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【ネタバレ】紅色天井艶妖綺譚・2【攻略】

39風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:03:05
>>37
どうしたの?
36はゲームの感想書いてるじゃない

40風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:03:51
>>36はFDがあまり売れてなくて一本でも多く買って欲しい社員なんじゃねw

41風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:05:31
>>39
>自分は特典全部聞きたくて紅天五本買った
>文章で見るよりCDで声を聞く方がいいんじゃないかな〜vなんて
だったらゲームの感想だけ書いて
余計なことは言わなければいいのに

42風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:06:58
イライラするぐらいなら買えば良いのに

43風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:09:04
できの悪いゲームに貢ぐ気はありませんw

44風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:09:58
>>41
そんな風に書くと特典CD全部買えなかったから悔しがってるように見えちゃうよ

45風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:10:34
じゃあもういいや

46風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:15:51
そのうち特典だけ買う

そういえばOPムービー発表された頃桜螺のスチル一つしかないとか言われてたけど
今思えば見せることが出来るスチルあれくらいしかないもんな


他のメーカーのFDと比べるとやっぱり物足りない感はあるな

4724:2010/09/03(金) 00:18:52
>>36
私は同じゲームを何本も複数買いする気はないですし
何本も買えない人がバレを投下し合うためにバレスレがあるのだと思っていたのですが
どうやら違ったようですね

48風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:21:46
そりゃそのためでもあるだろうけど、
大元はゲームの内容を話すためのバレスレだろ
しかもこっちは規制民用

でも自分は複数買いできなかったので
>>24さんには感謝してます

49風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:28:29
>>48
元々はこっちが本当のバレスレだったんだよ
いろいろあって2chにもバレスレが立てられるようになったから立ててるだけで
別に規制民用ってわけじゃない
自分は規制されてないしw

50風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:31:59
>>36
何に無理があるって
まず何度も延期したのにバグがあるうんこゲーのくせに
複数買ってもらえると思ってるところに無理があるw

51風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:33:18
>>49
そんなことは知ってるよw
でも今は向こうに専スレあるし、
実際こっちはほぼ規制民用だろww

52風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:36:04
>>51
自分も規制されてないよ
こっちに人がいるから見に来てるけど

53風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:39:53
バグあった?

54風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:41:08
>>53
公式にパッチが出てる

55風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:45:50
>>48
感謝はするけど48が持ってる特典のバレは投下する気ないってこと?

56風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:48:50
紅天厨ってセコイ奴しかいないのね
ラキドなんかテンプレに特典バレのまとめが載ってるくらいなのに

57風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:52:21
よし決めた
>>36が気に入らないから今後はラブデリ叩き続けることにするわw

58風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 00:54:56
好きなカプの特典は持ってるし
他のカプは興味ないわ

59風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:00:46
藍丸好きなら他も聞きたいんじゃないの
全部買えるのは特定少数のセレブさんだけだろうけど
まあ>>58みたいに特定カプの「攻めキャラだけ」が好きなら他はどうでもいいことなんだろうね

60風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:06:37
特定のカプに萌え過ぎると
他の攻略キャラに嫉妬して他√の話は聞きたくなくなる

61風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:08:36
>>60
そんなこと言ってたらバレスレなんか見れないんじゃない?
好きカプ以外の攻略キャラ名をNGに入れて見ないようにでもしてるの?

62風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:09:12
聞かなくてもいいから>>60が好きなカプの特典CDのバレを投下してよ

63風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:14:36
>>57
ちょっとまてw
>>36とラブデリになんの関係があんだよww
いやラブデリのゲームプレイしてるけどww
どうせなら36叩けよwww

64風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:14:53
>>59
攻めキャラだけが好きとは書いてないが
妄想が過ぎるんじゃないか?

65風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:15:55
>>63
こんな糞バグゲーを特典のために全部買えなんていう基地>>36
ラブデリの糞社員に決まってるだろ

66風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:16:23
バレ投下して欲しいから暴れてるの?
鏡丞CDなら投下できるから、落ち着いて欲しいな

67風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:17:12
>>65
全部買えなんてどこに書いてあんだよww
むしろ全部買えるアテクシスゴイ系だろ

68風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:17:16
バレは聞きたいのー
でも自分が持ってる特典CDのバレは絶対に教えたくなーい


と、バグゲー紅天厨が申しております

69風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:17:36
ラブデリってそんなに社員いるの?
5人くらいでやってるんだと思ってた

70風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:17:50
わざわざこんなマイナーなブランド荒さなくてもすぐに過疎るだろうに・・・

71風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:18:55
だよねぇ

72風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:21:34
>>66
マジで?ありがとう!

あと鷹比佐と桜螺の詳細バレと上の方に雷王バレ希望の人がいたから雷王バレもお願い

73風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:23:26
桜螺編は輪廻転生した桜螺と藍丸が初対面する話
ほぼ桜螺が一人でしゃべってる

74風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:24:30
>>73
>>24みたいな詳細バレ書いて

75風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:28:01
いや、桜螺のバレは>>73以外表現しようがないんだけどwww

76風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:29:18
>>75
アッソウ
じゃあもういい
>>75が気に入らないからバグゲー作ったラブデリはずっと叩き続けるw

77風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:30:56
えーと・・・
これスルーした方がいい雰囲気かな?

78風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:32:45
面白いから泳がせてたわ

79風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:32:59
>>77が持ってる特典CDのバレ投下してよ
何で出し惜しみするの?そんなに複数買いさせたいの?
>>77は社員なの?

80風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:34:16
>>78
ラキドスレの住人はスルーできなくて
結果的に2chバレスレを立てられるようになったんだよねw

81風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:34:32
まず>>79の持ってる特典のバレ投下するべきだとwww

82風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:35:50
荒らしが湧くなんてラブデリも大きくなったなぁ
紅天本編発売時のスルーっぷりを思い出すと涙が出てくるw

83風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:36:01
そんなことより藍丸の尻でも見てモチツケよ

84風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:36:55
>>83
やっぱり現代じゃトランクスだと思う?

85風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:38:11
>>81
自分も兄で買ったからwwwww
バレ投下して欲しいならするけど?wwwwwwwwww

86風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:38:43
難聴の音響が作った バグゲー の特典CDバレ マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

87風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:39:05
>>85
あーしとけしとけ

88風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:39:05
藍丸はボクサータイプ
緋王ははいてない方向で

89風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:41:12
ねーねー
バグゲーの特典CDのバレマダー?

90風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:43:09
なんでそこまで特典バレして欲しいんだ?

91風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:43:15
>>36
全て36のせい^^

92風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:45:21
妖組ははいてない設定だけど天狗はどうなん

93風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:47:09
>>90
普通に他特典の話も知りたいと思わない?
上の方では他にも知りたがってる人いたけど?
それ以上に複数買いさせたくてバレを投下させたくない人が頑張ってて笑うw>>36

94風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:48:03
どう見てもバレ欲しい人が頑張ってるだろww

95風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:49:05
>>92
は…いてるよ!はいてるはず!

つか妖組は現代じゃパンツはいてるのか?
さすがにはいてるよな?

96風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:50:18
DTは天狗のお面でもつけてろってお狐様が

97風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:52:41
>>94
何でそんなにケチなのwwwwwwwwwwwww
複数買いさせたい社員なのwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

98風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:53:16
DTはちゃんとDT卒業したんだぞ!
もうDTじゃないんだぞ!

99風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:54:02
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100風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:54:14
>>97
あまりにもクレクレが必死すぎて投下する気なくすわwwwww

101風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:54:38
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102風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:55:04
>>110
最初から投下する気なんかないくせにwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww>>36

103風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 01:56:29
アンカ間違えたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

>>100
最初から投下する気なんかないくせにwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww>>36

104風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:00:43
36と一緒にすんなおwwww
5本も買えるような金持ってねぇおwwww
お前がいなくなったら投下してやんよwwwwww

桜螺CDしか持ってないけど

105風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:03:15
>>104
おkわかったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

鏡丞と桜螺はクリアwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

後は鷹比佐と上の方で出てた雷王の詳細バレクレクレwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

106風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:06:29
全部持ってるセコセコ>>36に期待wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

107風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:07:45
>>36
バレ投下する時はセコセコ>>36ですって名乗れよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

108風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:13:23
緋王ルートの藍丸はある意味童貞も卒業してることに…ならないか

109風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:14:18
完全な別体だからな

110風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:15:39
お前ら本当は規制されてないんじゃないのwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

111風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:21:57
規制されてないけど面白そうだから遊びに来てるww

112風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 02:22:47
やっぱりwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

113風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 03:29:56
あれ、鏡丞の特典バレ出てた?

114風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 03:30:47
>>113
まだ、だよー
待ってる、よー

115風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 03:35:06
>>105に鏡丞と桜螺って書いてあるからてっきり出てるのかと思った
>>105が間違えただけかww

116風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 03:47:56
>>115
それは鏡丞と桜螺の詳細バレは後で投下するって約束した>>66>>104がいるって意味
他(鷹比佐、雷王)のバレも待ってるw

117風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 07:11:53
桜螺はバレ出たじゃん

118風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 07:31:19
嘉祥編は凄い金持ちになった嘉祥が携帯について藍丸と話す話
桜螺よりは藍丸が喋っている

鷹比佐編は手を繋ごうとする鷹比佐と甘いものに目がない藍丸の話
キスあり

119風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 07:31:50
鏡丞もバレとっくに出てるけどねw

120風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 09:48:41
鷹比佐のにぶちん同士の甘味デートは美味しかったです

121風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 13:16:57
>>119
詳細バレは出てない

122風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 13:18:42
>>117
桜螺も詳細バレは出てない

123風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 13:43:26
荒らしさんおはようww

詳細バレって言っても桜螺の話なんてあれくらいしか言えないw

124風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 13:48:11
>>123
元々書く気なんてなかったんだよねー^^文書をまとめる力が無いセコセコ>>36さん^^

125風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 13:50:28
>>123
ラキドの特典CDのネタバレ見て参考にしてね^^少しは文章まとめる力がアップするかも^^

◆ラッキードッグ本編特典バレ(旧したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/2314/1253463870/62

126風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 13:56:02
>>123
あ、そうそう、
ラキドの特典はショップさんが力入れてくれてて何度も再販されてまだ買えるからよかったら買ってね^^セコセコ>>36さん^^
うんこバグゲーと違ってシナリオは神だし、音のバラつきなんかないから安心して複数買いできるよ^^セコセコ>>36さん^^


BL@ラッキードッグ1☆65匹目【ネタバレ】
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/gboy/1283277328/2-4

127風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:03:59
>>123
特典CDの詳細バレ投下するって言ってたのに投下しないね
紅天儲には嘘つきしかいないのかな

まあメーカーが、何度も延期した理由はまるで 「絵師の体調のせい」 だけ

みたいに嘘をついた、嘘つき糞バグゲーメーカーだから

馬鹿儲が嘘つきになるのは仕方ないか

128風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:06:48
なんだてんねん厨か

129風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:08:07
いいえ、ボブゲ厨です^^

130風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:11:02
>>128
シナリオがうんこの熱砂にすらこんな声の音量がバラバラなんて糞バグはなかったよ^^
フルコンしてもOP曲が現れないバグはあったけどw

131風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:12:50
糞バグゲー作ったラブデリ社員は今なにやってんの
もうパッチ作る気ないの

132風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:13:59
そんなに音の量気になるならメーカーにメールすりゃ良いのにw
持ってるパソコンは荒らしとゲームの為ですかww

133風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:17:03
>>132
へー、ってことはあのいい加減なパッチ出しただけで
後はもうパッチ出す気ないってことかな?

じゃあラブデリは あぼ〜ん するまで

延期理由を絵師に押し付けたくせに

音量が変な糞ゲーを作った

糞バグゲーメーカーって呼ばれるね^^

134風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:18:10
>>132
買ったんじゃなくて流れてるの拾ったとかでメールできないんじゃないか?

135風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:20:02
>>134
どこに落ちてるの?特典CDも落ちてる?
それともこれからうpしてくれるの?放流するならニコつべキボン^^

136風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:20:39
ラキドスキップしてたら止まったことあったんだが…あれはバグじゃなかったのか

137風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:21:37
>>135
ちゃんと買ってるから知らねえよw

138風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:22:53
あれもバグだよパッチが出てる
でもラブデリみたいな 攻略キャラ の声が 異様に小さい とか
パッチをあててもまだ直らない なんてうんこレベルのバグじゃあないw

139風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:26:49

糞バグゲー社員さんはしたらばの僻地で擁護してるヒマがあるならパッチ作ればいいのに

ああ、どこにバグがあるのか全部は把握してないから作りたくても作れないのかw

でもパッチあてても鷹比佐の声が小さいことくらい分かってるよね

それすら直せないって…馬鹿なの?無能なの?

140風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:27:13
荒らしちゃんはなんで紅天やったんだ?
荒らすためならかなり暇ね

141風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:29:28
>>140
まだ鷹比佐の冒頭までしかやってないよ^^

楽しむために買ったんだけど

何度も延期したくせに 肝心の 攻略キャラの声が小さい なんていう

糞バグゲーを売りつけやがったから キレたの^^

積んだままだから 早くパッチ出してね^^

142風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:31:23
弧白信者の次は桜螺信者がラブデリの犠牲になった模様
ラブデリはちゃんと救済してやれよw

FD、桜藍のストーリーも特典CDもとても良かったです。
ストーリーには本当に大変満足しています。
描きたい話も沢山出来ました。
でもそれ以上にショックが大きすぎて何もする気が起きません…。
去年の冬コミのグッズに引き続き、
FDでも桜螺の扱いは悪かったです。
前作からの攻略キャラなのに…。
ホントはこんなネガティブなことブログに書くのは
絶対にやめようと思ったんですけど、どうしても言わずに居られなくて…。
こんなに自分の気持ちをさらけ出した暗い日記を書いたのは
10年以上ネットをやり続けていますが初めてです。
こんな心境になるなんて初めてだから、
どう気持ちを整理して良いか判りません。
たかがBLゲームでこんなに深刻になるのも頭おかしいなと自分でも思うのですが
それだけこの作品に思い入れがあったからです。
なのに公式自ら「桜藍は人気が無いから力入れませんよ」的な態度を
何度もされたら…。
自分の好きなものを否定されてるんだと思うとツライです。

143風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:31:55
>>141
鷹比佐しかやってないの?
もったいないね^^
折角のお金が水の泡だから荒らしてるんだ^^

144風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:32:35
この作品を通して素敵な出会いもありました。
だからサイトやオフ活動も辞めたくないです。
でも今の気持ちだと続けるのが正直困難です。
サイトを閉鎖しようと思ったのですが、リンクを貼って頂いているし
もしかしたらまたなにか描きたくなるかもしれないと思って思い止まりました。
何日かしたら「なんでこんなことで悩んでるんだろう」と思い直して
普通に活動し始めるかもしれません。
気まぐれなので自分でも判らないです。
出来ればこの気持ちのもやもやを解消して桜藍や雷藍、56藍などを描きたいです。
……取り敢えず今は頭を冷やそうと思います。


ひでえwwwwwwww
ここのライターは雷王贔屓だから他信者は他へ行けばいいよ
ラキドとかラキドとかw

145風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:36:22
>>143
鷹比佐の途中までやったけどシナリオ微妙だったよ^^

なのにこれを音量糞のまま最後までやれっての^^

お金貰ってるデバッグ社員じゃないのに?^^

146風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:37:12
荒らし最低ですね
あなたこそラキドから出てこなくていいよ^^

147風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:38:16
>>144
ラキドはジュリオ贔屓だから嫌ですん

148風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:40:10
>>146
馬鹿かw

こんな糞バクゲー作ったから荒らされてるんだろ

しかも 何度も延期した理由を 絵師に押し付けた 糞っぷりw

149風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:40:52
鷹比佐やらなきゃいいじゃん、頭悪いね
ホントに18歳以上?

150風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:42:23
>>149
本スレに鷹比佐以外も音が変だったって書いてあったけど

頭も仕事も出来も悪いのはラブデリ社員だろw



623 名前:いけない名無しさん[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 05:21:30 ID:???
弧白、鏡丞辺りもいきなり声が遠くなったりやけに小さい部分があった
自分の気のせいかもしれないけど全体的に音量にムラがあった気が
でもとにかく鷹比佐が直ってないのは明らかだしなー
延期理由を絵師の体調不良としてた分風当たりは強いわな
まぁ頑張ってくれラブデリ

151風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:45:12
>>149
金払って買ったゲームなのに「やるな」ってどういうことなの
それが糞バグゲー会社の方針なの

152風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:49:45
紅天、二次サイト行くほど好きなゲームなんだね
可哀相にね、よしよし

153風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:55:59
なんだ荒らしは桜スキーだったのかw

154風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 14:56:56
>>152
>>144
そりゃこんなマイナーゲーの虹ブログをチェックしてるくらいだから紅天が好きなんだろうなw

>ひでえwwwwwwww
>ここのライターは雷王贔屓だから他信者は他へ行けばいいよ
>ラキドとかラキドとかw

これを読む限りラキド儲には見えないしw

155風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:06:30
荒らし相手にしてるやつなんなんだ

156風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:07:10
糞バグゲー会社の社員じゃね

157風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:12:37
>>155
どう考えても荒らしだろ
ここ連投規制無いから自作自演し放題だから一人何役でもできるからな…

158風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:15:35
>>157
ブログ貼りは別の嵐だけどねw
その人はラキドより紅天が好きらしいw

159風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:16:04
>>147
七絡が大丈夫ならジュリオもいけるはず^^

160風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:17:21
>>159
うんこシナリオと神シナリオ一緒にすんなw

161風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:19:40
>>160
前に天然スレでもファン層被ってるだろと言われてたジャンw
バレスレと別れる前の天然の過去ログ読んで来いよ

162風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:22:37
>>161
文盲乙

163風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:23:21
>>162
新参ラキド厨乙w

164風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:23:44
('A`)

165風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:24:35
450 名前:いけない名無しさん[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 15:17:41 ID:???
バレ投下は嵐が落ち着くまで自重するか

451 名前:いけない名無しさん[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 15:21:20 ID:???
投下なんて最初からする気ないくせに^^

166風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:25:13
新参でも古参でもいいからラキドスレに帰れよ('A`)

167風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:26:17

まともなパッチが出たらゲームの続きが出来るんだけどなー^^

パッチまだかなー^^

168風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:41:03
ラキドスレの荒らしがこっちまで出張しに来てるのか
色んなスレに張り付いてお疲れ様

169風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:44:57
ラキドスレっていうかもはや板荒らしだろ

170風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:48:28
ラブデリスレもそうなるね^^

171風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:49:35


172風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:50:45
荒らしに構わずにはいられない人ってなんなんだろう
やっぱり後ろめたいこと

1何度も延期理由を絵師に押し付けた
2絵師のせいにして長期延期したのに音声バグゲーを作ってしまった(誤字脱字もあった)
3出たパッチをあててもまだバグは残ってる

を突かれて叩かれたら
どうしてもスルーできないってことなのかな

173172:2010/09/03(金) 15:56:57
○1何度も延期した理由を絵師に押し付けた

174風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 15:58:02
>>172
4面白いから が抜けてる

175風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 16:00:09
>>174
ってことはまんまこれだね

・荒らし煽りは徹底的にスルー。反応するあなたも荒らしです。

176風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 16:33:14
板に住まう粘着荒らしはネット上で出た情報でしか
その作品叩けないのが見ててかわいそすぎるw
買うお金ないんだねw
あとバカで同じことしか繰り返せないからなんかのプログラムかと思うときがある

それよか紅天本編は音声にそんなに違和感なかったんだけど
なんで今回はえらくキャラによる音量差があるかね
まあ憑神のこと考えたらパッチ出ただけマシだが

177風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:23:24
>>176
鷹比佐の冒頭までしかやってないけど
何かセリフ書こうか?

178風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:24:50
どうでもいいけど泥の子の声が気持ち悪かった
他は良かったんだけどなぁ。残念

179風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:38:40
>>176
>あとバカで同じことしか繰り返せないからなんかのプログラムかと思うときがある

何度も延期を繰り返したあげく糞バグゲーを作り

更にバグが直ってないパッチを出した馬鹿社員と

どっちがより馬鹿なのか

ブランドがあぼ〜んするまでくらべっこすると楽しそうだよね^^

180風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:41:20
鷹比佐はじめは聞きにくかったが途中からは慣れたせいか気にならなくなった

181風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:42:58
>>180
で?
パッチはもう出さないからこの 糞 バ グ ゲ ー のまま我慢しろって?



うわぁ…




^^^^

182風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:50:06
>>180
本スレに鷹比佐以外も音が変だったって書いてあったけど

糞バグゲー作った馬鹿社員さんは直す気ないってこと?



623 名前:いけない名無しさん[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 05:21:30 ID:???
弧白、鏡丞辺りもいきなり声が遠くなったりやけに小さい部分があった
自分の気のせいかもしれないけど全体的に音量にムラがあった気が
でもとにかく鷹比佐が直ってないのは明らかだしなー
延期理由を絵師の体調不良としてた分風当たりは強いわな
まぁ頑張ってくれラブデリ

183風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:52:42
>>180
鷹比佐ルートの音声はパッチを当てても気にならないとまではいかないけど
GOODエンドのスチルを見たら何か許せた。あのスチルは良かったw

他のルートでも音声がちょっとアレなので新たなパッチは欲しいな

184風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:59:07
鷹比佐は馬鹿可愛かった

185風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 17:59:51

う ん こ バ グ ゲ ース レ で 萌 え 語 れ る と 思 う な^^

186風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 18:45:05
可愛さ余って憎さ100倍か

187風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 18:50:28
いんやー
藍丸は可愛いけど他はべっつにそこまで可愛いとは思ってないしw
紅天本編のシナリオも3割くらい微妙なのが混ざってたしw

ただ6000円もするゲームなんだからまともなもの作れよ、と

早くまともなパッチ 出 せ^^

188風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 18:53:51
そんなんだと昔のボブゲ出来ないだろうね
今の時代に生まれてよかったね

189風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 18:56:28
>>188
昔のボブゲに比べたらマシだからこんな糞バグゲーが6000円しても我慢しろって?

糞バグゲー作った糞社員様^^

190風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 18:59:20
>>185
一部のキャラのスチルが多かったり少なすぎたりするのもバグなのけ?

191風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:00:16
>>190
さー?
バグゲー作った糞社員様に聞いてみたら?

192風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:01:25
あああ 糞 が抜けてた!!

>>190
 糞 バ グ ゲ ー 作 っ た 糞 社 員 様 に 聞 い て み た ら ?

193風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:11:21
>>187
ゲームで6000円て普通の値段じゃない?

194風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:13:18
>>193
こんな糞バグゲーに6000円の価値ねえよ

195風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:14:42
本当に買ってるなら中盤辺りの台詞書けば?
冒頭は体験版落とせば買ってなくても書けるからなー

196風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:17:13
>>195
聞いたよ
服脱がすあたりまではやったから

あの辺は少しマシになってるよね
でもまだ他と比べたら小さい

そして冒頭はうんこ音声のまま

パッチ出さずにそのまま放置で許されると思ってんの^^

197風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:17:52
買って無いくせに文句つけてんのバレバレだよなww

198風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:19:34
>>195>>197
買ったかどうか疑ってるのね^^

体験版はやってないけどどこまでなの
なんなら体験版の先までやって適当なセリフ書いてやんよw

199風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:20:20
>>196
だから音声がどうのじゃなくて台詞書けってw文盲かよww

200風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:24:16
>>195>>197>>199
だから、体験版はやってないからどこまでが体験版か知らないっつーのw

どうしても書いて欲しいなら体験版のセリフを書いてもいいし、
パケの中に入ってた白いペラ紙取説を広げた
どっち側の上から何行目に何が書いてある?
って聞いてくれてもいいのよw

201200:2010/09/03(金) 19:28:19
○どうしても書いて欲しいなら体験版の先のセリフを文章に書いてもいいし、

何がなんやらw

202風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:31:38
>>200
ここで暴れるより公式にメールすればいいと思うのねん
てかどれだけ鷹比左好きなんだよw

203風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:31:59
とりあえずどこまでやったの?

204風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:33:53
鷹比佐の背中の上に乗って空飛んで落ちたあたりまで^^

205風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:35:16
>>202
453 名前:いけない名無しさん[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 16:18:14 ID:???
公式に言えばいいのに

454 名前:いけない名無しさん[sage] 投稿日:2010/09/03(金) 16:19:48 ID:???
言ったのに出たパッチでまだバグが直ってないから叩かれてるんじゃないの

206風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:39:20
>>202
鷹比佐が好きなんじゃなくて嫌いなんじゃね
好きなら荒れてる時に名前は出さないだろ

207風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:41:00
>>206
新キャラで途中までしかやってないのに好きも嫌いもないだろ^^
馬鹿社員しかいなメーカーの儲は馬鹿儲しかいないのか^^

208風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:44:11
そんなに気になるなら自分で直せ
吉里ならどうにかなるだろ

209風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:46:18
>>208
バグをユーザーに直せなんていうメーカーあるんだw
驚いたw

210風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:47:52
糞って言葉好きだよね荒らし

211風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:47:54
もちろん自分も公式にメール出したんだよね?
こんだけ荒らしてるんだから自分は公式にメールしてないって事はないよね?

212風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:48:46
鷹比佐の声が不安定なのはルート入って最初の選択肢が出る直前までだと思う
最初の選択肢終わった後は安定してたし
声小さいのもパッチあてる前に比べるとだいぶマシになってたからこんなもんだと自分は思ってた

213風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:52:42
>>212
弧白や鏡丞の声も小さいって言われてたけど^^

それも直さなくていいの?^^

214風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:57:01
パッチより小山つぃったの展開が〜の方が気になる
紅天関係だといいんだけどな

215風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:58:14
>>214
病弱足引っ張り絵師なんかどいでもいいよ

216風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:58:56
都合が悪いレスには答えないんだねw

217風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 19:59:15
>>216
どれのこと?

218風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:00:50
なぁ、音量のばらつき以上に囮になるルートが存在しない事に衝撃を受けたんだが
あの選択肢は紛らわしいというか不自然じゃないか
囮になる追加パッチこそ出してほしい

219風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:02:51
>>218
不自然だけど選択肢変えると文章ちょっと変わったりしたから
一応バグではないんだよな
囮だと確実にBADルートだろうけど確かにそれは見たい

220風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:13:52
ほんのり後味悪いBADが多かったけど七絡的な陵辱BADほしかった

221風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:22:16


                     人
                   ノ⌒ 丿
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222風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:26:16
>>220
自分はBADがゆるくて逆に良かったなぁ。
全体的に甘い内容だったから満足。

一つ目・襲・桃箒がなかなかいい味出しててかわいかったw

223風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:37:38
鏡丞ルートに出てくる泥の子なんだが
せっかく感動するシーンなのにあの話し方で萎えた
もうちょっとまともに話してほしかった

224風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:41:19

                     人
                   ノ⌒ 丿
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225風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:42:34
泥っこの声はマジでホラーだと思ったw
あんな生々しくしなくてもいいわ

226風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:42:57
                     人
                   ノ⌒ 丿
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227風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:43:15
                     人
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228風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:43:32
                     人
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229風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:45:20










う ん こ バ グ ゲ ー の ま と も な パ ッ チ マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン











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230風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 20:55:56
>>217
>>211

231風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:00:10
>>230
したって言ったらどうするの?
凸られたメールアドレス見ながら叩いてるのはコイツかなー?
それともコイツかなー?って考えるの?

232風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:05:27
嘉祥√が普通にいい話で萌えた…
最後孤央様も協力してくれたけど、弧白に何て言われたんだろうなw

233風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:08:13
                     人
                   ノ⌒ 丿
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234風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:08:39
                     人
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235風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:08:50
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236風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:23:10
>>232
嘉祥√は良かったよね
音御伽噺cdが良かったから期待してたんだけど
期待以上で萌えたw嘉祥いいやつなんじゃんw
公式の特典CD付き買えばよかったかなぁ・・・

237風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:23:55
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238風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:24:12
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239風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:24:26
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240風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:24:41
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241風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 21:59:26
中の人ってほんとに雷王プッシュなの?そのわりにはここ雷王の話全然出てこないよね
桜螺が不憫なのには異論はないが

242風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 22:13:08
緋王の声が低くなりすぎてて('A`)ってなったけど
雷王の声も低くなりすぎててキモかった
役の演技忘れるような声優は声優やめればいいと思う

243風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 22:42:12
今回のFDに限って言えば嘉祥と雷王が無駄にスチル多かったと思う
誰得の稀人の目や雷王だけアップのスチル削って桜螺にあげればよかったのに
シナリオは特にひいきされてるかどうかはわからなかったけど

244風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 22:57:41
>>242
雷王は気になんなかったけど
藍丸・緋王の声が変わってたのには
かなり違和感があった
せきせいの声は女の子にしか聞こえなかったし

245風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 23:03:25
>>243
スチルはもう少し欲しかったよね
でも実際は枚数より質のいいスチルがほしい
何枚か微妙な物があったからなぁ

246風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 23:20:01
>>241
冷微で雷王好きと公言したライターが九重の3PSSで弧白を当て馬に使い
弧藍ED後SSのはずが藍丸が出ずに雷王登場でメイン攻略キャラで弧白ただ一人がページ数が一桁

充分に雷王プッシュと思うんだが…
というか打ってたら思い出して腹が立ってきた
BadEDのはずの緋王優遇より雷王age弧白sageが未だにむかつく

247風と木の名無しさん:2010/09/03(金) 23:59:57
>>246
FDの話と公式の話がごっちゃになってるからちょっと頭冷やしてくる

248風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 00:15:26
七絡の顔グラ入れっ放しにするなら七絡出してよぅラブデリィィ

249風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 00:18:37
>>248
うわぁ…
出てないのに七絡の顔グラ入れっぱなしなんだ
どんだけやる気ないのラブデリ('A`)

250風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 00:31:07
>>248
七絡についてkwsk

251風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 00:43:46
>>250
詳しくも何も七絡の顔グラのデータが入ってただけだよ
気になるならエロゲ板に専スレあるからそっちを参考にして

252風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 00:45:54
>>251
え?エロゲ板に紅天の専スレがあるの
女性向け大人板じゃなくて?男性向けのエロゲ板に??

253風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 00:52:55
それよりFDは小山さんの絵が駄目だったなあ
本編の時もスチルェ…となったことは(主に絡みで)多々あったけど、特に気にならなかったのに
今回は何故か無性にスチルオフにしたい気分になった、表情のせいかな…
初期に公開された、藍丸が鉄扇広げてる絵はかなり良かったのに
特に緋王ルートの最後のほうの絵なんて上手い下手じゃなく、なんか雑だと感じたのが残念

小山さんの雰囲気は紅天に合ってたし立ち絵は綺麗だと思うけど
やっぱり塗りの人に線画で渡せない描き方はゲームには無理があったんじゃないだろうか…

254風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 00:53:47
>>251
エロゲ板見てきたけど専スレなんかなかった
誘導して

255風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 00:56:36
>>254
言葉足らずだったデータの探し方が知りたいならってこと
スレはエロゲ板で改変で検索

256風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:01:33
>>255
改変って何をどう改変するのか分からない
普通に「h」抜きでURL貼って誘導してくれていいよ

257風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:08:09
>>255
ああ、紅天の専スレがあるんじゃなくて
「データ」の探し方のスレってことか

258風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:10:49
>>253
雑さもだがキャラの顔の長さが気になった
たまにあった第二次作画崩壊みたいなスチルで少し萎えたかな…

259風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:18:53
>>253
今回は結構線が細くなってて個人的には綺麗と感じるスチルが多かった
本編の時の丸っこいデフォルメ顔が苦手だったからだろうか
雑と感じるところは確かにあったなー
塗りや描き方ころころ変えてるから作画が安定してないっぽい
絡み絵は見やすくなったと思う

260風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:23:02
背景や鳥瞰絵まで小山さんが描いてるの?
そういうのは別の人?

261風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:28:38
藍丸屋敷や浅草の背景は小山さんだったと思う
俯瞰はどうなんだろ

262風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:30:16
無理せず背景は人に任せて分担すれば
キャラのスチルは均等になったんじゃないのって思う

263風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:31:01
ttp://lovedelivery.dtiblog.com/blog-date-200809.html
背景もってすごいな
イベント背景までかと思ってた

264風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:37:28
うん、だからね
そういう職人っていうか男のプライドって、時として足手纏いになって人様に迷惑をかけてうざいだけだから
人に任せられるところは人に任せたらいいと思うのよね

265風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:39:21
背景雇う余裕なかったのかw

266風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:41:05
それは小山さんのプライド云々じゃなくてラブデリのせいじゃね?
線画が描けないのを承知で原画にしてるんだし

267風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:41:43
>>266>>264

268風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:45:01
>>258
顎とんがり病か

269風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:45:18
時間をかけて丁寧に書いた絵と手抜きした絵のギャップがあったのが残念
やっぱり全部1人でっていうのがもともと無理だったんだと思う

キレイなスチルはたくさんあったけど
ちょっと・・・なスチルもあったからw

270風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:45:50
>>259
あーなる程、スチルによって差があったから余計気になったのかも
線はシャープになってたし全体的に彩度上がってて色も綺麗だったよね
ただ弧白√入浴スチルや桜螺√女装エチ、嘉祥の顔射…この辺はすごく好きなのに
鏡プレイ時と雷王バックの藍丸の表情がなんか嫌

理由はよく分からない…

271風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 01:48:51
>>262
個人的にはスチルよりシーンの数を均一にしろよと思う
エチシーン×2とベストEDだけじゃ他に見せ場は無いと言われてるみたいで嫌

272風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 02:02:05
江戸の俯瞰図や神事の時の背景ってどんなのだっけ…
と思って鷹比佐√やってたら藍丸が可愛すぎて当初の目的忘れてた

273風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 02:06:31
>>259
絡み絵は見やすくなったけど
前回のもそうだけどモザイクが細かいのがイヤだ
何か不自然な感じで。好みの問題なのだろうか・・・

274風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 02:11:45
ここ見て嘉祥の顔射スチル見たらモザイク薄くてふいたwww
こんなもんなのか?

275風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 02:16:37
>>274
本当だwwwっていうかズームアップされてるから
モザイクの効果がないみたいだねww
形がはっきりわかるwww

276風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 02:17:24
モザイクはどーかわからんが嘉祥のオティンティンは無駄にクオリティ高い

277風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 02:27:19
嘉祥の股間はもっと太いかと思ってた
意外と細いよね?

278風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 02:38:31
藍丸の股間は常にまっつぐな棒だったな…

279風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 02:52:05
で?特典CDのバレはどうなったの?

280風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:19:59
様子見中

281風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:22:38
まだ投下しない方がいいと思う

282風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:25:21
何で?^^

283風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:26:22
>>280
もう投下しなくていいよ^^
ずーっとこのうんこバグゲー叩き続けるから

284風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:28:06
>>280
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285風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:28:18
>>280
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286風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:28:33
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287風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:28:53
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288風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:29:03
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289風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:29:16
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290風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:29:26
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291風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:29:36
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292風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:29:48
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293風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:29:58
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294風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:30:21
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295風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:30:40
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296風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:30:51
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297風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:31:02
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298風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:31:19
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299風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:31:33
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300風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:32:11
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301風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:32:25
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302風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:33:51
NGワードって便利だな

303風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:36:52
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304風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:37:05
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305風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:37:16
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307風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:37:53
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308風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:38:05
>>280>>302
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309風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 03:44:31
>>280



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 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.    
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ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /    
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 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、    
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

310風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 04:34:51
(・∀・)ニラニラ

311風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 04:37:21
^^

312風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 04:38:43
このスレもう使えないね
新しいスレ立てようか

313風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 04:41:15
スレタイとテンプレはこれでいい?^^



【うんこ】紅色天井艶妖綺譚・3【バグゲー】



糞バグゲーを作った馬鹿社員の言い分



何度も延期したけど我慢しろー

延期理由を絵師に押し付けたけど我慢しろー

あげくバグゲー作っちゃったけど我慢しろー

しかもパッチあててもバグは直らないけど我慢しろー

こんな糞バグゲーが6000円もするけど我慢しろー

たかが音量のことでここまで言うな我慢しろー

そんなに気になるなら自分で直せー ←NEW!









^^

314風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 05:25:38
昔もラキドでスレ乱立あったな…懐かしいな

音と言えば鬼畜眼鏡のFDも音ゴモリあってそれ対応のパッチは確か出なかったけどここまで荒らされなかったな
ファン層の違いか

315風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 07:08:20
音ごもりのときは荒らしタン規制されてたんじゃないw

316風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 09:54:24
荒らしはスプレ厨なんじゃない?

317風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 10:21:41
桜螺√って選択肢によって何か違いある?
初回でエンディングまでクリア出来たから他キャラ行っちゃってまだ見てないんだけど

318風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 10:56:04
エロが違う

319風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 15:05:40
>>314
すごい荒らされてたよ
ついでにパッチはその後、一応出てた

320風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 18:18:31
>>316
ラキド厨だろ
携帯配信だかなんだかの時もバレよこせと暴れて
チラシでラキドスレ住人がぼやきまくってたじゃん

321風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 18:32:18
>>319
そうなんだ
音量おかしいボブゲなんていままでなかったとかレスしてたから
てっきりキチメガの件知らんのかと思ってたわ
まあ同じ荒らしとは限らんが…

それよかなかなかゲーム進められなくて
攻略まだ二人目の途中だよ…

322風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 18:50:17
荒らしはラキド厨だよな
ニートで金がないから公式やショップからCDやグッズ展開があったりすると
公式やショップを一人で延々たたき続けるっていうキチガイ

323風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 18:54:01
>>322
いいえ
元狗厨です^^

324風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 18:55:10
>>319
それ別人w
眼鏡はつまんなかったからFDは買ってない^p^

325風と木の名無しさん:2010/09/04(土) 22:34:56
元狗厨と紅天大好きさん二人で荒らしてるのか

326風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 00:46:58
本スレまで荒らすことないのにwww
荒らす暇があるのならせっかく買ったゲームの攻略をすればいいよ

藍丸はどのルートでも萌えられるから
音が気になるならとりあえず鷹比佐ルートはやめて
雷王ルートでもやってみれば?音気にならないよ
嘉祥ルートもおすすめ
今回のはファンディスクということもあってどのルートの藍丸もすごくかわいいよw

紅天が大好きでとにかくパッチがほしいだけならラブデリに直接メールなりすればいいし
ここでパッチ出せ出せ言ってもどうにもならないのはわかるよね?
とにかくラブデリが許せないのならその旨をメーカーに
直接伝えれば社員が対応してくれるはず

自分は今日やっとフルコンプしたけどやり終わってすごく満足
音のみにこだわってプレイしないのはもったいないと思う

327風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 01:10:44
紅天に愛想つかしたのならオクにでも売れば?
予約特典CD持っているならCDだけで3000円位の値はついてるし
ゲーム本体と足したらゲーム代金位は回収できるのでは

328風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 01:37:17
確かに
荒らす暇あったら金回収すればいいのに
稼いだ金が戻って来るから荒らす必要なくなるし
荒らしに時間割いてた分働いて稼げる

329風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 01:50:10
本スレの690はわざわざ取説の何行目とか聞くんじゃなくて
買った証拠の写真を載せればいいのに

330風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 01:51:16
藍丸本当に可愛いなぁ
どのルートでも満遍なく可愛いすぎてなんかもうどうして良いかわからないw
天櫂の、夜伽をするか?的な台詞を見て、この人何だかんだ言いつつ
藍丸のことそういう目で見てたんだな…!と興奮した

331風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 01:57:57
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332風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:02:04
藍丸かわいすぎて萌え死ぬwww
本命以外のルートでも萌えられたもんなぁ

333風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:03:41
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334風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:07:50
ボイスの半分は藍丸で埋まった
しかも喘ぎじゃなく腹減ったとかやる気しないとかの呟きww
藍丸はどんな時でも可愛い

335風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:08:53
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336風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:09:46
>>332
本当良いキャラ作ってくれたなと思うよw
現代じゃ甘味も充実してるし、パフェとか食べにカフェ行ったりするのかな
カフェに行くの恥ずかしがったりするんだろうか

337風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:11:41
本スレで散々待ってってレスあるけど5ヶ月なんてあっと言う間だったけどなぁ
ゲームしか楽しみがないわけでもないだろうし
個人的には現代編が知りたかったから、発売されて特典付いてきただけで万々歳だ

自分が年取っただけかもしれないがw

338風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:17:20
>>334
君とは旨い酒が飲めそうだ

339風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:19:35
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340風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:47:04
>>336
音御伽噺CDの狐白編では狐白と藍丸が原宿でクレープ食べてたのがあったな
あのcdの藍丸もかわいいんだよなぁwww

341風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 02:48:12
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342風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 03:36:35
>>340
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343風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 04:28:02
>>340
鷹丸とか言っちゃう藍丸がクレープの名前丸暗記してたのには笑ったw

344風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 05:59:20
>>334
あ、自分も
五郎の名前わからなくてモゴモゴしてるセリフとか
嘉祥ルートで嘉祥に対して脅して(?)るとことか
喘ぎも保存したけど普段の会話のセリフが、すごくぐっとくるw

345風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 06:10:44
嘉祥ルートでは嘉祥に顔射された後に
「今度は俺が!」って言ってたのは笑ったw
嘉祥相手であの調子だとなかなか叶わないとは思うけどw

346風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 08:27:02
>>330
それ思ったw
しかし天櫂は緋王√の負け犬っぷりや蝶寵のストーカーからギャグ要員にしか思えないw

347風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 10:26:39
天櫂といい孤央といいそこそこえらい人な筈なのになぜあんなに小物くさいんだ

348風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 10:31:02
振られキャラなんてそんなもんw

349風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 11:47:13
あんなに蝶寵大好きアピールが凄いのに、肝心の蝶寵は総スルーだもんなw
蝶寵さんパネェっす

350風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 13:16:04
前作も思ったけどボイス保存機能って結構埋まるもんだな
普段のなにげない会話でも保存しときたいのがあったし
FDだけに攻キャラも藍丸に艶っぽく囁いたりしてるし
しかし藍丸はどのルートでも可愛かった

孤央さまはあの手紙が全てを物語ってる気がするw>小物
狐組の京言葉は良かったなー

351風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 13:39:19
天櫂様は神としての格が低いとか妖と同じく格差があるんだね
桜螺ルートだと蝶寵好きアピールしまくりでなんか好感持てるけど
他ルートだとムカツクんだぜw

にしてもサントラ出ないかな
主題歌とタイトル画面の曲気に入ったし無印の曲も好きだし

352風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 14:14:27
主題歌の曲は好きでずっと聞いてるが何言ってるのかほとんどわからんw
無印も長いの聞きたかったな

353風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 14:19:37
>>350
ボイス保存いいよね
前作は七絡で全部埋まったけど
今回は弧白と藍丸でほぼ埋まった

354風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 14:20:59
>>353
鷹比佐のボイスは小さくて萎えるから保存したくてもする気にならない

355風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 14:56:11
今回弧白の中の人の演技は見事だったなぁ

356風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 15:04:11
自分はサブキャラのボイスと本命と藍丸でほぼ埋まった
あと3人攻略いるのにあと9個位しか残ってないw

緋王√見てやっと冬コミのイラスト集の意味がわかった
二藍って何だって思ってたら…

357風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 15:11:40
緋王ルートまだだから知らんけど
二藍は色名だよね。藍と呉藍(紅花)の二つの藍で染めたの意
あのイラスト集のタイトル萌えたわー

358風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 15:12:05
攻略残り3人もいて空きが9個しかないってwwww
藍丸のかわいさは異常だから全然足りないよwww

359風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 15:20:22
>>357
緋王ルートの緋王はかわいかったぜw

360風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 15:21:14
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361風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 17:02:21
おにぎりと金鍔を一緒に食べておはぎの味がすると言った藍丸の味覚に衝撃を受けた
あれはノリとか具とか入ってないおにぎりなのか
桃箒が見たら倒れそうだ

362風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 17:11:17
昔は基本的には塩むすびでしょ?
藍丸が食べてたのもそれだと思うよ、塩気があるって言ってたし

363風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 18:33:15
どんだけ金鍔大好きなんだよ藍丸wwww食いすぎだぞ

364風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 18:43:05
           (
         ,,    )     )
         ゙ミ;;;;;,_      (
          ミ;;;;;;;;、;:..,,.,,,,,
          i;i;i;i; '',',;^′..ヽ
          ゙ゞy、、;:..、)  }
           .¨.、,_,,、_,,r_,ノ′

365風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 18:43:16
         /;:;":;.:;";i; '',',;;;_~;;;′.ヽ
        ゙{y、、;:...:,:.:.、;:..:,:.:. ._  、}
        ".¨ー=v ''‐ .:v、,,、_,r_,ノ′

366風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 18:43:31
       /;i;i; '',',;;;_~⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′..ヽ 
       ゙{y、、;:...:,:.:.、;、;:.:,:.:. ._  .、)  、}
       ".¨ー=v ''‐ .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ

367風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 18:43:41
      /i;i; '',',;;;_~υ⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′.ソ.ヽ
      ゙{y、、;:..ゞ.:,:.:.、;:.ミ.:,:.:. ._υ゚o,,'.、)  、}
      ヾ,,..;::;;;::,;,::;):;:;:; .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ

368風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 19:53:55
藍丸は喘ぎとか普通の台詞も可愛いけど、敵に名乗りを上げる時の江戸っ子な口上が好きだなw
かっこいいのか可愛いのか分からない所が可愛い

369風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 20:25:05
雷王ルートで藍丸が自分の腰紐を雷王の首に結び付けて
「俺の」っていうシーン。萌え死んだwww

370風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 20:43:08
そういえば桜螺ルートのエチシーンって
あれ確実に周りに聞かれてるんだよな…w
陰間茶屋の方はまだしももう片方は終わったあとお姉さんたちに
どんな顔で会いに行ったのかが気になるな
着物も返さなきゃいけなかっただろうしw

371風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 20:46:21
>>369
同じくw
あんな短い一言だけど声の調子といい萌え転がる

372風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 23:16:38
狐白の「死ね」もたまらなく好きw

373風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 23:29:54
藍丸の「ええ〜…」系が一番萌える

374風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 23:51:16
>>370
長屋持って帰って洗おうとしたりするかなと思ったけど
あんなことになっちゃったら責任とって買い取るとかかな
まあどっちにしろ借り物駄目にしたんだし
面と向かって謝罪はしなきゃだなw

375風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 23:56:36
藍丸はどのルートでもどのセリフでも萌えられた

376風と木の名無しさん:2010/09/05(日) 23:58:21
>>374
姐さんたちはニヤニヤしながら「私達の言った通りでしょ」とか言いそうだけどな
腐とかではなく性に寛容そう

377風と木の名無しさん:2010/09/06(月) 03:08:01
桜螺が使ってた潤滑油に催淫効果があるって言ってたけど
あれ実際のところどうなんだろうな
ただ藍丸が感じやすいだけのような気もするけどw

トコロテン、ドライ、連続射精を経験してる藍丸に視覚はない

378風と木の名無しさん:2010/09/06(月) 03:09:49
×視覚
○死角

誤字してごめんよ藍丸うううううう

379風と木の名無しさん:2010/09/06(月) 13:52:20
そうか、狐白じゃなくて 弧白だったのか!
孤央・孤桜といい弧白といい何だか紛らわしいわw
狐族だから狐でいいじゃん!



・・・なんて言ったら弧白に殺されるかな

380風と木の名無しさん:2010/09/06(月) 17:44:49
FDの幸せ全開の弧白なら軽蔑される位で済むんじゃない?


…多分ね

381風と木の名無しさん:2010/09/07(火) 09:58:09
ネタバレ回避に落ちてる間にISP規制されてた\(^o^)/

無印で鏡丞が好きだったんだが何でああなった…
ヤンデレが個人的に地雷だから特典冊子で覚悟はしてたはずなのに
家哭に命令?してる辺りで心が折れた

382風と木の名無しさん:2010/09/07(火) 19:38:58
確かにヤンデレ自体は萌えるんだけど、
本編鏡丞が好きだったから萌えが不完全燃焼だったな
でもメッセの小説は笑ったw

383風と木の名無しさん:2010/09/07(火) 20:26:18
今さらだけど緋藍の特典CDって九重の扉絵につながってるんだな

384風と木の名無しさん:2010/09/08(水) 22:09:46
鏡丞ルートは暗かったな
悪霊に取り憑かれているんじゃないかと思った。
しかもエロは濃厚過ぎるしw

385風と木の名無しさん:2010/09/08(水) 23:43:42
向こうのネタバレスレで雷王と藍丸の背中合わせスチルがいいってあったから
ゆっくり見直そうと思ったら横に動かせるのを今知ったんだぜ…

386風と木の名無しさん:2010/09/08(水) 23:51:54
嘉祥ルートの藍丸の尻最高!

鏡丞はまあ宗也と泥太坊への救いが示されたルートだと思えば
そんなに悪くない…?

387風と木の名無しさん:2010/09/09(木) 00:15:28
私は泣いたぞ>宗也の輪廻転生
まさか救済があるとは思わなかった

388風と木の名無しさん:2010/09/09(木) 01:12:04
死に魅入られている鏡丞は暗くてかわいそうだった
でも最後に救いがあって本当に良かった

389風と木の名無しさん:2010/09/11(土) 23:32:37
藍丸の顔射スチルたまらなくかわいい

390風と木の名無しさん:2010/09/12(日) 04:10:58
激しく同意
あのスチル堪らないよな
フェラも可愛い
顔にかかった精液と舌の描かれ方がすごく萌える

391風と木の名無しさん:2010/09/26(日) 12:56:29
嘉祥ルートってエンディングいくつあるの?

392風と木の名無しさん:2010/09/26(日) 12:58:08
BAD入れて3つ

393風と木の名無しさん:2010/09/26(日) 13:38:34
ありがと!あと一個回収してくる〜

394風と木の名無しさん:2010/09/26(日) 14:20:29
いやまてBAD入れたら4つだぞ

395風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:43:40
■□■紅天FDネタバレ感想走り書き■□■


 ここは紅天ファンディスクの初回の感想をひたすら叫び続ける部屋です。
 ネタバレ回避のために…!
 

 前述してますが、ネタバレ満載になりますので十分ご注意くださいませ。




例によって箇条書き(随時更新予定です)
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8/27 ■雷王ルート■ たぶんコンプリートした

・ほんとに3ルートあったヽ(^o^)丿
<ベストED もふもふ編>
・雷藍がいちいちいちいちいちゃいちゃしている!
・そんなお前らが微笑ましい。もっとやれ
・伴侶→親子→伴侶→親子と触れ合いが交互していてこちらが萌え死にそうです。
・双子山事件解決早いな
・大僧正いいキャラや。
・けど雷藍タイムを邪魔するなー空気読んでくれ
・いや、敢えて読んでて割って入ったのか…
・鷹比佐は超好青年だったよ!
・違和感を覚えたよ!
・赤ん坊みたいな澄んだ目をした攻、鷹比佐
・鷹比佐ルートがちょっと心配になってきた…。
・弱ってる雷王…萌えた!
・藍丸たんが男前です!
・襲キター
・襲に飛ばしてもらったよ!
・もふもふ!
・もふもふ!
・そして雷王失踪
・襲と嘉祥、好意で薬もってきたのにね…(:_;)
・このルートは弧白がいい味出している。
・なんか色々と羽織としての藍丸の立場を考えてるんだなあ
・カッコいい弧白!
・だがしかしセクハラも忘れない弧白
・もっとやれ
・目の前で雷藍がいちゃついているから弧白も大変だよね
・雷王がトウモロコシ好きと見せかけて実は違う罠
・じゃああの若い雷獣はなんであそこにでてきたんだろ。
・トウモロコシにつられてでてきたんじゃないの??
・若い衆に慕われる雷王がひたすらカッコいい。
・もふもふきたあ!
・らんまる は らいおう を ちょうきょう した
・雷藍でまさかの調教…!
・最初はサーカス的に調教
・次に性的に調教
・まるで隙がない
・雷王の神気を抜こうとする藍丸ともふ雷との攻防シーンが息をもつかせぬ展開で時を忘れた
・ここのBGMかっこいいんだよ
・相まってすばらしいことになってる
・けどもふ雷の背に乗っちゃった藍丸たんに吹いた
・えろすもとてもよかった!
・雷王を自分のところに引き留めたくて頑張る藍丸がいじらしくてたまらんです
・弧白の「死ね」に吹いた

396風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:44:00
・ですよね
・もふ雷が藍丸母のお墓を見つけていました。
・父きた!父!!
・て藍丸?あれ?え?
・ぱぱんは超愛妻家
・すんごい唯我独尊ですよー!
・ここにきて緋王出てきちゃった!!
・ぱぱんを相手にしてると、緋王が反抗期の息子に見える。
・息子だけれども
・緋王のためにぱぱんは姿も声も気配も悟らせないようにしてる
・なんで?
・緋王ルートで明らかになるんだろうか?
・もう二度と会うことはないだろうってほんと??
・切ない(:_;)
・もっと父子で会話して欲しい
・息子たちって言う表現がいちいち嬉しすぎる
・藍丸母は、かなり気風のいい人だったんだなあ。
・まんま藍丸じゃないか
・雷王とお墓参りをとうとうできた藍丸
・よかったね、よかったね…!
・涙ぐみそうになる雷王とともに泣きそうになる私
・何かもう胸がいっぱいですよ
・何というハッピーエンド


<ノーマルED 親馬鹿編>
・FDってルート制限があるんだね!
・二週目で選択肢増えててびっくり(゜o゜)
・雷王の過去を超気にする藍丸たん
・好きすぎて相手のこと何でも知りたいんだよね
・雷王が好きすぎる藍丸がすきだ
・ひょっこり出てくる緋王たま
・心の中で喧嘩する二人萌え
・藍丸の「ばーか」きた
・緋王は藍丸をからかうのが好きなのね
・このルートではもふ化はしない…!
・このルートは子藍情報満載
・雷王の過保護万歳
・こちらでは弧白にいちゃつくのを邪魔される件
・勢いよく襖開けてやる姐さんかっこいい
・あたあたする雷藍かわいい
・藍丸の驚き声が可愛すぎる
・双子山の件が終わり、別件の依頼
・雷王の過去がまだ気になる藍丸
・うそついた…!
・依頼中に天狗に襲われる二人。
・藍丸が雷王の過去を詮索するのやめた途端、雷王の過去が見えちゃうミラクル
・ナイス追憶の石
・ここの二人の描写が…!
・なんか泣きそうになった
・ここのえろすがすごい
・BGMが怖かったから、心配でしかたなかったよ(藍丸が)
・藍丸がかわいそうだった…
・雷王が鬼畜
・小山さんの絵がえろい
・えろすが長い
・やっぱ紅天だ
・ごちそうさまでした
・また選択肢!
・「子供のころの〜」を選んだら親馬鹿街道まっしぐらになった
・て君ら依頼は!?
・場面転換した!
・依頼は!?岩はどうしたの?
・雷王のスーパー親馬鹿タイム
・藍丸の服、やっぱ全部取ってあった
・き せ る な
・そりゃ破れるよ
・てゆうかなんという思わせぶりなやり取り。
・親馬鹿の方面で自重しなくなった雷王
・もっとやって頂きたい
・雷王の育児日記!あったよ!ほんとにあった!
・恥ずかしがる雷王の声が堪らない件
・じゃれあう二人がもう、もうね…!

397風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:44:14
<ノーマルED 雷王自重するのやめた編>
・「あの天狗たち〜」を選択
・これはちょっとだけルートが分かれただけなのね
・藍丸に過去を見られて屈辱と思ってる雷王
・全ての元凶である天狗をしばき倒す雷王
・え、これはまさか公式小冊子に乗ってた「実は荒事が嫌いじゃない」って言うやつ?
・藍丸のために我慢してたのに、自重するのやめたー!
・愛宕の天狗たちに殴り込みをかける藍丸一紋
・最後のCGがカッコいい!
・このルートの雷王が一番本編とかけ離れてる
・本来の雷王に一番近いのかな?
・て、こっちのルートでも依頼は?すっぽかし?
・それにつけてもFDでは雷王とのえろすがオールお外ですかそうですか。


とりあえず思ったことを全部ぶちこみました。
また何かあったら落ち着いたころ付け足します。
最初気になったんだけど、緋王ルートは制限付きなのかなあ?
攻略対象選ぶ時の、右端の空白が気になる
あと桃箒の声が最初違和感あったけど、話を進めていくうちに気にならなくなった。
桃箒の中の人が慣れてきたのか、私の耳が慣れてきたのか。
どっちかなあ。

次、鷹比佐ルート行きます!
ほんとは危険な香り漂う鏡丞ルートやろうと思ってたんだけど、五郎のあの好青年ぷりを見てちょっと気になって

398風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:44:59
8/28■鷹比佐ルート■ え、コンプリート? けど…

・一人で行動すると鷹比佐ルートに
・え、ここから分岐しないってことはやっぱり緋王ルートは制限がある…?
・今は鷹比佐ルートの感想!
・このルートは全体的に躍動感溢れていて爽快!
・似たもの同士のぶつかりあいが微笑ましくもあり
・正統派ルート!間違いない
・鷹比佐相手だと、藍丸が少しだけ大人に見える
・けど結局は、二人はほぼおんなじレベルなんだよね
・情人よりも友情面が強い気が
・このルートもエンドが3つあるみたいだけど、ひとつだけ進めない分岐がありますよね…?
・バグ?
・気になるけどとりあえず分岐感想を

<ベストED 身も心も通じ合い編>
・大僧正にうまくコントロールされてる藍丸たん
・ここのやりとり面白いなあ
・鷹比佐との初バトル、あんな形で中断させられるとは
・足かっくん(笑)
・藍丸の後追ってやってきた従属
・やっぱり追ってくるよね
・藍丸一紋のやりとりにぽかんとなってる鷹比佐
・なんか鷹比佐が藍丸たんにご指南頂くことになった
・ここの意地の張り合い握手が好き
・二人も負けず嫌いだな
・藍丸ってかなり強いんだね…
・このルート、藍丸の強さが際立ってる
・次の日からご指南スタート
・私てっきり鷹比佐も藍丸屋敷にいって住み込みで教えてもらうのかと思った
・したら弧白に殺られるか
・双子山へ赴く藍丸
・そして金鍔食いすぎである
・山登りながら金鍔って
・ごはんと一緒に金鍔って
・おはぎって
・鷹比佐不意打ちw
・最後の金鍔ー!
・一緒になって「あーっ!」てなった
・結局負ける鷹比佐(笑)
・背黄犀!背黄犀かわいい!
・さっそく泣かせたー
・この兄弟は微笑ましい
・泣く背黄犀にあたあたする鷹比佐がかわいい
・藍丸鷹比佐の名前覚えてなかったー
・烏? 五郎?
・お 約 束 …!
・兄者
・誰がお前の兄者だ
・ここの流れ面白いよ!
・ここらへんから徐々に近づいていく二人
・触れ合ってドキドキ
・けどどうしてだかよくわからない
・藍丸も鷹比佐も初々しいよ!
・またバトる二人
・服脱がせイベントきたあー!
・藍丸の声がえろいよ!
・鷹比佐自爆である
・お着替えができなくてあたあたする藍丸たん
・姫君!
・姫君!
・背を向けつつも、その行動の一挙一動を探ってる鷹比佐
・結局着替えを手伝ってあげる鷹比佐
・藍丸をおうちまで送り届けてあげることになりました
・鷹比佐の背にのってはしゃぐ藍丸の図が容易に脳裏に浮かぶなあ
・ここで宗也の話題が
・宗也…

399風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:45:14
・やっぱり、あれから藍丸の中でずっと陰を落としてるんだね
・転生もかなわないとか悲しすぎるよ
・半妖喰いを犯したものも、喰われたものも救われないって
・七絡も宗也と同じで転生もかなわぬ身っていうこと…?
・仲良くなってきたけどいきなり肩口に顔埋めちゃった!
・やっぱおちたあー
・間一髪助かったけど、これがきっかけで藍丸高所恐怖症になるんじゃ
・帰った後の桃箒とのやりとりが
・ちょ、藍丸どういう説明の仕方
・無言の従者に吹いた
・鷹比佐にげてえー
・愛宕連の件が深刻化してきました
・なかったことにできるかー!
・天様きた!
・天様イケメンだなあ…
・天様はまだ藍丸を危険視してる?
・藍丸が他者を導いている…
・成長したね(ほろり)
・羽根で雨から藍丸をかばってあげる鷹比佐にきゅんときた
・しかしもどかしいなあこの二人ー!
・天狗親子と一緒に鍋をつつく藍丸たん
・本格的に五郎丸一族と仲良くなってきました
・送る送らなくていいのやりとりする二人が微笑ましすぎる
・鷹比佐と背黄犀のやりとりがほんとにいい
・かわいすぎるよ
・屋敷に帰ってからの桃箒とのやりとりが
・まんま 夫 婦 だ よ
・これからは食べてくるって連絡してあげてー!
・結局桃箒の夕餉も全部食べてあげる藍丸たん
・満腹の主に気を使って薬湯もってきてあげる雷王
・脱ぎ散らかした羽織畳んであげる雷王
・ちゃんと相談にのってあげる雷王
・お父さん…!
・情人の雷王も好きだけど、こうやって見守っている雷王もすきだー
・でこごっつん☆な二人が微笑ましいよ!
・ここの選択肢、バグですよね…?
・囮になるに進みたいんですが!
・一体どういう展開になるんだろ
・一緒に行くことにしたのに険悪になる二人
・背黄犀泣かせちゃだめー!
・ぴよぴよがいっぱいきた!
・ここかわいいなあ
・しかし…
・さっきまで険悪だったのにどうして藍丸は金平糖を鷹比佐に食べさせてあげているのか
・無意識にできあがってるんですけども!
・それはそれで萌える
・もうここらへんで背黄犀二人のこと気づいてそうだなあ
・愛宕連の一件、あっさり片付いた
・囮になるを選んだら、また違うのかな…
・一件が片付き、ラストバトル
・熱い展開なんだよなあここ!
・選択肢きたあー
・焔を収めたら藍丸が負けちゃいました
・鷹比佐は藍丸に勝ったら告白すると決めていたようです
・おおおお、告ったくっついた!
・って鷹比佐もおそと!?
・がっついたー
・ふたりともはじめて
・え、ええええー!
・見上げる藍丸たんが絶品にかわゆい
・なんか薬でてきた
・鷹比佐も知らない?
・とにかく初シュチュだこれ
・鷹比佐に余裕が出てきた
・って、鷹比佐エンドは遠恋なの!?
・エンディング!?
・てことはこれがトゥルー?
・えええええー
・と思ったらまだ続きあったっ
・鷹比佐が江戸にとどまることになりました
・さすがはトゥルー!
・金鍔抱えて飛び立っていく鷹比佐
・猛ダッシュだなこれ
・街中でいちゃつく鷹藍
・えっ、普通に街中降りてきちゃった
・鷹比佐金鍔一個も持ってねえ
・このカプはお互い好き好きを隠しもしないカプなんだな(確認)
・て、え…
・あの薬背黄犀?
・媚薬!
・媚薬ー!
・これがオチか…

400風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:45:31
<ノーマルED 俺たちの戦いはまだ終わらない編>
・こっちはラストバトルで鷹比佐が藍丸に負けたバージョン
・み、短い…
・しかも告白すらしないで終わってしまった
・次に会った時に勝負して、勝ったら告白…か
・長いよ!(じたじた)
・遠恋ですらねえ
・そんな悠長なことしてたら藍丸誰かに取られちゃうよ!


<ノーマルED 繋がったのは心だけ編>
・神事のためなら仕方ないのかを選ぶとここへ
・ああまた険悪に…
・鷹比佐が自棄になってる
・背黄犀はほんとに癒し系だ
・愛宕連の天狗がちゃんと悪事を働いた(驚)
・背黄犀がヒロイン
・鷹比佐攫われた!!
・鷹に導かれて藍丸が鷹比佐たちを助けに
・大立ち回りで勝利したけど
・藍丸を導いた鷹は鷹比佐知らないって
・じゃあ誰?大僧正??
・気が付いたら藍丸が血だまり!
・ど、どうして気がつかなったのー!
・えええええ
・愛宕連の天狗は藍丸一紋がぶちのめしに行きました
・蛟女まで…!
・こういう場面になると雷王と弧白はすんごいいいコンビネーションを発揮しそう
・初々しい告白タイムきたー!
・子供の初恋…!
・しかもお互いに
・まさかのキス回避!?
・鷹比佐がすごい律儀
・お手手繋いで…
・なんかむずがゆい!微笑ましいにもほどが
・鷹比佐が可愛いです
・藍丸に勝たないと鷹藍は始まらないのですね
・そして後日談
・ここからがこのEDの本領
・従属に藍丸との仲宣言しちゃう鷹比佐
・一本義すぎるだろ
・真っすぐ過ぎて不安になる
・殺られる!殺られるー!
・弧白がほんと面白い
・今までこんな弧白見たことがない
・雷王まで!
・清い関係
・けど許されませんでした☆
・二人の対応にずれた解釈する鷹比佐…純粋すぎるだろ
・…天然?
・家哭が非常に心配です
・コミカルエンドご馳走様でした!


さすが新規ルートだけあって、鷹比佐は話が雷王より長めだった。ような気がする。
総じてあれだね清いね。
初々しい恋模様!イイ!
けど、このルートは結構バグがあったなあ。
どっち選んでも同じ展開になるの、パッチあててくれるかなあ?
あと、雷王ルートの時も思ったけど、ある一部のキャラの声の語尾が突然途絶える。
最後の一文字だけ。
突然声が途絶えるからびっくりするよー
そしてえろすが極端に少ないような。
攻略キャラ一人につき、エロは2回あるって言ってたのに…。
あのチューと本番が別カウントだってこと?
それと鷹比佐の声だけやけに小さく聞こえました…。途中で慣れたけど。
鷹比佐せっかくいい声なのに。勿体ないなあ。
鷹比佐ルートは是非何かの形で補完して欲しい!
物足りないんだあ!
面白かったけど…面白かったんだけどね。
次は危険な香りの鏡丞行って参ります(^o^)/

401風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:45:46
8/28■鏡丞ルート■ コンプリートしたけど

・やはり危険な香りだった…
・怖い!重い!暗い!
・胃にズシンと来たよ。
・これラストに持ってきたら結構立ち直れないところでした(:_;)
・救いはいっぱいあったけど
・藍丸がかわいそうだよ(性的な意味で)
・ねえ鏡丞だからそういうプレイなの?(ぎやまんのアレ)
・オヤジギャグですみませ!
・メインルートがなかなか見つけられなくて、鏡丞はメインのEDないのかと思ったよ
・うんと、メインEDは宗也救済編で、サブEDがその派生、もう一個がお嬢さん絡みの鏡丞ヤンデレED(最後は立ち直ったけど)
・ちょっと私には地雷だったっぽいです。
・だから感想はあんまり書けなさそう…
・このルート、鷹比佐が終始イイヤツだった!
・ほんと好青年
・鏡丞が病みすぎて胃が痛かった
・藍丸もそれを受け入れてあげるものだから余計…
・雷王助けてあげて!!
・まさか小説ネタの壺が使われるとは
・藍丸がかわいそうだった(二回目)
・家哭を従える鏡丞
・狐火を触る鏡丞
・一つ目も怯える鏡丞
・鏡丞最凶伝説
・鉄之進関係で、鷹比佐に謝る鏡丞の場面が、このルート一番のコミカルなのでは
・鉄之進、、、背黄犀夜這ったの?(震)
・かるーく流されてたけど…
・あとお嬢さんの名前が普通に明らかになってて最初気づかなかった
・しばらくテキスト進めて、「あ!お嬢さん名前!!」みたいな
・EDによってはお嬢さんに酷なものがあって見ていられなかった
・けど、悪霊を祓う鏡丞がすごくかっこよかった
・何で鏡丞は悪霊を払えるんだろう?
・鉄之進になんか教えてもらったのかな??
・宗也救済編では、やっぱ泥の子は泥田坊か!と思った
・けど、腹に宗也の魂を抱えているとは夢にも思いませんでした
・宗也、早く生まれ変わっておいでね
・泥田坊も救われて良かった
・救ってあげたのが鏡丞っていうのもなんか、因果だね
・どのルートでも嘉祥がすごいいい人っぽいのですが!(ところどころでそんな話が)
・さすがにこちらでは、当然の如く弧白の影も形もなかった…
・私、鏡藍のラブラブエッチを見たかったんだけどな…(ほろり)
・どのEDでも最終的に、いつもの鏡丞が戻ってきてよかった。本当によかった。
・鏡丞が人間辞めないでよかった。
・それに尽きる


順番とか気にせず、思い出したまま書きました。
鏡丞ルート怖ぇえよ!
もっとこう…藍丸を幸せにしてやってくれ…!
このルートの藍丸たんは女神である。
母性に溢れてるって感じ。
うう、次は弧白いきます…。

402風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:45:59
8/29■弧白ルート■ EDが4つあった!

・各ルートにEDは3つだと思ってたら、弧白のは4つあった!
・ということは他のルートも3つ以上ある場合がある…?
・あとで再チェックしよ!
・弧白ルートはWこおー様編EDが2種、蜘蛛EDが2種でした。

<ベストED お狐編1>
・弧白があからさまに何か隠してますよ
・こっそり夜出かけたいから、藍丸を酒で潰そうとしているようです。
・潰されたー!
・と思ったら起きてた!
・緋王たま!?
・弧白に転がされないよう緋王と協力する藍丸たん
・緋王に起こしてもらったとは言え、お酒は効いているのでは…?
・とにかく出て行った弧白を追う藍丸
・藍丸のことだから、つけてもソッコー見つかるんだろうなあ
・もしくは自分から飛び出していくんだろうなあ
・弧白の行先は双子山でした(驚)
・この時点でもう舞台が双子山!
・展開はや!
・弧白発見→やっぱりソッコー声をかけようとする真正面ぶり。
・孤桜様だっ!
・あんな大声出しかけたのに見つからなかった…!
・孤桜に傅く弧白にショックを受ける藍丸
・京弁!
・京弁!
・なんか弧白が別人みたい
・孤桜様の京弁いいなあ
・一紋から引き抜くなんて許せるか!を選ぶと緋王がたくさん出てきますヽ(^o^)丿
・Wこおー様VS藍丸始まった
・緋王たまでてきたあ!
・まさに二心一体対決
・やっぱり緋王強い
・緋王優勢
・けど飽いたー!
・なんという場面での選手交代
・これ藍丸に対しての意地悪?
・藍丸劣勢で、大僧正がきて試合終了
・双子山事件も終了(早)
・お風呂きたっ
・なんか弧白が意地悪なんですが
・BGMが怖くて集中できない(T_T)
・FDでのエッチは、結構剣呑な雰囲気のが多いですよね
・もっとらぶいのが見たい
・当然なんだけど、弧白ルートでの雷王がかわいそう(/_;)
・桃箒、気ぃ遣いすぎ!!
・雷王(笑)
・Wこおー様は利害が一致するととっても強い
・雷王がお父さんモード全開
・弧白が藍丸を焚きつけようとしてる
・あえなく焚きつけられた
・雷王かわいそう…胃が痛いだろうなあ
・狐からお手紙がきました
・ちょ、弧央
・和む果たし状だな
・右下のは肉球!?
・かわいっ!
・弧白をかけてのガチ対決決定
・孤央たちがこうまで出張ってくるのは藍丸ぱぱんの所業のせい
・藍丸とばっちりだよなあ…
・弧白がWこおー様に愛されていてほろりとくる
・お狐様いい人たちだよ!
・つまりはご両親に対しての弧白を俺に下さい対決
・盛大に告ったら認められた?
・この対決見てる弧白がとっても幸せそう
・お前たちもなんだかんだ…を選ぶとメインEDへ
・孤央かわいいな!ツンツンだな!
・孤央様の御許しを得て、弧白の里帰り決定
・狐の嫁入り!
・藍丸が夫!弧白が妻!

403風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:46:10
<ノーマルED お狐編2>
・俺は一生…を選ぶとこっちのEDに
・弧藍がいちゃいちゃしすぎである
・孤央様切れた
・孤央様は場を読まない(笑)
・けど、一応藍丸を認めて帰って行きました


<ノーマルED 蜘蛛襲来編>
・浮気か!?を選ぶと藍丸たん超かわいいなあ
・弧白が珍しくびっくりしてる
・京弁のまま!
・藍丸切れたー!
・弧白は京弁だったりそうじゃなかったり、切り替え大変そう
・Wこおー様は魂の双子でした
・えええっ!藍丸と同じじゃん
・普通に双子かと思ってたから超驚いた
・体どうなってんの!?
・弧白を巡ってぴょんぴょん言い合いする孤央と藍丸たんがかわゆい
・なんか、レベルが同じっぽい
・孤央はもっと嫌な奴なのかなあと思ってたら、そうでもなかった
・孤桜が孤央抑えて、何と酒盛りが再開した
・お狐様たちは酒豪
・弧白は京でどんな暮らししてたのかなー
・藍丸が弧白について思うところが切ない
・結局藍丸潰れた
・藍丸かわいいなあ!
・藍丸ぱぱんの話キター!
・ってどんだけ唯我独尊だったんだ父
・藍丸よりも緋王よりの性格だよね、雷王ルートからしても
・弧白の心情がこんなに語られるのって、初めてなんじゃ
・蜘蛛の話題キタ!
・眠っているのに弧白の指を握り返してくる藍丸たん
・赤子や…!
・かわいい!
・起きたけど弧白に寄りかかるのが心地いいからそのまま目を閉じてる藍丸たん
・かわいい!!
・孤央に吹いた
・こいつかわいいな
・孤央にはとことんつれない弧白
・なんかかわいそう(:_;)
・蜘蛛がこっちに来るそうです
・尸!?
・Wこおー様のリアル会話、面白いなあ
・あれ、弧白の様子が…
・あれ、孤央がなんか口説いとる
・藍丸の嫉妬が超かわいいんですが
・やっぱり弧白にタヌキ寝入りばれてた(笑)
・弧白を巡ってぎゃんぎゃん言い合う二人はとってもかわいい
・罵りあってるのになんか…微笑ましい?
・大僧正がきて双子山事件終了(早)
・なんか弧白が怒って宴会終了
・お風呂きたっ…(その2)
・弧白とのえろすはどっちもお風呂かあ…。
・ここで藍丸父の過去ピックアップ
・色々謎が明らかになってる
・藍丸父が東へ行く時のいざこざのせいで桜螺の村はああなったんだなと思うと、なんか…
・お風呂でのえろすは藍丸も弧白もお互いのこと好きすぎて顔がにやけるのですが
・な、ながー!
・尸が江戸へ!
・けど、なんか想像してたのと様子が違う
・う、受っぽーい!
・やっぱり弧白ルートでの雷王がかわいそう(/_;)
・蜘蛛来てた!
・尸切ない
・弧白と雷王の意見が一致した
・ここからの藍丸のカリスマがすごい
・ここでの弧白と雷王の忍耐がすごい
・尸は藍丸一紋に入ればいいと思う
・ここで動かないを選ぶと尸生存ED
・尸救われてほしいな…!
・尸は藍丸一紋に入ればいいと思う(二回目)
・尸を雷王に追わせた後、弧藍がいちゃつきはじめた
・藍丸が漢前である
・と思ってたら終わったー!!
・もう少し続くと思ってたのに!
・なんか置いて行かれた気分
・尸がどうなったか教えてほしいよ!


<バッドED 蜘蛛襲来編2>
・最後の選択肢で反撃するを選ぶとこっちへ
・うわあ…いたたまれない
・尸が哀れすぎる
・これBADエンドじゃね?


このルートは色んな新キャラが出ているせいか、ちょっと優遇されてる?
新規攻略キャラじゃないのに後日談的なのがあるし。
思いの外お狐様二人がいいキャラだった!
弧白は幸せ者だな。
藍丸が弧白好きすぎてなんか微笑ましかった。
雷王はかわいそうだったけど(T_T)
あと尸!
まさか尸がああいう路線のキャラだったなんて
蜘蛛長との問題、あれからどうなっていくんだろ。
続編作ってほしい…普通に先が気になる
尸を呪縛からちゃんと解き放って上げて欲しい
藍丸一紋に入れてあげるところまでやって欲しかった(:_;)

次はずっと楽しみにしてた嘉祥いきます!

404風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:46:45
8/31■嘉祥ルート■ まさかのシリアス展開!

・こっちもEDが4つ
・嘉祥ルート超かっこよかった!!
・嘉藍いい!
・さすが嘉祥、エロはんぱねえ

<ベストED 稀人封印編>
・相談の際の嘉祥と藍丸のやりとりがもうね!
・嘉祥ボイスがえろい!
・言葉の端々で嘉祥は藍丸狙ってるよね
・藍丸が堂々としてるー!(驚)
・成長したね(泣)
・嘉祥の力は影?
・ここの雷王vs弧白が面白い
・金鍔持っておいで
・金鍔はいらぬぞ
・桃箒かわいそう…!
・赤白藍丸争奪戦が大好きだ
・「嘉祥は何も企んでいない」
・嘉祥って面倒見いいなあ
・先輩羽織である嘉祥のことが色々と知りたいと思う藍丸がかわいすぎる
・金鍔持ってって…かわい!
・さっそく天狗きたー!
・うさんくせえー
・あれ、なんか様子が…
・襲!
・咄嗟に機転を利かせる藍丸
・成長したなあ
・襲が「飛ばし」を使う時の演出がよかった
・綺麗だった〜
・嘉祥屋敷に戻ってきたよ!
・藍丸自爆した
・in将棋盤
・やってもーた
・なんかこの世界の雰囲気、一種異様で紅天ぽい
・自分の力だけで将棋盤を脱出すると、このあとのお詫びの席で藍丸たんは嘉祥のお膝におっちゃんする(萌)
・藍丸が無防備すぎる件
・酔って嘉祥に絡む藍丸がかわいすぎる
・けど危ないって!
・酔った藍丸に将棋盤の説明して通じるのかな…
・はい、おっちゃんした(萌)
・嘉祥が動いた!!
・これは藍丸が悪いね、うん
・ここの藍丸かわいいー!
・最初っから嘉祥は藍丸に惹かれているんだね
・本編みたいな藍丸をからかってるみたいのじゃなく、真剣に
・とか思ってたら触手きたあー!
・さすが嘉祥ルート
・パネェパネェ
・ハメを外した罰(笑)が終わり、藍丸スーパーダッシュで嘉祥屋敷脱出
・一紋に嘉祥には気をつけろって言われて、ついぞあんな目にあったというのに翌日また嘉祥へ挑む藍丸たん
・懲りてねえー!
・けど躊躇してたら襲に見つかる
・引けねえ
・藍丸の意地っ張りは病(爆笑)
・案の定また襲われそうになる藍丸たん
・ここで稀人話題!
・藍丸、やっと糸口を見つけた
・稀人>江戸守護
・えええ、そうなの!?
・嘉祥についての秘密が色々明らかに…
・まさか左目が見えてなかったなんて
・嘉祥の懐どんだけ深いんだ
・襲があれだけ慕うわけだよ
・嘉祥がこんなに大きなものを抱えていたとは
・嘉祥が藍丸を認めてくれた!
・何か藍丸が惹かれ始めとる
・嘉祥と襲の仲を勘ぐる藍丸たんがかわいすぎる件
・気になったことソッコー聞きすぎだろ
・嘉祥と襲大喜び
・ああん藍丸かわいい
・真面目な話に戻った
・稀人を封印するためには強い力を持つ六人が必要
・とうとう嘉祥屋敷に従属きちゃった
・珍しく従属が藍丸に怒ってる!
・この二人ほんとに藍丸が大切なんだよなあ
・ここからの嘉祥が本当に誠実
・嘉祥がえろい提案した

405風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:46:58
・うんって言ったら嘉祥は無事でいるっていう発想をする藍丸がいじらしい
・ここの嘉藍!いい!
・羽織同士でしかわからない思いみたいなのがいい
・あっま!あっま!
・嘉祥ルートがこんなに甘々とは
・残る二人が大僧正とWこおー様!
・先に弧白ルートやっててよかったヽ(^o^)丿
・大ごとになってきた
・嘉祥ルート、スケールでけえ
・火狐かわいい、ビジュアルが欲しいよ!
・弧白がなんか企んでた
・けど結局協力!
・犬神怖い
・稀人の性質が変わって、藍丸を助けに行きたいけど踏みとどまる嘉祥の葛藤が
・嘉祥が葛藤してるっていうのがまずかっこいい
・選択肢三つもある!
・右手の上から抑えるを選ぶとベストED
・緋王が助けてくれたー!!
・ここの緋王すごいかっこいい
・おいしいよ緋王
・右手の上から抑える=緋王と力を合わせるみたいなニュアンスなのかな
・だとしたら燃える
・大団円…!
・最後、藍丸を左側に抱きしめる嘉祥にうるうるきた。
・甘々な展開キタアーヽ(^o^)丿
・まさか嘉藍でこんな展開が…
・ああああ藍丸たんがえろい
・ここのCGまじ堪らん
・ドラマCDみたいな展開にはならず、嘉藍はすごく糖度が高かった
・ありがとう!ありがとう!
・こんな嘉藍がみたかった!
・日常戻ったー
・藍丸が嘉祥にKOIしてる
・火狐がかわいい!!
・ビジュアル欲しい(二回目)
・オチきた!
・豪華な布団用意されてたー!!
・相変わらず藍丸は隙だらけということで
・だがそこがいい
・後日談!
・いきなり戦後!?
・羽織という役割のため、離れ離れになる嘉藍
・うわ…切ない、じんとくる
・羽織EDはほんとスケールでかい
・最後の嘉藍の会話…
・盛り上がるなあ
・うわーん影!影!
・泣ける…

<バッドED 稀人封印失敗編>
・右手の上から抑える以外を選ぶとここへ
・BADエンド怖かったよ
・目がリアルすぎる…
・スーッと終わるから余計怖い

406風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:47:19
<ノーマルED 天狗編>
・嘉祥が何か企んでるを選ぶとこっちに進むのかな?
・それとも将棋盤で嘉祥の力を借りたら?
・よくわかんないけどとにかく天狗ルートへ
・貸しきた…
・ここでのエロもすごかった
・けどこっちのエッチはあんまり萌えないなあ
・ドラマCDと同じ傾向だもの
・嘉祥らしいと言えば嘉祥らしいけど
・CGは抜群に美麗だけどね☆
・無理やりは嫌なんだよー
・口直しに金鍔って
・藍丸タフだな…
・何か藍丸が狙われ始めた
・このルートでも雷王は相談役
・雷王はマッサージもしてあげるんだ…
・献身だなあ…800歳なのに
・何と嘉祥に逆襲を考えている藍丸たん
・その負けん気が好きだ
・けど嘉祥にあれをやり返すの…!?
・えええええ
・金鍔買いに行った帰りに天狗に襲われる藍丸
・何で急に天狗に狙われちゃってんの?
・子供を助けて一緒に金鍔を食べることに
・雷王と弧白の分を真っ先に削る藍丸たん
・四つもある自分のは削らないんだね(爆笑)
・ここの子供云々、予想もつかなかった!
・目を瞑る瞑らないで羽織抗争あるかないか決定
・ここは「目を瞑る」
・天狗に操られた藍丸、嘉祥の店へ
・操られてるけど誘い受けな藍丸たん
・ここ堪らんかったよ…!
・嘉祥ルートはえろすの宝庫
・けど藍丸を操って色仕掛けで嘉祥を殺そうと計画した天狗さん…
・貴方すごいよ!
・何で色々見抜いてんの!
・各ルートでもそうだけど、緋王がいい味出してるなあ
・緋王ルート超楽しみ
・藍丸が天狗に操られてるって見抜く嘉祥かっこいいなあ
・えろいけど
・ここ軽く嘉祥×天狗?(゜o゜)
・藍丸が操られてると緋王が嘉祥に教えてくれてました
・けど、操られた藍丸に気が付かない嘉祥っていうのも何か変じゃない?
・緋王たまが嘉祥に事態を伝えなくても嘉祥は気づいてそう
・ってゆうか気づいていて欲しい
・藍丸が天狗に意識乗っ取られたあとも非常に萌えた
・でもこっちは「ごっこ」なんだよね
・抗争回避だと体から始まる恋へ(笑)
・これはこれで嘉祥らしいかも
・しっかし効力50年かあ!
・襲の喜びようったらないね!

<バッドED 羽織抗争編>
・石が光った時、目を開いたままだとこっちのEDへ
・藍丸の意識が「違う、俺じゃない」って訴えてるのにそれに気付かない嘉祥が藍丸軽蔑するところがもうね…(泣)
・結局襲に飛ばされちゃったけど、もう藍丸は狭間から帰ってこられないのかな
・羽織抗争やるせないよ


嘉祥ルート思った以上によかった!
R18的には充実してるだろうなと思っていたけど、シナリオもすごくすごく面白かった。
ベストエンドがもうとにかくよかった
本編ではちらっとしか登場しなかった嘉祥の人となりがわかってよかったと思いました。
羽織同士だから、ずっと一緒にいるのは難しいけど、互いを想いながら責務を全うしていくのもいい
切ないがそこがいい
次は桜螺ですヽ(^o^)丿

407風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:47:31
戯れ


「雷王〜!」
 主は帰るなり、出迎えた従者であり情人でもある男に思いきり抱きついた。
「ら、藍丸…?」
 彼らしからぬ行動に抱きつかれた当人はもちろん、彼以外の一紋も目を白黒させている。
 彼らが仕える主は、義理と人情に溢れる熱血漢で気づいたら騒動の中心にいる。
 荒事には手慣れているが、とかく色恋事となると疎い。
 あの妖刀騒ぎでそんな彼にも生涯共にいたいと思う存在ができた。
 幼い頃からいつも傍にいた、従者である雷王である。
 彼と気持ちを通じ合わせるようになってからは前ほどそういうことに疎くはなくなったが、相愛の相手として
雷王に接する際は極力時と場所を見極めていたはずなのだ。
 こんな風に、一紋の前で想い人に抱きついてみせるなど……。
 皆の困惑など頓着せず、藍丸は厚い胸板に頬をすり寄せている。
「はー、寒かった。雷王はやっぱあったけぇや!」
「……私は湯たんぽ代わりか?」
 どこかずれた藍丸の言葉に、雷王は安堵し僅かに身体の力を抜く。
 主ならではの無邪気さ故の行動だと思ったのだ。
 苦笑交じりの雷王の言葉に、彼らを見守る一紋もほっとしたような表情に変わった……のだが。
「そうだぜ。……けど、俺ぁただの湯たんぽじゃあ満足しねぇよ」
 廻り切らぬ雷王の背に両手を添え、彼はどこか艶やかな頬笑みを浮かべて言ったのだ。
 抱きつかれている雷王にはもちろん、彼の表情は見えない。
 再びざわめいたのは、彼の表情を見てしまった一部の一紋たちだ。
 再度の主らしからぬ言葉に加え、一紋たちの変化に雷王も自ずとそれを察する。
「藍丸。熱でもあるのか?」
 背中同様、大きな掌で彼の黒髪を掻き上げて体温を測ろうとしたのだが。
「熱なんかねぇぞ。確かにお前に全部温めてもらいてぇほど凍えちゃいるが」
「!」
 雷王の鼓動が大きく跳ね上がる。
 藍丸は、意図的に雷王を見上げて先程と同じ頬笑みを浮かべたのだ。
「ぬ、主様……」
「桃箒」
 一紋を代表して、おろおろと声をかけてきた桃箒の言葉を止め、雷王は静かに首を振る。
「……今日は二人で夕餉をとる。お前たちは各々で済ませろ。いいな?」
 腕の中でクスクス笑っている主を見下し、口を開く。
 雷王の意図を察した桃箒は一も二もなく頷いた。
「は、はいっ! すぐにお持ちいたします」
「頼む」
 桃箒が踵を返すと、彼を手伝うために数名が後を追う。
 他は、すごすごと己の部屋へと戻って行った。
「何だ。皆行っちまうのか」
 藍丸は相変わらず情人に抱きついたまま、残念そうに呟く。
 まるで見せつけられなくなってしまったと落胆するかのようだ。


 これはいよいよおかしい。


 困惑よりも心配の方が勝ってしまった雷王は、半ば彼を背中に担ぐようにして部屋へと移動した。

408風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:48:15
 藍丸を座らせ、事の状況を詳しく問い質そうとする前に桃箒たちが夕餉を運んできた。
 優秀な萬屋の賄い係は二人の前に膳を用意するといそいそと退出していく。
「藍丸…」
「おぉ! うまそうだぜ〜」
 改めて話し出そうとした雷王の言葉を遮り、藍丸は瞳を輝かせて箸を取る。
「どれから食べようかな」
「……藍丸。夕餉の前にすることがあるだろう。それに迷い箸をするな」
 真相を正す前に、ついいつもの調子で小言を述べてしまう。
 出鼻を挫かれ、藍丸は唇を尖らせる……が、律儀に箸を置き手を合わせた。
「…頂きます」
「頂きます」
 雷王もそれに続き、今度こそ箸を取る。
 今日の夕餉はカレイの煮付けだ。
 桃箒が作ったものだ。美味だが煮魚は食すのに手間がかかる。
 当然…。
「なあ雷王」
「一度の挑戦もしないのか?」
 幼い頃から藍丸にだだ甘な雷王だが、まるっとそういうわけではない。
 やるだけやらせて、それでもうまくいかないと手を貸すようには心がけている。…のだが。
「俺よりお前の方が綺麗に身を取れるだろ?」
「……」
「雷王」
 こんな風に甘えるように呼ばれると、どうにも抗い難い。
 渋い顔をしつつも藍丸から煮付けを受け取る。
「全くお前は…。ちゃんと見ているのだぞ」
「おう!」
 嬉しそうに笑い、大きく頷く。
 大きい身体の割に迅速で、且つ細やかに煮付けの身を取り分けて再び主に目をやる。
「藍丸」
「何だよ?」
 彼の視線は煮つけではなく雷王自身へと向いており、再び違和感が蘇る。
「私の顔ばかりに目をやってどうする。ちゃんと手元を見ていなければ駄目だろう」
「嫌だ。俺は、お前の手元よりもお前の顔を見ていたい」
「ッ、」
 せっかく骨と身とに分けたカレイを取り落としそうになるが、どうにかそれを膳に戻して雷王は改めて藍丸を
見据えた。
 身体ごと藍丸の方へ向けて瞳を見返せば、彼は悪びれる様子もなく平然と雷王の視線を受け止める。
「……一体どうしたというのだ、藍丸」
「何だよ突然」
「答えてくれ」
「飯、冷めちまうぜ?」
「桃箒には悪いが、今は夕餉どころではない」
「……」
「話してはくれぬのか?」
 異様な態度を堂々と取るくせに、核心に迫ろうとすれば話を逸らそうとする。
 逃がしはしないと追い打ちをかければ。
 真っ直ぐにこちらを見つめていた瞳が細まる。
 笑ったのだ。
 彼らしからぬ色香を湛えて。
「雷王が心配することなんてなーんも起こってねぇ。俺はいつもの通りだ」
「だが…」
「いつも通り、お前が好きで好きで堪らねぇ萬屋の藍丸様だぜ?」
「…ッ」
 甘い言葉に追及の手を緩めてしまった雷王に、藍丸は満面の笑みを浮かべて手を伸ばす。
「なあ、雷王」
「ら、藍丸…」
 常に素肌を晒している雷獣の胸元に人差し指を触れさせそっとなぞる。
「く…」
 耐えるように唇を噛み締めると、主は小さく喉を鳴らす。
「俺とお前は想いが通った者同士だろ。我慢するなよ…」
 胸元を這っていた指が離れ、頬へと向かう。
「雷王…」
 そぅっと名を囁き、身を寄せる。
 すぐ肩に大きな掌が触れ、藍丸は笑みを深めた。
 甘やかな時間の訪れだ。
 雷王から与えられる快楽を享受すべく、目を瞑る。

409風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:48:32
「……」
 だが、雷王は動かない。
 瞳を閉じ、雷王を待ち望んでいた藍丸は訝しげに瞼を上げる。
 視界に飛び込んできたのは、鮮烈なる赤。
 燃えるような雷王の眼差しが藍丸を射抜くように見据えている。
 その眼差しは真剣そのもの。
 藍丸の誘いに翻弄されることはなく、彼は揺るがない。
 欲に流されない男に、藍丸は僅かに目を瞠る。
 そんな彼から一切目を逸らさずに、雷王はどこか確信したように問いかけた。
「……お前は、何者だ?」
 両肩を掴む手に力がこもる。
 僅かに骨が軋み、藍丸は眉間に皺を寄せるが、それも一瞬のこと。
 すぐに平然とした顔に戻り……口角を上げた。
 先程のような色めいたものではない。
 ―――相手を挑発する酷薄な笑み。
「もう気が付いたのか…つまらぬな」
 ガラリと変わる声色、そして口調。
 どれも藍丸のものではあり得ない。
「……緋王……」
 押し殺すような低い声で、雷王は彼の者の名を呼ぶ。
 大妖と人間との間に生まれたが故に、藍丸の中にはもう一人の己が潜んでいる。
 妖としての自分……緋王だ。
 掴んでいた肩から手を離せば、藍丸の姿をした緋王は悠然と腕を組む。
「振る舞いも、瞳の色さえ変化させてはおらぬのによくぞ察したものだ」
「藍丸はあのように明け透けに振る舞ったりはせん。敢えてそのような態度を取っておきながら、よく言う」
 厳しい顔つきは変えぬまま、雷王は緋王から目を離さない。
 彼の言葉を肯定するように緋王は小さく笑った。
「汝を試したのだ。我の一部である藍丸が受け止め受け入れた相手が果たして、知性ある獣なのかどうか」
「緋王、お前は…」
「ただの雷獣ではないと認めてやろう」
「私を試すためだけに藍丸と入れ替わったというのか?」
 僅かに怒りの滲む、静かなる問いかけ。
 緋王はもったいぶるようにしばし無言で雷王を眺めた後、ふと目を伏せた。
「確かに我は一度は引いた。内側で数奇な半妖の生を見届けてやろうとな。……だが、たまには羽目を外したく
もなるのだ」
「羽目?」
「戯れだ。もし汝が肉欲に負けて我を抱くならば眠らせた藍丸の意識を呼び覚ます。汝が惚れた男はただの獣だ
と嘲笑うためにな」
「……」
「我の思惑通りにはならなんだが、それはそれで楽しめたぞ」
「……なぜ炎気も纏わせずに藍丸と入れ替わることができたのだ」
 緋王の気紛れにいちいち腹を立てていてはきりがない。
 雷王は別の疑問に着目することにしたらしい。
 どこまでも理性的な雷獣をつまらなさそうに見やるも、緋王はそれに答えてやった。
「あの妖刀の一件で我と藍丸は思いの外歩み寄ることができた。垣根がなくなってきていると言った方がわかり
やすいか?」
「だからこのように自然に成り代わったと?」
「成り代わるとは人聞きの悪い。我も藍丸だ。……汝が前にそう申したのだろうが」
「……」
「まあ、無理矢理に受肉しようとすれば炎気は抑えきれぬがな。また汝の背を焼くだけだ」
 藍丸には似合わぬ皮肉めいた言葉と表情に、雷王は顔を顰める。
 それを目ざとく見つけた緋王はクツクツと喉を鳴らしながら肩を竦めた。
「そろそろ藍丸が恋しいか?」
「藍丸は無事なのだろうな」
「問いに問いで答えるとは、随分と失礼な従者よな?」
「私は藍丸の従者だ」
 間髪置かず、迷いない言葉を受けて緋王は初めて悔しげな表情を浮かべた。
「…フン。汝が初めに惹かれたのは我の方ではなかったのか? 随分と尻軽な」
「緋王…」
 羽織格の変化に雷王は強張らせていた表情を顰める。
 彼の態度はまるで、己を見てもらえず寂しがって拗ねる子供のようだった。
「…!」
 自分でもそれに気が付いたのだろう。忌々しげに舌打ちをする。
「そのような目で我を見るな! 不愉快だ。貴様はさっさと子守でも始めるがいい」

410風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:48:45
「待て緋王、私は」
 雷王が何か言おうとするが、緋王はそれを耳に入れる前に瞳を閉じた。
 悔しげに歪んでいた表情が幼子のような無垢に変わり、前のめりに倒れ込む。
「藍丸!」
 細身の身体をしっかりと抱きしめて雷王は彼の顔を覗き込む。
「……あ……らいお…」
 大きな手を頬に添えれば、藍丸の瞳がぼんやりと開かれる。
「俺、寝てたのか?」
 どうやら彼はもう一人の自分に身体を取って代わられていたことに気づいていないようだ。
 緋王は藍丸の意識を眠らせたと言っていた。
 記憶の欠落は恐らくそのためだろう。
 寝ぼけ眼でこちらを見上げてくる主に敢えて微笑みを浮かべ、頷く。
「ああ。夕餉の途中で居眠りをするなど、余程疲れていたのだな」
 雷王の言葉を少しも疑わず、藍丸は眠そうに目を擦りながら「そっか」と呟いた。
「藍丸、目を擦るな。赤くなる」
「んー」
 恐らく彼の言葉は右から左であろう。
 藍丸は適当な相槌を打ちながら雷王の胸に顔を埋める。
「眠い…」
 この様子では、夕餉どころではなさそうだ。
 甘えるように寄りかかってくる愛し子に、雷王は苦笑して目を細める。
「ならば少し眠るか?」
 やんわりとした雷王の問いに、無言で頷く。
 そのまま眠りに落ちてしまった主をそっと抱きしめると、襖の向こうから声が響いた。
「主様、雷王様。お茶のお代わりはいかがでしょうか?」
 どうやら桃箒が気を利かせて茶を淹れ直してきたらしい。
 眠る藍丸を抱きしめたまま、雷王は閉じた襖に向けて声をかける。
「生憎と藍丸が眠ってしまってな。茶は後で私が頂こう」
「ええっ! 主様がもうお眠りに? どこかお加減がよろしくないのでしょうか」
 姿が見えていなくとも桃箒がオロオロしているのが分かる。
 雷王は苦笑して、彼に入室を促した。
「いや。今日は少し暴れすぎたようだ。……夕餉を一時中断したいのだが、良いか?」
 そう問えば、遠慮がちに襖が開いて思った通りの心配そうな様子の桃箒の姿が現れる。
「承知しました」
「腹が空けばまた目を覚ますだろうから、まだ膳は下げないでおいてくれ」
「はい。…あの、雷王様は…?」
 当然、藍丸の隣にある雷王の膳もまだ手付かずのままだ。
「私も後にしよう。藍丸が目覚めた後でいい」
 そう言い、雷王は藍丸を横抱きにして立ち上がる。
「はい。では、共に布を被せておきますね」
「すまない」
 せっかくの出来立てを台無しにしてしまうな、と律儀に雷王が頭を下げればかわいそうなくらいにあたふたと
桃箒が両手と首を振る。
「ら、らら、雷王様! 私などにそのようなっ……頭をお上げになって下さい!」
「だが」
「私は、お二人にお菜を食べて頂けるだけで幸せなのでございます。ですから…」
 このままでは互いに頭の下げ合いになってしまうだろう。
「では、頼む」
 雷王は僅かに口元を緩め、頷いた。
「はい」
 にこりと微笑み、桃箒は主を抱えて部屋を出ていく雷王を見送った。

411風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:48:59
部屋を出ると、雷王はすぐに寝間へと向かう。
 藍丸に寝着を着せてやりたかったが、近い内に一度起きると見越してそのまま布団に寝かせることにした。
「……今の所、緋王の存在を知る者は私だけのようだな」
 すっかり熟睡している主の髪に触れ、雷王は小さく言葉を紡ぐ。
 あの妖刀事件から鳴りを潜めていたはずの緋王。
 肉体の主導権を藍丸に譲ったことで、彼らは少しずつ同化していくのかもしれない。
 漠然と雷王はそう思っていたのだ。
 だが、王は再び表に現れた。
 しかし雷王は前のように頑なに彼を封じようと思わない。
 緋王はその気になれば力づくで藍丸と入れ替わることができる。
 それだというのに彼は藍丸の意識を眠らせるというまどろっこしい手順を踏んでまでこっそりと意識を浮上さ
せた。
 本人は戯れだと述べていたが、雷王には違う理由があるような気がしてならない。
(……緋王もまた藍丸だ。いつまでもジッとしているのは性に合わぬのかもしれん)
 幼い頃に封じられて以来、緋王はずっと藍丸の裡で眠り続けていたのだ。
 それが事件によって目覚めた。
 無理やり肉体を奪い取ることはしなくなったとは言え、緋王は覚醒したまま藍丸と共にいる。
 たまには顔を出したくなることもあるに違いない。
 そう思うと、あれほど惹かれ、戦慄する存在であった緋王が可愛く思えてくるのが不思議だ。
 そんな胸の内を吐露すれば、再び緋王は藍丸の肉体を奪い取って文句を言いにくるに違いない。
「……お前もまた、藍丸であることに変わりはない」
 だから、と囁くように告げる。
「次に現世に現れる時には、きちんと藍丸と話し合って出てきて欲しい。私を試すようなことはせずに……な」
 藍丸と緋王。
 彼らが真の意味で歩み寄れたその時、全ての妖の頂点に立つ羽織が誕生するのかもしれない。
 その傍らで彼を見つめていられたならばどんなに幸福であろう。
 雷王の内心を読んだのか、緋王からの応えは何もない。
 変わらず藍丸は幸せそうに眠りの中にいる。
 雷獣は満ち足りた表情で艶やかな黒髪を梳く。
 惹かれた主が目覚めるまで。


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 あんなにカッコイイ緋王が、私が書くとどうしてこんなツンデレになってしまうのか。
 非情の王なのに、雷王に可愛いとか思わせてしま…!
 緋王FANの方、申し訳ございません!!
 雷藍←緋みたいな展開になってましたっ…。
 妖刀事件後、藍丸に肉体の主導権は譲ったけど、緋王は時々ひょっこり出てくるんじゃないかなと思って書い
た話でした。
 またこの設定でちょこちょこ書いていくかもです。
 そして例によってまた藍丸の出番が(汗)
 この話通して寝てただけじゃん!
 次こそは藍丸メインの話が書きたいなー。

412風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:49:37
金鍔禁止宣言


 異変は麗らかなお八つ時に起こった。
 藍丸は今日も無事依頼を済ませ、従者であり情人でもある雷王と共に帰路を辿っていた。
 いつも彼が選ぶ道は決まっていて、本日も大黒屋の前を通りがかる。
 そこは、雷王の主がこよなく愛する金鍔を扱う老舗。
 藍丸はこの大黒屋の金鍔しか手を付けないほどの「通」である。
 当然今日もここで足を止めるものだと思われたのだが……。
 雷王は最初の異変に気づいた。
 大黒屋を前にしても主の足が止まる素振りが全くないのだ。
「藍丸?」
 今にも素通りしてしまいそうだったので、雷王はつい主の名を呼んでしまう。
「な、何だよ?」
 彼の返事はどこか不自然だ。
 どうやら雷王が何を言いたいのかは理解しているらしい。
 これはますます珍妙である。
 足を止め、落ち着きがなさそうにそわそわしている主の前に回り込む。
「どうしたのだ。今日は寄らないのか?」
「…どこに」
 返事はぎこちないを通り越して、固い。
 わざとらしくも大黒屋を視界に入れぬよう、明後日の方角を向いたままだ。
「大黒屋に決まっている。いつも寄っているだろう?」
 藍丸の異変に気付きつつも、雷王は本当にいいのかと念を押す。
 だが、彼は頑なにそちらを見ようとはしない。
「食べていかなくてもよいのか?」
 藍丸が金鍔を食すのは日常のことであったので、ついつい質問攻めにしてしまう。
 疑問ばかりが先に立ち、彼は藍丸が懸命に誘惑と戦っているのに気がつかなかった。
 何度も何度も念を押してくる従者にとうとう藍丸は、キレた。
「だーっ! しつっけぇんだよ。いいんだっ! 俺ぁ金鍔は食わねぇ!」
「ら、藍丸!?」
 まさか、藍丸が金鍔を食べぬなどと言う日が来ようとは。
 怒っている主に構わず、雷王はまず青みがかった黒髪をかき上げ熱を測る。
「熱くはないな」
「あったりめぇだ!」
 雷王の行動はますます藍丸の機嫌を損ねてしまうものだったらしい。
 額に当てられた手が、勢いよくはたき落される。
「わ、わかったならもう行くぞ!」
 ろくに理由も述べず、ぞんざいに情人の手をはたき落してしまったことに罪悪感を感じているらしい。
 バツが悪そうに雷王を見やると、再び歩き出す。
「待ってくれ藍丸」
 だが雷王は簡単には引き下がらない。
 彼は主が幼子の頃からずっと共にいた。
 だから、藍丸がどれほど金鍔が好きなのかを十二分に知っている。
 それだというのになぜ急にそれを拒むのか?
 雷王が気づかぬ間に彼の身に何かが起こったのだろうか。
 そう思うと居ても立ってもいられなくなってしまったのだ。
 再び壁のように立ちはだかられ、藍丸は顔を顰める。
「まだなんかあるのかよ」
 一刻も早くここから離れたい。わかりやすい藍丸の表情からはそんな意思が読み取れる。
 どうしてそこまで好物を拒むのだろうか?
 考えても雷王には全く心当たりが浮かばない。
 ならば、直接本人に問うしかないだろう。
「藍丸、今日はどうして大黒屋へ寄らぬのだ?」

413風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:49:54
「……」
「お前はいつも豪快に布団を蹴飛ばして眠っているからな。……腹を下したのか?」
 ならばこうしてはおれぬと、主の手を掴んで歩き出そうとする。
 勝手に解釈してすぐに行動に移そうとする従者に焦ったのは藍丸だ。
「まっ、待てよ雷王! 俺は別に」
「お前はいつも病にかかると俺にはすぐ打ち明けぬ。大事があったらどうするのだ」
 藍丸が踏みとどまろうとしても巨体の雷王が無理矢理事を運ぼうとすれば、嫌でも引きずられてしまう。
 これではまるで医者にかかるのを嫌がる子供のようではないか。
 大黒屋の前は大通りだ。
 当然通行人も多い。
 ちらちらとこちらに向けられる視線に耐えきれず……とうとう藍丸は白旗を上げた。
「わかった! 全部話すから落ち着け雷王」
「全部話す? 先程全て打ち分けてくれたのではないのか?」
 隠し事をされたと見るからに落ち込みだす雷王に、藍丸は一気に脱力してしまった。
「何てぇか……手前も大概天然だよな」
 ガシガシと乱暴に自身の髪をかきまぜると、藍丸は道の隅に寄るぞと顎をしゃくる。
 だが、雷王はまたずれたことを気にしていた。
「藍丸。髪を乱すのはよせ。萬屋の頭領がそのようにだらしない格好をしていては、客から信頼を得ることなど
…」
「説教しながら髪整えんなっ! 俺ぁ餓鬼じゃねぇって言ってんだろっ」
 気難しい顔をしながら甲斐甲斐しく主の髪を手櫛で梳きだした雷王に藍丸は瞬く間に赤面してしまう。
 再び手を払われて物哀しそうにしている従者を強く睨み、ようやく道の隅へと移動する。
「くそっ。いつもの癖でここ通ったのが間違いだった! …ちょっと耳貸せ」
 雷王がまたずれたことを言い出す前に藍丸は本題に入ることにした。
 ごにょごにょと何事かを囁かれ……。
「最近、ふくよかになってきた?」
「声がでけぇ! 何のために耳元で話したと思ってんだっ!」
 普通に言葉を繰り返された藍丸は思い切り雷王の背を叩いてやった。
 だが雷王はけろりとしたものだ。
 痛みに顔を顰めるでもなく不思議そうに主を見下ろしている。
「……」
 あまりに無言でこちらを見つめてくるので何とも居心地が悪い。
「な、何だよ。急に黙りこくりやがって」
「藍丸」
「お、おう」
 至極真面目に名を呼ばれ、惚れた弱みか先程まで気分を害していたはずの藍丸は、頬を赤く染めてつい返事を
してしまう。
 しかし雷王は表情を崩すことはない。
 しっかりと主を見据え。
「ふくよかになったなどと、考えすぎではないのか? 私の見立てでは体型に変化は見受けられないが」
 きっぱりはっきり断言する。
「〜〜〜、だからこんな往来でそれを口にすんなって…」
「なぜだ。事実ではないのだから恥ずかしがる必要はないだろう」
 元来、雷王は藍丸に口では到底敵わないのだが今、彼は限りなく素で意見を述べている。
 藍丸が何を恥ずかしがっているのか心底からわからないのだ。
 これでは太刀打ちできるはずもない。
「好物を我慢する理由はもうない。藍丸。無理はするな」
 この、慈愛に満ち満ちた赤い目。
 ―――お手上げだ。
「ええい。…もう、どうでもいいや」
 がっくりと肩を落とし、藍丸は雷王に背を向ける。
「行くぞ」
「藍丸?」
「金鍔、食う。これ以上うだうだしてたら日が暮れちまわぁ」
「…承知した」
 今度は何の迷いも葛藤もなく大黒屋の暖簾を潜る藍丸に、どこか嬉しそうに雷王は頷いた。

414風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:50:18
「これはこれは、いらっしゃいませ」
 藍丸の姿を見つけると、すぐに大黒屋の主人は湯飲み二つと金鍔を四つ皿に乗せてやって来る。
 萬屋頭領の金鍔好きは近隣では有名だ。
 贔屓にしてもらっている大黒屋にとって藍丸は特別なのである。
「ごゆっくりしていって下さいませ」
「おう、あんがとな」
 金鍔を断つと宣言しておきながら、実物を前にすると藍丸の表情は自然と緩む。
 そんな主人をこれまた嬉しそうに見守る雷王。
 ある意味彼らは別の意味でも注目されていた。
 色恋に関して、双方とも常人より鈍いので気づきもしないのだが。
 キラキラと瞳を輝かせる主に笑みを浮かべ、いつものように雷王が食べやすいよう金鍔を切り分けてやる。
 竹串を刺して皿を差し出す。
 それを嬉々として藍丸は受け取った。
 丁度いい大きさに切られた好物をパクリと口に入れ……。
「んー! うめぇっ」
 キュッと瞳を閉じて絶賛する藍丸に、「そうか」と言葉少なに雷王は頷く。
「やっぱ金鍔は大黒屋のに限るぜ〜。このほどよい甘さがいいんだよなぁ」
 機嫌よく金鍔を堪能する藍丸であったが。
「……」
 突然ぴたりと手が止まる。
「どうした?」
 目を細めて幸せそうな主を見守っていた雷王が訝しげに声をかける。
「……」
 雷王の問いにも答えず、藍丸は皿の上の金鍔と睨みあう。
「……これだけでいい」
「藍丸?」
「俺ぁ、少しばかり金鍔を控えるぜ!」
 決意を新たにする頭領に、雷王は眉を寄せる。
「またそのような…」
「手前のことは手前がよーっく知ってらぁ! やっぱ俺は前より太った。間違いねぇ」
「無理は逆に体を悪くする。聞き分けろ、藍丸」
「無理はしねぇ。言っただろ、少しばかり控えるって」
 皿を膝に乗せ、藍丸は隣に座る情人を見上げてガキ大将の笑みを浮かべる。
「雷王にうだうだ言われる前は痩せるまで梃でも金鍔は断つって決めてたんだけどな……ほどほどにすることに
した」
 雷王の視線は藍丸の膝に乗っている皿だ。
 四つあった金鍔は二つまで減っている。
「半分だけにする……ということか?」
「おう。今日食う金鍔はこれで仕舞いだ」
「ならば残りは包んでもらうか?」
「待てって!」
 すぐに店の娘に声をかけようとした雷王を、慌てて止める。
 雷王の視線が再びこちらに向いたのを確認すると、藍丸はずいっと皿を差し出した。
「ほれ」
「? あ、ああ」
 わけもわからずそれを受け取ってしまう。
 それに満足して、藍丸は大きく頷いた。
「あとはお前が食え」
「何?」
 思ってもみない言葉に雷王は戸惑いを隠せない。
「これからしばらく、俺ぁお前と金鍔を分かち合うことにしたぜ」
「……最初から主人に金鍔の数を二つと改めればすむことなので…むぅ」
 言葉の途中で雷王が顰め面になる。
 正論を吐く従者の足をむぎゅっと踏んでやった藍丸は、フフンと鼻を鳴らす。
「いつもの半分に改めろなんて言ったら主人に悪いだろ! こんなに美味い金鍔を作り出すんだからよ。邪険に
はできねぇ」
 だから雷王も付き合えと言うのだ。
 相変わらず突飛な発想に雷王は驚きの連続だ。
 誰よりも長い時間、彼と共に時を過ごしているというのに……。
(全く……面白い。いくら時が過ぎ去ろうと飽きぬだろうな)
 すでに竹串で刺してある金鍔を一口食し、雷王は快く了承した。
「わかった。お前が満足するまで、共に分かち合おう」
「おうよ!」
 ようやく意見が合ったと藍丸は嬉しそうだ。

415風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:50:29
 雷王が残りの金鍔に手をつけ始めると、あっという間に皿は空になる。
 ゆっくり味を堪能していては主の決心が鈍ってしまうかもしれないと早めに平らげたのだ。
「おっ、早ぇな。やっぱ大黒屋の金鍔は江戸一番だぜ」
 そんな従者の気遣いにも気付かず、藍丸は我が事のように胸を張る。
「……そうだな」
 敢えて何も言わず、雷王は目を伏せ同意する。
 同じ皿の金鍔を分け合う仲になったからだろうか。
 妙な仲間意識が芽生えてしまったらしい藍丸は店を出て、家路についても上機嫌だった。
「雷王、明日も半分ずつだぞ」
「わかった」
 屋敷内で交わされる言葉に他の一紋たちは首を傾げるばかり。
 頭領が体重を気にしているなどとは絶対悟られたくない藍丸と、彼とのささやかな秘密を少しだけ楽しんでい
る雷王により、彼らの疑問は結局晴れることはなかった。




 半・金鍔禁止宣言がなされて数日。
 弧白が去り二人きりで眠ることとなった寝間で、雷王はふと目を覚ます。
 彼の愛し子が、こちらに顔を向けて無邪気に眠っている。
「……」
 無防備な彼にそっと手を伸ばした。
 大きな掌が触れたのは、滑らかでふっくらとした健康的な頬。
「この感触が失われるのであれば、早々に禁止宣言は撤回させたいところだ……」
 ふにふにと心ゆくまで主の頬を楽しみ、しみじみじと雷王は呟く。
 安心できる体温を近くに感じて藍丸はどこか心地よさそうだ。
 劣等感を抱きつつあるこの頬が、まさか情人のお気に入りなどと知る由もなく。


 金鍔をこよなく愛する藍丸の姿を近日中に江戸で目撃できるかどうかは、かの妖の手腕にかかっている。


                                                09.03.18up                                                                                                                                                                                                    


 藍丸と金鍔バナでした〜。
 金鍔って食べたことないのですが、すごく甘いのですよね。
 餡を固めて作るんだから激甘ですよね!
 甘いもの好きな男の人萌えだなぁ〜。
 それが藍丸なら尚更!
 …で、日々金鍔ばっかり食べていたら太るんじゃないかな。突然太ってきた自分を意識する藍丸…イイ!
 一人勝手に盛り上がってまた量産してしまいました。

416風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:50:43
初めての接吻




 その日の朝餉でもこんなやり取りがあった。


「藍丸、口元に米粒がついているよ」
「んぁ?」
「私が取ってあげようね」
 まだ寝ぼけ眼で桃箒の拵えた煮物を食べていた主の口元に、弧白が唇を寄せる。
「……弧白。米粒を取るのならば手を使えばいいだろう」
 眉間に皺を寄せて苦言を訂す雷王に、弧白はどこ吹く風だ。
「こちらの方がてっとり早いだろう? ねぇ、藍丸」
「ん?」
 どうやら藍丸はまだ寝ぼけているようだ。
「ほら、藍丸もうんと言っているじゃないか。話がわかるねぇ」
 主が曖昧な相槌しか打たないのをいいことに勝手な解釈をつけて弧白はぺったりと藍丸に身を寄せる。
「……」
 雷王の眉間に更なる皺が刻まれた。
 剣呑すぎる彼らのやり取りをはらはらと見守るのは力はないが配慮はしっかりと持ち合わせている桃箒たちば
かり。
 彼らの不毛な争いの中心にいつもいる桃箒たちの主は全く我関せずというか……恐ろしいほどに無自覚だ。
 雷王は、眠気に囚われた半眼のまま赤出汁の効いた貝の味噌汁を啜っている藍丸に向け、声をかける。
「藍丸。眠ったまま朝餉を取るな。作ってくれた桃箒に失礼であろう」
 注意を促すために語気を強くすれば、ビクリと藍丸の肩が動く。
「え、ええっ!? わ、私は良いのです。雷王様」
 いきなり話を振られて慌てふためく桃箒の声も手伝って、どうやら完全に覚醒したようだ。
「…うお!? 俺、寝てたか?」
「ああ」
 パチパチと目を瞬かせて、再び眠りの底に引き込まれぬようプルプルと首を振る。
 そうされると、彼にぺったりとくっついていた弧白は離れる外ない。
「チッ。余計なことを」
 忌々しそうに呟き、紅の獣を睨みつけるが彼は見事に受け流す。
「目が覚めたのならばしっかりと朝餉を取れ」
「わ、わかった」
 ごめんな、桃箒。と小声で主に謝罪されますます彼は恐縮して小さくなってしまう。
「も、ももももったいないお言葉です。主様…」
「桃箒、どもりすぎだよ」
 気持ちはわかるけどね…。と隣で朝餉を取っていた蛟女が同情的に肩を叩く。
 彼らの中心にいる藍丸がしっかりと目を覚ましたところで、一紋は滞りなく本日の朝餉を終えた

417風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:50:57
 朝餉が終わり、一紋は片づけものに取り掛かる桃箒を手伝いを始める。
 そして藍丸と彼の右腕左腕は、萬屋稼業に精を出すのが常だ。
「今日は人探しの依頼が入ってたよな」
 一紋に見送られて屋敷を出た藍丸は、後ろを歩く雷王を振り返る。
「ああ。昨夜依頼を受けた時に依頼主の妻が愛用していた簪を預かっている……弧白」
 相変わらず藍丸にべったりな妖狐はあからさまに気だるげに雷王を見やる。
「私はお前の命令などには従わないよ」
 朝の一件がまだ尾を引いているようだ。
 いつもならばぶつぶつ文句を言いつつも動くのだが……。
「これは仕事なのだ。公私混同をするな」
 人や物を探す依頼は鼻の利く弧白が適任。
 雷王が顔を顰めて正論を言うも弧白にはそれがますます気に入らない。
 彼の言葉を無視して主の腕に手を絡める。
 従者たちのやり取りを黙って見つめていた藍丸が、ここでようやく口を開いた。
「なあ弧白。俺の命令だったら動いてくれるか?」
(…ほう)
 雷王に助け船を出していることを悟られるとますます臍を曲げてしまうので、藍丸は言い方を工夫したようだ。
 苦境に立たされていたことも忘れ、雷王は感嘆の視線を主に送る。
 弧白もその物言いを気に入ったらしい。
「私はお前の従者。主の命令ならば聞かないわけにはいかないさ」
 顔を寄せて藍丸の頬をペロリと舐め、妖艶に頷いて見せた。
「恩に着るぜ」
 弧白からのこうした接触は、彼が幼い頃からの言わば習慣のようなものだ。
 特に反応するでもなく嬉しそうに笑う。
 雷王はそんな彼らを複雑そうに見やる。
 しかし、弧白もまた同じように複雑な気持ちであったのだ。
 そうした接触に慣れきっているということは並大抵のことでは藍丸は弧白を意識しないだろう。
 まあ、自業自得なのだが。
「お寄越し」
 互いの胸中など知る由もなく、弧白は雷王から件の簪を受け取るとさっさと姿を消してしまった。
「さて、俺たちはどこから探るかな」
 藍丸は、んー、と伸びをして雷王を見上げた。
 ……が。
「雷王?」
 なぜか彼は、非常に難しい顔をして考え込んでいた。
「どうしたんだよ。妙な顔して」
 不思議そうに覗き込んでくる主に、雷王はしばし思案した後、意を決したように口を開いた。
「藍丸」
「何だよ」
 まだ屋敷からさほど離れていない道端で、彼らはじっと向かい合う。
「前々から確認しようとは思っていたのだが……お前は、弧白の接し方に何も感じていないだろう?」
「弧白の接し方?」
 とんと心当たりがないと首を傾げる反応がその証左。
 やはり、という表情で主を見据え、雷王は言葉を砕いて説明を始める。
「弧白はお前に過剰な接触をするだろう。朝…耳の裏を舐めて起こしたり、常日頃から体を密着させたり……な」
「……ああ。そういやそうだな。毎日のことだから不思議にも思わなかったぜ」
「お前が不思議に思わなくても周りが気にする時もある……これからはそれを踏まえた方がいい」
「お、おう。……そう、だよな」
 雷王の言葉を噛みしめて、藍丸は何度も一人頷く。
「そういや前に宗也と宗也の仕事仲間とちっと話をする機会があったんだけどよ。その時弧白が俺を迎えに来て、
いつもみたくべったりだったんだよなぁ。そうしたら宗也以外固まっちまってよ」
 必死に取り繕っていた友の姿を思い起こし、ようやくその意味を理解したようだ。
「やはり、すでに弊害はあったようだな…」
 今更のような気はしたが、雷王は渋面を作る。
「はっきり言われてみると、何か恥ずかしくなってくるな。弧白は口移しとか平気でやってのけるしよ。……っ
てことは俺、初めては弧白になっちまうな」
「初めてとは?」
「せ、接吻だよ。…全然甘酸っぱくもねぇ」
 複雑だぜ。と青年らしく苦悩する主に雷王は表情を和らげる。
「それは回数に入れずとも良いだろう。お前が好きな相手と交わした最初の口付けが初めてでもいいと俺は思う
が」
「う。そ、そうだよなっ」
 恋愛に関しては初心である藍丸は、雷王との突然の色めいた(というには初々しいが)話に頬を赤く染める

418風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:51:08
「…なんだ。雷王とこういう話すると、調子狂うな」
 つまりは照れると言いたいのだろう。藍丸らしい言い回しだ。
「藍丸。もし好いた相手ができた時は隠さず教えてくれると嬉しい」
「っ…、お、おうよ。もしそういう相手ができたらな」
 生真面目にそう乞われ、藍丸も邪険にできずにしどろもどろになりながらも了承する。
(…そうか)
 そんな主の返答に、内心雷王は安堵していた。
 まだ藍丸の心には誰も住まう者はいないのだ。
 まだ自分だけの藍丸でいてくれる……。
「…う、雷王!」
「!?」
 いつのまにか考え込んでいた雷王の耳に、自分の名を強く呼ぶ藍丸の声が飛び込んでくる。
 弾かれるように顔を上げれば、まだ若干頬を染めつつも脹れっ面で藍丸に睨まれていた。
「もうこの話はいいだろ、俺たちも行こうぜ」
「あ、ああ」
 痺れを切らしてズカズカと歩きだした藍丸の後を追いながら、雷王は自分なりに衝撃を受けていた。
 ふと気がついたのだ。
 己は藍丸にいつまでも傍にいて欲しいと思っている。
 特定の者を作れといいながら、特定の者などできなければいいとさえ。
 これでは自分もあまり弧白と変わらぬではないか、と。
 弧白に言わせればそれこそ今更なのだが、雷王は全く無自覚であったのだ。
 その衝撃からか、もうひとつ弧白のことを咎められぬある記憶が蘇る。
「とりあえず依頼人の住んでる付近を洗ってみるか」
 藍丸は呑気に煙管をクルクルと回しながら、今日の方針について語っている。
 しかし、雷王はそれどころではなかった。
 無言で口元に手を覆い、嫌な汗をダラダラと流し始める。
(……そうだ。俺も弧白のことを言えぬ)
 思い出してしまったのだ。
 先程自分は藍丸に好きになった相手との口付けが初めてで良いではないかと提案した。
 しかし、厳密に言えば……藍丸にとっての初めては(もちろん接吻のことだ)弧白ということになっている。
 だが。
「おい、ちんたら歩いてんじゃねぇぞ雷王」
 自分より背丈があるくせにちっとも追いついてこない雷王を促す。
「ああ。すまない」
 何とか平静を装いつつ返事を返す雷王であったのだが、胸中は穏やかではない。
(そうであった。……藍丸の初めての接吻は俺ではないか)
 どうして忘れていたのか。
 ……いや、恐らく藍丸と同じなのだろう。
 それが日常であったから気付けなかったのだ。自覚していなかった。
 だからそれが藍丸にとって初めての口付けとなることに気付けなかった。
(何ということだ。毎日あれほど弧白を咎めていると言うのに……いや、だがあれはあやつのような邪な思惑か
らなどではない!)
 別に公になっていないというのに内心で一人言い訳をし続ける。
「弧白の鼻は抜群だからな! 俺たちが調査始める頃にもう結果が出てるかもしれねぇ」
 雷王の心中など察してもいない藍丸は、晴れ渡った青空を眺めて口を動かしている。
「しっかし、男が女に手ぇ上げるのは頂けねぇな。奥方が出てっちまった原因は依頼人にあるんだ。なら逆に身
に危険が迫ってるってこたぁねぇ。そこは安心だな」
 だが、彼がどこか上の空だというのには気づいているのだろう。
 明らかに返事を待つことなく次から次へと言葉を紡いでいる。
 相変わらずの生返事を続けながら雷王の心は過去へと飛んでいた。

419風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:51:22
 あれはまだ、幼い藍丸と二人きりで住んでいた時のことだ。
 半妖ではあったが、まだ小さかった藍丸は人の子供と大差なかった。
 よく食べよく遊びよく笑い。
 そしてよく病ももらって帰ってきては雷王の看病を受けていた。
「くしっ、くしゅっ、くしゃんっ!」
 藍丸は床の上で威勢のいいくしゃみを連発させている。
 子供故に抑えることなどせず思いっきりするものだから、くしゃみが止むともれなくタラりと鼻水が垂れてく
る。
「らいおう…」
 くしゃみ連発のために潤んだ大きな黒い瞳が唯一の家族を呼ぶ。
「待て藍丸。啜ってはならんぞ」
 ササッと雷王が藍丸の鼻に鼻紙を当てる。
 チーン、と変わらず威勢のいい音が部屋に響いた。
「よし。すっきりしたな」
「うんっ」
 鼻が気持ち悪くなくなったからだろう。藍丸は嬉しそうに無邪気な笑顔を雷王へと向ける。
 しかし、今回は少々熱が出ている。
 額にはうっすらと汗が滲んでいた。
 鼻紙を捨て、今度は手拭いで額を拭ってやる。
「まだ熱が下がらんな」
「らいおう、あっつい」
「寒気はなくなったか。ならばもう少ししたら治るぞ」
「ほんと?」
 かくりと大きな頭を傾げる愛し子に、雷王は目を細めて頷く。
「ああ。きちんと薬を飲んでぐっすり眠れば、な」
「えー」
 嬉しそうだった藍丸の表情が、「薬」と聞いて途端に歪む。
 彼もまた、例に漏れずに薬嫌いであった。
「朝餉の時は飲めただろう。昼も頑張れ」
「だって。おくすり、にがい」
 藍丸はへにゃっと表情を暗くさせて肩を落とす。
 しょんぼりした様子に雷王の心が揺れなかったと言えば、それは嘘だ。
 だが、雷王は心を鬼にして意思を曲げることはなかった。
「私もできる限り助けよう。だから、頑張るのだ」
「……うん」
 駄々はこねるが、結局は雷王の言葉を聞き入れてくれる。
(うむ。藍丸は良い子だ)
 すでに親馬鹿と化していた雷獣は、満足そうに一人頷く。
「らいお?」
「いや、何でもない。……それよりも薬だ」
 言いながら、薬師に処方してもらった風邪薬を取り出す。
 油紙を開けば白い粉薬が姿を見せ、藍丸の顔が引きつる。
「……」
「藍丸、もう少しだけ我慢すれば風邪も良くなる」
 開いた油紙を口元に近づけると、藍丸はキュッと目を固く瞑って意を決したように口を開けた。
(えらいぞ、藍丸…!)
 毎回のように感動しつつ、雷王は手早く薬を藍丸の口内へと落とす。
「っ!」
 苦いのだろう。藍丸の顔が歪む。
「少しの我慢だ。……ほら、水だ」
 椀に水を満たして藍丸に持たせる。
 が…。
「……っ、ん」
 椀に口をつけ、懸命に飲み下そうとするも小さな藍丸には少々難しいようだ。
 水を飲むには口を開けねばならない。
 だが口を開ければせっかく入れた薬が出てしまう。
 少しずつ水を含んでいくのだが、それではいつまでも苦味が消えない。
「う、ふぇ」
 やがて耐えきれぬと固く瞑った瞼から涙が滲み始めた藍丸の手から、雷王は椀を取った。
「泣くな、藍丸。よく頑張ったな。あとは私が手助けしよう」
「う、んっ」
 藍丸は口をもごもごさせながら何度も頷く。
 早く苦さから藍丸を開放してやりたくて、雷王は手元の椀に口を付けて水を含む。
 素早く、何の躊躇いもなく彼の唇がぷっくりとした小さな唇を塞いだ。
「んっ」
 やがてコクリ、と藍丸の喉が上下する。
「っはぁ」
 唇を開放され、藍丸は大きく息を吸う。
「全部飲んだか?」
「のんだ!」
 嫌なことが終わったと、藍丸は輝く笑顔で手を挙げる。
「偉かったな藍丸」
「らいおうにてつだってもらったのに?」
 伺うようにそっと上目で見つめてくる可愛い子供に雷王は一も二もなく頷いた。
「当たり前だ。俺が手伝ったにせよ、藍丸はよく頑張った」
「うん、らんまるがんばった!」
「ああ。それに朝は自分一人で飲み込めたのだ。近いうちに私の助けがなくても大丈夫になるだろう」
 日々成長しているのだな、と藍丸のふくふくした頬をそっと撫で、少し感傷的になるのだった。

420風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:51:35
(……感傷的になっている場合か!)
 過去の己に突っ込みを入れ、今現在の雷王は渋面で地面を睨みつけていた。
(あれは手助けとはいえ紛れもない口移し……何もわからぬ幼子に俺はなんということを)
 弧白であれば役得とほくそ笑むところだが、生真面目な雷王はそんな風に前向きに考えることなどできない。
(初めての接吻どころか何十回と奪ってしまった。藍丸が一人で薬が飲めるまで繰り返してきたのだからな……)
「あ〜、もう雷王! 手前、上の空も大概にしろよ!」
 只管に足を動かし、罪悪感に苛まれる雷王を我に返らせたのも物思いの原因である藍丸だった。
 気がつけばそろそろ依頼人の暮らす区域に入ろうとしている。
 どうやら己は結構な間過去へと戻ってしまっていたらしい。
「何か気に入らねぇことがあるならはっきり言えよ!」
 目の前に回りこんで怒鳴りつけてきた藍丸に、雷王はようやく回想から抜け出せた。
「違うのだ。すまない藍丸」
 かなり機嫌を損ねている主に、雷王はすぐに詫びる。
「…じゃあ何でずっと黙りこくってたんだよ」
 主は気にしない振りをしつつもずっと気にしてくれていたらしい。
 その事実に喜びを感じながらも、雷王は「いや」と言葉を濁す。
「大したことではない。……少し、昔を思い返していた」
「昔? 俺が餓鬼ん時のことか?」
 妙なところで鋭い藍丸である。
 ここで肯定してしまえば、自ずと過去の話になる。
 藍丸が「あのこと」を思い出してしまうのはまずい。
「そ、そうではない。……私が雷獣として気ままにしていた頃、この付近を通りがかった覚えがあったのでな」
 咄嗟であったがうまい返答であったと思う
「へぇ。じゃあ俺を育ててくれる前だからだいぶ前だな……っと、生粋の妖にとっちゃ数十年は昔にゃならんか」
 藍丸もうまく騙されてくれたようだ。
「そうでもない。お前と暮らすようになってからは日々が濃密だからな」
「へーへー、どうせ俺ぁ色んな厄介事をよく拾ってくるよ」
 図ったわけではないが、どうやら場が和んでくれたようだ。
「今は過去を懐かしんでいる場合ではなかったな。さあ、行こう」
 雷王はようやく調子を取り戻し、藍丸を促す。
「っと、そうだな。とにかく今は探し人だ」
「私が愚図ったせいで少々遅れてしまった。弧白が膨れて待っているだろうな」
「それが一番厄介だぜ…」
 参ったと空を仰ぐ藍丸を見つめ、雷王は酷く安堵している自分に気がついた。
(……私は何を取り乱しているのだ。あれは接吻の内になど入らんというのに)
 だがそう思うとなぜか気落ちする己もいる。
(結局、私が一番意識している……ということか)

421風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:51:46
 謳歌していた自由を差し出してまで傍にありたいと願った存在。
 彼に向ける感情は、親が子へ向ける愛情だけではない。
 それは、惹かれた相手に向ける、熱く激しい感情―――。
「…雷王? お前、もしかして具合悪いのか?」
 あまりに上の空である従者に、藍丸は別の心配をし始めたようだ。
 案じてくれる黒い瞳に見つめられ、雷王の胸は鼓動を早める。
 だが、それを彼に悟られるわけにはいかない。
 …いかないのだ。
「大丈夫だ」
「けどよ」
 それでも言い募ろうとしてくれる愛し子の肩に手を乗せ、微笑む。
「……っ」
 その笑みが、あまりに慈愛に満ちていて藍丸は言葉を失くしてしまう。
「藍丸?」
「な、何でもねぇ! 大事ないなら行くぞっ」
 ぎこちなく雷王に背を向け、歩き出す。
「…ああ」
 雷王は眩しげに目を細め、主の後を追う。
 どこかで微妙に擦れ違っている主と従者。


『お前が好きな相手と交わした最初の口付けが初めてでもいいと俺は思うが』


 先程、主にそう説いた雷王だったが、他ならぬ彼がそれを実践してしまう日も近いのかもしれない。


                                                09.03.25up                                                                                                                                                                                                                                                     


 本編前の設定です〜。
 藍丸の初チューは雷王でしたという話でした!
 三歳から藍丸と暮らしてきたんだから、絶対雷王はチューしてるはず!
 性的な意味はさすがにないとしても今回みたいなチューはある!はず!
 チューチューうるさくてすいません。
 この話ではもちろんこのまま雷王ルートなので、結局のところ初チューは雷王!なのですよ☆
 無自覚カポーいいなぁ。萌える!

422風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:52:41
膝枕




 それは遠い遠い、温かで柔らかな記憶。


 幼い日の藍丸は昼寝の途中でふと目が覚めた。
 本当ならばまだ眠っている頃合いだ。
 それだというのに目覚めてしまったのは、夢を見てしまったから。
「……」
 身を起こし、目を擦りながら辺りを見回す。
 部屋には自分一人だけで、誰もいない。
「らいおう?」
 唯一の家族を呼ぶが、応えはない。
「らいおう…」
 小さな声で再度雷王を呼び、もそもそと起き上がった。
 心細そうに掛け布団を抱きしめて、それを引きずりながら部屋を出る。
「らいおう、…っく、いないの?」
 寂しくて仕方がなくて藍丸はグスッと鼻を鳴らす。
 大きな瞳から大粒の涙が盛り上がって零れる前に、血相を変えた雷王が現れた。
「藍丸!?」
「らいおうっ!」
 探していた家族の姿を見つけ、結局藍丸の涙は決壊してしまう。
 藍丸は抱きしめていた布団を手放しぽろぽろと涙を流しながら、両手を広げて駆け寄ってくる雷王に飛びつい
た。
「うえぇっ、らいおう、らいおうっ」
「どうした藍丸。怖い夢でも見たのか?」
 雷王の腕の中にすっぽりと納まり、藍丸は心から安堵する。
 逞しい養い親の胸にふくよかな頬を擦りつけ、藍丸はただ彼の名を呼ぶ。
「らいおう、らいおう。…らいおう」
「大丈夫だ。俺はここにいる」
 大きな掌がゆったりと小さな背を撫でる。
「うん…」
 雷王はようやく落ち着いた幼子を抱き上げ、目線を合わせる。
「それで、一体どうしたというのだ?」
 涙に濡れた目元を拭われ、藍丸はジッと雷王を見る。
「あのね……ははうえがゆめにでてきたの」
 時折喉を震わせながら言葉を紡ぐ藍丸を、雷王は痛ましい目で見つめた。
「そうか。母者の夢を見て、寂しくなってしまったのだな?」
「……」
 幼い故に意地を張ることもしないで藍丸は小さく頷いた。
 寂しさを埋めるように肩首に顔を埋める。
 そんな藍丸の頭を撫でてやりながら、雷王は体を揺らしてあやす。
「夢の中で母者はどうしていた?」
 やんわり投げかけられた問いに、藍丸は顔を上げる。
「だっこしてくれた。それとね、ひざまくらも」
「そうか」
 ぽんぽんと小さな背を叩いてやり、雷王は藍丸が昼寝をしていた部屋へと移動する。
 敷いてある布団の上に胡坐をかいて座り、その上に藍丸の頭を乗せた。
「母者のように柔らかい腿ではないが……どうだ?」
 雷王は、何とか母親の代わりを努めようとしているのだ。
 幼いながらもその心遣いは藍丸にも伝わる。
 藍丸は嬉しそうに彼の腿に頬を寄せて、嬉しそうに微笑んだ。
「えへへ。らいおうのひざまくら」
「気に入ってくれたか?」
「うんっ。らんまる、らいおうのひざまくら、すき!」
「そうか…」
 嬉しそうな雷王を見ていると、こっちも嬉しくなる。
 彼の高い体温に触れているうちに、再び眠気がやってきた。
 うとうとと夢の挟間を彷徨いながら、藍丸は雷王に言葉を紡ぐ。
「あのね……おっきくなったら、こんどはらんまるがひざまくら、してあげる」
「それは楽しみだ」
「らいおうに……ひざまくら……」
 そうして再び眠りにつく―――。

423風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:52:57
 赤面しながら目覚めるなど、初めての体験だ。
「……俺は、何つぅ夢を……」
 額を手で覆いながら、藍丸は低く呟く。
 そう、先程の光景は全て夢。
 ただし、過去をそのまま写し取った夢だ。
 雷王とのかつての日々を再現され、藍丸は懐かしいやら照れくさいやらだ。
 幸い両脇の布団はすでになく、従者二人は先に起き出しているようだ。
「危ねぇ危ねぇ。あいつら妙に鋭いからな。……餓鬼の頃の夢を見たなんて恥ずかしくて言えるか」
 雷王も弧白も、常に藍丸しか見ていないのだ。
 それ故の鋭さであるのに当人はまるで気が付いていない。
 まあ、いつものことなのだが。
「藍丸、起きているか?」
 火照った頬を手で扇ぎ、何とか熱を冷まそうとしていると戸の向こうで声が聞こえてきた。
 先程夢に出てきた雷王だ。
「お、おう! もう起きてるぞ」
 がばりと勢いよく起き上がり、若干ひきつった声で返事をする。
 すると静かに戸が開き、紅の獣が寝間に足を踏み入れた。
「私が起こさぬうちに目を覚ますとは感心だな。……では、着替えるか」
 藍丸の前に立つと、すでに手に持っていた着替えを広げてみせる。
「お、おう。頼まぁ」
 いそいそと立ち上がり、雷王の着付けを受け入れる。
 雷王の着付けは弧白とは違いきっちりと着せてくるので多少時間がかかる。
 真剣な従者の顔をちらちらと見つめながら、藍丸は先程の夢を思い返す。
(そういやあれからだな。こいつがよく俺に膝枕……してくれるようになったのは)
 自分の方から強請った回数も多いが、何も言わなくても雷王は胡坐をかいて誘ってくれた。
 やっぱり母親とは違い固い太腿だったが、藍丸は彼の膝枕が大のお気に入りだった。
 結構な時間、彼の膝を独占した時もあったと思う。
(こいつは文句のひとつも言わず、望むままにさせてくれたっけ……。きっと足が痺れて堪らん時もあったろう
に)
 幼い頃から注がれてきた雷王の愛情を今になって実感して、藍丸は唇を噛みしめる。
(俺は、こいつからもらった愛情をちょっとでも返せてるのかな?)
 少し考えてみる。
 が。
(…駄目だ。全く返せてねぇ)
 今であってもこうして彼に着替えを手伝わせている始末なのだ。
 彼が喜ぶことなど全くしていないのではないかと愕然となる。
「藍丸?」
 主の心の変化を敏感に感じ取った雷王が、そっと名を呼ぶ。
「な、何だ?」
 今の心情を悟らせるわけにはいかないと、藍丸は何でもない風を装って返事をする。
「……どうした、そのように暗い顔をして。夢見でも悪かったのか?」
「そんなこと、ねぇ!」
 ここで話をはぐらかすならば、彼の問いに頷けばよかったのだ。
『ああそうだ。ちっと嫌な夢見ちまってよ』
 ……そう返せばそこで話は済んだのだ。
 だが、藍丸はそれを否定してしまった。
 確かに照れくさかったが、あの温かで懐かしい夢を嘘でも「悪夢」などと言う呼び方をしたくなかったのだ。
「では一体どうした?」
「何でもねぇよ! また眠くなっただけだ」
 少し苦しい言い訳だが、藍丸はこれで通すことにした。
 雷王はしばらく訝しげに主を見つめていたが、やがて「そうか」と頷いた。
(…あ)
 雷王が気落ちした様子を察して、藍丸は途端に後悔してしまう。
 再開される着付けを見下ろしながら、辛そうに唇を引き結んだ。
(俺、雷王に愛情を返したいって思ったくせに、何だよ。……こいつに嫌な思いさせてばっかじゃねぇか)
 藍丸がどんな我儘を言っても八つ当たりをしてもこの従者は何一つ文句を言わない。
 ただ受け止めて、受け入れて。
 藍丸に変わらぬ愛情を注いでくれる。
 それなのに。
(情けねぇ……)
 着物の袖に通した拳を強く握り締める。
「藍丸、後ろを向いてくれ」
 帯を締めるための要求に、無言で従う。
(俺は、雷王から借りなんて言えねぇほどの恩を受けてる。……俺からは何も返せねぇのか)
 何か……何かないか?
 落ち込んでいたのも忘れて必死に考える。

424風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:53:17
 今すぐこの優しい獣に何かしてやりたい。
 彼が何か喜ぶことを……。
 早くしないと着付けが終わってしまう。
 二人きりでなくなってしまったら、機会も減る。
(雷王が喜ぶこと…んー……喜ぶこと)
 考えれば考えるほど名案は浮かばない。
 時間がないと焦っているせいもあるだろう。
(何か……何か。よし、じゃあ俺が喜ぶことを考えてみるか! それなら……)
 自分が喜ぶこと。
 まず浮かぶのは金鍔だ。
 しかしこれは藍丸の好みであって雷王のそれではない。
 では何だろう。
 喜ぶこと。嬉しくなること……。
(ひざ、まくら…)
 閃くように浮かんだのは先程の夢だった。
 こうして雷王に対する恩返しを意識したそもそものきっかけ。
 自分に膝枕をしてくれた夢の中の雷王は、とても嬉しそうだったように思う。
 雷王が嬉しそうにしてくれて、藍丸も嬉しくなってしまったのだから間違いない。
 それに。
(約束したもんな。大きくなったら膝枕してやるって)
 改めて認識するとこそばゆくて仕方がないが。
「さ、これでいい」
(よし、決めた!)
 着付け終了の雷王の声に背を押され、藍丸は覚悟を決めた。
「ら、雷王!」
「何だ?」
 藍丸にこちらを向かせ、今日の着付けの出来栄えを見定めようとした雷王は、突然名を呼ばれて首を傾げる。
 改めて彼を目の前にすると緊張するが、藍丸は勢いに乗ることにした。
「朝餉まで時間、あるか?」
「藍丸?」
「いいから! …どうなんだよ」
「そうだな…。今日はお前が起き出すのが早かったから、まだ出来上がるまでに時間がかかるのではないか?」
 どうやらこれは好機のようだ。
 気合いを入れて頷く彼を不思議そうに見下ろし、雷王は別の解釈をしてしまう。
「腹が減ったのか? では桃箒に頼んで朝餉を早めてもらうか」
「こ、こら! 俺ぁそんなことひとっ言も……待てって雷王!」
 藍丸は、早速部屋を出て行こうとする従者を慌てて引き留める。
 野太い腕にしがみついて彼の足を止め、藍丸は雷王をそのまま布団に引きずっていく。
「おい、藍丸?」
「いいから!」
 説明するのも照れ臭いので、藍丸は行動に出る。
「ちょっと待ってろ」
 そう命じて、藍丸は布団の上にドカッと腰を下した。
 胡坐をかいて、戸惑う従者を見上げる。
「…えっと。その、何だ」
 ここからはさすがに言葉にしなければわかってもらえないだろうと、藍丸はしどろもどろに言葉を濁す。
「藍丸。せっかく着付けたのだ。二度寝はやめてくれ」
 はっきり言葉を述べる前に、またしても雷王が早合点をする。
 人のことは言えないが、どこまでも鈍い従者に藍丸はとうとう叫んだ。
「違ぇよ! おら、来い雷王。膝枕だ!」
 しかしそれだけでは言葉は足りず、そして唐突すぎた。
 頭の上に疑問符を飛ばしながら、とりあえず雷王は藍丸に近づくが……。
「膝枕で二度寝がしたいのか? ……仕様のない主だな」
「だ・か・ら! 違ぇっつってんだろ!! わっかんねぇヤツだな。俺は全然眠くねぇよ」
 どうしても二度寝から離れてくれない雷王に歯がみして、藍丸はパンと胡坐をかく己の両腿を叩いた。
「お前じゃなくて俺だよ! 俺が膝枕してやるってんだ」
 言った。
 少々荒っぽい口調だったが、言ってしまった。
「…………」
 熱い頬に、自分が赤面しているのだと感じながら雷王へと視線を向ければ、彼は紅の目をまん丸にして立ち尽
くしていた。
「膝枕……藍丸が?」
 茫然と呟いてしまったりしている。
 何だろうこの忘我状態は。
 それほど自分が膝枕をしてやると言ったことが衝撃的だったのだろうか?
(餓鬼ん頃の記憶だから……もう膝枕なんて嬉しくも何ともねぇのか?)

425風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:53:29
 だとしたら自分はとんだ道化だ。
「い、嫌ならいい! 悪かったな無理強いしちまって。忘れてくれ」
 一人勝手に焦り、藍丸は慌てて今の発言を取り消そうとしたのだが。
「待ってくれ藍丸」
 さっさと立ち上がろうとした藍丸の肩を掴み、再び腰を下ろさせる。
 その様子が余りに必死で、藍丸は呆気にとられてしまう。
「雷王?」
「その……是非、お願いしたい」
「へ?」
「膝枕だ。……してくれるのだろう?」
 藍丸から視線を外し、小さく乞う雷王に鼓動が跳ねる。
 雷王を見上げ、しばし固まる藍丸であったが……。
「し、しょうがねぇな。……来いよ」
 口ではぶつぶつ言いながら、実は嬉しくて仕方がない。
 そんな主の気持ちを察しているのか、雷王もほっとしたように体の力を抜く。
 程無く、赤い頭が藍丸の膝の上に乗った。
「……」
「……」
 しばらく二人は無言でいたが、やがて雷王が身じろぎして感想を述べる。
「お前に見下ろされているというのは……何か新鮮だな」
 雷王が話しかけてくれたお陰で、藍丸も妙な緊張が解けたようだ。
 小さく笑って頷く。
「そうだな。……俺も、お前をこうやって見下ろせるなんざ滅多にない経験だ」
 膝に散らばる赤い髪を梳いてやると、彼は心地よさそうに同じ色の目を細める。
「どうだ? 気持ちいいか」
「…ああ。俺の方が二度寝をしてしまいそうだ」
「大袈裟だな。けど、そう言われると嬉しいぜ……っと、俺がそう思っても意味ねぇか」
 気分がよかったのでついするすると余計なことまで口走ってしまう。
「お前が思っても無意味とは?」
「う、な、何でもねぇよ」
 無理矢理話を終わらせようとするが、雷王にとっては聞き捨てならないことであったらしい。
「何でもないということはないだろう。お前が嬉しいと思って意味がないはずはあるまい」
 どうやら雷王は藍丸とは違った部分が引っ掛かっているようだ。
 しかし、雷王の思わぬ追及に混乱している藍丸は焦ってますます深みに嵌まっていく。
「俺はどうでもいいんだよ! お前が嬉しいって思ってくれなきゃ膝枕の意味がだな……あ」
 隠しておきたいことの大体を言葉にしてしまってから、藍丸は愕然となる。
「俺が喜ぶように、膝枕を……?」
 真っ赤になって固まる主をじっと見上げながら、雷王は静かに問いかけた。
「う。……おう」
 最早しらばっくれるのは無理と諦め、藍丸は仕方なく認める。
「藍丸…」
「!」
 今朝の夢がきっかけだったとは言え、藍丸はどうしても雷王が喜ぶ顔を見たかった。
 そうして考えた作戦が膝枕だというのに、こうして素直に気持ちを話しただけで雷王はとても幸せそうに目を
細めたのだ。
 彼の様子を目の当たりにして、藍丸は言葉を失う。
「ありがとう。お前のその気持ちが何より嬉しい」
 雷王はそっと主の頬に手を伸ばし、感謝の言葉を口にした。
 慣れたはずの従者の温度に、ますます藍丸は赤面してしまう。
「いつもお前には世話になってるからな! たまには……な」
「約束を、果たしてくれたのだな」
「え?」
 小さく囁かれた雷王の言葉は、主の耳まで届かなかった。
 首を傾げる藍丸に彼はいや、と首を振った。
「いいのだ。……藍丸、もう少しだけこうして膝を借りても良いか?」
「もちろんだぜ!」
 普段、雷王に頼られたり求められたりしたことはないので俄然藍丸は張り切ってしまう。
 今まで注いでくれた愛情に報いようとするように髪を撫で続ける。
 主の指の感触に意識を集中させ、雷王はそっと目を伏せた。

426風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:53:40
 そうして数刻後。
「主様、朝餉の準備が……」
「っ、うあ…!」
 戸の向こうで声をかけた桃箒の声を遮ったのは主の辛そうな呻き声。
「主様!?」
 苦悶に満ちた声に桃箒は慌てるが、すぐに雷王の声が彼を落ち着かせる。
「大事ないぞ桃箒。もう少ししたらそちらへ向かうから待っていてくれ」
「すまねぇ桃箒、す…すぐ行くから、よ」
「は、はい…」
 理由はわからないが、自分にそれを知る権利はない。
 主の無事を確認したのち、彼は静かに寝間を離れる。
「うっ、らい、らいおっ……もうちょっとやさしく…!」
 桃箒の気配が消えて、ようやく藍丸は遠慮なく声を上げた。
 藍丸は、先程まで雷王に膝枕をしてやっていた布団にうつ伏せになり、悶絶している。
「これくらいか?」
 彼のふくらはぎを揉んでいるのは雷王の大きな掌。
「くっ…う、そう、そのくらい…だ」
 布団に顔を押しつけて藍丸は只管に耐えていた……足の痺れに。
 決して長時間ではないが、雷王にしてやった膝枕のせいですっかり彼の足は痺れてしまっていたのだ。
 足が痺れるという可能性も忘れ、彼との会話を楽しんでいたのが敗因だ。
 頭領が従者に膝枕をしてやったせいで足が痺れて動けぬなど、他の一紋に言えるわけがない。
 少しでも早く回復しないと、再び桃箒が呼びに来る。
 彼ならまだいい。このままでは十中八九、弧白が来る。
(それだけは避けねぇと…!)
 彼のことだ。
 雷王にだけエコ贔屓だと盛大に臍を曲げるに違いない。
 同じことを……いや、それ以上のことをしなければ、機嫌は絶対直らないだろう。
「まだ痺れるか?」
 雷王が丁寧に主の足を揉みしだきつつ、問いかけてくる。
「さっきよりはましだ。……あとちょっとだな」
「すまない藍丸。私が長居をしたばかりに」
「謝んな。俺が好きでやったんだから」
「だが…」
「少しずつ慣れるからよ。……また、してやる」
「! 藍丸…」
 嬉しい申し出に、つい腿を揉む手に力が入る。
「うお!? らっ……力強っ…」
「す、すまぬ藍丸!」




 雷王の献身の甲斐あり、桃箒や弧白がやってくる前に主の足は回復した。
 揃って朝餉に現れた彼らはどこか和んでおり。
 結局は何かあったと悟った弧白が盛大に機嫌を損ねてしまうことになるのだった。


                                                   09.06.06up                                                                                                                                                                                      


 逆膝枕話でした!一応本編前の設定で。
 雷藍では絶対外せない膝枕ネタ!!
 そして子藍+雷王萌え。ちびっこ大好きなので、これからもチビネタは増えていくと思われます。
 趣味丸だしです。楽しいのは私だけかも 汗
 でもやっぱり雷藍だと色っぽい方向にいかないなぁ。

427風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:53:55
傷痕




「んんっ…あ、あ…!」
「藍丸、藍丸……」
 間もなく主と従者による甘やかな時間が過ぎ去ろうとしている。
 あの妖刀事件を経て、結ばれた藍丸と雷王。
 訪れたひとつの結末に弧白は去り、現在この寝間で共に眠るのは彼らのみ。
 心の通った者同士が二人きり、同じ寝所を共にすれば営みの回数が増えるのも道理。
 妖刀事件がもらたしたものは、大切な者たちとの別離。羽織としての自身の力。
 そして、愛しい相手。
 好いた相手と一部の隙間もなく共にいたいという思いと、胸に空いた大きな空虚を埋めるために藍丸は連日の
ように赤い妖を求めた。
 彼の気持ちを察しているのか、雷王は何も言わずに応じてくれる。
「藍丸……名残惜しいのはわかるが、もうこれくらいにしておけ。このままではお前の体がもたぬ」
 まだ主を離したくはないが、雷王は己の欲望を抑えつけて囁いた。
「あ、うっ……、やだ……いやだ、雷王」
 離れていこうとする雷王を引き留めようと藍丸は足を絡めてしがみ付く。
「こら、藍丸」
「雷王、もっと」
 欲に掠れた声で強請る藍丸に、雷王の理性は焼き切れそうになるが、強靭な精神力でそれに耐え。
「んうっ」
 駄々をこねる藍丸に深く口付けて意識を反らせる。
 絡めた足が緩くなったのを見計らい、一気に己を引き抜いた。
「あ!」
 抜かれた際の快楽に藍丸が悶える。
 しかしすぐに物足りなさを感じたのだろう。
 再び濡れた瞳で雷王を見上げた。
「雷王…」
「もう仕舞いだ。疲れただろう」
「……」
 藍丸は物欲しげに彼を見つめ続けていたが、雷王は気付かない振りをする。
 身を離し、手拭いで主の体を拭ってやる。
 全て身綺麗にしてやる頃には案の定、彼は半分夢の中だった。
「藍丸。寝着を着るまで眠るのは待ってくれ」
「このままでいい…」
 半分目を瞑りながら、再び駄々をこねる。
「駄目だ。風邪を引く」
「お前とくっついてりゃ、風邪なんて引かねぇ」
 そうやって、藍丸はまた雷王を誘う。
 だが、それに乗ってやるわけにはいかない。
 いい加減、彼を休ませねば倒れてしまうだろう。
「藍丸、聞き分けろ」
 肩を掴み、半眼の黒眼をじっと覗きこめば。
「……わかった」
 唇をかみしめて、渋々彼は了承する。
 雷王はほっと胸を撫で下ろし、主の気が変わらぬうちに手早く寝着を着せてしまう。
 藍丸を布団に横たえ、次は己の処理をする。
 そうして、隣に敷かれた己の布団に身を滑り込ませようとしたのだが。
「…雷王」
 気だるげな声に呼ばれ、雷王は僅かに目を瞠る。
「藍丸、起きていたのか?」
 あんな状態だったので、すぐに眠ってしまったのかと思っていた。
 布団に横たわり、藍丸は眠い目を無理矢理開けて雷王を見上げている。
「そっちじゃなくて、こっちで寝ろよ」
 つまりは同じ布団で眠れと。
「藍丸、それは……」
「もうそんな気ねぇよ。だから」
 その声色は、まるで哀願しているようで、雷王の胸は痛んだ。
「藍丸…」
 主の下へ歩み寄り、彼の布団を捲れば藍丸は体の力を抜いて安堵する。
 布団の中に入ってきた雷王にすぐさましがみ付く彼だったが、ふと顔を上げた。
「藍丸?」
「上衣……脱げよ」
 自身の処理を行い、きっちりと上衣を着こんできた彼のそれをひっぱり、命ずる。

428風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:54:13
「……藍丸、お前は先程」
「違うって。そんな気、もうねぇって言っただろ?」
「ではなぜそのようなことを言う?」
 横になり、藍丸の黒髪を梳いてやりながら問えば。
「お前の体温、直に感じながら寝たいんだ。俺は裸じゃいけねぇんだろ? ……だったらお前が脱げ」
 拗ねた子供のように屁理屈を言う藍丸に、雷王は小さく息を吐いた。
「本当にもう何もせぬぞ?」
「わかってる。俺だってもう眠い」
 その割には物足りなさそうな仏頂面だったが触れないでおく。
 雷王はそれ以上何も言わず、上衣を脱ぐ。
 と言っても彼はいつも大半の肌を晒して日々をすごしているので隠している部分は微々たるものだ。
 上衣を脱ぐと、彼の背が露わにになる。
「……」
 広い背には、黒く焦げた生々しい傷痕と、その上に無理矢理刻まれた刺青。
 藍丸は、その背をじっと見つめている。
 その視線に気づいた雷王は、すぐに藍丸へと体を向ける。
 主の背に腕を廻し、その体をすっぽりと包み込んで眠ろうとしたところ……。
「そっちじゃねぇ」
 つれない声が腕の中で響く。
 藍丸に目を向ければ、彼は雷王の腕から出ようともがいている。
「そっち、とは?」
 少し物悲しいものを感じながら問う。
 雷王の哀愁には気づかず、藍丸は彼の胸を押しながら答えた。
「反対だ。俺ぁ、お前の背にしがみついて寝たいんだ」
「!」
 彼の背に刻まれた傷痕と刺青は、藍丸の裡に潜む火焔の王を封じた結果と、封じるためのもの。
 藍丸はその傷痕をいつも痛ましそうに見つめるので、雷王としてはあまり彼の前では晒したくない代物なのだ。
 それだと言うのに。
 何とも言えない表情で見つめてくる雷王に、藍丸は小さく笑ってみせる。
「その傷痕と刺青は、お前が俺のもんだって言う証。それを抱いて眠りたいってのは、妙か?」
「藍丸……」
 それ以上雷王は何も告げられず、無言で一度主を抱きしめた後、言われた通りに背を向けた。
 視界に広がる雷王の広い背。
 藍丸はそっと傷痕に触れて感触を確かめた後、そっと体を寄り添わせる。
 背に顔を埋め、手は雷王の腹へ。


 温かい。 ここにちゃんと雷王はいる。
 煙のように消えてはいかない。


「……」
 雷王の匂いを吸い込み、藍丸は彼の存在を体中で感じ取ろうとする。
 救えなかった親友。
 引き留められなかった家族と同じ存在。
 彼らのいない空虚を雷王で埋めようとする。
 背にしがみつかれている雷王は、藍丸が何を思い憂いているのかを何となく察していた。
 伊達に十数年彼と共にいたわけではない。
 背を向けているので抱きしめてやることができないのが口惜しい。
 不安に駆られている主をどうにかして安堵させてやりたい。
「……大丈夫だ」
「!」
 そっとかけられた揺るぎない言葉に、しがみついていた主の体が震える。
 抱きしめてやれないのならば、言霊で安らぎを与えてやればいい。
 あまり気の利いた言葉は紡げぬが、真っ直ぐな気持ちを伝えればきっと相手の胸にも届く。
 雷王はそう信じて言葉を続けた。
「私は消えぬ。お前の前からいなくなどならぬ。永劫にお前と共にいる」
「……っ」
 震える息遣いが背にかかる。
 抱きしめてやりたいが、傷痕に触れていたいという彼の気持ちを尊重してやりたくて雷王はそのまま語りかけ
た。
「お前よりも長く生きることを誓おう」
 死に別れすらさせない。
「うっ…らいお……」
 そう囁く優しき獣に、震えて彼の背に縋っていた藍丸の口から嗚咽が漏れ始めた。
「……藍丸。お前を抱きしめたいのだが……動いてもいいだろうか?」
 静かに泣き続ける主をこのまま放っておけず、雷王は伺いを立てる。
「ほんとか?」
「何?」
「本当に……お前は、俺を置いていかないな?」
 藍丸は雷王の言葉には答えず、別の問いかけをする。
 だが雷王それを咎めることはせず、はっきりと頷いた。
「ああ。置いてなどいかぬ。……むしろ、離れろと言っても傍にいる」
「雷王っ…」
 涙交じりに呼ぶ声に、了承を悟って雷王は体を反転させた。
 すぐに抱きついてくる華奢な体。
 藍丸は雷王の肩口に顔を埋めて泣いていた。

429風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:54:24

「雷王、雷王っ……ずっと、いてくれ……!」
「ああ。もちろんだ」
「雷王…」
 藍丸は安堵するまでずっと情人の名を呼び続けた。
 雷王はその度に「ああ」と答える。
 慣れた体温に包まれ、雷王の匂いに包まれて。
 徐々に藍丸の体は弛緩し、瞳が段々と閉じられていく。
「……お、う……」
 寝息が混じっていても、藍丸は雷王を呼ぶのを止めない。
「ああ。私はここにいる」
 彼の額に唇を落とし、雷王は途切れがちな呼び声にもきっちり返事を返す。
 もうほとんど目を瞑った状態で雷王を見上げて、藍丸はようやく無邪気な微笑を浮かべた。
「そっか……」
「そうだ」
 耳元で囁いて、主の髪に手を差し入れてやれば自分を呼ぶ声は完全に寝息に変わる。
 ようやく眠ってくれた藍丸に、雷王は深く息を吐いた。
「これで、しばらくは目覚めぬだろう」
 眠りたいだけ眠らせてやろうと心に決める。
 藍丸を腕に抱え込み、雷王も目を閉じた。
 そうすれば、体全体で愛しい者を感じることができる。
(体の傷はすぐに癒せても、心のそれはどうにもならん。……俺は、無力だ)
 妖刀事件で藍丸は心に多くの傷を受けた。
 その大きな傷は彼の近しい者たちとの別れ。
 大切な者を護ってやれなかった悔恨。
 巻き込んでしまったという罪悪感。
 己が選び取ってしまった結果、ずっと寄り添っていた存在が突然消えてしまった喪失感。
 それが、藍丸を苦しめ続けているのだ。
 雷王にはそれを見守る事しかできない。
 経過する時間だけが、主を癒すと彼は気づいていたから。
(だが決して、藍丸は時間の経過に逃げるのではない。……受け止めるために、時間が必要なのだ)
 少しでも彼の力になれまいか。
 現実を受け入れる覚悟を決めねばならない、藍丸の力に。
「らい…お…」
 安心しきった表情で眠る藍丸は、幼子のようにあどけない声で雷王を呼んだ。
「…藍丸」
 情を込めて想い人を呼べば嬉しそうに笑ってくれる。
(俺は……)
 大切な者の心ひとつ癒せない、不甲斐ない男だが、こうして傍にい続けることで彼の笑顔を護りたい。
「俺はただ、お前の傍にいよう……」
 今夜のように主が切ない涙を流しても、すぐに拭ってやれるように。
 少しでも早く笑顔に戻ってもらえるように。
「愛している」
 夢の中でも笑っていて欲しくて、雷王は祈りを込めて主の黒髪に口付けた。


                                                   09.06.10up                                                                                                                                                                                                                  


 前回、雷藍では色っぽい話が書けないとか言いながら、今回思いっきりR18でした。
 描写もタイミングも何もかも温いシュチュではありましたが 汗
 私にはあれが限界です。でも今まで書いた中で一番雷藍ラブらせられた!わーい☆
 書けば書くほど雷王の藍丸への愛が広く深いものになっていっているような。
 海のように深き愛。
 それが雷王ということで。

430風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:54:39
羽織の憂い




 江戸には六つの派閥が存在する。
 そのうちの一つである派閥の主、大妖嘉祥は屋敷の奥の間で難しい顔をして考え込んでいた。
「……わからぬ」
 傍に控えているのは古代帯の化身である妖……襲だ。
「嘉祥様、何か心配事でも……?」
 敬愛する羽織の憂いは己の憂いでもある。
 そっと問いかけられた声に、ようやく嘉祥は顔を上げた。
「ああ、心配をかけてすまぬな襲。……ううむ」
 心配でならないとばかりに注がれる遠慮勝ちな視線を受け止め、微かな笑みを作るが、すぐに物憂げなそれに
戻ってしまう。
「嘉祥様……」
 はらはらとこちらを見守る襲に、嘉祥はふと口を開いた。
「のう襲よ」
「はい、嘉祥様」
 すぐさま返ってくる返事に満足し、嘉祥は続ける。
「この江戸に誕生した、若き羽織をどう思う?」
「若き羽織……藍丸でございますか?」
 我が主の憂いと藍丸と、どのような関係があるのだろう?
 全く繋がりのない点と点に襲は困惑気味だったが、主の問いには答えねばならぬ。
 襲は天真爛漫で若い力に満ちている羽織の姿を思い浮かべて言葉を紡いだ。
「藍丸は…かの妖刀事件を経て、羽織としての力ももちろん、精神的にも大きく成長したように思います。先が
楽しみな青年かと」
「そう、だな」
 嘉祥は未だどこか引っかかるようだ。
 しばし目を伏せ考え込む主を、襲はじっと待ち続ける。
 どれほど時が過ぎただろう。
 やがて、嘉祥が重い口を開いた。
「……確かに、藍丸は将来有望な若き羽織だ。羽織となっても変わらず跳っ返りではあるが、な」
「はい…」
「だが、あやつには未だあの火焔の王の魂が宿っておる」
「嘉祥様、それは…」
 大妖と人間の混血である藍丸は、生まれ落ちたその瞬間から強大な力を秘めたもう一人の己を抱えていた。
 その名は緋王。
 妖刀事件で彼は目覚め、だが受肉はせず結局は身を引いたのではなかったのか?
 緋王という人格を抑えて藍丸は羽織となったのだ。
 襲の言いたいことはわかっているのだろう。
 嘉祥は彼が何も口にしていないのにも関わらず「わかっておる」と呟いた。
「お前は……藍丸を含めた他の者もそうだが、緋王は藍丸の奥底で再び眠りについていると思っているのだろう
?」
 主のこの口調、真実はそれとは異なるのだと暗に述べている。
 すぐに察した襲は、瞳を瞠らせて嘉祥を見上げた。
「まさか」
「そのまさかだ」
 察しの良い優秀な従属に目を細めて嘉祥は肯定する。
「緋王はな、眠りについてなどおらぬ」
「何と…!」
 あの紅蓮の化身が、未だ覚醒したままだというのか?
「それでは、藍丸の中で覚醒したままであると?」
「ああ。時折藍丸と入れ替わっておることもあるようだ」
「……!」
 十全に目覚めれば、最高位の羽織となるであろうあの緋王が目覚めていながら何もせず藍丸の中で大人しくし
ていると言う事実に襲は言葉を失う。
「本来ならば今頃、江戸など火の渦に飲み込まれている頃であろう。それが、未だに平穏無事なまま。……気味
が悪いとは思わんか?」
「確かに」
 得心のいった襲は深く頷いて見せる。
「藍丸でさえ気づいておらぬこの状況……少し、こちらでも気にしてみた方がよいかと思ってな」
「それは、どのような…?」
「緋王と直接話をする」
「! それは…」
 危険すぎます、とは告げられなかった。
 主の発言は絶対なのだから。
 本当は止めたかったが、別の言葉を紡ぐ。
「しかし、緋王は藍丸の裡に潜んでおります。どのようにして彼を呼び出せば…」
「まず藍丸と対峙せねば始まらんな」
「それも、容易にはいかぬと思われますが…」
 襲は困り果てた様子で主を仰ぐ。
 嘉祥と藍丸は同じ羽織ではあるが、同時に商売敵でもある。
 常に本心を晒さぬ間柄の誘いに乗るとはとても思えない。
 何より、彼を守護する雷王がそれを許さぬだろう。
「うむ。問題はそこだ」
「どう致しましょう……?」

431風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:54:52
 ううむ、と考え込む羽織とその従属。
 しばしの沈黙が流れたが、やがて主が顔を上げた。
「弧白が去った今、傍にいるのは雷王のみ。いつでも共にいるわけではないから多少の隙もあろう。少しの間だ
け藍丸を手中に収めることくらいならば可能かも知れん」
「しかし、事が明るみに出れば…」
「その時はその時だ。このままではどのみち江戸の守護が動くに決まっているからな、私が動いてやった方が最
悪の事態にはならんだろう」
「嘉祥様…何と慈悲深い」
 江戸と藍丸のために心を割く主に、襲は感涙しそうになる。
「力を貸してくれるな、襲?」
「もちろんでございます」
 深々と頭を下げ、彼は主の策に耳を傾けた。




 若き羽織となった藍丸であるが、それからの日常はあまり変わっていない。
 萬屋の頭領として舞い込む依頼を解決する毎日だ。
 大切な、決して欠かせぬ存在を二人も失った大きな穴だけはぽっかりと心に空いてはいるが。
 憂いを見せると雷王を始めとした他の一紋が心配するので表情には出さぬように努めている。
 だが、一人でいる時は別だ。
「……」
 部屋で一人座し、肘掛けに寄りかかりながら煙管を銜える。
 戻らぬ過去を思い返して軋む胸の痛みを紛らわそうと深く煙を吸い込み、ふぅと吐く。
 煙管に住まう極楽蝶がひらひらと舞い、沈んだ藍丸の心を慰めた。
「……一人になると、どうしても考えちまう。もう、どうにもならねぇことなのに」
 いけねぇな、と自嘲気味に笑い再び煙を吸い込む。
 普段悲しみを表に出せないからこそ、こういう時に考えてしまうのだ。
 彼には今しばらくの時が必要だった。
「あー、いかんいかん。こうして引きこもってるから色々考えちまうんだ。散歩でもしてくるかな」
 唇から煙管を離して立ち上がる。
 外を見れば、もう陽も暮れる時分だ。
 雷王と共に依頼をこなし、屋敷に戻ってきたばかりであったのだから仕方がない。
「夕闇の中散歩するのもたまにはいいだろ。雷王でも誘って……」
 そこまで言った時だった。
 酷く重苦しく、胸を圧迫するような気配を間近で感じて藍丸は眉を顰める。
 先程まで空気と溶け合っていたかのように、浮き出すように姿を現したのは古くから君臨している羽織であっ
た。
「若き羽織よ、久し振りだな」
「嘉祥!?」
 唐突に現れた大妖に藍丸は警戒心を露わにする。
「手前、人の屋敷に無断で足を踏み入れるたぁどういう了見だ!」
「非礼は詫びよう。だが今は、急を要するのだ」
「…どういうことだ?」
 性格はどうあれ、格式や体裁を重んじる彼らしからぬ行動の理由に藍丸は興味を持ったようだ。
 そんな彼の心情を察したのか、嘉祥は深刻な顔をして頷いた。
「実はな、少々厄介事が起こった」
「手前が厄介って言うものは少々じゃすまんものばっかりじゃねぇか」
「察しが良くて助かる」
 一応話は聞く気はあるらしい藍丸に嘉祥は目を細め、そっと近寄ってくる。
「実はな…」
「?」
 急いでいる割には嫌にもったいぶる。
 藍丸は怪訝な表情で嘉祥を見上げたのだが。
(ん?)
 ふわり、と何か甘い香りが鼻腔を擽る。
 微かな香りだったが、なぜか藍丸には嗅ぎ取れた。
「何だ、これ…」
 微かな香りだったはずなのに、気になって仕方がない。
 嘉祥への視線さえ外して、藍丸は口元に手をやる。
 仄かに甘く、儚い香り。
 今にも消えてしまいそうだが、やけに印象に残る……。
「……」
 視界が暗く狭まっている事態にも気付けず、藍丸はそのまま崩れ落ちた。
 前のめりに倒れていく華奢な体を嘉祥が受け止める。
「……何とか、保ったな」
 彼自身も脂汗を浮かべつつ口元を緩める。
 その独白を合図に部屋の障子と言う障子が同時に全開になった。
「嘉祥様!」
 切羽詰った声と共に、襲が姿を現す。
 藍丸を抱えた嘉祥に案じる眼差しを向けた後、すぐに行動を起こした。
 まるで舞いでも舞うように、彼にいくつも纏いついた帯たちが揺れ動く。
 それらは程無く小規模な突風を起して瞬く間に部屋の空気を入れ替えた。
 澄んだ空気を肺に吸い込み、嘉祥は小さく息を吐く。
「助かったぞ襲」
「大事なくよろしゅうございました…さあ、お早く」
 事を起してから少し時が経っている。
 雷王はもう事態を察している頃であろう。
 脱力したまま動かない藍丸を抱え、嘉祥は身を翻す。
「藍丸!?」
 藍丸屋敷から離れる瞬間、雷獣の鋭い声が背に響いたが、嘉祥はそれを振り切ることに成功した。

432風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:55:33
 雷王は今、襲が抑えてくれている。
 力はか弱いが彼の真摯な態度でならば、納得させるまではいかずとも話くらいは聞く素振りは見せてくれるだ
ろう。
「お前のようにな…藍丸」
 奥の間に横たえた若き羽織を見つめ、そっと語りかける。
 自分に起きた事態にも気付かず、藍丸は健やかに寝息を立てていた。
 先程藍丸に嗅がせたのは秘伝の香。
 意識を麻痺させ、その際の記憶をあやふやにする効力を持つ。
 本人に気づかれず、一時的に藍丸の身柄が欲しかった嘉祥には正に打ってつけの道具だ。
 あまり吸わぬようにはしたが、少し嘉祥の体内にも香は入り込んでいる。
 だが襲の働きのお陰で意識をなくすまでには至らなかったのだ。
 無自覚にそれを吸い込んでしまった藍丸はしばらく目を覚ますことはないだろう。
 そして記憶もぼやけてしまっているので嘉祥と接触したことすら忘れている。
 ……雷王さえ抑えれば恙無く事は運ぶ。
「彼」を呼び出すことさえできれば。
「確かにこの香は強力なものだが……。お前には何の効力もないのであろう。なあ緋王よ?」
 横たわる藍丸に……その裡なる存在に向け、嘉祥は語りかけた。
 しかし返事はなく、聞こえるのは藍丸の寝息のみ。
 つれぬ態度に肩を竦め、嘉祥は藍丸に屈みこんだ。
「力づくであったのが気に入らんのか? ……こうでもしなければお前は私と対面しようとも思わなかったであ
ろう?」
 畳に散らばる黒髪に触れ、嘉祥は言葉を続ける。
「目覚めているにも関わらずそこに留まる理由を知りたいのだ。……江戸の守護も納得する言葉を授けてはくれ
ぬか……?」
 黒髪から手が離れ、今度は滑らかな頬へと移動する。
「気易く触れるな。気色の悪い」
 力なく横たわる藍丸からとも思えぬ、力に満ちた言葉が飛び出したのはその時だった。
「!」
 望んだ相手の登場だと言うのに、嘉祥は驚きに目を瞠った。
 伸ばした手を引くと、閉じていた藍丸の瞼が開いた。
 姿は藍丸であったが、その両眼は燃えるような緋色。
 ゆっくりと上半身を起こし、藍丸であったものは不機嫌そうに見下ろす男を睨めつけた。
「ここまでまだるっこしい手を使ってまで我と話をしたいとはな……で、何用だ?」
 先程の問いかけを聞いていたにも関わらず、わざとらしく用件を問う。
 藍丸の姿をしていながら、全く違う存在である緋王を嘉祥は興味深げに見据えた。
「そなたは好きに藍丸と入れ替わることができる。……それだというのになぜそこで燻っている?」
 片膝をついてぞんざいに嘉祥の話を聞いていた緋王はクク、愉快げに肩を震わせる。
「何だその言い草は。まるで我に騒ぎを起こせと言わんばかりだな」
「とんでもない。江戸の守護がお前の扱いに困っている。はっきりとした心持ちを知りたいのだ」
「古狸が…」
 不快そうに秀麗な眉を顰め、緋王はつまらなさそうに述べた。
「気紛れだ。すぐに全てを焼き尽くしてもその後が退屈だからな……戯れに現世と幻世を行き来しているだけの
こと」
「藍丸には何も告げず?」
「知れたら知れたで小うるさい奴だからな」
 のらりくらりと明言を避ける。
 だが、なかなか本音を晒さぬ火焔の王の様子を眺めていて、何となく嘉祥は彼が今の中途半端な位置に留まる
訳を察した。
「なるほど。羽織殿は今の環境を気に入っておられる、と」
 わざわざ丁寧口調で爽やかに言ってのける嘉祥に、緋王の目尻が吊り上がる。
「勝手な解釈をするな」
「では本当の理由を聞かせてもらいたい」
 相手を試すような言葉の応酬。
 緋王は鋭く嘉祥を睨みつけていたが、フン、とやがて緋色の視線を外した。
「少し半妖の生涯に興味を持っただけだ。こやつが存在する間くらいは見届けてやろうと思ったまでのこと」
 何せ妖の時は永い。
 半妖などよりずっと。
「ほほう。…で、時折その半妖の生涯に干渉してやろうと?」
「……汝、つくづく意地が悪いな」
「おや、正解でしたかな?」
「ぬかせ」
 吐き捨てるように返すとそのまま黙ってしまう。
 最早話すことはないという意思表示のようだ。
 それを察して、嘉祥は小さく息を吐いた。
(どうやら……危惧していた事態にはならなさそうだ)
 江戸の守護共にこのような話をしても素直にそうと受け取るかはわからない。
 だが、事実であるのだから仕方がない。
「あいわかった。どうやら私の取り越し苦労であってくれたようだ。手荒くご招待してしまった詫びに、江戸の
守護にはうまく伝えておきましょう」
「貴様が勝手に気を揉んだだけであろうが。江戸の守護など知ったことか」
 緋王は全くこちらを見ない。
 本心を言い当てられて盛大に機嫌を悪くしてしまったようだ。

433風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:55:50
(これは早々に解散した方が得策か)
 それにそろそろあの男もこちらにやってくる頃合いだろう。
 嘉祥の推測は間違ってはいなかった。
 何度も主を呼ぶ必死な声と、荒々しい足音が近づいてくる。
「どうやらお迎えが来たようだ」
「更にうるさい男が来たか」
 嫌そうに表情を歪め、面倒くさそうに嘉祥を見やった。
「汝、状況説明は得意であろう。後は任せるぞ」
 嘉祥が何か言う前にさっさと目を伏せると、すぐに体が傾ぐ。
「おっと」
 倒れかかる背を支えると同時にピシャリと襖が鳴った。
「嘉祥、貴様!」
 襖を壊す勢いで現れた雷王の表情は、正に鬼神のそれだった。
(それほどに大切な羽織……いや、それ以上であったか)
 襲を持ってしてもこの様子に、嘉祥は一瞬天井を仰ぐ。
「時間を取らせたな。羽織殿との話はついた」
「何をしゃあしゃあと…」
「藍丸には傷一つつけておらぬ。落ち着いてくれぬか?」
「黙れ。江戸の守護が絡んでいるとはいえ、こちらに説明もなしに力づくなど言語道断だ!」
 あの生真面目で理性的な雷王が激しい怒りを隠しもしない。
「待って下さい雷王!」
 遅れて現れたのは、襲だ。
 しばし雷王の足止めにはなったが、やはり説得までは及ばなかったようだ。
「嘉祥様は藍丸を害そうなどとは思っておりません、どうか…」
「……藍丸は緋王が覚醒したまま共にいると気づいておらぬ。だからこその手段だったと言うのか?」
 どうやら羽織の従者であり、情人は彼の中のもう一人の覚醒に気が付いていたらしい。
 それならば話は早い。
「いかにも」
 支えた藍丸の肩に手を添え、嘉祥はそれを肯定した。
 それでも怒り冷めやらずな雷王へ腕の中の藍丸を差し出せば途端にその表情が変わる。
「藍丸!」
 完全に雷王の意識が嘉祥から逸れた。
 雷王に抱き取られても藍丸は目を覚まさない。
 心配そうに主の髪を梳き、頬に手を触れる。
 ただ健やかに眠っているだけだと確認し、ようやく安堵の息を吐く。
 しばらく藍丸の寝顔を見つめていたが、やがてぽつりと言葉を紡ぐ。
「……百歩譲って、そういうことにしておこう」
「それは有難い」
「……」
 揶揄するような嘉祥の言葉に鋭い視線を向けるが、不意に藍丸が身じろぎをして彼の意識を引き戻す。
「藍丸?」
 気遣わしげな視線を向けるが、藍丸が目を覚ます様子はない。
「あの香を深く吸っているからな。ちょっとやそっとのことでは目は覚まさぬぞ」
「貴様が藍丸を陥れたのであろう、よくもそのような口を…」
 静まりかけた怒りの炎が再び燻り出す。
「雷王。嘉祥様とて同じ香を吸っているのです。…もう一人の羽織と対話するために」
 それを見越した襲がすかさず口を挟んだ。
 弧白であったら「それがどうした?」と冷笑するところだが、雷王はそうではない。
 怒りを抑え込み、感情を押し殺して確認する。
「……身を削ってまで緋王と話がしたかったと?」
「はい。先程申しましたように、嘉祥様は大事になる前に迅速に対処しようと動かれたのです」
 ただでさえ江戸の守護に目をつけられている藍丸だ。
 これ以上目立つのはよくないと、雷王とて理解している。
「藍丸が無事ならば、今回だけはもう何も言うまい」
「ありがとうございます」
 深々と頭を下げる襲に、雷王の溜飲もとりあえずは下がったようだ。
 彼としても、ここで無意味に言い争うよりも藍丸をきちんと休ませてやりたいのだろう。
 主を大切そうに抱えたまま踵を返す。
「藍丸は今回のこと、何も覚えておらぬのだな」
 確認するように肩越しに振り返る。
「いかにも。藍丸に吸わせたのは記憶をおぼろげにさせる働きがある香だからな。私が目の前に現れたことさえ
覚えておらぬだろう」
「わかった。……藍丸は部屋で転寝をしていたことにしておく。……お前たちも他言無用だ」
「無論だ。その方が私としてもやりやすい……だが雷王、お前はなぜ緋王の存在を藍丸に伝えようとは思わん?」
 妖刀事件の際、藍丸は緋王を抑え込んでいる。
 彼にとっては今更知られても構わないと思うのだが。
 雷王は再び視線を藍丸へ落とし、独り言のように言葉を紡ぐ。
「……緋王が藍丸に見つかるのを嫌がっているように思ったのだ。互いが歩み寄れる心境になるまでそのままに
させてやりたい」
「ほう…」
 意外だった。
 雷王は、緋王にも気遣いを見せているのだ。
 だがここでそれを揶揄すればまたひと悶着起きるに違いないので嘉祥はそれ以上何も言わなかった。
「では、失礼する」

434風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:56:05
 藍丸一紋にとって嘉祥らは、暴虐の限りを尽した賊と同じであろう。
 それだというのに彼は律儀に礼を述べ、姿を消した。
「嵐は去ったか…」
「嘉祥様、すぐに床の用意を致します。まずはお休み下さいませ」
 先程からずっと、襲は嘉祥の身を案じていたのだ。
 彼の気持ちをよく察していた嘉祥は素直にそれに応じる。
「ああ、そうさせてもらおう」
「はい」
 一礼し、すぐに姿を消す襲を見送り、嘉祥は小さく息を吐く。
「さて。江戸の守護にはどう報告しようか……」
 全身に広がる気だるさを感じながら、一人思案する。
 あの憑神共は、あわよくば危険因子である「彼ら」を排除しようと目論んでいる。
 嘉祥としては、面白くない。
 あの者たちは予想だにしない騒ぎを巻き起こす。
 見ていて飽きぬ存在なのだ。
 それをみすみす失ってしまうのは、惜しい。
「ふふ。ここはひとつ、気張るかの」
 もう羽織には微塵の憂いもない。
 不敵な笑みさえ浮かべ、嘉祥はゆっくりと歩きだした。


                                                   09.06.23up                                                                                                                                                                                                                                                    


 前に書いた「戯れ」と同じ設定です。
 雷王EDで緋王がひょっこりでてくる設定!
 藍丸がヒロイン属性全開なのは趣味です。
 必死になって藍丸を取り戻しにくる雷王と、対話する緋王と嘉祥が書きたかったのでした。
 でも化かし合いを書くのは骨が折れました。
 小難しいよ嘉祥。

435風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:56:17
従属たちにはお見通し




 時折していたくしゃみが、昼を過ぎる頃になって咳に変わった。
 顕著な主の変化に、桃箒は青くなる。
「主様、お休みになった方がよいのでは……」
 藍丸は皆で昼餉にした後も、どこかぐったりした様子でそのまま座り込んでいる。
 ひじ掛けに寄りかかり、辛そうに瞳を閉じていたが、桃箒の言葉にふと目を開けた。
「…まだ寝るにゃあ早いぜ、桃箒」
 体調が思わしくないのを自覚しているのにも関わらず桃箒の主は休もうとはしない。
 いつもであればそれ以上は不相応と引き下がる桃箒であったが、今回ばかりは譲れない。
 だるそうな藍丸の下へと歩み寄り、少し視線をきつくして主を見つめる。
「先程から主様は咳ばかりされております。顔も赤うございますし、お風邪を召しているのではございませんか
?」
 いつもより強気な桃箒に、藍丸は僅かに驚き目を瞬かせる。
「何だ。今日はいつになく引き下がらんな」
「主様に何かあっては一大事ですから」
 桃箒はまっすぐに藍丸から視線を外さない。
 今回ばかりは負けられないのだ。
 なぜならば。
「主様が倒れてしまっては雷王様に申し訳がたちません」
「ら、雷王は関係ねぇだろ」
「関係ございます!」
 照れ隠しなのだろうが、桃箒は聞き捨てならぬとばかりに語気を強める。
「主様と雷王様は深い絆で結ばれているのです、どちらが欠けても…」
「わー! わかった。わかったからそれ以上言うな」
 思わず身を乗り出し、熱弁し始めた桃箒に藍丸は慌てる。
「わかって下さったのですね!」
「お、おう」
「ではすぐにお休み下さい。私共は主様の寝室には足を踏み入れられませぬ故、こちらで床をご用意させて頂き
ますね」
「ちょ、桃箒! 俺は別に」
 わかったの意味が違う! と抗議しようとした藍丸に桃箒は深々と頭を下げ、懇願した。
「主様、どうかお願い致します」
「……ぐっ」
 桃箒は力の弱い妖だが、一度これと決めればその意思を曲げることはまずない。
 芯の通った彼のこのようなところを藍丸も好いてはいるが、こういう場合がとても厄介だ。
 他の一紋たちにも目をやるが、主を案じる皆は当然桃箒の味方であり。
「藍丸、寝てなくちゃだめなの〜」
「雷王に怒られちゃうよ!」
「そう、そう」
 一つ目たちに口ぐちに説教めいたことを言われ、その間に桃箒はささっと床の支度を始めてしまう。
 皆も部屋をすぐさま片づけ始め、あれよあれよという間に藍丸の床の用意が整ってしまった。
「さあ、主様」
「藍丸」
「藍丸!」
「藍丸〜」
「だーっ、もうわかったよ!」
 ブツブツ何やら言いつつも、屋敷の主は従属たちに追い立てられるように布団の中に収まった。
 彼らが言うように確かに具合が悪かったので、横になるとだいぶ体が楽になる。
 知らずに息をついていると、桃箒がそっと脇に腰を下ろす。
「…主様。起き出した時から体の変調に気が付いていたのではありませんか?」
 そっと問いかけてくる桃箒にグッ、と藍丸は言葉に詰まる。
 この場合、これは肯定だ。
 それを察して桃箒は少し眉を寄せる。
「朝餉は頑張ってお食べになっていましたが、昼餉は残されておりましたものね。主様、なぜ我慢など……」
 朝ならばまだ雷王が屋敷にいた。
 藍丸が最も心を許す彼にも己の変調を黙っているなど。
 桃箒の言いたいことはわかるのだろう。
 横になった藍丸はちらりと彼を見上げて、言いにくそうに口を開いた。
「あいつは…。今日が、正念場だっただろ」
「え?」
「あいつが受けて、追ってた依頼。下手人の行方を掴んだから今日決着つけるって」
 だから、余計な心配はかけたくなかったんだと桃箒に背を向けてしまう。
「主様……」
「朝起きた時は喉がちっと痛ぇかなってくらいだったんだ。……黙ってりゃ気づかれねぇと思ってたんだがなぁ」
 いたずらに失敗した童子のような様子に、桃箒はつい笑ってしまいそうになる。
 幸い主は背を向けてくれていたので、笑いを堪える様は見咎められずにすんだ。
「主様。この屋敷の者は皆、主様をとても大切に思っている者たちばかりです。ですから、主様が何を隠されよ
うとすぐに察してしまいます」
「…そ、そうかよ」
 飾らない桃箒の真っ直ぐな言葉に、藍丸はくすぐったそうに身動ぎする。

436風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:56:30
「そうです。ですから、もうくれぐれもご無理は…」
「わ、わかったよ。結局お前らにも心配かけちまったみてぇだし……ただの風邪だってのに、すまねぇな」
 桃箒らの主は、己に否がある場合こうして素直に詫びを入れる。
 それが従属である自分たちでも構わずに。
 主の謝罪に桃箒は慌てて頭を下げる。
「とんでもございませんっ! 私こそ、出すぎた真似をしまして申し訳ありません!」
「桃箒は俺を案じてくれてたんだろ。何で謝るんだ」
 苦笑交じりに主が再び桃箒の方を向く。
「いいえ、いいえ! そのようなことは。主様が我らの声を聞き届けて下さるだけでも恐れ多いことですのに…」
「何だそりゃ。お前らは従属の前に俺の家族だ。何を遠慮する必要が……ぐっ、ゴホ、ゴホ!」
 途中で言葉が咳に変わる。
 主は喉を痛めていたというのに長くしゃべらせてしまったと桃箒は青くなる。
「すみません、すみません主様! もうお休み下さい」
「…は、だから、謝るなって」
 咳のために掠れてしまった声で尚も慈悲の言葉をくれる藍丸に、不覚にも泣きそうになる。
「私などにはもったいないお言葉です」
「桃箒……ったく」
 頭を下げ続ける困った従属に、藍丸は小さく息を吐く。
 そうしてやさしく彼を見つめ、命じた。
「なあ。何か、喉にいい飲み物作ってくれよ」
「!」
 やっと顔を上げてくれた桃箒に、柔らかな笑みを浮かべて促した。
「…な? 頼むぜ」
「お安い御用でございます! 今すぐ蜂蜜生姜湯を作って参りますね!」
 命を十二分に果たせると、桃箒は嬉しそうに目を細めて立ち上がる。
「失礼致します」
 再度頭を下げ、桃箒はすぐに退出する。
「単純な奴だな」
 そう言う藍丸はどこか嬉しそうだ。
 桃箒はああして張り切っている姿が一番らしい。
「……ごほ、ごほっ」
 しかしすぐに咳がぶり返し、藍丸は身を丸めて咳き込み続ける。
(拙いな。こりゃ、だんだん酷くなってるみてぇだ)
 咳がようやく治まると、今度は顔がやけに火照ってくる。
 どうやら熱まで出てきたらしい。
 桃箒の言葉に従って横になったのは正解だったようだとそっと瞼を閉じる。
(風邪くらいで弱っちまうなんて情けねぇ。俺なんかよりずっと薄着な雷王はぴんぴんしてんのによ…)
 雷王は藍丸のような半妖ではなく、生粋の妖だ。
 それも神獣と呼ばれるほどの。
 かつて藍丸を藍丸たらしめるために、緋王の炎気をその身に移して尚、己を守ろうとしてくれた。
 背にあのような酷い火傷を負いながらも、その上に更なる炎気封じの刺青を入れ直してまで。
(俺なんかよりずっと痛い思いや辛い思いをしてるあいつばっか働かせて……)
 考えているうちに自己嫌悪に陥ってしまう。
 自分だって、紅の獣に確かなものを返したいのに。
 このような体たらくではそれも程遠い……。
 体調が思わしくないからか、思考が暗く降下していく。
 だが、底へと落ちてしまう前に襖が開いた。
 桃箒か、と瞳を閉じたまま身動ぎをする。
 彼は藍丸に近づき、腰を下したようだった。
(ん? この気配…)
 桃箒ではない。
 もっとよく見知ったものだ。
 昔から。
 物心がつく前から傍にいる……。
「藍丸」
 気遣わしげにそっと名を呼ばれる。
 重厚で落ち着いたその響きは。
「……雷王……?」
 眠ってはいなかったのに、寝起きのような声になってしまう。
「ああ、私だ」
 汗で濡れた前髪を払って熱を測ろうと額に大きな掌が当てられる。
 瞳を閉じていてもその仕草が目に浮かぶ。
「やはり熱があるな」
「やはりって、何だよ」
 薄らと目を開けると、心配そうにこちらを覗きこむ紅の双眸が飛び込んでくる。
 またいらぬ心配をかけさせているなと心が痛んだ。
「桃箒から聞いたぞ。あまり無茶をするな」
「無茶ってなんだよ。俺ぁ風邪如きで倒れたりなんかしねぇ」
 まだ視界がぼやけているが、唇を尖らせて言い返す主に、雷獣はどこかほっとしたように息を吐いた。
「そのような憎まれ口が叩けるのであれば、平気だな」
「たりめぇだ」
 ふんっと鼻を鳴らす藍丸の髪を撫でてやった後、傍に置いてあった盆の上の湯呑を手にする。
「蜂蜜生姜湯だ。先程桃箒から預かった」
 どうやら桃箒が蜂蜜生姜湯を運ぶところへ帰宅した雷王がはち合わせたらしい。

437風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:56:43
「飲むだろう?」
「…おう」
 よろよろと身を起こす彼の背を片手で支えてやる。
「さすがは桃箒だな。良い香りだ」
「……あんまり鼻が利かねぇや」
「風邪を引いているのだから、当然だな」
 雷王の言いようにむぅ、と脹れっ面になりながら差し出された湯呑を受け取る。
「火傷をせぬようにな」
「わーってるって」
 意識して匂いを嗅いでみる。
 微かに甘い香りが鼻腔を擽ったような気がした。
「……」
 何度か息を吹きかけた後、少しずつ飲み始める。
「風味はわかんねぇけど、体が温まるぜ」
「桃箒特製だからな、よく効くぞ」
「…おう」
 逞しい腕に支えられつつ藍丸は蜂蜜生姜湯を飲みきった。
 いがらっていた喉が、何となく通ってきたような気がする。
 藍丸から受け取った湯呑みを盆に戻し、雷王は再び主を床へ寝かせた。
 一息ついて、藍丸はふと雷王を見上げる。
「で、守備はどうだった?」
 今日の依頼のことを言っているのだろう。
 雷王は深く頷いた。
「ああ。下手人は恙無く捕らえた。岡っ引きのまねごとをするのは妙な気分だったが、謝礼は弾んでもらったぞ」
「そっか。御苦労だったな」
「いや。……こちらこそ気を遣わせた」
「へ?」
 思わぬ切り返しに藍丸は目を瞬かせる。
「体調不良を黙っていたのは私の仕事を気にしてくれていたからであろう?」
「…!」
 雷王は気が付いていたのだ。
 まんまと言い当てられて火照った顔が更に赤くなる。
「と、頭領して、依頼を一番に優先するのはあ、当たり前なこった!」
 素直でない返答をして、藍丸はそっぽを向く。
「そうだな。本当に頭領らしくなった。……藍丸、これから少々移動するが、よいか?」
 そんな彼を優しく見下ろしながら、雷王はふと問いかけた。
「何だよ。どっか行くのか?」
 体調を崩した自分を一体どこへ連れて行こうと言うのかと身を起しかける藍丸を止めて、雷王は行動に出た。
「お、おいっ!?」
 藍丸は慌てる。
 何と雷王は、敷かれた布団ごと藍丸を抱き上げたのだ。
 このようなことは、雷王だからこそできる芸当である。
「雷王、これっ…」
「間もなく医者がやって来る。家哭の中で診てもらうわけにはいかんだろう?」
「…え」
 一瞬思考が止まる。
 茫然とする主を見下ろし、雷王は続けた。
「依頼をこなすのに少し手間取って、医者を手配するのに後れを取った……すまぬ」
「らい、おう……」
 この男は気付いていたと言うのか。
 起きぬけから自分の体調が思わしくないことに。
 桃箒から聞いたからではなく……。
 視線で主の問いを理解したのだろう。雷王は片笑んで頷いた。
「わからいでか。私はお前しか見えていないのだからな」
「…!」
 ますます頬が熱くなるが、雷王から目を逸らせない。
 見惚れてしまっていた。
 潤んだ黒い瞳で見つめられ、雷王も吸いつくように主を見つめる。
「んっ…」
 程無く熱をもった唇が塞がれた。
 しかし、体調のよくない藍丸を気遣って、深いものではない。
 触れるだけの口付け。
 離れていく雷王の顔を真っ赤な顔のまま見上げつつ、藍丸は僅かに顔を顰める。
「お前……移るだろうが」
「構わぬ」
「構わんって、お前なぁ」
「そのような顔で見つめられて何もせぬようでは男ではない」
 きっぱりと言い放つ雷獣に気が抜けてしまう。
 けれど、やはりどこか嬉しくて、藍丸はそれを隠すように大げさに溜息を吐いた。
「……ったく」
「一度出るぞ」
「わかったよ」
 主の了承を得て、雷王は部屋を出ていく。
「…雷王」

438風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:56:55
 移動中の雷王を見上げ、不意に言葉をかける。
「どうした?」
 藍丸と布団一式を同時に抱えていると言うのに、雷獣は涼しい顔だ。
「今日はもう、何もないよな?」
 桃箒の蜂蜜生姜湯の効能だろう。先程よりも声が通っているような気がする。
「ああ。そうだな」
「そ、そっか」
 雷王の返答を聞くが、藍丸はそう言ったきり黙ってしまう。
 主の声なき声に、紅の獣は気が付いていた。
「今日はずっと、お前の傍にいよう」
「…!」
 さらりと願望を述べられ、照れて視線を逸らそうにも彼に抱えられているのでどうにもならず、きゅっと目を
瞑ってしまう。
 …そんなところが可愛らしいなどと思われているとは露知らず。
「急ぐぞ。早くせねば家哭から出てくるところを医者に目撃されかねん」
「……」
 返事の代わりにうっすらと目を開けてやれば、満面の笑みを浮かべた雷王の姿が飛び込む。
 口には出さないが、藍丸は何より雷王の笑顔が好きだ。
 彼が穏やかに笑っているとこちらも心から安堵できるから。
「藍丸、診てもらうまでは起きていなければいかんぞ」
 揺られてうとうとしているのに気付かれ、咎められてしまう。
「…ああ」
「目を瞑って返事をしても説得力はないのだが」
 藍丸が眠ってしまわないよう何とか話を繋げようとする雷王の声を聞きながら、彼はこっそりと頬笑みを浮か
べた。


                                                   09.07.01up                                                                                                         


 雷王ルート後設定です〜。
 隠し事をしても藍丸一紋には通用しない話でした(長っ)
 雷王を筆頭に、皆が主様LOVEなので何を隠そうとしても無駄なわけで。
 愛されてるなぁ藍丸。
 そんな一紋が大好きだ。
 何気に藍丸と桃箒のやり取りを書いてる時が一番楽しかったです。

439風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:57:08
緋王の独白




 今日も何やら外は騒がしい。
 半妖の奥底でまどろんでいた火焔の王は、けだるげに目を開けた。
 瞼の奥から現れたのは紅蓮の炎と同じ緋色。
 彼の視線の先には、喧騒に包まれた江戸の町と、片割れである半妖の小僧と天かける力を失った神獣の姿があ
った。
「……フン。また金鍔か」
 目の前に広がるのは大黒屋の店先だろう。
 そこへ通ったことも金鍔も食したことのない緋王だが、藍丸と記憶を共有しているので不思議とよく知ってい
た。
「それにしても、阿呆のような顔をしてがっつきおって……」
 仮にも我の半身であろう、と続けるも彼の視線はどこか物欲しげに江戸の甘味へと向けられている。
「まあ。確かに美味な菓子ではあるが、な」
 誰も聞いていないのをいいことに、緋王はぽそりと本音を漏らす。
「あやつが寝こけている間に足を向けてやってもいいかもしれぬ」
 自分の舌で味わえぬもどかしさ故に、そんな言葉を吐いてみる。
 その間にも主の心を手に入れた雷獣が甲斐甲斐しく世話を焼いている光景が見えた。




『藍丸。口元に餡が付いている』
『ん? 拭かなくてもいいって。もったいねぇから』
 そう言って、餡が付いているらしき口元をぺろぺろ舐めて見せる。
 しかし本人はどこに餡がついているのかわからないので、手当たり次第に唇を舐めていたのだが。
『…藍丸』
『ん?』
 何かを押し殺すような面持ちをしていた雷王が藍丸の後ろ頭に手をやった。
 髪に手を差し入れられ、ぴくりと細身が揺れる。
『んぅ!?』
 いきなり唇を吸われ、思わず声を上げてしまう藍丸であったが唇は塞がれているためにくぐもった声しかでな
い。
 しかし往来であることもあり、唇はすぐに離れて行った。
 時間にすれば、ほんの数秒。
 だが、藍丸にはもっと長く感じたに違いない。
『おまっ…いきなり何』
『す、すまぬ』
 真っ赤な顔をして詰め寄ってきた主に、雷獣は神妙な顔で詫びる。
 自分などより余程狼狽した様子の従者に藍丸の方が勢いを削がれてしまった。
『……』
 言い訳を聞いてやろうと黙る主に、従者は。
『抑えが利かなかった』
『んだよ、それ…』
 半眼になる藍丸に、言いにくそうに補足を始める。
『あのように間近で口元を舐められては、誘われているようにしか思えなくてな…』
『な…な……!』




「何という……」
 藍丸の裡で、彼の言葉を代弁するように緋王は呻いた。
 つい素直な心情を語ってしまい、外の世界で主にぎゃんぎゃんと叱られている雷獣に対して溜息を吐く。
「あれでは弧白と変わらんではないか」
 今までは強靭なる精神で聖域を侵そうとはしなかった雷王であるのに、何より誰より大切な主と心を通い合わ
せたことでどうにも自制心が利かなくなる時があるらしい。
「まあ、あやつの無意識の誘いも性質が悪いがな」
 自分に激しい想いを寄せている者が近くにいるというのに、色々とやらかすのだ。あの半妖は。
「雷王でなければ、とっくに凌辱の限りを尽くされていてもおかしくはなかったであろうな」
 悪運の強い奴だとクツクツ肩を震わせている間に、片割れと雷獣は仲直りをしたらしく隣合って大黒屋を出て
いくところだった。

440風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:57:22
『本当にすまぬ、藍丸』
『もう怒ってねえよ。……ま、まあ、幸い誰にも見られてなかったしな』
『藍丸…』
『だーもう、手ぇ握んな! まだ往来だぞ』
『! すまぬ』
『全く…』
『だが藍丸』
『何だよ?』
『先程の口調……その、往来でなければ良いのか?』
『へ?』
『往来でなければ……手を』
『!!』




「……く…」
 今にも砂を吐きそうな光景に、緋王は表情を歪める。
「同じ肉体に宿るというのは厄介極まりないな」
 想いを通わせ合ったばかりの彼らは事あるごとにこんな茶番を繰り返す。
 恋敵であった弧白も去った今、止める者は誰もいない。
「やはり、あの時無理矢理にでも受肉しておくべきだったか」
 十全に目覚めれば最高位の羽織となろう己ならば、その気になれば容易いことであったはず。
 だが……。




『主様、雷王様、お帰りなさいませ!』
『お帰りなさい。今日もおいしいお魚捕ってきましたよ』
 ふと目を上げれば、そこには藍丸一紋と呼ばれる妖たちが輝く笑顔で主と従者を出迎えていた。
 例の如く、また元鞘に収まったらしい二人は先程の喧嘩(のようなもの)など最初からなかったかのように従
属たちに微笑みかける。
『おう、今帰ったぜ』
『桃箒、蛟女。屋敷に変わりはなかったか?』
『はい、何事もございませんでした』
『平和そのものでしたよ』
 雷王の問いかけにより、力のない自分たちにでも主がいない間の屋敷を護るという役目を与えられているのだ
と認識して、二人は嬉しそうだ。
『腹減ったぜ桃箒!』
『藍丸、先程金鍔を食べたばかりだろう…』
『あれから真っ直ぐこっちに歩いてきたわけじゃなし。結構歩いただろうがよ! 金鍔なんてとっくに消化しち
まってらぁ』
 隙あらばお小言を挟んでくる雷王に藍丸は童のように頬を膨らませる。
 案に従者と散歩を楽しんだと言っているのと同じであるのに、無垢で鈍い彼らの主はそれに全く気付かない。
『藍丸…』
 雷王はどこか嬉しげに目を細め。従属たちはそんな主たちを微笑ましそうに見守っている。
『な、何だ? 俺、何かおかしなこと言ったか?』
 あたふたと皆を見回す藍丸に、雷王は「何でもない」と首を振る。
 そうしていると、一呼吸遅れて次々と一紋たちが主らを出迎えに出てきて……。




 あっという間に従属らに囲まれてしまった片割れを睨めつけ、面白くなさそうに緋王は鼻を鳴らした。
「くだらぬ。あのような弱者共と慣れ合いおって…」
 思えば藍丸一紋は、雷王と弧白以外は微弱な力しか持たぬか弱い妖ばかり。
 弧白も今や一紋を去っており、戦力になる者は主を入れてもたったの二名。
「我と存在を同じとする者が束ねる一紋が、あのように貧弱では……」
 やはり己が前に出ねばならぬか、と考えを改めそうになるが。

441風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:57:33
『今日はいつもより凝ったお菜を作ってみたんですよ』
『へぇ、そりゃあ楽しみだ!』
『藍丸、部屋へ行く前に手を洗うのだぞ』
『わかってる! 餓鬼じゃねぇんだ、いちいちんなこと言うな』
『だがお前は時折それを怠るだろう…』
『あーもううっせぇ、お前も来い!』
 毎度のことながら、一紋の前で子供扱いされることが恥ずかしいのだろう。
 元凶と共に屋敷の奥へと消えていく。
 しっかりと従者の太い手首を掴んでいるところがまた微笑ましいと一紋たちは笑みを絶やさない。




 全く以て己の半身らしからない温い環境で生きている藍丸に、緋王は渋面だ。
 だが、はっきりとした嫌悪も持てないのが現状。
「く…。我は一体どうしたいのだ」
 戦火の中に身を委ねる高揚感も、反勢力をねじふせ従わせる快感とも縁のないつまらぬ毎日を送る藍丸に肉体
を自由にさせて、自分は。
「……」
 またこの感覚だ。
 半身の暮らしを目にして、もどかしいと思う反面このままでもよいかとも思えてしまう。
「雷獣に封じられているうちに、すっかり我も毒されたということか……」
 唇を噛みしめて、呻くように独白する。
 外界の半身は相変わらず、心を通わせた獣と戯れている。
「…馬鹿馬鹿しい」
 炎の海原に抱かれて眠った方が余程ましだと目を伏せれば、己の眷属である炎が彼を包み込んでいく。
 その熱に身を任せ、緋王は己の裡に溜まりつつある欝憤をどうしてくれようかと思案する。
「我だけこのような心持ちなのは納得いかぬ。……せいぜい掻きまわしてやろうではないか」
 瞳を閉じたまま、口角を上げる。
「とくと見ておれ」
 誰にともなく……いや。間違いなく外界の彼らに向けて、緋王は物騒な言葉を投げかけた。


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 雷王EDで緋王メインバナです。
 一度ピンで書いてみたかった緋王様!
 何かものすごく悪いことをした気持ちでいっぱいです。
 緋王、完全に雷藍にのろけられていた…。
 二人とも緋王に見られてるって知らないけど、間違いなくのろけていた。
 まさか雷藍でバカップルが成立するとは…。
 前に書いた「戯れ」「羽織の憂鬱」と同じ設定になります。
 これが「戯れ」で緋王がひょっこり表に出てきてしまった理由なのでした。
 そりゃあ、何かやってやりたくもなりますよね。

442風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:57:48
誓い




 恐怖で血が凍るというのは、このことだ。
 ―――そう思った。


 藍丸の母の墓はその日も見つからなかった。
「手がかりすら見つからぬか……」
 原点に返り、藍丸の生家を訪れたがどうやら無駄足であったようだ。
 そろそろ日も暮れる。
 いつまでも藍丸と離れるわけにはいかない。
 今日の探索はここまでにして、早足で帰路を辿る。
 天は駆けられぬようになったが、妖である雷王の足は人間のそれより何倍も速い。
 人気がなくなると速度を上げ、陽が落ち切らぬうちに屋敷へと辿り着いた。
 外から見るとどこにでもある町人長屋だが、家哭が住まうこの内側は自分たちが藍丸と共に暮らす屋敷へと繋
がっている。
 未だあの紅色天井には慣れぬが、今はそれを気にするよりも屋敷の主の顔が見たかった。
 思えば、すでにその時から嫌な予感はしていたのだろう。




 長屋へ入り、家哭が口を開けて出迎えてくれた。
 ようやく帰りついた雷王だったが、すぐに異変を感じ取る。
 いつもであれば一紋の誰かが出迎えてくれるはず。
 そうして藍丸はどうしているとこちらが尋ねる前に教えてくれるのだ。
 今日はそれがない。
「……何かあったのか?」
 屋敷には弧白がいたはずだ。
 藍丸に対する態度はいけ好かぬが、弧白がいるならば何事もないはず。
 もしや、自分と同じように出かけているのだろうか?
 それとも、弧白ですら手におえぬ何者かが屋敷に現れた?
「……!」
 急く心を押しとどめ、早足で奥の間へと足を進める。
 襖を開ける前にそれは内側から開いた。
 雷王の帰宅を遅まきながら察した桃箒だ。
「雷王様!」
 いつもにこにこと笑みを絶やさぬ彼が、今やすっかり青ざめ、目に涙すら溜めている。
 やはり藍丸に何かあったのだ。
「何があった?」
 短く問えば、彼はすぐに説明を始める。
「主様が……主様がお怪我をされて戻られて…」
「何!? 弧白がいながら……!」
「それが、弧白様も今朝からお出かけになっている様子で」
「やはり、そういう事か」
 懸念が現実となり、見る見るうちに彼の表情が険しいものになっていく。
「今、藍丸は?」
「ご無事でございます。然るお方がお助け下さりまして、奥の間でお休みなっておいでです」
「そうか」
 何より大切な主の無事を確認し、大きく安堵の息を吐く。
 そうしてようやく他のことが気になり始めた。
「それで藍丸を助けてくれた御仁は?」
 桃箒が名を口にしないということはそれだけ格上なのか、またはその従属か。
 敢えて何者なのかは聞かず、今ここにいるのかだけを問えば。
「奥の間にいらっしゃいます。雷王様か弧白様をお待ちになると……」
「わかった。御苦労だった、桃箒」
「とんでもございません」
 頭を下げて急ぎ足で去って行く。
 雷王もまた、彼が去って行ったのとは逆の奥の間へと足を踏み入れた。
「藍丸!」
 奥の間には一式の布団が敷かれており、主はそこに寝かされていた。
 そうして、彼の傍らには美しい古代帯の妖の姿。
「襲であったのか」
「これは雷王殿。お久しぶりでございます」
 眠る藍丸の横で、深々と頭を下げる。
「お前は恩人だ。頭を上げてくれ」
 そう言い、自分も藍丸の傍へと腰を下ろす。
 襲が頭を上げるのを待つと、早速雷王は状況の説明を求めた。
「襲、一体何が起こったと言うのだ?」
「私が藍丸を見つけた時にはすでに事は起こっておりました。人と争って傷を負ってしまっていたのです」
 雷王の心情を察してのことだろう。襲は即座にその問いかけに答えてくれる。

443風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:58:01
「人と?」
 このような稼業をしているのだ。
 萬屋頭領である藍丸は妖にも、もちろん人にもそれなりに恨みは買っている。
 それにしてもよりによって藍丸一人で行動している時に。
(…だからこそ、か?)
 以前から藍丸を狙っていて、虎視坦々と好機を狙っていた人間がいる。
「……」
 険しい顔をして黙ってしまう雷王を窺うように、襲は話を続ける。
「藍丸は胸を切りつけられていて動けない状態でした。そして彼の前で二人の人間が打ち合いを」
 藍丸が人と争って傷を負い、次にその人間は動けぬ藍丸を放り出して別の人間と対峙したことになる。
「……状況が読めぬ」
「私も同じ気持ちです」
 図ったわけではないのに二人は同時に唸り声を上げる。
 襲も最初から状況を見ていたわけではない。
 ましてや自分は全く関与していないのだから、これ以上考えても仕方がないだろう。
 とにかく今は藍丸だ。
「襲、藍丸は胸を切られたのか?」
 動けぬほどとはどれほどのものなのか、今更ながら心配になる。
「傷は大したことはありません。ただ、その業物が……」
「業物?」
 雷王が眉を潜めた時だった。
 襲が不意に顔を上げ、天井を目を向ける。
「申し訳ございません。そろそろお暇致します」
「嘉祥か?」
 彼から何か声が届いたのだろう。
 雷王の察しの通り、襲は申し訳なさそうに頷く。
「後は藍丸の口から聞いた方がわかりやすいかと存じます。傷は受けてしまったようですがそちらはあなたが癒
すのでしょう?」
「無論だ」
「本当はもう少しお話ししたかったのですが……」
「気にするな。主から呼ばれているのであれば仕方がない」
 自分とて、藍丸から声が届けば何をおいてもそちらに駆けつけるのだからお互い様だ。
 襲は小さく頭を下げ、立ち上がる。
 しかしそんな彼を見上げ、雷王はふと思い立った。
「襲。お前は藍丸を探していたのか?」
 でなければ彼が襲われている最中に出くわすなどありえないだろう。
「はい。実は藍丸へ、嘉祥様からのお言葉を伝えにきたのですが……。明晩、再びお伺い致します」
「そうだったのか」
「今日はゆっくり休ませてあげて下さい」
「ああ。気遣いに感謝する」
「いえ、私は運よく通りがかっただけですので」
 藍丸を見つけてくれたのが彼で幸いであった。
 どこまでも謙虚な妖に、雷王は再度感謝した。
「それでは、失礼致します」
 優雅に帯を舞わせ、襲は空間の挟間に消えていく。
 彼が去るのを見届けると、雷王はすぐに藍丸の様子を窺った。
 襲と会話している間も彼はぴくりとも身動ぎしなかった。
 横たわる藍丸の顔色は真っ青で、思わず雷王は眉を顰める。
「藍丸…」
 そっと唯一無二の名を呼び、瞼にかかった髪を払ってやる。
「ともかく傷を癒さねば」
 あの藍丸が動けなくなるほどの傷だ。
 襲は大したことはないと言っていたが、やはり気にかかる。
 掛け布団をそっと捲り寝着の前を肌蹴させれば、桃箒が施したのだろう。藍丸の胸には白い晒が巻かれていた。
 その白が赤で穢れてはいないから、思ったよりも浅手であることが知れる。
 知らずに小さく息を吐き、雷王は晒を慎重に解いていった。
 そうしている間にも、藍丸は全く動きを見せない。
 普段は大した跳ねっ返りであるので、余計に焦燥感が募る。
(俺がいない間にこのような……)
 唇を噛みしめ、現れた切り傷に目をやる。
「……」
 すっと横に通った刀傷に手を触れさせて、気を込める。
 雷王の掌は白い光を帯び始め、主の傷を包み込む。
 このように弱りきった藍丸を見るのは久方ぶりだ。
(やはり、傍を離れるのではなかった)
 深い自責に苛まれつつ、雷王は瞬く間に藍丸の胸の傷を癒し終えた。
 手を引けば、滑らかな白い肌にはもう傷ひとつない。
「よし」
 ひとつ頷き、肌蹴させたままだった胸元を整え、布団を被せる。
 再びじっと様子を窺えば、心なしか顔色が良くなってきているようだ。
 しかし、雷王の表情は優れない。
 主から目を離さず、耐えるように唇を引き結ぶ。
(……どことなく妖の気配が薄い。藍丸が弱っているのはこのためか)
 先程襲は、藍丸の傷よりも、それを作った業物を気にしていた。

444風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:58:15
(人間は一体何で藍丸を…)
 厳しい顔で主を見つめていると、遠慮がちな声が襖の向こうから聞こえてきた。
「桃箒か」
 考えを巡らせていた雷王の耳にもそれは届いたようだ。
「お湯と手拭いを持って参りました。入ってもよろしいでしょうか?」
 先程駆けて行ったのは湯を沸かすためであったようだ。
 すぐに了承すれば、静かに襖が開く。
「主様のお加減はいかがでしょうか…?」
 道具を手にそっと声をかけてくる桃箒に、雷王は笑みを浮かべて頷いて見せる。
「大事ない。今、胸の傷を癒したところだ」
「そうですか…」
 解かれている晒と眠る主を交互に見やり、桃箒もようやく安堵の表情を見せた。
 先程まで襲が座していた場所に腰を下ろし、桶のお湯で手拭いを絞る。
「私がやろう」
 桃箒から温かい手拭いを受け取り、汗ばんだ主の額を拭く。
「…は……」
「主様…」
 小さく息を吐いて横を向く主を、桃箒は心配そうに見つめている。
「大丈夫だ。今日はもう目を覚まさぬだろうが、明日になれば何事もないように起き上がるだろう」
 拭き終えた手拭いを手渡して、そう力づけてやる。
「はい。そうですよね…」
 藍丸に万一のことなど、あるはずがない。
 いや、起こさせなどしない。
 屋敷に住まう一紋全てが今、藍丸を失うのではないかという恐怖に囚われている。
 それを察した雷王は、紅の瞳を桃箒へと向け、述べた。
「そろそろ寝間に藍丸を移動させよう。桃箒、お前は皆に藍丸の無事を伝えてはくれまいか?」
「はい…はい! わかりました」
 桃箒も雷王の意図をすぐに察してくれ、先程よりも弾んだ声で大きく頷く。
「雷王様、今から移動致しますか?」
「ああ、そうだな…」
「ではすぐに襖をお開け致しますね」
 いそいそと立ち上がり、襖を開ければ。
「…お前たち」
 襖の向こうには蛟女や一つ目、唐傘を始めとした一紋たちが主を案じて待ち構えていた。
「皆が聞きたいことは私が説明しますから、雷王様のお手を患わせてはいけませんよ」
 桃箒が皆を制しているうちに、藍丸を抱き上げた雷王は寝間へと移動する。
 皆の心配は良く理解できるが、今は心休まる場所で藍丸を休ませてやりたい。
 早足で寝間へと入り、手早く布団を敷いて主を寝かせる。
 健やかな寝息を立てて眠っている主の下に腰を下ろす。
 ひと心地ついたところで、雷王は白い妖の顔が脳裏に浮かんだ。
(弧白まだ、か。……この分では今日はもう戻らぬのかもしれぬな)
 妖らしい奔放な性格はともかく、惹かれた相手が伏せっているのを知ればすぐさま様子を見に来るはずなのだ。
 それがないということは、そう言うことなのだろう。
「……」
 静かに傍について、彼を見守る。
「もう一人にはせぬ。……藍丸」
 誓いを立てるかの如く、厳かに囁く。
 当然ながら眠る主には彼の声は聞こえない。
 それでも雷獣は誓いを立てる。
「私の何をおいても、お前だけは必ず守りぬく。……だから、早く目を覚ませ」
 触り心地のいい黒髪を何度も梳いてやると、藍丸は心地よさそうにこちらを向いてくれる。
「……い、お……」
「藍丸…」
 主が無事と知っても、雷王は彼の傍から離れることはなかった。


                                                   09.07.21up                                                                                                                                                                                                        


 終始藍丸が寝っぱなし で し た 汗
 本編の、藍丸が桜螺に襲われて、襲に助けてもらった後のねつ造話だったのでどうしてもそうなっちゃいまし
た…。
 あれって、藍丸が襲に姫抱っこされた後で気を失ったら、ワープして雷王膝枕にとんでしまうではないですか
!(当然の如く雷王ルート 笑)
 だからその合間が、合間がどうしても気になってしまって!!
 だって自分が出かけてるうちに藍丸が人に襲われて、更に怪我までしてしまって、雷王は随分と胆が冷えたん
じゃないかと思うのです!!
 自分が知らないところで大事な人がどうにかなるのは耐えられないですよねっ。
 そんな雷王が見たかったのです。
 本当は本編でみたいのだけれど、ワープだったので自分で妄想してみました。
 襲との会話も想像です。
 雷王と会話するならこんな風かな?と。
 次は元気な主様が書きたいです。

445風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:58:28
迷い子




 この日もひとつの依頼を終え、屋敷に帰りがてら大黒屋に向かう途中だった。
 もちろん萬屋頭領の隣には彼の従者であり、それ以上の存在でもある雷王もいる。
「しっかし、今日はちぃっとばかしやっかいな仕事だったよな」
 藍丸は大きく伸びをしながら雷王に語りかける。
 そんな主を情をこめた瞳で見つめ、雷王も「ああ」と頷く。
「そうだな。今回は少々勝手の違った仕事であった」
「だよなー。俺たちは腕っ節にものを言わせる依頼にゃ強ぇがこっちの方はどうにも…」
「そちらの方面に詳しい妖から簡単に教わっただけの付け焼刃でどうなることかと思ったが……とにかく、うま
くいってよかった」
「おう。終わりよければ全てよし! ってな」
 ニカッと萬屋頭領は豪快に笑い、見上げてくる愛しい主に雷王は紅の瞳を細める。
「おっ、まだ席空いてるぜ!」
 大黒屋が視界に入り、藍丸の足も俄然早まる。
「雷王、早く! 席取られちまう」
 こちらを振り返り、雷王を急かす。
 一紋を率いる羽織にしては、あまりに幼すぎる振る舞いが雷王には微笑ましい。
「全く仕様のない…」
「雷王!」
 小さく呟いた雷王の言葉など耳に入っていない藍丸は語気を強めて従者を呼ばう。
「わかった、そう焦らずとも金鍔は逃げぬぞ」
 笑みを浮かべ、雷王は藍丸の下へと向かう。
 隣合って座れば、混雑している時分でも大黒屋の店主は藍丸たちの下へと飛んでくる。
 何といっても彼は上得意なのだ。
「藍丸様、いらっしゃいませ」
「おう! 今日もよく繁盛してんな」
「お陰さまで」
 温和な表情ではにかむ主のこの謙虚さと、変わらぬ菓子職人としての腕が大黒屋を栄えさせているのだろう。
 藍丸はここの金鍔好いているが、店主も気に入っている。
「店主、いつものものを」
「はい。かしこまりました」
 雷王の注文に小さく頭を下げ、店主はすぐに店奥へと消えていく。
「何か、慣れねぇことしたからいつもより腹減ったぜ」
「金鍔は四つまでだぞ」
 すかさずクギをさしてくる雷王に藍丸は頬を膨らませた。
「んだよ、たまにはいいじゃねぇか」
「駄目だ。それ以上食べては夕餉に支障が出る」
「ぐ…」
 桃箒が腕によりをかけて作ってくれる夕餉を無駄にはできない。
 そこは同意であったので、藍丸は渋々我慢することにした。
「よく思い留まったな」
 偉いぞ、と大きな掌を滑らかな黒髪に乗せて撫でる。
「餓鬼扱いすんなっ!」
 ぺしっと小気味よい音を立てて頭に乗せた手の甲をはたかれる。
 そんなやり取りをしている間に、彼らの下へ注文の品が運ばれてきた。
「お〜! 待ってました」
「藍丸、行儀が悪いぞ」
 雷王のお小言は金鍔を目の前にした藍丸には右から左だ。
 きらきらと瞳を輝かせる愛し子に小さく息を吐き、金鍔を手際よく切り分けてやる。
「ほら」
「あんがとな、雷王!」
 竹串を突き刺し、至福のひと時を味わう。
「んー! やっぱうめぇ」
「そうか」
 嬉しそうな主をこれまた嬉しそうに見つめた雷王も、自分の手元にある金鍔を切り分け、ひとつ口へと運ぶ。
「うむ。上品な甘さは相変わらずだな」
「ったりめぇよ、大黒屋の金鍔は最高なんだぜ」
「ああ」
 微笑ましい会話に同席していた客たちも頬笑みを絶やさない。
「腹は減ってるが早く食っちまったら勿体ねぇ。ゆっくり味わって食べねぇとな!」
 へへへ、と雷王に笑みを向けた後、残りの金唾に手をつけようとしたのだが。
 膝に乗せていた藍丸の皿に、にょきりと手が伸びたのはこの時だった。
 小さな手は、それに見合わない金鍔をむんずと掴んで強奪する。
「あ―――っ!!」
 悲痛な藍丸の叫びが店内に響き渡る。
 客たちが何事かとこちらに視線を向けてくるが、それどころではなかった。
 藍丸の金鍔を強奪したのは、目の前にいる紺色の着物を着た小さな男児。
 見たところ、三つ四つほどだろうか。
 艶やかな黒髪が風に揺れ、同じ色の大きな瞳がこちらを見つめている。
 逃げもせず、幼子は手にしっかりと戦利品を握っていた。

446風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:58:40
「手前! そりゃあ俺の金鍔だぞっ!!」
 藍丸は大人げなくも子供に向かって怒鳴るが子供は全く動じていない。
「こら藍丸、子供のしたことだ。そのように大声を…」
「ああああぁぁぁぁぁー!!!」
 先程よりも大きく悲しみに満ちた藍丸の絶叫。
「…藍丸」
 さすがに人々の視線が痛く、雷王は眉間を押さえた。
 だが当人はそれどころではない。
 好物を目の前で攫われ、そしてまんまと食されてしまったのだ。
「こ…こ……この、悪がき!!」
「藍丸、やめないか」
 一口で金鍔を口に放り込んだ幼子の胸倉を掴み上げんばかりの勢いだったので、とりあえず止めることにする。
「……」
 それでもこちらを見上げる子供は全く動じていない。
 無表情で金鍔を食べ、手についた餡をペロペロと舐めている。
「てっめ…!」
「こら、藍丸」
 藍丸を押し止め、雷王はここで初めてきちんと子供に視線を向けた。
「―――!」
 そうして、固まった。
「…雷王?」
 様子の変わった雷王にいち早く気がついた藍丸は、一時的に怒りを収めて彼を見上げた。
 雷王の視線は目の前の子供に釘づけになっている。
「……まさか」
 小さな囁きに、なぜだか苛立つ。
「おい、雷王!」
 主の強い声色に、雷王ははっと我に返ったようだった。
「あ、ああ。すまない」
 自分を押さえる従者の腕が緩んでも、もう藍丸は子供に掴みかかろうとはしなかった。
「…おい、お前」
 気が抜けたように目の前の幼子に目を向け、問いかける。
「がき一人でこんなとこまで来たのか? 親はどうした」
「……」
 藍丸の問いかけに、子供は全く反応しない。
 金鍔が余程気に入ったのか、いつまでも手を舐めている。
「手前な…」
「待ってくれ、藍丸」
 再び苛々が募る藍丸を制し、雷王が前に出た。
「……」
 無表情の子供は無垢な黒目で巨体を見上げる。
 小さな子供にとっては強面の雷王は恐ろしいだろうに、これも全く動じない。
 胆の据わった子供だ。
「お前、名は何と言う?」
「……」
 雷王の問いにも童は答えない。
「ったく、親は一体どんな育て方してやがんだ!」
 何を問うてもだんまりな子供に藍丸は鼻を鳴らす。
 だが雷王は未だ、真剣に子供を見つめている。
 手を伸ばし、風に揺れる黒髪を撫でてやった。
「雷王?」
 前後に繋がりのない従者の行動に、藍丸は眉を顰める。
 が―――。
「!」
 頭を撫でられた幼子の表情が、ここで初めて変化した。
 笑ったのだ。
 笑い声こそ立てなかったが、それは嬉しそうに。
「お前…」
 人並みの顔できるんじゃねぇか、とつられて藍丸も笑みを浮かべる。
 子供は嬉しそうな顔のまま、雷王へと突進した。
「おっと」
 咄嗟に受け止めてやるとにこにこしたまま彼の足に懐く。
「どうした? 母が恋しくなったのか」
 慣れた手つきで幼子を抱き上げて、幼い顔を間近で見つめる。
(……やはり、似ている)
 藍丸に悟られぬよう、雷王は内心でそっと呟いた。
 雷王に観察されているとは知らず、子供は擦り寄ってくる。
 傍目から見て、まるで親子のようだ。
(何か、面白くねぇ!)
 子供を抱き上げる雷王の様子に、なぜだか胸がもやもやする。
「藍丸。食べられてしまったものは仕方がない。金鍔は残りのものだけで諦めろ」
 憮然とした藍丸に気づいた雷王が見当違いなことを言う。
 余計に苛立つ悪循環だ。
「もう怒ってねぇよ!」
 怒鳴り返し、やけのように次々とまだ皿に乗っていた金鍔を口に入れ、茶と一緒に一気に飲み下す。

447風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:58:51
「藍丸?」
「今はこのがきの親見つけるのが先だろ! 行くぞ」
 だんっと盆に湯飲みを置き、立ち上がる。
 苛立ち紛れにたまたま飛び出した言葉であったが、雷王はそれに酷く感銘を受けたようだ。
「藍丸……そうだな。その通りだ」
「な、何だよ」
 嬉しそうな声色と視線に、藍丸はくすぐったくなる。
 しかし。
「……」
「こら、よさないか」
 紅の髪をつんつんとひっぱり遊び始めた幼子をやんわりと窘めるその姿に再び苛立ちが蘇ってしまう。
「さっさと金払え! 行くぞ」
 ほぼ八つ当たりなのだが、慣れたもので雷王は文句ひとつ言わずに娘を呼んで清算をすませる。
「藍丸、まずどこを探す?」
 自分はこんなにも苛立っているのに、涼しい顔をしている雷王が憎らしくさえ思えてきた。
「大黒屋でがき拾ったんだからまず店ん中に決まってるだろ」
 そっけなく返し、店を見回し始める。
 明らかに癇癪を起している主に小さく息を吐いていると、再び髪を引っ張られる。
「どうした?」
 今度は遊びではなく、意思表示のようだ。
 見上げる子供の瞳はどこか不安そうだ。
 雷王が藍丸に怒られていると思ったらしい。
「案ずるな。藍丸は少し虫の居所が悪いだけだからな」
「?」
 雷王の言い回しは子供には難しく、幼子は小さく首を傾げる。
「よいのだ。ではお前の母御を探そう」
 子供を抱き上げたまま、雷王は主に続いた。
 しかし、どれほど店内を探しても我が子を探している親を見つけることはできず。
 混雑している店内を長くうろうろするのは憚られ、一度店を出ることにした。
「……見つからないな」
「まさか、このがき一人で大黒屋まで来たってのか?」
 このような幼子一人で大通りを出歩くのは余りに危険だ。
 だが、大黒屋の客の中には必死に子供を探す素振りをしている者はいなかった。
 皆が皆、呑気に大黒屋の甘味を楽しんでいたのだ。
「おい、お前は一体どっから……」
 もう手がかりはこの幼子自身だけだ。
 そう思い、声をかけてみたのだが。
「……」
 問題の幼子は、体温の高い雷獣の腕に抱かれて健やかな寝息を立てていた。
「…寝てら」
 気が抜けて言葉を途中で止める藍丸に、雷王は困ったように頷く。
「これではどうにも手立てがないな」
「くそ、何なんだよ一体」
 ようやく仕事を終え、至福のひと時を楽しむはずだったというのに。
「そろそろ陽も暮れる。このまま闇雲に探していても時間の無駄だろう」
「じゃあ、どうすんだよ」
 これからどうすべきか。
 藍丸は問うが、頭ではわかっている。
 だが、なぜか気が進まないのだ。
 困った者がいたら、すぐに手を差し伸べる藍丸だというのに。
 眠っている子供が起き出さぬよう注意を払っている雷王は、らしくない主の様子に気づいていないようだ。
 思ったままの己の意見を述べる。
「今日は屋敷に連れ帰ろう。大通りを見ても子を探している親は見当たらぬようだしな」
「……」
「藍丸?」
「あ、ああ。わかった。……仕方ねぇんだよな」
 がしがしと黒い髪を掻き廻し、渋々ながらも主はその提案に同意した。


 こうして藍丸と雷王は、思わぬ手土産を一紋たちに持ち帰ることとなったのだ。


                                                   09.07.29up                                                                                                                                                                                                                                                         


 雷王ED後の話です。
 雷藍+ちびっこという異色な取り合わせになりました。
 こちらは連作になります。
 次かその次で終わる予定です。膨らむ可能性もあるかも。
 連作ですのでフォローと言う名の言い訳はまた後ほど。

448風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:59:04
家族ごっこ




「主様、その子供は…?」
「人間の子供、ですよねぇ」
 桃箒と蛟女は「それ」を見て呆気に取られている。
 小さな小さなお客に、主を出迎えるために集まってきた一紋たちは興味津々の様子だ。
「ちっちゃいこなの〜」
「僕たちよりちっちゃいね」
「可愛いの〜」
 雷王の腕の中で眠っている子供に一つ目たちは興味津々だ。
「お前ら、そんな騒いだらがきが起きるだろうが」
 不機嫌丸だしの主の声に、一つ目たちはひゃあ、と飛び上がる。
「ご、ごめんなさいなの〜」
「藍丸が怒ったぁ!」
「わーん」
 口々にしゃべりながら、小僧たちは走り去る。
「藍丸、もう少し優しく接してやれ」
「俺ぁ十分優しいぜ」
 ふん、とそっぽを向く主の様子から、相当に臍を曲げてしまっていると一紋たちは悟る。
「と、とにかくお疲れでしょう。その子は我らが引き受けますから主様たちは休んで下さい」
「桃箒、私が見てるよ。お前は夕餉の支度があるだろう?」
「では、頼む」
 雷王から幼子を受け取り、蛟女は柔らかく微笑んだ。
「まぁ、熟睡しちゃって」
「余程雷王様の腕が心地よかったのですね」
「……」
 二人が和みだし、なんと雷王までが慈愛を込めた瞳で幼子を見つめる。
(面白くねぇ!)
 藍丸はムッとしたまま、ずかずかと歩き出す。
「藍丸」
 すかさず後を追って来る雷王の気配に少しだけ安堵しながらも、藍丸は彼の声に応えることはなかった。




 桃箒は臨機応変に、子供用の夕餉も用意したらしい。
 即興ながらも見事な出来栄えに機嫌を損ねていた藍丸も感服してしまった。
「へぇ、やるじゃねぇか。桃箒」
「恐れ入ります。我らの夕餉に少しだけ手を加えただけなんですよ」
「んじゃあ、早速頂くとするか!」
 頂きます、と主が箸をとれば、皆もその後に同じく箸を取る。
「……」
 桃箒の隣にちょこんと座った幼子は、寝入る前のやんちゃぶりが嘘のように大人しい。
 借りてきた猫のようになっている人間の子供に、一紋たちは早くも骨抜きにされているようだ。
「さあ坊や、一人で食べられるかな?」
「……」
 目の前の膳をじっと見つめた子供は一度桃箒を見上げ、そうして再び視線を膳へと戻す。
 桃箒に差し出された箸を受け取り、拙い動作で食事に手をつけ始めた。
「坊や、なかなか上手じゃないか」
 蛟女はまるで我が子のように幼子を見守っている。
 幼子を囲み、やんややんやの大騒ぎ。
(まあ、見てる分には可愛らしいやな)
 黙々と桃箒の夕餉を口に運び、藍丸も遠目に子供を眺める。
「屋敷に一つ目以外のちっこいのがいるってのもなかなか新鮮だよな」
「……」
 何気なく隣に語りけるも、雷王からの返事はない。
 彼は箸を止めたまま、目を瞠って幼子に視線を向けていた。
「……雷王?」
「あ、ああ。何だ?」
 訝しげに声をかけたところで雷王は反応を見せる。
 だが見事に話を聞いていなかったらしい。
 雷王が藍丸の話を聞いていないなど、まずあり得ない話だ。
 心ここにあらずな従者の様子に、また胸がムカムカとしてくる。
「んだよ。あのがきが気になるのか?」
「……」
 少し僻みも込めて言ってやれば、黙り込んでしまう。
「…図星かよ」
 ますます面白くない。
 主の苛立ちを察知したのか、雷王は慌てて何か言い繕おうとする。
「い、いや。気になると言うか……」
「言うか、何だよ」

449風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:59:19
 半眼になり、意地悪く追及してみると。
「箸の持ち方が、……似ていると思ってな」
「似てる?」
 紅の瞳は一紋に囲まれている幼子に向いたまま。
「あの持ち方ではいずれ箸を取り落してしまう。だから……は、」
「へ?」
 一部聞き取り辛く、藍丸は眉を潜めるが。
「ああっ、坊や駄目です! おいもさんを突き刺したりしちゃあ」
 桃箒の悲鳴にも動じず、幼子は突き刺した里芋を口いっぱいに頬張っている。
「ずいぶん横着ながきだな」
「……やはり……」
 言いながら吸い物を啜る藍丸の横で、雷王は何かを確信している様子であった。




 いつもより騒がしい夕餉が終わると、今度は更に騒がしい湯浴みが始まる。
「こら待ちやがれ!」
 すっぽんぽんになった男児を頭領が追いかけている。
 屋敷内は広いので小さいのがちょろちょろ走り回ると捕まえるのが大変だ。
「雷王! 階段はちゃんと塞いどけよ」
「承知」
 小さな子供が上るにはまだ危険なので、そこと出入り口だけは押さえた。
 最初は湯浴みを嫌がっていた素振りの子供は、いつしか藍丸との追いかけっこを楽しみだしたようでそれは楽
しそうに屋敷内を駆け巡っている。
 裸でいるので余計に解放感があるのだろう。
「いい加減に……」
 目の前を走っている小さな体に手が触れた。
「し、ろってんだ!」
 しっかと脇の下に手を入れ、一気に抱き上げる。
「!!」
 捕まったのに幼子は大喜びで宙に浮いた足をばたつかせる。
「雷王、行くぞ!」
「ああ」
 大はしゃぎの子供を抱え、藍丸は風呂へと直行した。
「何だか、いいですねぇ。こういうの」
「そうだね。……これが人間でいうところの団欒って奴なのかもねぇ」
 桃箒と蛟女は目を細めてその光景を見つめていた。




「ほら、あまりきょろきょろするな」
 転ぶぞ、と注意を促せば不思議そうに見上げてくる大きな瞳。
「雷王、早く体洗ってやれよ。風邪引いちまうぜ」
 捕獲まで請け負ったのだからと、後は雷王に押し付けてしまった藍丸だ。
 自分は悠々と湯船に浸かり、頬杖をついて従者と子供を眺めている。
 元よりそのつもりであったので、雷王から抗議が出ることはない。
 ちなみに、雷王は補助のために着いてきただけなので普段着のままだ。
「そうだな。……ほら、湯をかけるぞ」
 桶で湯を掬い、こちらを見上げたままの幼子に声をかける。
「!!」
 すると、子供の表情が明らかに強張り、それに合わせて体も固まる。
 紅葉のような小さな両手を目に当てて、湯が落ちてくるのを待つ。
 いかにも子供らしい動作に、藍丸は肩を揺らした。
「水が怖いのか? 大丈夫だって、雷王はそんな思い切りやらねぇから」
 なあ雷王? と続いた言葉に応えはない。
「……」
 何か気付いたことでもあったのか、雷王は湯の入った桶を持ったまま立ち尽くしている。
「雷王?」
 再度呼んでも反応は望めない。
(やっぱり妙だ)
 どうも今日は雷王の様子がおかしい。
 いや、今日ではない。
 この子供を拾ってからだと気がつく。
 すぐにでも問いかけたかったが、今は……。
「……」
「おい雷王! がきがずっと待ってんだろうが」
 顔を覆ったまま、雷王が湯をかけてくれるのを未だ待っている健気な幼子が余りにも不憫であったのでついそ
ちらを優先してしまう。
「! そ、そうであったな。すまぬ」
 このままでは本当に風邪をひいてしまう。
「寒かったな」
 ゆっくり湯をかけてやると、幼子の体は見るからに弛緩していく。

450風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:59:31
「……」
 そろそろと顔から手を離し、瞳を瞬かせる。
 体を洗ってやっているうちに、湯に慣れてきたようだ。
「藍丸、あとは頼むぞ」
「おうよ」
 湯船の中にいる主に子供を託し、雷王はそのまま風呂を出ていく。
「どうだ? 湯船も怖いか」
 膝の上に乗せてやると、幼子はぷるぷると首を横に振った。
「そっか! もう怖くねぇかよ」
 今度は縦に首が振られる。
 相変わらずしゃべらないが、少しずつ打ち解けてきていると感じた。
 藍丸にとっては最悪の出逢いであったのだ。
 そう思うと何だか自分も嬉しくなってしまう。
「なあ、お前も金鍔気に入ったのか?」
 ぱしゃぱしゃと湯を叩いて遊んでいた子供は、きょとんと藍丸を見上げる。
「あの甘い菓子だ。美味かったか?」
 再度同じ問いかけをすれば、ようやく画点がいったのだろう。
「!」
 金鍔の味を思い出したのか、笑顔になる。
「だよなぁ! あそこの金鍔は最高なんだぜ」
 子供はにこにこしながら藍丸の言葉に頷く。
「へへ、何だよ。話がわかるじゃねぇか」
 主と子供は同じ種類の笑みを浮かべる。
 裸の付き合いをしているからか、意気投合し始めているようだ。
「おっし。明日んなったら大黒屋に連れてってやるよ! 雷王も連れて三人で金鍔食いに行こうぜ」
「!!」
 それを聞いた幼子ははしゃいで藍丸の首に飛びつく。
「うお!? 暴れんなって、嬉しいのはわかったから」
 子供を湯船に沈ませないように苦心しながら藍丸は心が温かになるのを感じていた。
 もし兄弟がいたら、きっとこんな感じだったに違いない。




 風呂から出ると、待ち構えていた雷王がほかほかになった子どもの体を拭く。
 幼子はまた裸で駆け回りたそうだったがそうはいかない。
 風呂から出た後にそんなことをしたら確実に風邪を引く。
 だからこそ雷王は待ち構えていたのだが。
 用意していた夜着を着せてやっている従者に目を向け、藍丸は驚きの声を上げた。
「お、子供用の夜着なんてよくあったな」
 何気ない言葉に、雷王は笑みを深めて答えた。
「それはお前が以前使っていたものだ。……まあ、お古と言うやつだな」
「へー…って! お前、何そんなもん後生大事に取ってるんだよ!」
 何だか照れ臭くてつい素直ではないことを言ってしまう。
 主の言葉を予想していたのだろう、雷王は笑みを消さずに言葉を続ける。
「お前が小さかった頃の思い出の品だ。捨てるはずがないだろう」
「お、お前…」
 よくそんな恥ずかしいこと、と赤面して口元に手を当てる主に、ますます笑みを深める従者。
 彼らをきょろきょろと見回していた幼子も、着せてもらった夜着を見つめて笑顔になる。
 嬉しそうな子供を見下ろし、藍丸は今更ながらの問いかけをした。
「……雷王、もしかしてこいつはしゃべらないんじゃなくて、しゃべれないのか?」
 よしよしと黒髪を撫でてやれば、ぺたりと懐いてくる。
 それでも幼子は言葉を発さない。
 雷王はしばし沈黙したのち、
「……そうなるな」
 と、歯切れの悪い答えを返した。
「んだよ、それ」
「まだ確証がな……。藍丸、抱き上げてやれ。半分寝ている」
「おっと」
 言われて彼がしがみついたまま傾いているのに気付く。
 掬い上げるように抱きかかえれば、子供は本格的に眠ってしまったようだった。
「疲れたんだな」
「そのようだ」
 主と従者は顔を見合わせ、自然と笑みを浮かべる。
「寝るか」
「ああ」
 いつもならばもう少し起きている時間だが、子供に合わせて彼らも寝間へと向かうことにした。

451風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 08:59:42
 藍丸の寝間は、特定の者しか入ることができない。
 以前は雷王と弧白のみだったが、今はもう白き妖はいない。
 だから主である藍丸を除けば、ここに入っていいのは雷王だけとなっていた。
 それが今夜、覆される。
「こいつはまだがきなんだ。仕方ねぇよな」
「藍丸が良いのならば」
 布団を敷こうとした雷王を、藍丸が留める。
「おい雷王」
「どうした?」
「う。…んとな」
 止めたものの、何か言いづらそうにもじもじしている。
 ぽんぽんと子供の背を叩いてやりつつ、小さく呟いた。
「布団……一式でいいからよ」
「藍丸…」
 赤面する彼に、雷王は目を向ける。
 布団を敷く手を止め、主の前に立つ。
「…藍丸。このような幼子がいるのだ。今夜ばかりはそのような行為をするのは憚られるぞ」
「ばっかやろう!!」
 更に真っ赤になりながら、藍丸は大声で抜けたことを言い放った従者を怒鳴りつけてしまった。
「勘違いすんなっ! 俺と、こいつとお前! 三人で一緒に寝るんだ!」
 勢いのまま、大真面目にとんでもない発言をする雷獣に本心をぶつけてやる。
「三人で同じ布団に……か?」
 自分の思い違いにもけろりとしたもので、雷王は普通に言葉を返す。
 それが腹立たしくもあるが、それを押さえて藍丸は思っていたことを全部述べることにした。
「一つの布団で、か…川の字で寝るのも、いいかと……思ってな」
 家族って感じするだろ、と告げると雷王も彼が言いたいことを察したようだ。
「なるほど。しかし、三人で寝るには少々布団が狭いのでは…」
「くっついて寝りゃあ問題ねぇだろ!」
 乱暴に言い、抱いた子供ごと逞しい胸に飛び込む。
「藍丸」
「……雷王」
 名を呼ぶ主の声に了承を悟り、雷王は唇を寄せる。
 だがそれは、唇に触れるだけの軽い口付け。
 潤んだ黒目に見上げられても、雷獣は耐える外はない。
 だがそんな素振りはおくびにも出さず、こちらもどこか物足りなさそうな主に告げる。
「子供がいるから、な」
「うっせぇ」
 わかってるよ、と藍丸は情人から離れる。
 温度が離れていくのを寂しく思いつつも、雷王は言われたまま布団一式をきっちりと敷く。
「川の字、だったな」
「おう!」
 いつもの調子を取り戻した藍丸が照れ臭そうに笑う。
 すやすやと眠っている幼子を真ん中に寝かせて、彼らもそれぞれ横になった。
 藍丸の言った通り、くっつけば一式の布団の中に何とか収まる。
「がきとお前の体温が高ぇから、すぐ温かくなるな」
「そうか?」
 藍丸とて負けじと子供体温なのだが、このように密着している中臍を曲げられては困ると言葉にはしないでお
く。
「いいな、こういうの」
 雷王の心も知らず、藍丸はぽつりと呟く。
「家族、というやつか?」
 従者はとっくに主の心情を察していた。
 その事実に驚きつつも、藍丸は「ああ」と頷く。
「俺ぁ、お前たちを家族と思ってる。……けど、妖と人間じゃちょっと勝手が違うなって」
「ああ。わかっている」
 それはとても優しい声だった。
 藍丸は満足そうに微笑み、続ける。
「ま、それも親が見つかるまでだけどな。……明日は皆の手も借りて探そう。きっとこいつの家族も心配してる
だろうから」
「……そうだな」
「けど、その前に大黒屋に行こうな。…約束したんだ、こいつと」
 眠くなってきたのだろう。主の言葉の早さが緩やかになっていく。
「金鍔……か。了解した」
「へへ。明日は絶対こいつの親見つけてやるからよ。……そしたらこいつの名前……」
 言葉が途中で途切れ、代わりに寝息が聞こえてくる。
 雷王は静かに身を起こし、無邪気な寝顔を晒す主と子供とを見比べ。
「……そういうことか」
 一人何か悟り、掛け布団をきちんと引き上げてやる。
 しばし彼らを慈愛に満ちた瞳で見つめた後、彼も横になり目を閉じた。

452風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:00:41
 昨晩早く床についたためだろう。
 朝日と共に藍丸は目覚めた。
 雷王に起こされる前に身を起こしたのは快挙と言えるだろう。
「んー、よく寝たぜ」
 これも大きな湯たんぽと小さな湯たんぽのお陰かな、と一人笑う。
 そうして布団を見下ろせば、湯たんぽたちの姿はすでになく。
「あいつがきのくせに早いな。雷王につられたのかもな」
 そう言って、布団から這い出そうとしたと同時に襖が開く。
「藍丸、もう起きたのか」
 驚く雷王に、主は得意げな顔で胸を張る。
「たまには一人で起きてやるぜ。……ま、俺よりちび助のが早かったみてぇだが」
 あいつはどこだ? と子供の姿を探す藍丸に、雷王はどこか複雑そうな顔をした。
「…藍丸」
「何だよ? あぁ、もしかして桃箒んとこちょろちょろしてるのか?」
「藍丸」
 結構あいつにも懐いてたからな、と続けようとする主の言葉を遮った。
「雷王?」
 いつもと違う様子の雷獣を、不思議そうに見つめる。
 雷王も主の瞳をしっかりと見つめ返しながら真実を告げた。
「あの童はもういない」
「へ? もう親が見つかったのか」
「朝目覚めた時、すでに姿はなかった。残っていたのはお前のお古のみ」
 思いもしない現実に、藍丸の頭は真っ白になった。
「…んだよ、それ。俺たちが寝てる間にどっかに行っちまったってことか?」
 けれども着物まで脱ぎ捨てていくのは妙だ。
 混乱し始める藍丸に、雷王は言葉を噛み砕いて説明する。
「違うのだ。あの子供は元々夢幻の存在であったのだ。一定の時が経てば消えるのは道理。あれは、過去の幻影
なのだから」
「何言ってんだよ、雷王? 全然意味わかんねぇよ」
 雷王がこのような性質の悪い嘘を吐くはずがない。
 だから、彼の言葉は真実なのだ。
 次なる言葉を待つ主に頷き、雷王は更なる言葉を紡ぐ。
「昨日の依頼を覚えているか?」
「何だよ藪から棒に。……子を亡くして狂乱した奥方を正気に返してくれっていう依頼だろ」
 そして、見事依頼は果たしたのだ。

453風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:00:51
「そうだ。精神に関する依頼は我らには向かぬ。だから他なる妖に術を習った……そして奥方の記憶の中にある
子供を呼び出した」
「奥方は子供の元気な姿を前に我に返って……子供はもういないんだって理解できて、子供は消えた」
 奥方は酷く悲しんだが、もう現実から逃れようとはしなかった。
 心の整理がついたのだ。
「でもそれが一体…」
「昨日我らの前に現れた童子も同じだ」
「!」
「私の術が未熟であったのだ。付け焼刃の術が奥方だけではなく私にも作用したらしい」
「雷王の?」
 あの子供は、雷王の記憶の中から現れた?
「…! じゃあ、あれは……」
 何事かに気づいた藍丸は、目を瞠る。
 主の考えは正しいと、雷王は頷いた。
「あれは、お前だ。幼き日の……」
「お、れ……?」
 言われてみれば、あの子供の容姿は黒髪黒目。
 自分と似通っている。
「俺だから、金鍔を気に入るのも当たり前……ってことか」
「妙だとは思っていたのだ。あの子供の仕草の全てが幼い頃のお前と同じだった」
 箸の使い方や風呂で水を怖がった様子も。
「懐かしい光景に、私も時折見入ってしまった」
「そっか…。だから、お前時々ぼうっとしてたんだな」
 過去の自分に目を向けていたのだと思うと、胸にたまっていたもやもやが晴れていくのを感じる。
「あの術は数刻もすれば効果がなくなるんじゃなかったのか?」
 実際、依頼主の子供が姿を保っていたのはそのくらいであった。
「妖である私から生まれた幻影だからな……長く存在できたのはそのためだ」
 共に夕餉を食べて、風呂にも入れるほどに実体を持つことができたのも。
「声がでなかったのは、幻影だから…か」
「ああ。姿は再現できても音は再現できぬのがあの術の特徴でもある」
 これで全ての謎に合点がいく。
「…そっか」
 藍丸は気が抜けたように布団に座り込み、俯いて小さく呟いた。
「藍丸」
 気遣う紅の視線に気づき、顔を上げる。
「ちっと寂しいけど、あれは俺なんだもんな。…俺は今、ここにいる」
「ああ」
 しっかりと頷き、雷王が髪を撫でてくれる。
「ちぇ、どうせなら三人で金鍔食べてから消えろってんだ」
 憎まれ口を叩いて、微笑む。
 いじらしい主を抱きしめると、背に手が廻る。
「雷王、俺ぁ今日、金鍔八つ食べるぞ」
「藍丸、それは…」
「うっせぇ。あいつの分まで食ってやるんだ!」
 そう決めてしまったらしく、主は梃でも譲らない。
「……わかった。桃箒には夕餉を少なめにしてもらうよう言っておく」
「頼んだぜ!」
 過去の己の分まで金鍔を食うのだ。
 雷王と一緒に。
 そうして三人でのお八つを想像してみる。
(もう一度だけ、家族ってやつを実感したいから)
 一紋たちとはまた違った、家族の形というものを。
 だから。
 藍丸はすくりと立ち上がり、雷王に着付けを促した。




「迷い子」の続きでした。
 雷藍+ちびっこいかがでしたでしょうか。
 藍丸と子藍を同時に出したくて妄想しました。
 雷王の記憶から生まれたのがあの子藍なので、これ親子じゃない!?
 今気づいた!親子!親子!
 タイトルの通り家族ごっこをさせたかったのでした。

454風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:01:06
雷獣の想い人




 かつては雷獣の王として縦横無尽に空を駆けていた。
 己の欲求のままに生きた。
 誰かの従属など、冗談ではない。
 何をおいても己が最優先。他者など二の次。
 むしろどうでもよい。
 これが、妖としての本性だ。
 人とは決定的に違う部分。
 自分は神獣として崇め恐れられ長い長い生涯を終えるのだ。
 そう、思っていた。
 あの幼子に惹かれてしまうまでは。




「ふわ〜あ…」
 寝ぼけた様子で雷王の前に立つ主は大欠伸をしている。
 熱心に彼の着付けを行っていた雷王は、ピタリとその手を止めた。
「藍丸」
「ふぁ……ん?」
 欠伸を連発させている藍丸に、雷王の眉間に皺が寄る。
「欠伸をするなとは言わん。せめて口に手ぐらい当ててくれ」
「はふ…。ん、そうだな。…悪ぃ」
 ちゃんと言葉を理解しているのかしていないのか。
 藍丸は気軽に同意し、謝罪する。
「……」
 寝起きの悪い藍丸に何を言っても無駄なのはわかっているので、それ以上小言を積み重ねるのは止めにした。
「よし。これで……藍丸、後ろを向いてくれ」
「…おう」
 ゆったりと背を向ける主に思わず口元を緩めてしまう。
(幼い頃から変わらぬな…)
 小さな主と二人きりで過ごしていた頃もこんな調子であった。
 それどころか、着付けをしている雷王に寄りかかりながら眠ってしまう時さえも。
(あの頃はまだ小さかったからな……寝かせたままでも何とか着付けできたが)
「これでいいだろう」
 主の覚醒を促すために、少しきつめに帯を縛ってやる。
「ぐぇ、雷王……お前、ちょっと絞めすぎだぞ」
「そうか? では……」
 雷王の確信犯とも知らずに注文をつけてくる主に、従者は澄ました様子で丁度よく帯を締め直してやる。
「これでどうだ?」
「ん。おう。いいぞ」
 とん、と背を叩けば、藍丸はくるりとこちらに体を向ける。
 自分に向ける黒の瞳は、しっかりと開いていた。
「……」
 改めて主の姿を見つめ、雷王は穏やかに微笑む。
 戸惑ったのは覚醒したばかりの主だ。
 説教ならばともかく、黙ったまま見つめられたのでは居心地が悪い。
「な、何だよ。じろじろ見やがって」
 少し視線を逸らしてポリポリと頬を掻く。
 そんな藍丸の黒髪に大きな掌を置いて、雷王は感慨深そうにこう述べた。
「……大きくなった、と思ってな」
「な…!」
 慈愛に満ちた瞳で見つめられ、あまつさえ頭を撫でられれば萬屋頭領の頬は羞恥で一気に赤く染まる。
「と、突然なんだ! 俺ぁもう餓鬼じゃねぇよっ」
 勢いよく手をはたき落されるが雷王の表情に変化はない。
「私は大きくなった、と言ったのだぞ? 子供扱いはしていないのだが…」
「こ、こいつ…!」
 雷王は時折、こうして藍丸の成長を噛みしめて浸る時がある。
 今が正にこの時だ。
 払われた手を性懲りもなく主に伸ばし、黒髪を梳く。
「〜〜〜」
 こうなると手がつけられない。
 慈愛の塊でもって接してくる雷王をあまり邪険にもできずに、藍丸はいつもしたいようにさせてやるのだ。
 主の気遣いに雷王は内心でそっと感謝する。
 ふと、あの頃とは逆だなと思う。
 彼が幼き頃は、ことあるごとに頭を撫でてくれと飛び付かれたものだ。
 まだ雷王の腰にも届かぬ背をいっぱいに伸ばし、懸命に足にしがみついて。 
 それが、今は仕様がないと雷王に頭を撫でさせてくれる。
 照れ隠しの脹れっ面。
 その頬は常に赤く染まっている。

455風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:01:17

 そんな主の表情を眺めつつ、彼の髪に触れられるという至福。
 だが、いつもそれは長くは続かない。
 するり、と藍丸の肩に白く細い指が絡みつく。
「着付けはとっくにすんでるんじゃないのかい?」
「こ、弧白」
 気恥ずかしい場面を見られたと、うろたえる藍丸に琥珀の瞳を細めて弧白は更に身を寄せる。
「孝行者だねぇ藍丸。養い親の好きなようにさせてやるなんて」
「こ、孝行って何だ! 俺ぁただ…」
 あたふたする主の項に唇を埋めつつ、弧白は揶揄の視線を雷王へと向ける。
「……」
 雷王は藍丸の髪に触れていた手を引き、弧白の視線を正面から受け止める。
 見えぬ火花が散っていることに、藍丸は全く気が付いていない。
 先程までは雷王に頭を撫で回され、今度は背後から弧白が身を寄せてくる。
 しかも、首筋に冷たく濡れた感触までしては……。
「あーもう! うっとおしい!!」
 とうとう藍丸が癇癪を起こし、弧白は振りほどかれる……というか、振りほどかれる前に身を離す。
「お前ら揃ってべたべたべたべた!! もう俺ぁ嫌だぞ」
 雷王を睨み、弧白を睨む。
「いいか、今日一日お前ら俺に触んな! 近寄んな! わかったか!!」
 怒りのまま言葉をぶつけると、肩をいからせたまま寝間を出て行ってしまった。
 主の不機嫌にも妖狐は動じず、笑みを浮かべて背中を見送る。
「おやおや、拗ねてしまったよ。可愛いねぇ…」
「弧白、お前はわざと……」
 雷王が皆まで言う前に弧白は意味深に微笑んで肯定してやる。
「私はねぇ、藍丸の全てが欲しいんだ。最初に藍丸を見つけたのはお前かもしれないけど、あれは私のものだ」
「…藍丸を物扱いするな」
「まだ綺麗事を言うのかい? お前だって藍丸が欲しいんだろう。全部自分のものにしたいんだろう?」
「私が願うのは、藍丸の幸せだけだ」
 尚も譲らない雷獣に、弧白の柳眉が跳ね上った。
「そうかい。なら、私と藍丸が寄り添う姿でも眺めて満足していることだ」
 藍丸に続いてすっかり機嫌を損ねてしまった弧白も、その場から煙のように消えた。
 一人残された雷王は小さく嘆息する。
 小さい藍丸と暮らしていた頃とは決定的に違う部分はここだ。
 雷王の想い人は今や、他の誰かの想い人でもある。
 それは弧白であり、嘉祥でさえも藍丸に惹かれている節がある。
 だが、その藍丸もいずれは誰かに惹かれ、生涯を共にしたいと願う相手ができる。
「俺は一体……藍丸にどのような関係を望んでいるのか……」
 弧白が揶揄したように、親としてのそれか。
 それとも……。
「考えても、詮無いことだ」
 己が第一とするのは主の幸福である。
 だから、彼が己を望まぬのであればこの恋慕は終わりを告げる。
「私は藍丸を、ただ想うのみ」
 雷王は己に言い聞かせるように呟いて、しばし目を閉じ何かに踏ん切りをつけると寝間を後にした。


                                                   09.09.17up                                                                                                                                                                                                                                                


 雷王VS弧白でした。
 この二人のバチバチが好きなんだ!
 今回は溢れんばかりの雷王の慈愛を藍丸にぶつけてみました。
 弧白の邪魔もあって、藍丸キレちゃいましたが(笑)
 雷王は絶対ちっちゃい頃の藍丸と今の成長した藍丸を比べて一人感動してたりすると思うんだ。
 藍丸もそれをわかってて、時々それにつきあってあげたりすると思うんだ。(大妄想)
 雷王は親としての愛を取るのか一人の男としての愛を取るのか、この葛藤がいいんだよなぁ〜。

456風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:01:29
本の虫・2




 妖刀事件を経て、雷王との関係が大きく変わった。
 自分へ向けられる雷王の愛情が、養い子に対するそれからもっと熱く激しいものへと転化したのである。
 いや、雷王は以前から自分にずっとそのような感情を抱いていたと言っていたから、転化とは言えないのかも
しれない。
 藍丸自身も、雷王は母から自分を託されたから傍にいてくれるのだと思っていたので、彼が本心から自分を望
んでくれているとわかって嬉しかった。
 幾多の悲しみを乗り越えて、二人は晴れて結ばれた。
 昨夜も互いの想いを確認し合ったばかりだ。
「んー…」
 気だるさを感じつつも、藍丸はもぞもぞと布団の中で身じろぎする。
 隣に慣れた体温はない。
 どうやら情人は先に起き出しているようだ。
 差し込んでくる光に目を細める。
「ふあ……。もう日が高ぇじゃねぇか。雷王の奴、起こしにこねぇな……」
 いつもならば二三度は確実に声をかけにきているはず。
 寝汚い藍丸は通常、いくら声をかけられてもなかなか起き出さないのだが、かかるはずの声がかからないとな
ぜだか逆に目が覚めてしまう。
「うー…」
 もぞもぞと布団から這い出してきょろきょろと辺りを見回す。
「あれ?」
 そこで違和感に気がついた。
 寝間にはこんなに本が並んでいただろうか?
 それに、もう少し広い間取りであったはずだ。
(部屋の広い狭いはまあいいとして、こんなに本があるなんざ、まるで雷王の部屋みてぇじゃ……)
 ぼんやり考えていたが、それは実に的を射ている。
「ああ!」
 がばりと起き上がり、藍丸はぽんと手を打った。
「そういや、昨日は雷王の部屋で寝たんだった」
 夕餉を食べ、読みたい本があるだかですぐに自室へこもろうとした従者にくっついて行って。
 適当に雷獣の読書を邪魔していたら組み敷かれて……ということがあって、なし崩しでここで一夜を過ごした
のであった。
「き、昨日のこたぁ思い出さなくていいんだよ!」
 赤面する頬をぱんぱんと叩き、昨夜の情景を頭から追い出す。
「…あ」
 布団の上で胡坐を掻き、自分の身なりがきちんとしていることに今更ながらに気がつく。
 もちろん、雷王の手によるものだ。
 藍丸が気を遣った後、雷王はいつも彼の体を清めてやり新しい夜着に着替えさせる。
 こんなところは養い親として自分を育てていた頃の名残なのだろうか。
「……雷王」
 きっちり着つけられた夜着にそっと手を触れて、小さく想い人の名を呼ぶ。
「そ、その。何だ! このままだと妙な気持ちになっちまう」
 一人ぶつぶつ言いながら、藍丸は勢いよく立ちあがった。
 かと言って、夜着のまま部屋を出るわけにもいかない。
 だが、雷王がいつ来るのかもわからない。
 ならば自分で着つければいいことなのだが、藍丸の緩い着付けでは雷王がこさえた所有の証が丸見えになって
しまう恐れもある。
 …確実に見られる。
(くそ、結局は雷王待ちか)
 もう一度寝直してもいいかとも思ったが、すっかり目が覚めてしまった。
 眠くないのなら、この部屋は藍丸にとって退屈なだけだ。
「早く来やがれ、雷王」
 唇を尖らせて文句を垂れるも、こう時に限って雷獣は現れない。
 しばらく所在なさげに突っ立っていた藍丸だが、すぐに限界が訪れた。
 つまりは飽きたのだ。
「あー! くそ。なら、あいつが来るまで何か面白れぇこと見つけてやる」
 意地になって辺りを物色し始めた。
(そういや、前もここで面白いもんがないか探し回ったんだっけ)
 あれは、まだ自分と雷王が主と従者の関係だった頃だ。
 そう昔ではないはずなのに、何だか懐かしい。
「前は俺に食わせるための料理本を見つけたんだっけな。……今度は何が見つかるか」
 つい先程までは脹れっ面であったのに、今は宝探しをしようとしている悪がきの顔だ。
 勇んで本棚を調べて回るが、なかなか期待するものを発見できない。
「ちぇ。そう簡単にはいかねぇか…」
 落胆する藍丸だったが、ふとある一部分に目が止まった。
 それは、雷王が愛用している机。
 本棚だけではなく、机の上にも本が綺麗に並んでいる。
「ったく。あいつ本当に本の虫だよな」
 苦笑しつつ、手を伸ばしたのはその引き出しであった。
「ここはまだ開けてなかったんだよな」

457風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:01:41
 人の机の引き出しを暴くなど礼儀に反するとは思ったが、好奇心が抑えきれない。
(すまん、雷王!)
 藍丸は心の中で謝って、引き出しを静かに引いた。
「あんま物、入ってねぇな…」
 藍丸の言った通り引き出しの中は驚くほど物が入っておらず、中を探らずとも中身が知れるような内容だった。
「何だ。あんまり使ってなかったのかよ」
 再びがっくりした藍丸だったが、引き出しの中は空ではない。
「入ってるのはこの帳面だけか……」
 年季の入った、みすぼらしい帳面だ。
 大して期待せずにそれを捲ってみると……。
 帳面にはびっしりと字が埋まっていた。
「んあ? これ、雷王の字だ」
 本ではなく帳面であるのだから、当然のことだ。
 だが、捲くっても捲くっても雷王の字ばかりなのでつい驚いてしまった。
「こんなにたくさん、何書くことがあるってんだ……?」
 細かい文字を読むのは好きではないが、雷王が書いたものとあれば興味がそそられる。
「ちょっと読んでみるか。えーと、なになに今日は藍丸が……って! 俺のことかよ?」
 自分のことが書き記してあるならば俄然先が気になる。
 藍丸はこれまでにないくらいに真剣な面持ちで、雷獣の文字に視線を走らせた。


 今日は藍丸がやけにぐずった。
 朝も起きた早々しくしくと泣き出し、機嫌も悪く俺の言うことを聞いてはくれない。
 どれだけ宥めても機嫌が直らないので少し距離を置いてみようと思えば今度は大泣きだ。
 移動しようとした俺の足にしがみついてわんわんと泣く。
 藍丸と暮らし始めてまだ日が浅い。
 だから、すぐに藍丸の気持ちを汲んでやれぬ。
 我ながら情けないことだ。


「な…! こ、これって。まさか」
 記憶にない、幼き日の出来事が雷王の字によって綴られている。
「雷王が、日記……?」
 しかも、見たところ自分を拾って間もなくの日記のようだ。
 帳面にはびっしりと子育ての苦労が記されている。
「……雷王の奴、こんなの書いてやがったのか」
 照れくさいような、くすぐったい気持になりながら続きの頁を捲る。
 ぐずっていた自分を持て余していた雷王は、一体どうしたのだろうか?


 今日も藍丸の機嫌が悪い。
 最近、笑った顔を見たことがない。
 俺に何か落ち度でもあるのだろうか?
 きちんと三食与え、寒さに凍えさせもしていないというのに。
 やはり、母親がいないからか。
 まだ藍丸は幼い。
 俺などより母の方が良いに決まっている。
 だが、そればかりはどうにもならない。
 俺では代わりにはなれぬのだろうか……。


「……雷王が、俺のことで悩んでる」
 小さく呟く。
 罪悪感で胸が痛い。
 幼かったとはいえ、自分はなぜ雷王にこのような態度を取っていたのか。
(雷王は見返りなしで俺を育ててくれてるんだ、なのにどうしてぐずってんだよ俺!)
 過去の自分に腹が立って、そしてやっぱり先が気になって再び紙面に視線を戻す。


 毎日のように藍丸が癇癪を起している。
 俺が至らぬからだろう。
 かと言って、育児について助言してもらえる知り合いもいない。
 困り果てていたのだが、俺が翻弄されてどうする。
 藍丸が泣いている。
 何か辛いことがあるから泣いているのだ。
 それを、俺がわかってやらねば。
 でなければ、藍丸はこのままずっと涙を流し続けることになる。


 雷王は、藍丸が記憶にも留めておけないほどに小さな頃からこんなにも心を砕いてくれていた。
 彼の一喜一憂がこの帳面に溢れている。
 それだというのに今でも自分は彼に我儘ばかり言っているように思う。

458風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:01:53
「……」
 いつしか独り言も止み、藍丸はただ続きを読み進める。


 今日は新たな発見があった。
 藍丸が笑ってくれたのだ。
 毎日のように悲しそうに泣いている姿が忍びなく、俺はとうとう藍丸を抱きしめた。
 すると、藍丸の身の震えが収まり涙も止んだ。
 俺に縋りつくように寄ってきて、胸に頬を寄せられた。
 その際の至福は、とても言葉には表せない。
 藍丸は俺を拒絶してはいなかったのだ。
 ただ、ぬくもりが欲しかったのだ。
 藍丸は寂しくて泣いていた。
 俺は人の子を育てるのに慣れていなくて長く抱いていてやったことがなかった。
 藍丸の目元は涙で濡れていたが、笑顔で眠りについた。
 俺の腕の中で。
 彼が寂しい時、悲しい時はこれからこうしてずっと抱いていてやろう。
 俺は、いつでも藍丸には笑っていて欲しい。
 幸福でいて欲しいのだ。


「……」
 文字を追う瞳が潤んでいる。
 頬は熱く、赤い。
 帳面を閉じて、空いた片手で口元を覆う。
(何かこれ……恋文みてぇじゃねえかよ…!)
 本当は身が震えるほどに嬉しいくせに、恥ずかしい奴、と心で呟く。
 その、直後。


「……ら、藍丸」


 自分を呼ぶ、どこか引き攣ったような声は紛れもなくこの部屋の主のもの。
「おわっ!?」
 文字通り飛び上がって藍丸は襖へと目を向ける。
 そこには茫然とした雷王の姿。
 紅の双眸は、見開かれたまま藍丸の手にある帳面に向けられていた。
「あ。あー。えっとこれはだな…」
 明らかに盗み見の現行犯だ。
 どうにも言い訳できずに藍丸はあたふたしてしまう。
 そんな主の様子に、呆然としていた雷王の心は逆に落ち着いてきたらしい。
 観念するように溜息を吐き、簡潔に問う。
「……読んだのか」
「ちっとだけ」
「……」
「す、すまねぇ。つい…」
 今更ながらに押し寄せる罪悪感に小さくなる藍丸を見て、雷王は緩やかに首を振った。
「いや。手に届く場所に置いておいた私も悪いのだ。返してくれるな?」
 勝手に日記を見られたと言うのに怒りもせず、自分も悪いとさえ言って手を差し出してくる雷王の大人の対応
に、藍丸は項垂れてしまう。
「う……悪かった」
 大人しく帳面を大きな掌の上に置いた。
 俯いたままの藍丸の頬を、もう片方の掌が包み込む。
「私の日記を見ただけなのに、どうして赤くなっているのだ?」
「…っ、赤くなんてなってねぇよ」
「嘘をつけ。しっかり熱を持っているぞ」
 つるりと頬を撫でられれば、ますます真っ赤になってしまう。
「藍丸?」
「…俺のことばっかだったから」
「何?」
「お前の日記! 俺のことばっかり書いてあるから、照れ臭くなっちまったんだよっ」
 これでいいかよ、とそっぽを向いてしまう主になぜか雷王もばつが悪そうな面持ちになる。
「それは…まあ、そうなってしまうのも無理はないというか」
「…んだよ。はっきり言えよ」
 視線だけ雷王を見上げれば。
「これはただの日記ではない…からな」
「何の日記だよ?」
「……育児日記だ」

459風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:02:03
 かつての雷獣の王が。
 育児日記。


「…くっ」
「むぅ」
 肩を震わせ笑いを堪える主に、雷王は情けない顔をして呻く。
 雷王を困らせたくはなくて、藍丸は笑いながら彼に抱きついた。
「藍丸?」
「悪い。勝手に日記盗み見た俺に、笑う資格なんざねぇのに」
 けど、同じくらいに嬉しかったのだ。
「お前、俺がちっちゃい頃から気にかけてくれてたんだな……ありがとうな」
「藍丸…」
 日記に書いてあったように胸に頬を擦りつければ、すぐさま顎に手をかけられ、唇を奪われる。
「んっ」
「藍丸…」
 己の名を呼ぶ熱い囁きに、藍丸は瞳を閉じて身を任せた。
 程無く、雷王の手から帳面が滑り落ちる。
 しかしその頃にはすでに互いしか見えていない二人は、再び布団へと倒れ込んだのだった。




 昨夜も長引いてしまい、疲れ果てた主を気遣い起こすのを遅らせたのだがこれでは意味がなかった、と事後に
苦笑され、あまりの羞恥に藍丸は思わず畳に転がっていた帳面を持ち主の顔に投げつけてしまった。


                                                   09.09.23up                                                                                                                                                                                                                                                         


 いつか書いた本の虫の続きと言うか、両想いバージョンでした。
 料理本に続いて、今回は日記です。
 雷王もまだ保護者慣れしていないので、一人称は「俺」になってます。
 育児日記☆絶対雷王は書いてると思う!
 しかもかなりポエム入ってそうな感じだ。
 雷藍がらぶらぶすぎてどうしようかと思いました。
 ばかっぷる一直線なんですけど!
 あと、雷王の机に引き出しがあったのかはうろ覚えです(汗)
 なかったような気がするんだよなぁ…。スルーでお願いします!!!

460風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:02:19
意識




 朝餉を終え、藍丸と雷王は萬屋稼業に精を出すためこれから外出だ。
 一紋総出で主とその従者を見送る中、桃箒がおずおずと前に出る。
「主様、今日のお帰りはいつも通りでよろしかったでしょうか…?」
 夕餉の頃合いを見計らいたいのだろう。
 藍丸はそうだな、と今日の予定を思い返す。
「今日の依頼は失せ物探しだからな。そう時間はかからんだろ」
 守備が良ければ昼間のうちに帰れるのではないか。
 そう続けようとしたのだが。
「藍丸、確信もないのに断言するものではない。…桃箒」
「は、はい!」
 桃箒は自分の質問のせいで主が咎められてしまったとすっかり恐縮している。
「探す物によっては多少時間がかかるかもしれぬ。だから…」
 己の言葉を遮られ、いつもの藍丸ならば憤慨して子供のように拗ねるところだが、今回は違った。
「……」
 桃箒に細やかな指示をしている雷王を無言で見つめている。
 彼らの話など耳に入っていない様子であった。
(……髪、赤ぇな)
 至極当然のことを改めて思う。
 雷王の燃えるような紅の髪。
 雷獣であった時彼の毛並みはこんな色だったのだろうか。
 桃箒を見据える同じ色の双眸もきっとそのままだったに違いない。
 物心ついた時から傍にいたので気づきにくいが、雷王は人目を引く容姿をしている。
 引き締まった体躯を持ち、身の丈もずば抜けて高い。
 顔立ちも凛々しく端正で、彼と出かける際は通りすがる女性が振り返るほどだ。
 そんな彼にこのような紅が彩っているのだ。魅力的でないはずがない。
 今頃になってそれを実感することになろうとは。
「……」
 じっと従者を見つめていた藍丸は、途端に渋面になる。
 なぜ今になって自分がこのことに気づいたのかを十二分に理解していたからだ。
 きっかけは、数ヶ月前に起こった妖刀事件。
 事件の最中、雷王が自分へ寄せる想いを知った。
 そうして己もそれに応えて今に至る。
 恐らく、藍丸もまた幼い頃から雷王に惹かれていた。
 ただ己の想いに気づかなかっただけで。
 雷王へ向ける想いを認識した瞬間、それまで気付けなかったあらゆる感情が嵐のように藍丸を翻弄した。
 今、この状態もその一部分にすぎない。
(い、今更何どきどきしてんだよ、俺っ…)
 ただ雷王を見つめているだけなのに熱を持ち始める頬に焦りを感じて彼に背を向ければ。
「藍丸?」
 いついかなる時も藍丸を気にかけている紅の従者は、この時も例に漏れずに主の異変を察知してしまったよう
だ。
 気遣わしげな声に、藍丸の心はかえってざわめく。
「は、話が終わったならとっとと行こうぜ!」
 敢えて雷王の言葉に返事は返さず彼を促す。
「あ、ああ。では行ってくる」
 さっさと屋敷を出て行ってしまう主に戸惑いつつも、雷王は律儀に一紋たちへ声をかけた。
 主らを見送る桃箒たちであったが……。
 彼らの姿が完全に見えなくなると、皆が一様に息を吐く。
「何と言いますか……」
 何事かを言いあぐねている桃箒の言葉を蛟女が引き継ぐ。
「微笑ましい、よねぇ」
 一紋全員の思いをはっきりと口にした彼女に、皆はしきりに頷いている。
「想いが通われたお二人なのに、初々しいですよね」
「まあ、そこが主様と雷王様らしいと言うか」
 恋敵とも言える弧白が一紋を去ったというのに、あの二人はちっとも進展していない様子なのだ。
「藍丸と雷王は仲良しなの〜」
「でも、そわそわしてるね?」
「何でかな? 何でかな?」
 苦笑している彼らの横で、無邪気な一つ目たちが騒いでいる。
 こちらもまた微笑ましい。
 だが、ひとつだけ述べておかなければならないと桃箒は彼らに目を向けた。
「いいかい、一つ目たち。しばらくあのお二人はそっとしておいてあげて下さいね」
 すると、彼らの視線が一斉に桃箒へと向かう。
「そっとするの?」
「何で?」
「どうして?」
 あっという間に質問攻めにあってしまう。
「主様と雷王様にもっともっと仲睦まじくなって頂くためです。…いいですね?」
 桃箒は大げさなほどに真剣な面持ちになり、一つ目たちに言って聞かせるのだった。

461風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:02:33
 雷王に赤い顔を見られたくなくて早足で歩いていたが、歩幅の大きな彼にすぐ回り込まれてしまった。
「待て藍丸、何を急いで……」
「っ!」
 回り込まれて歩みを止められ、これでは正面から顔を見られてしまう。
 頬を真っ赤にさせた藍丸を視界に入れた雷王は鋭く息を呑んだ。
「藍丸、顔が赤い。風邪でも引いたのか?」
 温かくて大きな掌が、労わるようにそっと藍丸の片頬を包み込む。
 現在、雷王を意識しすぎている藍丸にその刺激は大きすぎた。
「なっ、何でもねぇ!」
 焦りが頂点までに達し、つい労わりの手を払ってしまう。
「…あ」
 さすがに悪いことをしたと思ったのか、藍丸の表情が途方に暮れたものになる。
 しかし、雷王にとっては藍丸の異変の方が気にかかるらしい。払われた手を胸元に引き戻し、再度問う。
「熱は? 寒くはないか?」
「…雷王」
 全力で心配してくれる従者に、ようやく藍丸は落ち着きを取り戻し始めた。
 だが、熱を持ったままの顔をまだ見られたくなくてそっと額を雷王の胸にくっつける。
「……大丈夫だ。心配かけてすまねぇな」
 藍丸は知らない。
 そんな彼の仕草に、雷王が耐えるように唇を引き結んだことを。
 雷王の胸に額をくっつけながら、応えがないのを訝しむ藍丸を、太い腕が抱きしめる。
「!」
「……あまり煽らんでくれ」
 欲情を押し殺す声色に、落ち着きを取り戻しかけていた藍丸の鼓動がまたも早まる。
「っ、別に俺は煽ってなんか」
 じたばたと彼の腕から脱出しようとするが、力強い腕は主を決して離さない。
「雷王っ…」
「藍丸」
「っ…!」
 耳にそっと名を囁かれ、藍丸はびくりと肩を震わせ動きを止める。
 重厚なる低音が、心地よく耳に響いて抵抗するのを忘れてしまったのだ。
 幼い頃からずっと耳に入れている従者の声。
 この声を聞くと、藍丸は自然と安堵してしまう。
 無条件に、「大丈夫」なのだと思ってしまうのだ。
 急に大人しく抱かれてくれる主に、今度は雷王が首を捻る番だ。
「藍丸? …やはり、調子が……」
「だ、大丈夫だって! お前は気にしすぎなんだよ」
 また雷王の心配が再開しそうだったので、藍丸は慌てて我に返る。
 そろそろ頬の熱も引いただろうと判断し、顔を上げれば真摯な様子でこちらを真っ直ぐに見下ろしている雷王
の面ざしが目に入った。
 途端。
「―――!」
 ようやく引いていた熱と頬の朱が一気に巻き戻る。
「藍丸?」
 こちらを見つめる雷王から目を離すことができない。
 先程のように逃げたり誤魔化す余裕もないほどに、藍丸は雷王に見惚れてしまっていたのである。
 顔を上げたと思ったら途端に硬直して顔を真っ赤にさせる主に、雷王は困惑していた。
 今度は何を問いかけても答えてはくれず、ただじっとこちらを見つめているのだ。
 いつもは好奇心できらきらと輝いている黒い瞳が潤んでしまっている。
 けれどもそれが悲しみの表れではないと雷王は直感した。
 我をなくしたような主を前に、雷王はそっと辺りに視線をやる。
 朝方を少し過ぎた頃合だからだろうか。
 表には人気が感じられない。
 それを確認すると、雷王はそっと主の肩を引き寄せて薄く開いた柔らかな唇を吸った。
「んっ…」
 ただ、茫然と雷王を見上げていた藍丸の反応は、やはりいつもより鈍い。
 だがようやく我を取り戻したらしく、慌てて雷王を突き放そうとするが、そうはさせじとより深い口付けを与
えた。
「んっ、……ふ、んぁ…」
 口付けに翻弄され、突き放そうとする藍丸の手から力が抜けていく。
 やがては雷王に縋るように寄りかかってしまった。
 人気がないとはいえ、ここは天下の往来だ。
 雷王はあっさりと唇を離すが、藍丸の膝は深い口付けのためにまるで力が入っておらずその場に崩れ落ちそう
になる。
 心得ている雷王は、その細い体を抱き寄せ支えた。
 潤んだままの瞳がそっとこちらを見つめてくる。
 その仕草、その吐息。
 本当に―――堪らない。
「落ち着いたか?」
 無理矢理欲を抑えつけ問いかける。
「……落ち着かせようとしてんのに、何で口付けなんだよ」
 掠れた声で、呆れたように返される。

462風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:02:45
「言葉で宥めるより効果があるのではないかと思ってな」
「…!」
 少し悪戯心を交えた切り返しに藍丸は硬直し、「馬鹿野郎」と呟く。
 しかし、主が怒っていないのは明白だ。
 ようやく足腰が立つようになり、今度こそ藍丸は雷王から身を離す。
 非常に癪だが、確かに心は落ち着いていた。
 雷王を見るだけで、雷王の声を聞くだけでどうしようもなく意識してしまっていたというのに。
 もしかしたら、荒療治が効いたのかもしれない。
「…行くぞ! これ以上立ち止まってたら約束の刻限を過ぎちまう」
 今度は調子を狂わせることなく目の前の従者の顔をしっかりと見据えられる。
「ああ」
 雷王はそんな彼に更なる問いかけを重ねることはなく、頷くだけに留めた。
 いつものように隣合って歩く。
 そのまま特に言葉を交わさなくとも居心地の悪さはない。
 互いが隣にいることに僥倖を感じながら、二人は歩く。
 これから先もそれだけは変わらない。
 

 相愛のはずなのにこんなにもお互いを意識しすぎる二人の恋は、不器用ながらも着実に歩みを進めていた。


                                                   10.01.04up                                                                                                                                                                                                                                                                                 


 今年最初のssになります。
 雷藍でした!もうお前らずっと一緒にいろよ!結婚しちゃえよ!という感じになりました。
 今まで書いた雷藍の中で一番のだだ甘になったのではないかと思います。
 最後までいってしまっているのにこの初々しい感じが雷藍なんだよなぁと再認識!
 藍丸は今まで雷王への想いを認識していなかったので、想いに気づいた後のギャップはものすごいと思うので
す。
 雷王にドキドキしすぎてきょどってる藍丸、、、私は萌えました。
 そしていつものように自家発電(泣)
 これからももっと一人で踊るよ!

463風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:02:59
羽織の秘密・1




 妖刀事件を経て江戸の羽織となった藍丸は、雷王と共に不埒な事件を起こす性質の悪い妖と対峙していた。
 その妖は力が弱く、呆気ないほどすぐに決着がついた。
 力なく倒れ伏す妖に歩み寄ろうとする頭領を、その従者が止める。
「藍丸、止めは私が」
 藍丸が羽織という立場となっても、雷王は彼の手を血で汚したくはないと思っている。
 そのため、妖に手を下したことは滅多にない藍丸だ。
 しかし、このままではいけないと自覚もしていた。
「いや、今回は俺がやる。まだ駆け出しだが、俺も一応羽織なんだ。けじめくらい手前でつけねえとな」
「藍丸……」
 納得いかないのだろうが、養い子の成長を目の当たりにして感激もしているのだろう。
 もう自分たちは養い親養い子の関係だけではないというのに。
 心を通じ合わせた者同士なのだと強調するために、藍丸は逞しい彼の胸板へと身を寄せた。
「!」
「俺ぁもう子供じゃねぇよ。……そうだろ、雷王」
「むぅ…」
 そこまで言われてしまっては、これ以上主を止めることはできず。
 黒髪に武骨な手が差し入れられ、くしゃりと撫でる。
 子供ではないと言ったのに、その仕草が嬉しくて藍丸は少しだけ片笑む。
 この高い体温にもう少し寄り添っていたかったが、状況が状況だ。
 そっと身を離して、倒れた妖へと目を向けたのだが。
「!?」
 倒れていた場所に、妖がいない。
 鋭く辺りに目を向け。
 自分たちの頭上にその姿をとらえた。
「藍ま…」
「っ、くそ!」
 まだ飛びかかってくる力を残していたとは。
 それに気付けず日和っていた自分たちの失態だ。
 妖は雷王の背後から襲いかかってきたので、この状況をどうにか回避できるのは藍丸のみ。
「雷王!」
 咄嗟の判断だった。
 渾身の力で雷王の巨体を突き飛ばし、藍丸は妖を仰ぎ見る。
 瀕死の妖は目を血走らせながら藍丸へと襲いかかった。
「このっ…」
 右手に炎を召喚し、飛びかかってきた妖へと叩き込む。
「!!」
 炎に包まれた妖は断末魔の叫びを上げながら、藍丸に向かって口から真っ赤な血を吐きだした。
「っ、うわ!」
 妖を見上げていた藍丸の顔に、その血は降り注ぐ。
 視界が赤で覆われ、藍丸の身体がふらつく。
「藍丸!!」
 後ろに傾いだ羽織の細身を支えたのは、態勢を立て直した雷王。
 彼は主の血まみれの顔に目を見瞠り、そうしてそれを成した妖を睨め付ける。
「おのれ!」
 大切な主への無礼に、雷王の怒りの稲妻が未だ炎に包まれ転げ回っている元凶へと突き刺さる。
 先程よりも壮絶な絶叫が辺りに響き、ようやく妖は消滅した。
「藍丸、藍丸! 大丈夫か?」
 妖の最期を見届けもせず、雷王は腕の中の藍丸を覗き込む。
「あ、ああ。どうにか平気だぜ」
 変わらず藍丸の顔は妖の血で大変なことになっていたが、特に外傷はない。
「すぐに血を川で洗い流そう。それまで目を開けてはならんぞ」
「…おう」
 頬を伝って滴り落ちるほどの大量の血液を顔に浴びてしまった藍丸は、とても気持ちが悪そうだ。
「しばしの辛抱だ」
 目元を己の上衣で拭ってやり、主を横抱きに抱え込む。
 目を瞑っていては川辺にも辿り着けないため、藍丸は何も言わずに体を預ける。
 雷王はそれこそ風のように駆け、程無く川辺を見つけて主の顔を清めた。

464風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:03:11
「ったく、今日は散々だったぜ」
 藍丸は川辺で血を洗い流し、すっきりした様子で屋敷に戻ってきた。
「まだ相手に息があったというのに油断した。…すまない」
「そりゃ俺だって同じだ。気持ち悪ぃ思いはしたが俺は無事だったんだ。そんな気に病むな」
 項垂れる雷王の胸を手の甲で軽く叩き、見上げる。
 藍丸の気遣いに、雷王は紅の瞳を細めて頷いた。
「…ああ。ありがとう、藍丸」
「雷王……」
 屋敷へ入る前に少し雷王に甘えたいと思った藍丸は、先程のように体を巨躯へと預けようとしたのだが…。
「…え」
 周りの景色と共に、雷王の姿が消えた。
 突然視界が黒く塗り潰されて、藍丸は動きを止める。
「藍丸、どうかしたのか?」
 心配そうな従者の声に、彼がすぐそこにいるのだと察する。
 どうにか心を落ち着かせて、何度か瞬きを繰り返す。
 ……見えてきた。
 どうにか視界がひらけ、藍丸はほっと胸を撫で下ろした。
 見上げれば、己を案じる雷王の顔が飛び込んでくる。
「ちょっと疲れたみてぇだ。すまん」
「ではすぐに夕餉にして、早く休んだ方が良いな」
 言うが早いか雷王は主を抱き上げ、屋敷に入る。
(何だ、さっきの……?)
 そんな彼に身を預けながら、藍丸は早まる己の鼓動を感じていた。




 主とその従者の帰還を一紋が出迎えて、いつもの夕餉が始まる。
「主様、今日のご依頼は如何でございましたか?」
「楽勝だったぞ。嘉祥の依頼にしちゃあ今日の妖はあんまり手ごたえがなかったぜ」
 桃箒らに本日の武勇伝を聞かせてやりながら、藍丸は先程の出来事について考えていた。
(あれから妙に視界が霞む。やっぱ、さっきの妖のせいか……?)
 なぜ目の調子がおかしくなったのか。
 心当たりはたった一つだ。
(妖の、血……)
 あれを浴びたせいで、一時的に視力が弱まってしまったのか?
 いつしか武勇伝は途切れ、藍丸は己の考えだけに集中する。
(大丈夫だ。さっきみてぇに何にも見えなくなったわけじゃねぇ。時間が経てば治るだろ)
 このままやり過ごせる。
 今、藍丸が最も恐れているのは己の異変に雷王が感づくことだ。
 先程の一件のために一時的とは言え視力に異常をきたしていることを悟られてしまえば、彼はきっと激しく己
を責めるに違いない。
 そうして、もっと過保護になるだろう。
 最近は一人前の一人の男として見てくれるようになったと思っていたのに。
 自分を大切に扱ってくれるのは嬉しい。
 だが、守られてばかりいるのは嫌だ。
 雷王とは対等でいたいのだ。
(一晩寝りゃ大丈夫だ。うん…)
「藍丸」
「うおあ!?」
 突然視界に雷王の顔が現れ、藍丸は素っ頓狂な声を上げてしまった。
 後ろに手を付いて驚いている主に、雷王は眉を顰めた。
「やはり疲れが出ているのだな。夕餉が済んだらすぐに床の用意をしよう」
「そう…だな。すまねえ」
 雷王の言う通り、今日は早くに眠ってしまうに限る。
 下手に動かない方が異変に感づかれないというものだ。
 その夜、藍丸は早くに床に着いて夢も見ずにぐっすりと眠った。

465風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:03:25
 翌朝。
 昨晩早くに眠ったためだろう。
 雷王に起こされる前に藍丸は目覚めた。
 薄らと瞳を開け……そして、途方に暮れた声で呟いた。
「……何だ、こりゃあ……」
 朝だというのに辺りが薄暗い。
 まるで一枚の膜が張られたように視界がはっきりとしなかった。
(まだ調子が戻らねえのかよ)
 一気に目が覚めてしまった彼は、隣を見る。
 視界は悪かったが、隣の布団はすでに空だ。
 雷王は朝が早いので、確認するまでもないのだが。
「よし、まだ大丈夫だ」
 立ち上がり、目を凝らして部屋内を見回す。
 今のところは普通に動ける程度に視力はある。
 ただ、全体が薄暗いので躓かない様に気をつけなくては。
 そうこうしているうちに慣れ親しんだ気配が近づき、襖が開かれる。
「…雷王」
 鼓動を早めながらそっと名を呼ぶ主に、雷王は息を呑んだようだった。
「藍丸、珍しいな。自分で起きるなど……」
 とりあえずは気付かれていない。
「俺だってなあ、あんな早く寝れば嫌でも早く起きるぜ」
 藍丸は平静を装って返事をした。
「早起きは三文の得と言う。これからもこうであって欲しいものだ」
 薄く笑い、雷王が近づいてくる。
 藍丸はそれ以上何も云わず、雷王の着付けを受ける。
(あんま、雷王が見えねぇ……)
 きびきびした様子で着替えさせてくれる雷王を見下ろし、内心で溜息を吐く。
 治りが遅い。
 妖の血以外にも、何か原因があるのだろうか?
 しばらくこのままなのか。
 それともこれからずっと……?
「……!」
 背筋がぞっとしたが、それでも雷王には言い出せなかった。




 どうにか朝餉も皆に気づかれずに過ごし、その間に藍丸はこの先のことを考えた。
 幸い今日は雷王一人の仕事がある。
 彼がいないうちに……まだ身動きが取れるうちに、どうにか手を打っておかなければ。
 桃箒に外出の旨を伝え、藍丸はある場所に向かっていた。
 そこは―――。
「おや、藍丸ではないですか」
 江戸一番と言われている呉服問屋から出てきたのは、美しき古代帯の妖。
「…よう、襲」
 朝よりも確実に暗く狭まった視界で彼をとらえ、微かに笑う。
 いつもと様子の違う藍丸を、襲は訝しげに見つめ……そうして目を瞠る。
「藍丸、目をどうされたのです?」
「…やっぱ、襲にゃばれちまうか」
「嘉祥様をお訪ねになられたのでしょう? さあ、とにかく中へ」
 力なく片笑む彼に肩を貸し、襲は奥へと誘った。

466風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:03:36
 客間に通され数刻もせぬうちに屋敷の主であり、古くからの羽織でもある嘉祥が姿を現した。
 襲からすでに話は聞いているのだろう。
 藍丸が何かを言う前に、顎を掴まれ上を向かされた。
「…これは難儀な」
「わかるのかよ?」
 先程よりも症状は悪化しているようで薄ぼんやりとしか見えないが、嘉祥の整った顔が顰められたのはわかっ
た。
「これは、昨日私が依頼した妖に?」
「……ああ。あいつの吐いた血を顔に受けた」
「なるほど。……藍丸、これは呪いだ」
「呪い?」
 思ってもみない言葉を聞かされ、藍丸は瞳を瞬かせる。
「そなたの目に断末魔の怨念がこびりついておる。……このまま放っておけば失明するところだったぞ」
「なっ…!」
 一時的なものだと思っていた藍丸は、びくりと肩を震わせる。
「あの妖は力は弱いが精神力が並外れておる。くれぐれも油断せぬよう忠告したはずだが…」
 嘉祥の苦言に、藍丸は言葉もない。
「……詰めが甘かったのは認める」
 しばらく沈黙したのち、素直に認めた。
 嘉祥は目を細め、小さく息を吐くと彼の顎から手を離した。
「ま、この私を頼ったのは正解だ。新人の羽織にはいい薬にもなっただろうて」
「…くそ」
 嘉祥の正論に、藍丸は返す言葉もない。
 向かいに腰を下した嘉祥は、そんな藍丸をじっと眺める。
 そして。
「時に藍丸、雷王はこのことを?」
「あいつには何も話してねぇ。心配させることもないしな」
「…ほう?」
 藍丸が本心を述べていないと悟っているのか、嘉祥の口調は意味ありげだ。
 それに苛立ちつつも、藍丸は釘をさしておく。
「雷王には内密に頼むぞ。知られたらもっと大事になっちまう」
「それでここを訪ねたのか。…ふむ。いいだろう」
 嘉祥は一つ頷き、再び藍丸へと近づく。
「元は私がした依頼だ。貸し借りはなしでいいですよ」
 大旦那の口調で耳元に囁くと、滑らかな藍丸の頬に手を添える。
「んだよそれ! 貸し借りなしなんざ、俺の気が…」
 妖は貸し借りを重んじる。
 それを知らぬ嘉祥ではないはずだ。
 しかし嘉祥は頭を振り、意地の悪い笑みを浮かべた。
「まあ、私も同時にいい思いをするのだ。ちょうど貸しを返してもらえるということにはなると思うぞ」
「は? 何言って……!?」
 空いた手で瞼を塞がれ、藍丸は言葉を止める。
 閉じた藍丸の瞼に、柔らかく温かなものが触れた。
「なっ…」
「静かに。一応治療中だ」
 茶目っけたっぷりに言い、藍丸の動きを封じてしまう。
「うあ…」
 再び瞼に唇が当てられ、何かを吸い取られる感覚に眩暈を覚える。
 傾いだ体を優しく抱き留められ、もう片方の瞼にも口付けられた。
 先程と同じ感覚が藍丸を襲う。
 全てが終わった頃には座っているにも関わらずその場に頽れそうになる。
 嘉祥に支えられていなければ、為す術もなく倒れ込んでいただろう。
「大丈夫か?」
「…あ」
 とん、と背を叩かれ藍丸は我に返る。
 だるい体に鞭を打ち、のろのろと嘉祥を見上げた。
 視界はまだ、変わらない。
「手前……何しやがった?」
「人聞きの悪い。私はお前にこびりついた呪いを吸い取ってやったのだぞ」
「呪いを、吸い取る……?」
「そうだ。呪いはお前の生命力と同化していたからな、それごと吸わせてもらった」
 体のだるさはそのためか。
「呪いを吸い取ったって、お前は大丈夫なのかよ?」
「おや、心配してくれるのか?」
 やけに嬉しそうな嘉祥の声に、藍丸はつい憮然としてしまう。
「俺のせいでお前に何かあったら襲に申し訳ねぇだろ!」
「そう言うことにしておこうかの」
 ふふ、と笑みを浮かべる。
「呪いのことは気にするな。私も長く生きる妖。この程度の呪いではどうともならん」
「…悪かったな、若輩者で」
「経験ばかりはすぐにどうにかできるはずもない。精進することだ」
「……」
 何も言い返せない。
 だるい体も嘉祥に預けたままだ。

467風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:03:46
「逆に、私は若い生命力を頂けたのだ。貸し借りなしで問題なかろ?」
「…確かに、な」
 これならば藍丸も文句はない。
 己を奮い立たせて嘉祥から身を離す。
 座り直す藍丸を、嘉祥はどこか残念そうに見つめた。
「体が辛いだろう。ここで休んでいくといい」
「いや、いい。そろそろ雷王が帰ってくる。…世話になった」
 立ち上がる藍丸を、もう嘉祥は引き留めはしなかった。
「視力はこれから徐々に回復していく。それまで大人しくしていることだな」
 ふらつきながらも部屋を出て行く若き羽織の後ろ姿を見送る。
「嘉祥様」
 見計らうように現れた襲に、嘉祥は小さく問いかけた。
「なあ襲よ。雷王は羽織の異変に気付くと思うか?」
 すると、襲は間髪容れずに答えた。
「もちろんでございます。でなければ、羽織にお仕えする資格などございません」
「ふむ。……では、藍丸の苦労も水の泡と消えるか」
「はい。藍丸には申し訳ないのですが…」
「なるほど。大目玉を食うのは必至か。…だがその前に、あそこまで視力が弱っておれば屋敷に辿り着くことも
できまい。襲、送ってやれ」
「御意」
 どこまでも状況を楽しむ己の羽織を、襲は恭しく見つめ頭を垂れた。


                                                   10.03.16up                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 


 ちょっと長くなってしまったのでぶっつり切ってみました!
 その他諸々の言い訳は次回に持ち越しということで…。

468風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:03:59
羽織の秘密・2




 襲に送り届けてもらったお陰で随分早く帰宅できた。
 しかし、嘉祥の屋敷を出た頃にはすでに陽が沈み始めており。
 そっと屋敷に戻ったが、あっという間に皆に出迎えられてしまう。
 当然、雷王の姿も。
「……すまん。遅くなった」
「藍丸、一体どこへ行っていたのだ?」
 嘉祥のところだなどと、言えるはずもない。
「腹が減ったな。桃箒、すぐ夕餉にできるか?」
「藍丸」
 雷王の問いを敢えて流せば、ぐいと腕を引かれる。
(くそ、まだぼんやりとしか…)
 雷王の姿が見られず、口惜しい。
 藍丸は唇を噛みしめ。その手を振りほどいた。
「疲れてんだ。後にしてくれ」
「藍丸、お前は…」
「桃箒、夕餉は俺の部屋に運んでくれ。今日は誰も入ってくるな」
 これ以上何か問われる前にこの場を離れたくて足を早める。
 が―――。
「っ!」
 見事に階段に躓き、転倒しそうになる。
 息を呑む一紋たち。
 だが、唯一の従者は風のように動いていた。
「大丈夫か、藍丸」
「…あ」
 大きな体に抱き止められ、藍丸は知らずに体の力を抜いてしまう。
「雷王…」
 まだ視界がはっきりしない。
 雷王の顔が見たい。
 疲れた。
 この腕の中で眠ってしまいたい。
「…藍丸?」
 雷王は焦点の合っていない藍丸の瞳を見つめ、眉を顰める。
「っ、頼んだぞ桃箒」
 ほとんど直感で不味いと気づき、藍丸は気力を振り絞って雷獣の腕から抜け出した。
 手擦りに縋るようにして、無理矢理階段を登り切った。




 自室にこもれば、そこへ足を踏み入れる者はいない。
「…はぁ」
 ようやく一人になれて、藍丸は息を吐く。
「……」
 腰を下ろし、辺りを見回すがやはりまだ視力が戻らない。
(けど、これ以上酷くもなってねぇみたいだ)
 嘉祥が言った通り、少しずつ視力は戻っていくのだろう。
「もうひと眠りすればきっと…」
「主様」
 希望を持って頷いていると、桃箒の声が耳に飛び込んでくる。
「あ、ああ! 何だ」
 驚きのため、少々上ずった声になってしまったが、その変化に桃箒は気が付いていないようだ。
「夕餉をお持ち致しました」
「よし、入っていいぞ」
 本当ならばなるべく接触したくはないのだが、この状態で膳を運ぶのは無理だ。
 そっと襖が開く音が響き、穏やかな気配が近づいてくる。
 同時にいい匂いも。
「ありがとうな、桃箒」
 近づいてくる人影に礼を述べる。
「とんでもございません! 主様は相当にお疲れのご様子。たんとお食べになって下さいませ」
「おう」
 桃箒はそれ以上何も言わず、静かに退出していった。
 胃を刺激する香りに腹が鳴る。
「…ま。時間かけりゃあ何とかなるよな」
 手探りで箸を掴み、藍丸は膳と対峙する
「ぼんやりして、どれがどれだかわからねぇ…。けどどうにか食わんとな。えっと、まず飯だ」
 きっとこの白いものがそうだろう。
 そうっと手を伸ばして茶碗を掴む。
「…ん、うめぇ」
 桃箒の作る料理はどれも絶品だが、いつもよりも更に美味に感じる。

469風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:04:10
 視力が失われている分、味覚が鋭くなっているのかもしれない。
 至極満足な様子で茶碗を膳に戻す。
「えっと次は吸い物、吸い物…」
 あまりに白飯が美味しかったから、藍丸はつい油断をした。
 探るようにではなく、普通に手を突き出してしまったのだ。
 指先は吸い物の椀に触れたのだが、勢いがよすぎてしまい。
「うわっ、あっつ……!」
 勢いよく椀が倒れ、熱い汁が手にかかる。
 唐突に襖が開け放たれたのはその時だった。
「藍丸!?」
 切羽詰った、自分を呼ぶ声。
「え、ら、雷王!?」
 視力がなくとも声だけでその主がわかる。
 火傷してしまった手を振りながら、藍丸は仰天した。
(やばい…!)
 咄嗟に身を翻し、彼から離れようとするが……。
「待ってくれ、藍丸」
 まだほとんど視力は回復していない。
 見えない視界で碌に逃げることもできない彼を、雷王は後ろから抱き込んだ。
「っ!」
「藍丸…」
 強張る細身を抱き締めて、雷王はそっと藍丸の身を反転させた。
 こちらを向かせたはずなのに、藍丸の視線はどこかずれている。
 自分を見てくれない……見ることのできない主の瞳を悲しげに見つめ、雷王は確信した。
「藍丸。お前、目が……」
「……っ」
 もう少しでどうにかなりそうだったのに、結局事が明るみに出てしまった。
 藍丸は何も言えずに俯いてしまう。
 雷王は己を責め、藍丸に危険な依頼をさせはしないだろう。
 従者の次の言葉を恐る恐る待ち構えていた藍丸であったのだが。
「あ……」
 雷王の大きく温かな手が、火傷をした藍丸の手をそっと包み込んだ。
 彼の癒しの力でみるみるうちに熱さと痛みが引いていく。
 心から安堵できる男の腕に抱かれて、藍丸はいつしか体の力を抜いていた。
 治療が終わり、雷王はそっと主の顔を覗き込む。
「いつからだ?」
「……昨日の依頼の時」
 あれほど頑なに言うものかと思っていたのに、問いかけられれば素直に答えてしまっていた。
 藍丸の言葉を聞き、雷王は低く唸る。
 そうして、再び掌が目元に近づく気配がしたので慌てて止めた。
「大丈夫だ! もう治療してもらったから」
「治療…? 今日出かけていたのはそのためか」
「お、おう」
「嘉祥の所か」
「…!」
 一つ秘密が明るみになると、芋蔓式で全てが晒されてしまう。
 雷王は何か言いたげだったが、小さく息を吐いて首を振る。
「お前の目は、元に戻るのだな?」
「ああ。呪いを取り除いてもらったから、徐々に戻るって」
「…そうか」
 心から安堵した声で頷き、再び包むように抱き締められる。
 耳元でよかったと声がした瞬間、藍丸も雷獣を抱き締めていた。
「黙っててすまねぇ」
「……私を案じてのことだったのだろう?」
 何も言わずとも、雷王は全てわかってくれている。
 そう実感して、藍丸の胸が熱くなった。
「それもある…けど」
「けど?」
「死にかけた妖相手に呪いなんざかけられちまって。俺…頼りねぇだろ? だから」
「それは違う」
「…え」
 見えない瞳で雷王を見上げようとする。
 やはりぼんやりとしかわからない。
 雷王はそんな主の頬をそっと撫で、はっきりと言葉を紡いだ。
「お前は私を庇って呪いを受けたのだ。頼りないなどとは思わない」
「雷王…」
「私の代わりに呪いを受けさせてしまった。すまない」
「お、俺が好きでやったんだ! お前のせいなんかじゃねぇよ」
 雷王に責任を感じて欲しくなくて、必死に言い募る。
「そう思えるよう努めよう……だから、お前も自分を頼りないなどとは思わないでくれ」
「らいお…」
 労わるように口付けられた。
 先程の食事と同様、見えないからこそその感触がやけにはっきりと感じられ、一気に体が熱くなる。
 唇を離し、もう一度強く主を抱きしめると、雷王は彼を解放した。

470風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:04:31
「あ…」
「まだ食事の途中だっただろう? ……手伝おう」
「う、お、おう」
 この先を期待してしまった自分が恥ずかしく、ぶっきらぼうな返事になってしまう。
 そんな主の気も知らず、雷王は彼を膳の前へと運ぶ。
「零してしまった汁は幸い膳から溢れてはいないようだ」
 雷王は手拭いで手早く膳を拭き、おかずの一つを箸で摘む。
「さあ、藍丸」
「ん」
 大人しく口を開ければ優しい甘さが広がった。
「やっぱ桃箒の出汁巻き玉子はうめぇな」
「そうだな」
 雷王は頷いてくれるが、そこで藍丸はあることに気がつく。
「雷王、お前……もしかしてずっと俺の部屋の前にいたのか?」
 でなければあのように素早く駆け付けられるはずがない。
 雷王はばつが悪そうに小さく咳払いをしたあと、それを肯定した。
「ああ。お前の様子が妙だったからな。何かあってはならぬと控えていた」
「雷王…」
 気づかれたくなかったとはいえ、あんなに邪険にしてしまったのに。
 ずっと自分を案じてくれていた雷王に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「気に病むな。私がそうしたかったのだ」
 先程藍丸が述べた言葉を、今度は雷王が口にする。
 そうして、もう一つ重要なことに気がついた。
「じゃあお前、何も食ってねえんじゃ」
「お前の夕餉が終わったら後から食べる。心配するな」
「けど、腹減ってるだろ」
「妖はそうそう飢えるものではない。大丈夫だ」
 無理矢理丸め込まれ、今度は煮魚の身を放り込まれる。
 結局藍丸は、雷王の手で夕餉を平らげた。
「…お」
 その頃には若干視力も戻ってきており、先程よりもはっきり雷王の顔が見えるようになっていた。
 何度も瞬きしながら雷王を見上げていると、彼は笑ったようだった。
「見えるようになったのか?」
「おう。まだ完全じゃねぇけどな」
「では、今しばらくの辛抱だな」
「…ん」
 隣に座る雷王の胸板にそっと身を寄せれば、すぐに抱き締められる。
「もう休んだ方がいい。眠るまで付いていよう」
「駄目だ」
「藍丸?」
 即答され、雷王は悲しげに主を見つめる。
 けれども藍丸は流されず、頬を膨らませて言った。
「お前、まだ夕餉食ってねぇだろ。俺ぁ覚えてんだぞ」
「!」
 怯む雷王に少し嬉しくなりながら、藍丸は命じた。
「いいからちゃんと飯を食え。それまでは起きててやるから」
「むぅ…」
 主の命に従ないわけにはいかない。
 藍丸の黒髪をひと撫でして、腰を上げる。
「一人で平気か?」
 名残惜しそうに問いかけられるが、藍丸は澄ました顔で頷く。
「さっきよりも調子がいいんだ、問題ないぜ」
「…そうか。ならば」
「雷王」
 膳を持ち上げ、大きな体をしゅんとさせて退室しようとする雷王を引き留める。
「飯食ったらちゃんと戻ってこいよな。視力が完全に戻った時、一番にお前の顔が見たいんだからよ」
 照れ臭い。
 視力が弱まっていても情人を直視できず、藍丸は視線を外す。
 雷王は小さく息を呑むが、この上もなく幸せそうに頷いた。
「わかった。しばし待っていてくれ」
 なぜか膳が再び下に置かれる。
 不意に顎に手をかけられ、上向いたところでもう一度口付けられた。
「…おう」
 藍丸の返事を聞き、雷王は今度こそ部屋を出て行く。
 あの様子ではすぐに戻ってくるだろう。
「そしたら早食いは体に毒だって言ってやる」
 普段、藍丸が雷王から言われている注意の一つだ。
「だから、早く戻ってこいよ。…雷王」
 まだよく見えない目で閉じられた襖を見つめ、小さく呟いた。

471風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:04:42


                                           10.04.02up                                                                                                                                                                                                                                                                


 長々とすみませんでした。雷藍でした〜。
 雷王に自分の不調を隠す藍丸を書きたくて妄想しました。
 結局バレましたが、バレる経緯が一番書きたい部分でもあったので自分的に満足です☆
 あと、何か嘉藍みたいにもなりました。楽しかったです(笑)
 今回、嘉祥と襲はとってもいい人でした。
 これがドラマCDみたいな感じだったらもう藍丸はソッコーてごm…げふんげふん。
 まだまだ雷藍は萌えどころ満載です。ネタが尽きない!

472風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:04:56
過保護雷獣




 そろそろ梅雨の季節だ。
 「ひゃー、冷てぇ」
 しとしととよく降るようになった雨の中、萬屋頭領が戻ってきた。
 今回は珍しく従者を連れておらず、彼一人で外へ出ていたのだ。
 屋敷へ戻るなり、慌ててすっ飛んできたのは桃箒ではなく―――。
「藍丸!!」
 巨体の割りに結構な速度で走り込んできた赤の従者の手には何本かの手拭い。
「おう、雷王」
 藍丸と言えば、血相を変えてやって来た従者に驚いた様子もない。
 濡れた髪をがしがし掻き回して、へらりと笑う。
「見事に雨に降られちまった」
「何を悠長な!」
 雷王は主の黒髪に手拭いを乗せ、急いで水滴を拭う。
 彼の力は強いので、当然……。
「いてっ、痛ぇって雷王」
「我慢しろ。しっかり露を拭っておかねば風邪を引く」
 続く主の抗議も無視して、雷王は持ってきた手拭いを全て使い果たす。
 その甲斐あって、藍丸は濡れ鼠ではなくなった。
「風呂を沸かしておいたからすぐに入れ」
「お、おい雷王っ」
 有無を言わさぬ力で藍丸は風呂場へと引きずられていく。
 これでは主と従者と言うよりも子と親だ。
 まあ、この二人は限りなくそれに近いのだが。
 あれよという間に連れ去られてしまった主を見送って、桃箒と蛟女は顔を見合わせ苦笑した。
「お二人共、恋仲になられてもお変わりないですよね」
「概ねお変わりないけれど……でも、雷王様が一段と過保護になられたと思わないかい?」
「……そう言えば……」
「恋仲って言うのはもっと対等なものなんだろうけど、雷王様にとっては愛しい主様が更に愛おしくて仕方がな
くなってしまったんだものね……」
「きっと、今まで雷王様はご自分を抑えていらっしゃったんですよ。その箍が外れてしまったとは考えられませ
んか?」
 二人は二人なりに雷王の気持ちを慮る。
 けれども。
「私たちの憶測通り、もし今までの雷王様の過保護振りが抑えていたものだったりしたら……」
「それはそれで、すごいですよね」
 でも相手が主様ならば仕方がない、と二人はすんなりと納得してしまった。




「湯をかけるぞ」
「わっ、ちょっと待てって! まだ心の準備が」
 風呂場に放り込まれるなり即湯を被せてこようとする雷獣に、藍丸は慌てる。
「早くしなければ風邪を引く。聞き分けろ」
「うー」
「案ずるな。いきなり頭から被せたりはせん」
「……」
 確約をもらい、藍丸はようやく抵抗をやめる。
 雷王はそんな主を見下ろして、僅かに微笑んだ。
「…何笑ってんだよ」
「いや、何でもない」
 言いながら、不貞腐れたような主の肩からゆるゆると湯をかける。
 どこか遠い目になる紅の目。
 彼がどのようなことを考えているのか、藍丸には手に取るようにわかる。
「ふんっ。どうせ俺が餓鬼だった頃でも思い出してるんだろ」
「!」
 心のうちを見事にいい当てられ目を瞠らせる雷王に胸が空いたのか、藍丸は幾分機嫌を上昇させる。
「昔からだけどさ、お前、ほんとに過保護だよな」
 幼い頃の己の話をされる前にこちらから仕掛けてやる。
 過保護という藍丸の言葉が痛かったのか、雷王はしばし言葉もなく渋面になっていたのだが……。
「……私は、過保護だったのだろうか?」
「……」
 雨に降られたくらいであのように大げさな出迎えをしておいて、この問いかけだ。
 藍丸は思わず呆れてしまう。
「藍丸?」
 いよいよ心細そうな従者の様子にはあっ、と溜息を吐く。
「お前、自覚なかったのか? その問いかけは今更だぜ」
「だが私は、それらが全てがお前のために必要な行動だったと思っている」
「! は、恥ずかしい奴」
 雷王は限りなく本気だ。
 こんな風に真剣な顔をして目の前に立たれたら、妙な気持ちになるではないか。
 それを口にしたら後には引けなくなるので言葉にはしない。
 しかし、変わらず雷王は慈愛の眼差しでこちらを見下ろしてくるのだ。
 過保護に……大切にされすぎて、くすぐったい。

473風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:05:07
「……藍丸」
 気持ちを言葉にせずとも、何だかいい雰囲気になってきた。
 二人はしばらく見つめ合い……。
 そのまま口付けするかと思われたが、思わぬ事態が起きた。
 藍丸の鼻がむずむずし始めたのである。
 その衝動はすぐに止められるものではなく……。
「ふ、ふぇっくしょい!!」
 肩に湯をかけたきり、放置状態だった藍丸の体が冷えたのだ。
「ら、藍丸!」
 それをすぐに察した雷王は慌てて湯をかける。
 何度か湯をかけ、体が温まってきたところで湯船に入った。
「……温けぇ」
「そうか」
 一息ついて、二人は改めて顔を見合わせ……。
「…くくっ」
「ふ…」
 どちらからともなく、笑いが込み上げる。
「ざまあねぇな、俺たち」
 ひとしきり笑った後、藍丸が肩を竦めた。
 主の言葉に雷王は大きく頷く。
「ああ。……風邪を引かせぬよう風呂場に押し込んだというのに、これでは本末転倒だ」
「盛り上がって我を忘れてたもんな」
 くすくす笑いながら、そっと手を伸ばす。
「?」
 伸ばされた手に触れれば、すっかり温かくなった手にしっかりと握られる。
「ま、万が一風邪引いたとしても、構わねえけどな」
「何を言うのだ」
 それをさせぬために己がいるというのに、眉を顰める雷王に藍丸はいたずらっぽく笑う。
「風邪引いたらもっと過保護にしてくれんだろ?」
「!」
 掴んだ大きな掌を己の頬に当て、はにかむ。
「お前が必要なことだって言うんだ。過保護にすんのは許してやる。……ただし、俺限定でな」
「藍丸……」
「手前は俺だけの過保護雷獣なんだからな」
 このような可愛らしいことを言われて、何もできぬ雷王ではない。
 湯船の中の主を引き寄せて、今度こそ唇を吸う。
 自分が濡れるのも構わず抱きしめれば、主の腕も首へと廻される。
 ここがどこかも忘れて、二人は互いの熱を高め合った。


 主がのぼせるのは時間の問題であったが、傍にいる過保護雷獣によって手厚く看護されることだろう。


                                                   10.02.15up                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  


 き、季節感皆無ですいませーん!!
 過保護な雷王に滾ってしまい、勢いで書きました。
 これでもかというくらい藍丸に過保護な雷王を書きたかったのですが、なんか、ちょっと弱いかもです。
 もうちょっと大事大事にさせたかった!!
 過保護な雷王が満更でもない藍丸も、セットで萌えます。
 お得なCPだな雷藍って。

474風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:05:23
雷獣の確信




 妖刀事件の後、特に大きな事件もなく萬屋は数々の依頼をこなしていた。
 今、頭領と赤の従者が江戸の町を駆けているのもその依頼のうちのひとつだ。
「待ちやがれ!」
 よく通る藍丸の声が響くも、待てと言われて待つ者がいるはずもない。
 人の賑わう商店街での捕り物は、少々厄介だ。
 加えて追うのはすばしっこい小妖怪。
 人と人との間を縫い逃げ惑う標的を少しずつ人気のない裏通りへと追い込むことに成功する頃には結構な時間
が経過していた。
「手間かけさせやがって」
 藍丸は、きいきいと哀れな声を上げる小妖怪の細い腕を掴み上げる。
「お前、ここ連日店の売り物を掠め取っているそうだな」
 彼の傍に寄り添う雷獣の王が静かに語りかけると、小妖怪は鳴くのをやめる。
 恐る恐る巨体を見上げる妖を、藍丸は鼻で笑った。
「商人たちから聞いてるぜ。手前はそうやってか弱い振りして相手を油断させて逃げ出すそうじゃねえか」
 腕を掴む手に力を入れれば小妖怪は悲痛にきいきいと鳴く。
「藍丸、少々やりすぎでは…」
「こいつが何度盗みを働いてるのかお前も知ってるだろ、雷王」
 少しくらい痛い目見せねえとわかんねえんだよ、と更に力を込める。
「こんな奴、俺の炎で消しちまっても構わねえんじゃねえか?」
 腕を握る手に立ち上る、炎の気配。
 本能的に命の危険を察知した小妖怪が、演技ではなく必死に鳴いて身を捩る。
「藍丸!」
 言い知れぬ不安を覚え、雷王は炎の気配を宿す主の手を己の掌で包み込んだ。
「…っ」
 流れ込む、緋王の炎気。
 雷王は僅かに眉を顰めたが、主の手を離さない。
 炎気が雷王へ流れたためか、彼の体温で我に返ったのか、藍丸ははっと顔を上げる。
「あ…雷王……」
 どこか途方に暮れた黒の瞳を向けられ、雷王は安堵した様子で頷く。
 そうして主から引き受けた小妖怪を締め上げる。
 再びきいきい騒ぎ出したそれを正面から睨み据えた。
「お前、今回は不問にするが同じことを繰り返すのであれば、その時は塵も残さず消えると思え」
 雷獣の凄みは、ずる賢い小妖怪を心底から震え上がらせた。
 呆気なく解放してやると、腰が抜けたのかへなへなとそこへ座り込んでしまう。
 しかし紅の双眸にはもはや眼中にはなかった。
 先程まで小妖怪を締め上げていた己の手を抱え込むようにして俯いている主をすっぽりと包み込む。
「…雷王、おれ……」
「藍丸、大丈夫だ」
 抱きしめる細身から伝わる炎の気配。
 炎気をその身に移し換えながら、雷王は囁く。
 縋るように雷王の背に手をやる藍丸だったが、すぐに彼の刺青のことを思い出す。
「! 悪い」
 己の中の炎気は遠のきつつある。
 けれどもそれだけ情人の背中を焼いている証左。
 慌てて身を離そうとするも、己を抱き締める逞しい腕はびくともしない。
「雷王、離せって」
「案ずるな。もう炎気は収まりつつあるだろう」
「けど!」
「もう少し抱かせてくれ」
「……雷王…」
 自分でも落ち着いてきたことがわかるのだろう。
 暴れるのをやめ、そっとしがみついてくる。
「すまねえ……。俺、またあいつを…緋王を抑えられなくなってるのかな?」
 あの妖刀の一件で、自分は確かに一度緋王を退けてみせたはずなのに。
「今日は気持ちが昂ぶっていたせいもあるのだろう。お前はちゃんと力を御しきれている。もっと自信を持て」
「……うん」
 最も安心できる情人の腕の中で、藍丸は幼子のように頷く。
 その様が愛おしくて、雷王は彼の額に口付けた。
「一度屋敷に戻ろう」
「けど、依頼人に報告しねえと」
 我を取り戻し、藍丸は本来の目的を思い出したようだ。
 雷王はそんな主の髪を梳いてやり、小さく頷く。
「後で私が伝えておく」
 ようやく主から視線を外し、辺りを見回すが先程まで腰を抜かしていた小妖怪の姿はない。
「本当は生けどりだったのにな…」
「結果的に逃がしてしまったが、あれだけ脅かせばもう町には現れんだろう」
 主を不安にさせぬように努め、その細身をそっと抱き上げる。
「ら、雷王」
「こちらの方が早いだろう?」
「う……」
 間近で見る情人の微笑みに頬を赤らめ、藍丸は彼の肩口に顔を埋めてしまう。
 今、彼に起こっている現状をうまく誤魔化し、雷王は風のようにその場から去った。

475風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:05:34
 主を屋敷へ送り届け、雷王は迅速に依頼人の下へ状況報告に赴く。
 妖を生け捕れなかったと言うのに依頼人である商人たちは手放しで喜んでくれた。
 これまでの萬屋の評判が物を言ったのだろう。
 礼に一席用意すると申し出があったが、雷王はそれを丁重に断った。
 理由は無論、屋敷に置いてきた藍丸だ。
 また同じことが起こった時は萬屋に一報するよう告げ、雷王は再び来た道を戻り始めた。
(藍丸…)
 考えるのは主のことばかり。
 最近の藍丸は、どこか不安定だ。
 先程のように衝動に任せて炎の力を開放しそうになったのは今回が初めてではない。
 極力気づかれぬよう振る舞ってはいたが、そろそろそれも限界だろう。
 現に本人は薄々気付き始めている。
(やはり、緋王が時折目覚めているせいか…)
 藍丸に肉体を譲り、一度は深い眠りについた緋王。
 しかし今になってなぜか彼は時折目を覚まし、表に出ている時がある。
 その影響が出ているのではないかと雷王は踏んでいる。
 藍丸は緋王が目覚めていることを知らない。
 それも今回の危うい状況を作り出している一因になっているに違いない。
(緋王が心を決めるまで待っていたかったが……そろそろ潮時か)
 思考を巡らせているうちに、見慣れた長屋が視界に飛び込んでくる。
 屋敷で休んでいる藍丸が気になって、それについて思案するのをやめた。




「雷王様、お帰りなさいませ」
 屋敷に足を踏み入れると、すぐさま桃箒が出迎えてくれる。
「桃箒、藍丸はどうしている?」
 それに頷き、雷王は何より気になる問いかけをした。
「はい…。夕餉は少し召し上がられたのですが、すぐにお部屋の方へ」
 彼もまた、主の異変に気付いているようで、表情を曇らせて答える。
「そうか」
「雷王様、主様は……」
「案ずるな。少々調子を崩しているだけだ」
「…はい。そう、ですよね」
 桃箒は尚も何か言いたげだったが、雷王の様子を見て思い留まったようだった。
「藍丸の様子を見てくる。調子が戻っていれば小腹も空く頃だろう」
 そう言葉を続けると、桃箒はぱっと顔を上げる。
「は、はい! ではいつでもご用意できるように準備して参ります」
 己の本分で主の役に立てることを、この心穏やかな妖は何よりの喜びとしている。
 少しだけ表情を和らげて頭を下げ、すぐに踵を返す。
 瞬く間に小さくなっていく後姿に目を細め、雷王も歩き出す。
 当然、向かうは寝間だ。
「藍丸、入るぞ」
 襖を開ける前に声をかけるが、応えはない。
 眠っているのかと静かに襖を開けるが……。
「いない…?」
 薄暗い部屋の中を見回すが、主らしき姿はなく、気配もないので、ここに主がいないのは間違いない。
 ここでないのならば……。
 雷王は取り乱したりせず、次に心当たりのある場所へと移動する。
 それは、寝室と同じくらいに行き慣れた部屋……雷王の自室。
 予想通り、主はそこにいた。
 いつもの通り、雷王の緞子判を抱えて横たわっている。
「……藍丸」
 己が不在の際はいつもそうやって眠る主が愛おしく、手を伸ばすも。
「っ」
 触れて、眉を顰めた。
 熱い。
 主の体は燃えるように熱かった。
 体調を崩してのことではない。それは、紛れもない緋王の炎気。
「……う…」
 情人の匂いに包まれているというのに、藍丸は痛みに耐えるような苦悶の表情をしている。
 炎気に呑まれまいと無意識に抵抗している証左だろう。
「暴走とまではいかぬが……」
 常に炎気を纏ったままの状態である藍丸の消耗は思った以上に激しいようだ。
 主を抱き起こし、喘ぐ唇を塞ぐ。
「んっ……ぐ…」
「っ……」
 その身に宿る炎気を刺青へと移し換える。
 幸い主は眠っているので大した抵抗もされずに炎気を吸収することができた。
「……この程度ならば、まだ」
 額に浮いた汗を拭い、小さく呟く。
「……ん」
 直後、藍丸が身動ぎした。

476風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:05:46
 雷王の腕の中で寝返りを打ち、うっすらと瞳が開く。
「目が覚めたか?」
 何でもないように声をかけると、主はゆったりと瞬きを繰り返した後に雷王を見上げた。
「らいお……戻ったのか」
「ああ。依頼は無事完了した」
「そっか…」
 それだけ言うと、従者の腕を抱きしめる。
「どうした、やけに甘えてくるな?」
「……」
 少しからかってみたが、藍丸は何も言わない。
 ただ身を寄せてくる主に、紅の瞳が細まる。
「桃箒から聞いたぞ。あまり夕餉を食べなかったそうだな」
「ちっと、食欲なくてさ」
「今はどうだ? 軽いものであればすぐに用意できると桃箒が言っていたが」
 ばつが悪そうに目を伏せる彼の頬を撫で、諭すように進言する。
「そうだな。何か、ちょっと寝たら腹減ってきたかな」
 その身を苛む原因がなくなり、調子が戻ってきたようだ。
 雷王は安堵の息を吐き、主からそっと身を離す。
「ではそのように桃箒には伝えておこう。お前はもう少しここで休んでいるといい」
「…おう」
 藍丸は素直に頷いて、再び雷王の緞子判を抱きしめ横になる。
 艶やかな黒髪をひと梳きして、雷王は一度部屋を出た。




 こうして持ち直しはしたが、またいずれ炎気は主の体から滲み出てくることだろう。
 雷王がいくら炎気を吸い取っても、これではきりがない。
(どうにかして緋王と接触する必要があるか……)
 桃箒の夜食を食べた後、瞬く間に眠りに就いてしまった藍丸を寝間へ運びながら、雷王は思案していた。
 しかし、緋王と対面するにはどうしたらいいのか。
 呼びかけで素直に現れてくれるとは思えない。
 かと言って、いつかの嘉祥のような強引な手段に出るのは論外だ。
「……どうしたものか……」
 無邪気な寝顔に心癒されつつも、雷王は小さく溜息を吐いた。
 だが、その好機は思いもかけず早くに訪れたのだ。




 藍丸を寝間に運び、雷王もすぐに床につく。
 主の様子を窺いつつも、いつしか彼も眠りについていたようだ。
 しかし、数刻で目が覚める。
 隣で眠っていたはずの主の気配が唐突に消えてしまったからだ。
「藍丸!?」
 飛び起きて、主不在の床に手を突く。
「まだ温かい…」
 彼が寝間を出てそれほど時間は経過していないようだ。
(だが、なぜ藍丸が部屋を出たことに気づかなかった……?)
 眠っていたからというのは、妖である雷王の理由にはならない。
 どうにも不可解だったが、今はそんなことを考えている場合ではない。
 雷王もすぐに腰を上げ、寝間を出る。
「……!」
 すると、藍丸とは別の気配を感じ、雷王は息を呑んだ。
 まるで雷王を誘うかのような、あからさまな気配だ。
「……」
 彼の足は真っ直ぐに奥の間へと向かう。
 襖を開けば冷えた空気が部屋を満たしていた。
 それもそのはず。
 外へと続く障子が全開になっており、柱に身を預けた主が夜の帳の下りた空を見上げて煙管をふかしていた。
 現れた雷王など見向きもせずに、静かに煙を吐き出す。
 夜の闇に極楽蝶が輝きながら舞い踊る。
 それはとても幻想的で美しい眺めだったが、雷王の視線は動かない。
 真っ直ぐに主を見据えたままだ。
「……緋王」
 低い声で、もう一人の藍丸の名を呼んだ。
「ふん。ここまで膳立てすれば嫌でも感づくか」
 変わらずこちらに視線を向けもせず、藍丸の姿をした緋王が言葉を返した。
 雷王は驚く素振りも見せず、彼へと近づく。
「夜着が乱れている。……このように冷たい空気の中にいるのだ。きちんとしなければ風邪を引く」
 しどけなく乱れた夜着を整えれば、ようやく緋色の瞳が従者に向けられる。
「一々小うるさい獣だ。我は炎の羽織。この程度の冷気で風邪など引かぬ」
 うっとしげに従者の手を跳ね退ける。
「体の主導権を握っているのは藍丸だろう」
「半妖だから危ういと? あやつも舐められたものだな」
「そういうことを言っているのではない……むぅ」
 藍丸に対する時と同じように小言ばかりを述べてしまっていた。
 それに気が付き、雷王は言葉を止めてしまう。

477風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:05:57
 緋王はそんな従者を見上げ、挑発するように片笑む。
「どうした? もう小言は仕舞いか」
「お前は私の小言を聞きに現れたわけではないのだろう?」
「……」
 敢えて問いに問いで答えれば、緋王は不機嫌そうに従者を睨む。
「緋王?」
「汝こそ、我に聞きたいことがあるのではないのか?」
「!」
 つまり、彼は雷王の様子を察して現れたということか。
 自分から表に現れた緋王に、目を瞠る。
 緋王はしばし驚く雷獣をつまらなそうに眺めていたが、再びそっぽを向いてしまう。
「話がないのならば我は戻るが?」
「ま、待て!」
 さっさと瞳を閉じてしまう彼に、雷王は慌てた。
 すると伏せた瞼を上げ、再び視線が戻る。
「話すがいい」
 尊大な態度と口調だが、それが緋王であるので全く腹は立たない。
「最近、藍丸が不安定だ。お前が関係しているのだろう?」
 問えば、緋王は無言で口角を上げる。
 どうやら質問の内容は予想済みだったらしい。
「いかにも。我が表に出ることが増えたためだろうな」
 あっさりと認めた。
「……やはり」
 当人から確認を得て、雷王は俯き唸る。
 そんな従者を面白そうに眺めつつ、緋王は口を開いた。
「それでどうする。再び我を封じてみるか?」
 揶揄するような口調に、雷王は顔を上げた。
 じっともう一人の主を見つめていたが……やがて首を横に振る。
「いや。その必要はないだろう」
「……」
 この返事は予想したものとは違っていたようで、緋王は訝しむように雷獣を見やる。
 彼の視線を受け止めて、雷王は言葉の続きを紡いだ。
「お前はもう、藍丸を消滅させようとは思っていない。……封じる理由が見当たらない」
「これからも好き勝手にこの体を使っても構わないと?」
 挑むような口調。
 緋王は一体、雷王にどのような言葉を望んでいるのだろう。
「そうなれば、お前の行動は藍丸に知れることになる。好き勝手と言うわけにも行くまい」
「ふん、この半妖が我の行動を把握できるとでも言うのか」
「あまり藍丸を見くびってもらっては困る。あやつもお前と同じ羽織と呼ばれる存在なのだから」
「……」
 今の炎気を持て余した状態も、時が経てば体に馴染むようになるだろう。
 その頃には己の中の緋王が目覚めていると気づくはずだ。
 ここで初めて二人が向き合い、これからが決まる。
 それは決して、どちらか片方が舞台から去るためのものではない。
 緋王と話をして、そう確信した。
「随分とあやつを評価しているようだが……果たしてそううまくいくのか?」
 彼が考えていることを、緋王も察したようだ。
 もう一人の己のことを嘲るように鼻で笑う。
 しかし、雷王はそれに対して抗議することはなかった。
 むしろ微笑ましそうに目を細める。
「それは近い将来ではっきりするだろう」
「よかろう」
 火鉢に吸殻を落とし、立ち上がる。
「汝がそこまで言うのならば様子を見てやる。……見込み違いであればこの体、我が好きに使うまで」
「そのような事態には成り得ない」
 迷いない断言に、緋王は不快げに顔を顰めた。
「話は終わったな。我は戻る」
 まだ熱を持っている煙管を躊躇いもなく雷王へ放り、目を伏せる。
 煙管を受け取った頃には主の細身は傾いでおり。
「…藍丸」
 心地よさそうに眠り込んでいる主を片手で抱きしめて、愛おしげにそっと名を呼ぶ。
 緋王と藍丸。
 雷王にとって、そのどちらともが惹かれた主だ。
 この先彼らにどのような変化が起ころうとも、愛しい主であることに変わりはない。
 決して悪い方へは向かうまいと妙な確信を持ちながら、彼の黒髪に唇を寄せた。


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 緋王が時々表に出てくるよシリーズ(長)でした!
 この話の雷王は、何かもう達観しちゃってますね。
 もしまだ続くのであれば、この三人のドタバタになっていくのかなー。
 その前に、そろそろ藍丸と緋王を対話させたいです。

478風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:06:10
金鍔男子・1




 妖は、半永久的と言ってもいいほどの長命だ。
 雷王はもちろん、半妖である彼の主も同様。
 妖刀事件を経て、想いを通じ合わせた二人が共に時を過ごし早300年。
 江戸は東京という名に変わり、人間たちも随分と様変わりした。
 それでも変わらぬものはある。
「雷王! こっちこっち」
 某有名百貨店に出向いた藍丸は、うきうきした様子で従者を手招いた。
 上機嫌の主に、雷王は薄く微笑む。
 外見がいいところで二十歳前後にしか見えぬ藍丸と、身の丈が2メートルという長身の雷王という取り合わせ
は、はっきり言ってとても目立つ。
 一件強面の雷王に藍丸が気易く声をかけているのだ。
 何も知らぬ周囲ははらはらと成り行きを見守ってしまう。
 しかし本人たちは気にすることなく会話を続ける。
「早く行かねえと満席になっちまうって!」
「ああ、そうだな」
 彼らは親子のように仲良く寄り添って、とある店舗に入って行った。
 店の名は「大黒屋」。
 今も昔も変わらぬ、藍丸が贔屓にしている甘味屋である。




 やはり大黒屋は客で込み合っていた。
 予想通りの満席だったが、数分後に運良く二人掛けの席が空く。
 茶を運んできた店員に、すぐオーダーする。
「金鍔4つと期間限定の金鍔2つな」
「かしこまりました」
 早速茶を啜りながら、藍丸はそわそわと店内を見回している。
「さすがは大黒屋だよな。とうとう東京の有名百貨店に店舗構えるなんてよ」
 本店は変わらず浅草にある。
 藍丸一紋の拠点もまた浅草。
 それだというのにわざわざ支店に赴いた理由とは。
「開店記念の紫芋金鍔、ここでしか食えねえんだもんなあ」
 にくいことしやがると緩む頬を押さえる。
 齢300歳を越えるというのにこの無邪気さ。
 いつまでも変わらぬ愛しい主に、雷王は小さく肩を震わせた。
「楽しみにしている割に、自分ではお目当てを頼んでいなかったようだが?」
「どんだけ時が経とうが俺の一番は大黒屋のノーマルな金鍔だ。お前も期間限定気になるっつってたろ、一個交
換してくれよ」
 金鍔は一日4個までというルールは今でも変わっていない。
 ならばそのうちの一つを期間限定のものにすればいい話だが、大黒屋で金鍔を頼む時は必ずいつもの4つと妙
なこだわりがあるらしい。
 それを見越し、雷王は期間限定のものを所望したというわけだ。
「仕様のない奴だ」
「へへ、決まりだな」
 藍丸が手を叩いたところで店員が注文の品を運んできた。
「お待たせ致しました」
「待ってました!」
(…本当に、変わらぬ)
 何千何万と繰り返されてきた光景に、雷王はそっと微笑んだ。

479風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:06:20
「ほら雷王」
「ああ」
 差し出された皿を受け取り、自分の皿の金鍔をひとつ交換する。
 四つの金鍔を綺麗に四等分して、主に返した。
「ありがとな! へへ、まずは期間限定を…」
 竹串で欠片を刺して、一口頬張る。
「んー、美味い。餡の金鍔も格別だが、芋もなかなか…」
 幸せそうに吟味するその様子。
 それは見る者をも幸せな気持ちにさせるものだった。
「お前を見ていると、自然と金鍔が食べたくなるな」
「ふぉっか?」
 残りの芋金鍔を頬張っているので藍丸の発音は危うい。
「藍丸、物を食べながらしゃべるのは…」
 いつも通りの雷王のお小言に、藍丸は温くなった茶を流し込む。
 タンッと湯飲を置いた後、半眼になって恋人を睨んだ。
「んだよ、元はお前が話しかけてきたんだろ?」
「む。それはそうだが……」
 しまったとばかりに黙り込む雷王に、藍丸は吹き出した。
「って言ってもせっかくの金鍔を互いに黙りこくって食べるのも詰まらねえ。ほどほどに気をつける」
「…私も間を読んで話しかけよう」
 こうして二人は歩み寄り、顔を見合わせ笑う。
 あっという間に一つ目を平らげて、藍丸は二つ目である普通の金鍔に手をつけた。
「おっ、これこれ。やっぱ大黒屋の金鍔はうめえなぁ。本店と味変わんねえし」
「…そうだな。いつまでも変わらぬ懐かしい味だ」
 藍丸のようにがっつくことはせず、雷王はのんびりと金鍔を楽しんでいる。
「何百年も同じ味を守り続けるってのは並大抵のことじゃねえ。……俺は大黒屋に惚れ直したぜ」
「藍丸にそこまで言わせるのだ。これからも大黒屋は安泰だな」
「へへ。俺は三百年以上も大黒屋のファンだからな」
 この手の会話は人が賑わう空間の中ではし辛い。
 小声で囁き、三つ目に手を伸ばす。
 その間に雷王はようやく期間限定を吟味する。
「ふむ。甘すぎず上品な味だ」
「だろ? どっちかって言うと、それは雷王向きだよな」
 今度はきちんと口の中を空にしてから語りかける。
「やはり軍配はいつもの金鍔か」
 紅の双眸を細めてそう言えば、主は迷いなく頷いた。
「おう。こっちも美味いんだけどな。俺はやっぱこっちだ」
 最後の一つを大切そうに頬張る。
 それを見、雷王は近くを歩く店員に声をかけた。
「すまない、茶をお願いできるだろうか」
「はい」
 主が金鍔を完食する頃には温かなお茶が用意されていた。
「……はあ、美味かった」
 これまた幸せそうに茶を啜り、ほっと息を吐く。
「それはよかったな」
「もう一回くらい芋金鍔食ってみたいぜ」
「ならばまた通えばいい。まだ期間はあるのだろう?」
「おう、今度仕事の帰りにでも寄ろうぜ」
「承知した」
 まだ店内は混み合っている。
 食べ終わったのならばそろそろ席を立った方がいいだろう。
 レシートを掴み、レジへと向かう。
 ショーケースに並んだ甘味たちを、主が輝く瞳で見つめている間に清算を済ませる。
「藍丸」
 終わったぞと声をかければ、黒い瞳は未だキラキラと輝いている。
 ……これは。
「なあ雷王」
「桃箒たちの土産だけならば了承しよう」
「うっ」
 先手を打たれ、言葉に詰まる。
「今日の分はもう食べただろう?」
「わ、わかってらぁ」
 この様子ではあわよくば一二個余分に買うつもりだったに違いない。
(こんなところも変わらず……か)
 だが、こうでなくては藍丸ではないという気もする。
 金鍔については譲歩するつもりはないが。
 せっかくなので期間限定の金鍔を一紋分購入し、二人はようやく店を出た。

480風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:06:30
「なあ雷王」
「どうした?」
 隣合って歩く主に視線を向ける。
「いつも付き合ってくれてありがとな」
「!」
 突然感謝され、雷王は言葉を失う。
「お前、俺みたいに甘味が好物ってわけでもないだろ?」
 驚いている雷王を見上げ、藍丸は照れ臭そうにそっぽを向く。
 雷王は可愛らしい主の様子に目を細め、黒髪に手を伸ばす。
「お前が甘味目的で店を訪ねるように、私にも目的はある。……だから、気にすることはない」
「目的?」
 ピタリと藍丸の足が止まる。
 撫でてくる大きな掌をどけて、彼を見上げた。
「お前は幸せそうに甘味を食べるだろう? 私はそれを眺めるのが好きなのだ」
「っ…!」
 面と向かって口説かれた。
 藍丸の頬が一気に赤くなる。
「藍丸?」
 しかも、この雷獣は無自覚なのだ。
 無意識に口説かれるこちらは堪ったものではない。
「ば、ばっかやろ…」
 今すぐ抱きつきたい気持ちになったが、こんな往来では到底無理だ。
 代わりにむんずと丸太のような腕を掴み、歩き出す。
「藍丸…」
「怒ってねえからな」
 長い付き合いだと言うのにすぐ誤解するのでピシャリと言っておく。
「…な、雷王」
 大きな体が更にしゅんとなったので、フォローのつもりで最後にこう付け加えた。
「次の仕事と言わず、近いうちにまた来ようぜ」
「ああ。そうだな」
 最終的には大きな掌が主の手を包むように握りしめ。
 結局二人はそのまま手を繋ぎながら家路に着いたのだ。


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 現代編de雷藍でした☆
 普通にデートでしたね、デート。
 現代でも金鍔を食べる藍丸と、金鍔を交換しあうラブい雷藍が書きたかっただけの妄想でした。
 全然R18のかけらもない!ごめんなさい!!
 そして実はこの金鍔男子、もう一話続きます。まさかの連作(汗

481風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:06:44
まじない




 健やかな寝息が、突如苦しげなものに変わった。
 雷王はそっと目を開け、隣で眠る主の様子を窺う。
「う……ん、」
 主は何度も寝返りを打ち、唇からは呻きが漏れる。
「―――っ!」
 耐えきれず、やがて飛び起きた。
 藍丸は半身を起こし、肩で息をしながら震えている。
 だが、雷王は動かない。
 荒い呼吸がおさまり主が落ち着きを取り戻した頃、彼はようやく身を起こすのだ。
「…藍丸」
 やんわりと声をかければ大袈裟なほどに大きく肩が揺れる。
「雷王…」
 振り向いた拍子に額から汗が流れ落ちた。
 雷王は枕元に置いてあった手拭いでその雫を拭ってやる。
「今日も……か?」
 気遣わしげに尋ねれば、藍丸は小さく頷いた。
「ああ。またあの夢だ」
 力無く笑う主が痛々しい。
 手拭いを端へ置き、その細身を抱き寄せる。
 妖刀事件が終わってから、藍丸はこうして夜魘されるようになった。
 決まって同じ夢を見るのだと言う。
 その夢とは過去に犯した罪の再現。
 遊び友達を焼き殺してしまった、あの悪夢だ。
 連夜続くこともあれば、時折の場合もある。
 当初はすぐに主を起こし、夢から引き戻していたが、やがて彼は雷王に命じたのだ。
 魘されていても決して起こすな、と。


 焼かれゆく童子。
 手を下した己。


 何度も罪を突き付けられる。
 藍丸はその責め苦を受け入れたのだ。
 それが唯一の贖罪なのだと信じて。
 ひた向きに罪と向き合おうとする主を、雷王は強く抱きしめる。
「大丈夫だ。ごめんな、心配かけ通しで」
 宥めるように広い背中へ腕を廻す。
 雷王は緩やかに頭を振った。
「お前は強い。私が案じる必要などないほどに」
 だから重荷に感じることはないのだと続ける。
「…おう」
 心から安堵した様子で情人に寄りかかり、藍丸はゆっくりと息を吐く。
 雷王はそんな主を癒すように額へ唇を押し付ける。
 親が子供にするようなそれに、雷獣の腕の中で藍丸はくすくすと身を震わせた。
「お前にこうされるとすげえ落ちつく。…俺の居場所はここだって思える」
「それは光栄だ」
「きっとお前がいてくれるから、俺は平気なんだ」
「藍丸…」
 彼の言葉に胸が熱くなる。
 自分には勿体無い言葉だ。
「それに俺が日に何度もあの夢を見ないのは、お前のまじないのお陰……なのかもな」
 だんだんと眠くなってきたのだろう。
 言葉に抑揚がなくなってきている。
 更なる眠りを促すように髪を撫でてやりながら、雷王は少々驚いた。
 確かに藍丸は悪夢を見た晩、一度目覚めれば再び同じ夢は見ない。
 それが唯一の救いだと思っていた。
 まさか、彼からそんな風に思われていたとは。
 もちろん雷王にそのような力はない。
 ただの偶然と言ってしまえばそれまでだ。
 だが。
「お前がそう思ってくれているのならば、そうなのだろうな…」
 腕の中で完全に眠ってしまった主を覗き込む。
 その前髪を掻き分け、願いを込めて唇を落とす。
 今夜もきっと、悪夢が再び藍丸を苛むことはないだろう。


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 というわけでFDカウントダウンその5でした。
 やっと当日…!
 そして当日なのに薄暗い話ですみません…。
 雷王にでこちゅーさせたかったんだもん!
 とにもかくにも、藍丸捕物帳発売おめでとうございます!!!!!

482風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:07:00
雷王


雷王ルートED時における主人公の属性 : 半妖の藍丸。
展開 : 擬似親子から永遠の伴侶。


雷王の低ーい声が好き。とにかくエロい。セクシー‥。
個人的に最強無比のルートだと思っています!



ある日のんびりと空中遊泳していたときに突如〝惹かれ〟て、あわや半妖に従属してしまいそうになった雷獣の王。
そこで羽織格〝緋王〟の存在を認めるも〝藍丸〟の母親の願いを律儀にも聞き届け、引き取った子供が〝人間社会〟で暮らせるよう、その養育と躾全般を担うことになった。
以来、外見・そして本来もった荒々しい性質からはおよそかけ離れた役目を負わされたにも拘らず、嫌な顔一つせず、父親のような存在感と母親のような細やかさで、藍丸を見守ってきた。

‥二十歳を過ぎた(?)今でも一人で着替えも出来ないほど超・甘々に育て上げた張本人(笑)。
たまに見せる藍丸の反抗的な物言いから、ときに厳しく教え諭すこともあるような感じだが、それでも基本的には上げ膳据え膳な若様ライフを提供している。
雷王の躾の概念にどうやら、〝自立させる〟というコンセプトは含まれていないらしい‥。
しかしながら萬屋を営んで社会貢献させているあたり、人間として暮らさせるために〝世間体〟というものはある程度気にしていたよう。(ゆえに、ニートはさせない‥?)
藍丸が食す金鍔を切り分ける際も、いい加減自分でやれ、とも言わず至極当然という風にやってくれる。
(それは孤白も同様)


「一つ聞くが、家族ではないとすると、何なのだろうか?」
長屋 (屋敷) への帰り道、雷王が藍丸の中での己の存在意義を問いかけた瞬間から、二人の間の空気が微妙に変化し始めます。(※選択肢によっては出てこない場面)雷王が実は自分の母親に惚れていたのでは、とひそかに想い悩む藍丸。
このあたりから、雷王ルートは雷王&藍丸、二人 (だけ) の世界‥。
特に藍丸の方が、雷王のことしか目に入っていないような感じになっていきます‥。(狐さんのこともそっちのけ!・笑)
その他キャラはこんな感じ。

今日丞 → 助けてくれた良い人で終わる。あとはまったく相手にされない。
桜螺 → 藍丸の母親の生死&墓所不明、というフラグを立てた人。
七絡 → 緋王覚醒のきっかけを与えたり、宗也を喰い殺して藍丸を自責に追い詰めたりと、結果的にすべての行動が雷王を後押しした。
緋王 → 渋々ながらも再び封印され、雷王の男を上げた。


雷王と孤白。
あの狐が、一番あっさりと身を引いたのが意外なことにこの雷王ルート。
「まぁいいさ。お前の覚悟に、今は赦してやろう」
緋王覚醒の妨げとなった雷王から、爪を引いたシーンが印象的。
なんだかんだと反目しあいながら、お互いに認め合っていた節が‥。


雷王の藍丸攻略方法。

一、 膝枕をしながらうまく童心に帰らせ、警戒心を解く。
二、 母親の生死で混乱する藍丸に真摯な対応をする。 (お墓探しの事実も告げる)
三、 過去の殺戮の記憶を封印し、藍丸の心を守り続けた。
四、 〝藍丸〟が望まぬなら、と羽織格の〝緋王〟を刺青の力に恃んで命がけで封印する。 (壮絶なキスシーン‥)
五、 四で負った火傷を、藍丸が雷王の真似で唇で癒そうとするのを、「背に唇など這わせるな。あのようなことはこういう仲になりたい者がすることだ」 と、教育的指導(笑)をする。
六、 宗也の死で混乱する藍丸を一人にせず、ついに落とす。
 ※ツボ台詞→「‥‥おまえは、そろそろ私の気持ちを察してくれ」
七、 膝の上にのせて対面でにゃんにゃん。
 ※激萌えセリフ→「手荒くされたいのなら、そう言え」とか「このように育てたおぼえはないのだが」とか‥vvv

それにしても、雷王って、藍丸を膝に乗っけるの好きですね‥(笑)。



雷王ルートには、たとえ最後の選択肢だけを誤ったとしても、絶対に藍丸が七絡に攫われないというパーフェクトルートが存在します。
他のキャラにもそんなルートがあるかどうかはまだ不明‥。(色々試しましたが、未だ発見できず‥)

雷王のみ、エンディング後の挿話がありませんが、よく考えたら彼だけがオープニングで藍丸との出会いを果たしているので、それで釣り合いは取れている、のか、な?
でも欲を言えば、ぜひ欲しかった‥です。(笑)





08/10/29 MAY

483風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:07:38
◆この草紙の約束事

雷王ED後。
弧白は漂泊中につき不在。
鏡丞は、まだ本名を明かしていない。




──もうじき、日暮れ時か。
陽の傾きを見遣って、雷王は道を急ぐ。
藍丸と大黒屋の店先で落ち合う約束をしていた。
朝はともに出かけたのだが、途中から二手に分かれての仕事となった。

萬屋の二人は今、「失せ物探し」をしている。
依頼人は、とある大店の主人である。
それも、あの嘉祥と商売上の取引があるという大店である。
現に依頼は、嘉祥が仲介する形で持ち込まれた。
なんだかいやぁな予感がするぜ、と眉をひそめた萬屋の主の袖を引っ張るようにして、雷王が嘉祥に教えられた商家に直接出向いたのは、つい昨日のこと。

「たまを探してくださいな」
「は?玉?」
「いえ、たまですよ。猫のたま」

最初に失せ物探し、としか知らされていなかった萬屋の二人はしばし唖然とした。
だが、すぐさま立ち直った藍丸が「あんの狸爺めが」と口中で毒づいたのを、雷王はしっかりと聞きとめている。
嘉祥は、同業の誼と嘯いては、これまでにもしばしば萬屋に面倒事を持ち込んできている。
さあ今度は一体どんな厄介な仕事を回してきたのやら、と身構えて出掛けてきたところが、失せ物探しの「失せ物」というのは、実は主人が奥で後生大事に飼っていた猫だという顛末。
拍子ぬけするとともに、よりにもよって半妖の主に猫探しを押しつけるとは……、とさすがに雷王も呆れはてた。
もし、弧白がいれば、きっと藍丸以上に怒っただろう。

──あれは、大の猫嫌いだったからな。

今は一紋から離れ、ひとり漂泊している白く美しい妖を思い、雷王は我知らず苦笑する。
そして猫は嫌いでなくとも、少なからず萬屋としての矜持を傷つけられたか、藍丸は依頼人のもとを辞したあともずっと不機嫌だった。

「猫探しなんぞ面倒でやってられねぇってこっちに押しつけといて、見つかったら見つかったでちゃっかり手前ぇの方に恩着せようって魂胆なんだぜ、ありゃあ」
「はぁ、まったくこれだから商売人ってのは……、なぁ、雷王?」

仮にも江戸に在る羽織のひとりである嘉祥を、藍丸は屋敷に帰ってからも今度は桃箒を相手にさんざんにこきおろし、そのあとは屋敷の妖たちにも代わる代わる宥められ、挙句、気を使った桃箒がいつもより少しばかり豪勢な夕餉の菜を拵える始末だった。
それを全て平らげる頃には、主の機嫌もようやく持ち直した。

「──ま、不本意だが、奴には借りもあることだし、使われてやるか」

報酬もまぁ悪くないことだしな、と煙管で一服吹かしながら気だるげに嘯き、藍丸は傍らに座る雷王の胸にそっと凭れかかってきたのだった。

──この江戸(町)で、猫一匹。はたして、見つかるものか。

それも、たまという名の白い猫、というだけでは何の手がかりにもなりはしない。
雷王は、芳しくなかった今日一日の聞きこみの結果を胸に、急いで大黒屋へと向かう。
おそらく藍丸の方でも、これといった成果はなかったはずだ。
きっと今頃、苛々しながら雷王が戻るのを待っているのではないか。
なにせ、大好物の金鍔を切り分けてくれる雷王がなくては、藍丸はそれにありつくことが出来ないのだから。
やっと大黒屋が見えてきたとき、ふと雷王は目を凝らした。
店の軒下にある長椅子に、二人の青年が並んで腰をおろしている。
ひとりはすぐ、主と知れた。
そして、もうひとり。
「あれは……」
知らず、ひそめるように低く呟いていた。

──あの男。確か、久慈今日丞、といったか。

公儀旗本の次男坊で、例の妖刀騒ぎの時に突如藍丸の前に現れて以来、何かと萬屋に接近してくる侍だ。
正確に言うならば、萬屋にではなく、その主に、である。
人としてあるべき気配がまったくなく、それでいて異様なほどの甘さで藍丸に構い、そしてあっさり手懐けてしまった
この男を、当然のことながら弧白や雷王は胡乱に思っていた。
弧白などは事あるごとに殺そうと言い、雷王も珍しくその意見には強く反対しなかった。
今も少しでも怪しいそぶりが見えたなら、雷王は今日丞に向かって容赦なく雷撃を繰り出すだろう。

──あやつは、気に入らぬ。

484風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:08:23
よく見れば、藍丸の膝の上にはすでに金鍔の皿が乗っている。
すべて程よい大きさに切り分けられているのは、今日丞の手によるものだろう。
二つに切り割るのでさえ覚束ないほど不器用な藍丸に出来る芸当ではない。
二人からは気づかれぬ距離から、妖の目でそれらを見てとった雷王は、今度は彼らが真剣に顔を見合わせ、一体何を話しているのかが気になり始めた。
何より、主の顔をじっと見つめる今日丞の目が、油断ならないのだ。
まるで口説き文句を囁いているかのような、熱のこもったまなざし。
それを見る雷王の、腹の底からふつふつと湧くような、この不快さ。
かつて弧白に対して抱いたことのある感情とはまた少し違ったものだが、それでも充分に苛立っていた。
藍丸と契りを交わすようになってから、雷王の欲は落ち着くどころか、日が経つほどにますます高まっている。
いつか、その細い身体を手折ってしまうのではないかと思うほどの情欲で、抱き潰すような激しさで、夜毎、獣は主を犯している。
尽きることのない、この欲望。
その分、主に近づく者への悋気も抑えがたいほど強くなっていることを、雷王は今、はっきりと思い知らされた。

──この様では、弧白のことは言えぬ……。

急く気持ちを抑え、雷王はゆっくりと彼らに近づいて行った。
それで猫は、と藍丸が口にするのが不意に耳に入ってきて、思わず雷王は眉をひそめた。
仮にも萬屋の主ともあろう者が容易く依頼の内容を他人に教えるはずはない、と思いながらも、雷王の苛立ちはさらに跳ね上がった。
先に彼に気づいたのは、今日丞だった。
「これはこれは、守り役殿。久しいね」
涼しげに整った相貌に、穏やかな笑みを浮かべながら今日丞が言う。
だが本当には笑っていないことは、その目を見れば分かる。
「お、なんだ、遅かったな、雷王。待ちきれなくてよ、先にいつもの頼んじまった」
「いつもの、というのはこの金鍔四切れのことかい?」
藍丸に応えようとする雷王を遮るように、今日丞が尋ねる。
「ああ、ここのは特別に美味くてな。四つでちょうどいい感じなんだ。ていうか、これ以上食べると雷王がうるさいからな」
「本当は四つでも多いほどだ」
雷王が憮然として言うと、藍丸はにっと笑って今日丞を見た。
「ほら、な?」
「それで、いつもは雷王にこうやって竹串で切り分けてもらうわけだ」
「そうそう。今日は代わりにやってもらったけどな」
「そうか、じゃあ……役目を取り上げてしまって、悪かったね」
と、まったく悪びれない声で今日丞は朗らかに言った。
言われた雷王は、無言で今日丞を見下ろす。
ふたつの視線が宙でぶつかり合い、火花を散らすより先に、
「ああ、美味かった。馳走さん!」
ぱんっと音を鳴らして合掌し、藍丸が言った。
その音で、雷王は、そして今日丞も、藍丸の方を見た。
「さーて、帰るとするか。雷王、ここの払い、今日丞の茶の分も払っといてくれ」
「ああ、承知」
「藍丸、待ってくれ。ここの払いなら私が……」
「いいんだ、今日丞。雷王も来たことだし、こっちが払う。今日の礼というには足りねぇかもしれねぇが」
「別に、私は」
さらに何か言い募ろうとした今日丞をよそに雷王は、ちょうど盆を下げに表に出てきた大黒屋の主人に二人分の代金を支払った。
「ありがとうございます。またお越しくださいませ」
三人の間に流れる空気など、まるで意に介していない柔和な主人の声に押され、今日丞も諦めたように立ち上がった。
「では、また会うことがあったら」
「ああ、そのときは奢ってもらう」
言いながら藍丸は、さりげない風情でそっと雷王の腕に自分の手をかけた。
雷王は、思わず今日丞の顔を見る。
ほんの一瞬、顔を強張らせた旗本の次男坊は、だがすぐにやれやれ当てられた、という顔つきでほろ苦い笑みを浮かべた。
「じゃあな、今日丞」
澄ました顔でもう一方の手をひらりと振り、萬屋の主は大柄な雷獣の腕を強く引いた。

485風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:08:44
「今日の礼、というのは?まさか、猫のことではあるまいな」
歩きながら雷王が問うと、藍丸はきょとん、とした顔つきで雷王を見上げた。
「なんで、知ってんだ。さっきの話、聞こえてたのか?」
その罪のない表情と口調に、雷王の怒りは半分ほどに萎えた。
「いいか、藍丸。依頼のことで容易く他人に頼るのは……」
「ああ、違う違う。そっちの猫じゃなくてな。宗也が七賢竹屋で飼ってた化け猫のことだ。今でも七賢竹屋のお嬢さんが、変わらず面倒見てくれてるっていうからよ」
「……すまん、藍丸。宗也や七賢竹屋の話はわかるが、それとあの武家の男とがどう関わるかが見えん」
「あ、そうか。そりゃそうだよな。ていうか、お前が最初に妙な勘違いするから」
「悪かった。最初から話してくれないか?」
「ああ、つまりな。あそこのお嬢さんってのが実は今日丞の妹なんだ。昔、七賢竹屋に養女に出されたらしい」
藍丸は、さっき大黒屋で会って初めて聞かされたらしい、今日丞と宗也の関係をぽつぽつと雷王に話した。
「──ってわけでな。結局、ふたりは想いあってたんだが、お互いそれに気づかねぇまま、宗也が……あんなことになっちまったんだ。今日丞は、それを悔いてる。もっと早く自分が何とかしてやるべきだったってな」
「そうか」
「俺も、今日丞とお嬢さんが二人して歩いてたときゃあ、てっきりそういう仲だと思いこんじまったからなぁ。やっぱりあのとき後を追っかけてりゃあ……、いや、今さらこんなこと言ったってどうしようもねぇけどな」
藍丸の声が暗く沈む。
その傍らで雷王は、そうだったのか、と呟いた。
「つまりあの男は、お前が半妖であることを、最初から知っていたわけだな」
「そう言ってたな」
「まったく、油断のならぬ」
その低く吐き捨てる声に籠った、まるで恨みのような音を聞き取ったか。
「なぁ、雷王。お前……」
そう言って藍丸が、小さくため息をついた。
「だんだん、弧白の野郎に似てきたぞ」
「……私が?」
「おうよ。さっきだってなぁ、怖え目で今日丞のこと睨んでただろ。ああいうきつい目は、弧白がよくしてた」
「…………」
「今にも殺しちまいそうな目だ」
「そうだな。今は弧白の心地が少しわかるようになった。過ぎる情というのはなかなか抑えが利かぬ、ということが」
そして雷王は、主の顔を見つめる。
人間の、母親に似たその面差し。
そして、不意に。
ああ、藍丸も知ったのか、と雷王は思った。
弧白のあの凄まじい悋気は、主への焦がれんばかりの恋情ゆえであったことを……。

──おかしなものだ。そばに在ったときより、あれのことを思うことがある。

ともに同じ存在に惹かれ、愛した妖。
その縁に引かれるように、いずれまた、主のもとに還ってくるだろうか。
永く時が経てば、また……。

「──まぁ、案外、何もなかったようなツラでけろっと帰ってくるかもな」
「ああ、弧白ならあり得る」
「……は?」

主の上げた頓狂な声で現実(うつつ)に引き戻され、雷王は目を瞬かせた。
ひとり感慨に耽っていた雷王をよそに、藍丸はずっと勝手に喋っていたらしい。
そして、雷王の返した答えはどうやら的を外したものであったようだ。
藍丸はまたも目を丸くしている。
こういう邪気のない無防備な顔がいけないのだと、主はまだまだ気づく素振りもない。
「何言ってんだ、雷王。猫だ、猫。今は仕事の話してんだ。ボケてんじゃねぇ!」
「ああ、失せ物の方か」
面目ない、と侘びる雷王に、藍丸はにっと笑いながら言った。
「まぁいつも三人一緒だったからな。俺もまだ、たまーに調子狂うが、お前でもやっぱりそうなんだな」
「そうだな。猫探しだと知った時、お前もまるで弧白のように怒っていた」
「え、そうだっけか?」
「ああ。だがあれよりは、ずっと可愛らしかったが」
「か、可愛いってなんだよ!仮にも男に向かって可愛いってのはねぇだろうがっ!」
「お前がどれほど可愛いらしいか、躰で教えてやってもいいが」
「こっ、この阿呆が!天下の往来で、なに抜かしてやがるッ!!」
「そうやって、すぐに己の感情を爆ぜさせるところとか、な」
雷王が大人の口調で囁くように言うと、揶揄われたと知った藍丸はますますいきりたった。
「雷王ッ!手前ぇッ──!!!」

暮色がせまる浅草の往来に、半妖の主の声が響き渡った──。


縁ある者
2008/11/09 MAY (G.F.P.L)

486風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:08:59
「呑み過ぎだ」

窘める、低音。
それをツンと聞き流し、藍丸は手酌でなおも注ごうとする。

「藍丸」
「だって。これうんめぇ……」

ソファの上で瓶ごと抱え込むように呑んでいるのは、桃箒特製の梅酒だ。
他にも幾種類かあるのだが、今藍丸が最もハマっているのは泡盛に漬けた三年物の梅酒である。
それも氷砂糖と黒糖とが絶妙にブレンドされたもので、今まで桃箒が漬けてきた歴代の梅酒の中で最高の出来になること請け合いの逸品である。
それだけに、酒好き+甘いもの好きの藍丸が朝昼夜となく手放さないのも肯けるが、さすがにこの有様はいただけなかった。
藍丸はもうすでに目もあてられぬほどべろんべろんに酔っぱらっている。
萬屋一紋を率いる主としての沽券にかかわる……ほどの。
そう、側近中の側近にしか見せられぬほどの。
いや、これは側近にもあまり見せられる類ではないような。
身内、もしくは伴侶ならばまぁ、致し方ないにせよ……。
とにかく、己以外の者には決して見せられぬ姿だ、と雷王は強く思う。

──見せるつもりは、毛頭ないが。

猫にまたたび、ならぬ、藍丸に酒、もしくは甘味、である。
悪いことに、梅酒はその両方を兼ね備えている。
そのうえ超絶に美味いとくれば、藍丸がこんな骨抜きになってしまうのも肯ける。
が。
そこでそうだと素直に肯いてばかりもいられないのが、雷王の雷王たる所以であり。

「呑み過ぎだ。いい加減にせぬか」

じわりと声音に叱責を滲ませてみるも、

「あ、あと一杯だけ。一杯だけ、な、雷王〜」

太い腕にぎゅっと抱きつかれ、邪気のない顔に見上げられて歎願されると雷王も弱い。
三百年もそばにいて、まだ甘やかし足りないのかと言われそうだが、こればかりは仕方がない。
藍丸を甘やかすまいとして厳しく対するのも雷王なら、気がつけばついつい、甘えられるがままに(いや、それ以上に)主を甘やかしてしまうのもまた、雷王で……。
しかも、今はふたりきり。
深夜の、雷王以外の一紋の者はすべて排され、けっして入ることの許されない奥の間ともなれば。

──多少のことなら、大目に見ても罰は当たらぬ。

現代の東京でも萬屋を商う藍丸は、もう苦労知らずの若様ではないのだから。
とはいえ。
先刻から、夜着がすっかり肌蹴てあられもない恰好になってしまっていることに、はたして当の藍丸は気がついているかどうか……。
湯上りの膚がさらに上気して、いやに艶めかしく映るのもよくない。
仮に、本人にはその自覚がないにしても、これでは誘っているのも同じ。
藍丸の雷王に対する甘えもまた、無尽蔵だ。

「では、あと一杯だけだ。いいな」

ため息をひとつ。
まるで睦言のような、耳をも蕩けさせるような低い囁きとともに許す。

「へへっ、サンキューな、雷王」

そう言って、まるで邪気のない顔で笑う主を、雷王はじわりと情欲の滲む双眸で見下ろした。

487風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:09:15
はぁ、目ぇ回ってきやがった……」
「だから、飲みすぎだと言っているだろう」

酒気に火照った藍丸の躰を背中から抱くようにして支えてやりながら、雷王は言った。

「水を飲むか?」
「……そういや、桃箒のやつ、アイスキャンディー買ってきてたよなぁ」
「アイス?」

その脈絡のなさに雷王は眉根を寄せるが、藍丸はさらに甘えた声で、

「なぁ、雷王ー、アイス食いてぇよー」
「……仕方ない。では、一本だけだぞ」
「ミルク味だぞー、チョコじゃねえかんなー」
「わかった」

こんな夜遅く、しかも風呂も済ませてあとはもう寝るだけという段になっての食への要望に、雷王は珍しく従った。
キッチンまで行き、冷凍室から箱入りのアイスキャンディーを一本取りだす。
部屋に戻ると藍丸が、さきほど雷王がさりげなく部屋の隅に遠ざけておいた梅酒の瓶にまた手を伸ばそうとしていた。

「まったく、性懲りもない……」
「い、いやぁ、その……、な!」

何が「な!」なのかよくわからないが、ため息を吐いた雷王がソファに座ってポンと膝を叩くと、藍丸は素直にその上に腰をおろしてきた。
後ろ向きのまま、藍丸の躰をしっかり抱き込む。
背中と胸板がぴたりと密着する。
ともに湯上りで、特に雷王は上半身には衣服を何も着ていない。
江戸から次々に世が移り、時が平成になっても雷王の「着ること」への苦手意識はさほど変わっていない。
昼間は仕方なく(下手をすれば犯罪者呼ばわりされるので)現代風の衣服をそれなりには着こなすものの、夜になって藍丸と二人きり、奥に下がったあとは一切かまわなくなる。
主のように浴衣を羽織ってみるか、今のようにスウェットの下のみを着けているか。
背なの刺青と、その下の壮絶な火傷痕は、余人の目には決して触れさせることはないが、藍丸の前で隠すことはもうずいぶん前からやめていた。
やめろ、と言われたからだ。
ときに一紋の主として、毅然とした態度で命じられれば、なんであれ逆らうことなどできない。
永くそばに在る雷王ですら──否、雷王だからこそ。

「ほら、藍丸……」

うすいビニールの袋を破って開けてやり、手渡してやろうとアイスのバーを摘みだす。

「ん、……」

手に取るのかと思えば、なんと藍丸は雷王にスティックを持たせたままで首だけを動かし、かぷりとその先端に噛みついた。

「…………」

赤い舌が、ちろちろと先を舐め、ちゅ、と吸ってはまた舐る。
まるで、己の先を嬲られているかのような……。

「────」

しまった、と雷王は仄かな苦さとともに思う。

──このまま酔いつぶれてしまうなら、今宵は腕に抱いて眠るだけでもよかったが。

だからといって、まるで下心がないわけではないのだ。
おかげで、今の今まで抑えていた情欲が獣のレベルにまで一気に高まってしまった。

「……藍丸」

低音が、深く沈む。
雷王は藍丸の口からアイスを離すと、その手にバーを持たせる。
そのとき、溶け落ちたわずかなアイスが、藍丸の指の上に零れた。

「冷てっ」

一瞬、びくりと肩が揺れる。
が、雷王はかまわずに後ろからその手ごと掴むと、藍丸の口にアイスキャンディーを押しつけた。

「んむっ」

アイスを口腔に深く食ませたまま、その耳朶を噛み、項に舌を這わせてきつく吸いあげる。
固く掴んだ藍丸の手ごと動かして、アイスを抜き差しする。
じゅぶじゅぶと、アイスが音を立てて藍丸の口腔を犯す。
あからさまな性の擬似行為だった。
強いられる藍丸は、いやいやをするように数度首を振る。
唇の端から、溶けて白い液になったアイスが溢れだす。
白い液が、仰のく首や胸の上を幾筋かに分かれて蛇行するように流れ落ち、藍丸の躰を撫でまわす雷王の手をも濡らす。
はしたなく肌蹴けた胸をまさぐり、甘く白い液をわざと塗って卑猥に汚した胸の粒をこねて抓むと、藍丸の肢体がびくんと仰け反る。

488風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:09:47
「ん、ぅむ、んっ」

鼻にかかった嬌声。
口をふさがれ、声を殺している分、淫らさがより一層際立つ。
が、その口中のアイスはじきに溶けてなくなってしまう。
その興趣を知ってか、藍丸もわざとのように大きく喘ぎだした。
バーを舐る感覚が、次第に弱まっていくのを感じる。

──そろそろ、なくなるか。

引き出そうとするとその名残を惜しむかのように、藍丸はバーに舌を絡ませ、強く舐った。

「…………」
「…………」

酔いも手伝ってのことか、先刻からやたら挑発的な行為を繰り返す主を、雷王は目を眇めてじっと見下ろす。
そしてくたりと躰を預けてきた主の顎を乱暴に掴み上げると、強引に唇を塞ぎ、甘い味のする舌を吸った。


   ※ 


「もう一度、風呂の支度をしてくる」

その場で抱き合い、互いに果てた後──。
雷王が言うと、まだ快感に目を潤ませている藍丸が不満げな顔で見上げてきた。

「…………」
「どうした?」
「──動けねぇ」

アイスと互いの体液とで汚れ、躰中がべたべたとして相当気持ち悪いはずだが、それよりも疲れの方が勝っているらしい。
ぐったりとソファの上で仰臥したまま、指の一本を動かすのも大儀そうな様子に、雷王はすまぬ、と謝った。

「無理をさせた。では、風呂は朝にして、今は拭くだけにしておくか」

早くも世話役モードに切り替わった情人を、藍丸はじっとりと恨めしげに睨む。

「誰も、入らねぇとは言ってねぇ」
「だが、」
「……。洗ってくれよ、雷王……」

これは戯れの続きか。
未だ酔いは抜けていないのか。
ここにきてまた性懲りもなく甘えてみせる主に、雷王もいつものごとく静かな低音で応じてみせた。

「──承知」




090722 雷藍サミット宿題/アイスェロ風味
2009/09/02 MAY (G.F.P.L) 


+++COMMENT+++

某絵茶にて盛り上がったネタ(?)ですvv
「雷藍でエッチ+アイス」という感じだったかな??(うろ覚え)
しかしそこだけで終わらず、宿題と言われたのでがんばってみました‥。(で、出来はともかく!)
一ヶ月以上経っちゃったので、雰囲気とかかなり違っているかと。(ご、ごめんなさいです〜!!)
主催のKさんいわく、このネタは「アイスェロ風味」というらしいです。
ただ単に、エロ甘バカップ‥いや、主従を書いただけのような気がしないでもー。(……)
しかも、ネタふり忘れない。笑
次はお風呂ですね、Oさんー* (私信?)
別に続きじゃなくても楽しみですvvv (ていうかこんな暴投、どう受けろと‥)

それでは、お目汚しで、大変失礼いたしました‥。(平伏)


9/20 追記

大風さんがついにやってくださいました!
アイスェロ風味のうしろに、素敵なお風呂のSSを繋げてくださいました!!
あまりの萌えと嬉しさに、読んだ瞬間から舞い上がっています‥!
このあとのお風呂での雷と藍をご覧になりたい方は、大風さんのサイトへ今すぐ!!
他にも素敵な雷藍SSがたくさんありますよ‥* →Maple(ttp://otagelpam.blog91.fc2.com/)

489風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:10:03
「……うっ……ん」

明け六つ──
膚をさぐる手指のくすぐったさに、藍丸は半分眠ったまま、物憂げな声をあげる。
夢の中でも誰かが自分を抱き、躰に触れてきていたから、その続きなのかとぼんやり思う。
夜着が肌蹴た胸の上を、悪戯する様にゆっくりと這い回っている。
むず痒いような快感が、藍丸の意識を次第に目覚めさせていく。
が、躰の奥に燻ぶっている情欲を再び掻き立てるほどの激しさはない。
むしろ、ゆるく戯れ合いを愉しむような。
じれったくて、少し意地の悪い手つきから逃れるべく、藍丸は目を開けるよりも先に手を上げ、振り払おうとする。

「……おい、こら、弧白……、やめろって」

途端、指の動きが止まった。
と、同時に躰に乗せられている太い腕の筋肉が心なしか強張ったような──────。

「えっ」

驚き、声を上げながら藍丸はハッと目を開いた。
今唐突に、己の仕出かした間違いに気がついたのだ。
目に鮮やかな紅天井。
この下で己を腕に抱いて眠ることが許されるのは、たった一人──。

「ら、らいおう……っ」

動揺しながら、その名を呼ぶ
知らず、舌足らずな声になった。

「雷王、あのなっ──」

何を言ったらいいのかもわからぬまま──それでもこの状況がマズイということはなんとなくわかる──なお藍丸は必死に言葉を継ごうとする。
が、その顔をまともに見ることもできない。
怒っているだろうか。
否、怒らせてしまったろうか。
藍丸はおそるおそる、雷王の顔を見ようとして、だが結局はその顎のあたりを見るに留まる。
それ以上目線を上げることができず、藍丸は「えー、と、その……」と要領を得ない言葉を呟き続ける。
が、雷王はそれを阻むかのように、強い力で藍丸の腰を引き寄せた。

「なっ……」
「…………」

雷王は無言のまま、きつく主の躰を抱きすくめてくる。
いつしか、仰臥する雷王の上に抱きあげられる形になっていた。
押しつけられた胸板が、背中に回された腕が、すべてが、熱い。
その熱に躰ごと浸されているような感覚が、とても心地いい。
藍丸は躰の力を抜き、全部ゆだねるように頬を擦りよせた。
──ああそうだ、と藍丸は思い出す。
この獣は、元来激しい性質なのだ。
そうと知ったのは、例の妖刀事件の折。
つまりは、つい最近のことになる。
だが、それ以前でも、藍丸の為にならぬと判断すればなんであろうと容赦はなかった。
おおいに甘やかされてきた部分もあるが、その反面、ことあるごとに叱られ、厳しく躾けられてきたこともまた事実。
が、それはあくまでも、無骨な雷王なりの真摯な親心であると、藍丸はそう信じて疑わなかった。
だからこそ、それまでは何も考えることなく思うさま甘えきり、寄りかかっていられたのだ。
が、晴れて恋仲になってみれば、雷王に対する藍丸の視点は驚くほどに変わってしまった。
たとえば……実はこの雷獣、存外に欲深で、そして嫉妬深い。
……藍丸に関する、とある事情がらみの者が聞けば「何を今さら」と鼻で嗤われそうなことだったが、それまでおぼこだった藍丸にとっては、それが仰天するほどの事実だったのだから仕方がない。
やがて、雷王がふぅ、と息を吐いた。

490風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:10:28
「……雷王?」
やっと落ち着いた藍丸が、そろりと頭を起こし、その顔を見下ろしてみれば──。

「な、なんだッ、何笑ってやがんだてめえ! 雷王っ!!」
「いや、お前のその慌てぶりが可笑しくてな」

口許に笑みを浮かべたまま、すまぬ、と雷王は言った。
「お、脅かすなよっ!俺ぁてっきり……」
「私が、怒っていると思ったか?」
「あ、いや……その」
途端に口ごもる主をさも愛しそうに見上げ、雷王はふ、と唇に新たな微笑を刷いた。
「確かに……少し驚いた。お前が幾度となく弧白に不埒な真似をされていたことは知っていたが……」
「ふ、不埒って……お前」
「それでも、万が一にもお前がその気にならぬよう、あやつも加減していたものとばかり思っていたが……」
見込み違いだったか、と呟く雷王の眸を見た瞬間、藍丸の背にぞくりとした何かが走った。
「ら、雷王?」
「あのような顔、弧白にも見せたのか?」
「え?」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
が、一拍遅れてようやく、雷王が自分を責めているのだと気づく。
「み、見せてねぇ!」
とっさに言い切ったものの、本当はあのような顔と言われても、いったいどのような顔なのか、藍丸にはさっぱり見当さえついていない。
やれやれ、とでも言いたげに雷王の眉間が僅かに顰められた。
「嘘をついてはならぬと、そう教えてきたつもりだが」
「う、嘘じゃねぇっ」
「──そうか」
雷王が、呟く。
いつもの低音よりも、さらに沈んだ声音。
たったそれだけのことで藍丸は、雷獣の情欲に火がついたことを、知る──。

「雷王!」

急に視界がぐるりと反転し、藍丸はわっ、と声を上げる。
布団の上に縫いとめられるように組み敷かれ、今度は雷王が上から見下ろしてくる。
「弧白が出て行ってからまだ間もない。だからお前は単に寝惚けて、私と弧白を間違えた……、それならばまぁ、許せなくもない」
「許せなくもって……あのなぁ!いいから聞いてくれって」
「先程から、私はお前の言葉を待っているが?」
それを慌てふためいて、ろくに説明できていないのは藍丸の方だと指摘され、ぐっと詰まる。
──そのとおりだ。
ここは、まだ獣の思考が冷静なうちにちゃんと聞きわけてもらう必要があると、藍丸は小さく息を吸った。
「だから、ついうっかり間違えただけでっ、他意はねぇ!だいたい、弧白の手は、もっと冷たくて……、でも、この俺にああいうことをしやがるのは、お前と……その、抱き合うようになる前までは、弧白だけ、で……」
「だから間違えた、か?」
「そうだって、言って、ん……、うぅ、んっ」
言い終わる前に、口づけられる。
しばらく息を継ぐ間も与えられぬほど、濃厚な交わりを強いられた。
「……っ、はぁ」
ようやく息をつけたことに安堵する間もなく、藍丸はまたも声を上げる羽目になった。
「わっ、な、何しやがるっ。もう、朝だぞ、雷王っ」
もともとしどけなく肌蹴ていた夜着をさらに脱がせていきながら、おもむろに雷王が覆いかぶさってくる。
「こ、こら、雷王っ。お天道様が上がってるってのに、こん、なっ、じき、皆も、起きだしてくる、って……っ」
「──そうだな」
「だ、だろ? わかったら、もう、放しやがれっ」
だが、と獣は、不敵な顔つきで藍丸を見下ろした。
「このように寝た子を起こすような真似をされてはな……。それに、お前がまことを言っているのか、それとも嘘をついているのか。確かめる必要もある」
「た、確かめるって。ちょ、なんだよ、しんじらんねっ、なんでもう、そんな大きくしてやがんだっ」
腰に押しつけられるものの大きさに、藍丸はぎょっとして叫ぶが、雷王は聞き入れない。
「私に火がつけば、今度はお前が口づけで構ってくれるのではなかったか?」
そうは言うものの、もはや口づけだけでは済まさぬ、とその表情やら手つきやらがすでに示している。
それがわからないほど、藍丸も阿呆ではない。
「だ、だって、昨夜もさんざん、しただろう、が!」
「仕方がない。私を煽るお前が悪い」
「だから、いつ煽ったよ?」
それが藍丸にはわからない。
本当にさっぱりわからない。
わかっていることは、己がこれから、この雷獣に喰らわれるのだということ。
どんなに抵抗をしても──。
……藍丸が、本気で強く拒まぬ限りは。

(結局、俺もかなり期待しちまってんじゃねぇか……)

話の流れはどうあれ。
雷王の巨躯に自ら縋るように抱きつく己に気づき、藍丸はそっと、艶のある自嘲の笑みを浮かべた──。


枕話
2009/10/05 MAY (G.F.P.L)

491風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:10:47
美しい獣

背中の封印の刺青は使い物にならないほど損傷した
広い背一面が埋まれば、胸に腹部に封印の箇所は移される
使い物にならなくなれば、両腕に両脚に、首筋に…
雷王は次々と刺青をためらうことなく入れていく

止めてくれと乞うたことすらある
取り縋り、もういいと涙した時もある
お前が犠牲になる必要なんぞないと、怒鳴りつけたこともある
だが、獣はその直情な頑なさゆえに、それだけは聴けぬと
どんなにしても言葉を聞き入れはしなかった。

雷王が声と視力を失ったのは、ついに彼の全身のどこにも
刺青が入れられなくなったときだ
見開いた色を失くした双眸とひらめく舌には、黒々と
これまで目にしたこともない印が深く刻まれていた

声を失くしてしまっているのに、彼の声ははっきり響く
視力を失くしてしまっているのに、今までよりも遠くが視える
まるで先を読んでいたかのように、雷王は欠けた部分を補う力を
天駆ける力を失いながらも会得していた

お前は、馬鹿だ

深く瞳を閉じて詰りながらも、藍丸も捕えた手を離せない

この獣は自分のものだ
誰にも渡さぬ。どこにも行かさぬ。

傲慢なまでの独占欲は、千年が過ぎても留まりはしない。
腕にした巨躯を強くつよく抱き寄せて、ひたと肌を合わせ
藍丸は雷王の唇に口元を寄せた
契約のときに傷でもついたか。柔らかく温かい彼の口中は
うっすら血の味がする
癒しの力は持たぬが、そっと刻まれた印を舌先でなぞって慰める

痛かっただろう。もう、これ以上の傷は付けるな

口づけの合間に呟く藍丸に、雷王は薄く満足に笑って返した

お前が舐めてくれるなら、痛みなぞ無くなる
これはお前のためじゃない。私がお前の側にいたくてやっている

響く声は耳から入るよりも真っすぐに、藍丸の胸に身体に響く
雷王の想いは声や目で知るよりも、鮮やかに剥き出しのまま
深みにまで滑り込んでくる

この…馬鹿が…

再びに口にした言葉に、雷王の笑みは深くなった
傷ついた目のふちも指先でなぞり、そこにも唇をあてた

自分のために全てを差し出す獣が愛しくてならぬ
傷だらけになってなお、美しく気高い獣が狂おしいほど愛おしくてたまらぬ


この大切な存在の全てが、自分だけのものだ

雷王が目にする世界が、視力を遥かに超えた いま…
藍丸は赤い瞳で飽くことなく、美しい獣を見つめ続けた


どらっぐおんどらぐーんネタで紅天をやってみるテスト
初めての紅SSで、完全に混ぜてみる危険
もう馬鹿か…

492風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:11:01
春雷

暦の上では数日前に啓蟄を過ぎ、今日は表に出ると湿った埃っぽいにおいが辺り一面に漂っていた。
「雨が降るやもしれぬな」
見上げて、雷王が呟く。
空には刷毛で刷いたような雲が薄っすらかかっているが、まだ青さは見て取れるほど。
だが雷王が言うのだから、おそらく雨は降るのだろう。
彼は雷獣の王、天地を司る神の従属。その存在ゆえ本能的に知り得ることも数多ある。
主に天候などがそれだ。
「なら、傘が入用なのか?」
「藍丸〜〜〜っ」
傘の一言に、空傘がぴょんと跳ねて出た。
「おいら、使ってくれる?」
童のような笑みで訊ねられるが、如何な理由であれ昼日中に一目で妖と知れる者を連れ歩くわけにはいかない。だがこう耀かんばかりの期待に満ち満ちた表情を向けられると、頭領といえどどうにも断りにくいのが正直なところ。
そんな藍丸の様子を見た桃箒が、主様を困らせてはいけないと間に入ったが、空傘は雨が好きだ。雨の中、人の役に立つことはもっと好きだ。その優しい性格は周知の事実。
「連れてってやりてえたぁ思うんだが…」
「いや、連れてはゆけぬ」
屋敷にいる妖たちの微苦笑を断ったのは、雷王の放った低い一声だった。
「今日は具合が悪い」
細めた眸が未だ天より離れない横顔に、藍丸がふと気づく。
「雷だな?」
「…おそらく」
この時期、啓蟄で這い出た虫も引っ込むと例えられる雷が鳴る。
春の風物詩といったところだが、それならば流石の頭領もきっぱりと断るしかない。
振り向くと、不満気な空傘と、雷王の強い言に射竦められた面々が並んでいたが、
「今日は雷神様の機嫌が悪いんだと。おめえに雷が落ちて怪我でもされちゃたまんねぇからな」
だから今日は皆で留守番を頼む、と空傘のてっぺんにあるろくろ辺りを撫でてやると、くすぐったいのか頭を振るように身を揺らし、わかったと明るい返事が返ってきた。
ほっと安堵した主を尻目に、雷王は桃箒にもう一枚手拭いを寄こすよう告げる。
濡れて戻るとの含みに、雨足はすぐそこまで来ていることを知り、桃箒は慌てて屋敷の奥へ消えると早足で戻ってきて無地の一枚を手渡した。
「そろそろ行くか、雷王」
「そうだな」
表の板戸を開け、見送りに出た一紋に土産を待ってろと言わんばかりに主は景気よく手を挙げる。
途端、ゴロロロロ…と遠鳴りが聞こえた。
「思ったよりはえぇな」
「ああ、まもなく雨も降る」
二人並んで歩きながら、藍丸は幼少期を回顧する。
雷が鳴るたび、両手で臍を隠し、土間の隅にしゃがみこんでいたあの頃を。
「春雷、か…」

493風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:11:11
その日、雷王は働きに出るからと、幼い藍丸一人を残し、家を空けていた。
働く。
言葉通り金子を得るための雇われに出ることもあるが、このときばかりは違っていた。
雷獣の王として新たな四時を知らせ往く天命を司り、一族郎等、群雲と共に風となるに務めていた。
農民に喜ばれる、豊作を約束する雷こと、春雷。
この時期、一族の長は強烈な閃光をまとい誇らしげに天を駆ける。
その煌きは地上に住まう者を脅かし、畏れを抱かせ、堂たる佇まいで圧倒する。
無論、村外れの家屋で留守番をする童も例外ではなかった。
夕暮れ時、雷王は遠目にも異変に気づく。
(いつもなら火影が見えるものを…)
竈にくべる大きな火がまだ扱えぬ童は、暗くなる時分にはに瓦灯に火を入れて雷王の帰りを待つのが常だった。それが今日に限っては闇に次ぐ闇に飲まれ、既に百姓家の輪郭すら朧気だ。
万が一の事態を思い、冷える肝が脂汗を掻くほどの妙な胸騒ぎに眩暈がした。
軋む木戸を力任せにこじ開けると、留守番をしているはずの童の名を呼ぶ。
「藍丸っ!藍丸はいるかっ!藍丸っ!!!」
返事がない。
しんと静まり返った内は冷え冷えとしており、小さな存在を目視しようにも闇は呼吸さえ飲み込んでしまう。
背筋に悪寒が走る。
とにかく灯りをと瓦灯に火を入れると、ふわりと柔らかな微光が小さな安堵を胸に灯す。
その火気を手に、物入れの中、竃の中、釜の中、と隠れるに想像し得ない箇所まで順に見て回るが、姿形の欠片すら何処にも見当たらず、いよいよ外へ探しに出ようかと覚悟を決めたそのとき、すぅ、とどこからか小さな寝息が聞こえた。
「っ?!!」
消え入りそうなそれを、足をそうっと忍ばせ辿ってゆくと、土間の隅から規則正しい確かな寝息が聞こえる。
「藍丸…?」
灯りを持ち上げると、そこには小さな体が丸まり転がっていた。
泣いたのだろうか、顔中涙が張り付きくしゃくしゃで、寝息に雑じり時折咥えた指をちゅうちゅう吸う音もする。
雷獣はこの世に生まれて、初めて腰を抜かすという経験をした。
「は、…無事、だったか…」
瓦灯を框に置くと、両手で藍丸をそっと抱き上げる。
季節はまだ春とは名ばかりといった風情で、朝夕は底冷えもするというのに、何故このようなところで。
着物越しに体温を分けあうように抱き締め、冷え切った背を何度も上下に擦って暖めた。
やがて子供らしい高い体温が戻った頃、伏せられていた眸がゆるりと開き、雷王を見た。
「…らい、おう?」
「ああ、寒くはないか」
剥き出しの足を摩りながら問いかける。
「…ううん、あったかい。ええと、…おかえりなさい」
「遅くなった。…腹は減っておらぬか」
これから火を起こすとなれば時もかかるが、埋み火が生きていればまもなく温かな味噌汁くらいなら支度できるだろう。
そう算段しながら火鉢を見た雷王の首に、突然藍丸が飛びつく。
「こ、こら、藍丸」
「雷王っ…雷王っっ」
ぎゅうぎゅうとしがみつく紅葉の手があまりに必死で、雷王は抱っこした身体をゆらゆら揺らしてあやしながら優しく問うた。
「何があった。…怖い夢でも見たか」
「……夢じゃない」
一際強い力でしがみつく幼子が、助けを求めるように震えだす。
「……雷が…」
「雷?」
「雷が……」
「…怖かったのか?」
雷王の腕の中、黙ってただひたすらにコクコクと首を上下に振る頭が、事の顛末を如実に伝える。
己が務めの果てに、脅えた藍丸は土間の隅、蹲って耐えたのだろうひとりぼっちで。
誰に頼ることもできず、襲いくる恐怖に恐れ戦き泣き喚き、おそらくはそのまま寝入ってしまった。
どれほど心細かったろうと、雷王は鼻先で揺らめく黒髪を梳いてやる。
この身が雷獣である限り、務めは誇り、成すべきもの。そのために己は在る、生かされる。
だが幼き愛子の落涙は彼の胸に後悔に似た一抹の感情を過ぎらせた。
「藍丸…よくぞ耐えたな」
「うんっ、うんっ」
よく頑張った、よく頑張った、藍丸は強い子だ…
雷王は何度も何度も繰り返し言い続け、抱っこしたままゆらゆらあやす。
藍丸もその力強い腕に安らかな心持ちを取り戻すと、いつしか再び眠りの淵へと落ちていった。

494風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:11:35
「そんなこともあったな」
「そんなことって…俺ぁ本当に怖かったんだからな!」
腕を組み、隣りを歩く巨躯にきゃんと噛み付く。
あれは確か数えで四つか五つ、初めてひとりで聞いた怒声の如く鳴り響動む雷を思い出す。
「だがまぁ…」
遠くに薄っすら見え隠れするお山の上、雨雲の中をぴかりぴかりと稲妻が走る。その、間もなくここいら一帯を覆うだろう前触れに、藍丸はふと表情を綻ばした。
「あのときのは、おめえが鳴らしてたんだよな」
主は愛しい者を見るような目で、今にも泣き出しそうな空を見上げる。
とても怖かった。
雷による雷火、轟音、地鳴りに攻め立てられ、ひとりの寂しさも相まって、わんわんと声をあげて泣いた。
いつもなら雷王がすぐさま抱き締めてくれるのに、あの日はいくら泣き喚こうとも彼は戻ってこなかった。
だが、

『春雷は怖くない。農民はこの時期雷が鳴ると、その年の豊穣が約束されたと喜ぶのだ』

夜、雷王の身体に包まれて、寝物語に聞いた話。
怖いより嬉しいが勝る雷の飛来。待ち侘びた喜びの神の到来。
それならわかると思った。

『それじゃぁ藍丸と同じ。おとっつぁんもおっかさんもいないけど、雷王がいるのが嬉しいの』

物心ついたとき、既に親はなかった。
その代わり、藍丸の側にはいつも雷王がいた。
「あれがおめえの音だと思ったら、雷が怖くなくなったんだよなあ」
「藍丸…」
切なげに名を呼ばれ、気恥ずかしさにへへへと笑う。
地上の生きとし生ける全てに四季を知らせ、その態で畏れられはしても好まれはしない雷の王を、全身で肯定したただひとりの童。
あの夜は、この愛子を永劫守り抜くと、雷王が心新たにした一夜でもあった。
「おいおい、降ってきやがった」
さあっと風に吹かれ、細い雨粒が二人の身体をぽつぽつと打つ。
雲は益々黒味を増し、そう間を置くことなく、突如空は唸りを上げる。
雨宿りできる場所を探し走る二人は、頭上に轟く迅雷のあまりの勢いに慌てて両耳を塞いだ。
「ひゃーっ、おめえの仲間はよく働くよなあっ」
音に負けじと大声で叫ぶと、雷王も些か声を張り上げた。
「花の息吹を呼び起こすためにせねばならぬ大事なのだ」
「………知ってらあ、そんなこたぁ」
「何か言ったか?」
「言ってねえ!」
いつしか雨は本降りとなり、方々に散らばる泥濘をその都度ばしゃりと蹴散らして、軒下目指してひたすらに走る。
川沿いに出ると、軒を連ねる店々がこれは降り籠められるとばかりに軒並み畳み始めていた。
「ちょいと貸してもらおうぜ」
戸を閉めた店先での漸くの雨宿りに、思わずふぅと息をつくと、肩の湿りをぱんと払う手にそっと手拭いが乗せられた。
「お、悪ぃな」
桃箒があたふたと出してきたそれだが、萌黄の木綿地とはなかなか気がきいている。
「春…なんだな、雷王」
暗く垂れ込める天を仰ぐ。
雷雲が務めを終え、去ったあと、時に春雨にそやされながら、弥生月は楚々とやってくるのだろう。
「ああ、一雨ごとに暖かくなり、じきに花も咲く」
「じゃぁよ、桜で花見っての、してえなあ」
濡れ髪から垂れる雫が弓状に撓る口角を掠め、顎から喉へと滑り落ちる。
藍丸の手から手拭いを取り、残滓を拭いてやりながら、雷王はその無邪気な表情に苦笑する。
主に忠実な腹心が、立ち昇る濡れ艶めいた若い色香に惑っているなど、知る由もないその笑みに。
「そうだな、夜桜ならば誰に遠慮することもないだろう」
着物の衿を僅かくつろげ、湿った布を忍ばせ、答える。
「ん、桃箒に馳走を作ってもらわなきゃなー。楽しみだな!…って、こら、やめろって」
「やめる、とは?」
耳にかかる髪を掻き揚げてやると、冷たいそこに口を寄せ熱く囁く。
ふるりと震えたのは、寒さからかそれとも…。
「…この…っ、ああ畜生…っ」



土砂降りの様相は相も変わらず軒の下。
人気のない路傍にて、若き主は噛み付くように口をぶつけた。
惚れた弱みとの耳打ちは、獣の欲に火をつけて、雨垂れを目隠しにふたり深く口を吸う。
さすれば頬に桃色の花が。
二藍の胸掻き乱す春疾風。
時節を越えて百花爛漫。


二十四節気がようわからん…(泣)
旧暦の春は1〜3月(2〜4月?)だから、春雷が鳴ると夏がくるのが正解。
今の感覚じゃ変だけど、とりあえず二月に鳴らしてみた!
ああああ難しいっもうしらんっ→書き逃げっ

495風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:12:31
◆ 睦言

仕事帰り、電車で最寄駅を降りたところで、藍丸が喉の渇きを訴えた。
目線の先にはスターニャックスの看板。
先日、TVCMで季節限定のさくらクリームフラペチーノとやらを見て以来、度々飲んでみたいとは言っていたが、
「ついでに、さくら蒸しパンも食いてえ!」
夕餉前だというのに、うきうきと足取り軽く店へと歩き始めたその背に、
「桃箒が泣くぞ」
もう半刻とせず支度が整うだろうと告げられると、甘味好きの虫も流石に眉根を寄せ、
「あー…そうだよな…うー…でもなぁ…季節限定ってのがこう……なぁ?」
店に入りたい気持ち七分、迷う気持ち三分、といった具合の表情で、スタニャの看板と守役の顔を交互にちらちら見始める。
「土産買って帰るってんでどうだ?クッキーとか」
入ることが前提の物言いに苦笑する。
主の甘味好きは今に始まったことではないとはいえ…、
「雷王…?」
見上げる目が強請るようにこちらの袖を引くから、我侭だとわかってはいるが、雷王もつい甘やかしてしまう。
「わかった。では飲み物だけだ。皆には何か見繕えばよいだろう」
「おう!話がわかるぜ!」
行くぞ!と途端に元気よく歩き始める現金な姿に、腹心は思わず苦笑を漏らした。
夕方、街灯を模した灯りのもと、早速件のさくらクリームフラペチーノを手に、藍丸は通りに面したテラス席へと腰を落ち着けた。肌寒さより人気がない貸切状態が気にいったらしい。
「本当に冷たくてよいのか。まだ暮れ時は冷える。私のものと交換するか」
「いんや、冷てえのがいいんだ。まぁおめえのホワイトホットチョコも捨てがてえんだが、動いたら汗掻いちま…って……」
突如湧き起こった背後の不穏な響めきに顔を上げる。
まだ一町ほど先だろうか、ナイフを振り回して喚き散らす若い男が、追っ手の警官らしき数人を威嚇しながら走っている。どう見ても男に不利な形勢だが、
「こっちに来そうだな」
「藍丸、中へ入るか」
「いや、ここでいいだろ」
騒ぎなど気にも止めず、桜色のチョコレートが散らばるアイスを一口、ぱくりと口にする。
「うっめ!やっぱアイスってうめえよな!」
な!と主が無邪気に喜ぶ姿とは対象的に、騒然とした気配は刻一刻と近づいてくる。
男は痩せ型のひょろりとした風体にも関わらず、凶器を所持しているためか、警察も随分梃子摺っているよう見受けられた。
駅から程近いこの辺りは、道は広いが人も多い。
誰も彼も巻き込まれないよう目を配りながらでは、男を追うのが手一杯といった状況なのだろう。
そうこうしているうちに、来るな寄るなと、男が発する言がはっきりと聞こえ始めた。
「暖かくなると奇怪しなのが出てくるってなぁ、今も昔も変わらねぇな」
横目で横断歩道の向こうをちらりと見やった藍丸が、アイスをもう一口ぱくりと食む。
「折角、甘味にありつけていい気分だってのに」
「…まったくだ」
ストローを咥え、ふりふり上下に振りながら藍丸が言う。
「行儀が悪いだろう。そのようでは今後外で飲食はさせられん」
対岸の火事は気になるが、しかし目の前の無作法は見過ごせない。
雷王は黙って主の口からストローを抜き取ると、グラスに刺し直してやった。
「うー…つい、な?」
悪戯が見つかった小僧のようにくしゃりと顔を歪める向こう、信号が赤に変わろうとしている。
雷王の目線が己が目から外れたことに気づき、藍丸もいよいよ背後を振り返った。
「ああ、ありゃだめだな」
「爪が甘い」
追い詰めた、そう警官が気を緩めた刹那の隙をつき、男は全速力で道を渡る。
左折車のボンネットに手を突き、身軽に飛び超え、気づけばあっという間に大通りを渡りきってしまっていた。
岸のあちらとこちら、追う追われるの関係が車列に寸断され歯噛みする警官の面に、男が指を差して爆笑する。
バカぢゃねえの?マヂ捕まえる気あんの?!
下卑た不愉快な馬鹿笑いが、薄闇のなか高らかに響く。
事態を見て取った周囲の面々が、蜘蛛の子を散らしたように慌てて散り散りに走り出した。
そしてひとしきり嘲笑うだけ笑った細面が、再び駆け出し、まさにスタニャの横を通り過ぎようとしたそのとき、

496風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:12:44
「…っ?!」
カランカラン…
空になったプラスチックのカップがアスファルトに転がる。
男の顔面には薄桃色をしたどろどろのアイス。
投げつけられたのは、スタニャ新商品さくらクリームフラペチーノ。
「んだこれっっっ」
苛々とクリームを袖で拭うと、目の前には二人の男が悠々とテラス席に座っていた。
「藍丸、食い物を粗末にしてはならんといつも言っているだろう」
「う、…いや、今のはカップが勝手にすっ飛んでったってぇか…」
今日二度目の「つい、な?」に溜息をつき、ホワイトホットチョコを無言で差し出す遣り取りに、すっかり外野に放り出された感のある男が瞬間ぶちっとキれた。
「んなわけねえだろうがっ!!!」
「煩せぇぞ」
背もたれに肘をかけ、相手の双眸にひたと目を合わせて藍丸が切り出す。
「カップが飛ぶわけねえって?うちじゃぁ家ン中を火狐も飛ぶし、煙管の周りを蝶も飛ぶ。そういや雷王も2、300年前にゃ飛んでたよな?」
「ふ、昔の話だ」
二人の間にだけ穏やかな気配が湧きあがる。
男が発する刺々しい空気すらまるで他人事のように笑みを交し合う二人に、やはり外野に追い出されていた男がついに激昂して怒鳴りあげた。
「ざっけんな!!!何してくれやがる!!!」
吠える手の中、軽い一振りで刃が飛び出す。
両刃が灯りを弾き、己が身を主張するように青白い光を放つ。
「バタフライナイフか…近頃の若ぇヤツらが好きそうなもんじゃねぇか」
子供に話し聞かせるように優しく藍丸が言えば、
「その程度の小刀、我らには脅しにもならぬ。やめておけ」
腹心の者も主に習い、一度は諭してやるが、
「うるせえ!てめぇの顔もぐっちゃぐちゃにしてやんよ!!!」
てめぇの血でなあっ!!!
我鳴る声より先に前傾姿勢を取ると、狂気走った二個の眼球が藍丸を捕らえ突っこんでくる。
「死ねええッ!!!……………………………あ、…ああっ?!!!!」
カップを手に取り、ずずっと啜ると、忽ち辺りに甘い匂いが立ち篭める。
「へえ、ホワイトホットチョコか。これも旨ぇな」
呑気に呟く右耳のすぐ脇で、骨と骨とが鬩ぎ合い、ミシミシと音を立てる。
右手で掴んだ利き手からナイフが容易に滑り落ち、今男は顔を雷王の厳つい左手に鷲掴まれていた。
ミシリ、ミシリ、と床板を徐々に踏み抜かんとするに似たその音は、顔面の骨が軋むそれだ。
決して気味のいい音ではないが、長き生を全うしていれば様々なことがある。故に別段怖ろしいこともない。
「地獄へ落ちたいか」
「ひ、ィィ、」
雷王の憤怒の形相に恐慌をきたした男は、拘束を振り解こうともせず、ただされるがまま。
意識とは裏腹にだらだらと流れる脂汗、一度捕まれば外したくとも外せぬ強き目線、無闇に込み上げる嘔吐感、それらは男の全身が恐怖に網羅された証だ。
狂気は畏怖に決して敵わない。
じきに白目を剥き、口から泡を吹き始めた姿を見て、漸くといった風情で藍丸が口を挟んだ。
「やめろ、雷王。…気の毒だろうが」
テーブルに肩肘をついて、男に殊更甘く笑んでやる。
「こいつのお漏らし片付ける店が、気の毒でしょうがねえ」
「…そうだな」
主の意思に従いぱっと手を離すと、意識を放った男の身体は糸の切れた人形然として、あっけなく地面に落ちた。
「あーでもな、そもそも俺のもんを怒らせたてめえが悪ぃんだぜ?」
背凭れに堂と凭れ、聞こえてるか?と声をかけるが、その身は微動だにしない。
流石にばつが悪くなったのか、雷王が眉間に皺を寄せた。
「すまない、やりすぎた」
主の制止がなければ、この男を己が感情の奔るがままどうしていたか。
最悪、この凶漢の息の根を今此処で止めていたやもしれぬ。
藍丸に仇なす者ならば誰であろうと、胸に吹く凶暴な風は矛となり、必ずや彼の身を貫くだろう。
だが時代は報復を許さない。
これら矛盾が歯痒くてならぬとばかりに、目を伏せると、

497風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:12:54

「いや、おめえが謝るこっちゃねえ」
ばたばたと今更ながら横断歩道を渡り来る警官を眺めながら、藍丸は続けた。
「ぜぇんぶこいつが悪ぃんだからよ」
歯向かってさえこなければ、おまえを怒らせることもなかっただろうと、主は雷王の行いの全てを肯定する。
彼の庇護下にある者ならば、皆この恩恵を受けるが、紅の男は特別多くを甘受される。
「おめえは俺の望みどおり動いた。それだけだ」
凛とした声が雷王を圧倒する。
おそらくはこれだから惹かれたのだろうと、幼き頃の主を思う。
己が身を支配たらしめるのが半妖の童だなどと、よもやと疑い憤ったあのとき、しかし既に気づいてはいたのだ。彼の幼子の資質に。
そして主はと言えば、この話は終まいだとばかりにホワイトホットチョコを最後の一滴まできれいに飲み干していた。まったりとした甘さが暫し舌に残る後味が事の他気に入ったらしい。
ただ藍丸には先の件よりずっと色濃く気をそそっていた大事があった。
「あのな雷王、」
唇についた甘みをぺろりと舐めとる。
「…今度はちゃんと自分の好きなもの頼めよ?」
「?!」
気づいていないとでも思っていたのかと、愉快げに目を細めて藍丸は笑う。
「本当は砂糖抜きのコーヒーかなんかがいいんだろ?」
「む、…いや、私は何でもかまわぬが、」
「ああ、全部わかってっからよ。いいから好きなもん頼んでこい」
わざわざすまなかったな、とカップを指で弾くと、雷王も彼の意図を汲み、促されるまま立ち上がった。
「…わかった。少し待っていてくれ」
「ついでにさくら蒸しパンと、皆への土産も頼むぜ」
「承知」
無骨な手を伸ばし、雷王は愛しき者の頬を撫ぜる。
それはどこも傷つかずよかったと、己が胸に安堵を引き出す手順のひとつに見えた。
そして店内へと向かう広い背中を、微熱を伴う眸が追う。
どこまでも藍丸をのみ想い、藍丸にのみ寛容な彼の優しさが心に染み入る。
「甘いもんなんざ、滅多に口にしねえくせに」
くくっと笑いに喉が鳴る。
冷たい物を頼んだから温かいものを頼む、それも主が求めればどちらも飲めるようにと甘いものを。
先刻の人間の件は少し遣り過ぎの感が否めないとはいえ、それもこれも全てが藍丸のためだ。
そもそも藍丸の窮地ならば、他者の命を奪うことすら微塵も疑わないのだあの獣は。

おめえの気持ちはちゃぁんと伝わってんだぜ?

頬杖をついたまま、目を伏せる。
雷王が戻り人心地がついたら、皆が待つ屋敷へ戻ろう。
甘味は食わねど、他でもない甘い睦言ならば、彼も大いに欲しがることだろうから。
「ん、俺も欲しいし、な」
知らず指を噛み、舐め濡らす。
身を焼くほどの恋慕の情は、未だ狂おしく嵐の様相で身の内を駆け巡る。
わかりあうほど独占欲は強まって、互いで互いを縛りつけるが、これはこれで気持ちがいい。
そんな芳しい色気漂う物欲し顔を春の風がさらりと撫でる。
睦む刻はまだこれから…


某スタBのメニューを勝手にレンタルしたんだが、ごめんSタバ(礼。)
さくらSチーマーはトールサイズで飲むもんじゃなかった…←やらかしたらしい。
そして今回も書き逃げるっンなもんしか書けなくてごめんよ雷藍っ→脱兎!

498風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:13:08
◆ 針供養

二月の八日は事始めにあたるが、物忌む日にもなっている
この日は毎年恒例の行事でありながら、これまた毎年かならず針供養が原因で屋敷の空気は騒然となる

内部でどのような事が出来湧いても我関せずと、動じることが少ない家哭ですら耐えきれず、ついにぐらり揺れた

不動の屋敷ですら動くのだから、内部に棲む妖怪たちは惑乱を極めていた

ざわめく気配に何事と姿を見せた主を、長い階段の下で集まっていた妖怪たちが一斉に見上げた。
どの顔つきも、動揺し落ち着きがない。力のある妖怪が結界を突き破ったわけでもないのに、珍しく怯える妖怪たちを、ざっと見渡し主は首をかしげた

「なんだ?」

主の側に影のように突き従う神獣の姿が、今日に限ってない
また常ならば、藍丸にここぞとばかり体を密着させる妖狐は主の後ろで頬を青くさせ、妖怪たちが藍丸に近づいていても威嚇すらしていない

まったく日頃と変わらぬのは、優しげな風情でいて豪胆な荒事に勇んで飛び込む、藍丸ただひとりだ
頼もしい主人の姿に、ひたと妖怪たちの気が縋りつく

「どうした。なんかあったか」

はて…と懐手で顎を支え尋ねる藍丸に、誰もが一様に口ごもる
言っていいものか。尋ねていいものか。互いに目で牽制しあう
息詰まる気配が色濃くなり沈黙だけが張り詰めそうなところに、

「何かって、あったなんてもんじゃないよ」

ほぉっと長い溜息と共に背後から狐の呟きがある
とたん、奇怪にも妖怪たちの感情の動きが狐に同調した

ひどく珍しい現象に、さすがの藍丸も眉をひそめた

雷王は畏れられているが、狐白は妖怪たちに恐れられている
狐を避けることはあっても、こうもあからさまに彼の一言に安堵することは滅多とない

訝る藍丸にもめげず、狐は口調だけは気だるくしていてもその表情は強張っていた

「お前、あの堅物が何しているのか知ってるかい」

狐白が示すのが雷王であるのは即座に知れた
反発を隠しもしない彼は、あまり雷王の名を呼ぼうとしない
名を呼ぶときはよほどの事情があるときと、狐は頑ななだ

「雷王がどうした」

尋ね返せば、むっと血色の悪い唇が意地となって結ばれる。
何を意固地になっているのか分からぬが、こうなったら梃子でも狐は動かぬことを知り得ている藍丸は、桃箒へ視線を移した。僅かにカチ合っただけであるのに、桃箒はすぐさま頭を低くする

「それが…水屋にいらして…」

「水屋?そんなとこで、なにしてやがる」

「その…雷王様は…」

499風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:13:19
口に出しにくそうに言葉を濁す桃箒の様子に、気短な狐が再びに割り込んできた
進まぬ話し具合に、業を煮やしたらしい

「針供養をしてるんだよ」

「針供養?」

「お前、知らなかったのかい。今日がその日と知っていれば昨夜から外へいたものを…」

ギリ…と鋭い牙で唇を噛む狐の美貌に白銀の髪が掛かり、恨みにつらみに凄味が添えられた

「迂闊にも、あの堅物の部屋の近くを通ってしまったせいで…とんでもない役災だよ」

「なんで部屋なんだ。今は水屋にいるんだろう?」

現時点の場所と居処が違う。疑問を素直に口にすれば、ぎっと音がしそうな勢いで、鋭い視線が放たれた

「藍丸!お前は私の通り道に、あんな気味悪いもんを黙って放って置けって言うのかい。馬鹿をいわないでおくれ」

眦まで引き上げる顔つきは、いつも以上に彼を狐に見せている

やっぱりコイツは狐さまなんだなあ…と呑気に思う藍丸に、
狐白は乱れた着物の肩口を指先で引き上げながら、荒く息を吐いた

「第一、お前が歩く場所に針が落ちたら危ないじゃないか。場所を変えてもらったよ」

「ああ、それで水屋にいるのか」

ぽんと手を打つ藍丸に、狐を筆頭にした妖怪たちが、恨めしげな目を向ける

「で…それとこの騒ぎと何の関係があるんだ?」

「鈍いねえ、藍丸」

これにも狐白が言葉を返す。どうやら珍事も珍事。彼は屋敷に住まう妖怪たちの代表となっているらしい

「いいかい。この私ですら不気味に感じることを、あの馬鹿は仕出かしているんだよ?この連中が騒ぐのは、当たり前じゃないか」

「ただの針供養だろ」

別に呪っているわけではない。
ごくごく一般的な行事ごとで、あの律儀な雷王であれば、折れた針の供養をするのは至極当然の事柄ではないか

「なんも拙いことはねえじゃねえか。珍しくもねえし」

仕事もない…というか、無理やりに片付けて萬屋は本日は休みとなっている。
外出はできないが、庭で皆で酒宴でも張らないかと誘おうとしてみたが、こうも緊張を漲らせられては口にも出せない

「珍しくないなんてこと、ないだろう!」

ついに狐は声を張り上げた

おお、今日は滅多とない珍事続きだ…!

500風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:13:29
藍丸は軽く瞠目し、狐を見上げた
狐白が声を荒げることは少ない。なおかつ、屋敷の妖怪たちと同じ立ち位置になることも少ない

だが今日は面倒が嫌いな彼が妖怪たちの筆頭にも立って、陳述までしてきている
こうまで息がぴったり合う妖怪たちの姿に、一紋としての纏まりを感じて藍丸は満足すら覚えた

「藍丸…とにかく、あの馬鹿を止めておくれでないかい。このままじゃあ、おちおち寝ても居られない」

お願いします、主さま…と桃箒も狐の肩越しに手を合わせ拝んでくる
周りを囲む妖怪たちも、一斉に手を合わせている

神仏を拝むでもあるまいし。そぐわぬことをする連中に藍丸はやれやれと息をついた

「わかった。けどな、針供養ってのは大事な行事だ。
特に俺たちみたいな妖しの仕立てに使う針は、否も応もなく力を吸っちまうのはお前らも知っての通り、ちゃぁんと供養しねえで、捨て去った挙句の果てに荒神にでもなられると面倒に…」

「お前、私がそれくらい分かってないとでもお思いかい?」

横合いから突き入れられる声は、凍てつくほどに冷たい
格下の妖怪たちは一様に震えあがり、中には崩れそうになるものもいたが、
藍丸は、『んん?』と呑気に狐を見返すだけだ

きょとんと首をかしげる風情は幼い
あまりの鈍さを発揮され、図らずも眩暈すら覚えた

分かってない。藍丸は根本が分かってない

狐白は本来なら、口が裂けても言いたくなかった

なぜ、屋敷全体が振動するほどの騒ぎになっているのか
自分さえもが、他と同調することになっているのは、なぜなのか

この豪胆な主に理解されていないのは、さすが羽織格と喜ぶべきなのか
慣れすぎているがゆえに、鈍いと嘆くべきなのか…

だが、どちらにせよ藍丸が理解してくれなければ、騒動に収まりは付かない
今回ばかりは常以上に雷王には寄りつきたくなかった

口惜しさと苛立ちともどかしさに苛まれ、くっ…と歯を噛みながら
狐白は深いふかい、魂まで流れそうな溜息をついた

「雷王を…とにかく、私たちの目の触れないところに連れ出しておくれ。
そうでもしないと、家啼が結界をしばらく張れなくなっちまう」

「まあ…そりゃあ困るが…」

ワケが分からないと首をひねりつつも、一紋の大事とあっては頷かざるを得ない
それでも疑問だけはある

「雷王の、どこがそんなにお前らに影響するってんだよ」

ついに、狐の我慢が限界を超えた
ぶちりと何かが切れた音を確実に誰しもが聴いた

501風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:13:41
「どこもかしこもだよっ!あんなのが、真面目な顔して針を刺す姿を
真昼間っから見せられて、身がもたないなんてもんじゃない!
どこから見ても、丑の刻参りか蟲毒の術中だろう!」

そこまで云われ、ようやく鈍い主は気がついた
全てに合点がいき、晴れやかな気分にすらなる

そうか。お前ら、雷王が怖いって言うのか…

さすがに狐の気に障ると、口にはしなかったが顔には出ていた

たちまち不機嫌の権化となりながらも、認めざるを得ない事実でもあるだけに、無言のまま、動作も粗く踵を返した
自室へでも立てこもり不貞寝を決め込むつもりだろう

なにしろ物忌いのせいで、外に出ることもままならぬ

今日は妖怪が常よりも多く行き交い、一年の挨拶をして回る日でもある
羽織格とみなされている藍丸や神獣である雷王にでも、二間を進むのも難儀なほど挨拶をしようと妖怪たちが押し寄せてやってくる

特に狐白などは、眷属が多い。寄せる妖怪の波は、自分と雷王の比ではない。
しかも、数多といる眷属の中には上位に繋がりを持つものもいるだけに、寄せ来る妖怪たちを無碍にもできず、かといって愛想を振り撒いてかわす器用さも持ち合わせていない

現に屋敷付近には、やたら妖怪の通りがありすぎる。手土産を下げた者までいると伝えられれば、奔放な藍丸ですら二の足を踏まざるをえない
当然、面倒を嫌う狐が籠る先は、屋敷の自室でしかないのは明白だった

まあ、雷王を皆の眼の触れぬ場所へやれば、事は収まる
毎年恒例ながら、いい加減に慣れろと思う藍丸は、獣の及ぼす波動の広さをやはり理解してはいない

「あーあ、怒っちまいやがった。まあ、雷王をどうにかしたら気もおさまるだろ。
さぁて、じゃあ水屋へ俺は行ってくるか」

お願いしますと再びに一紋に見送られ、行きついた先の水屋では
なるほど、雷王が大きな身体を屈めて一心不乱に針を供養する姿があった

一本いっぽん、細い針を埋める指先にまで生真面目さに満ちている
ときおりに何事かを呟いている唇は、ねぎらいの言葉を語っているのだろう

雷王は優しい
際限なく優しい

一見すれば厳格に思えるが、一言、二言を交わすだけで安堵が沁みてくる
真面目で堅物ではありながら、妖怪にはあるまじき情の深さも藍丸はよく知っている。

彼が供養してやれば、どんな器物も和ぎ神となり福を運ぶ神にすらなれるだろう。
それほどに、彼の表情は真剣で、太い指先には優しさをまとっている

屋敷の中にいる心安さなのか、普段よりも纏う気配は柔らかい
静謐さすら感じさせる横顔をしばらく眺め、藍丸はそっと場を離れた

桃箒たちには約束したものの、今は雷王の邪魔をしたくない
連中には気の毒ではあるが、少し待たせても支障ないはずだ
自分の一紋は、そんなに軟にはできてはいない

雷王の様子を見に行って、見通しを立ててやるだけで落ち着きを取り戻すのも、藍丸は毎年の経験から知り得ていた

けれども、あと半刻…
それまで待っても雷王が供養を続けているのなら、隣に座って一緒に手伝ってもいい
むしろ一紋総出で手伝えば、誰も雷王を見ないで済むのだから万事が丸く収まりそうだ

502風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:13:52
皆で手伝うと言い出せば、どんなに驚いた反応をするだろう
けれど、直後には温かな笑いと声で頷いてくれるだろう

待ちわびる桃箒の元へ、のらりくらり戻りながら
雷王の横顔を思い出した藍丸の口元からは、小さな笑いがふっと洩れた


とりあえず、紅色の針供養をやってみた
お豆腐を温めなかったのは、唯一のこった私の理性だ<うそです
ってか、狐と会話はしてても雷とは会話なしか…ッ!!
……なんでそうなったんだろう

503風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:14:23
◆ 諦念

鬼の居場所を存じませぬか

あどけない少年の面影を残した若者は、綺麗に澄んだ声で
静かに柔らかに問うてくる

だが、柔和な笑みを浮かべ、優しげなおもざしをしていながら
こちらを見る目は空洞だ

真黒な底知れぬ暗い穴のごとく、焦点の合わぬ瞳が見つめる先は
異形のものを求め揺らいでいる


鬼の居場所を存じませぬか


ゆっくりとした言葉は調べに乗って、耳に心地よい
古風な衣装に身を包み、舞うように動作する
数百年が過ぎても、変わらぬ若者が痛ましい
こちらを向く白い面に、雷王が応じた

お前が斬るべく鬼はこの世のどこにも存在しない
最後の鬼すらお前が斬り殺した


告げる答えに首を傾げ、にこり笑う手にある刀は
距離を置いても肌が泡立つ波動を放っていた
人間であれば触れることもできぬなら、近づきもせぬものだ

妖怪であっても容易く手にはせぬ、その刀
古の都で、名工によって打たれた刀は鬼をも裂く激しさを秘めている

気品のある柔らかく白い手が握るには、あまりに似あわぬ刀は
華奢な作りを裏切り、殺戮と血と呪いを重く纏いつかせていた


鬼はどこにおりますか


言葉は違えながら、繰り返す若者に雷王は困惑し
藍丸は諦めの息をついた
言い募ろうとする獣を制し、藍丸は異界を宿す瞳を覗き込んだ


もう止めろ。お前は仇をとったじゃないか
その刀が探す鬼は、とっくの昔にそこの桜の根元に
埋められ土に戻っちまった


一瞬、若者の眼は藍丸を捕えたように動いたが
すぅっと桜へと流された

うっすら赤い桜の花

この一本だけが周囲と違う色の花を宿すのは
その根元に眠る鬼がいるせいだ

504風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:14:40
はらり零れる花弁を見つめ、ゆっくり頭上へ視線を昇らせて
見上げたまま若い姿の幽鬼は呟いた


鬼は…どこにおりますか…


ざざぁっと花弁が舞い落ちる
若者を包み込んで舞い落ちる

抱擁のような僅かな刹那は、しかし突如突き破られた
惜しむごとくに追う白い花びらを振り払い、
迷いもなく若者は、彼方の常闇へ一歩を踏み出した


おにはおります


ざわめく風の音に混ざり、微かに聴こえた声は
鬼となったもの特有の色を含んでいた

桜が泣き叫ぶように、花弁を散らす
狂ったように堕ちる花。華。はな…
視界を閉ざすほどに乱れる花の中、藍丸は眠る鬼を見たように思った

幽鬼となった若者は、百年に一度、あちらからやってくる

自分が殺した恋しいこいしい鬼を探し
愛しんだものが眠る桜のもとを訪れながら
ついぞ恋しい相手に気付かずに、常夜の世界へ戻っていく

泣くな…

困惑をにじませる雷王の声に、ふっと眼を上げれば
獣は降り注ぐ桜の木を優しく見上げている

ざっと、応じるように花弁が狂い舞う

長く生きている雷王は、この桜に眠る鬼を知っているのか…
鬼を求め、鬼となった若者を彼は知っているのだろうか


泣くな…もう、泣くな…


囁くように、あやすように…
繰り返す雷王の上に、訴えるかのように花は落ちてくる
そのさなか、一瞬だけ現れた四本指の白い手が、獣の背に触れた

ほんの偶然なのか、意図してなのか
相手の心など読む力を持たぬ藍丸に分かるはずもない
だが…


雷王

505風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:14:53
呼べば近くになる雷王の体を、隣へ引き寄せ
あの手が触れた個所に手を添えた

布地の下からじんわりと、雷王の温もりが伝わってくる
唐突な主の動きに、雷王は問いかける眼差しを投げかけたが
やんわり笑ってやれば、従順な獣は視線を元へと戻した

この背には誰ひとりとして触れさせぬ
誰の目にも晒させぬ

雷王の傷も刺青も、藍丸のものだ
天命を捨て、身を捨て、命さえ捨て去るだろう獣
狂わんばかりに愛おしい獣が、
自分のために払った大きな代償の痕を
他の者が触れるなど、許されぬ

ここに刻まれているのは、ただの傷ではない
そんな生易しいものではない

カケラも触れさせぬ

指先でなぞる形は、違わず印と疵を辿っていく
どれほど触れていようが足りることはない

ゆっくり指を開き手のひらを押し当て、
温もりを移してみても、まだ足りぬ

渇望が腹の底からせり上がり、薄ら暗い欲も湧き起こる
雷王の全てを自らだけのものにしたい
自覚する熱は、鬼の強欲にも等しい醜さを孕んでいる

きっと、この獣を失ってしまえば自分は鬼になる
探して探して探し回り、哀しみに猛り狂った鬼になる

十万浄土を業火に包み、このほのお目指して戻って来いと、
さらなる紅蓮を世界に灯す鬼になる

乱れる心は、あの幽鬼に触発されたか
桜のあちらに透かし見えた鬼に誘発されたのか…
物悲しく、悼みを湛えるこの地場に感情は共鳴し渦巻いた

不意に気配を感じ見上げた先に、雷王の柔らかな眼差しがあった
いつの間にか桜は静まり、散らしたはなびらは消えている
あの桜もまた、百年に一度だけ鬼を求めて端境に姿を現す異界のものだった


藍丸…


静かに、噛みしめるように名を呼ばれる
温かみのある優しい双眸
深い色を宿したその瞳を受け止めれば、眩しいように目を細めた
ゆっくり大きな手が頬を包み、あやして触れる掌に心が静まる


お前のものに手を触れさせて、すまなかった


囁く声が鼓膜を振るわせ、心底にまで伝い落ちる
力のある腕が体を抱きしめ、繊細な温もりが口元に触れた
広い背を両手で強く掻き抱き、藍丸は自分から深みへと雷王を誘いこむ

疼痛を伴う甘さに酔い痴れて、やはり俺は鬼になれると
鋭利な輪郭を描く欲を思い知った


よし、何がやりたかったのか、まず確認してみようか
そして、半年ほど延々と壁を向いて正座しておけ
そっれにしても、本気でなにしたかったんだ自分orz

506風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:15:06
◆ 祈る

狭間にて、中空に浮かぶ丸い月。
欠けたるところもなき十全たるその姿に、凛と強き女子を思う。
今、何処にて、何をしているのか、と。


目が覚めたとき、隣りの布団がもぬけの殻だったことには気づかなかった。
厠の帰り、雷王の部屋の襖が僅か開いているのに気づいたのは偶々だった。

「加世…」

雨戸を引いて桟に腰掛け、眺めるは白き望月。
頑強な肢体を煌々と照らしつけ、畳に黒く影が落ちる。
笑む口の形すらイ草に染みこむほど、懐かしい者を見るような穏やかな横顔に、覗き目はなにやら見てはならぬものを見た気がして、その場で即座に背を向けた。
男の表情は幼き頃より目睫の間で見ていた。だがあのように何者かを慈しむような、否、いっそ恋慕といってよいかもしれぬ甘やかなそれなど、ついぞ見知らぬと思った。

加世という女子の名も。


夥しく流れる雷雲の中を泳ぐように奔っていたあの日、雷王は突如として地上に引き落とされた。
そして幼子を預けた女は、翌る満月の夜に姿を消した。
白々と冴える月は漆黒の闇を隅から隅まで照らし暴くゆえ、女の門出には全く不向きだったというのに、藍丸を連れ、四方八方手を尽くし探しに探したにも関わらず、結局は見つからず仕舞いだったあの折、もしや悟られず誘い出した手があったのでは、かどわかされたのは、と思いもした。
だが、
「僅か溜まる闇の隙間に落ちたか、それとも月に召されたか…」
妖の手に落ちたか、それとも神の手に連れられたか、そのどちらもあの者ならば有り得た。
妖との間に子を成し、天より我が身を引き摺り落とした加世ならば。
雷獣の王たるこの身を前にしても怯むことない勝気な目つきは、今尚憶えに鮮やかだ。
それだからこそ、彼の者が今もどこぞで生きているのではと思えてならなかった。

『藍丸のおっかあは何処にいるの?』

物心がついたばかりの幼子は、近くに住む年近い童の“おっかあ”に抱っこされたと言った。
慣れぬ柔らかな肉の感触に驚き、すぐに降りたそうだが、“おっかあ”は皆ああいうものらしいと気づいたとき、初めて何故と思ったのだろう。
何の意図ももたず、ただ素直に訊ねくる真っ直ぐな眸を、雷王は今も忘れられずにいた。
「月讀壮士よ、私は会わせてやりたいのだ」
月に祈る。
主は今の暮らしに満たされているやもしれぬが、半分は人の血をもつ者だ。親の腹から産まれた者だ。
いつからか知れず生まれ生きる我ら妖とは違い、人と半妖にとって親の存り様には意味も大きかろう。
それゆえ、何とかして居どころが知りたい、藍丸に知らせてやりたい、そう願うのだ。
「加世、何処にいる…」
天駆ける力を失い、人の形をとる今となっては、身ひとつで動くにも限りがある。
それとて暇をもらうたび、かつて居を構えた辺りへと赴き、探した。それももう幾年になるやも知れぬ。
最早行き止まりの感が否めぬならば、ここは神頼みしかあるまい。
かつて女が紅の獣にそうしたように、彼の者もまた天を仰ぎ、粛々と言霊を放つ。
「加世…藍丸は此処にいるぞ…」

「っ?!」

背中越しに聞いていた主の肩がぴくりと跳ねた。
今何と言った。
加世を藍丸に会わせたい、そう言ったかあの男は。
(加世…)
その名を口の中、小さく呟いてみる。知らぬ名だ。どうやら母親の名らしい。
されど…、と藍丸は目を伏せた。
揺れないのだ。
その名に揺さぶられるものが、己が胸のうち、如何ほど探そうが聊かも見当たらない。
寂しくはない。悲しくもない。言うならば、唐突に丸きり無縁の者と対峙したような心持ちだろうか。

507風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:15:17

見知らぬ者にそうそう心そそられるわけもなく、よって波風が立つ謂れもない。
柱に背を預け、眉間に皺をよせたまま息をつく。

『懸想した者ならひとりいる』

妖である雷王が惚れた唯ひとりが母ではないかと疑ったことなら数知れずある。
口喧しく説教を垂れるときに必ずつく余計な一言など、特に厭わしいことこの上ない。
“母者に頼まれている”
これに幾度腸を煮やされているか知れない。
事毎に何故これほど胸中の乱れを御しきれないのかも知れない。

母親に頼まれたからおまえは此処にいるのか
責任を果たすがためだけにおまえは俺の世話を焼くのか

胸が針で刺されたようにちくりと痛む。
夜闇のなか、物思いは底なしに深く沈んでゆく。
止まらない。
「つれぇなぁ、こりゃ」
その場にずるずると座り込む。
雷王はいつも側にいるのが当たり前のようだが、血の繋がりがないから親兄弟ではない。
人と人とが血の繋がりにより共に在るものだとするなら、彼が此処にいるのは当たり前ではないのだろう。
けれど彼は優しい。
「側にいろと命じれば…ずっと側にいるだろうよ」
その眸に映るのが、たとえ藍丸ひとりでないとしても。
鳩尾のあたりが圧されたように息苦しくなる。
「はぁ…痛ぇな畜生…」
寝着の衿に指をかけ、きゅっと握り締め、思う。
月なんざ見てんじゃねえ。
こっちを向け。
こっちを向いて俺に言え。
なんでもいいから、俺にぶつけろ。
黒々しい塊のようなものが喉元で腫れ上がる苦しさに、眦が涙を滲ませた。
「俺は…母親なんざどうだっていい」
万が一、本当に彼が振り向いたなら言えるだろうか。
今更顔も覚えていない親など、
雷王の心中で己より多くを占める人間など、
そんなもの、
「俺ぁいらねえ」
面と向かって言えたなら、この身はどれほど楽だろうか。
心はどれほどの優越に酔えるだろうか…


すぐそこにいるのにとても遠く感じられる隔たりに胸が締め付けられる。
この思いはどこにどのように片付けたらよいのだろう。
生まれて初めて知る胸苦しさを持て余し、藍丸は今宵眠れぬ刻を過ごす…


藍丸のオカンの名前は私が勝手につけた、ごめんよらぶでり(礼。)
両思いになる前のふたりなんだけど、どうだろう…読めます、か…?
相変わらず、探り探り書いとります<(_ _)>
※雷王を引き摺り落としたのを、藍丸→オカン、と捏造注意。

508風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:15:31
◆ 夢現

辺りは夕焼けの色に染まり、田んぼでは黄金色の稲穂が頭を垂れている。
刈られるときを日一日と待つ彼岸の折、畦道には燃えるような曼珠沙華。
鮮やかに咲くその花は、田の淵をぽつりぽつりと彩るからこそ美しい。
だが同じ紅色をした過ぎる炎は野を焼き畑を焼き、風に煽られ阿鼻叫喚の態で踊り狂う。
禍々しいまでの美しさをひけらかすその様を前に、子の背中はぴくりとも動かなかった。
紅の獣は今も鮮明に覚えている。
愛児の恐怖に引き攣れた双眸と、秘められた力への戦慄を。


いつからか、童は探していた。
辺り一面、薄っすら積もる灰の中、しゃがみこみ、一心不乱に何かを探していた。

「ここは…」

どこかで見たことのある情景に、気のせいだと頭を振る。
気のせいだ、見知らぬ、初めて目にする、そう思い込もうとする。
似ているからだ。
焔が滾り、暴れ狂ったあの土地、あの場所に、今見ている景色が酷く似ている。
今となっては既に居も移し、かつての縁も遠く彼方へ追いやったというのに、ひとつ紐解けばずるずると思い出は蘇る。

友が死んだ。友を殺した。
脅える童を雷王は抱き締めた。
子に記憶封じの術をかけ、己が背には力の暴走を食い止める紋を彫った。
そして漸く得た笑顔はあまりに無垢で、これでよかったのかという自問は心を苛んだ。
しかし、これでよかったのだとするしかなかった。
あとの責は全てを自らが負うことで、目を瞑るしか。

「何故今になってまた思い出す…」

主と己が編みし過去、これは夢かと男は思う。

視線を落とすと、しゃがんで丸まる背が、まだ何かを探し揺れていた。
微笑ましい姿に声をかけた。
何を探しているのかと。
返事はない。
ひたすら地面に手を這わせ、童の足はじりじり進む。
もう一度、同じく問うてみるがまた返事はない。
そういえば、この子の名は何といったか。
呼びかけようとして戸惑う。
大切なその名がでてこない。
私の命さえ霞むほどに大切な、かの者の名が出てこない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、何を探している」

灰で手を白く汚して、おまえは何を探している。
私の愛児、おまえは何故答えてくれない。

歩み寄り、小さな肩にそっと手を置いたそのとき、

「あった!!!」

無邪気な甲高い声が響き渡る。
そうか、見つかったのか、よかったな
探しものが何かは知れぬが、見つかったならよかったと、
腰を屈め、子の手元を覗き込むと、そこには一房の髪の束。

509風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:15:44
(髪…?)

「よかった…」
「藍丸?」

そうだ、この子は藍丸。私の可愛い稚児。
どうして一時でもその名を忘れていられたのだろう。
口ずさむだけで愛しさに甘く締めつけられるその名を私は…

「よかった、全部燃やしてしまわないで…」
「らんま…る…?」

ふっと蝋燭の炎を吹き消すかの如く、瞬く間に四囲が闇に閉ざされる。
そのような中、小さな藍丸の身がぼんやり光りだした。

「雷王…」

すっと立ち上がった童の周りには、黒く焼け焦げた幾許かの死体。
顔も判別できぬそれは確かあの日見た惨状。
知っている、気のせいなどではない、克明に覚えている。
私が片をつけたのだ、この子の代わりにこの身で全てを償うと誓って。

やはりここは…暗がりにて何も見えぬが、ここはあの…
そして私は…

「見つけた、雷王…」

大人びた声にはっと顔を上げる。
成人し時を止めた姿が漆黒に白々と浮き上がる。
純白の大輪が咲き零れるような艶やかさで。

「全部燃やしちまわないよう気ィつけたんだぜ…」

彼は手にした紅の髪を眼前に翳すと、舌でべろりと舐り、片笑んだ。
焔の緋を灯した両目が、薄っすら弧を描き、うっとりと愉悦に歪む。
だがその表面は何も映してはいない。
ただひとり、もうここにはいないかの面影しか。

「俺のもんだ…」

灰が舞う
人肉を、雷獣を燃した灰が宙に舞う
黒髪を巻き上げ、虚ろな声を掬い、
真綿が首を絞めあげるような優しさで
ふうわり暖かく彼の身をくるんで、やれ踊れ、やれ歌えと囃し舞う
己を軸に吹き上がる雪のようなそれを愛しそうに見つめ、藍丸は無邪気な幼子のようにくすりと口を綻ばした。

「愛してるぜ…」

手の中の一房にそっと接吻を捧ぐ。
まるでそれこそが生きているかのように、そこに思いの丈のすべてを注ぎ込むかのように。
そして灰燼となりて尚我が身をくるむ彼の温みに、藍丸は朧な目を泳がせ、恋しいその名を口ずさむ。

「雷王…」

!!!!!

狂気じみた陶酔に身を委ね、滲み出す人ならざる妖艶な色気に唾を飲む。
今次こそついぞ知らぬ、あのような姿は見たことがない
だが怖気立つほどにかの身は美しい
求めて焦がれ、居らぬのに追い彷徨う、その寂莫たる様相から目が離せない

あれはなんだ  あれが藍丸か  あれこそが藍丸なのか
私の藍丸が、私を燃し、私をこそ想い狂ってゆく
心此処にあらず、彼岸に寄りかかり、血の涙を流し流離う
この世でもなく、あの世でもなく、既にない私の影を瞼に浮かべ…

「藍丸…」

まるで私が死すれば藍丸は…

「雷王…、らいおぅ…、」

まるで私を求め藍丸は…

510風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:15:55

藍丸っ!!!!!




口蓋を刷き飛ばすほど擦れた声が、叫びとなり、寝屋の静寂をびりりと裂いた。

「………夢、か…」

あれが、夢。
現の出来事であったような鮮明なあれが夢だと…?
雷王は身を起こすと、奔る鼓動の早さに知らず肩で息をついた。
三度暴走した力はいよいよ雷王をも焼き尽くし、灰にした。
その遺髪をぎゅうと握り締める白い手、切なげに細められた紅い眸、、酔客のように茫と舌足らずに呼ぶ声、そのどれもが夢の一言で締めくくるにはあまりに鮮烈で、まるで易者に先見を受けたような心地さえする。
(喉が渇いた…)
頬を露が滑り落ちる。
額に触れ、初めて全身にみしりと汗が滲んでいることに気づいた。
「夢、なのかあれが…」
怖れから幾度も自問する声が上擦る。
豹変した藍丸に、否、それを嬉しく思う浅ましき己が心にぞっとした。
自らを御しきれず、取り乱し、心隠すことも忘れ、我を失くした主の純粋さゆえの乱心が、どうにも愛おしくてならなかった。
そして彼をそうしたのが私であると思えば思うほど、臓腑は悦びに打ち震え、手に手をとりたい惑いに駆られた。
あのとき、手を差し伸べていれば、共に二人きり何れかの果てへと旅立てたのだろうか…
不埒な想像のもと、寄り添うように隣りで眠る主の頬を撫ぜる。
「藍丸…」
夜が更けるまで身を交えた痕を膚に散らし、彼は無防備の態で寝息を立てていた。
「藍丸…」
夢の中、ひとときでも忘れてしまった名を呟く。
二度と忘れないよう、何があろうと失わぬよう、想いをこめて。
「ん、…どした、雷王」
不意に目を覚ました藍丸が、降り注ぐ低い声に短く応えた。
「いや、…なんでもない」
「…そ、か」
なんでもないと言うわりに、常に温かな身体が今はやけに熱く感じられ、藍丸はもそりと彼の腿に頭を乗せると、仰向いて雷王を見上げた。
暗闇のなか、表情はよくわからない。
だが、考える性質である雷王のこと、なんでもないと言うのなら何かがあったということくらいはわかる。
そっと情人の顔に手を伸ばすと、その指先を雷王の手がきゅうと握り締めた。
どちらともなく、ふ、と笑みが漏れる。
「藍丸」
「ん?」
「…少し、抱いてもよいか」
汗が引き、冷え始めた膚が、眠っていた心許なさを引きずり出す。
無性に人肌が、藍丸の温もりが、欲しいと思った。
「…いいけどよ、俺ぁもう腹いっぺえなんだが…」
眠りに落ちる寸前まで雷王で満たされていた中は、今も何かを咥えたような膨らみを憶えてじんじんと疼く。
下腹をさすって苦笑すると、
「いや、ただ…抱擁を…」
「ああ、そういうことか」
いいぜ、と起き上がった藍丸の胴は、すぐさま両の腕で絡めとられた。
隙間なく膚と膚をあわせ、密に熱を移しあい、雷王は思う。
あれは夢、空恐ろしいが互いを独占する甘美すら味わった夢。
しかし惹かれた心は夢ではない。
理に背く本能が焦りに逸る。
だから今、主の火をこの背に封じたように、己が暗き欲を腹の奥底へと葬り誓う。
藍丸がこの世にいる限り、私は絶対に消えぬ、と。
いつか背が焼け爛れ、盛る劫火に燃されようとも、私は死なぬ、と。
もちうる誠実と忠実を腕に、若い身体を強く掻き抱く。
「離れぬ…決して離れぬ…」
幼子のようにしがみつき、縋るように言を搾り出す。
多くを語らず、その身ひとつで何事かを訴える様に、藍丸は何も問わず静かに抱き返した。
背を濡らす獣の嗚咽は聞かぬふりをして。


なんかようわからんけど、夢オチってことだけは確かだ。
独占欲に狂う藍丸とかいいと思う、すっごくいいと思う
一部レンタル、「菩提樹:天野月子」、thanx☆

511風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:16:08
◆ 龍夢

命に代えても守ると誓った。この身体が滅んでしまい、魂だけになろうとも、近くちかく仕え、どのような刃であろうが防いでみせると…藍丸のためならば、どんな無茶であろうが成し遂げる。誰にでもなく、己に…天に誓った、誓ったはずだった。

そうであったのに、なぜ藍丸はいない。己はここにいるのに、藍丸の姿はどこにもない。眼前には、真っ赤な瞳と炎の力を纏わせた男が悠然と佇んでいる。

藍丸の身に巣食う、絶大な緋王の力を押し込めたのは雷王だ。完全に、あの妖怪は力を失くし眠りに就いたはずだった。だが、その慢心を彼の王は嘲りでもって見ていたのか…気配を欠片ほども出さぬことに、安堵する自分たちは愚かだったのか。

どれほど己の失念に悔恨を抱いても、もう遅い。あれは妖怪の首領にまで上り詰めたものだ。滅してなお、存在し続けた妖怪の力を侮っていた。たかが文様ひとつで、封呪などできる相手ではないと、なぜ気付けなかったのか…。
今さらだろうが、思わずに居られない。

藍丸は、雷王の目の前で炎に包まれた。

惨劇は一瞬だった。僅かな笑いを口元に刻み、こちらを振り向いた刹那、突然に身の内から噴き上がった紅蓮の業火は雷王が藍丸に触れるより先に、瞬く間に主を灰と化した。伸ばした指の先、脆く崩れる身体が信じられなかった。

驚き、何が起こったのか理解も届かぬうちに、真っ白な灰の中から緋色の王は一歩を踏みこんだ。


腑抜けが…


にやり唇を吊り上げ、満足に王は嗤う。長い時の中、主の内側で牙を隠し爪を研ぎ澄まし、じっと沈黙を保ってきた王は、この刹那の満足を味わうためだけに、長いながい悠久とも感じる時間を過ごしていた。


雷王の無駄な足掻きに片頬をゆがませ、藍丸の疑いを持たぬ甘さに笑いを殺し…


我が、あの程度で静まるとでも思うていたか
無駄であったな、獣の王よ


不気味に落とした声で呼ばわれたが、雷王には意味さえ分からなかった。

藍丸は何処へいった。
どうして主の姿はなく、この男が目前に立っている。

いとしい、いとしい、あの藍丸を
この男はどこへ隠した?

茫然と見上げる雷王を、いっそ憐れみすら籠めた眼を向けながらも、皮膚の下からは残酷な顔が浮かび上がる。そろり雷王の頬へ手を伸ばし、身を屈めて耳元に口を寄せる。寝間の囁きを交わすごとく、緋王は甘くあまく声をそっと吹き込んだ。


汝の藍丸は、もうおらぬ
我が灼いてやった。


静かに身を引き、頬に添えた手で肌をなぞる緋王をぼんやり見上げる双眸は、ガラス玉のように感情がない。

だが、次の瞬間にガラスの内側から雷の力が溢れかえった。首を仰け反らせ、太い慟哭の叫びが迸る。ぶわりと巨躯を包む獣性の本能が、純粋な怒りに染め上がった。空へと放たれた咆哮が、天上を揺るがし、あらゆる世界へ鳴り響いた。魂を震撼させる神獣の慟哭は、長くながく尾を引き、何重にも折り重なる残響が鋭く 不快な音波となって空を引き裂いた。その亀裂を目指し、天の底を轟かせる軍勢が、雷王の怒りの声に応じ集い来る。

すでにその座を追われた身でありながら、獣はいまだ神獣の力を発揮する。

緋王が飛びのくより早く、天から堕ちるいくつもの雷の束が怒りの槍となって突き落ちた。


返せ
かえせ
かえせかえせかえせかえせっ!!!

512風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:16:24
私の主だ
私のものだ
私だけの藍丸だ


「返せ!!!!!!」


放たれた凄まじい声に喉は破れ、口からは血が迸る。それも構わぬ雷王が、真っすぐ示した先に立つ緋王へ、次々と稲妻は天から転がり落ち、耳も眼も壊れる音と光が炸裂した。


痴れ者が…
そんなものでは我は倒れぬ


嘲る声が雷鳴の轟きに押され掻き消される。ひらり飛びのく足下に、背後に、左右へと…緋王を追う稲妻は大地を穿ち、大木を斬り裂き、草木を薙ぎ払い、雷王の命ずるがまま、青白く太い電光の刃が螺旋を描き振り下ろされる。


かえせ…返せ…かえせ…ッ!!


すでに人の形を失った獣が、本来の姿となって空を駆る。雷王の憎悪と怒りと悲しみが、天の理を捻じ曲げ、呪符の道理を突き破り、二度と飛ぶことが叶わぬはずの獣が、天空へと舞い上がる。

その僅かな間にも、雷王の血を吐く叫びは止まらない。

雷獣の長の声は、眷属全てを駆り立てた。地上のものであろうが、地の底に眠るものであろうが、僅かなりとも繋がりがあるものたちが、雷王の元へ馳せ参じる。

重く黒々とした雷雲は、雨竜・雷竜に伴われ、うねうねと空を覆い尽くし、緋王を追う稲妻が、大地と天の間を忙しなく行き来した。揺れ動く空は重みに耐えかね、抜けた底から激しい雨が滝となって流れ落ちる。

消えた主を求め、雷王の率いる軍勢は怒涛の勢いで天を疾走し、藍丸の姿を見出そうと、大地を次々と引き裂いた。

地上は地獄の底よりも暗い闇に囲まれ、天の軍勢が空を蹴立てる轟音と鋭い電撃の刃ばかりが、無数の柱となって深く打ち込まれた。地獄まで貫き通る穴からは、亡者どもがこの世へと這い出し、篠突く雨は濁流となって大地を押し流した。

猛り狂った雷王の足元から、狂気の奔流が溢れだす。彼が通り抜けた後ろには、人の悲鳴と命が容赦なく奪われる光景だけが残された。どこぞで緋王に振り下ろされた刃があったが、彼の生死すら雷王の眼中にはなかった。


いない、いない、ここにもそこにも、主がいない…
何処へ消えた。どうして居ない。必ず見つけ出してみせる
主がいない世界なぞ、雷鳴と共に消えて失せてしまえばいい


荒れ狂う凄まじい流れに乗って、雷王の軍勢は勢力を増して移動する。だが、後ろに付き従う無数のものたちにも気付かずに、ひたすら藍丸を求め、姿を消した主を求め、魂を捧げた彼の人を求め雷王は、征く。雷鳴と稲妻を荒ぶる形のまま解き放ち、天も地上も阿鼻叫喚の地獄へ突き落としてなお、見つからぬ主の名を叫び、血の涙を流し、求め…駆け抜けた。



*****



真っ黒な雲が空に現れたと思う間もなく、ビルの谷間にごろごろと雷雲の唸りが響いた。藍丸が見上げた先には、天を引き裂いた雷光の形が刻まれている。


アイツら、暴れるつもりか…


思う間もなく、雷鳴に引き摺り回されるように強い風が吹き上がり、遅れて激しい勢いで雨が降りだした。

ガラスに激しく叩きつけられる雨粒は、窓の表面を勢いよく流れ落ちていく。小石が無数に降るような音を鳴り響かせるそれは、激しく刻む動悸のようだ。

潔いほどの荒れ狂いように、魂の原始的な部分を揺さぶられた。身の内側から迫りくる感覚は、明らかな高揚だ。

家啼の内側は外部の天候に左右されることはない。常に心地よい空間を形成する内部にいることに慣れた身としては、家屋の中から遭遇した嵐というものが、とてつもなく感慨深い。引き受けた依頼の調査に、こんな人間たちが使うビルの一室に宿をとることになり、慣れぬ人工的な気配にささくれていた心地が、猛々しい 嵐の力を前にして、一気に落ち着いていった。

地上を見下ろす高みからは、群なす黒雲の巨大な塊がよく見えた。無数に走る閃光が、ごろごろと不気味な低音を発しているそこに、かつては己の獣も居たことがある事実が、より一層に藍丸を惹きつけていた。

雷獣の一匹くらい望めるのではないか…

眼を凝らし窓辺に近づいた矢先、空から巨大な力の塊が叩きつけられた音が、強い振動となって辺り一帯を圧した
同時に藍丸のいる室内だけでなく、見える範囲の建物全てから灯が消える。

513風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:16:37
堕ちやがった…ッ


頭よりも先に本能が、何があったのか理解している。衝撃は重く大気を震わせ、存分に人間たちを怯えさせる力に満ちていた。残響にびりつく気配は、かなり大きな雷獣が地上に降り立った証拠だが、人間たちの眼に付くことはないのだろう。


いったい、どんな雷獣だ


純粋な興味を抱いた。かつて雷王が獣となって現れたとき、その姿に魅了された。ひどく美しく気高い生き物の姿は、どれほどの時を経ても忘れることなどできはしない。

そこに…いるのだろうか。
雷王と同じく、地上には決して見ることなどない美しい獣は、いるのだろうか。

反射的に外へ目を向けた藍丸だったが、地上を見降ろした瞬間、胸の奥を素手で掴みこまれるような驚きで、喉が鋭く鳴るのを抑えられなかった。

真夜中のような闇の世界に走り抜ける、紫電の閃光に炙りだされた強烈な白と黒の光景の中、ちらり紅い色が視界を過った。

人間のものではない
人が纏う色ではない…

それは頭が理解するのではない。妖怪としての本能の反応だ。あれは古くから知っている色だ。紅く鮮やかな、妖しだけに許されているその色を藍丸は知っている。


雷王…?


激しい水煙の幕と紫電が飛び交う闇の中、雷王の姿が朧にある。しかも、随分と懐かしい…まだこの辺り一帯が、江戸と呼ばれていた時代の、あの頃の服装をした雷王が亡霊のように立って、藍丸を見上げていた。厚みも重みもない、薄く弱い雷王の姿をしたソレは、泣きだしそうな眼をしている。

雷王であるはずがない。そんなはずは無い。雷王はずっと自分と共にある。あの日に側にずっといると誓わせた。何があっても離れないと、決してどこにも行くなと呪縛をかけた。今も、忠実な獣は隣室に控えているはずだ。

だ が、いまそこに居るのは確かに藍丸の獣だ。見誤るわけがない。高いビルの一室から雷王が佇む場所までには距離はあるが、今や距離など一足飛びで縮められる藍丸には無関係だ。魂を捧げられ、命を委ねられ…その全身全霊が藍丸のものと言霊を放った雷王は、例え姿がどのようになろうが、藍丸には分かる。

あれは雷王だ。ひどく頼りなく、消え入りそうな輪郭をしていても雷王だと『知っている』

だが、藍丸のものである彼は、どうして雨に打たれて立っている?
そんな姿となって、胸が引き絞られるほど悲しい目をして…

嵐に呼ばれ雷鳴に誘われでもしたか…
そのまま天へと駆け戻り、二度と戻っては来れぬのではないか。

不安は呼吸一つ分の間もなく押し寄せた。藍丸の喉元は塞がれ、瞠る瞳は引き絞られる。


どこへ、行くつもりだ
お前は俺のもんだろう


「雷王…ッ!」

あの獣が側を離れるなどあり得はしない。確信を抱いていても、不安が募った。あれは雨と雷が見せている幻と、必死で思ってみても慰めにもなりはしない。こんなにも感情は揺さぶられている。姿を目にしているだけで、見えぬ糸で強く結ばれている縁が感じられる。

僅 かでも動きがあれば、どんなことをしてでも引き留めてやる。だが、確かめようと眼を凝らしたとたん、ざぁああ…と雨脚がひときわ強くなった。白く飛沫が舞い散る水煙の中で、悲しい目をしていた獣がゆっくり微笑んだ。とてつもなく距離はあるはずなのに、『藍丸』と優しく呼ぶ声までが聞こえるようだ。


雷王…?


浮かぶ疑問は音にならず、名を思うだけしかできなかった。そうして、次の瞬間に獣の姿が雨に掻き消された。


「待てッ、雷王…!」


思わず叫びかけ、邪魔立てする窓を打ち砕こうとするのと同時に、身構える背後から、ドアの開く音がした。音を立てて振り向けば、先ほど雨に呑まれ消えたはずの獣が、暗がりの中に佇んでいた。


「藍丸?」

514風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:16:48
訝しげに眉をひそめる雷王は、昔の着物など着込んでいない。この時代、その年かっこうに相応しい服を纏っている。
圧倒的な威力と存在感。声ひとつ、眼差しひとつで心の深くから、いとしいいとしい気持ちが無尽蔵に湧き起こる、藍丸の獣。

「らい…お…」

「なにかあったか」
 
僅かに声が震えた程度だったが、雷王は鋭敏に反応をする。流れるような動きも、仔細を逃さず見つめる熱心な視線も近づく体温も、なにもかも全てが雷王であるのに、頭の中にはいまだに雨の中に立つ雷王の姿が強く残っている。

悲しい眼と緩やかな笑いが、ひどく鮮明に記憶を占領してしまっている。夢か幻だと、どれほど自分に言い聞かせてみても、心の奥が奇妙に悲しい。雷王がいるのに、胸にわだかまる喪失感がぬぐえない。半身を引き千切られたような哀惜が、きりきりと胸に鋭い痛みを覚えさせている。

「藍丸?どうかしたのか?」

尋ねる雷王の声に不安が混じる。雷王を見詰めてばかりの藍丸を怪訝に感じてなのだろうが、そんなことにすら、なぜか泣きだしたい衝動に駆られた。たった数歩の距離だろうが、離れて居られるのがひどく悲しく不安になる。

「雷王」

求めて伸ばした手は、力強い大きな掌に包まれたが、身体の一部が触れあうだけでは足りなかった。重なる手を手繰り寄せ、温かい雷王の身体を腕にする。大きな体躯は藍丸をすっぽりと胸に収め、温かな雷王に深くふかく包み込まれた。

「なにかあったのか。なぜ悲しい目をしている」

ゆっくり頭をなぞる掌は優しい。胸から響く声は低いがよく通る。尋ねていても、無理に答えは求めていない。応じたければ言えばいい。声にせずとも雷王の寄こす優しさは揺れる心の奥底にまで沁みて行きわたる。それでもまだ足りない。胸の深い場所が痛くて息がつまりそうだ。


「お前は…俺のもんだ」

縋る指に必死の力が籠る。呟く声は呪詛の力を秘めている。

「そうだ。私は未来永劫、お前のものだ」

低い囁きで藍丸の呪に即座に応じた雷王の身体の奥で、確かに呪縛の力が動いたのが分かる。もう幾つの言葉の鎖が重ねられているのか。藍丸にも雷王にも分かりはしない。ただ、また一つ重みが加わろうが雷王は嬉しさを覚えるだけだ。

藍丸自身も、自分が施したものが何かは知っている。雷王は決して空へなど戻れぬよう、重ね続けた言葉は封じの印より強い力を発している。

「どこにも、行くな」

関節が白くなるほど強張る藍丸の指を、雷王の手が上から包み込むように握りしめた。背を抱く腕に力が込められ、自然と首がのけぞり雷王を見上げる形になっ た。見降ろす双眸は揺るぎなく、カケラの迷いもなく藍丸に向けられている。視線が合わさり、雷王は目元を愛しげに細めてみせた。

「お前の側より他の、どこへ行けという」

吐息よりも柔らかく、応えと共に唇が寄せられた。そっと口元を覆う温もりが、藍丸の不安を溶かそうとしていた。

「…俺だけのもんだ。誰にも渡さねえ」

熱に浮かされるような藍丸のうわ言にさえ、雷王が「ああ」と応じてくる。いつものことなのに、雷王に触れている『今』が、常より鋭敏に沁みて仕方ない。つきりと立ち上るこの痛みが、堪らなく悲しくてならない。嵐が及ぼす影響なのか、垣間見えた雷王の幻影がもたらしたものなのか…失ったわけではないのに、悲しいかなしいと嘆く思いは止まらない。

窓の外は未だに闇に閉ざされ、明かりひとつも許されぬ嵐のさなか、雷王の存在だけしか確たるものはない。雷王にしっかりと自分を抱かせる藍丸もまた、この世でただ一つだけの愛しいものを強く抱きしめながら、大切な獣の名をそっと呼んだ。


怒られるかな
おこられるかな…

おこらないよな?!

515風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:17:02
◆ 二乗

三百年前から薄々は気付いていたが、どうやら連中のおおぼけ具合は、あの頃より更に進行したらしい。

京に棲みかを定めた弧白が、一紋に戻ってから半年が過ぎているが、確信は、藍丸がときおりに此方にやってきたり、自分があちらへ顔を出したりするごとに、ますます強く深まっていく。

それにしても、原因はどこにある。
弧白がいた頃にも兆候はあったが、これほど凄まじくはなかったはずだ。

常に疑問は抱いていたが、つい聞きそびれてしまっている。
それというのも、雷王と藍丸が常に共に行動をしているせいだ。あの二人の間には、傍に居るのが馬鹿らしくなるほど密な空気が流れている。ソレを目にするにつけ、どうにも微妙なことを尋ねる気になれない。

むしろ、もうどうでもいいような気にすらなってくる。
一紋には戻りはしても、所詮はあちらに常に居るわけではない。

三百年ほど経ってくると、そこそこ神経質な部分も妖怪とはいえ研磨されていくようだ。
それが証拠に、弧白は珍しく藍丸の守りを他出する雷王から半日任されたのに、尋ねもしなかった。

その藍丸は、雷王からの連絡を携帯に受けて、実に楽しげに情人と話しをしている。
未だあの獣は気に食わないが、藍丸が選んだ相手だ。横合いから手出しするほど野暮ではない。
すでに、弧白が雷王に背を向けたときに決着はついていた。

今でも時折に思い出す。

天から失墜した神獣が、地に縛り付けられる呪縛を刻ませた不気味な文様。
あんなものを背負って、よくも鬼にもならず過ごせたものだ。

妖かしには、それぞれ分というものがある。
それは人間に比べ、より厳密に狭められたものであり、枠を超えることなどほぼあり得ない。
一線を越え、抑えつけられた本来の能力は形を変え、歪みを産み、やがて妖怪の気を浸食し鬼と化す。

雷王が背に刻んだ文様は、場合によっては要らぬものになりかねない『杖』だった。
藍丸が力を暴走させなければ、一度たりとも使われぬままでいたはずだ。

そうなれば…

雷王と会話をしている藍丸に、銀白色の瞳を向けて弧白は黙考した。

…そうなれば、何時の日にか正気を喰い破られた鬼となり、調伏され封印されただろう

術に関しては、大妖の弧白よりも秀でた獣が、その危険を知らぬはずがなかった。
それでも、あの獣は藍丸のためになるならばと、ためらいもなく背に文様を入れたのだろう


馬鹿には敵わないってのは、本当だよ


あのときも思ったが…


「…それで?ソッチの話しは終わったのか。…そうか。俺たちがいるところか?」


弧白の胸中も知らぬ藍丸は、携帯越しに雷王の声に笑みを浮かべていた。
そっと、感情の発露のまま口元に乗せた笑みは、どれほどの情愛を抱いているか、他者にも如実に伝わるほど、優しげで幸福に満ちたものだ。
その顔をさせられなかったのが、自分ではないのが僅かに惜しかった。が、感傷に浸っている場合ではなかった。

516風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:17:13
「…なにか、目印になるもの…か?」


雷王に居場所を聞かれたらしく、辺りを見渡した藍丸の目がこちらを向いて、眼顔でもって『どこだ?』と尋ねてきた
どこと言われても、弧白も地名くらいしか分からない。
人間たちの付ける地名や場所の名は、ころりころり転がるように名を変え形を変える。
長く生きる妖怪の身としては、覚えるのも面倒と、かつてから慣れ親しんだ名称だけを覚えている。
詳細なんぞ言えるはずもなく、軽く首を横に振れば、さも納得した頷きが返ってきた。

分からないと身ぶりしたはずだったのだが、藍丸は弾んだ表情でもって弧白に笑いかけた。


「よし、わかったぞ」


明るい宣言に、ぎょっとなる。


…ちょっとお待ち!
何を分かってくれたんだい


言いかけた言葉の端が出るより先に、藍丸はなぜか道路に止まっている一台の車に眼をつけていた。


まさか…藍丸、それはお止め!


止めようとするより先に、藍丸は堂々と携帯のあちらにいる雷王へ告げた。


「ぬらり生命の車の前に俺たちはいる。分かりそうか。そうか…よし待ってるからな」


パタリと携帯を閉じる藍丸の手元から目が離せない。
同時に、雷王おまええっ!!と脳内で怒りの単語が爆発しそうだ。

分かるわけないだろう。
車はこのビルの前に、一時停車してるだけで明らか動く。
藍丸も藍丸で、どうしてソレを目印にしようなんてした。


「弧白、どうかしたか」

「どうかもなにも…本当に、あいつは分かったって言ったのかい」


訝しげに尋ねても、藍丸はストローをずずっと鳴らし頷いた。
雷王がこの場に居れば、行儀が悪いと咎めるところだが、弧白の受け持ち分野ではないので気にも留めなかった。
今はそれよりも、藍丸のボケに対応するので忙しい。

いろいろ、山よりも高く言いたいことがある弧白に、藍丸は相変わらず邪気のない笑いを向けてきた


「あと十分くらいて来るらしい」


来れるもんかっ!
ぬらり生命ってのは、この街ではけっこう有名な保険会社だ。
そんな車、あっちこっちに走り回っているし停まってる。
しっかり者だ…と、唯一それだけは認めてやっていた獣だったのに、ついに平和ボケしたか。

こめかみのあたりが微妙に痛くなってくる。
そーいえば、三百年ぶりに戻った一紋では全員がボケていた。


今夜は弧白様が戻ってくださったお祝いでございますと、魚取り担当の蛟女が、マグロをまるまる一本担いで持ち帰ってきた光景にはさすがの弧白ものけぞった。
しかも、藍丸も雷王も『それは豪勢だな』と笑うだけで、台所を預かる桃箒にしても、戸惑うどころか両手で受け取っていた。

その後、桃箒によるマグロの解体ショーが庭先で行われ、大いに盛り上がっていたが、思わず『この一紋からしばらく離れていてよかったよ』と感じずにはいられなかった。
嬉々としてでっかい魚をさばく、水屋担当の妖怪の口元には、狂気走った笑いが滲んでいたんだが、誰も気づいてないんだろうか…。

517風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:17:25
「藍丸、ちょいと聞きたいことがあるんだが…」

いったい自分が居なくなってからこのかた、こいつ等に何があったのか。
思わずに居られないのは、妖怪でなくても思うところだ。


「なんだ。そんな奥歯に物が挟まったみてえな他人行儀な言い方して、どうしたんだ
お前らしくもねえ。久しぶりに戻って照れでもしてんのか?まっさか、そんなことは
ねえよなあ。もっとも、お前が戻ってくれて、本当にうれしいぜ。けど、どうしても
江戸の街には帰ってこないで、こっちに住まうのか?俺としちゃあ、またお前には
側にいてもらいてえところなんだが、お前の立場を考えたら簡単にはいかねえんだろうなあ
まあ、新幹線もできてることだ。ちょくちょく戻ってはきてくれるんだろ」


立て板に水。早い浅草ことばでまくしたてられ、長く京都のゆったりおっとりの言葉に馴染んできた弧白には、口をはさむ間さえつかめない。

しかも、すっかり自分の問いかけの始まりは消えてしまっていて、藍丸から『またこっちに来てくれるだろ』の問いかけの方に頷く羽目に陥っている。

さすがと、本当にさすが大きくなったと誉めてやりたいところだが、コレは違う。
大きく羽織として成長したんじゃなくって、ただの天然ボケが成長してる状態だ。

「蛟女が、この前はマグロだけだったのがお前の気に入らなかったんじゃねえかって
えらく気を揉んでやがってな。次にお前が来るときには、クジラを手に入れてくるって
張り切っているんだぜ」

眼をキラキラさせて言われても、それは次に行ったら庭ではクジラ解体ショーをするってことだ。


食事前に、流血沙汰かい…ッ


お前ら全員、ちょっと待てと言ってやりたかった。
そんな性格していなかっただろうに、どうしてそうなったのかを尋ねたい。

だが、弧白にしてもどこから聞けばいいのか分からなかった。
妖怪であって、年月なんぞ関係ない身の上だったが、今だけは三百年の歳月が、物質的な重量となって目の前に立ちふさがっている気がした。

どうにも胸の内に積もる思いを言葉にできず、深く息をして外を見れば、藍丸が目印にしていた車は、すでにどこぞへ立ち去っていた。


「藍丸、車が消えているよ」


弧白の指摘に、え?と顔を上げた藍丸だったが、次の瞬間には雷王を心配するどころか「まあ、大丈夫だろ。アイツなら来れる」と根拠も分からない信頼ぶりを発揮してくれた。

微妙に…惚気られている気がする…

じっとり半眼になりかかったとき、からころと鐘のなる音が店にあった。
流れ込んできた気配は、ひどく馴染みがある。


「ほら、来ただろ」


弧白が目線を上げて確認するより先に、藍丸は後ろに首だけを巡らせて雷王を出迎えていた。


「分かりにくかったか」


尋ねる主の頬に、絶対服従の獣は片手を添わせて『いいや』と首を振る。


「すぐに分かった」

518風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:17:36
目印があったからなと言いながら、藍丸が位置をずらして譲った席に大きな身を置きながら、「だが藍丸。普通は動くものを目印にしてはいかん。動かぬものにしたほうがいい」と基本的な注意を与えていた。

注意されながら、藍丸が雷王に注ぐ視線は熱が篭り、受け止める雷王も今にも相好を崩しそうに甘い顔つきでいる。
店内であろうが構いもせず、テーブル上で手を握り合う二人の前で、弧白はふつふつと胸の内を滾らせ始めた。

なんだか…分かってきた。
どうして天然ボケばっかりが増えてきたのか、この状況で全て弧白には理解できた。

要は頭に立つ二人が、この三百年で大きくボケに成長してくれた影響が一紋に現れていたわけだ


「つまり…お前たち…」


呟く声に同時に顔をあげた目の前の馬鹿二人に、弧白はにゅうっと口元を引き上げ、恐ろしく綺麗な笑みを湛えながら、眼の中は怒りで真黒にしながら手袋を外した。



天然ボケの発生源に、自分たちから成り果てていたってわけかい!


怒髪天を突く弧白の怒りは、それはそれは凄かった。半分くらいは、自分が側にいるのに藍丸の全神経が雷王にばかり向いているのが、面白くない本日の八つ当たりだったが、知ったことじゃなかった。


「弧白ッ!お前、いったいどうしたってんだ!」

「落ち付けっ!そのような力をこんな場所で使うものではない」


なんだか主従がそろって、もっともらしいことを叫んでいたが、これもまた聞こえないことにしておいた。




その後、弧白の怒りが炸裂した店内には、突如としてお狐様たちが集合し、怪奇現象が嵐となって吹き荒れたが、元凶である二人には最後の最後までどうして弧白が怒り狂ったのかは、分からずじまいだった。
そうして、最終日にホームまで見送りに行った弧白は弧白で、浅草へは顔をしょっちゅう行くが、やはり暮らしはこちらにすると告げておいた。

天然ボケに対して、どこまでもツッコミ気質の弧白には、ボケだらけの一紋に取り囲まれる生活は、ストレスがたまることばっかりだろうと予測がついたためだった。
藍丸には本気で残念そうな顔をされ、すこぉしだけ心は揺らいだが、『そうか…じゃ、こうしようぜ。来月は一紋総出で京都見物するから、その時にまた皆で宴会でも開くってのはどうだ』と、全力の笑顔で言われたときには脱力しそうになった。
しかも、止める立場の雷王は、『それはいいな』と頷いてまでいる。

あれだけの騒ぎを起こさせ、怒りまで露わにしてみたのに、やはり藍丸は藍丸で、獣は獣頭だった。
京都土産の八つ橋と漬物を持たせ、二人を乗せた新幹線が消えた瞬間に、その場にへたり込みそうなくらい疲れていた弧白だった。

藍丸のことは、いまだに非常に気に入っているが、あそこまで天然が成長されてしまえば見守る程度しか残されていない。そして、今の一紋から冷静な判断ができる自分が抜けてしまえば、日本中にとんでもない話が蔓延するだろう予測もついた。


ちょっとずつでいい…少しずつ、連中をどうにか普通に近づけてやるしかないね


決意する弧白だったが、彼は知らない。ならばと、藍丸たちがちょくちょくと京都へやってくるせいで、弧白そのものも京都の妖怪たちの間では、お笑い界を制覇すると噂されていることを…

まったく、毛先ほども分かっていないのだった。


狐白はツッコミ気質
そうとしか思えないのは、私だけじゃないだろ

519風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:17:48
◆ 包薫香

腰がソファに重く沈む。
昵懇の間柄にあるホステスから、いつかの飼い犬探しに次いで依頼された男の浮気調査。
一抹のキナ臭さに目を瞑り、ひとり動くこと二週間。
長くホテルに閉じこもっていた男が漸く動きだしたと、約束どおり依頼主の携帯に連絡をいれた時点で御役御免になった。
(…ただの浮気調査ではあるまい)
当初より勘付いてはいたが詮索はできない。
藍丸も同時期に別件で一ヶ月拘束されているが、とりあえず今後の対応を相談したいと連絡を入れると、頑張れよっの一言が暗黙の内に調査の続行を命じていた。
おそらく主は事の全てを把握している。
(…疲れた)
背凭れにばふりと身を預け、目を閉じた。
鼻先に突きつけられたピンク色の爪先を思い出す。
男と接触する者がいれば相手が誰であれ連絡するよう告げる口元は赤かった。
だが真にこの目に映し、触れたいと望む者とは、既に一週間以上会えていない。
早朝から深夜にまで及ぶ張り込みは、雷王の心をこそ疲労の泥沼へと引きずりこんでいた。
「なーに気難しい顔してんだ?」
だから、会いたくて会いたくてたまらなかった彼の声さえ、当然夢かとやり過ごした。
(藍丸は…今宵も相手の屋敷に泊まっているはずだ…)
ぎゅうと眉間に皺を寄せ、より一層きつく目を瞑る。
だが予想に反して幻だと思っていた声は消えなかった。
「らーいおうっ!!!」
「うおっ?!」
今度こそはっきりと聞こえた主の声にばちっと目を開くと、次の瞬間、真後ろから両手で顔を挟んで仰向けられた唇に、ふわりと温かい感触がぽう、と灯った。
「へへ、おかえりっ」
「…ただ、い、ま……あ、藍丸…?」
雷王の頬に手を添え、悪戯っ子のように笑う藍丸を下から仰ぎ見、何度も瞬きを繰り返す。
居るはずのない姿に驚き、口を閉じることさえ忘れていると、もう一度今度は額に啄ばむような口づけが落とされた。
「…何故、此処に…」
「ああ、俺のほうも今日で終わったからな」
長けりゃ一ヶ月って話だったからラッキーだと、風呂上りのほこほこと湯気を立てた掌が未だ冷たい頬をさわさわ優しく撫ぜてくる。
仄かに香るこれは洗髪剤の類いか。
「藍丸…」
「ああ」
左頬に在る手をとり促すと、藍丸はソファを周り、雷王の正面から腿の上へと跨った。
目元を覆い隠す濡れた細い毛束を指先で弄りながら、見つめあい、漸くといった態で情人の存在を実感すると、男はふっと安堵に口角を緩めた。
やっと逢えた、と。
「…いい香いがする」
ふと目を細め、小鼻をひくつかせて囁くように雷王が言う。
人工的な芳香を嫌う獣が、藍丸から漂うそれには不思議と惹かれた。
「よく似合う…」
かつて奔放に天を駆けたあの頃、膚を切る風は土地により時代により香いが異なっていたことを思い出す。
今鼻先を擽るこれは、例えるなら樹木が立ち昇らせる複雑な香りを幾種か練りあわせた、古来より伝わる薫物に似た懐かしさがあった。
濡髪に鼻先を潜らせ、すん、すん、と嗅ぐ。
「くすぐってえって、雷王っ」
首を竦め、笑いながら身を捩る。
胴を絡めとられた腕の中、藍丸もまた久しく待ち望んだその力強さを居心地よく感じながら。
「買ったのか」
いたく気に入った嗅ぎ慣れぬそれは、決して安価なものではないだろうと雷王は問う。
香りを腑に満たしつつ、舌先で耳殻を舐め、滑り落ちた先で耳朶を食むと、痩身がひくりと跳ねた。
「千代が、ァ…くれた…」
「…千代、か」
十年かそこらぶりに懐かしい名を聞いた。
そして全てに合点がいった。総じて千代のためだったか、と。
目の前で仰け反る喉に喰らいつかんばかりに吹き上がった官能の火だったが、その名の前に僅か萎む。
千代は、主が慈しんでいるなら嫌うべくもない人間のひとりだが、だからこそ少々こちらの気を削ぐ者でもある。
「悪ぃな。おめえには全部言ってもよかったんだがよ、なんせ今回も…」
紅い髪を梳く仕種は、拙くも親が子を宥めるようなそれに似ていた。

520風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:18:09
ならば、子は聞き分けるしかない。
「…また命を狙われたのだろう。わかっている、気に病むな」
雷王は湯上りの桃色に染まる頬に手を添えると、応えるようにちゅ、と口を吸った。
「それで?」
「…それで?って…なんだよ」
手を滑らせ、浴衣の肩を抜きながらの問いかけに、藍丸はわからぬと口を尖らせる。
「何故千代がこれを?」
また、すん、と鼻を鳴らすと、藍丸は“そんなに気に入ったのか”と破顔した。
「なんか俺に合うのを調香させたっつっ、てた…んっ」
目の前にある鎖骨に歯をたて、あがった艶声に、脳髄がびりびりと痺れる。
実態を知れば、藍丸が長く拘束されたのも、そのため会えない時間に飢え乾いたのも、何もかもが人間の女のためだった。
正直、苛立たないではなかったが、この香いは…
「悪くない…」
ずっと包まれていたくなる、本能が求める甘やかさに、思わず相好を崩す。
「は、雷王ならそう言うだろうって…」
千代が言ってた、と再びかの名を紡ぐ口は、嫉妬深い雷獣の一際強い一噛みで喉を圧す嬌声に塞がれた。
同じ箇所に二度つけた鬱血痕をぺろりと舐めながら、雷王は六十年ほど昔を回顧する。
人が起こした戦の終結、その全てを狭間から見ていた藍丸が、漸く表へと出た終戦の翌年、夕闇のなかで出会った少女。
痩せこけた姿も惨め、手足はゴボウのように枯れ、立っているのがやっとといった風情の彼女は、寺の境内で倒れたところを一紋に助けられた。
「千代も…齢八十を超えるか」
「ああ、でもまだまだ子供だぜ?俺たちにとっちゃ幾つになろうがあの子はあの子のままだ」
食うものなく行き倒れ、帰る場所なく、生きる縁さえ失い、泣く気力も奪われた…当時はさして珍しくもない境遇のひ弱な娘だった。
だが生きている限り、人は人が壊し尽くした人の場所へと戻らねばならない。いつまでも家哭の中に保護してはやれぬ。
それでも主が手を差し伸べるならと従い、…半年は共にいただろうか。
「元気だったか」
これまで藍丸は幾度となく会っていたが、雷王自身が彼女と最後に会ったのは、確か古稀の祝品を届けた折だったと記憶している。
それから十年、人に流れる刻は妖のそれよりずっと短い。
「心配か?」
「…いや、」
つい今しがた、千代の名に悋気をおぼえ、主の膚に痕を残したばかり。
気にならないこともない、とはいえ、独占欲を理性で塗り潰そうと足掻く雷王の葛藤に気づいた上で茶化すのだから、余計に口蓋は重くなる。
だがそのしかめ面を覗き込み、ささやかな意趣返しに満足げな表情を浮かべた藍丸は、雷王の首からネクタイをするりと抜くと、童のように無邪気に言った。
俺に尋ねるまでもないだろうと。
「元気でなきゃいちいち命狙われたりなんざしねえだろうよ」
「…それもそう、か」
千代の老いを凌駕する明達なさまに尊敬や畏怖も抱く者があれば、一方で疎ましく思う輩も後を絶たないらしい。
だから藍丸はいつからか彼女に助力してやっている。
きっかけは忘れたが、雛を見守る親鳥のような心地だと言っていたか。
胸元のボタンをひとつずつ外してゆく手を制し、濡れ羽色の前髪を掻き揚げてやれば、そんな慈悲深くも強き眸がとろり蕩けて雷王を見下ろしていた。
「明日は、休みだよな?」
「…ああ、休みだ」
藍丸の腕が首に絡み、巨躯を引き寄せ抱き締める。
「…0時、回った……今年もおめえをくれんだろ?」
俺に、と艶めいて揺れる眼差しは芳しい香気を纏い、欲望のまま赤裸々に誘う。
無論、雷王に断る理由などない。もとより彼の生まれ日には欲しがるがままに与え続けて今に至る。
贈る品の中身は…いつからか変わってしまったが。
「雷王…」
浮ついた熱い呼気に吸い寄せられて、歯肉を剥き出し、獣が笑む。
愛しき者の素直な求めに歓喜して、高ぶり猛った獣は喰らう。
「存分に…おまえの望むまま今年の今日も…」
高みにある唇へと首を伸ばして喉を鳴らし、一方眼下のそれへと頭を垂れて口を開け、どちらからともなく薄膜を啄ばみ、舐めて啜り、そして夜は更けてゆく。
それもこれも恩人の祝い日までに決着をつけようと奔走した千代の計らいだとは、無論ふたり知る由もなく。


藍丸の誕生日話…の、つもり…ですが…どうなんだこれ
裏設定のほうが楽しくなったので、続きくさい千代の話は次に回すー
お題提供はアタル:「逆さまちゅー」

521風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:18:20
これは、とある日のツイッタでの会話から始まりました

以下、ついった会話

要「今関西北上空を東へ走っているもよう<雷王」

アタル「走っているのか!進軍中か!それは、
    甘味を買い求めるために爆走しているってことでおk?
    って、考えたら迷惑な獣だなあ、雷王www 
    空を飛べるままだったら、日本全国津々浦々、
    有名じゃなかろうが藍丸のために買い出しに走りそうだわ」


要「主の命により、日本全国津々浦々の甘味を買い集めるため、
  雷獣の一群が関西を東へと進軍なう。
  本日の最重要項目は「新聞に入ってたデパートのちらし、
  この“花畑牧場…みるくきゃらめる”?とかいうのが食いてえ」により、
  我ら現時刻をもって北上を開始する、とかなw」


アタル「こちら、三番隊。目的地に到着、および目標捕捉。
    これより『いっき大人買い』作戦を展開する」

要「銀貨30と荒縄の代わりに、お財布とお買い物バッグを寝所から持ち出して、
  日本全国の菓子屋にできる長蛇の列(@客たち)と合戦所望して、
  「いっき大人買い」を成し遂げる怖ろしい藍丸狂信者たち、それが雷獣一族なんだな」


こんな会話から生まれたのが、コレ↓

522風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:18:32
◆ 買物

「雷王、おれ九州のかるかん食べたい」
「あ、和歌山のうすかわ饅頭くいたい」
「それと長崎のおにくるみ羊羹」
「京都のは弧白に頼むから、とりあえずそんだけ買ってきて」

主の我儘は愛おしい。
どんなことでも、叶えてやりたいと願うのは恋心だけではない。
幼いころより大切に育てあげ、獣であり妖怪である自分には
決して芽生えなかったであろう『情』を与えてくれた唯一無二の存在だ。

ましてや、肌の暖かさを分け与えられ、膝に乗りかかって甘える藍丸に
今や骨抜きとなっている雷王が、いかにして逆らえよう?

恋の力は偉大だった。
愛する者の存在は、全ての理すら覆す。

「…では、行ってくる」
「おう、頼んだぜ」

障子をからりと開け放ち、低く告げる雷王の頬に
主は戯れのような口付けを寄せ、別れが惜しいと背を強く抱きしめて応じた。

「そのような目をするな。明日には戻る」
「そう、だな…」

振り返り頬をなぞる掌に肌を擦り寄せ、そこにも愛おしげに口づける藍丸の顎を持ち上げ
己のそれを重ね合わせた。
藍丸の腕が背を掻き寄せ、雷王の手が腰を抱いて互いの身体を近くちかくにする。
やがて、名残惜しげに唇を離し見つめ合い、身を離す直前に再び小さな口付けを送った雷王は開け放した空へと大きく飛躍をした。
とたん、待ち構えていた空が陰り黒雲がどっと一面に押し寄せる。ざっと激しい雨が降り出し、轟く雷鳴に雷王の声が聞こえたようだった。
半身が引き千切られるような寂しさを覚えながら、雨雲が雷王と共に走り去ってもなお
藍丸は黒雲の走り去った方角を眺めていた。

「雷王…早く帰ってこいよ…」

早くも獣の不在に寂しさを募らせた藍丸を、弧白は呆れて眺めた。

「藍丸、ちょいといいかい」

だが、物思いにふける藍丸には、狐の声は届いていない。 
ただひたすらに、雷王が恋しくてならなかった。自分のためとはいえ、情が通じ合ってからは雷王と離れたことがない。たった一日だろうが、藍丸には身を斬られるような辛さがあった。

「藍丸」

ほんのわずかな戯れだった。まさか本気にしてくれるなんて、思っても居なかった。
心底から好かれていると、いまだ唇に残る雷王の感触を指先で辿りながら、複雑な
溜息を吐いたときだった。

「………藍丸!人の話を聞いておいでかいっ!」」

ビンッと張った声に音を立てて振り返れば、部屋の片隅で狐が肘置きに半ば身を凭せ掛けて、うんざり息を吐きだしていた。雷王が出立するので頭がいっぱいで、かなり忘れていたが
弧白は最初っから部屋にいた。

「その様子じゃあ、まったく聞いていなかったね」

呆れたもんさと息を鋭くつく弧白は、三百年ぶりに一紋へ顔を出すようになっているが
本拠地は京都に構えている。
どうせなら手元に帰ってきてほしかったが、何度か”しんかんせん”で行った京都に
弧白は彼なりに手勢を集めているので、無理に江戸へ戻すよりもいいだろうと判断をした。

その後、二か月か三か月に一度の割合で弧白はこちらへやって来て、藍丸たちは
京都見物にちょくちょく顔を出しに行っている。
古くからある京の都は空気の色が違い、妖怪の身には息がしやすいラクな土地だ。
しかも、京都は甘味が多い上に、現地でしか食せないものもあるので、藍丸はしょっちゅう京都へ出向いている。
だが、いまだ完全制覇ができていない。

523風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:18:45
「ちょいと、そこにお座り」

どこか気が抜けたまま佇む藍丸を、狐は眼差しひとつで動かそうとする。
藍丸も幼いころの習い癖で、弧白の言葉に素直に従った。
いまだ雷王に後ろ髪を引かれながらも、藍丸は火鉢の前に座りこむ。
心ここにあらずの乱暴な所作のせいで、少しばかり裾が乱れたが構いもせずに放っておいた。
雷王がいたら、すぐさま横から手が伸びて正されるところだ。

気を抜けば、どうしても自分の獣のことばかり考えてしまう。
そろり見上げた弧白にも筒抜けだったようで、あからさまな態度をとられた。

「お前があの堅物にぞっこんなのは、よぉく分かった。
まあ、そんなことはどうでもいいさ。それより、聞きたいことがある」

ばっさり二人の関係は投げ捨てて、弧白は不思議そうな目を向けてきた。
ひどく珍しい顔つきに、藍丸も興味を抱いて身を乗り出した。

「なんだ?なにか、妙なことでもあったか」
「アイツだよ。なぜまた飛べるようになってるんだい?」

相変わらず狐は、雷王の名を呼びたくはないらしい。頑固で強情な狐らしさが面白い。
が、藍丸には何を言われているのか分からない。

「飛べるって…前から飛んでるだろ」
「前から?そんなはずはない。できるわけがないんだ」
「どうしてだ?雷王は神獣だぞ?飛べて当たり前じゃねえか」

弧白に断言されても、雷王は昔から空を駆っている。
幼いころは藍丸をひとり置いては行けぬからと、決して空を駆ることは無かったが、
藍丸が羽織として頭角を現すと同時期に、雷王は己の眷属を引き連れて自在に天空と地上を行き来している。

「なんだ、弧白は知らなかったのかよ」
「そうじゃなくて、いつから飛べる力が戻ったんだい!」
「だーかーらっ!戻るとか、戻らないとかじゃなくって、雷王は飛べるんだよ!」
「飛べるはずないだろ」
「現に飛んで行っちまったの見ただろ」

どうにもテンションが上がっている弧白に、開け放したままの障子を指差す。
そこで、ぐっと狐が言葉につまった。

それを見て藍丸は「みょうなヤツだな」と笑うしかない。
狐はまさに狐につままれているような顔つきで、空を強く見上げている。

どうして、また空へ戻れるようになった。
弧白の疑問はそこにある。
決別したあの夜に、雷王は己の能力を潰した印を背中に刻んでいたのだ。
飛べるなど…できるはずがない。

しかし、弧白はしらない。
雷王の藍丸への情が高まりすぎて、背中の印と引き換えに施された封印が木端微塵に
砕け散ってしまったことを。

弧白は知らない。
この三百年の間に、いつも雷王が遠方まで甘味を買いに走っていることを…。

524風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:18:55

だが、聡い狐は愚かではなかった。
雷王が天空へ戻ったことが示すことだけは、即座に把握ができた。

雷王が空を駆けるようになったために、昔の雷獣たちが彼の元に集まり
一緒になって買い出しをするようになったということは、図らずも神獣が一紋に下った形となり、いまや藍丸の配下は空にまで及んだがために、日本でも最大最強の一紋になったことを示している。

だが藍丸の口から、そのような話しは聞いてはいない。雷王も告げはしない。
おそらく、あの獣あたりは今日の状況で、弧白が全て把握すると踏んでのことだろうが
藍丸そのものに、自覚がないのは確実に思える。

「ああ、明日が待ち遠しいぜ…」

百鬼夜行が数万できるくらいの首領でいる自覚は…やはり藍丸にはない。
というか

しらないんじゃないかっ!?


ことの大きさに青ざめる弧白とは真逆に、ほんわり雷王を思って笑う藍丸は、この世でもっとも幸せな男だった

525風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:19:08
◆ 雨宿り

突然の雨は土砂降りとなり、降り篭められると踏んだ店々が軒並み閉めた戸板の前で、彼は暫しの休息を得る。
ざあざあと勢いよく降る様は、まるで桶を引っ繰り返したよう。
刻を同じくして大黒屋を出た半妖の友も、今頃何れかで雨宿りをしているのだろうか。
濡れた前髪を掻き揚げ、低く垂れ込める黒雲を見る。
「こりゃ暫く止みそうにねえな」
懐に忍ばせた手拭いで、髪から額、頬、首筋を拭い、ほぅとひとつ息をつく。
湿り気が強いこの時節、やっと晴れ間が見えたと外に出たらこのざまだ。
思い巡らすうちにも道には忽ちに水溜りができ、柳の根元からぴょいと飛び出た蛙は、さも嬉しげにぬかるみへと飛び込んだ。
「俺も蛙だったら、こんな雨も素直に喜べるのかもしれねえなあ」
ばちばちと天より穿つ浅い泥水のなか、僅かに蠢く薄緑色に目をこらし、ひとつ溜息をつく。
早く戻らねば一紋の皆が心配するだろう。
挙句、大勢が列挙して騒ぎ出し、最悪人の形がとれぬ者まで皆が皆、昼日中に人目も憚らず主を探索に出る様まで目に浮かぶようだ。それに常に仲が芳しくないというのに、その頂点にいる紅と白の二人までもが、こういうときに限って共に連なって動き出すのだから、
「まったく、なぁにやってんだか。なあ?」
おめえもそう思わねえか、と行儀よく座る蛙に呼びかけると、そいつはぎょろりと眼を左右させたかと思いきや、低い濁声でゲロと鳴いた。
「おおお、おめえわかんのかっ」
「ゲロ」
「だよなあ、大体心配しすぎなんだよな!大黒屋に行くっつったら、一体何個食えんだってくれえ袋いっぺえに金子持たされてよ。挙句、襲われたら袋ごと投げつけて逃げろって…俺ァ一紋の頭領だぜ?ンな情けねえこたできねえってのに、雷王ときたらまったく過保護で、」
嫌になる、と続く言葉は突然の落雷に遮られた。
予期せず近くに落ち弾けた稲光と、地響きにも似た轟音に、全身の毛という毛が総毛立つ。
「!!!畜生っ」
負けじと、があと我鳴る。
なんだかわからないが、負かされた気がした。ただの雷ごときに。
否、それが愚痴を吹いた口を諌める雷王の叱咤のように思えて、正直言うと少々堪えた。
幼少の砌より、お小言にいちいちしょげるような繊細さはなかったが、ここ一番で落とされる雷のような一喝には毎度脅え竦んだものだった。
「まぁそれでも、もっかいだけ、やっちまうんだけどな…」
今となっては記憶も随分風化されたが、幼い時分、漠然とそうして試すことがあったように思う。
叱られるまで悪戯を繰り返し、鬼の形相で叱られようとももう一度だけ同じことを繰り返す。
そうしてドキドキしながら待つのだ。
またこないだと同じように叱ってくれるだろうか。
呆れたりしないで、また本気で叱ってくれるだろうか。
よそのおとうやおっかあのように、雷王も俺を心配して叱ってくれるだろうか、と。
「雷王…」
過去を辿れば、親を恋しがる雛のような、切ない甘声が薄らと漏れる。
かつて雷王は叱ってくれた。そうせねばならぬときは、何度も真摯に繰り返し。
「二度目は…そりゃぁおっかなかったが…」
暗がりに蛍火を見て心安らぐような、くすぐったいような、なんともいえない心持ちになったことは今も覚えている。
彼の一途な優しさも。
ふ、と笑んで、戸に背を預けて天を仰ぐ。
益々強くなる雨脚の向こう、いつも己が背を守る紅の腹心を思い、目を眇めた。
すると、垂れ込める闇雲のなかを閃光が走る。響動む雷鳴を引き連れ、地を這う迅雷。畏れる人々を居丈高に見下ろす神の所業。
雷は扱えど、何時からか天駆けることをやめて久しい雷王が属するそれら。
ならば、と春雷を愛しく思うようになった糸口を求めて遡る。

(雷王の音だから怖くない、…本当はちょびっと怖いけど我慢する)

526風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:19:20

もう泣かないと決め、頭から布団を被った幼子が、今更にひょっこり顔を出す。
「はやく迎えにこい」
本当に攫われちまうぞ。
金子になど目もくれぬ、過去の記憶のなか巣食う藍丸という名の童に。
いかほど与えられようとも満足できず、情愛に飢え乾く藍丸という名の餓鬼に。
「雷王…」
目を伏せると、甍を打ち、地面を叩き、柳葉に払われ、川に落ちる、雑多な雨音たちが嫌が応にもいっぺんに耳に流れ込んでくる。
あまりに激しく喧しいそれらに閉口するがしかし、いつしか辺りは静まりかえっていた。
先刻までそこにいた蛙もいつの間にやら姿を眩まし、軒から落ちる玉水さえ風雅を損ね、まるで景色がここだけ色を無くした様に見えた。
じきに、ぱしゃぱしゃと足音が聞こえたかと思うと、傘を手にした件の男が姿を現した。
「…雷王」
「待たせた」
途端、辺りが色を取り戻す。
来ると思っていた。一紋の誰よりも早く現れると信じていた。
そうでなければならない。この男はそうでなければ。
(親であり、兄弟であるなら、いの一番に探し出さなければ…だよ、な)
先日、親でもなく兄弟でもないと告げたことに、不安げな顔を寄こした男を思う。
目が合うと、ずくりと胸が痛んだ。
「遅え」
一本しか持たぬ傘を見て、素っ気無く言い放つ。
おそらく元は二本あったはずだ。どこぞで誰かに一本くれてやったのだろう。
その目線を受け、何気なく微笑み答える、
「先だって宗也が雨宿りをしていてな、」
その一言ですべてに合点がいく。
長話を強いたせいで困らせてしまった友に、雷王が手を差し伸べた気遣いがありがたいと思った。
「ちぃとばかし話が長引いたせいで、雨宿りさせるはめになっちまった…」
だが、悪いことをしたと顰める面に、いつもの笑みはない。
それどころか、片落ちたやじろべえのように、心が今にもくず折れそうに傾いでいる。
(ああ、こりゃたぶん雨のせいだ。長雨のせいだ。そうに決まってる)
こんなに気が滅入るのは。
こんなに息が詰まるのは。
こんなに…不安でしようがない心持ちになるのは。

527風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:19:32
柄を傾いだ傘の下へと移ると、雷王の身体が濡れていることに気づいた。
腕には葉や小花をべたりと貼り付け、背には泥を飛ばし、顔を上げれば上気した頬を伝うのは汗だった。
「…悪かったな」
手拭いで額の汗を拭いてやる。
俺の身を思え。俺の身こそを思えと、胸の裡、餓鬼が泣いた。
軒先から垂れる玉水の褥のうえ、ひとり心細さを枕に、温もりを求めて泣いていた。
いつぞやの幼い藍丸が泣いていた。
雷王の膚を飾るアジサイの小花を抓んで、ふっとほくそ笑む。
「どうやったら、こんなになるんだおめえは」
「すまぬ。…少々焦った」
大黒屋に目星をつけ、七賢竹屋への道を行きがてら、川沿いを走って漸く見つけたというが、それにしては汚れ方が尋常ではない。寺社の境内から大川の畔まで回ったと聞いて、初めてなるほどと思えるほどだというのに、男はそれ以上口を割ろうとはしない。
澄ました顔のしたに隠された、雷王の真実。
指で花弁をくるりと回して、主は笑みを深くする。
「…藍丸?」
聞くまでもないのだ、本当は。
「案じたか」
されど今一度聞きたい。
「俺の身を案じたか」
鬱々とした気分を晴らすために。
「怖れたか」
貪欲な餓鬼の腹を満たすために。
「俺の身を案じ、怖れたか」
落雷に出くわすたび、引き出される、かつての記憶を新たに塗り直すために。
「おめえの口から聞きてえ」
風に吹かれ、柳がざららと音を立てる。
人っ子一人いない路傍にて、ふたりは静かに向かい合う。が、男の返事は早かった。
主の揺らぎを見透かしてか、それとも己の逸る思いゆえか。
「案じた」
大きな雨粒が傘を打つ。
「怖れた。肝が冷えた。何処にいるのかと…慌てた」
その雨音をものともせず、男の声はしかと届いた。
「だが、顔を見たら…安堵した」
ゆるりと持ち上がった大きな掌が、僅か苦しげに歪む頬を包みこむと、熱い眼差しは主の漆黒の眸をじっと見つめる。
(情けねえ)
彼は胸中で呟いた。
こうして言質をとらねば、すぐさま過去に足元を掬われる己の弱さに笑うしかない、と。
「藍丸?」
手をすり抜けて、とん、と広い胸に頭を預ける。
面を見られぬよう、そうして隠す。
案じられ怖れられることが嬉しくてたまらず、昔と変わらず気に懸けてくれる姿に満足を覚える。
童は向けられる情愛を試して、ふたりの隔たりが如何ほどか、計ろうとする。
昔も、今も。
(どうやら臆病風に吹かれちまってるらしいな…)
膚を通して伝わるは、早鐘の如き雷王の心の音。
雨音より障りがよいその音色に耳を澄ませていると、肩を抱く逞しい腕の温もりに、知らず強張っていた肩から力が抜ける。

(ああ、たぶん、たぶんだが、俺ぁ雷王を…)

ふと思いついた言の葉に、胸が仄かにさんざめく。
正しく記憶は塗り直された。
雷王がいれば、餓鬼も童も寝静まる。
雷王にならば、この身のすべてを預け委ねてよいのだと知る。

親でもなく兄弟でもない、ならばふたりは何なのか

528風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:19:42
考えたことはなかった。
大体が、考え始めてまだ昨日今日といったところだ。
そう逃げを打つ己を連れ戻せば、答えはサイコロを振るより容易に出た。
童が求め、餓鬼が欲しがるそれは、今の藍丸こそ掌中の檻に捕らえたいと望むものだ。

いつか伝えることはあるのだろうか。
口蓋を切り、真情を打ち明ける日はくるのだろうか。

小止みになった雨のなかに、またもや蛙が姿を見せる。
ゲロと鳴くのは冷やかしかと、うっかりあっちへ行けと睨めつけてしまう。
つれないことだと三度鳴き、棲み処へのそのそ消えてゆく濡れた背中を見送って、小止みになった雨露の下、藍丸はやっとのことで足を一歩踏み出した。
並んで歩くことにすら思うこそばゆさを誤魔化すように、目だけは真っ直ぐに前を見て。


ぐだぐだに次ぐ、だるだるな話で申し訳なく…読めます…か…?
梅雨期って心も身体も調子を崩しがちですよね!そうですよねっ?!<無理矢理か!
「春雷」にちょこっと絡めながら、相思相愛になるチョイ前のふたりを。

529風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:19:58
買物に雷王がいけないときは、買い出し部隊が行きます
三番隊は、期間限定品担当

1番隊は、海外商品担当
ここの部隊は外見が日本人じゃない。
くるっんくるんの金髪碧眼とか普通におる
当然、海外言語もぺらぺらさ

2番隊は、地域特産品担当
隠れた絶品を見つけ出せるグルメ揃い

4番隊は 情報収集&レシピ収集担当
情報局みたいなもん。どこの何が美味しいとか、
桃箒にレシピを渡してやったり…細やかな神経が必須

はっ…
どんどん部隊が増殖していってる
限定品担当部隊だけでいいんだ。
お前らだけ、行って来い

ちなみに、限定品担当のところは人間と激戦するから
エリート部隊なんだよー <たったいまそうなった



◆ 買い出し部隊

私は雷獣三番隊隊長である。
本日、雷獣になりたての者より、なぜ藍丸という半妖のために、
我らが動かねばならないのかと不満を漏らされた。
生まれたての獣というものは、礼節というものを欠いており
まことに困ったものである。

しかし、我らの長がかつて
二十年近くの年月を不在にしていた過去を、知らぬのも事実

このような不満は、折りにして若いものたちから洩れ出てくる。

彼らは知らぬ。

ある日突然に長が地へと失墜し、我ら雷獣の間に広がったあの暗黒を…。

決して天には戻らぬと天帝より告げられた我らの混乱が、
いかほどであったかを…。

幸いにも、幼い彼らは知らぬがゆえに、軽々しく不満を口にできるのだ。

530風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:20:09
雷獣の長は、千年に一度生まれ出る。
どのように幼い獣であろうとも、
長の運命を持って生まれ出た雷獣が
次の世代の導き手となる。それを我らは失った。

率いるものもなく、先を導くものもなく、
長が不在の二十年は我らの年月に比べれば
短い間であっても、十二分にすぎる混乱の時であった

闇の中を彷徨う我らの元に、長が戻れたのは、
全て半妖のおかげである。

天の理を打ち砕き、あのものは情ひとつで長の力を再生した。
自覚してのことではなかろうが、 長が再び我らの前に現れた安堵は、
言葉に表せるものではない

なによりも、再び長と共に空を駆けることができるのは
我ら雷獣にとっては至上の喜びである。

我ら雷獣の一族は、あのものに対し、つくしきれぬ恩がある。
どのようにしても、返しきれぬ義がある。

しかも彼の男は、我らにひとつとして見返りなど求めようともせぬ
気風のいいものだ。
たかが好物ひとつを届けることが、いかほどの労になろう?

なに、空駆ける我らには、造作もないものごとだ
いつでも、長が愛でる半妖のため
我らは全身全霊でもって、頼まれごとを引き受けよう


どっちもこっちも、
天然しかおらんって、ことだな

531風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:20:25
◆ 縛

咆哮が屋敷を振るわせた。
雷王の部屋は襲だけを残し、しん、としていた。
その静けさがひどく不気味だと、藍丸は思った。
「…飛ばしてしまいました…」
獣化した紅に襲われそうになって咄嗟に、と襲が言う。
その震える声は、恐怖の爪を立て、藍丸の胸を掻き毟る。
「雷王…」
漏れた音が言葉だと、誰かが認識するより早く、藍丸の足は外へと飛び出していた。
雷と雲を従えた神獣。
神の申し子、気高き雷獣。
かの者が空へと帰った。
果てない蒼のなか、無窮の天を、今思うさま駆けている。

「許さねえっ」

ぎりり、と奥歯を噛み締める。
あれは俺のものだ。俺だけのものだ。
誰にもやらぬ。
誰にくれてなどやるものか。
先を睨みつけ、ひたすら走り、跳躍することおよそ一刻。
知り得るなかで、最も高く聳える山頂に辿り着いたとき、黒雲はぽつぽつと雨粒を落とし始めていた。
空を仰ぐ。
天と地を二分する密雲は、その重さと厚さで、視界に映る一面を黒一色で埋めた。
「雷王…」
もったりと垂れ込めるそれに目を眇める。
あれはいる。この空のどこかに必ずいる。
だが、どこにいるのかがわからない。
それを探し出そうというのだ。砂を掴むような途方もないことだと知ってはいるが、逸る鼓動は止まぬ、何かせずにはおられぬ。
だから、天に近い場所へと来た。
獣に手が届けば、その祈りだけで走り来た。
過去を覚えていようがいまいが、絶対に連れ帰るという思いひとつで、此処へ。
そして、直向きな思いを挫くかのように雨足は強くなる。
天の所業の前では人など塵に等しい。
槍降るような暴雨は疾風を呼び、今にも身体は吹き飛ばされそうだ。

「雷王っ!!!」

遠くにきく雷鳴に叫ぶ。
何度も、何度も、呼び慣れた名を舌に。
幼き頃より、藍丸がひとつ呼べば、必ず答えた養い親の優しげな声は、今もしかと覚えている。
耳に、胸に、なにより心に。
號と鳴り、声を掻き消す風。
礫となって肌身を打ち、力を削る雨。
だが、思いの丈だけは奪われてたまるものかと、渾身の力をこめ、かの者を呼ぶ。

「雷王!!!戻れ!!!戻ってこい!!!」

みっしりと分厚い暗雲に、藍丸が我鳴る。
時に光が閃く雷雲に、藍丸が吼える。
開いた端から口に吹き込む雨を吐き、開けていられない目を抉じ開け、それでも尚藍丸は呼ぶ。

「雷王!!!俺の声を聞け!!!」

ふと、冷える一方の身体の底に、ぽっと小さな火が点る。
それは藍丸の意思で体内を巡り、腕に肩に首に、紅い紋様を浮かび上がらせた。

「炎よ、俺の獣を連れ戻せ
 炎よ、あれを紅蓮の首輪で括り、
 炎よ、主を離れた腹心を生きたまま炙れ」

532風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:20:37
裏切るのは許さねえ

悲しみを、苦しみを、
人がもつ感情のなか、もっとも強い力となる怒りへと変え、曇天へ火柱を叩きこむ。
それは絵巻物の天へ昇る龍のごとく、うねうねと、
そして何者をも飲み込む濁流となり、巨大な生き物の如く、天上へと奔る。

「雷王!俺の火をたどれ!此処だっ俺は此処にいるっ!!!雷王っ!!!!!」

念は焚き付けとなって炎に注ぎ、昼日中の陽光以上の煌きで宙を照らす。
藍丸は思う。
今まで刻というものを気にしたことはなかった。
一日一日は、当たり前に過ぎてゆくものだと思っていた。
朝目覚めれば、今日も昨日と同じ刻が始まるのだと信じていた。
だが、ちょっとした隙間に、雷王は消えた。
藍丸が側を離れた、ほんの僅かな合間に、ひとりきりで。

「雷王…っ……俺を……俺を連れてけえっ!!!」

叫びは喉を焼き、裂き、血の哀願となって体内を巡る。
いつしか、藍丸の目は、しとどに涙を流していた。

俺は此処にいる。
お前の導として此処にある。
だから早く、どうか早く、もがれた半身が息絶える前に。
求めるあまり、焦がれるあまり、己の業火が己を焼き尽くす前に。
一番星のようにちかりと閃き、駆けて来い。
この焔を目指し、飛んで来い。
たとえ、天がおまえを求めていようが、おまえが天に惹かれようが、
再び姿を現したなら、もう帰さない。
誰にも何処にも帰さない。
それでも掴む手を払うというなら、そのときこそ俺は。

「寒ぃ……」

大河のように天へと迸る夥しい焔は煉獄の炎となり、雨を蒸し、雲を焼く。
なのに、身の裡は冷えていく。
火を使えば使うほど、紅を見れば見るほど、凍えていく。
ぽっかり開いた胸の穴を、ざあざあびゅうびゅう、風雨が潜り抜けていく……

「らい、おう…っ!!!」

吹き飛ばしても薙ぎ払っても、即座に密する雲どもが恨めしい。
焔は気力だけで放たれる。
心身はともに疲労を増し、藍丸はいよいよ片膝をついた。
軽い眩暈を覚え、切れる息をハッハッと継ぐ。

「ちっ…くしょうっ」

俯いた頭を、それみたことかと雨が打つ。
わかっている。
無茶だなんてことは、はなっからわかっている。
羽織とはいえ、半妖ごときが、天の意思を反ぜるわけがない。

「んなこたぁわかってんだ」

でも、それでも、俺は、

533風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:20:48
「諦めるなんざ…雷王を諦めるなんざ、できるわけがねえ」

あれは俺のもんだ

暗い独占欲に染まった羽織をばさりと風に靡かせ、手の甲で涙を拭う。
未だ吹きつける強風は容赦なく身を殴るが、藍丸は峰の上、堂と立ってみせた。
張りきれない意地など持ち合わせていないのだと、天に戦いを挑むように。

もう泣かない。弱味も見せない。
その代わり、燃やしてやる。
燃やし尽くしてやる。
なにもかも、目に見えるすべて。
それでおまえが戻るなら。
それがおまえの道標となるならば。
……何がどうなろうとかまわない。

「炎、召喚…」

丹田に力をこめ、静かに告げる。
もう一度、力を。
二たび、炎を。

燐を炙るような、ぢり、という鈍い音が、手の中に赤焔を呼ぶ。

俺は後悔しない。
おまえを信じているから後悔はしない。
おまえさえ戻るなら、もう二度と刻を手放さない。
おまえとの大切な刻を今度こそ全力で守るから、だから。
すう、と息を吸う。

「雷獣の王よ、この手に戻れ」

静謐な気配を纏い、静かに、ただ静かに、言霊を吐く。
我武者羅な絶叫より、高鳴り破れる鼓動より、真摯に、強く。
突如、天が啼いた。
黒雲の中を稲光が走るや、雷火が落ちる。
白光は、一瞬にして空を割り、木々を裂き、眸を貫いた。
山は戦慄き、恐怖に竦む。
だが藍丸は微笑んだ。
現し世に害為すそれも、己には瑞光だ、と。
つづく轟音のなか、耳が確かに獣の唸りを拾ったから。

閃光から袂で庇った目を、そろりと開く。
そこには毛並みも豪奢な巨体が、藍丸の前に佇んでいた。
音もなく軽やかに、落ちた稲妻とともに降りたった神獣。
威嚇の唸りで空気を震わせ、べっ甲のような眸が美しく光る。
藍丸はその圧倒的な存在感に感動し、息を飲む。
気高く雄々しい様は、数多ある世の羨望のすべてを衣のように纏っていた。
まさに王たる風格に、寸時、声をかけることすら忘れてしまう。

「雷王…」

一歩、歩み寄る。
髪から滴る雫が目に入ろうと、瞬きを忘れ、
歯肉も露わに威嚇されようと、安堵する心は開いたまま、
また一歩、足を踏み出す。

534風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:21:05

「…捕まえた」

両腕で頭を抱き締め、頬と頬とを擦りあわす。
濡れた毛束は硬いが、伝わる温度は間違いなく雷王のものだった。
幼き頃より膚で知るこの温もり、間違えようがない。
顔を洗う雨に忌々しげに頭を振ると、藍丸はニッと笑う。
てめえで戻ってきやがったんだ、だからもうだめだ。
土砂降りの雨のなか、獣の目を覗きこみ、とどめを刺す。

「おめえはもう俺から離れられねえ。おめえが二たび俺を選んだんだ」

窮屈な地上に住まう、半妖の主を。
天でも一族でも自由でもなく、その手で育てた藍丸を。

「だから、な?」

放ち続けた炎の残熱高い、紅を刻んだ両腕を伸ばし、獣の首を抱き締める。
従する証しとして、熱の輪で気高き獣を閉じ込めるように。
離れぬ誓いとして、焔気の鎖で紅の腹心を縛り上げるように。
雨にも風にも溶けない陽炎が、水煙のなか、ゆらりと立ち昇る。
藍丸の腕から、雷獣の首から、互いが絡む身と身の合わせから。
そして獣は恍惚の声をあげる。
気に入ったと、嬉しいと、もっともっとと、甘えるように細く高い響きで啼く。

「ん、おめえは俺のもんだ。俺が捕まえた。だからもう…」

伸ばした手を舐める従順な様に、藍丸も応えるように牙を舐める。

「俺から離れんな。…もう、二度と……」



獣に首輪をつけたかったんですが、…ぬるくない、です、か…?
だからって炎の首輪つけたら、サーカス…だし、な…TT

535風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:21:53
次回雷藍絵茶開催中にこうご期待d(゜v´)

主催
ttp://www.eonet.ne.jp/~gfpl-m/
ttp://fdtorimono.jugem.jp/

会場
ttp://www.takamin.com/oekakichat/user/oekakichat3.php?userid=433717

参加してるかもね
カズキ
ttp://rfs.sonnabakana.com/

大風
ttp://otagelpam.blog91.fc2.com/

ミズホ
ttp://yukiusa.chagasi.com/

アタル 要
ttp://ttw218.web.fc2.com/nitoro-index.html

おがた
ttp://shinsekai.org/

岡谷
ttp://rinrin.saiin.net/~okaya/kari/

536風と木の名無しさん:2010/10/02(土) 09:22:27
主催の茗たんからのお願い(゜v´)

※ 夜食、おやつ、飲み物については各自でご用意ください*
(但し、金鍔は一人四つまでですv)
(アルコールも可ですが、「酒に呑まれない」程度でお願いします!笑)

※ カップリング等の指定は特にありませんが、多少、類友的な偏りがあることは、あらかじめご承知ください。

※ 本編、もしくはFDしかプレイしていない、またはフルコンプをしていない場合は、「ネタバレOK!気にしない!」という方のみご参加ください。
(そのあたり、遠慮ナシにガンガンいきます。ぶっちゃけ、FDトークの場なのでw)

※ 絵描きさんでも、字書きさんでも、どっちでもないけど語りたい人も、紅天好きさんなら歓迎です*
ただし、ROMのみの参加はお断りします。
(絵中心の場なら、可にしたいところなんですが‥すみません!)

※ お帰りの時間は任意です。
(仮の閉会時刻は零時頃です。そのときに一度、管理人が声をかけます)


と、まぁ、最低限はそんなカンジで!
あとはみんなで楽しくワイワイお話できれば、なんでもいいカンジです!!
よろよろ、よろろ‥、よよよ、よろしくお願いします‥ッ*
つか、こういう呼びかけって、毎度毎度キンチョーします‥! ← ヘタレ。笑
久し振りだし‥!!

基本は誘い受なんだ。
いつも遊んでくれる人だけでも来てくれたら嬉しいなんて言っちゃう小心者でもある‥。笑

537風と木の名無しさん:2010/10/03(日) 03:37:21
ttp://twitter.com/gfpl_may

538風と木の名無しさん:2010/10/07(木) 21:00:44
茗たんの新着日記d(゜v´)

Memo >>なんとか。
なりそう、なのですが。
まだ、ちまちまと原稿などやっております。
まぁ、コピー本の方は何とかなりそうなので、Offlineの更新はしておきました*
いつにもまして、ぺラくてすみません‥!
ですが、けったんと作ろうと思ってた無料冊子はちょっと無理っぽいです。
弧藍で、雷王とか尸とか狐の王様たちとか書きたかったんだけど‥、今回は時間切れー。
なので、そのネタはまたいつか‥!

気がつけば、もうスパークまでもう何日もないんですね!
ビックリです。
ついこないだまで、呑気にFDで遊んでたと思ったのに‥。
なんとか会場に向けて荷物は送りましたけど、持っていく方の荷物とか、まだ全然。
つか、本もできてないですが。(あれ?)
原稿仕上げ、コピー、製本と、まだまだ時間を要します。
昼間出来ないので、すべて夜!
無事にすべて、終わりますようにー!
そのあと、いろんな人に会えるのが楽しみですvv

そんなわけで、戻ります。


最後に。
拍手パチポチ、まことにありがとうございました*
今回は時間なくて焦りまくりでしたが、他にも、色んな方からはげましてもらって、なんとか!
ありがとう!!
これから年末に向けて、仕事とオフラインの方がますます大変になりますが、がんばるぞ。
(去年はそれで体壊したので、今年は気をつける‥)

539風と木の名無しさん:2010/10/21(木) 17:29:02
Memo >>スパーク、ありがとうございました!
昨日夜、帰宅しました。
10日のスパークで、当スペースにお越しくださった方、本をお手にとってくださいました方、まことにありがとうございました*
お声かけてくださった方、差し入れをくださった方も、ありがとうございます!
ご当地ものから、季節ものまでなんだかたくさん頂いてしまい、恐縮です。
きんつば、お干菓子‥紅天らしくて素敵です*
賞味期限の短いものから、少しずつ大事に食べさせて頂いています。
ありがとうございましたー*

前日の東京は大雨でしたが、当日は雨も上がってよかったです。
どどっと駆け抜けたような3日間でしたが、すごく楽しかったです!
前日、当日とかまってくれた方々、本当にありがとうございましたvv
2日連続、桜(螺)なお店で宴してきました!
お腹よじれそうなほどたくさん笑ったvv
いっぱいお話しましたvvv
充実していました。

観光では、浅草の鰻と両国のお蕎麦が美味しかったです!
浅草寺の仲見世では、桜(螺)のあげまんじゅうも!!
(食べものばっかり‥)
やっとこさ、江戸東京博物館も行ってきました。
ホテルの部屋から、スカイツリーもバッチリ見えました。
雨の中、某聖地にも行きました。
悔いはない!笑


そして。
当日合わせの嘉藍コピー誌ですが、作って持っていった分は完売しました。
あとは一月のインテ用に少しだけ再版しようかなぁ、と思っています。
それから〝壺中日月長(雷藍本)〟と〝あやかし長屋奇譚(桜藍本)〟が完売しましたので、この二冊につきましては、これで頒布終了とさせて頂きます。
お手に取って頂き、まことにありがとうございました*


さてさて。
一月の咎狗プチオンリー、今度のグッズはリストバンドですよ。
東京のは行けませんが、大阪、楽しみです!!!


拍手ありがとうございました*
メッセージの御礼はこの下にありますので、ご覧頂けましたら幸いです。
パチポチしてくださった方も、まことにありがとうございました!

10/8 あたるさん
メッセージありがとうございました*
おかげさまで、なんとか原稿間に合いましたー!
あたるさんの次の御本も楽しみにしています!がんばってください!!!

540風と木の名無しさん:2010/10/25(月) 17:02:39
サイト行けばブログ読めるからここにupしなくても平気だよー

541風と木の名無しさん:2010/10/26(火) 17:10:58
Memo >>元気です。
ちょっとだけ体調崩したりで、ご無沙汰してましたー。
きっとアレです‥スパーク前日、雨の下北をフラフラと彷徨ったせい‥。
でも、悔いはない!笑


お、今日は咎狗アニメ第3話目放映ですねw
遅い時間なのでアレですが、初回だけはリアルタイムで観ました。
(スパーク用のコピー本作りながら‥。笑)
はじめにnたん登場‥、久しぶりにトシマの妖精さんを見たわ‥vv笑
シキティも‥ゲームではあんなに早い登場でしたっけ?
美しかったですね、さすがトシマのカリスマ(レアモンスター)だわ‥*


この秋はほかにも、ジャイキリ地上波が始まったり、相棒シーズン9が始まったり‥* なんかTV的に楽しいことばっかりです!
そして、これはTVではなく映画なのですが‥来月はハリポタ最終話の前編が、なんと3Dで公開。
そこでこの二年間、先延ばしにし続けてきた最終巻を購入&読む‥。

‥壮絶な、‥(としか言いようが)

いつも一緒に映画を観にいく面々が、ちょうど今、最終巻を読んでいるところなので、あまり大きな声で感想を言えないのがツラいところ‥。笑


そろそろ、ジャイキリの最新刊も出るのではないだろうか。
あの合宿の続きがもう楽しみでしかたない!


そんなところで。
おかげさまで、50000Hit 達成いたしました。
自分のこんな飽きっぽい性格で、ここまでこのサイトが続くとは思わなかったので、本当におかげさまで、としか言葉がなく‥。
ありがとうございます*
目とお肌の方も、徐々に回復しつつあるみたいなので、これからもぼちぼちとやっていきますー。
とりあえずは‥冬に向けて、原稿する体力を‥!
紅天本と、狗本‥源シキは、コピーになりそうなのですが‥なんとか、なんとかっ!
と、そのまえにインテに申し込まねば。笑
ぼーっとしてる間に、どんどん時間がー!
気をつけよう、ホントに。


最後に、拍手パチポチありがとうございました*
だんだん、朝晩の空気がひんやりとしてきました。
皆さまもお身体ご自愛くださいませ!

542風と木の名無しさん:2010/11/05(金) 15:00:56
Memo >>がんばらないと。(ほどほどに)
どうなることかと思ってましたが、気づけばあっさり通過していました ‥ 台風。


最近、やる気とやる気なさが交互に襲ってきます。
ずっと前から、18禁じゃない作品の二次もやりたくて、そっちのサイトを作ろうかな、と思うたびになんだかんだあって頓挫する。笑
源泉さんとか大好きだから、もうしばらくはいっかー、と思いつつ。
(シキティモスキヨ!)

つか、源シキはハマってもう何年?
2年以上経つんじゃない??(3年???)
咎狗のプチオンリ(インテ)、申し込んだので、何かしら‥薄ーい18禁のコピーとか出したいです。
久々に書くぞー*
もうホントにコイツら大好きだー、ふっふーん ♪

Lamento ‥
とりあえず、あとひとつマイナ寄りな雑文書いたら、ようやく本編のバルコノ ‥ (げふっ)
なんていうのか、マイナだったらサクサク書けるとか、でもバルコノは自分の中でサンクチュアリだから仕方ないんだ‥。(どーいう言い訳だ。笑)
悪魔さんたちも親世代もライもコノエも大好きなんだけども、やっぱりバルドさん‥*
あと、カガミノヒミツ、これもやってしまいたい。
お話自体はとっくに脳内で完結してけったんには話してあったり。(だいぶ前に)
もし、まだしばらく書かないでオチとか忘れたりしちゃったら、そのときは彼女の記憶が頼りです‥。(えー)

紅天 ‥
インテ新刊のネタ練り中です。
これが終わったら、また桜藍ネタとかやりたいなぁー*
雷藍とか桜藍て、本編とかFDとかって括りない方が書きやすいかもです。
FDをやって、ポンと素直にネタが浮かんだのが嘉祥と鷹比佐のルートだった。 
あとは、ちょっとひねらないと無理なカンジで‥、いや、個人的な感想ですが。
あ、弧白は、弧藍というより、尸ネタやりたいんですけど、なかなか‥。
今はそこまで手が回らない。
たぶん、私とけったんは誰よりもおバカなネタを考えた。笑


拍手パチポチありがとうございました*
なかなかピッチを上げられませんが、ぼちぼちやっていきますー。

2010.10.30

543風と木の名無しさん:2010/11/08(月) 12:29:31
Memo >>小春日和。
今日はポカポカ、小春日和‥。

とか言ってる場合じゃなくて、もう11月になっちゃいましたっ!(ひえー)
もうあとの日にち数えるのが怖いです‥。
まだ、ほぼ真っ白‥。笑
なんだか、安易なネタに走りそうになって、イカンイカンと軌道修正中。
書くからにはまっすぐ。
攻め気で行きたいです!


通販‥。
お申込ありがとうございました*
11月5日までのご入金分につきましては、本日すべて発送いたしました!
一週間以内にお手元に届かない場合は、お知らせくださいませ。

在庫状況も少し変わりました。
〝続・あやかし〜〟の在庫は残り5を、〝狐妖〜〟の在庫は、残り10を切る数になりました。

それから〝羽織のおしごと〟について。
もともとあまりたくさん作る気がなかったのと‥、それでもスパークでは少し残るぐらいかと思っていたのですが‥。
結果は一冊も残りませんでした。
通販をお問い合わせくださった方には、本当に申し訳ありませんでした。
1月インテの再版時には、あらかじめ通販用にも少し置いておきます。


よし。
それでは、しばしまた、ネタを練り練りしてきます。


拍手ありがとうございました*
返事不要で励ましのお言葉も頂きました!!
ありがとうございます!笑
がんばるよー*
パチポチしてくださった方もまことにありがとうございましたvv

今月中に何か更新出来れば、と、思っております‥。

2010.11.06

544風と木の名無しさん:2010/11/11(木) 16:08:18
Memo >>ありがとうございました*
土曜の夜から未明にかけて、紅天の絵チャにお邪魔してきました。
主催のおがっさん(おがたさん。地のイントネーションだとこうなる‥ゴメン。笑)、ありがとうございました〜*
最初、入り口がわからなくて30分間ほど路頭に迷いましたが、(自分だけかと思ってツイッタ見たら、みんな迷ってた。笑)なんとか開いてよかったー。
ドSな上に焦らしプレイ‥流石おがっさん!!やるな!!!笑

絵師様たちの素敵絵と深夜テンションな喋りで、またまた腹よじれるほど笑ってきました。
楽しかったー!
遊んでくださった方々、ホントにありがとうございました!!
ログも楽しみにしてまっす!!


ちょっと前ですが、ニトキラの最新作情報、出ましたね。
もっと公開されたらいいのに。
あと、大メビも楽しみですが、発売時期はズレてほしい。笑
でもどっちも来年中に出ないかなぁーvv (贅沢な‥!)


最近、お知らせ以外でMemoを更新することがどんどん少なくなっているので、こちらにツイログのリンクを貼っておきます。

Twilog(ttp://twilog.org/bancha_may)

私のツイッターログがブログ形式でまとめて表示されます。
ぶっちゃけ、そちらがもう日記のようになってしまっているので‥。
くだらないことしか呟いてませんが、よろしければ覗いてやってください。笑


拍手パチポチありがとうございました*
立冬、過ぎました。
もうすぐ冬がきます、どうぞお体ご自愛くださいませ〜!!

2010.11.08

545風と木の名無しさん:2010/12/03(金) 14:22:39
Memo >>ありがとうございました。
「藍丸、夕餉の前にそんなに(金鍔を)食べて大丈夫なのか」
「大丈夫だ、問題ない」

とか‥

(大黒屋で‥)
「一番いい小豆で頼む」

とか‥‥、
そんなネタで原稿していたり‥。(していません!)
まぁ、ネタわかる人だけ呆れてください。笑


拍手をたくさん、ありがとうございました*
メッセージの御礼はこの下にありますので、ご覧頂けましたら幸いです。
(不要の方宛にもあります‥v)
パチポチしてくださった方も、まことにありがとうございました*




11/22
minori 様

はじめまして*(笑)
このたびはメッセージ、通販申込など、まことにありがとうございました!
紅天好きーさんがおひとり増えてとても嬉しいです。
SSも読んでくださってありがとうございます。
minoriさんに上げて頂いたその三つは、比較的短い時間でスルッと書けたものばかりなので、そう仰って頂けると喜びもひとしおです‥!
これからものんびりと、好きなように書いたり書かなかったり(え?)ですが、遊びに来てくださると嬉しいです。
ツイッターのフォローもして頂き、ありがとうございました*
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします!


11/23
大風さん

レス不要とのことでしたが‥すみません、どうぞサラッと流す程度で‥!笑
こちらこそ、萌えなお題&お優しいお言葉ありがとうございます‥*
それなのに雷王が弱っていてごめんなさい。笑
そうなんですよ〜、藍丸はきっと抱っこも平気です!
ハタチ過ぎても平気で雷王の膝に乗るぐらいですから!!
ただ、怪我人(?)にほとんど怪我もしていない自分が抱っこされることに抵抗を感じたようです‥笑
もうおっしゃる通り、それは雷王の育児法の賜物というか、圧勝ですねvv
リクして頂いてから、お待たせしすぎて申し訳ありませんでした。
忘れてた、と言われなくてホッとしました!笑
このたびは本当に本当に、ありがとうございました*


11/24

要さん

こんばんは〜* おお!要さん!!(小躍り)
レス不要とのことでしたが‥、申し訳ありません、レスします!笑
こちらこそ、夏インテ以来ご無沙汰しております。
逆・膝枕、読んで頂け‥(恥!)あああ、恐縮です、感想、ありがとうございます‥*
そうですよね‥可愛い藍丸のためならなんでも自分の身に引き受けてしまうんですよね、雷王は‥!
最後の抱っこは、「甘えさせられるばかりではつまらぬ」という雷王の攻としてのプライド‥かもvv
雷王は、やっぱり藍丸を甘やかす方が性に合っているみたいです‥。
ありがとうございます、私も次の御本、楽しみにしておりますので‥!
またインテでお会いする際は、どうぞかまってやってくださいませ。


11/25
アルベさん

わぁー、ありがとうございます*
久々に紅天更新できました〜!
殺伐だけど、甘く‥vv
だって、雷藍ですから〜* 笑




2010.11.26

546風と木の名無しさん:2010/12/10(金) 13:22:33
Memo >>師走です。
あっという間に12月です。
仕事のほうも、年末の繁忙期でバタバタしております。
しかも、お正月にお休みとれるようにするため、年末は休みなしです。
というか、キレイにカレンダーどおりの出勤。
大晦日?何それ、美味しいの、っていう‥。笑
毎年のことですけれどね!


さて、お知らせというほどのこともないのですが、ちょこちょこと近況など‥。

このたび、ナビキラ様に登録させて頂きました。
新しく出来たキラル系の総合サーチ様です。
‥ありがたいです。ありがとうございます*
オフラインの方は、今のところ登録していません。
これから先、キラルの方でオフラインが活発になることがあれば、そのときには改めて登録申請させて頂こうと思っています。

1月のインテ。
ただいま絶賛原稿中です。
今回、咎狗の血のプチオンリーにも参加させて頂きます。
企画のペーパラリーも参加します。
紅天は一応、新刊発行する予定‥。(ちょっと自信ないですが)←え?
源シキはぺらいコピー(これもちょっと自信が‥)と、ペーパーラリー用のペーパー。

もしものときは‥、ペーパーラリー以外のどれかが落ちます。すみません!
(最悪、ペーパーラリー用ペーパーのみになる可能性がある‥)

発行物の目処がつきましたら、スペースのお知らせとともにオフラインページを更新します。

平日夜に原稿出来たらいいのにな。
リアルと萌え時間の切り替えが、どんどん下手になっていきます‥。


最後に。
拍手パチポチまことにありがとうございました*
いつも、パワーを頂いておりますvv
本当に寒くなってまいりましたので‥どうぞお風邪など召されませんよう、ご自愛くださいませ。


2010.12.09

547風と木の名無しさん:2010/12/27(月) 16:28:03
Memo >>Works 咎狗の血、更新しました。
師走も後半戦!
今年もいよいよあと十日余りとなりました‥。

本日は40000打記念リク第4弾、6つのうち唯一咎狗の血で頂いたリクエストSSをアップしました。
コメントにも書いたのですが、「源シキ」という指定以外ありませんでした、ので‥。
‥ま、まさかのイベントネタで‥、クリスマスネタで‥、書かせて頂きました。(笑)
約一年、お待たせいたしました。
改めまして、リクエストしてくださいました方、まことにありがとうございました*
どうかお心広くお納めいただけましたら幸いですvv

これで、残り2編となりました。
ひとつは紅天なのですが、こちらはもしかすると当サイト外の場でご披露させて頂くことになるかもしれません‥*
最後、Lamento につきましては、もうひとつだけ外堀を埋める雑文を書いてから本編(ラブラブバルコノ編w)へ。
も、申し訳ありませんー!
さらにさらにお待たせいたしますが、どうかのんびりとお待ち頂ければ幸いです。(笑)


さて。
インテでは、源シキのコピー誌を出す予定です。
コピーだけど、18禁‥にします、たぶん。
そして、紅天本はネタ作りの段階で派手に詰まってしまい、今回は発行を見送ることにいたしました。
書きかけている部分もあるので、この次‥、5月ぐらいには‥発行したいと思います。
インテでの紅天本は、10月のスパークでの新刊〝羽織のおしごと〟が、大阪初売りとなります。

プチオンリの告知サイト様の方で、1月のインテのスペースなど発表になる頃に、こちらでも発行物のことなど併せまして、詳細をお知らせさせて頂きます。


拍手パチポチありがとうございました*
いつも本当に励みになっております!
嬉しいです‥!!
ありがたや、ありがたや‥vv


2010.12.20

548風と木の名無しさん:2011/01/01(土) 15:38:02
Memo >>よいお年をvv
なんと、あと2日で年越しです!

そして、本日から冬コミが始まりましたね!
サークル&一般で参加される皆さま、お疲れさまです〜*


さて、当方はといえば、前にも書いたとおり、31日までは普通に会社行って仕事です。
そして原稿は‥これまた相変わらず、遅々として進まず。
毎年のことでわかっていることなのに、年末はどうしてもペース配分がうまくできず、何か調子が激しく狂ったままです。
今月に入って、再版分や新刊のことで何度かお問い合わせを頂くこともあり、恐縮しきりでございます‥。
なんとか‥なんとか、源シキのコピー本が出せますように‥!!
お正月休みは家に引き籠って頑張る所存です。
ありがとうございます‥*


今年は夏前まで体調を崩していたこともあり、本もあまり出せませんでした‥。
オンラインでも‥せっかく頂いた40000打のリクエストが、1年かかってまだ全部消化できていないというダメっぷりでございます。
本当にすみません!
あと二つ、頑張る!(笑)

そして、お気づきかもしれませんが、サイトの4周年記念日が実は先月にあったのですが、ご覧のとおりの体たらくなので、50000打に引き続き企画を自粛いたしました。
しかしながら、どちらのことも、ここに遊びに来てくださる方あってのことなので。
日が過ぎてはいますが、改めて御礼申し上げます。

ありがとうございました*

55555打のときには‥ひとつふたつ、またリクエストをお受けしようかな、と思っていますので!
その際にはまた、おつきあい頂ければ嬉しいです!


拍手‥*
たくさんパチポチして頂き、まことにありがとうございました*
返事不要のRさまv
わーい、久々かつまさかの源シキイベントネタに反応してくださって、ありがとうございますvv
新刊コピーもなんとか頑張ってみますので‥、どうぞ見捨てないでやってくださいませ〜* (笑)


今年1年、遊びに来てくださった方、拍手やメールを通じて励ましてくださった方、本当に本当にありがとうございました*
この年末は、どうやら寒波が猛威をふるうようであります。
どうぞ皆様も、お風邪など召されませんように。
お身体をご自愛のうえ、楽しい年末年始をお過ごしくださいませ。

それでは、よいお年を〜*


2010.12.29

549風と木の名無しさん:2011/01/14(金) 12:59:13
Memo >>あけきりまして‥
新年明けきりまして、おめでとうございます*
今年も、どうぞよろしくお願いいたします!

うう‥、もっと早くご挨拶したかったのですが‥すみません。


色々、ギリギリになってしまいましたが、週末のインテのことで、取り急ぎ上がってきました。
昨年最後の日記にも書きましたが、先月から何件か、お取り置きのお問い合わせを頂いております。(ありがとうございます!)
そして、現在(7日の22時30分)までに頂いた分で、「続・あやかし長屋奇譚」の在庫がすべてなくなる形となりました。
したがって、インテ当日に頒布する紅天本は「狐妖艶恋情話」と「羽織のおしごと」(再版分)のみとなりますので、その点あらかじめご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。
なお、お取り置きのお問い合わせは、本日で一旦終了とさせて頂きます。
通販のお問い合わせなどございましたら、申し訳ありませんが、インテの翌日10日から、よろしくお願いします。


インテでは、咎狗の血プチオンリーにも参加します。
イグラのペーパーラリーにも参戦します。(詳細はプチオンリーサイト様でご確認ください)
配布するペーパーの内容は源シキのシリアスな掌編です。
お話と呼べるシロモノではありませんが、雰囲気をお楽しみ頂ければ、と。
昔からサイト上ではよくやってた設定なので、もしかしたら「懐かしい」と思ってくださる方がいるかも、いないかも??
18禁ではありませんが、よろしければ貰ってやってくださいませ〜*

そして、源シキの薄い18禁な新刊コピー‥もしかしたら‥落ち‥!
ま、まだこれからギリギリまで足掻いてきますが‥。
最悪、無配冊子ぐらいにはなるか‥な。
どちらにせよ、Offlineの更新はイベントの前日になります‥申し訳ありません‥。


在庫のお問い合わせ頂いた方には、通販方法など順次返信させて頂いています。
(本日受け付けた方にも、のちほどメールさせて頂きますのでお待ちください)
通販処理の再開は、10日からさせて頂きますので、返信メールに記載している手順でお申込頂けましたら幸いです。


拍手パチポチ、まことにありがとうございました*
いつも元気を頂いています!
なかには「日記ぐらい書けよしっかりやれよこの野郎」のお叱りもあるのかもしれませんが‥。笑


取り急ぎのご連絡でした〜!
それでは、戻ります!!


2011.01.07

550風と木の名無しさん:2011/01/14(金) 13:00:07
Memo >>脱稿しました!
昨日のMemoを書いてる時点では、本当に自信なかったんですけど。笑
なんとか‥書きあげました。
インテでは、源シキのコピー本が出ます!
興味のある方は、どうぞよろしくお願いします*

Offline も更新しました。
詳細はそちらをご覧頂けましたら幸いです。
紅天本の既刊につきましては、昨日申し上げたとおりですので、よろしくお願いします。

明日は‥お天気はどうなのでしょうか。
参加される皆様、体調管理を万全にして、どうかお気をつけていらしてくださいませ*

それではそれでは、これからコピーと製本作業に行ってきます。


2011.01.08

551風と木の名無しさん:2011/01/14(金) 13:00:46
Memo >>インテ、ありがとうございました*
9日のインテで、当スペースにお越しくださった方、本をお手にとってくださいました方、まことにありがとうございました*
かまってくださった方、お声かけてくださった方、差し入れをくださった方も、ありがとうございましたvvv
いつも本当に恐縮です‥。
名物やおねだり品(ねだるな!)も頂戴しまして‥。
なのに自分はワンパタなモノばかりなので‥申し訳ない、次回こそ何か、新機軸を‥!(と、いつも思ってはいるわけです。笑)

お天気もよく‥、1月のインテは人が多くて当たり前なんですが、昨日はなんだか‥異様な人出だったような気がします。
全体的に大盛況だったのではないでしょうか‥?
咎狗スペースも、プチオンリの影響で、景気がよかったようなvv
うぅ‥よかった!久々に賑やかなスペ周りでしたー!(笑)

私も久々に猫(Lamento)充してきました*
バルド〜* ライコノ〜*
悪魔系イロモノも大好きだー!!(笑)
個人的に、LamentoはBLGで一番いいゲームだと思っているよ!
何だろうなぁ‥ストーリー的に自分好みっていうのが最たる理由なんだろうけど、でもあのクオリティはすごい‥。

色々ハントしてきまして、結果を見ればいろんなジャンルのアンソロとか再録ばっかり買って(きてもらって)ました。
分厚い本がいっぱい‥*
しばらくは、ぬくぬくしながら眠れそう‥*
しかし、紅天本を買えなかったのは残念だ。
自分も新刊出せなかったので言えないんですが、それはちょっとさびしかった‥!(笑)
そのかわり、冬コミの大メビ無配本、頂きました‥!
ありがとうございます‥!!
わぁ、ホントに新作楽しみになってきました!
キラルもラブデリも、今年中に発売されないかな‥!!

イベントのあとは、紅天サイトの管理人さんたちとアフターに行ってきました!
お話したかった人たちとたくさんお話できて、ちょっとしたサプライズ(あたるママンの粋な計らいで‥v笑)もあって本当に楽しかった!
ありがとうございました〜*
心が充実しました‥vv


そして在庫の件。
当日合わせの源シキコピー本「addict」 ですが、お取り置き分を除き、在庫はもう虫の息です‥。
今、この日記を書いている時点(10日21時30分)で、あと2冊‥。
こちらは今回のプチオンリー用に作ったものですので、申し訳ありませんが、無くなり次第終了とさせて頂きます。
お取り置きや通販のお申込をしてくださった方には、イグラのペーパー(サイトに再録予定はありません)も強制的につけさせて頂きますので、その点よろしくご了承くださいませ!(笑)
あと「再生」と「CRISIS」は完売いたしました*
これまでお手に取って頂いた方、まことにありがとうございました*

紅天の嘉藍コピー本、再版分ですが。
こちらは、3月のイベントにも持って行けたらいいなと思って作ってあるので、少し余裕あります。
これも無くなり次第、頒布終了とさせて頂きますので、よろしくお願いします。


さて、少し休んだら次の原稿にかかります。
今年前半はまた紅天で‥、後半はまだわかりませんが‥、何か新しいものに出会えていたらいいなぁ、と思います。


拍手パチポチありがとうございました*
押してくださるお気持ちに、感謝です‥!


2011.01.10

552風と木の名無しさん:2011/01/14(金) 13:04:55
ttp://ttw218.exblog.jp/

553風と木の名無しさん:2011/01/16(日) 13:45:13
Memo >>通販のご連絡。
通販のお申込、ありがとうございます!
以下、お心当たりのある方はご確認をお願いいたします。

15日正午までに頂いたメールにつきましては、すべて返信が完了しています。
まだ届いていないという方は、お手数ですがご連絡ください。

14日夜の時点でご入金が確認出来た方には本日、クロネコメール便で発送いたしました。
1週間以上経ってもお手元に到着しない場合は、お手数ですが管理人までお知らせください。


今回はいろいろ重なってしまって、管理人にとっても予想外の事態でした。
わけても、嘉藍の再版分をお待たせしてしまったことについては本当に申し訳ありませんでした‥。
辺境の鄙サイト(しかも嘉藍なんてどマイナー)と、高を括っていたことも裏目に出ました。
FD効果‥というか、羽織×羽織効果か?(笑)
こんなことはそうそうないことだとわかっていても、今回はかなり焦りました。
やっぱり、通販は毎回どんなに少量であっても、こちらが冷静に対応させて頂けるよう、以前のようにちゃんと期間を設けてやったほうがいいのかもしれません‥ね(反省)。

あと、源シキ本のお問い合わせも‥、今更ないわと完全に油断していたのですが、多少はあのアニメ効果があった‥???(え)
あ、そうだ、プチオンリー効果か!!
み、認めたくないわけじゃないんですが‥だってあのアニメにしろ、源シキとか、全然関係ないですもんね‥(笑)


そんなわけで、今頂いているお問い合わせ、お申込分が落ち着きましたら、改めて通販の方法を考えます。
いろいろ余裕なくて、本当にすみません。
そして、本当に本当にありがとうございました*

(そういや今回一条さん大人気!とか、今更はしゃいでみます‥しーん)


2011.01.15

554風と木の名無しさん:2011/02/02(水) 12:11:56
Memo >>24日までの通販ご連絡&絵チャお知らせ。
本日24日までにご入金の確認できた方には、クロネコメール便にて発送の処理をさせて頂きました。
万が一、1週間以上経ってもお手元に到着しない場合は、お手数ですが管理人までお申し出くださいませ。


Top でも告知いたしましたが、2月5日に紅天の絵チャをします!
時間等はまた、日が近くなりましたらお知らせします。
絵描きさんだけでなく、字だけでの参加も勿論OKです*
紅天がお好きな方であれば、どなたでも!
ただし、完全にROMのみという参加はお断りします‥あしからず。


拍手パチポチしてくださった方、まことにありがとうございました*
返事不要でご報告くださったM様、ありがとうございます!
恐縮です‥。
更新‥も。
相変わらずまったりで申し訳ありません。
せめて月イチを目指そうと思います。
今月中に、一編‥!
がんばります。


2011.01.24

555風と木の名無しさん:2011/02/02(水) 12:12:36
Memo >>サイト一時休止のお知らせ。
2月1日〜28日まで、サイト改装およびコンテンツの整理のため、Works等を休止させて頂きます。
あしからず、ご了承くださいませ。

絵チャは予定通り2月5日に開催しますので、参加をお考え下さっている方はTopページをチェックして頂けましたら幸いです*

尚、自家通販の受付は、年末からお取り置きをさせて頂いている方など未処理の方を除き、いったん終了とさせて頂きます。
(こちらからの返信メールの要領どおりにお申込頂けましたら、休止の間でも対応させて頂きます)
これまで当サイトの通販にて拙本をお手にとってくださいました方、まことにありがとうございました*


改装‥!
整理‥!!
ここ何ヶ月もの間、ずっとずっとやりたかったんですけど‥!!!(サイトいじるの大好き‥)
これまではそんな時間がとれなかったので‥、いきなりなんですが、思い立ったが吉日、ということで。笑
比較的時間に余裕のある今、実行することにいたしました。
次の原稿準備なども始めつつ、ボチボチ作業したいと思います。
今の自分の生活ペースに見合う活動をするため、現コンテンツについては若干の縮小傾向になることも否めないですが‥。
その点もどうかご理解頂けますと幸いです*

それと‥、Web拍手ですが、御礼&お返事をさせて頂くこちらのMemoも期間中は更新しませんので、一時的に外すことにいたしました。
その間、管理人に御用のある方は、お手数ですがメールフォームよりお願いいたします。
メアドをご存じの方は直接PCかケータイのメールで、ツイッターのフォロワーさんはそちらでご連絡頂ければ、それはもう簡単に捕まります‥。笑

サイトの再開予定は、3月1日です。
どうぞよろしくお願いいたします*


最後に‥。
拍手パチポチ、まことにありがとうございました*
更新‥亀並みで、しかも日記すら上げていない有様で‥いつもいつも本当にありがとうございます。
返事不要で到着のお知らせをくださいましたS様、ありがとうございました!
無事にお手元に届いたようで、よかったです*


それではしばしの間、御無礼仕ります‥。


2011.01.31


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