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FFDQかっこいい男コンテスト 〜ファイナルファンタジー5部門〜
26
:
ギルバツ 6/16
:2005/11/14(月) 14:58:39
「……………………」
こうやって、最後に他人の体温に触れたのは果たしていつだったか。
魔の道に身を投じてから、そんな機会も余裕すらもなかったように思う。
今こうして人の、しかも男の唇を吸っているという事実が、遠い世界の絵空事のような気さえしてくる。
そんな現実離れを錯覚させるほど、バッツの唇は柔らかくて、温かかった。
(やっべぇ…………やべぇ、やべぇ、やべぇ)
気持ちいい。止まらない。
角度を変えて何度も啄ばむ。食む。滴る唾液がバッツの唇をさらに湿らせる。
「んぅ………………」
「っ!?」
思わず舌を侵入させようと勢い余ったところで、バッツの喘ぎを乗せた吐息がギルガメッシュの消えかけた理性を奮い立たせた。
ドア側の壁際まで文字通り飛び上がるギルガメッシュ。
体の内側から動悸を奏で続ける胸を軽く押さえつつ、呼吸を整えながら、眠るバッツを見下ろす。
(お、お、お、お、オレは…………)
オレは一体何をしていたんだ。
オレは、オレは、オレは…………。
(バッツに、…………チュウ、しちまった)
顔を合わせるたびに剣を取っていた、バッツに。いつも差し向かいで戦っていたバッツに。
好敵手。友達。仲間。
密かに、自らそう認めていた相手は、もうそこにはいなかった。
今ここにいるのは、あえて品のない言い方をするなら、自分の性的対象へと成り果てたバッツのあられもない肢体だった。
幸い目を覚ます気配を見せないバッツの寝顔に目をやると、自分の唾液で濡れたバッツの唇が、電灯の白に反射して艶やかな光を帯びていた。
(………………あぁ)
もう一回。
もう一回、したい。
脳を巡る回路が早いのか急き立てる本能が早いのか、己の足は思い悩むこともなくバッツに歩み寄っていく。
風が吹いた。ギルガメッシュは音を立てないようゆっくりと窓を閉め、それからバッツの栗色の前髪をするりと撫ぜた。
錆びかけたスプリングを仕込んだベッドに膝をかけると、ぎりぎりと嘗めるような音を立てながら、バッツの体が僅かにシーツの海に沈む。
――もう一度互いの唇が出会うまで、あと――――……
二人の呼吸は、ギルガメッシュの首の後ろに回る手の平の温度に引き寄せられて、再び繋がった。
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