したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

スタンド小説スレッド3ページ

47ブック:2004/04/15(木) 00:28



「…で、どうする?」
 ギコえもんが私達を見ながら言った。
「取り合えず、何とかして本体を見つけるしか無いわね。
 …小耳モナー。」
 私は小耳モナーに声をかけた。
「分かってるモナ。」
 小耳モナーが『ファング・オブ・アルナム』を発動させる。
 黒い狼が、その場に姿を現した。

「『アルナム』、僕達以外の匂いはしないモナか?」
 小耳モナーが『アルナム』に尋ねた。
 『アルナム』はしばらく鼻をヒクヒクさたかと思うと、申し訳無さそうに頭を振る。
「…面目有りやせん。
 ここらから親分達以外の匂いは流れてきません。
 恐らく、どこかの部屋の中に隠れているのではないかと…」
 『アルナム』が頭を下げながら言った。

「いいえ。それだけ分かれば上出来よ。
 時間が無いわ、さっさと先に進みましょう。」
 私の言葉に皆が頷き、通路の先へと目を向けた。

「車はどうする?」
 ギコえもんが車に目を向けた。
「…あの男、トラップがあると言っていたわね。
 その言葉を信じるなら、車で進むのは危険過ぎるわ。」
 私達は結局徒歩で迷宮を散策する事にした。
 車に乗ってはそれがそのまま棺桶になりかねない。


「……」
 私達は注意深く辺りを警戒しながら歩を進めた。
 『ファング・オブ・アルナム』が私達から少し離れた所を先行し、
 ギコえもんが殿を務める。
 今の所、罠らしい罠には引っかかっていない。

「……!」
 と、『ファング・オブ・アルナム』が動きを止めた。
 振り返り、私達に注意を促す。

「どうしたの?」
 私は『ファング・オブ・アルナム』に声をかけた。
「…変な糸が張られていやす。」
 その言葉を聞き、私はじっくりと目をこらしてみる。
 よく見ると、地面から十センチ程上の所に何やら光る物があった。

「…あからさまに怪しいわね。」
 恐らくあの糸に足がかかったら、矢とか槍が飛んでくるのだろう。
 とにかくあの糸には触れない方がよさそうだ。

「ふっ、このあっしがこんな見え透いた仕掛けに引っかかるとでも…」
 『ファング・オブ・アルナム』はそう言って、軽々と糸を飛び越えて着地すると…

 カチリ

 『アルナム』が着地した場所から、妙な機械音が聞こえてきた。
 それと共に、後ろから何やら地響きのようなものが聞こえてくる。
 まさか、これは―――


「!!!!!!!!!」
 嫌な予感は寸分違わず命中した。
 後ろから、大きな岩が私達に向かって猛スピードで転がってくる。

「うわああああああああああああ!!!!!!」
 私達は叫びながら走り出した。
 信じられない。
 まさかジョーンズ博士みたいな罠が、私の身に降りかかってくるとは。
 生きて帰ったら、『インディ・ふさしぃ』とでも名のついた自主映画を作ってみるか!?

「ああああああああああああああああ!!!!!!!」
 必死に走り続ける。
 しかし、岩は見る見る私達に近づいて来る。
 まずい。
 このままでは、ぺっちゃんこに潰されてしまう…!

「『ファング・オブ・アルナム』!!!」
 小耳モナーが『アルナム』に跨った。
 そして私達を置いてどんどん加速していく。
「!!!
 小耳モナー!!
 手前ずりいぞ!!!!!」
 ギコえもんが怒号を発する。
 私も小耳モナーへの怒りで一杯だ。

「命あってのものだねだモナ!
 皆の事は一生忘れないモナ!!」
 小耳モナーは私達には目もくれずに走り去ろうとする。
 あいつ、この土壇場で裏切るなんて…!


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板