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我の名は新人! 新時代の先駆者!!

545名無しさん:2013/07/27(土) 11:11:32

いよいよもって、俺は最後の逃げ道を使わざるを得ないようだ。
今死ぬよりは遥かにマシな選択。それでいて、可能であれば避けたかった手段。

自首。

追手のヤクザに捕まる前に、警察に捕まる。
無論、それだけで安全が確定する訳ではない。上手く立ち回って“釈放されないようにする”必要がある。一時的にでも外に出されることは重大な危険を伴う。

これは分が悪い賭けだ。
拘留場所が明らかになる以上、釈放されてしまえばほぼその時点でヤクザの追手に捕まってしまう。その為に向こうから警察に対し何らかの働きかけをする可能性すらある。
それに、逃げ遂せる場合と異なり、確実なデメリットを被ることになる。当然だ。失敗が死で、成功が直実刑なのだから。
これはルーレットを回す対価に“今”を支払うような行為に他ならない。

今しかない存在にとって、その対価は死に等しい。
だが、俺は悩んでいる。それどころか、腹は殆ど決まっている。分の悪い賭けに膨大なコストを投じようとしているのだ。
俺にとって、その対価は死よりも軽いことになる。

俺は醒めていた。
確実だが一瞬の今よりも、あるかもしれない未来が欲しい。
 
極限に至って、俺は漸く常人に追いついた。
もうくだらない言い訳で、生きることを諦めたくない。心からそう思えている。

「俺が死ねばコトは収まるのかもしれないけど、やっぱ無理だわ。俺は抗う」
電話口でそういうと、正光寺から笑い声が返された。そして続く『そろそろか・・・』という呟き。
何の事だと問うと、再び不快な引き笑い。
その声はまるで嘲笑うようで、それでいて心の底から喜ぶようで、実に狂気じみていた。

『俺は少し嘘を吐いていたんだが、まぁそれくらいは許してくれるよな?』
「嘘が無くても許すわけねえだろクソ野郎」
正光寺は俺を小馬鹿にするように『すまねぇ』と繰り返す。

そして、告げる。

『本当は、お前は今日そこで死ぬんだよ』

もう彼は優しさを演出しない。
素の状態、クソ野郎の正光寺として言ってきた。

「なら逃げるまでだな」
『もう遅い。ビルの下を見てみろ。お迎えが来てるぜ』
俺が立ち上がるより早く、抱きついていた文香が俺の背から離れた。
彼女は西側から下を眺めに行った。反対側にも通りがあるので、俺は東側から眺める事にする。


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