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スタンド小説スレッド3ページ

389ブック:2004/05/23(日) 01:19



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 僕とオオミミ達はこれから先の進路を定めるべく、ブリッジに集合していた。
「…で、どうするんだ?」
 三月ウサギが、サカーナの親方の方を向く。

「取り敢えず、これを見てくれ。」
 サカーナの親方が高島美和に指示を促す。
 すると、ブリッジのディスプレイに世界地図が映し出された。

「いいか、野郎共。
 俺達は、今この辺りにいる。」
 赤いマーカーが地図のやや南東部分を指差した。
 その部分の周りは空の海だらけで、申し訳程度に小さな島がポツポツとある位だ。

「見ての通り、ここら辺には大きな島も無く、治安もあまり良ろしくねぇ。
 こんな所をちんたら渡ってたら、『紅血の悪賊』(クリムゾンシャーク)の連中に
 どうぞ襲って下さい、って言ってるようなもんだ。」
 誰の所為で襲われる破目になったんだ、とも思ったが、
 言っても事態は大して変わらないので黙っておく事にした。

「そこで、だ。
 まずは近くの国の勢力圏に入るのが先決だと思うんだが、どうだ?」
 サカーナの親方が皆の顔を見回した。

「私は特に異論有りませんね。
 一度どこかの国家勢力圏に入れば、
 『紅血の悪賊』も憲兵を気にして大きくは出て来れないでしょうしね。」
 高島美和が静かにお茶を啜った。

「問題はどこの国に行くのか、だなフォルァ。」
 ニラ茶猫が軽く背伸びをした。

「だったら、『ヌールポイント公国』はどうですか?
 あそこならある程度の力もありますし、
 中立的な立場の国ですから『紅血の悪賊』以外にも、
 他の国からも手出しし難くなると思いますし。」
 カウガールがはきはきとした声で答えた。

「俺もそれが良いと思う。」
 オオミミもカウガールの意見に賛同した。

「私はそういう事には疎いので、皆さんにお任せしますよ。」
 この船の乗組員でもないのに、何故かしたり顔でタカラギコが口を開いた。
 その背中にはあの巨大な十字架を担いでいる。
 どうやら、サカーナの親方から正式にパニッシャーを貸し出して貰えたらしい。

「…しかし、いいんですか?
 私にこんな大層な武器を渡してしまって。」
 タカラギコが試すような視線をサカーナの親方に向けた。

「なに、使って貰えた方が、その得物だって嬉しいだろ。
 それに…」
 サカーナの親方が目を細める。

「そんな得物を使った所で、俺の『モータルコンバット』は殺れねぇよ。」
 一瞬サカーナの親方から湧き出る殺気。
 直接殺気を向けられた訳でもないオオミミの背筋に、ぞわりと鳥肌が立つ。

「それはこわいですねぇ…」
 対して、殺気を直接受けた筈のタカラギコは普段と変わらぬ感じで飄々と返す。
 あれだけの殺気を受けて平気とは、この人本当に何者なんだ?

「…それで、結局『ヌールポイント公国』に行くのか?」
 サカーナの親方の殺気のせいで固まってしまった空気を払拭するかのように、
 三月ウサギが尋ねた。

「そうですね…
 恐らくそれが無難な線でしょう。」
 高島美和が頷いた。

「ま、それがいいんじゃねぇか?」
 ニラ茶猫も首を縦に振る。
 つーかお前何も考えてないだろ。

「…おっしゃ、決まりだな。」
 サカーナの親方が近くの手すりを一度叩いた。
「あと一時間程で『あぼ〜ん島』ってとこに着く。
 本来なら寄り道してる暇は無いんだが、どうやらガス欠みたいだからよ、
 そこで燃料、武器の補給だ。
 そっからはノンストップで『ヌールポイント公国』まで突っ切るぞ!」
 サカーナの親方が激を飛ばした。

「それじゃ、各自解散!!」
 その親方の鶴の一声で、各人がそれぞれの持ち場へと戻って行った。
 さてオオミミ、まだ少し時間があるみたいだし、部屋でゆっくりと…

「天、ちょっと待って。」
 と、オオミミが思いもよらぬ行動に出た。
 オオミミ、何だってそんな女に話しかけるんだ?

「何よ?」
 迷惑そうな顔で、天がオオミミに聞き返した。
 こいつ、人にはずけずけと話しかけるくせに、何て態度だ…!

「少し聞きたい事があるんだけど、いいかな…」
 オオミミが、真面目な顔でそう天に告げるのだった。


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