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スタンド小説スレッド3ページ

447ブック:2004/05/25(火) 01:44
     EVER BLUE
     第十七話・TROUBLE MAKER 〜歩く避雷針〜


 僕達を乗せた船は、無事島の港まで着いた。
「よし、錨を下ろせ。」
 サカーナの親方の声に従い、乗組員が錨で船体を港に固定する。

「さて、それじゃあ俺は、燃料だの砲弾だのの交渉に行って来るわ。」
 サカーナの親方が上着を羽織る。
「それでは私もご一緒させて頂きます。
 あなただけに財政を任せては不安ですので。」
 高島美和がサカーナの前に出た。
 まあ、彼女が一緒なら安心だろう。

「2〜3時間は停泊しているのだろう?
 ならば俺は少し島の街に寄らせてもらう。
 剣の補充をしたいのでな。」
 マントをたなびかせながら、三月ウサギが告げた。

「構いませんが、個人の武器の購入は自腹ですよ。」
 冷たい声で高島美和が返す。
「分かっている。」
 無表情で答える三月ウサギ。

「それじゃ、俺もちょっくら外へ散歩に行くとするか。
 この島を出たら、当分娑婆の空気は吸えそうにないしな。」
 ニラ茶猫が軽く背伸びをした。
「あ、なら俺も一緒に行くよ。」
 オオミミが続く。
 全く、君といいニラ茶猫達といい呑気なものだな。
 君達は、『紅血の悪賊』に狙われている真っ最中なんだぞ?

「でしたら、私もご一緒させて頂きましょう。」
 タカラギコが包帯とベルトに巻かれたパニッシャーを手に取り、背中に担ぐ。
 いつも思うのだが、
 この優男のどこにこれだけの大きさの得物を振り回すだけの力が隠されているのだ?
「この得物だけではどうにも小回りに欠けますしね。
 手頃なサイドアームを手に入れなければ。」
 タカラギコが巨大な十字架をコツコツと手で叩いた。

「…外に出るのは勝手だが、お前ら絶対に目立つような事するんじゃねぇぞ。」
 サカーナの親方が僕達を睨む。

「ふん。こいつらと一緒にしないで貰おうか。」
 三月ウサギがオオミミとニラ茶猫の方に視線を移す。

「おい、そりゃどういう意味だフォルァ!」
 ニラ茶猫が三月ウサギに突っかかった。
「事実を述べたまでだが?」
 皮肉気に返す三月ウサギ。
 それにしても失敬な。
 この僕がついているのに、オオミミをニラ茶猫と同列に語るとは。

「まあまあ、二人とも落ち着いて…」
 オオミミが険悪なムードになった二人の間に入る。

「ふん。」
「けっ。」
 ニラ茶猫と三月ウサギはしばし目線を合わせて火花を散らした後、
 ほぼ同時にお互いそっぽを向いた。
 この二人、仲がいいのか悪いのか…

「…そんなんだから心配なんですよ。」
 高島美和が呆れたように呟く。

「天はどうする?」
 オオミミがふと天に尋ねた。
「アタシは遠慮しとくわ。
 また前みたいに恐いおじさん達に追いかけられちゃたまんないし。」
 天が首を振る。

 良かった、こいつが一緒じゃなくて。
 僕は密かに胸を撫で下ろした。

「兎に角、だ。
 くれぐれも騒ぎは起こすなよ?」
 サカーナの親方が念を押す。

「心配すんな。
 俺が居る限り大丈夫だって。」
 胸を張るニラ茶猫。
 いや、お前が一番心配なんだって。


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