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スタンド小説スレッド3ページ

459ブック:2004/05/26(水) 00:07

「…仕方無い。
 あまりこういう真似はしたくないのじゃが…」
 女がサングラスを外した。
 怖気も奮うような、極上の美人。
 しかし、残念ながら今はその美顔に見とれている状況ではない。

「……」
 女が猛禽類の様な瞳で、オオミミの目を覗き込んだ。

「……!!!」
 オオミミがビクンッと痙攣する。
 同時に、彼の意識が一気に遠のいていくのが感覚を通じて分かる。

(……!)
 彼の感覚に同調する形で、僕の意識も持っていかれそうになった。
 遠く遠く遠く遠く遠く遠く遠く遠く。
 心地よい魂の眠りへと…

 …!!
 まずい。
 これは、
 催眠術(ヒュプノシス)…!

「さて、答えて貰おう。
 お前は、何を知っている?」
 女がオオミミの目を見つめたまま尋ねた。
「…はい。その船は、俺達の―――」

(しっかりしろ、オオミミ!!)
 心神喪失状態のオオミミに向かって、僕はあらん限りの声で叫んだ。
「!!!」
 オオミミが、僕の声を受けて正気に返る。

「…!!
 儂の瞳術が破られた!?」
 女の顔が驚愕に歪む。
(無敵ィ!!!)
 そこに生まれる一瞬の隙。
 僕の右拳が、今度こそ女の顔を捉える。
 女性の顔をグーで殴るのは気が引けるけど、今回はまあ不可抗力だ。

「くっ…!」
 殴られた右頬を押さえ、後方に跳ぶ女。
 さっき拳を交えた時の感じからして、
 多分相手の方が戦闘能力に関しては何枚も上手。
 しかも、相手は吸血鬼。
 人間を軽く屠る事が可能な超常生物だ。

「……!」
 ゆっくりと間合いを測るオオミミ。
 だが、勝機は無い事もない。
 今は日中。
 太陽の光は吸血鬼の致命的な弱点だ。
 それならば、僕達で何とか出来る!

「…先程の無礼は詫びよう。
 しかし、儂とて子供の使いでここに来ている訳ではない。
 すまぬが、どうあってもお主には知っている事を話して貰……」


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