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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

54ブック:2004/04/17(土) 00:02
     救い無き世界
     第六十八話・空高くフライ・ハイ! 〜その一〜


 夕暮れの金色の光の差し込む部屋の中、トラギコは一人ベッドに腰掛けていた。
「……」
 彼は立ち上がり、窓まで歩み寄って窓を開く。
 穏やかな風が部屋の中へとそよぎ、彼の髪を優しく揺らした。

「……」
 彼は大きく息を吐くと、目を閉じて俯いた。

 彼が今まで貯め込んできた金は、全て孤児院に寄付した。
 二度とあの場所には帰れないだろうと覚悟していたからだ。

「……」
 最早トラギコには何も残されてはいない。
 ただ、でぃへの復讐心だけがどす黒く彼の心を覆う。

「トラギコ、入るぞ。」
 その声と共に、モララエルが部屋の中へと入ってくる。
 トラギコが、面倒くさそうにそちらに顔を向けた。

「『デビルワールド』がこちらに向かって来ているとの事だ。
 いつでも闘えるように準備しておけ。」
 モララエルがトラギコに告げる。
「…分かったよ。あいつが来たら、声をかけてくれ。」
 トラギコが抑揚の無い声で答えた。

「『アクトレイザー』の完全なる覚醒も近い。
 それまでは、何としても我々で時間を稼がねばならん。
 その使命を忘れるなよ。」
 そう言うと、モララエルは部屋から出て行った。
 再び部屋の中がトラギコ一人になる。

「…『神』だの『悪魔』だの…俺にはどうでもいい……」
 トラギコが窓の手すりに肘をつけて呟いた。

「俺はただ、あのでぃをぶっ殺す。それだけだ……」
 トラギコがもう一度目を閉じる。
 その瞼の裏には、孤児院の人々の姿がはっきりと映し出されていた。

55ブック:2004/04/17(土) 00:03



     ・     ・     ・



 車のスピーカーから少し古めのヒット曲が流れてくる。
 私達はひたすらに東を目指して走っていた。
「…ふさしぃ達の話だと、あと二・三時間もすれば合流出来るみたいだょぅ。」
 私は後部座席に座るでぃ君とみぃ君に話しかけた。

 先程のふさしぃから電話で、ギコエルという奴から攻撃を受けたという連絡が入った。
 やはり二手に分けられた所を襲って来られたみたいだ。
 という事は、私達の所へも刺客が来る可能性が高い。
 気を引き締めてかからなければ…

「……」
 車の窓からは沈みかけの太陽が見える。
 この様子だと、ふさしぃ達に会えるのは夜になってからになりそうだ。


「でぃさん…」
 不意にみぃ君がでぃ君に心配そうに声をかけた。

 …理由は、分かっている。
 車の中の空気が、重い。
 私達…
 いや、でぃ君の周りに、
 見えない「何か」が確実に渦巻いている。
 何か、得体の知れない怨念めいた何かが…

「……」
 でぃ君は何も答えず、心配無いという風に頭を振った。

 嘘だ。
 彼は今闘っている。
 自分の中に潜むあの『化け物』を自分の中に押し込めようと、
 精神をすり減らしながら必死に闘っている。

「……」
 私はアクセルを踏み込んだ。

 急がなければ。
 一刻も早く『矢の男』の処へ行って、全てにケリをつける。
 そして、でぃ君の中の『化け物』も絶対に何とかする。
 私に出来るのは、それだけだ。



「……?」
 と、フロントガラスが急に曇った。
 よく見ると、砂みたいなものがガラスに張り付いている。

「これは…」
 外を見ると、砂のような粒が大量に宙に舞っている。
 どうやら、砂嵐が吹いているみたいだ。
 それにしても、ずいぶんといきなり強い風が吹き始めたな…

「!!!!!!」
 その時、信じられない光景が目に飛び込んできた。
 通行人の一人の体が、突然崩れ始めたのだ。
 何が何だか分からないといった表情のまま、通行人が砂へと変わる。

 いや…!
 通行人だけじゃない。
 周りのもの全てが、徐々に崩れ始めている…!

「!!!!!!!!」
 次の瞬間、フロントガラスにいきなり穴が開いた。
 まさか、この車も崩れ始めている!?

「……!!」
 私は慌ててブレーキをかけた。
 フロントガラスの穴から、少しずつ風が吹き込んでくる。
 間違いない。
 これは敵の攻撃だ。
 だが、これは一体どういう能力…?

56ブック:2004/04/17(土) 00:04

「なっ!?」
 そこで私はようやく自分の体の異変に気がついた。
 私の右腕が、ほんの少しではあるが崩れ始めている。
 穴からの風にさらされる度、腕の部分の肉が砂みたいに変わって流れる。

 これは―――
 ―――いつの間に!?

 …!!
 まさか、敵の能力は…!!

「くっ!!」
 私はアクセルを全開にして車を発進させた。
 間違いない。
 この風にさらされたものは、だんだん「風化」していっている…!
 これが、敵の能力だ!

「うおおおお!!」
 地面も風化している為、砂にタイヤを取られてスピンしかける。
 まずい。
 早く、風を凌げそうな場所に移動しなければ。
 このまま道路にいたら格好の餌食だ。

「……!!」
 滑り込むように、車を道路の脇に駐車させる。
 そして、私達は近くにあった本屋の中に駆け込んだ。
 良かった。
 これで暫くは、安心と言った所か。
 だが、敵は一体どこから攻撃を…

「……!!」
 本屋の入り口から外を覗いてみて、私は敵がどこにいるのかを理解した。
 背中から羽を生やした女が、翼をはためかせながら空中に漂っている。
 確認するまでもない。
 あれが、攻撃をしかけてきた敵だ。
 さっきの風は、あの翼で起こしたものか…!?

「……!」
 そいつと、目が合う。
 女は私に向かってにっこりと微笑んだ。
 そして、翼を羽ばたかせて風を周囲に撒き散らす。
 周囲の人や物が、みるみる風化して砂に変わって崩れる。
 外道め。
 私達が出てこなければ、一般人を殺していくという事か…!

「でぃ君、みぃ君、ここで待っているょぅ。
 ぃょぅがあいつを仕留めてくるょぅ。」
 私はでぃ君とみぃ君にそう言った。
「……!」
 でぃ君が、眼差しで私に訴えかけてくる。
 恐らく、自分も闘うと言いたいのだろう。

「…でぃ君。君を闘わせる訳にはいかなぃょぅ。
 何故かは、君が一番よく知っている筈だょぅ。」
 私はでぃ君に静かに告げた。
 これ以上、彼にあの力を使わせる訳にはいかない。
 このまま力を乱用すれば、間違い無くでぃ君が『化け物』に取り込まれてしまう。

「……!!」
 それでも彼はなお食い下がった。
 私はそんな彼の肩の上に手をおいて諌める。

「…でぃ君、君にはみぃ君を守るという役目があるょぅ。
 だから、君はここに残って必ずみぃ君を守りきるょぅ。
 ぃょぅに何かあったら、君だけが頼りだょぅ。」
 私がそう言うと、でぃ君は悔しそうに唇を噛んだ。

「ぃょぅさん…」
 みぃ君が、不安そうに私を見つめる。
「心配無ぃょぅ。
 ぃょぅも伊達に特務A班を名乗ってはいなぃょぅ。
 あんな奴一人で充分だょぅ。」
 私はみぃ君に笑顔を見せながらそう答えた。
 実際の所は、無事に勝てるかどうかは怪しいが。

 それでも、行くしかない。
 このままでは、何も関係無い人々がどんどん巻き込まれてしまう…!

「…どちらの風が上なのか、試してみるとするかょぅ。」
 私はそう呟くと、外に向かって駆け出した。



     TO BE CONTINUED…


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