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我の名は新人! 新時代の先駆者!!
553
:
名無しさん
:2013/08/01(木) 00:17:30
クソ野郎。何が関東にいないだ。
正光寺は関東どころか都内、それも結局この街に残っていた。
恐らくは警察の介入を見て、ヤクザによる俺の処分が行われるか不安になったのだろう。
だからこうして暴れて、警察を妨害しようとする。注意を引きつけてヤクザを助ける。正光寺からすれば自分の命が掛かっているのだから当然の行動だ。
「最後まで余計な事しやがって」
警察車両が駆けつける気配もない。台数はこれで頭打ちだろう。
これ以上待っても正光寺に釣られて台数が減ってしまう恐れがある。
「正光寺さん」
「正光寺君」
横で見ていた文香と江嵜も彼の存在を確認したらしい。
もうあまり時間がない。動くならば今。早いところ警官に捕まらなければ。
どうやら彼女たちも考えていたことは同じらしく、此方を向いて軽く頷いた。
「急いだ方が良さそうですね」
「ああ、そうだな」
「新人君、出所したら迎えに行くからね」
「気持ちだけは有り難いが、江嵜には俺の事を忘れて、正しく生きてほしい」
二人と軽く言葉を交わす。
最後に、江嵜には悪いが、文香とキスをした。唇同士が軽く触れる程度の軽い接吻。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
いつぞやの夜中を思い出すような、行ってらっしゃいのキス。
今回は送り出す側ではなく、送られる立場になってしまった。
おかえりなさいのキスはあるのだろうか。そんなことを考えると、涙が溢れ出そうになる。恐らく、それが行われることはない。
そもそも全てが上手くいく可能性は低い。
成し遂げたとして、出所までにどのくらいの年月がかかると言うのだろう。
時間が経てば人は変わる。俺や正光寺、江嵜は大きく変わった。
年単位でなくとも、この数ヵ月の間だけで俺は変わったと思う。江嵜だってそうだ。前までの彼女なら、きっと今頃この場所にはいない筈だ。
服役を終えて、その時までのヤクザのケジメが何らかの形でついていたとして、文香の気持ちが変わらないとも限らない。
寧ろ、変わっていて当然だ。そのままでいる事を押し付けられようもない。
だからきっと、おかえりなさいのキスはない。
このまま残っていても、危険が増すどころか、情けない姿を曝すだけだ。
恥を無駄に上塗りする必要もない。
「江嵜、文香、うまく生きろよ」
俺は覚悟を決めて、警官に捕まりにいく事にした。
「そうだな、このガキの分まで手前らは生きると良い」
突如として俺達の会話に割って入った野太い声。
聞えた方向を見ると、階段の前に黒のスーツを着込んだ恰幅の良い男が二人並んでいた。片方の手には異様に大きなバッグが提げられている。
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