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FFDQかっこいい男コンテスト 〜ファイナルファンタジー5部門〜

27ギルバツ 7/16:2005/11/14(月) 14:59:37
 時計の音がする。
電灯が、無音とも区別し難い空気の波を進む音を鳴らし続けている。
ギルガメッシュの思考は既に凍結し、胸を打つ鼓動はその間隔を狭める一方で、身体中の熱が出口を求めて下半身へと集まっていく。
(なにが………………なにが)
何が起こってるんだ。
この、首の後ろに感じる汗ばんだ手。この手はオレのものじゃない。ここにはオレとバッツしかいない。
じゃあこの手は誰のだ。オレか。いや、だからオレのじゃなくて……。
(……………………バッツ?)
瞼をゆっくり開けると目の前にバッツの顔があって、ギルガメッシュは再び飛び上がりそうになった。
(と、と、当然だ……チューしてんだから)
重ねた唇から漏れるわずかな空気を求め合い、互いの唾液の零れる水音が狭い室内に響く。
一か八か、おそるおそる舌を侵入させていくと、それに応じるようにバッツが己の柔らかな舌を絡めてくる。
(う……っそだろ…………)
目は瞑ったままだったが、間違いなかった。
バッツの意識は覚醒している。
その上で自分の仕掛けたキスに応えているのだ。
バッツが。
あのバッツが。
考えただけで脳味噌がメテオの溶岩になっているのに、相手が自分の首に回した腕の力がみるみる強くなってきて、心なしか抱きつかれている気がするものだから。
この首の後ろの、この己の体を拘束する腕がなかったら、空くらい飛んでいそうだった。
「……………………ふ」
さすがに息が苦しくなってきて唇を離したが、バッツの手は相変わらずギルガメッシュの首に巻きついている。
無言だった。
密着した体が互いの鼓動を数え、熱を与え、言葉を溶かしていった。
思わず逸らした目線の先に、二つのゴブレットが並んでいる。
自分で並べておいたはずなのに、その片方は倒れ、中にわずかに残った液体がチェストに零れていた。
いつの間に倒れたのか、誰が倒したのか、その時音がしたのか、ギルガメッシュは知らなかった。
「……バッツ。なぁ、バッツ……?」
顔を肩口に埋めたバッツの表情は見えなかったが、絹糸のような髪が微かに震えているのを、ギルガメッシュは見逃さなかった。
「……!おっ、おいっ……バッツ!泣いてんのか?寒いのか!?」
慌ただしく問い質しても返答はなく、彼はただ震えるばかりだ。
「だめ…………ギル……もう」
「バッツ!?」
囁くような声が耳元で響く。
何かを押し殺したような、堪えているような、絞り出すような声だった。
「だめ、だめ…………これ以上……ぷっ」
堪えていた何かが吹き出したようだった。


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