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SSの実力向上を目指すスレ 第5話

12:2008/03/26(水) 22:38:15 ID:9j5889Ho0
続き

・藍の暴走 ここがこの話の真の山場。
 ですが、まだまだ。
 一気呵成に心情を叩き付けるならば、!の多様は逆効果です。数千年の重みを感じさせる台詞を、魂を搾り出すような叫びを。
 無茶なことを言っているのは承知ですが、それが出来なければこの話は死んでしまいます。
 藍の魂を赤裸々に晒そうというのです。作者はその何倍も苦しんで台詞を磨き抜かなければ。
 そして台詞に頼りすぎることなく、視線、手の動き、指先の動き、尻尾の動き、空気、雰囲気、その全てを効果的に使って、この山場を盛り上げてください。
 確かに作者は読者に読んで頂くもの。
 だけどクライマックスくらいは、読者の首根っこを押さえつけて読ませるくらいの気迫で綴って欲しいものです。

・ラストの霊夢
 確かにそれが博麗の巫女。
 ですが、あくまでもこの話においてはという話ですけど、すでに霊夢は「紫を特別なものとして見てしまっているただの女の子」になっています。
 いかにその気持ちを隠そうとも、そういう気持ちを持った時点で博麗の巫女としてはズレているのです。
 ならばここで改めて博麗の巫女に戻すためには、それなりの演出が必要かと。
 博麗の巫女を「全てと等しく距離を取る者」とするか、「全てを等しく受け止める者」とするか。
 その違いを表現しなくては、作者が解っていても読者は納得できません。
 そしてそうでなければ、あの藍の叫びに対抗することはできないでしょう。
 台詞で長々とその違いを語る必要はありません。
 ちょっと勝手に弄ってみました。

 §

「……そうね、私はあいつが好き。認めるわ」
 言葉と裏腹に、静かすぎる声で、霊夢は真っ直ぐに告げる。
 藍の叫びを、その殺意を、正面から受け止め、それでもなお畏れず、揺るがず、在りのままに。 
 その宣戦布告とも取れる霊夢の言葉に、藍の気、その質が変わる。
 押し殺した殺気から、明確な殺意へと。
 溶けた鉄が冷え、剛い刃物へと変わるように。
 九つの尾がぞわりと撓み、瞳の色が青から無色へと移ろった瞬間に、
「でもね。私、あんたのことも嫌いじゃないのよ」
 ――どうしてかしらね?
 そんな風に、僅かに首を傾げて。
 千の剣に囲まれたような空気の中、その全てを受け流すように、博麗の巫女が春色の笑みを浮かべていた。
「おまえ……」
「ああ、そうか。きっと、あんたの淹れたお茶が美味しかったからね」
 そんな風に、やんわりと。
 涼やかな微笑みを浮かべたままで。
 だから、

 ――また、くるわ

 そう言外に滲ませて、霊夢はふわりと風のように立ち上がった。

 その言葉に、その笑みに、藍は毒気を抜かれてしまう。
 ぽかんと口を開け、呆けたように霊夢の顔を眺め、そして――くつくつと笑い始めた。
「……改めて、私はお前が嫌いだよ。嫉妬に狂っている私が馬鹿みたいじゃないか」
「馬鹿なんじゃない? じゃなきゃあいつと一緒に暮らせるもんですか」
 違いないと、藍は声を上げて笑う。
 くしゃくしゃと顔を歪め、自嘲の様にも、腹の底から素直に笑っているようにも見える顔。
 九尾――八雲 藍そのままの笑み。
 ふわりと、その金色の尾が揺れた。
 風に靡く稲穂のように、さわさわと、さわさわと。

「じゃあね」
「またな」

 刃を交えるように剣呑に。
 拳を打ち鳴らすように小気味よく。
 笑い声と、互いの声が居間に沁み渡っていった。


 §

 こんな風にしてみたり。
 作者の中の霊夢像とは異なるかもしれませんが、あくまで「この話における霊夢なら」きっとこんな風に笑うんじゃないかと。
 原作の霊夢なら、紫のことを本気で迷惑な大妖怪と思ってるでしょうしね。

 まぁ、そんなこんなで色々と口出ししてみました。
 雰囲気で魅せるSSを書きたいという気概が伝わってきましたので、よりそれを効果的に魅せるアドバイスをしてみたつもりです。
 勿論正解じゃありませんし、最後の改変なんか赤面ものですが、なんらかの参考になれば、と。
 
 えらく長文になってしまいましたが、少しでも役に立てたなら幸いです。




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