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スタンドスレ小説スレッド

1新手のスタンド使い:2003/11/08(土) 01:58
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

2:2003/11/09(日) 10:09
では、前掲示板で消滅してしまった「モ夏」をもいっかい貼ります。
「9月15日・その1」から「9月17日・その3」までで、
かなり量が多いですがご容赦下さい。

3:2003/11/09(日) 10:10

「〜モナーの夏〜  9月15日・その1」



キーン コーン カーン コーン…

 授業の終わりを告げる、無機質なチャイムが鳴り響いた。
 俺は思う。なぜ、学校のチャイムはこんなに味のない音なのだろうか。
 ベートーベンの第九や、FFの勝利ファンファーレなど、ふさわしい曲があるはずだ。

 …などと考えているうちに、先生の姿は消えていた。にわかに周囲が騒がしくなる。
 今は、6時間目が終わったところだ。
 一般的に言えば、放課後である。もっとも、一般的に言わなくとも放課後だが。


「よぉ、モナー」ギコが話しかけてきた。「どうした? ボーッとして…」
 俺は決してボーッしていた訳ではない。授業の終わりにふさわしい曲を選ぶという命題に取り組んでいたのだ。
 だが、それをいちいち説明しても仕方がない。
 俺はいつものように、「オマエモナー」とだけ返した。
「逝ってよし!」ギコは即答する。つくづく芸のない奴だ。

「まあまあ、マターリしようよ」モララーのヤツが近づいてきて言った。
 一番マターリしていないヤツが何を言うか。
「黙れ、虐殺厨。」ギコは、モララーの方に顔を向けず吐き捨てた。
「それは心外だな…」モララーは憤慨したようだ。「確かに、虐殺行為を繰り返すモララーがいるのは認めよう。
でも、僕は僕。彼らは彼らだ。『虐殺厨』というレッテルを僕に貼るのは…」
「ほれ、前に借りたマンガ返すよ。」ギコはモララーの言葉を遮ると、俺に一冊のマンガを差し出した。
 俺はマンガを受け取るり、カバンにしまってから訊ねた。「で、どうだったモナ?」
「ああ、おもしろかった」ギコは答えた。「たぶん、真のラスボスはひろゆきだな」
 モララーが口を挟む。「分かってないな、ラスボスはやっぱり矢の男だよ。ひろゆきはあくまで第三勢力さ」
「二人とも、同じくらいの強さだと思うモナ」俺は自分の意見を述べた。
 正直、語尾に「モナ」とつけるのは本意ではない。
 俺はもともと理知的で聡明かつ思慮深いのだが、語尾に「モナ」とつけただけで、脳が軽そうな印象になる。
 だが、これはモナーとしてのアイデンティティ、「低脳」というレッテルも甘んじて受けようと思う。


「どうした? ボーッとして…」ギコが言った。
 俺は決してボーッしていた訳ではない。モナーとしてのアイデンティティについて熟考していたのだ。
 だが、それをいちいち説明しても仕方がない。
 俺はただ、「オマエモナー」とだけ返した。
「逝ってよし!」ギコは即答する。芸のあるなし以前に、話がループしている。

「ほら、ケンカしないの。」
 そこに割り込んできたのは、モララーではなかった。
「まったく、いつもケンカして…」しぃは呆れるように言った。
 もっとも、俺達が本当にケンカしていた訳ではないという事は、しぃにも分かっているはずである。
 俺達の会話は、いつでもあんな感じだ。
 俺、ギコ、モララー、しぃ、おにぎりは仲が良いと言われている。
 そして実際に仲がいいのだろう、休み時間や放課後にはいつも五人で集まってダベっている。

「そういえば、おにぎり君は?」しぃが訊ねた。
 予断だが、しぃは半角カナでしゃべっている。俺が脳内変換しているだけだ。
「ほら、今だんじり祭りだろ?」ギコは答える。「あいつ、祭り好きだから…」
 だんじり祭りは、相当荒っぽい祭りのはず。あの米頭は大丈夫だろうか…

4:2003/11/09(日) 10:10

「ギコ、今日は部活はいいモナ?」ふと、俺はギコに訪ねた。
「ああ、今日は休みだ。」ギコは答えた。
 ギコはサッカー部に所属している。そして、当然のようにモテモテだ。
 バレンタインデーなど、食べきれないほどのチョコを貰うらしい。
 もっとも、モテモテ度では俺も負けていない。
 ただ、俺に惚れる女はシャイなのだ。
 チョコを作ったはいいが、恥ずかしくて渡せない…そんな女ばかりなのだろう。
 何故か涙が出てきた。俺は自分自身を騙すことすらできない、ちっぽけな男だ。
 とはいえ、俺もバレンタインに手作りチョコをもらったことくらいはある。
 妹だ。
 しかも、思い人に渡すものを作っていて、失敗したらしい。
 さらに、渡す時のセリフが「惨めだから」。
 そして俺は、どこの馬の骨とも分からぬ男の名が刻まれた失敗チョコを食べた。
 トッピングは涙。
 甘さと塩味が合うことを発見した、有意義な去年のバレンタイン…


「うおっ! 何泣いてんだ!」ギコの声が、俺を現実に引き戻した。
「モナーもサッカー部に入るモナ!」俺は叫んだ。
 そして、鼻血を垂らしながら、「あー、今年もチョコ食べ過ぎたぜ…」などとのたまうのだ。
「そのブヨブヨの体で、サッカーは無理だゴルァ!」ギコは冷たく言う。
 俺は大いに傷ついた。ブヨブヨとはなんだ。ちょっとポッチャリしているだけだ。
 だいたい俺が痩せたら、別のキャラになってしまう。
「不純な動機で部活をやるのは駄目だよ」しぃまで、キツい事を言う。
 しかも意図までバレている。こいつ、何気に鋭い。
「でも、サッカー部が休みって珍しいね」モララーが話題を変えた。
「ああ。この辺で、真夜中に女ばかりを狙った連続通り魔事件が起こってるだろ。練習があると、
帰りが遅くなるからな。しばらく、どの部も休みって話だ。」ギコは残念そうに言った。
「通り魔事件?」初耳だった。「そんなのが起きてるモナ?」

「何だよ、知らないのか?19人も殺されてるんだぞ?」
「毎日ニュースでやってるよ?」
「君はマターリしすぎだね。」

 全員から一斉に集中砲火を受けた。
 19人も犠牲者が出てるのか…
「大体、一ヶ月前くらいからだね…」聞いてもいないのに、モララーが語り出した。
「行方不明になってたどこかのOLがね、死体で見つかったんだよ。どうやら、夜にふらふらしていたところを、
通り魔に襲われたみたいなんだ。それから、毎日のように死体が見つかるんだよ。早朝、道に放置されてるのがね。
いずれも、前日の真夜中に殺されてるんだ。」
 まったく知らなかった。
「まさか、矢のようなもので刺されていたとかはないモナ?」
 俺は冗談交じりに言った。それは、さっきのマンガの話だ。
 モララーは首を振る。
「まさか。ただね、手口が残酷なんだよ。腹をかっさばいて、内臓を引きずり出すらしい。」
 モララーは嬉しそうに話す。こいつ、やっぱり虐殺厨だ。というか、こいつが犯人じゃないだろうな?

「じゃあ、私は帰るね。」しぃが立ち上がる。
「おう、じゃあな。」「また明日モナ。」「気をつけなよ。」
 俺達は口々に別れの言葉を告げる。
「じゃあ、バイバイ」そう言って、しぃは教室から出て行った。
 俺達は、その後も他愛ない話を続けた。
 5分ほどして、ギコはカバンを持って立ち上がった。
「それじゃあ、俺も帰るわ。」
「バイバイモナ。」俺は手を振る。
「じゃあな。」ギコは、教室から立ち去った。

5:2003/11/09(日) 10:11

 俺はたちどころにして見抜いた。これは時間差攻撃だ。
 まず、しぃが先に帰った振りをする。それから少し後に、ギコが合流する。そして、二人で帰るのだ。
 確かに周到な計画だ。だが、天は誤魔化せても、俺の目は誤魔化せない!!

「あいつら、デキてるね…」モララーが呟いた。下卑た表現だ。
「帰りに出会ったら気まずいから、図書館でも寄って帰るよ。」モララーは言った。
「モナーもそろそろ帰るモナ。」俺もカバンを持って立ち上がる。
 そして俺達は教室を出た。
 廊下でモララーと別れ、靴箱で靴を履き替える。


「モナーく〜ん! 一緒に帰ろ!」


 背後から、聞き覚えのある声がした。
 振り向くと、レモナが立っていた。
 こいつは、確かに見た目は可愛らしい。そして、俺に惚れている。

 だが………男だ。

 女子生徒の格好をしていて、周囲には女で通っているが、俺は知っている。
「ノォォォォ!!モナーはノーマルモナー!!」俺は即効で駆け出した。
 コイツのお陰で、俺は逃げ足だけは速いのだ。
 3分ほど必死で走った。どうやら上手くまいたようだ。
 それにしても、なんであんなのに好かれたんだろうか。
 どうせなら、じぃちゃんと一緒に帰りたかったのに…
 ちなみに、「じぃちゃん」とはわがクラスのアイドル「じぃ」のことで、決して俺の祖父のことではない。

 じぃちゃんに想いを馳せながら歩いていると、道端に何かが倒れているのに気付いた。
 あれは…人間?
 そう、道端に誰かが倒れているのだ。
 俺の頭の中に、通り魔事件の事がよぎった。
 どうする!? ただちに警察に届けるべきか!?
 普通なら、まず確認すべきだろう。
 だが、俺は自他共に認めるチキンだ。死体など見ようものなら、三日はメシが食えなくなる。
 さて、どうするべきか…

 用心深い俺は、遠くから観察してみることにした。
 大量の血などは出ていないようだ。少し安心して、距離を詰める。
 どうやら、俺と同い年くらいの女のコだ。
 その時、少し腕が動いた気がした。
 息はあるようだ。

「ウホッ!」

 顔が確認できるくらいの距離に近づいて、俺は思わず声を上げた。
 かなりの美人だ。これは恩を売るに限る。いや、ここで恩を売らずして何が男か。
 俺は、すぐ傍まで近寄った。苦しそうな顔をしている。

「あの…大丈夫モナ?」
 取りあえず声をかけてみた。だが、苦悶の表情に変化はない。
 意識は無いようだ。
 どうしよう。
 とりあえず、家も近いし、連れて帰るか。
 いや、もちろん介抱するためだ。
 不純な動機など、塵芥ほども存在しない。
 救急車を呼ぶほどではないかもしれないし、何か事情がある人かもしれない。
 倒れている人を自宅で解放して何が悪い?

 ひとしきり自己弁護を終えると、俺は女を抱き起こした。
 その時、女はこう呟いた。

「早く… ヤツを止めないと…」

「えっ!?」俺は聞き返した。
 俺に言ったのではないようだ。ただのうわ言だろう。

「この町で、起きる事…」


 何を言っているのだろうか。意味がさっぱり分からない。
 女は、さらに理解不能な単語を口にした。

「空想具現化(マーブルファンタズム)・・・」


  /└────────┬┐
. <   To Be Continued... | |
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6:2003/11/09(日) 10:12

「〜モナーの夏〜  9月15日・その2」


 その娘は、奇抜な服装をしていた。
 十字架のマークが刻まれた帽子。
 衣服にも、いたるところに十字架模様が刻まれている。
 そして、腰まで届く長さの美しい黒髪。
 ミニスカートからすらりと伸びた綺麗な足。
 白く繊細な手… 右手がない!?
 よく見ると、勘違いだったことに気付いた。
 右手を袖から抜いて、服の中に納めているようだ。
 服を着ている途中で、右手だけ袖を通すのをやめてしまったような感じ。
 俺が小さい頃、『ドラゴンボール』という漫画が流行していた。
 その作中に、緑色の宇宙人が、切断された腕を気合と共に再生するという描写があった。
 俺達はよくそれをマネして、服の中に腕をしまった後、「はあぁぁぁ…」といいながら
 ニョッキリ生やしたものだ。
 この女も、そうやって遊んでいたのだろう。

 そんなアホな事よりも、困ったことがある。
 この女、重すぎて家に運ぼうにも動かないのだ。
 今までの人生の中で、気絶している女を運んだという事は一度としてないが、
 ここまで重いものなのだろうか。
 しかも今の状況を誰かに見られれば、俺は間違いなく不審者だ。
 俺は思わず周囲を見渡した。
 …仕方ない。不本意ながら、俺はこの娘を引きずって家に連れて帰ることにした。



 ひたすらに重い。
 いくらなんでも重すぎだ。
 この娘、どう見ても太ってはいない。俺のほうがよっぽど太っている。
 それが、なぜここまで重いのだろうか。
 おぶって運ぼうとも考えたが、そんなことをすれば、そのまま崩れて動けなくなるだろう。
 一分ほどで、足と腕が限界になった。少し休憩しよう。
 俺は女を地面に寝かせると、道端に腰を下ろして塀にもたれた。
 家まで後一分ほど。
 それにしても、車がほとんど通らない道でよかった。
 なぜあんな場所で倒れていたのだろうか。ケガなどはないようだが。
 俺は女の顔を覗き込んだ。とても綺麗な顔だ。
 俺の脳内ウホッ!いい女ランキングで1位に君臨していたじぃちゃんが、2位に転落した。
 1位はもちろんこの娘だ。
 これがムサい男だったら、迷わず放置していたところだ。

 そう言えば、少し気になることがあった。
 この娘、重いだけじゃなく、なにか服がゴツゴツしているのだ。
 何か持っているのか?
 俺は、女のスカートを触ってみた。
 断っておくが、この時の俺にやましい気持ちは半分くらいしかなかった。
 何か硬いものが手に当たった。ここに、何かある。
 俺はハァハァと息を荒立てながら、少しずつスカートをめくっていった。
 ここを他人に見られたら、俺は間違いなく変態だ。

「これは…!」

 少しめくっただけで、その物の正体は分かった。
 それは、拳銃だ。
 何というか、これはマズいのではないか。どう見ても、モデルガンには見えない。
 この女を家に連れて帰ると、ヤバイ事になるような気がする。
 だが…
 俺は女の顔を見た。固く目を閉じ、綺麗な顔を少し歪ませている。
「ミステリアスな美女も悪くはない…」俺は呟いた。間違いなく似合わないセリフだ。
 ギコの言うとおり、もう少し痩せた方がいいのかもしれない。
 さあ、家まであと少し。がんばって運ぶとするか。
 しつこいようだが、あくまで道徳的親切だ。下心などない。

7:2003/11/09(日) 10:12

 なんとか家に辿り着いた。
 手も足も感覚はない。明日は間違いなく筋肉痛だ。
 ここで一つ、大きな問題がある。妹だ。
 俺は妹と二人暮しである。さて、何と言い訳するか…

「ここは…?」

 背後から声がした。
 俺は驚いて振り向く。女は目を覚ましていた。
「ここはどこだ?」女は俺を凝視して言った。思ったよりも低い声だ。だが、それがいい。
「ここはモナーの家モナ」俺は心臓をドキドキいわせながら言った。
「君は?」女は真っ直ぐに俺の目を見つめている。
「モナはモナーモナ」俺は名を名乗った。
「君が道で倒れていたから、連れてきたモナ。モナの家でゆっくり休んだ方がいいモナ」
「君は…誰彼構わず、道に倒れている者を連れてくるのか?」女は痛いところを突いてきた。
 君があまりに美人だからハァハァして連れてきた、とは言えない。
 俺が口ごもっているのを見て、女は言った。
「まあ、君は悪い人には見えない。何より、私の体は休息を欲している。君の好意に甘えるとしよう」
 やった!
 …いや、もちろん道徳的理由による喜びだ。
「じゃあ、家に入るモナ。妹には、モナの友達ということで通すモナ」俺はドアノブを握りつつ言った。
「君の妹に、虚偽の申告をすればいいのだな。その方が、面倒が少なくていいが」女はそう言って、俺の後ろに立った。

 俺は玄関のドアを開け、家の中に入った。女が俺の後に続く。
 奥から、妹が出てきた。
「ちょっと兄さん! 私のプリン食べたでしょ!!」出た。萌えない妹、ガナー。
「あれ?その人は?」ガナーは、俺の後ろに立っている女の存在に気付いた。
「ああ、モナの友達モナ」俺はなるべく普通に言い、靴を脱いで家に上がった。
「友達です。よろしく」女は軽く頭を下げた。
「とりあえず、こっちモナ」俺は女を案内しつつ、立ち尽くす妹に声をかけた。「あっ、布団の用意をしといてほしいモナ」
「こ、こんな昼間っからッ!?」ガナーは真っ赤になった。なにか物凄い想像をしているようだ。


「じゃあ、しばらく休むモナ」
 女は、ガナーが敷いた布団に体を横たえた。
「すまない。この恩はかならず返す」女は申し訳なさそうに言った。
「気にすることはないモナよ」俺は首を振った。
「何であんな所に倒れていたのかとか、聞きたいことは一杯あるけど… とりあえずはゆっくり休むモナ」
 女は無言で頷いた。
 一番気になったのは銃の事だが、それにはあえて触れなかった。
 おっと。俺は、最も重要なことを聞くのを忘れていた。
「あ、名前を聞かせてほしいモナ」
 女は少しきょとんとした。
「私の名前か…? リナーライト・ヴェル・アレクシアだが。」
 余りに長い。
「…リナーと呼んでもいいモナ?」
「…特に問題はない」女はきょとんとして言った。「君は変わっているな。わざわざ私の名前を聞きたがるとは…」
 君のほうが変わってる、と言いかけてやめた。
「では…おやすみ」女は布団にもぐっていった。
 そのまま寝顔を眺めるているのも変なので(本当はそうしたかったが)、俺は自分の部屋に戻った。

8:2003/11/09(日) 10:13

 リナーはいつまで家にいるのだろうか。
 1時間もしたら起き上がって、どこかへ去ってもおかしくはない。
 なんとか、家に留めたいが…
 リナーの分まで夕食を作っていれば、引き留められるかもしれない。
 ガナーに一食分多く作るのを頼みに行こうとしたその時、ドアがノックされた。
 もしかして、リナーか!?
 「どうぞモナ!!」期待に胸が躍る。
 ドアが開く。
 そこに立っていたのは、萌えない妹、ガナーだった。
「ん?どうしたモナ?」俺は落胆交じりに言った。見ると、膨らんだスポーツバッグを肩にかけている。
「今夜は、友達の家に泊まってくるから」ガナーはそう言った。
「今から?急に?」俺は当惑する。ガナーがいなくなったら、誰が夕食を作るんだ?
「今の私、どう考えても邪魔者でしょ?」ガナーが答えた。
 ガナーなりに、勘違いしつつも気を遣ったのだ。
「全く… どんな手を使って、あんなに綺麗な人を引っ掛けたのやら…」ガナーは呟く。
「どんな手って… 失礼モナ」


 妹は、行ってしまった。
 自慢じゃないが、俺は食事など作れない。
 そうだ!リナーがいるではないか。
 休息の場を提供した代わりに夕食を作ってくれと言えば、断れないかもしれない。
 リナーを家に押し留められるし、リナーの手料理が食べれる。一石二鳥だ。
 なにか卑怯な気がしたが、こちらもリナーを家に連れてくるまでに、かなりの努力をしたのだ。
 それくらい要求しても、バチは当たらないだろう。
 俺は嬉々として、リナーのいる部屋に向かった。






 俺はこの時から既に、リナーに心を奪われていた。
 俺は思う。この時にリナーに出会わなければ、後に起こる悲劇は防げたのだろうか。
 俺は思う。あの時にリナーを放置していれば、俺は何も知らずにそのままの日常を過ごせたのだろうか。
 俺は思う。その時に俺がリナーに好意を抱かなければ、命を落としたはずの多くの人は救われたのだろうか。
 なぜ、俺はリナーと出会ったのか。
 どこまでが、俺の意思なのか。
 どこまでが、リナーの意思なのか。
 どこまでが、奴等の意図なのか。
 運命は、何を求めているのか。



  /└────────┬┐
. <   To Be Continued... | |
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9:2003/11/09(日) 10:14
「〜モナーの夏〜  9月15日・その3」


          *          *          *


月。
煌々と私を照らす月光。
私の足下には、女の死体。
今、私がその命を奪ったばかりである。
この女のことは何も知らない。
夜、私に出会った。それだけだ。
そう。私は殺人鬼だ。

私は女を殺す時、必ずその腹を切り開き内臓を露出させる。
馬鹿な犯罪心理学者は、その行為に意味を見出すだろう。
だがそれは、その学者自身の闇であり私の闇ではない。
意味を問う事。それ自体が愚かな事に気付いている人は少ない。

私は女を殺す事により、性的快感を感じているわけではない。
「女」というものを憎んでいる訳ではない。
そして、おそらく常人が想像できる範囲の理由でもない。
私は・殺すために・生まれた。
それだけだ。
では、次の夜にまた会うとしよう。


          *          *          *


俺は、リナーが寝ている部屋に向かった。
起こすといけないので、ゆっくりとドアを開ける。
リナーは布団の上で座って、窓の外を眺めていた。
「あっ、起きてたモナか」
「ああ。もう体も大丈夫だ。世話をかけた」リナーは無表情に言った。
これはマズい。帰る気マンマンだ。
俺はあわてて言った。
「あ、せっかくだから、夕食を作ってほしいモナ」
リナーは怪訝な表情を浮かべた。
自分自身で、押し付けがましい言い方だったのに気付く。
俺は単にリナーにもっと居てもらいたいだけなのだが。
だが、リナーは俺の言葉に気分を害したのではないようだ。
「私が…作るのか?」意外そうにリナーは言った。
「そうモナ。リナーが作る食事が食べたいモナ」
俺は半ばヤケクソだ。どう考えても、出会ってすぐの人間に対する要求ではない。
「私の料理を食べるだと…?」リナーは驚いた顔で言った。
「君の思考は理解不能だ。それは勇気とは言わん。ただの無謀だ」
何か、話が噛み合っていない。リナーが言葉を続けた。
「サバイバル技術の一環として、ほとんどの食材の調理法は習得している。だが…」
リナーは下を向いた。俺は当惑する。
彼女はさらに呟いた。「いや、君がそれを望むならば、止めはしない…」
俺は一言も言葉を発せない。
リナーは澄んだ瞳で俺を見据えて言った。
「最後に問う。君は覚悟があるのだな?」
一体、なんなんだ。俺は早くもピンチなのか。
俺は無言で頷いた。ここで退けば、リナーと二度と顔を合わせられない。そんな気がした。
「ならば、行くか…」
リナーは台所に進んでいった。

10:2003/11/09(日) 10:15

台所に着くと、リナーは冷蔵庫の中などをチェックした。
「牛肉…ジャガイモ… この国の伝統料理、肉じゃがが調理できそうだな」
俺は驚く。
「えっ!リナーは肉じゃが作れるモナ!?」
そう、女の料理の腕を見るのには、肉じゃがが一番だ。
「調理経験はない。だが知識はある」リナーは冷蔵庫をゴソりながら言った。
リナーは一体、どこの国の人なのだろうか。少なくとも、日本語は流暢に喋れている。
「…鮭か。焼き鮭などはどうだ?」リナーは鮭を発見して言った。
「いいモナ。焼き鮭なんてよく知ってるモナね」
俺は感心する。
「私を甘く見てもらっては困る。鮭に塩を振り、焼却すれば完成だろう?」
「焼却しては駄目モナ…」
「では、調理開始といこうか」
心なしか、リナーは少し楽しそうだ。無表情を崩してはいないが。
料理する姿を横で眺めているのも変なので、テーブルに座って眺める事にした。
何というか、無駄のない動きだ。料理中にも右腕を出さないのが気になるが…
美女が料理をしている姿は、それだけで絵になる。
これを毎日見れるならば、悪魔に魂を売っても後悔はない。
率直に言おう。後ろから抱き付きたい。
そしてハァハァしたい。

「くッ…! 油断した!!」
リナーの声が、俺を現実に引き戻した。
「どうしたモナ?」俺はリナーに声をかける。
「単純なフェイクに引っ掛かってしまった。端的に言えば、砂糖と塩を間違えたのだ…」
伝説の大技だ。時は21世紀にもなる世の中、そんなミスをやらかす人間はそう多くない。
見ると、肉じゃがの鍋に塩がブチ撒けられていた。
リナーは言った。「まあいい。焼き鮭に砂糖を振れば、プラスマイナスはゼロだ」
リナーとの付き合いは浅い俺でも、本気で言っている事は分かった。
「いや、それは止めた方がいいモナ…」
リナーは俺を睨む。
「私に料理を委ねたのではなかったのか?君に口を挟まれるいわれはない」
その迫力に気圧され、俺は台所から出て行った。
まあ、食卓に何が並ぼうか構わない。
リナーと一緒ならば、地獄でも平気だ。


「完成だ。待たせたな」
リナーは4つの皿を器用に左手に乗せて運んできた。
それは、リナーの手によってテーブルに並べられる。
肉じゃがは、見た目は普通だが、塩入り。
焼き鮭は本当に焼却してしまったらしく、2cmほどの炭屑になってしまった。
ご飯からは香ばしい洗剤の香りがする。何をやったかは言うまでもない。
味噌汁は、形容不能だ。この世界に存在するあらゆる表現技法を超越している。
味噌汁の存在そのものを誤解しているとしか思えない。
リナーは俺を凝視している。
これは一歩も退けない。
「覚悟は…出来てる」俺はそう呟いた。
とりあえずご飯以外は、食べても命に別状はなさそうだ。
俺は、肉じゃがを一気に食べた。ひたすら塩辛い。
途中で舌がマヒしたので、それほど苦痛ではなかった。
そのまま、かって鮭であった消し炭を口の中に放り込み、味噌汁を超えしものを一気飲みした。
さすがにご飯は無理だ。中性洗剤とは言え、命にかかわる。
「お腹いっぱいだから、ご飯は今度おにぎりにして食べるモナ」俺は嘘を言った。
「よく食べましたね…」リナーは驚嘆の声を上げる。
「君の作った料理ならば、食べれるモナ。あ、愛の力モナ…!」俺は虚勢を張った。
「少し錯乱しているな。やはり私にとって、料理はオーバースキルか…」リナーはそう呟いた。

俺は洗剤入りのご飯をラップでくるむと、冷蔵庫に入れた。
さすがにリナーの目の前では捨てられない。
「だが、他人のために食事を作るというのも悪くはないな。このような感情を思い出させてくれた君に感謝しよう」
リナーは少し微笑んで言った。少し、いやかなり罪悪感を感じる。
思えば、初めてリナーの笑顔を見た。余りにも素敵過ぎる。
俺も微笑みを返した。もっとも俺は普段から笑っている顔なので、余り変わらないが。
その時、俺は幸福だった。
そう、しょせんは崩れていく幸福に過ぎないが…




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11:2003/11/09(日) 10:15

「〜モナーの夏〜  9月15日・その4」



          *          *          *


今夜も月は美しい。
殺すには、とてもいい夜だ。
だが、最近は女が一人で歩いている事も少ない。
流石に短期間に殺しすぎたようだ。
こんな時は、無為に町を彷徨うのがいい。

妹と同じような年齢の、二人連れの女を見かけた。
二人連れに興味はない。私はその女達を見送った。
そう、私には妹がいる。
もちろん、私の行いに気付いてはいない。
私が連続殺人鬼だと知った時、妹はどう反応するだろうか。
私を恐れるだろうか。脅えるだろうか。悲しむだろうか。嘆くだろうか。
私を畏れるだろうか。怯えるだろうか。哀しむだろうか。怒るだろうか。
私を殺そうとするのが、一番よい。

そう徒然と物思ううち、私は足を止めた。
私の足下には、女の死体。
驚くまでもない。私はこれと同じものを生産し続けている。
しかし、これは私が殺したものではない。

今月、私が殺した女は15人。
しかし報道によると、19人の犠牲者が出ているのだという。
つまり、4人余分に殺されている事になる。
私の仕業に見せかけて、殺人を犯している愚か者が存在するということだ。

それが証拠に、この女の死体。
私の殺し方と同じように、腹が大きく裂かれていた。
だがそのやり方は、私の業とは大きく異なる。
まず腹を切開した際に、胃に傷をつけてしまっている。
内容物が漏れ出して、ひどい臭いだ。
さらに、血液も周囲に飛び散っていて見苦しい。
おそらく、死後すぐに切開したのだろう。
他にも、目立つ位置に死斑があったり、頭部にも傷があったりと、仕事が粗い。
見るに耐えない。不快だ。

このような稚拙なやり方で殺された女に、同情を禁じえない。
そして、こんなものが私の仕業と思われるのは、大いに不快だ。
犠牲になった4人の女を弔うためにも、この犯人は私の手で捕らえなければいけない。
私はそう決意した。犯人を、捕らえ屠る。
これからは、嫌な夜になりそうだ。
月はあんなに美しいのに。


          *          *          *

12:2003/11/09(日) 10:16

俺の経験した「初・肉親以外の手料理」は、非常に塩辛い結果に終わった。
だが、俺は満足だった。こんな日々が続くなら、他に望むものはない。
しかし、リナーはいつ俺の前から消えてもおかしくない。
料理を作ってくれたのは、休息場所を与えたという恩を返すためだ。決して親しくなった訳ではないのだ。
何とか、連絡先を聞くなどしてリナーと接点を持たなくては…
とは言え… リナーはなかなかに天然のようだ。
電話番号くらい、深く考えずに教えてくれるような気もする。
俺は、台所で後片付けをしているリナーの元に向かった。


「リナー。ちょっと聞きたいことがあるモナ」
俺は皿を洗うリナーの後姿に声をかけた。何枚か割れた皿があるが、見なかった事にする。
「この作業は非常に気を使う。あとにしてくれないか」
リナーは後ろを向いたまま言った。
「じゃあ、待ってるモナ」
俺はイスに腰をかけた。
そして、リナーの後姿を眺める。
皿を洗う時くらい、右腕を出せばいいのだが…
それにしても、美味しいシチュエーションだ。
まるで新婚さんではないか。
たまに聞こえるパリーンという音など、気にもならない。

「さて…で、何だ?」
俺が妄想している間に、皿洗いが終わったようだ。
「あの、連絡先とか、教えてもらえたらいいなーって…」俺はドキドキしながら聞いた。
「私の連絡先か? それは教えられない」
リナーはきっぱりと答える。俺は落胆した。
「そもそも君が私に何を連絡するのか疑問なのだが… とにかく、教える事はできない」
「そうモナか…」
俺はため息をついた。さっきまでバラ色だった周囲の空間が、真っ黒に見える。
余りにもヘコんでいる俺を、哀れに思ったのだろうか。リナーは優しく言った。
「すまない。たとえ親兄弟にさえ… いや、親しい者ならばなおのこと教えられんのだ」
それを聞いた時、俺の頭に数式がよぎった。

・俺=教えられない
・親しい者=教えられない
よって、「俺=親しい者」が成り立つではないか!!
ウッヒョー!!
なんと、俺はリナーにとって最も親しい人だったのか!!

「…あの。聞いているか?」
リナーが何か言っていたようだ。
「君が言いたい事は分かったモナ。モナも同じ気持ちモナ」俺は激しく頷きながら言った。
「君は大丈夫か?何か悪いものでも食べたのではないか?」
大丈夫。愛さえあれば、それにもすぐに慣れるさ。
…とか行っている場合ではない。事実上、リナーを引き止める材料は尽きたのだ。

13:2003/11/09(日) 10:17

「…まあいい。君には大変世話になって感謝している。私はそろそろ…」
来た!! 
このままではリナーが帰ってしまう。どうしよう。何とかして引き止めないと…
俺の苦悩は全く知らず、リナーは言った。
「おっと。一つ聞きたいのだが。商店街にはどう行けばいい?」
商店街?
この辺は住宅地なので、商店街はない。
買い物ならば、そこらのスーパーで済ませている。
俺はそれをリナーに伝えた。
「それは困るな。流石にスーパーにテントは売っていないだろうし…」
テント?
「テントで何をするモナ?」俺は思わず問い返す。
リナーは呆れたように言った。
「テントでする事と言えば、中で寝る以外にあるのか?
 他の使用法が思いつかない。君の質問はいつも意味不明だ」

ちょっと待て。
この女、こんな都会でテントを張るつもりか。どう考えても浮いている。
こんな自然から離れた場所でアウトドアとは、常人の発想ではない。
それより、これは大大大チャンスではないのか!?
「もしかして、今日泊まるところがないモナ?」俺は目を輝かせて聞いた。
「しばらくこの町を調査するので、その間はテント暮らしの予定だが?」

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

「な、なら、しばらくウチに泊まったらどうモナ?」
リナーは少し考えてから、言った。
「私に断る理由はない。が、その意図が分からない。君に見返りがある訳ではあるまい?」
見返りならば、もう十分に!!
「キミみたいな華奢な子が、そんな何日もテント暮らししちゃ駄目モナ。風邪ひくモナ」
「…華奢な子か」リナーは少し嬉しそうに、そして悲しそうに微笑んだ。
「私にそんな事を言ったのは、君が初めてだ」
初めて… そうか。俺は初めての男だったのか。
満足げな表情を浮かべる俺に、リナーは言った。
「では、君の親切にもうしばらく甘えさせてもらう」

「禍福はあざなえる縄の如し」という格言が正しければ、とんでもない不幸が俺の身を襲っても
おかしくはないだろう。
俺は今、それくらい幸福だった。
だが、うかれてばかりはいられない。先に聞いておく事がいくつかある。
「じゃあ、リナー。聞きたい事があるモナ」
リナーは頷いた。
「ああ。君には聞く権利があるな。だが答えられない質問もあるということは、あらかじめ断っておく」
「言いたくない事は無理に言わなくていいモナ」
「すまない。知ってしまえば、君の身にも危険が迫る場合があるからな」
「気にしなくていいモナよ。まず…どうしてリナーはあんな道端に倒れてたモナ?」
「すまない。それには答えられない」リナーは申し訳なさそうに答えた。
「じゃあ、さっきこの町を調査するって言ったモナね。
 何を調査するモナ?そもそもリナーは何をしている人モナ?」
リナーはうつむいて言った。
「調査内容に関しては…分からない。とりあえず、この町で起こっている事を正確に知るのが第一だ。
 そして私は…ある組織から派遣されてこの町に来た。その組織に関しては言えない」
この町で起こっている事…? 
そういえば初めて気絶しているリナーに会ったとき、マーブルなんとかと呟いていた。
最近起きているという連続殺人事件と関係あるのだろうか。
「この町で起きている事って何モナ?マーブル何とかや、連続通り魔事件と関係あるモナ?」
リナーは驚いたようだ。
「空想具現化(マーブルファンタズム)を知っているのか!?」
「リナーがうわごとで口走ってたモナ」
「そうか…だが、詳細は言えない。おそらくその連続通り魔事件と関連はあるのだろうが…」
次に俺は、ずっと気になっていた質問をした。
「リナーは、なんのために銃を持っているモナ…?」
リナーは俺の目を見つめた。
「…知っていたのか。それでよく、私を家に連れ帰る気になったな」
まったくだ。
「答えは単純。私に必要だからだ」
答えていないも同然だ。使途には一切触れていない。だが、言及する気にはなれなかった。

「じゃあ、最後の質問モナ。リナーは、人を殺した事があるモナ?」

それを聞いて、リナーは深くため息をついた。
「何も分かっていない親切者と思いきや… 君の質問は痛いところばかりついてくるな」
それまでじっと俺をを見つめていたリナーが、目を逸らした。
「『人』という定義次第だろうが… 純粋な人間ならば、殺した事はない。
 人である事をやめてしまったものならば、今まで殺してきたし、これからも殺し続ける」
リナーはじっとうつむいて、自分の左手を見つめている。
俺はその重苦しい空気に耐えられない。
「と、とりあえず、普通の人は殺してないモナね。なら、気にしないモナ」
「それよりも…」リナーは顔を上げた。「君の言っていた、通り魔事件について聞かせてくれないか?」


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