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Sammy社立ギルティ専門高等学校二学期

69164:2005/05/25(水) 17:35:20 ID:wBQ4dM1I
>>682


テスト終了から数日後。

「じゃあ今日は修学旅行の班を決めてもらう。適当に5〜6人組で班を組んでくれ」

当然すぐに班は決まった。俺、紙野、郁瀬、聖、三綾の5人。
これが中学のころだったら―――そう思うと嫌な気分になる。
でも今は違う。俺には友達がいる。でも…

「おい、どうした?早く班を作れ」

ぼーっと窓の外を眺めている男が1人。永園 翼。
アイツには友達がいなかった。停学処分を受け、復帰して、テスト…あれから2ヶ月。
永園はずっとこんな調子だった。あの日を境に永園は別人のように生気が無くなってしまった。

「永園、早く班を…」

そんな永園は見るに耐えなかった。
こうなったのは自分のせいだという事もなんとなく感じていた。だから、発言した。

「永園は俺らの班ですよ」
「おお、そうか。じゃあ頼んだぞ」

我ながら自分勝手な発言をしたものだ。でも、もう遅い。言っちまったんだ。しょうがない。

「悪いな…つい…」
「別にいいわよ。それに、アンタならそう言うと思ったしね」
「私もいいよ」
「兄貴が大丈夫って言うなら間違いないッスから!」

3人とも快諾してくれた。

「紙野も…大丈夫か?」

形はどうあれ、紙野と永園は深い関係を結んでいた。
一番永園の被害を受けてきた。さすがに紙野に断られたら…

「いいよ」
「…本当にいいのか?無理しなくてもいいんだぞ?俺が勝手に言ってることだ」
「うん。大丈夫だよ。永園くんさえ良ければ、だけどね」

永園の方を向く。その瞳には久しく見なかった覇気が確かに篭っていた。

「テメェ…もうオレにちょっかい出すんじゃねェよ!!」
「そう言うなって。楽しくやろうぜ?」
「ふざけやがって…オレは独りでいい!」

俺は永園を更生させたかった。…いや、普通のクラスメイトとして接してみたかった。
だが永園は俺を拒む。迷惑だと言う。

俺はただ自己満足の為にやっていたのか?永園の気持ちなんて考えてなかったのか?

―――否。

それだけは違うと言い切れる。
独りになることの辛さは知っている。永園には……いや、誰にもそんな思いはさせたくなかった。
出来ることなら友達に―――

でも、やはり俺の力では無理だったのだろうか。
やり方を間違えたのか?話し方がまずったのか?強引にやったのが駄目だったのか?
―――分からない。

「永園くん!」

(紙野…)

「ぼ、僕は…その……気にしてないから!」

永園の動きが止まる。

「…毅…お前…」

―――見つけた。突破口。
永園は確実に変わってきている。停学処分後は髪も黒く染め直した。素行も良くなった。
そして今、永園の中には紙野に対する罪悪感がある。何も感じていなければこんな態度になる筈が無い。

今なら―――大丈夫だ。

「紙野もいいって言ってるんだし、別にいいじゃねぇか」

なるべく普通に。肩肘張らず、自然体で。

「お、オレは……」

素直じゃねぇなぁ。まぁ永園らしいと言えば永園らしい。
あいつプライド高そうだし、あまりストレートに言うのも逆に答えにくいよな。変化球で攻めるか。

「紙野への罪滅ぼしってヤツだ。お前紙野に負けたくせに、断るってのか?」

それから数秒の沈黙があった。
教室内は生徒の笑い声などで賑やかなままだったが、その数秒の間はそんなものは全く耳に入らなかった。

「…勝手にしろ」

そう言うと永園は自分の席に戻っていった。
俺はようやく歩み寄れたような気がした。ここまで…長かった。

―――良かった。


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