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スタンド小説スレッド3ページ

164ブック:2004/05/02(日) 15:36
     EVER BLUE
     第一話・BOY MEETS GIRL 〜出会いはいつも雨〜


 …僕が彼と出会ってもう何年になるだろう。
 あの日僕達は出会い、そして今まで常に共に在って来た。
 僕は彼の事が何でも分かる訳じゃない。
 彼も僕の事が何でも分かる訳じゃない。
 それでも、誰よりも大切な僕の掛け替えの無い友達。
 そう、彼は、彼の名前は―――

「…ルダ』?おーい、『ゼルダ』?」
 …と、どうやら干渉に浸りすぎていたようだ。
(ごめん、ちょっとぼーっとしてた。)
 僕ははにかみながらオオミミにそう答えた。

「おいおい。頼りにしてるんだから、しっかりしてくれよ『ゼルダ』。」
 オオミミが笑いながら僕に語りかける。
 この『ゼルダ』というのは、僕の本名じゃない。
 オオミミが僕の為につけてくれた名前だ。

 僕には、オオミミと出会う以前の記憶が無かった。
 自分の名前は何なのか。
 自分は何処から来たのか。
 自分は何をしたかったのか。
 自分は一体何者なのか。
 それらの事が全く思い出せない。
 この世界から消えそうになっていた僕を、オオミミがその体に受け入れてくれた時、
 それからがこの世界での僕の思い出の全てだった。

「急襲用迫撃射出錨(アサルトアンカー)を発射するぞ!
 野郎共、準備はいいか!?」
 サカーナの親方のがなり声が、僕を現実に引き戻した。
 今日は何か変だな。
 いつもはこんなおセンチな事考えたりしないのに。
 外で降りしきる雨が、僕を感傷的にしているのだろうか。
 そうだ。
 そういえばあの日も、丁度こんな酷い雨で…

「急襲用迫撃射出錨(アサルトアンカー)、発射!!!」
 サカーナの親方の叫びと、轟音と振動が重なり、
 巨大な錨が先程僕達を攻撃してきた小型戦艦に撃ち込まれた。


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