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スタンド小説スレッド3ページ
361
:
ブック
:2004/05/17(月) 22:40
・ ・ ・
「…くくくっ。今頃でぃの野郎はダブルリーチが掛かる位にテンパってるだろうぜ。」
ふさしぃの車を双眼鏡で観察しながら、ギコえもんが邪悪な笑みを浮かべた。
「ギコえもん。一体、でぃ君に何をしたんだょぅ。」
私はギコえもんに尋ねた。
着替えに車の中に入ったっきり、でぃ君が出てこない。
ふさしぃ達が、外から心配そうに呼びかけている。
「なぁに…ちょっと荷物に細工させて貰ったのさ…」
ギコえもんが彼の荷袋の中から青い男物の水着を取り出した。
「それは?」
小耳モナーがギコえもんに聞いた。
「ああ、でぃの水着だ。」
自慢気に答えるギコえもん。
「ギコえもん、まさか…」
私は顔を強張らせる。
「そう、奴がこの日の為に用意した水着を、『ある物』とすり替えた。」
ギコえもんが歯を剥き出しにして笑った。
「何とすり替えたんだモナ?」
小耳モナーが質問する。
「それは見てのお楽しみ…
お、どうやら出てきたみたいだぜ。」
ギコえもんのその言葉に、私も小耳モナーも双眼鏡を覗き込む。
一体、ギコえもんは何とすり替えた…
「!!!!!!!!!!!!」
私は絶句した。
でぃ君が身に着けていたのは、俗に言う褌と呼ばれるそれだった。
彼の表情は変わらないが、激しく恥ずかしがっているのは手に取る様に分かる。
「ぎゃはははははははははははは!!
どうよ!?
これでまずはせっかくのムードがぶち壊しってなもんだ!!!」
爆笑するギコえもん。
悪だ。
こいつ、もっともドス黒い『悪』そのものだ…!!
「様ぁ見ろだモナ!!
毎晩毎晩ギシギシアンアンしてるような奴は、皆地獄に堕ちればいいんだモナ!!」
小耳モナーがガッツポーズをする。
どうやら、自分だけが未経験者だったのが余程悔しかったらしい。
それにしても、私達の周囲だけ妙に景色が歪んでないか?
「まだまだ仕掛けはこんなもんじゃないぜ。
こうなったら、とことん奴らの邪魔をしてやる…!」
ギコえもんは、拳を固めて闘志を滾らせるのだった。
・ ・ ・
「…ヒソヒソ。ねぇ、あの人って……」
「おいおい、まじかよ…」
俺の周りの視線が痛い。
その原因は明白だ。
俺の腰に巻かれている、純白の褌。
通り過ぎる人通り過ぎる人が、俺の穿く褌を凝視する。
「……」
恐らく、ギコえもんの仕業だろう。
畜生。
あいつめ、何だってこんな事を。
「あの、でぃさん…」
みぃが不安気な表情を俺に見せた。
みぃの水着は俺の褌と同じ色で、白のワンピース。
昔は白色だと水に浸かると肌が透けていたらしいが、今は改善されている。
これは環境破壊同様、科学の進歩における重大な弊害と言えるだろう。
『別にいい。こんなのには慣れてる。』
俺はそっけなくそう答える。
まあ、この褌に視線が集中するおかげで、
俺の体中の傷痕への視線が多少は和らいでいるのだろうから、
あながちデメリットばかりでもないのかもしれない。
「全く、あの青狸…
後で必ずミンチにしてやるわ…!」
ふさしぃの顔面に血管が浮き出る。
ふさしぃの水着は、大人しめのみぃとは対照的な、黒のビキニだった。
まあふさしぃは美人な方であるし、スタイルも悪くはないのだが、
体から噴き出す殺気が周囲の男を遠ざけている。
「…取り敢えず海に入ろうぜ。
そうすりゃ、褌も気にならないだろ。」
ふさしぃの殺気を感知したのか、丸耳ギコが空気を変えようとそう提案した。
成る程、それもそうだな。
海に入れば、下の褌も水の中に隠れる。
「そうね。
それじゃ、これからは自由行動にしましょう。」
ふさしぃが笑顔で(目は笑っていないが)答えた。
かくして、俺達は海で泳ぐ事にするのだった。
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