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投稿するまでもないSSスレ 7/7
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フラン「……やったの!?」
霖之助「……殺ったのか?」
レミィ「やっちゃいないわ」
意味と温度の異なる二人の問いに、レミリアは素っ気無く答える。
そして倒れて一人に戻った早苗の頬を叩いて目覚めさせ、グングニルを突き付けた。
早苗「そんな……神奈子様と……諏訪子様の……お力を借りたのに……悪魔に負けた……」
レミィ「負けの認識はあるのね。それなら話は早いわ」
早苗「こ……殺し……殺しなさいッ!妖怪に……悪魔に情けを……かけられる謂れは……っ……」
力の差と、敗北という事実。
自らの存在を否定された早苗は、恐怖に身を震わせながら、最期まで気丈に振舞おうとする。
レミィ「そう。じゃあ、楽にしてあげるわ」
早苗「……っ……!」
笑顔を見せるレミリアだったが、その殺意と威圧感は何倍にも増して感じられた。
抗い難い死の恐怖に怯える早苗めがけて――
(パシッ)
早苗「ひっ!……え……生きて……る……?」
レミィ「まったく、これだから人間は困るのよ」
レミリアは軽く平手を打ちつけた。
レミィ「あんたも解ったでしょ、誰だって死ぬのは怖いの」
早苗「……(こくり)」
急に柔らかくなったレミリアの口調に、恐怖から解放された早苗は素直に頷いてしまう。
レミィ「だから人間は、理不尽な死を迎えないように、妖怪と取り決めを交わした。
でもそうしたら、今度は妖怪が生きる元気をなくした……」
早苗「わかる……気がします」
殺意と威圧感から解放された早苗は、素直に思うままの言葉を口にする。
レミィ「でも、妖怪が本気を出せば人は死ぬ。人と妖は本来不平等なのよ。
だから、死なないようにルールを作った。後は解るわね?それが――」
早苗「弾幕ごっこ……ですか」
話には聞いていたし、理解もしていた。
ただ早苗は、弾幕ごっこに意味を感じていなかったのだ。
妖怪を討つ事、それが人の幸せに繋がり、妖怪に対抗する力として守矢への信仰が集まる。
心の底からそれを信じていた早苗には、弾幕ごっこなど不要だった。
その意味を身を持って知るまでは。
レミィ「それを一人の、しかも人間の、勝手な都合で、殺し合いにされたら……どうなると思う?」
早苗「……」
早苗は答えなかった。答えられなかったのだ。
恐らく人の側から取り決めを破れば、妖怪は報復として人を襲う。
人と妖の全面戦争の行く末は、どちらかの消滅しかない。
そう、外界で人が鬼を駆逐したように。
そして幻想郷では、どちらが勝つかは解らない――
否、今自分は負けた。本気を出したのに、本気を出していない吸血鬼に負けた。
恐らく、幻想郷では人が負ける。
絶滅はしないだろうが、狩の獲物として、怯え暮らす儚い生き物に成り果てる……。
それを直感的に悟ってしまい、言葉が出せなかった。
レミィ「……解った?」
早苗「……はい」
言葉に詰まった早苗に、レミリアは声をかけ、手を差し伸べる。
その手の持つ意味。幻想郷に生きるために、幻想郷のルールを守ると誓う、意思表示。
それを感じ取った早苗は、一瞬躊躇った後、その手をしっかりと掴んだ。
レミィ「ようこそ、幻想郷へ。幻想郷は全てを受け容れる……ま、誰かさんの受け売りだけど」
早苗「……幻想郷って……いい所、ですね……」
レミィ「当たり前よ、この私が500年住んでるんだもの、いい所でない筈がないわ」
少し前まで死闘を繰り広げていたのに、今は笑って握手をしている。
これが弾幕ごっこの意味であり、幻想郷のルールなのだろう。
心の底に何か暖かい物を感じながら、早苗は後の二人の方を見回す。
アリス「……」
パチェ「……」
にとり「……」
霖之助「……(ぐったり)」
そこには、精魂果てた霖之助を囲んで、その魂を消滅させようと目論む二人の魔女と河童の姿があった。
早苗「……(ああ……本気になった妖怪は、弾幕ごっこを使わないんだ……)」
レミィ「……何考えてるか知らないけど、多分それ違うから……」
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