に触れるところまで近づけたのに」
彼の首もまた、消失させられた。
道化師の指の所作一つで、首輪が弾け飛んだのだ。
「何もできずにお別れとは……悲しいなぁ」
為す術もなく、倒れ伏した武闘家の死体。
その脇を通り過ぎる。
「皆様に一つ、謝ることがございます。今お別れした、彼……そして」
老人、そして商人風の男。
彼らの脇もまた通り過ぎた。
「先ほどお別れした、お二方……」
そして振り返り、一瞬哀悼するような表情を浮かべ……手を振るう。
すると、ずぶりと沼のように屍を闇が飲み込んだ。
500
:
開幕5/5
◆2UPLrrGWK6
:2015/11/01(日) 17:52:11 ID:/qeU8mJw0
「誤ってこの場に相応しくない方々に、招待状を送ってしまったのです。それが彼ら……」
告げたのは、過ち。
まるで糸を紡ぐときに重ねる順番を間違えるかのように。
街で出会った人間の、名を忘れてしまったかのように。
命を、些末な扱いで扱い、挙句に消し去ったのだ。
「彼らのような名も無き者たちと肩を並べさせてしまい……深くお詫び致します」
恭しく頭を下げつつも、笑みを浮かべたその道化師。
無慈悲で冷たく、そして傲慢。
不気味な存在感を放っていた。
「旅の扉をくぐった先で……貴様らは最初に、これと同じ袋を手にすることになるだろう」
惨劇には目もくれず、淡々と告げるのは漆黒の怪鳥。
爪の先にぶら下げられていたのは、旅慣れた者ならば見慣れた『ふくろ』だった。
「貴様らの命を繋ぐ、道具や武器を詰めている。せいぜい活用することだ」
「その他に、殺し合いに置ける決め事も確認できる書物も入っている」
腕を組んでいた、巨体の魔物が続けて告げる。
彼もまた、参加者たちを一瞥して笑みを浮かべた。
「面倒に思いみすみす死ぬような、つまらぬ事は避けたほうが良い。吾輩を退屈させてくれるなよ」
二人の間を縫うように、進み出た道化師は最後に深々とお辞儀をした。
これから起きるであろう惨劇に、胸を躍らせているのは確実に見て取れる。
そんな表情であった。
「それでは皆様、しばしのお別れ。どうかまた、お会いいたしましょう」
道化師の笑みが大きく歪んだと思った瞬間、一同は蒼い光に飲み込まれる。
彼らは、これより誘われるのだ。
血に染まった舞台へと。
【DragonQuestBattleRoyaleIII 開幕】
【おーあなた友達の商人@DQ3 死亡】
【ラダトーム城の光あれ老人@DQ1 死亡】
【絶望の町の素手でデビルアーマー倒せる男@DQ6 死亡】
【残り77名+α】
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