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我の名は新人! 新時代の先駆者!!
529
:
名無しさん
:2013/07/24(水) 22:30:04
どんなめぐり合わせか、その一方は俺に退学を告げた嘗ての担任教師だった。
もう一人は、確か体育教師。生徒指導の担当者で、こういった校外の不穏分子対応にも頻繁に駆り出されていた記憶がある。
「ウチの生徒に何か用でも?」
恰幅の良い体育教師が凄みを効かせてくる。脅かす気が満々なところを見るに、あまり好意的に接する気は無いようだ。
一年と少しの歳月が過ぎれば、受け持ち以外の生徒の顔など忘れてしまうらしい。彼は俺の事などまるで覚えていない様子だった。
「知っている生徒など殆どいません。なので用は無いですね」
俺の声を聞き、担任だった教師は顔色を変えた。流石に気付いたらしい。
「お前は・・・新人か?」
忘れようもないだろう。自分が退学を言い渡した生徒だ。
彼の対応もまた好意的であるとは言い難かった。身構え、顔を強張らせている。そんな拒絶に近い対応を取られて尚、覚えてもらえているという事実が嬉しくもあった。
「そうです。覚えていてもらえて嬉しいですよ」
「何の用だ?俺に復讐でもしに来たのか・・・?」
嘗ての担任は、若干怯えているようでもあった。俺がそんな事をする人間に見られていたという一点を只々残念に思う。
俺はこの男に恨みなどない。退学を言い渡したのは彼だが決定したのはまた別の人間だろう。当時の俺でもそのくらいは理解していた。担任は嫌な役を任されただけだ。そもそも、退学のことを恨む気などないが。
「いえいえ、俺はただ懐かしみに来ただけですよ。出身者が学校を眺めるのもいけないことなのですか?」
卒業できていないので、厳密に言えば出身者ではなく脱落者なのだが。
俺は嘗ての担任に話し掛けた心算だったが、体育教師が首を突っ込んでくる。これだから脳筋教師は嫌いだ。
「生徒が不振がって迷惑してんだよ。さっさと去らねえと警察よぶぞ」
「もう少し、先生と昔話がしたい気分だったのですが、仕方ありませんね。俺達は消えます」
失礼しました、と軽く一礼。文香も倣って頭を下げた。
体育教師は満足げな表情をしていた。その顔にやたらと腹が立ち、俺は逃げるように背を向ける。
「今は何をしているんだ?」
担任だった教師が呼び止めるような形で尋ねてくる。
最近は、と言うニュアンスの“今”だろう。俺は敢えて読み違え、“今”していることを答える。
「シュウ活です」
俺の言葉を聞いた担任は安堵したような顔をした。
「そうか、大変だとおもうが、頑張れよ!」
教師から激励の言葉を貰う。もう回る箇所など幾らもないが、それでも言われた通りに頑張ろうと思った。
終活、今を終わらせるための活動を。
「最後に一つだけ、よろしいですか?」
俺は一応この男にも聞いておこうと思った。
「何だ?」
「あの後の正光寺がどうなったか、ご存知ですか?」
嘗ての担任と言う立場でどこまで知っているのだろうか。純粋な疑問だった。
教師がゆっくりと口を開く。
「あいつは自主退学をしたよ。その後はひきこもりになったって話だ」
嘘は吐いていないように思える。教師が知っているの事などその程度。特に有力な情報は得られなかった。
「そうですか。きっと先生が今のあいつを見たら驚きますよ?」
「どういう意味だ?」
「それはご自分で確かめて頂きたい。何とかあいつを捕まえてください」
体育教師が不機嫌そうにずっと此方を睨んでいる。
これ以上は不快感が増すだけだと判断し、再び会釈をして今度こそ学校を離れた。文香も倣ってついてくる。
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