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スタンド小説スレッド3ページ
358
:
さ
:2004/05/17(月) 21:30
戦いの流れが変わった。
押し寄せてくるだけだった敵の動きが、明らかに変化している。
兵の数は徐々に少なくなり、ついには姿が見えなくなった。
「撤退した…のか?」
ギコは銃を下ろして呟く。
「これだけやっちゃったからね。敵わないと悟ったのか…」
モララーが息をついて言った。
ギコはしぃと要人達を見る。
どうやら怪我はないようだ。
「オレにも、ちっとは感謝しなよ…」
『アルカディア』は腕を組んで威張っている。
階下から足音が近付いてきた。
「敵か…?」
ギコが再び銃口を向けた。
「…そちらはどうです?」
階下からリル子の声。
ギコは安堵のため息をついて銃を下ろした。
どうやら、下もカタがついたようだ。
「こっちは大丈夫だぜ! 1人の怪我人も出してねぇ!」
ギコは階下に呼びかけた。
「こちらも片付きました。脱出しましょう」
階下のリル子は言った。
ギコは、要人達やモララー、しぃの方に振り向いた。
「よし、下も安全みたいだ。行くぜ!」
エントランスホールには、多くの兵士が倒れていた。
明らかに息がないと思われる者も多い。
そんな中で、2人の女と1人の性別不詳が立っていた。
その身は、多くの返り血を浴びている。
「さすがリル子さん、頼りになる女性だなぁ…!」
モララーが瞳を輝かせた。
「後は、局長と合流だな…」
ギコはモララーを無視して、リル子に言った。
「…あと20秒ほどで、ここに来ると思われます」
リル子は告げる。
彼女の言葉通り、局長はすぐに階段を下りてきた。
そのスーツは破れ、血だらけだ。
銃で撃たれたと思われる傷も幾つかある。
「そちらは… 特に負傷はなさそうですね」
局長の姿を見て、リル子は言った。
「…どうやったら、そう見えるんですか」
そう言って、局長は倒れた米兵で埋まっているホールを見回す。
「それにしても、ますます嫁の貰い手がなくなりますねぇ…」
「私1人でやった訳じゃありませんよ、フフ…」
リル子は僅かに笑った。
ギコは直感する。
リル子が微笑を見せたとき、その心に鬼が棲んでいる…
「…それと局長、天邪鬼で申し訳ないですね。
誰かにやられて局長が死のうが、私が局長を殺そうが、泣きはしないので安心なさって下さい」
リル子は百万ドルの笑顔で言った。
「…」
局長は、無言でスーツのポケットに手を突っ込む。
そして、偽造した身分証明書を取り出した。
救急車で移動した時に用いたものだ。
最近リル子から受け取ったものと言えば、これしかない。
身分証明書のケースを軽く振る局長。
黒く小さい機械のようなものが、その中から落ちる。
「…まったく、内部監査でもしてるんですか?」
局長はリル子に言った。
「フフ… いかなる者にも気を許すな、とおっしゃったのは局長でしょう…?」
リル子は笑みを見せる。
「なにかわからんが止めろゴルァ!」
ギコは、ただならぬ雰囲気の2人を静止した。
「おっと、こんな事をしている場合ではありませんでしたね…」
局長は言った。
「とにかく、脱出しましょうか」
局長の言葉に頷く一同。
エントランスホールの中央に転がっている救急車は、完全にスクラップと化している。
徒歩でヘリの待機地点まで行くしかない。
こうして、一同と要人達は首相官邸を出た。
首相官邸玄関から門、その前の車道にかけて、道は倒れた兵士で埋まっていた。
周囲に人気はない。
「脱出の邪魔になりそうな存在は、全て片付けておきました」
リル子は平然と告げた。
「うわ… すげぇなぁ…」
ギコは周囲を見回して、感嘆の声を上げる。
あれだけの時間で、一体何人倒したんだ?
「…急ぎましょう。応援が来るかもしれません」
先頭のリル子は、少しスピードを上げた。
その後ろに、列になった要人達が続く。
そして、列を守るように左右を固めるギコ達。
最後尾には局長。
このフォーメーションで、夜の車道を駆ける。
周囲の道路を完全に封鎖しているらしく、通りかかる車は1台もない。
ヘリの合流地点は、そう遠くはない。
特に問題はないはずだが…
それでも、不安が局長の脳裏から離れない。
「君なら、いつを狙う…?」
局長は、先頭のリル子に訊ねた。
「…ヘリに乗り込む瞬間を狙うでしょうね」
リル子は前を向いたまま答える。
「やはり、そうでしょうね…」
局長は同意して頷いた。
ヘリが離陸した瞬間に狙われるのも危ない。
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