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TWのシナリオについて考えてみる

153『der Tod』その6@28:2004/03/14(日) 07:28
 それからしばらく無言の時間が過ぎた。
 「そういえば、イスピンの方はどうなんだ?」
 興奮の冷めたマキシミンの質問に、イスピンは少し青ざめて横を向いた。さすがに今の話を
聞いた後では話し辛かった。
 「……ボクは……家族は誰もいないよ。」
 イスピンはどうしても真実が言えなくて嘘をついた。だが、マキシミンの表情は硬いままだった。
 「……俺は真実を話した。なのに、お前は俺に嘘をつくのか?」
 「誤解だよ。ボクは本当に……。」
 嘘がばれないようにとイスピンが必死になってそう言った時だった。マキシミンが手を
上げてその言葉を止めた。
 「そうか……。そこまで言うなら仕方ないな、イスピン。……いや、大公爵シャルロット・
ビエトリス・ド・オルランヌ。」
 「!!」
 イスピンは本名を言われて驚愕の表情を浮かべた。そんなイスピンをマキシミンは冷静に
見つめていた。
 「悪いが調べさせてもらった。結構苦労したけどな。」
 「いつ……解ったの?ボクがシャルロットだって……。」
 青ざめて小さく震えるイスピンを見て、マキシミンは深く溜息をついた。
 「一緒にオルランヌの首都に行った時さ。あの時お前は俺に黙って何かをしていた。そして、
お前の失踪事件に巻き込まれた。それで気付いたんだ、お前がオルランヌ公国の姫だってな。」
 「そう……。そんなに前にバレちゃったんだ。ボクはずっと隠し通したつもりだったのにね。」
 今度はイスピンが深く溜息をつく番だった。
 オルランヌ公国に戻り、反公爵派の陰謀を潰した時にイスピンの名を捨てる事もできた。
しかし、あの陰謀を暴く事件の時、マキシミンの権力に対しての反感の強さを知ったイスピンは
戻る事が躊躇われた。
 「さすがにマキシミンの推理はすごいね。……そういえば、ボクが女性だって指摘したのも
マキシミンだったね。」
 「ああ、その事か。性格は女々しいし、動作が妙に女って感じがしてたし、胸が……。」
 そう言ってマキシミンはイスピンの胸を見た。
 「……一応膨らんでいるからな。」
 「?!」
 イスピンはマキシミンの視線の先が自分の胸にある事に気付くと真っ赤になって両手で
胸を隠した。
 「ど、どこ見てるのよ!……って……。」
 もう一度マキシミンの言葉を反芻したイスピンの表情が怒りに変わった。
 「一応ってどういう事よ!」
 「いや、つい言葉のあやというか、見た目そのままというか……。」
 「こ……この無礼者!」
 激怒したイスピンは立ち上がると、横に立てかけてあった自分の剣を抜いた。それを見た
マキシミンは、さすがに悪戯がすぎた事に気付いた。
 「ま、待て!悪かった。俺が悪かった。このとおり謝る。頼むから剣はしまってくれ。」
 「本当に反省しているの?」
 「ああ。俺が悪かった。」
 不審そうな目で見るイスピンに向かって、マキシミンはベットの上で両手をつくと頭を
深く下げた。


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