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スタンド小説スレッド3ページ

448ブック:2004/05/25(火) 01:45



 僕とオオミミと三月ウサギとタカラギコの三人で、街中の刀剣屋の品を物色していた。
 ニラ茶猫は三月ウサギと一緒に歩くのが嫌だったのか、船を降りたとたん
『ロイヤルミルクティーと生ハムメロンで潤ってくるぞフォルァ。』
 などと訳の分からない事をぬかしてさっさと行ってしまった。
 まあ三月ウサギとニラ茶猫が一緒だと、
 サカーナの親方が心配していたように騒ぎを起こしてしまう可能性があるので、
 一人でどっか行ってくれて内心ほっとしているのだが。

「ふあ〜ぁ。」
 戦闘に武器を使わないオオミミが、退屈そうに欠伸をついた。
 僕もこういう分野には興味が無い為、いささか辟易している。

「ふむ…」
 タカラギコが大刃のナイフを手に取り、軽く手の平で遊ばせる。
 握り心地を確かめているのだろうか?

「……」
 と、タカラギコが何か訴えるような目で三月ウサギを見つめた。
 何だ?
 こいつらホモか?

「…何だその目は。」
 迷惑そうな顔で、三月ウサギが言う。

「いや、あのですね、恥ずかしながら私、一文無しなのですよ。
 ですから、優しい足長おじさんが何かプレゼントしてくれないかな〜、と。」
 縋るような視線を三月ウサギに送るタカラギコ。
 あんた、金も持ってないのに買い物について来たんかい。
 つーか、最初から人に奢らせるつもりだったのか?

「親父、そこの棚にある剣全部寄越せ。」
 三月ウサギがタカラギコを無視して店主にそう言った。

「ああ、そんな…」
 恨めしそうな声を出すタカラギコ。

「そこの棚の剣を全部?
 お客さん、冗談も大概に…」
 そこで三月ウサギが金色に輝く像をカウンターに叩きつけ、店主の言葉を遮った。
「代金はこれで充分だろう。
 分かったらさっさと剣を売れ。」
 ちょっと待った。
 その金の像って、確か…

「やばいよ三月ウサギ。それ、確か『紅血の悪賊』の船から取ってきた…」
 オオミミが小さな声で三月ウサギに耳打ちする。
 それにしても、三月ウサギはいつのまにそんなもの持って来たんだ。
 それとも、最初からマントの中に隠していたのか?

「こんな趣味の悪い像が、軍事機密な訳はあるまい。
 それに、これぐらい正当な報酬の範疇の内だ。」
 涼しい顔で答える三月ウサギ。
 やれやれ、サカーナの親方がこの事を知ったらどんな顔をする事か。

「…分かりました。
 ですがお客様、こんなに沢山の剣をどうやって…」
 棚に掛けられた大量の刃物を見やりながら店主が尋ねる。

「ふん。」
 質問には答えず、三月ウサギは次々と剣をマントの中に入れ始めた。

「あ、あの、それは一体…」
 その光景に、目を丸くする店主。
「気にするな。ちょっとした手品みたいなものだ。」
 剣を収納しながら三月ウサギが口を開く。

「手品…手品…
 うん、そうだよな。
 こんなの手品に決まってる…」
 現実逃避しているのか、店主がブツブツと独り言を言い始めた。
 この異様な現象を、無理矢理手品とこじつけて納得するのに必死なのだろう。

「いやあ、便利な能力ですねぇ。
 本当に羨ましいですよ。
 私なんか、こんな重いものを一々担がないといけないんですから。」
 背中のパニッシャーに目を向けながら、三月ウサギが溜息を吐く。

「…おだてても、お前の武器は買わんぞ。」
 冷徹に三月ウサギが言い放つ。
 三月ウサギに図星を突かれたのか、タカラギコががっくりと肩を落とした。

「オオミミ君…」
 タカラギコが、今度はオオミミに目を向けた。
「…ご、ごめんなさい。
 俺も小遣い程度しかお金持ってないし、
 果物ナイフみたいなものしか…」
 手を振りながらタカラギコの期待を退けるオオミミ。
「そうですか…」
 タカラギコが残念そうに呟いた。


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