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スタンド小説スレッド3ページ
628
:
ブック
:2004/06/15(火) 22:18
・ ・ ・
「皆、大丈夫…!?」
傷ついた体をおしながら、僕とオオミミとニラ茶猫が甲板へと駆け上がった。
何故か、天までついてきている。
「ああ。
…!それより、お前らの方がヤバそうじゃねぇか!!」
オオミミとニラ茶猫の有様を見て、サカーナの親方が怒鳴る。
「こちらは問題ありません。
あなた達は中で休んでおいて下さい。」
パニッシャーを担ぎながら、タカラギコが微笑みかけた。
こんな時に、よくそんな余裕の笑みを作れるものだ。
「…!?
あれは!?」
と、オオミミが敵の船の一つを見やった。
よく見ると、その戦艦の甲板上で誰かが闘っている。
いや、待てよ。
あの大袈裟な得物には見覚えがある。
あれは、確か…
「あの人は…!」
「あいつは…!」
オオミミとニラ茶猫が同時に驚きの声を上げた。
あの人は、この前オオミミを誘拐した女の人だ!
「ニラ茶猫、あの人の事知ってるの?」
オオミミがニラ茶猫に尋ねた。
そういえば妙だ。
ニラ茶猫は直接あの女に会った訳ではないのに。
「いや、ちょっとな…
って、そんな事いってる場合じゃねぇだろう!」
ニラ茶猫が一方的に会話を切る。
まあ確かにその通りだ。
今は、ここから何とか乗り切る事に専念しなければ…!
『!!!!!!
敵船、こちらに砲門の照準を合わせています!!』
スピーカーから、悲鳴のような高島美和の声が響き渡った。
何だって!?
砲門の照準を合わせた!?
いよいよ、多少のリスクを犯してでもこの船を強引に制圧しにきたか…!
『船の中に逃げて下さい!
敵船が攻撃を開始し―――』
!!!!!!!!!!
その高島美和の声と、砲撃の音が重なった。
爆音と共に、無数の砲弾が僕達の船に襲い掛かる。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!
『モータルコンバット』!!!」
サカーナの親方が叫んだ。
刹那、『フリーバード』が一瞬にしてその向きを変える。
それと共に、砲弾は全て『フリーバード』が向きを変えた方向へと逸れていった。
無茶だ。
まさか、サカーナの親方はこの船全体を包むほどの空間に能力を使用したのか!?
「……!!」
スタンド能力の過度の使用の所為で、
サカーナの親方が目鼻耳口あらゆる穴から血を流して横転する。
「親方!!」
オオミミがサカーナの親方に駆け寄る。
「へッ…
流石に…これだけの範囲の空間の向きを変えるのは…
無茶だったみたいだな…」
息も絶え絶えに、サカーナの親方が呻くように呟く。
スタンドパワーの使い過ぎだ。
死にはしないだろうが、暫くは戦闘不能だろう。
いや、このままだと、どっちみち皆死んでしまう。
「後にしろ、オオミミ!
二撃目が来るぞ!!」
三月ウサギが怒鳴った。
だけど、最早僕達に何が出来るっていうんだよ…!
「!!!!!!!!!!!!!!!」
その時、全身を氷柱で貫かれたような、
ゾッとするものが僕の全身を駆け巡った。
これは、さっき感じたのと一緒の気配だ。
禍々しく、気味の悪い、この世のものとは思えないような威圧感。
何だ。
さっきから、一体何が来ている―――
「!!!!!!!」
その場の全員の目が、一つ所に集中した。
突如やってきた、黒い小型戦艦。
『あれは、『帝國』最新の小型快速艇『黒飛魚』…!
『帝國』の船がたった一艘で、
こんな『ヌールポイント公国』の国境ギリギリまで!?』
高島美和の驚きの声がスピーカー越しに伝わる。
馬鹿な。
こんな所に戦艦なんか持ち込んだら、両国の関係に軋轢が生まれるのは明白だ。
それなのに、何故そんな危険を冒してまで『帝國』の船が!?
「……!!」
オオミミが、拳を硬く握って『黒飛魚』を見据えた。
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