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第3回東方最萌トーナメントまでまったりするスレ 巻之伍

931名無し門番:2005/12/16(金) 22:57:49 ID:j.kbHgcs
ま、まさかこのお題が採用されるとは!? 提案者が一番驚いてます。
さて、王道で行けば、

く<パチュリー・ノーレジ×レミリア・スカーレット>>

何ですが、ここは奇をてらって、

 あの娘ったら、私が忙しいのにかまかけて課題もレポートもサボタージュだなん
て、いつからそんな偉くなったのかしら。聴く所によると、最近は食事すら不規則
に自室で摂ってるみたいだし、まったく何をしているのかしれたものじゃないわね。
「――入るわよ! うどん……げ……?」
 優曇華の部屋。南向きの角部屋で普段なら良い陽気が入ってくる所なのだが、締
め切られた襖をスパンと開け放った瞬間、甘酸っぱい悪臭とじっとりとした湿気に、
胸を突く汗の匂いが混じり合って私の臭覚を刺激した。その例えようがない臭気に
連なったのは、博麗神社の悪霊居候が十体ほどグラサン黒スーツで高所から威圧を
かけているような、息をするだけで息苦しさを覚える澱のような空気。
 闇が浸みだしたと表現しても構わない。反射的に身の危険を感じて、鼻と口を手
で覆いながら踏み込んだ脚を即座に戻す。
 有り体にいって、私が知っているはずのその部屋はいつの間にか人外魔境へと姿
を変えていた。これでは陽気でも妖忌違いだ。
「あ゛……? ……ししょー……?」
 余りのバイオハザードぶりに、自分が不死であることも忘れて思わず自室までN
BC防護服を取りに駆け戻ろうとした所に、日の光が入らない部屋の片隅、一角だ
け明かりが灯った書机の影が声を上げた。
 すわっ、遂に新生物でも発生したかとスペルカードを懐から抜いた所で、動いた
影の頂点からへにょりと一対の長いウサギ耳が伸びていることに気づいた。霊力を
練りいつでもスペルを発動できる体勢で、勇気を出して私は汚穢の魔境に一歩足を
踏み出す。ゆっくりとゆっくりと、音を立てないように片足を投げ出して、そっと
相手に刺激を与えないように、極力、足の裏にかかる力を分散させながら、床がき
しまないように記念すべき第一歩を踏みしめ……うわっ、この畳までしけってる!?
 だが、ここまで踏み出してしまったらもう戻ることは叶わない。今にも挫けそう
ななけなしの勇気を、それこそタクラマカン砂漠に三日三晩干し続けた雑巾から水
分を絞り出すような気分でいっぱいいっぱいに一歩、また一歩と前進していく。あ
あ、この一歩一歩を踏み出すたびに、姫様ごめんなさい、永琳は穢れてしまいまし
たという悔恨の念が湧き上がってくる。
 何か、近づくたびに大事なものを失っていくような危機感、喪失感を抱えながら、
私はようやく優曇華らしき影の麓に辿り着いた。
 机に向かう後ろ姿を振り向かせるまでもない、間違いなく優曇華だ。残像でも起
こしそうな勢いで右手が動いている。

(下に続く)




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