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スタンド小説スレッド3ページ

629ブック:2004/06/15(火) 22:19



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 『黒飛魚』の甲板に、奇形モララーと全身を拘束具で縛られた人物が佇んでいた。
「くははははは。
 来たぜ来たぜ来たぜえええェェ…!」
 身体を震わせながら、奇形モララーが笑う。
 そして、懐から携帯電話大の大きさの四角い箱を取り出す。

「しっかり働けよ、『カドモン』…」
 四角い箱から太い針のような物が飛び出る。
 奇形モララーは、それを『カドモン』と呼ばれた人物の首筋へと突き刺した。

「ヴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
 顔をすっぽりと包んだ頑堅な仮面から、苦悶の声が漏れる。
 痛みの為か、『カドモン』は身体を数回ビクンビクンと痙攣させた。

「これで良し、と…」
 奇形モララーはそれを見て満足そうに微笑む。

「さて、それじゃあお呼びするとしようかねぇ…!」
 奇形モララーはそう呟くと、精神を集中させる。
「『ディアブロ』…!!」
 『カドモン』の頭上に、どす黒い穴が開いた。
 そこから、それよりもなお昏きオーラが『カドモン』の中へと侵入していく。

「ヴヴルルルオオオオオオオオオアアアアアアアアア!!!!!!」
 身を捩じらせながら、『カドモン』が悶え狂う。
 しかし、昏きオーラはさらに『カドモン』へと潜り込んでいった。

「…!!」
 穴が閉じ、奇形モララーが膝をつく。
 その顔には、脂汗がびっしりと流れていた。

「…はァ、はぁ……
 たった一回でこれか…
 相変わらず、何てぇ『化け物』だよ…!」
 肩で息をしながら奇形モララーが呟く。

「ウルロオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
 刹那、『カドモン』の腕と脚の拘束具が弾け飛んだ。
 そこから、およそこの世のものとは思えない異形の手足が現れる。

「オオオオオオオアアアアアアアアアアア!!!」
 さらに背中の部分の拘束具が破れ、悪魔のような翼が突き出る。
 それは、まさに『化け物』以外に呼び名が思いつかない程の存在だった。

「…うまくいったみたいだな。」
 奇形モララーが、『化け物』を満足気に見据える。
「いいか、あのチンケな船は攻撃するな。
 壊していいのは周りの戦艦だけだ。」
 奇形モララーがスイッチのようなものを弄ると、
 先程『カドモン』に取り付けておいた機械から電流のようなものが流れる。
 『化け物』に姿を変えた『カドモン』が、それを受けてゆっくりと頷いた。

「よし…
 行けぇ!!!」
 奇形モララーが山崎渉率いる『紅血の悪賊』の戦艦を指差した。

「ルアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
 『化け物』は翼をはためかせると、
 凄まじい速度で『黒飛魚』の甲板から飛び去っていった。


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