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我の名は新人! 新時代の先駆者!!

531名無しさん:2013/07/24(水) 22:31:28

次は地元の駅に戻り、ゲームセンターへと向かった。
俺がニートになって長い時間を過ごした場所。仲間もいたし、することもあった。正光寺とも此処で再会してしまった。
あらゆる意味で思い出深い場所だ。

入り口を開けると、騒音が一気に漏れ出す。
淀んだ空気、煙草の匂い、小汚い内装。その全てが俺にとっての“帰るべき場所”を演出していた。
 
一応、メダルゲームコーナーに目をやる。
そこに正光寺の姿は無い。金髪の不良はいたが、別人だった。
最近はこの場所で彼を見かけることはなくなった。俺を陥れるための手筈を進めているのだろうか。
 
俺達はメダルゲームコーナーを抜けて、ビデオゲームが設置された区画へと向かう。
ゲームセンターの中でもそこは一際熱気が漂っている。人対人の真剣勝負が行える数少ない場所だ。

今日も多くのゲームがプレイされていた。
気が早いもので、早くもギルティの新作稼働告知がされている。稼働予定は十二月。まだ二か月も先の話。俺がプレイすることはないだろう。
正直、それが心残りでならない。俺もバッドランズや前エグゼというものを使ってみたかった。せめてロケテストに行っておけばよかったなと小さな後悔をする。
俺が未練がましくアクセントコアの告知を眺めていると、文香が話し掛けてくる。
「これ新人さんがよくやっているゲームですよね」
「そうだ。新作が出るらしい。やりたかったな」
「やればいいと思います。私はゲームをしている新人さんも嫌いではないです」
「機会があったらやるさ」
そう言いながら、稼働中のスラッシュにクレジットを入れる。
テスタメントを選択し噛み締めるようにディガーループを行った。新作ではこの手のくだらないコンボが無いことを祈る。恐らく俺には関係のない事なのだが。
 
暫くプレイしていたが知り合いが来ることはなかった。
最後に彼らと対戦をしておきたかったのだが、噛みあわなかったものは仕方がない。
俺は自キャラを一撃準備状態にして席を立った。
「もういいのですか?」
「ああ、満足だ。次行くぞ」
文香は数十分待たされた後であっても、文句の一つも言わず俺についてきてくれた。
彼女の顔が少し嬉しそうに見えるのは次に行く場所を予想しているからなのかもしれない。そして、もしそうだとすれば期待を裏切らない結果になる。
 
 
俺達は隣のビルの階段を上り、806号室の空家へと向かった。


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