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スタンド小説スレッド3ページ

207N2:2004/05/04(火) 14:40



門をくぐった瞬間、オレ達はその外界から隔離された、余りに壮麗で厳粛な空気に押しつぶされそうになった。
均衡を無視した、余りに自然的でダイナミックな力強さを誇る日本庭園。
松や苔の放つ強烈な緑・茶色と敷き詰められた小石の薄い灰色の調和がこの空間の基礎を支えている。
しかしこの時期、庭園内を明るく彩るのは何と言っても紅葉である。
一年の中でもこの季節だけでしか味わえない、重く力強い雰囲気を一転して軽く親しげなものにしてくれる、赤・黄の葉。
その自然が織り成すシンフォニーに、オレ達6人はしばらくその場に立ち尽くしてしまった。

「・・・スゴーイ・・・」
「…マジにすげえな。こんな美しく形作られた庭を見たのは初めてだ」
「ホントだよ、これは…」
オレもギコも、そして子供たちもこの壮大な風景にしばし見入ってしまった。

その横で、
「うむ、この庭園はまさしく和の美の集大成とも言うべきものだ。
ここで食う和の調味料・醤油と目玉焼きのコラボレーションはどんなに上手いことであろうか…」

『クラァッ!!』『ゴラアッ!!』『シャイタマー!!』
「うわなんだおまえたちなにをするやmどわあああ!!」
我々の幽波紋の拳を受けた亀甲男は、伊勢海老の如く身体を反らせながら、器用に頭から池へ着水した。
もう上がっては来ないだろう…。南無妙法蓮華経アメーン。

「おい、おめえら何遊んでんだ!さっさとこっち来い!!」
…と、大将がオレ達を大声で呼ぶのが聞こえた。
5人は池に落ちたキッコーマソは放って、さっさと建物の方へと走っていった。



「お待ちしておりました。大将様御一行ですね?」
玄関の奥から、着物に身を包んだ女性がやって来て言った。

「ああ、そうだ。これで全員…おや?キッコーマソはどうした?」
大将はようやく彼の不在に気付いたらしい。
まずい、ツッコミ入れたら池に落っこちましたなんて言えるわけがない。
果たしてどう説明したものか…。

「…あの人はもうしばらく庭を見たいって言ってたから、その内来ると思いますよ」
幸いにも、とっさにギコが機転を利かせて嘘を付いた。
大将も初めは仕方ない奴だという表情を浮かべたが、やがて
「しょうがないな、いつまで玄関に居たらリル子と鉢合わせになりかねないからな。
すまないが、部屋の方へと案内してくれ」
諦めて仲居さんに案内を頼んでしまった。


オレ達は『松の間』という部屋に案内された。
仲居さんが障子を開けた途端、中から和室独特の懐かしいかほりが漂ってくる。
カビ臭くない畳など何年振りだろうか。

「それでは、ごゆっくりどうぞ…」
仲居さんは戻っていき、部屋には男6人だけが残された。

「それじゃあ、リル子の奴が見合いを始めるまでここで待機しよう。
その内料理も運ばれてくるから楽しみに待ってろよ」
やけに楽しそうな大将。

「…大将、昨日決まったばかりの見合いのはずなのに部屋も料理も予約してあるだなんて…、
もしかしてリル子さんがここで見合いすることも、俺達にその監視をさせるのも予定通りとか言うんじゃないでしょうね?」
相棒の鋭いツッコミが入る。
大将は急に鼻歌交じりで外を眺めだした。
…図星か。
こんな真似をするほど、大将の彼女に対するフラストレーションは募っていたというのか?

「…まあ、そこんところはもう何も言いませんけどね、
それよりも隣の部屋に陣取ったところで、一体どうやって見合いの様子を覗くつもりなんですか?
この中には透視能力を持つスタンド使いはいませんし…」

「『クリアランス・セール』!!」
スタンドを発動。
そのまま指を壁に突き立て、ドリルのようにグリグリグリグリグリダグリグリと貫き通す。

「完成!覗き穴!!」
これで隣の様子はバッチリ分かる。
果たしてリル子さんがどんな恥じらい方をするのか、バッチリこの目で見届けて…


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