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我の名は新人! 新時代の先駆者!!

528名無しさん:2013/07/24(水) 22:29:24

「・・・作家だよ」
俺は白状した。
愚かだった頃の夢。作家になること。
「素敵な夢です。正直、惚れ直しました」
「やめてくれ、恥ずかしい。餓鬼の戯言だよ」
何が書きたい、だとかそういうことは一切決めていない。
別に放送作家だろうが、シナリオライターだろうが、何だってよかったのだと思う。ただ自分の世界を世の中にアウトプットしたかった。
「作家になるための勉強をしていたのですか?」
「いや、漠然と、いい大学に行きたいなと考えていた。出席日数も少なかったし素行が良くなかったから、俺は勉強するしかなかった」
高校受験のように放棄せず、いい大学に入ることを目指して勉強していた。その先に夢を見据えながら。
作家になるための勉強、ではなく、作家になるために勉強をしていた。
「大学に行かなくとも、独学でなれるのでは?」
「ニートの方が楽だろ?ってのは冗談として、作家って職業は意外と学歴主義なんだよ。低学歴作家なんてのは殆どいない。低学歴は大抵地頭も悪いし、少なからずそういう目に見られちまうからな」
多くの本には作家紹介の欄がある。
小説家なんていう偏屈な人間は、そこで自己主張をしようとする。その際に一番手っ取り早いのが学歴自慢だ。出版経歴のない作家の場合は特に輝かしい学歴を書いている事が多い。
俺はそのために勉強をしていた。少なくともいい大学に入っておいて損はない。それこそ今のように未来を失うことは無かったと思う。
「世知辛い業界ですね」
「積み重ねてきた人間にとってはそうでもないんだろうけどな。兎も角、既に過去の夢だ。もう追ってすらない」
文香は残念そうな顔をして「勿体ないです」と言ってくる。
俺が返事をしないでいたら、彼女もそれ以上この話を掘り下げようとはしなかった。
 
  
校門の前に不審な男女二人。
恐らくそんな知らせを生徒から受けたのだろう。校門から二人の教師が此方へと歩み寄ってきた。


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