したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

スタンド小説スレッド3ページ

372:2004/05/19(水) 17:04



          @          @          @



 長い長い階段を降りるギコ達。
 階段自体は、しっかりとしたものだった。
 だが照明が薄暗いので、足元がどうも不安である。
 降りるにつれ、空気が薄くなっていく感じ。
 無論、錯覚であることをギコは理解している。

 ようやく、階段の終わりが来たようだ。
 地下5階分は降りたであろう。
「公安五課、秘密基地へようこそ!」
 局長は振り返ると、仰々しく告げた。
「…その恥ずかしいネーミングはどうにかならないのか?」
 ギコは呆れて言った。
 もっとも、モララーは気に入っているようだが。

 ――だだっ広い事務所。
 そういう表現が、一番当て嵌まるだろう。
 部屋内に多くのデスクが並び、電話機やPCが備え付けられている。
 20人程度なら、余裕で収容できる広さはあるようだ。
 天井も高く、床は綺麗である。
 だが、地下特有の息苦しさは消えてはいなかった。

「窓がないってのは、落ちつかねぇな…」
 ギコは呟いた。
 モララーは、少し肩を落としている。
 おそらく、彼の脳内の秘密基地のイメージと違ったのだろう。
「結構、広いんだね…」
 しぃは感心したように呟いた。

 局長は、要人達の方を振り返る。
「皆さんには、しばらくここで暮らして頂きます。
 皆さんは今や完璧なお尋ね者ですから、なるべく外出は控えて下さい。
 地下である為、不便な点はありますが… 命の危険がない分、首相官邸よりはマシでしょう?」

「…仕方ないな。中央を追われた身はこんなものか」
 首相が嘆息する。
 要人達は、部屋中に置かれた椅子に腰を下ろした。

「先行きはどうなると君は考えている?」
 パイプ椅子に腰を下ろした官房長官が、局長に訊ねた。
 局長は僅かに表情を曇らせる。
「私の当初のプランでは…
 皆さんを保護した上でマスコミに働きかけ、自衛隊が独断で動いている事を明らかにするつもりでした。
 その上で国連に働きかけ、自衛隊の暴走を止めさせようとね」

 首相は口を開いた。
「君も見ての通り、米軍が派遣されている。アメリカ本国もスタンド使いの排除に乗り気だ。
 それだけではないね。他の国も、ASA及びスタンド使い打倒に動いていると見ていい。
 各国首脳、よほどスタンド使いの存在に手を焼いてたんだろうな…」
 そう言って、笑みを見せる首相。

「でも、スタンド使いだからって悪いことするとは限らないのに…」
 しぃは言った。
「国家を転覆させるだけの力を持つ者というのは、その存在だけで国家にとって毒なんだよ。
 当人の意思にかかわらずね…」
 要人の1人は、しぃを諭すように告げる。

 局長は口を開いた。
「とにかく、状況が違ってきています。
 常任理事国であるアメリカがスタンド使い排斥に動いている以上、国連決議に頼ったところで結果は見えている。
 やや手詰まりの感がありますね…」
「…」
 要人達は、揃って沈黙した。
「フサギコ…、やってくれますね。暴走しているように見えて、根回しは完璧だったとは…」
 局長は呟く。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板