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スタンド小説スレッド3ページ

350ブック:2004/05/16(日) 16:11



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「……さん。…ふさしぃさん?」
 ……!
 女の子の声で、私ははっと目を覚ました。
 目を開けると、眼前にみぃちゃんの顔が飛び込んでくる。

「…あ……。」
 どうやら、いつのまにか机の上でうたた寝をしてしまっていたらしい。
 この所残業が多かったから、疲れが溜まっているのだろうか?

「ごめんなさい、ついうとうとしちゃって…」
 私は目を擦りながら弁解した。

「いえ…こっちこそ起こしてしまってごめんなさい。
 …それより、大丈夫ですか?」
 みぃっちゃんが心配そうな声で尋ねる。
「え…?」
 私は何の事だか分からず聞き返した。
「いえ、あの、目が赤くなってなすから、
 悪い夢でも見たんじゃないかと思って…」
 みぃちゃんがたどたどしく答えた。

「…ああ、大丈夫よ。
 ちょっと、懐かしい人の夢を見ちゃってね…」
 そう、もうここには居ない筈の『彼』の夢。
 『彼』はこことは違う世界で、相変わらずの人の良さそうな顔で笑っていた。
 その笑顔の中に、どうしようもない位の哀しさを湛えて…

「…そういえばみぃちゃん、あなた何で特務A班(ここ)に?」
 みぃちゃんはまだSSSには入りたての新人であり、
 私達とは働く部署が違う筈だ。
 それなのに、どうしてこの部屋にやって来たのだろう?

「…あ、あの、ふさしぃさんがこの時間にここに来るように言われたから……」
 しまった。
 そういえばそうだった。

「ごめんなさい、すっかり忘れてたわ!」
 私は慌てて謝る。
 自分で呼んでおいて何しに来たとは、酷い言い草だ。

「いえ、別にいいです。
 それより、何のお話なんでしょうか…」
 みぃちゃんが小さな声で私に尋ねた。

「そうそう、忘れるとこだったわ。
 いきなりだけどみぃちゃん、今度の休みに海に行かないかしら?」
 私は藪から棒に言った。
「海、ですか…?」
 鳩が豆鉄砲を喰らったような顔になるみぃちゃん。

「そ、海。
 でぃ君と丸耳ギコ君も一緒に連れてって、ダブルデートでもしてみない?」
 みぃちゃんの顔を覗きこむと、彼女は少し困った顔になった。

「…わ、私、水着持っていないんですけど……」
 みぃちゃんが口ごもる。
「大丈夫、私がぴったりなの見繕ってあげるから。
 それとも、一緒に行くのは嫌?」
 私はみぃちゃんにそう聞いた。
「い、いえ、嬉しい…です。」
 みぃちゃんがもじもじしながら答える。

「決まりね。
 それじゃ、でぃ君にもよろしく伝えておいて。
 細かい集合時間とか行き先は、追って連絡するわ。」
 私はみぃちゃんの肩に手を乗せた。



     ・     ・     ・



 ♪ペーペポ ペーポポペー
     ペーペポ ペーペポ ペペポポペー♪

 みぃとふさしぃが楽しそうに談笑する影で、一人の男が聞き耳を立てていた。
「何やら面白そうな事考えているじゃねぇか、ゴルァ…」
 ギコえもんである。
 その双眸には、邪悪な炎が渦巻いていた。

「彼氏と仲良く海水浴だぁ?
 くくっ、果たしてそううまく物事が進むかな…?」
 ギコえもんがニヤリと笑う。
「SSS死ね死ね団、活動開始だゴルァ。」


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