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FFDQかっこいい男コンテスト 〜ファイナルファンタジー6部門〜

33セッツァー×エドガー【12】:2003/04/29(火) 21:05
「何だ?」
 軽く返したつもりだった。だがエドガーの瞳はいつになく真剣さを湛えている。
「あ、の…」
「またヤりたいってか?」
 図星だったらしい。エドガーは顔を赤らめている。
「洞窟は二人しかいなかったからな。だから気持ちが高ぶったんだよ。だがここは現実だ。戻ったらオレもお前も今まで通り、仲間として――」
「私にはできないっ」
 エドガーはセッツァーの言葉を遮った。
「快楽は女性達としか得られないと思っていた。だが男性である君とのセックスは、今までに無いくらいすごく…悦かった」
 最後は小声になる。洞窟でセッツァーが感じていたことと同じことを、エドガーが思っていたのを知って、何故か嬉しかった。
「そうか…じゃ、ファルコン号に戻ったら。もう一度、ヤるか?」
「…あぁ」
 赤い顔のまま頷くエドガーの頤を持ち上げて、軽く接吻ける。
 そういえば唇へのキスは初めてだったと気付いて、セッツァーは笑った。

《終わり》

34OBTAIN or LOST - 賭1:2003/05/29(木) 13:13
 誰もいなくなった飛空艇・ファルコン号に佇む一人の男がいた。銀色の髪を風に
なびかせ、視線を上空へやるその姿は――風の覇者たる風格からか――どこか
神秘的で近寄りがたい、まるで幻想の中の住人であるかのような印象を見る者に
与えた。
「セッツァー」
 自らの名を呼ぶ別の声。応じるように視線を降ろすと、地上に待ち人の姿を見
出した彼の表情に軟らかさが加わる。
「無理を言って悪かったな、エドガー」
 それは、かつてケフカ打倒を目指し共に戦った仲間でありフィガロ国王。今や
自国のみならず、各地域を結んだ復興計画の先頭に立って活躍しているエドガー
だった。セッツァーとはまるで対照的な王者としての威厳を以前にも増して感じ
るのは、どうやら気のせいではなさそうだ。
「いや、いいさ。……シャドウの一周忌にも顔を出せなかったしな……」
 数日前、仲間達が集まって旧ベクタ上空――瓦礫の塔跡地――で行った弔いの
儀に参加できなかったエドガーは、苦笑しながら呟いた。
「まぁ、一国の主ともなれば忙しいのも仕方ないだろ」
 肩を落とすエドガーに気付き、セッツァーが悪戯っぽく笑ってみせる。
「そんな理由で片付けたくはないんだけどな」
「まったく、相変わらず奇特な奴だ」
 そんな風に会話を楽しみながら、二人は飛空艇の中に用意された一室へと足を
進めた。

35OBTAIN or LOST - 賭2:2003/05/29(木) 13:15



 久しぶりに仲間と酌み交わす酒の味は格別だった。
 先日起きたフィガロ城の騒動で一年ぶりの再会を果たしたものの、その後エド
ガーは国王として事態の収拾をはかるために奔走する日々が続き、ゆっくりその
余韻に浸る暇がなかったのだ。
「結局、あの後は無駄な時間を取らせてしまっただけだったな……申し訳ない」
 エドガーとしてもそれは同じだったらしく、ぜひにと二人をフィガロ城へ留め
させた。その厚意を受けてリルムやセッツァーはしばらくフィガロ城に留まって
いたのだが、結局まともに話をする機会を持てぬまま彼らは帰途についたのだっ
た。
「いや、久々に豪勢な食事と寝床を用意して貰って楽しかったぜ。リルムも……
お前と話せなかったことは残念がっていたがな」
 サマサまで飛空艇を飛ばした時、リルムの語った言葉を借りてセッツァーは話
す。あれから一週間ほどが経っていた。
「……で。お前何か隠してるだろ?」
 不意にセッツァーは低い声で問う。
 リルムから事の顛末を聞いた彼にとって、あの時起こった不可思議な出来事は
色々あった――魔法に似た力の顕現、シャドウの声、突然の豪雨――しかしそれ
以上に、犯人に対する処遇が曖昧だった事の方が彼の好奇心をかき立てる。誰よ
り秩序を重んじるエドガーの事だ、あれだけの騒動を引き起こした犯人に対して、
それなりの裁断を下しているはずだった。
「いや……」
 案の定、それを追及するとエドガーは言葉を濁すような返答しかしてこない。
セッツァーの疑念は確信を得た物に代わったが、これ以上追及しても吐きそうに
はない。なにより彼自身、そこまで政治的な話に興味があるという訳でもなかっ
たから、さらに突っ込んで追及する気にはならなかった。
「エドガーの悪いクセは相変わらずだな。いくら国王だからって、一人で抱え込
み過ぎるなよ。弟が可哀想だ」
 『血塗られた盾』の一件で、マッシュの苦悩を垣間見たセッツァーはここぞと
ばかりに苦言を呈す。マッシュほどではないにしろ、エドガーの傍にいたセッツ
ァーも似たような苦渋を味わっていたからだ。
「皆を信用していない訳じゃないんだ……ただ……」
「もういい」
 エドガーにも言い分はあるのだろうが、そんなことはお構いなしに言葉を遮っ
た。
「お前の事だから色々考えてるんだろう、そんな事ぐらい俺らだって分かってる。
だがな、その顔だ!」

36OBTAIN or LOST - 賭3:2003/05/29(木) 13:18
「顔?」
 予想もつかない言葉に、エドガーは呆気にとられながら見返す。
「そうだ。そんな顔して悩まれてみろ! 周りの奴らの立場ないだろ」
「……すまない」
 謝りながらも、一層困った表情を浮かべるエドガーを見やりながら、呆れたよ
うに溜息を吐き、グラスに注がれた酒を一気にあおった。
「せめて、リルムの前ではそんな顔するなよ」
「なっ……!」
 リルムの名を出すと、エドガーの怜悧な表情が崩れると言う事にセッツァーは
いつしか気がついた。以来、二人が口論になると必ず最後はこんな展開になるの
だった。
「何を気にしているのかは知らねぇけどな、さっさとリルムに告白しちまえ」
「だから何も俺は……」
 妙に早口になって否定の句を並べようとするエドガーを横目に、セッツァーは
微笑を浮かべながら新たな酒をグラスに注いだ。
 その間にもエドガーの反論は続けられていたのだが、セッツァーの耳には心地
よいBGMとして届いているに過ぎなかった。
「……で、俺はフィガロを……」
 『フィガロ』の言葉にだけセッツァーの思考は反応し、険しい表情でエドガー
に向かい、話の途中でも構わずに口を挟んだ。
「エドガー」
「な、何だ?」
「お前は何者だ?」
「は?」
 突然のセッツァーの問いに、エドガーは質問の意図を掴みかねて言葉を止める。
「何者だと聞かれたら、お前は何と答える?」
「『フィガロ王エドガー』……だろうな」
 ミドルネームは言う必要がないのだし、当然だと言うようにエドガーは答えた。
セッツァーにしてみれば予想通りの返答に、憮然とした口調で言い放つ。
「そりゃ確かにフィガロ国王だろうよ。だがな、それ以前にお前は『エドガー』
だろ?」
「セッツァー……」
 エドガーはようやく、セッツァーが言わんとする事の意味が分かったような気
がして、驚きにも似た表情を向けた。
「俺が前に言った事覚えてるか? お前は多くを求めすぎてる。荷物を背負い込
み過ぎてる……」
「ああ」
 それは、エドガーの心にしっかりと刻まれた言葉だった。ただ頷いてみせると
セッツァーは表情を変えずに続ける。
「『国王』である前に自分を大切にしろ。……マッシュが城を出たがった理由も
そうだろ? お前はまた……」
「分かってるさ」
「どうだか」
 セッツァーが自分を気遣ってくれているのは分かる。しかし、まるで国王とし
ての自分を否定されているような気がして、エドガーは素直にその気持ちを受け
取れずにいた。
 一方のセッツァーにしても、国王エドガーを非難するつもりなどない。だが、
口に出して言葉にすると、まるで責めているように聞こえてしまう。どうした物
かと考え込んでいた。
 こうして互いに無言のまま、気まずい沈黙が場を支配していた。

37OBTAIN or LOST - 賭4:2003/05/29(木) 13:24


「国王なんて……お前には勿体ない」
 絞り出すようなセッツァーの呟きが、沈黙の支配から二人を解き放つ。
 前に一度、この飛空艇で彼から同じ言葉を聞いた事をエドガーは思い出した。
「あの時の言葉は嘘じゃない。……いや、俺は今でもそう思ってる」
「…………」
 機関士――マシーナリーとしての彼の腕と才能は、誰もが認めるところだった。
確かに、国王を継がなければ本人もその道を進もうと思っていた程である。だか
らこそ、セッツァーの申し出に心揺れずにはいられない。
 エドガーが内心で困惑するのを、言い当てる様にセッツァーの言葉は続く。
「あの時お前は、『王としての使命』を本気で自分の夢だと言った。そんなお前
が羨ましかったのは確かだ。だがな……お前」
 できるだけ棘のない言葉を慎重に選びながら、静かに続ける。
「捨てたくない物を捨てられないで、足掻いているだけの様にも見えるんだ」
「……!」
 まさに図星だった。まるで心の中を透視されているのかと思う程、セッツァー
の言葉はエドガーの心中そのままを紡ぎだしている。
 当惑した表情を浮かべながら俯いたエドガーは、グラスの中に映る自身の顔を
見つめながら、ゆっくりと言葉を吐く。
「それでも……私は、父王に誓ったんだ……」
 フィガロを立派に背負ってみせる。秩序のある国に――もう誰も悲しい思いを
しなくて済むように――してみせる、と。一緒に城を出て自由に生きよう。そう
訴えるマッシュの言葉を聞いたあの夜、コインを放り投げた瞬間から、その思い
は変わらない。
「……セッツァーの言うとおり、俺は往生際が悪くて強欲なんだ。でも」
 グラスの中に映る自分の顔が一瞬大きく歪む。
 顔を上げ、目の前の友人彼の瞳を見据えるその表情は毅然としたいつもの
エドガーだった。
「俺は、おやじにも自分にも……嘘はつけない」

38名無しの勇者:2003/05/29(木) 13:38
>>37の12行目ぐらいで
> 「あの時お前は、『王としての使命』を本気で
   ↓
  ケフカの前でお前は

です。不注意でスマソ

39OBTAIN or LOST - 賭5:2003/06/02(月) 23:29
 まだ叶っていない夢ばかりで、だけどそれをいつか叶えてみせる。そう続けた
エドガーの口調はまるで少年の様だった。希望に満ちた未来を見つめる少年の心
を、この男は今でも持ち続けている。
 そんな姿を見せつけられて、これ以上反論できるはずがない。
「俺の負けだ、エドガー」
 諦めたようにセッツァーが漏らす。自分には、旧友の残したこの飛空艇と――
空しかない。それだけでも必死なのに。
「そんな事はないさ……図星だったからな……」
 エドガーは苦笑とも自嘲ともつかぬ笑みをたたえ、語尾を濁すようにしてグラ
スを口元に運んだ。
「勘がいいな」
「勘というより、お前の場合は見てりゃ分かるだろ」
 そんなことを言われてエドガーは不安になった。国王という職業柄、あまり感
情が露わになるようでは外交上不都合が生じる。自分は今までポーカーフェイス
を崩したことはないと思っていたのだが、それは自己認識だけだったと言う事だ
ろうか? それではまるっきり“裸の王様”である。
「そんなに分かり易いか?」
 口元に運んだグラスを止め、エドガーは思わずそう問いかけた。
「ああ、多分マッシュも同じように思ってるだろうよ。ずっと兄の事を気にかけ
てたんだし」
「…………」
 セッツァーの言葉に深い意味はないのだろうとは思いながら、何だか気恥ずか
しい様に感じるのは何故だろう。セッツァーから視線を外そうと、グラスを口に
して一気に酒を流し込む。
「……お前が女だったら、真っ先に口説かせてもらっただろうよ」
 気のせいではなかった。
「…………」
 怯えにも似た色を含んだ瞳がセッツァーの顔をとらえる。当然、視線が合う事
も予測できる筈なのに、目があったその一瞬、蛇に見込まれた蛙の如くエドガー
の身体は動きを止める。
「ぶわっはは、安心しろよ。俺にそんな趣味はない」
「…………」
 エドガーの様子の変化を可笑しそうに眺めながら、セッツァーは一笑に付す。
しかしエドガーが心の底で密かに恐れていたのは、もっと別の事だった。何と問
われても言い様のない不安――セッツァーを見ると時折、脆い砂の城を見ている
感覚に囚われる事があった――それが何か、エドガー自身にも分からないが。

40OBTAIN or LOST - 賭6:2003/06/02(月) 23:31



「今だから言えるが、俺がコーリンゲンの酒場で毎日飲んだくれていた頃……」
 唐突に、一年前セリス達と再会する直前の事を口にする。
「セッ……」
 とっさにエドガーは言葉を呑み込んだ――あれは地中に埋まったフィガロ城を
脱した直後――彼の記憶は急速に時を遡り、1年前の再会の日の出来事を再生し
はじめた。


 コーリンゲンの酒場でセッツァーの姿を見つけ、セリスが駆け寄る。
「セッツァー!」
 まさか再び会えると思っていなかった彼女達の姿に、沈んでいたセッツァーの
表情に笑顔が戻る。
「生きていたか」
 しかし、もう一度ケフカ打倒のために協力して欲しいと願い出るセリスの言葉
に、視線を逸らしたセッツァーの横顔から笑みは消え失せていた。
「でももう俺は……夢を無くしちまった」


 あの時の言葉が、エドガーの脳裏によぎる。
 セッツァーにとって、ダリルがどれほどの存在だったか――彼女を失った世界
で生きる事がどれ程つらいものだっただろうか――彼自身が明言した事はなかっ
た。けれど、ファルコンの眠るダリルの墓へ降りた時の彼を思えば、聞くに及ば
ない。
 そして、時折エドガーが囚われる感覚の正体が、この時はっきりと分かった様
な気がした。
「エドガー。今だけ……俺の戯言に付き合ってくれるか?」
「……セッツァー!」
 その先に続くのは最も恐れていた言葉、一番聞きたくなかった忌避の声だと、
言葉を遮るようにエドガーは叫んだ。
 しかし、セッツァーは淡々と話を続ける。
「コーリンゲンの酒場で、俺はいつも砂漠を眺めてた。いつか現れる巨城を信じ、
お前達を探していたんだろうな」
 言いながら、セッツァーの手がエドガーの頬に触れる。まるで目の前の人物の
存在を確かめるかのように。
「翼を失って、もう何も残されていなかった。そんな俺に希望を与えてくれたの
はセリスの言葉、そして何よりお前らの存在――」
「セッツァー」

41OBTAIN or LOST - 賭7:2003/06/02(月) 23:33
 それ以上何も言うな。と、口に出そうとするが言葉にならなかった。
「だが翼を取り戻しても、俺ひとりに……この空は広すぎる……」
 ダリル以外にセッツァーと並んで世界最速を競える者など誰もいない。唯一、
行く手を阻んでいた古の怪物・デスゲイズも、ケフカの住まう瓦礫の塔も消滅し
た。もはやこの世界で、セッツァーが追う者も、彼を追う者も、あるいはそれを
阻むものも、何一つ残されてはいなかった。
 デスゲイズを倒した後、ぼんやりと空を眺めるセッツァーの後ろ姿を幾度とな
く目にしたエドガーは、無意識のうちに彼の失意を感じていたのだろう。
「……そんな」
 秩序を求めながらも夢を捨てきれず、その中で足掻く砂漠の王。
 自由を求めながらも追う者を失い、孤高の中で彷徨う風の覇者。
 今ほど対象の構図が浮き彫りになった事はなかった。二人はそれに気付いてほ
ぼ同時に苦笑を漏らす。
「まったく、情けない限りだ」
「人の事はよく見えてるのにな」
 互いの顔を見合わせて、どちらともなく言葉を吐いた。


「せっかくだから久しぶりに飛んでみたい。……ダメか?」
「おやすいご用さ」
 エドガーの申し出を快く引き受けると、セッツァーは手早く離陸の準備に取り
かかる。
 グラスを置いて二人は甲板に出た。酒が入って多少火照った身体に、冷たい夜
風は心地よかった。
 やがて飛空艇は大きく振動をはじめると、耳慣れたプロペラ音が響き始める。
この音を聞くと、仲間達と旅した日々の事を思い出す。
「いくぜ」
 刹那、身体にかかる僅かな重圧と共に振動がおさまり飛空艇は地上を離れた。
「さて、主君のお望みとあらば何処へでも馳せ着けますが、如何致しましょう?」
 ふざけてそんなセリフを吐くセッツァーだったが、その表情は水を得た魚、翼を
得た鳥と言わんばかりに生き生きとして見えた。

42OBTAIN or LOST - 賭8:2003/06/02(月) 23:35
「そうだな――旧帝都……と望めば、行ってくれるか?」
「……。20分もあれば」
 数日前、仲間達が集った一周忌と公務が重なり参加できなかったエドガーなら
恐らくその名を口にするだろうとは思っていたが。
(相変わらず律儀な野郎だ)
 などと内心で思いながら、セッツァーは操縦桿を握っていた。
「さすがだな」
 目の前で舵を取る男の内心など知る由もなく、エドガーは久々に味わう飛空艇
の乗り心地と、全身に叩きつける風の感覚を楽しんでいた。
 二人はしばらく無言のまま、流れる景色と吹き付ける風の感覚に身を委ねてい
た。



 程なくして目的地上空に飛空艇が到着すると、エドガーは眼下に向かい黙祷を
捧げた。世界崩壊の犠牲となった多くの者達と、寡黙だった仲間のことを思いな
がら、改めて彼は固く誓うのだった。
「――もう二度と、こんな惨劇は繰り返さない世界にしてみせる……だから、見
ていてくれるか?」
 出来ることならこの世界を共に生きたかった――仲間を失った後悔の念が消え
る事は無いだろう。けれど、それを糧に生きてゆく決意を、何があっても夢を追
い続けいつか実現してみせると――シャドウと、炎の中へ身を投じたあの男に宣
誓するように呟いたのだった。
「…………」
 そんなエドガーの後ろ姿を見ながら、セッツァーも思いを巡らす――今宵が最
後の晩餐――そのつもりで、エドガーをこの船へ招いた当初の思い。
(あいつは、否定するだろうか?)
 全てを失ったあの日から、再び友の翼を得て復活したこの身に宿る密かな願い。
(こんな事しか望みがない、今の俺の姿を)
 親父と自分に嘘はつけないと口にしたエドガーの言葉には、彼もまた同じよう
な気持ちを抱いていた。
(やっぱり……俺自身を騙す事はできないんだ)
「エドガー」
 いつものようにその名を呼ぶと、声に応え目の前にいた友人は振り返った。
「……色々考えたんだが……」
 意を決したように目の前の男を見上げ、そう口に出したセッツァーの後を続け
るようにして、エドガーは彼の言葉を遮った。
「そう、俺も色々と考えたさ」

43OBTAIN or LOST - 賭9:2003/06/02(月) 23:48
「は?」
 意図しない言葉にセッツァーは短い感嘆の声をあげたが、エドガーの話は続く。
「俺はセッツァーの様に勘が鋭い訳じゃないからな、その分色々考えたって訳さ。
それでな――これで決めようと思うんだ」
 言いながら、エドガーが取り出したのは一枚のコイン。
「あ、言っておくが今度はちゃんと裏もあるぞ」
 笑いながらコインを見せるエドガーの姿を、半ば呆然とセッツァーは見つめて
いた。
「……お前がこんな風に俺を呼び出したのには何か訳があるんだろ? 普段なら
こっちの都合はお構いなしに用件を言いつけてくるのに、今夜に限っては違う。
俺としちゃ、何かあると疑わざるを得ないさ」
 エドガーに皮肉混じりの推理を披露され、反論しようにも殆ど事実を言い当て
られていたので、セッツァーは黙って聞いているしかなかった。
「さて――表が出ればセッツァーの勝ち、裏が出れば俺の勝ち。勝った方が相手
の望みを叶える。どうだい?」
「ほう、面白そうじゃないか」
 彼の提案に賛意を示して頷いてみせる。その姿を確認すると、エドガーはいつかと
同じように、夜空に向かってコインを投じた。


----------コインが----------
裏面だった場合→OBTAIN >>44
表面だった場合→LOST  >>47

44OBTAIN or LOST - 賭10 [1]:2003/06/02(月) 23:51


「……で、お前の望みは何だよ?」
 憮然とした口調でセッツァーが言い放つ。再びエドガーの手の中に収まったコ
インは裏側を天に向けていた。
「ははは。聞くまでもないんじゃないか?」
「……全部お見通し、ってわけか?」
「そんな訳じゃないさ……ただ……」
 少し言いづらそうにしながらも、エドガーは語る。
「俺のいる世界は、細工とか先読みとか……そう言う事が日常的だから」
「ふん、性に合わんな」
 吐き捨てたセッツァーの方を見ながら、まだ何か言いたげに口を開きかけたエ
ドガーだったが、結局あきらめた様子でセッツァーの問いに答えた。
「俺の望みは――単刀直入に言うと、ギャンブラーとしてのセッツァーの力を借りたい」
「こんなマネしてよく言うぜ」
「『イカサマもギャンブルのうち』だろ?」
 いつかセリスが言ったのと同じ言葉を口にしながら嬉しそうに笑うエドガーの表情を
見るうちに、不思議とセッツァーは望んでいないはずの結末を素直に受け入れる事が
できたのだった。
 ――いや、これこそが望んでいた結末なのかも知れない。
「で。ギャンブラーとしての俺に何を頼みたい?」 
「そんなの決まってるさ……『カジノ』の復活だよ」
 声を弾ませたエドガーの申し出に一瞬ためらった表情を浮かべたが、気を取り
直しすぐさま問い返す。
「お前……がギャンブルに興じるはずもないしな。お得意の“先読み”ってヤツか?」
 思慮深いエドガーの事だ、また腹に一物あるのだろうとセッツァーは指摘する。

45OBTAIN or LOST - 賭11 [1]:2003/06/02(月) 23:53
「まぁ、そんなところだ。だけどこんな事を頼めるのはセッツァーしかいないし。
……それに、これは俺に対するハンデでもあるんだ」
「お前に対するハンデ? 何の話だ」
「セッツァーが今のまま空を飛び続けていたら、俺に勝ち目はないだろう?」
 やや挑戦的な口振りでエドガーが向かうと、セッツァーは対抗するように余裕
の笑みを浮かべながら問い返す。
「ほう……空で俺に勝とうと?」
 小さいが、確かに胸の奥でわき起こる懐かしい感覚に、セッツァーの瞳に輝き
が戻る。
「そうさ。……一応俺だってマシーナリーとして腕に覚えはある、時間さえあれ
ば挑戦者としては申し分ないと思うが……それとも、思い上がりかな?」
「ふん。悪い話じゃないな」
 言いながらエドガーの方へ歩み寄ると、手の中に収められていたコインを半ば
奪う様に取り上げると、挑発的な笑みを浮かべながら断言した。
「その申し出、受けて立とう。そのかわり……こんなマネは二度とするなよ?」
 手にしたコインを片手で器用に放り投げた。宙を舞う――両面に裏の模様が刻
まれた――特製のコインを見つめながら、思わず苦笑を漏らす。
「やっぱり気付いてたんだな」
「当たり前だ。セリスの二番煎じ……いや、お前の場合は三番煎じってトコか?」
 相手の身を気遣い、その為にわざわざ一手間も二手間もかけて演出するキザな
野郎だと、セッツァーは改めて思うのだった。
「お互い様じゃないか」
 そんな風に笑うエドガーを見ながら、セッツァーは心の底から負けを認めたの
だった――負けたはずなのに、どうしてか清々しささえ感じながら――。

46OBTAIN or LOST - 賭12 [1]:2003/06/02(月) 23:53
「……もし仮に、この勝負でお前が勝っていたら……何を望んだ?」
 まるで答え合わせでもするかのようにエドガーは尋ねた。
「あ? そんな事聞くまでもないだろ? ……お前が考えてる通りの答えだ」
 言い捨てるような口調のセッツァーだったが、照れたように視線を逸らす。
「やっぱりそうか……」
 エドガーがこの飛空艇へ足を踏み入れた時、片隅にひっそりと置かれた聖槍を
見つけて一抹の不安を抱いたのだった。護身用にしてはセッツァーが扱う事ので
きない槍が置かれているのは不自然だし、売却して資金源にするには武器の相場
が下落した今では大した価値は見込めない。
 更に言うとその聖槍は、かつて旅をしていた当時エドガーが使用していた物だ
ったのだ。
「……悪夢だな」
 脳裏によぎる最悪のシナリオを思い、エドガーは思わず呟いた。
「ま、結果的に夢で終わって良かったじゃねぇか」


 この後、広大な空を舞台に二人の男は生涯をかけて己の夢を競い合ったという。


 掛け替えのない、大切な友人でありライバルを得たある一夜の物語……。


                        −OBTAIN or LOST - 賭(エドガー編)<終>−

47OBTAIN or LOST - 賭10 [2]:2003/06/02(月) 23:57


「…………」
「俺の勝ち……だな」
 困惑した表情のエドガーに、セッツァーが微笑みかける。
「イカサマは良くないぜ」
「気付いて……」
 ほんの一瞬驚いた表情を浮かべたものの、すぐにエドガーは俯きがちに視線を
逸らした。
「俺がギャンブラーだと言う事を忘れてないだろうな?」
 床に落ちたコインを拾い上げ、セッツァーはそれを自らのポケットの中へ放り
込むと、代わりにエドガーが持っていたコインを差し出した。
「約束だ。俺の望みを叶えてくれるんだろう?」
「…………」
 差し出されたコインを無言のまま受け取る。コインはエドガーの完全な敗北を
告げるかの様に、手の中で重みを増した。
 エドガーにとって敗北は、掛け替えのない物を失う事を意味している。
「さあ戻ろうか……最後の晩餐だ」
「セッ……!」
 彼の口にした『最後の晩餐』という言葉が何を意味していたのか、本当は考え
たくもなかった。けれど、今夜この飛空艇で飲まないかと誘われたあの時すでに
――こうなるであろう事は分かっていたのかも知れない。
 そして、その不安が見事に的中してしまったのだ。
「エドガー……お前は嫌と言うかも知れない。だが、これが俺の望みなんだ」
「何故だセッツァー!?」
 普段なにが起きても、エドガーがここまで声を荒立てて相手に詰め寄る事など
なかった。そんな彼が初めて見せた激昂に、申し訳ないと言う罪悪感と共に嬉し
さすら感じていた。
「……お前のことだ分かってるんじゃないのか? ……そうだな。ちゃんと俺の
口から言うのがスジってもんだよな」
「…………」
 セッツァーの口からは淡々と紡がれる言葉を止める術を、エドガーは持ち合わせて
いなかった。

48OBTAIN or LOST - 賭11 [2]:2003/06/02(月) 23:59
「俺にとって本当の『自由』……それを得るために」
「それで、どうして俺なんだ?」
 何かを必死で堪えるような表情を向け、僅かに震えたような声でエドガーが問
う。堪えているのは怒りなのか哀しみか――本人にも分からなかった。
「お前が一番信頼できるからだ」
 それに答えたセッツァーの表情は、どこまでも穏やかで。
「……俺の……残される人間の事などお構いなし、か」
 どうしてこうも身勝手なのか。そんな風にエドガーは苦笑する。しかし、それ
がセッツァーらしさなのだとも思いながら。
「諦めてくれるか?」
「……もし」
 どんな説得工作もこの男には通用しない、そんなことは分かっている。けれど
ここで大人しく引き下がる訳にはいかないのだ――たとえそれが、友人の願いを
拒む事になったとしても。
「もし、俺がセッツァーに『共に生きて欲しい』と願っていて……」
「お前には済まないと思ってる」
 エドガーの言葉を最後まで聞くことはなく、そのかわり彼はこんな言葉を向け
た。
「……ファルコンを、よろしく頼む」
 それがセッツァーの遺言になった。


 エドガーはそれから後のことを全く覚えていなかった。気がつけば目の前にあ
るセッツァーの亡骸を、彼は茫洋と見下ろしていたのだ。
「……セッツァー……!」
 エドガーの手に握られた聖槍を伝う鮮血が、セッツァーの物であることは言う
までもない。槍は一撃でセッツァーの心臓を貫いていた。
 ――私の手で!
「セッツァー! 頼む、嘘だといってくれ!!」
 徐々に平静を取り戻したエドガーの意識に、罪悪感と喪失感が一気に押し寄せる。

49OBTAIN or LOST - 賭12 [2]:2003/06/03(火) 00:02
 ――どんな望みであれ、私はこの手で仲間を……!
 抱え上げたセッツァーの表情は、どこまでも穏やかな笑みを浮かべていた。
「セッツァーぁあああああああああああああああああァっっ!!」
 これまでに誰も聞いたことが無いような叫び声をあげ、エドガーは亡骸を抱く
腕に力を込めた。
 ――お前に「生きて欲しい」と言った私の思いは、迷惑だったのか?
 口に出して問うたところで返答があるはずもない。それでもエドガーは、己の
腕の中にあるセッツァーに向かって問いかけたかった。そうせずにはいられなか
った。


 その日、濃紺の鎧を身にまとった騎士がダリルの墓に舞い降りたと言う。彼は
数日を費やして飛空艇ファルコンを整備し、再び大地の下に眠らせた。そして、
あの石碑には、こんな言葉を付け加えた。

『友よ安らかに――自由と空を愛した風の英雄、ここに眠る』

 そして、墓碑の前に聖槍と呪いの解けた英雄の盾を手向け、この墓を後にした。


 以来数十年。この世界の空に飛空艇が舞う姿を見た者はいなかった。
 フィガロ王エドガーは飛空艇開発にも尽力するものの、それが地を離れたのは
彼が崩御した後の世になってからである。

                       −OBTAIN or LOST - 賭(セッツァー編)<終>−

50エド×ティナ:2003/09/26(金) 22:02
「この子達の未来を…守っていきたいの」
 真剣な眼差しで、少女は青い瞳を潤ませた。
 淡い緑の髪を風に預けて、また少しだけ隣にいる男性に微笑みかける。
 男は黙って、少女の顔を見ていた。
 少女から女へ変わりつつある彼女は、以前見た時よりも、少しだけ華やいだ気がすると男は溜息を漏らす。
 女性の扱いには慣れてるつもりだった彼は、この少女に最後まで声を掛ける事は出来なかった。
 今まで軽い気持ちで女の子に近づいていた事も災いしてか、胸の内の不思議な思いを言葉にする事をためらってしまう。
 男は諦念の溜息をつくと、沈みかける夕日と共に強くなる風への警告を少女に促した。
「ありがとう、エドガー。あなたはいつも優しいのね」
 風に揺らぐ髪を押さえながら、少女は微笑む。
 彼女の名前はティナ。
 ほんの少し前、一緒に狂った魔導士ケフカとの苦しい戦いを共にした、仲間だった。

51エド×ティナ(2):2003/09/26(金) 22:03
 城内を縦横無尽に走り回る子供たちに、苦笑を漏らしながらエドガーは玉座に腰掛けた。
 目の前ではティナが、はしゃぐ子供たちを戒める。
 極度に破壊されたモブリズの村は、作物を食用として取るにはまだ時間が必要だった。
 開墾するに当たって、費用と道具が必要だ。
 冒険の合間に溜めたお金は、全員で分散するとわずかしかない。
 モンスターを倒してお金を得るにしても、ティナ一人で賄うには少し辛い戦いとなる事は必至。
 近くの仲間であるドマの英雄カイエンは、亡き王の意思を継ぎ玉座に着いたが、帝国に滅ぼされ散った仲間を集めたり、破壊された城の修復と再建に急がしそうで、とても援助など頼める様子でもない。
 後の仲間だった人たちは、一般市民ばかり。
 援助を頼む所か、破壊されたこの世界での再出発に、逆に手を貸してくれと言われそうだ。
 ギャンブル王セッツァーも、友の形見ファルコンをまた地中深く眠らせて、ブラックジャック号を作ってるという。
 今のティナには、頼るべき人はこの男しか居なかったのだ。
 エドガーが、嫌いな訳ではない。
 むしろ、その優しい瞳につい甘えてしまいそうになる。
 だが、彼だって破壊されたこの世界で一国の未来を背負っているのだから、余裕などありはしないだろうと、ティナには解っていた。
 だからこそ、出来ればこの人だけは避けたかったのだ。
「ああ、解った。昔のよしみで、君に援助しよう」
 エドガーは、ティナに笑顔を向けると、ワインの入ったグラスを差し向けた。
 この人は、多分、どんなに大変であろうとも、自分の欲しかった答えをくれる。
 …以前、帝国から自分を守ってくれた時のように。
 いくらモブリズの為とはいえ、ティナは決して裏切らないエドガーの好意を無心した自分を恥じた。
 それでも…こうしなければ、ディーンとカタリーナの子供が飢えてしまう。
 新しい、未来を育む力を…なくしてしまうのだ。
「飲みなよ。再会を祝して」
 少しだけ沈んだティナの顔に気づいたエドガーが、ティナにグラスを差し出した。
 正直言えば、エドガーにも余裕などありはしない。
 自らの領地内の事ならいざ知らず、遠く離れたモブリズの人々を援助する義理などフィガロにはない。
 だが、エドガーは無償でもいいから、この愛らしい少女に何かしてあげたかったのだ。
 エドガーの笑顔に、ティナははにかんだ笑顔を向けグラスを受け取ると頭上に軽く掲げた。
 カチン
 グラスをはじく音がする。
 エドガーはまた、いつものようにティナへと笑いかけた。
 そう、いつものように。
「お礼は、何で返せばいいかしら?」
 これしかないの、と言わんばかりにティナは胸のペンダントを握り締める。
 淡い記憶にある、父と母の形見。
 父は魔石として傍に居てくれているが、母の思い出はティナにはコレだけしかないのだ。
 エドガーは微笑みながら首を振ると、彼女の手をペンダントから外す。
「礼なんか、いいさ。私には今、君が私を見ていてくれるのが、一番の贈り物だよ」
「相変わらずなのね、エドガー」
 ティナは安堵の溜息をつくと、エドガーに極上の笑みを見せる。
 ティナについていくといって聞かなかった子供たちには、遠距離の往復は辛いだろうからとエドガーは寝室を用意させた。
 ティナはそれを、甘んじて受ける事にした。
 ティナの無反応さに少しうなだれつつも、エドガーはごゆっくり、お休みといって謁見室を出て行った。

52エド×ティナ(3):2003/09/26(金) 22:04
「レオ将軍…私…」
 夜風を頬に受けながら、ティナはフィガロ城の屋上で月を仰ぐ。
 帝国で唯一、人間として自分を扱ってくれたその男を、ティナは尊敬していた。
 「愛」というのを知りたいと、性急な自分の思いを、まだ若いと一笑に付し、勇気付けてくれたティナの恩人でもあった。
 恋、という感情はまだよく解らない。
 でも、この胸を縛るこの思いが恋であるというならば、素直に受け止める事が出来るだろうと思う。
 もっと、色々な事を教えて欲しかった。
 自分が人間と愛し合う事が、悪い事ではないと奮い立たせて欲しかった。
 あの人は…私の…。
「夜風に当たりすぎると、身体に良くないよ」
 背後から声がして、ティナは振り返る。
 黄金の髪に月の光を宿らせた、青い瞳の美青年が笑いかける。
 そのあまりの美しさに、ティナは一瞬息を止めた。
 レオ将軍…、教えて欲しいの。
 ショルダーパッドから緑色のマントを外すと、エドガーは無言でティナの肩にそれを宛がうと微笑する。
「…多分、それを売れば五千ギルぐらいにはなるだろう。不要になったら、売りなさい」
 いつものプレイボーイ風な言葉ではなく、優しい語り掛けにティナが俯く。
 勇気を、ください。
 レオ将軍。
「エドガー…あの…」
 マントがふわりと風に乗る。
 エドガーには、その行方を見守る余裕がなかった。
 腕の中には、ずっと欲しかった温もりがひとつ。
 潤んだ瞳で、羞恥に耳まで染めたティナの顔が眼下にあったのだ。
「…よく、わからないの。解らないから…はっきりと言えないの。でも…これが…『愛する』って気持ちなら…私…」
 刹那、エドガーはティナの唇を奪う。
 風が、二人の横を通り過ぎる。
 ゆっくりと唇を離すと、エドガーは放心状態のティナに微笑みかけた。
「愛の告白は昔から、男からだと決っている。私から、させてくれないか?」
 エドガーのティナを抱く腕に、力がこもる。
「相変わらず…なんだから…。エドガー…」
 ティナの瞳が、静かに閉じられる。
 その唇に、エドガーはまた唇を重ねる。
 フィガロの城に王妃が迎えられるのは、そう遠い未来ではないだろう…。
 モブリズのオマケは、付いてくるだろうけれど。

53名無しの勇者:2003/09/26(金) 22:05
萎えた…

54名無しの勇者:2003/10/10(金) 21:22
板 違 い & ヘ タ ク ソ !
カ エ (・∀・) レ !

55エドロク:2008/05/09(金) 13:34:47
恋人の上げたカン高い声にセリスは目を丸くした。

ちょっとした好奇心だった。
男も乳首は感じるのかと思って指で触れただけだった。
あまり感じないか、ちょっとくすぐったがって「やめろよ」と
怒ったふりをしてみせるかもしれない。
その後はいつも通りにじゃれ合えば良い。

そう思っただけなのに、こんなに敏感に反応するなんて……。
セリスはごくりと唾を飲み込んだ。

56エドロク:2008/05/09(金) 13:49:09
「あ・・・っ も・・・ぃやっ」

ちゅくっ ぐちゅっ クチュ……

長い指の器用な感触にロックは顔を真っ赤にして喘いだ。
「……それで? お前はその後どうしたんだ?」
まともに答えられないことを知っていてわざと意地悪く質問するのだ。

面白がるセリスに全身の性感帯をなぞられ、ひくつき、
思いっきりじらされてからフェラチオされそうになった。
くわえてきそうな唇から逃げ出し、部屋を飛び出したのだ。
反射的にそうしてしまった。
なぜそんなことをしたのか分からない。
だが、女にイカされてしまったら男として終わってしまう気がしたのだ。

57エドロク:2008/05/09(金) 13:59:37
素っ裸で飛び込んだのはエドガーの寝室だった。
入った瞬間、なぜこの部屋に入ってしまったのかと後悔したが
エドガーに腕を掴まれてからは後の祭りだった。

「ロックは特にここが感じるね……」
コリコリに硬くなった乳首にフッと息をかけられただけで感じてしまう。
こんなになるほどまでに敏感に開発されたロックの身体はエドガーのお気に入りだった。
乳首をなぞっても初めは何も感じた様子を見せなかったロックだが、
長年可愛がっていくうちに一番敏感に反応する性感帯へと成長した。

58エドロク:2008/05/09(金) 14:14:07
「お前は抱くより抱かれる方がいいんじゃないのか?」
「そんな………ッ アッッ ……」
臍のあたりからジリジリと指が下の方へ降りていく感触に
ぞくぞくしていた。

耳に舌を入れられグチュグチュされながら腿の内側をなぞられて
ロックの瞳には涙が滲んでいた。

こんなに感じやすい身体ではセリスも楽しくて仕方がなかっただろう。
自分が開発したのだという優越感も感じたが、
これからはセリスの玩具にもなるのだと思うと少し面白くなかった。
エドガーは髪をたばねているリボンをひとつ外すと、
ロックのいきり立ったそれの根元を結んでしまった。

59エドロク:2008/05/09(金) 14:39:00
イキたくてもイケないリボンの結び目に、
膨れ上がったソコはパンパンに張りつめてロックを泣き叫ばせた。

それでもエドガーは実にやさし〜く、なめくじのようにねっとりと指を動かし
文字通り腫れ物に触るような感じで愛撫し続けた。
気が狂ってしまうんじゃないかと言うほど首を振って感じて
懇願してイキたがるロックにエドガーは己の物を突き刺した。

リボンに結ばれたそれをパンパンにさせながら何度も突き刺されて
ロックは泣き叫んだ。
そのヒイヒイした声に堪らなくなってエドガーはよりいっそう腰を深く沈めた。
突き刺してから蝶々結びにしたリボンを解いてやるとドクドクと精液を吐き出して
ロックは失神した。
自分から吐き出しながらも、尻の穴からもエドガーの精液を垂れ流していた。

今度はセリスにも結ばせてやろうか? そうも思ったがセッツァーに結ばせた方が
数段面白い展開になりそうで、今度はリボンで結びながら媚薬を全身に塗りたくってやることにした。


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