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我の名は新人! 新時代の先駆者!!

548名無しさん:2013/07/27(土) 11:13:28
 
 
さて、問題はここからだ。
 
非常階段とエレベーターが一つずつの雑居ビル。ヤクザと出くわすことなく警察に保護を求める、もとい捕まる。これが先ず最低条件だ。
確実な手段を考えている時間などない。ヤクザはきっとすぐに上がってくる。

西側に向かって駐車場を見下ろす。
乱雑に停車された黒塗りのセダンは2台。そして不審なワゴン車も1台。ご苦労なことで、かなり大所帯でいらっしゃったようだ。
対して警察車両はパトカーが二台。いざとなれば数で勝るヤクザによって強引に拉致される恐れがある。この場で銃殺されることだってあるかもしれない。
安全に確保されるには、圧倒的に警察側の人数が足りなかった。今から通報するのではもう遅いだろう。

どうするか。
考えながら再びパトカーのいる東側を見下ろす。
丁度、サイレンの音が聞こえてきて、新たなパトカーや警察車両がやってきたところだった。よく見れば既に停車中の台数も三台に増えている。

何が起こっているのか分からない。
少なくとも事態は好転しているのだろうと安堵する。 
 
 
 
カチャリ。
雨音に交じって突然聞えてきた鉄の音。すぐ下の階で、非常ドアが開けられた。

誰かが来た。

文香が寄ってくる。
「新人さん」
「ああ、来たな」
誰だかは分からない。だが確実に何者かが向かってきている。
カツカツと階段を踏んで、足音は徐々に近づいてきている。緊張の所為からか、それは雨音の中でも鮮明に聞こえた。
 
警察か。ヤクザか。
どちらにせよ俺の今は終わってしまうことになる。
最後に今を味わおうと、俺は文香にキスをした。もうすることはできないであろう、最期の接吻。


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