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スタンド小説スレッド3ページ

505ブック:2004/06/01(火) 05:06





「……!!!!!!」
 ちびしぃの話を聞いた俺は、自我を保つのに精一杯だった。
 わなわなと肩を打ち震わせるのが、自分でもよく分かる。

「お願い、皆にはこの事言わないで…!
 私なら、平気だから…!」
 ちびしぃがしゃっくり交じりの声で告げる。

 馬鹿な。
 平気な訳ないだろう…!

「……!」
 歯を喰いしばり、激情に駆られそうになるのを抑える。
 糞が。
 何で、この子がこんな目に…!

「…今迄、誰にもこの事は言わなかったのか?」
 俺は怒りに震える、それでも出来るだけ平静を保った声でちびしぃに聞いた。

「……」
 泣きながらちびしぃが頷く。

「…私達のお家は、教会の人からお金貰ってるんでしょ?
 だから、私がこの事をしゃべったらおばちゃんや皆に迷惑かけちゃう。
 痛いのや気持ち悪いのは嫌だけど、
 皆が困るのはもっと嫌だもん…」
 ……!
 この子は、俺だ。
 あの家の人達を守る為に、その小さい体で必死に闘ってきたのだ。
 本当は泣き叫びたかっただろうに、
 誰かに縋りたかっただろうに、
 それなのに、こいつは逃げなかった。
 独りぼっちで、闘ってきたのだ。

 今、ようやく分かった。
 こいつが他の皆と距離を取っていたのは、皆が嫌いだからじゃない。
 好きだから、
 優しくされると、助けを求めてしまうから、
 だから無理して心を閉ざした。
 それが、どれだけこの子にとって辛かった事か…!

「私は、大丈夫だよ。
 最初は痛かったけど、だんだん楽になってきたもん。
 だから…」
「……!」
 無理して笑おうとするちびしぃを、俺は強く抱きしめた。

「…もういい。
 もういいんだ…!
 もう平気なふりなんかすんな!
 もう一人で頑張るな!
 大丈夫だ!
 俺が助けてやるから!
 絶対に、何とかしてやるから!
 だから、一人で傷を抱え込むのはもうやめろ…!!」
 涙を流しながら、ちびしぃをしっかりと抱きとめる。
 許さない。
 あの教会の奴等、絶対に許さない…!!

「―――ぁ…うああああああああああああああああ!!!!!!」
 ちびしぃが、俺の腕の中で泣き叫ぶ。
 まるで、今迄溜め込んでいた痛みを一気に解き放つかのように。

「あああああああああああああああああああああ!!!!!!」
 ちびしぃの泣き声が、夕暮れの空にいつまでもいつまでも響き渡っていった。


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