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投稿するまでもないSSスレ 7/7

331名前が無い程度の能力:2010/07/06(火) 22:04:43 ID:hAnAi6Ic0
フラン「……やったの!?」
霖之助「……殺ったのか?」
レミィ「やっちゃいないわ」
意味と温度の異なる二人の問いに、レミリアは素っ気無く答える。
そして倒れて一人に戻った早苗の頬を叩いて目覚めさせ、グングニルを突き付けた。
早苗「そんな……神奈子様と……諏訪子様の……お力を借りたのに……悪魔に負けた……」
レミィ「負けの認識はあるのね。それなら話は早いわ」
早苗「こ……殺し……殺しなさいッ!妖怪に……悪魔に情けを……かけられる謂れは……っ……」
力の差と、敗北という事実。
自らの存在を否定された早苗は、恐怖に身を震わせながら、最期まで気丈に振舞おうとする。
レミィ「そう。じゃあ、楽にしてあげるわ」
早苗「……っ……!」
笑顔を見せるレミリアだったが、その殺意と威圧感は何倍にも増して感じられた。
抗い難い死の恐怖に怯える早苗めがけて――
(パシッ)
早苗「ひっ!……え……生きて……る……?」
レミィ「まったく、これだから人間は困るのよ」
レミリアは軽く平手を打ちつけた。
レミィ「あんたも解ったでしょ、誰だって死ぬのは怖いの」
早苗「……(こくり)」
急に柔らかくなったレミリアの口調に、恐怖から解放された早苗は素直に頷いてしまう。
レミィ「だから人間は、理不尽な死を迎えないように、妖怪と取り決めを交わした。
でもそうしたら、今度は妖怪が生きる元気をなくした……」
早苗「わかる……気がします」
殺意と威圧感から解放された早苗は、素直に思うままの言葉を口にする。
レミィ「でも、妖怪が本気を出せば人は死ぬ。人と妖は本来不平等なのよ。
だから、死なないようにルールを作った。後は解るわね?それが――」
早苗「弾幕ごっこ……ですか」
話には聞いていたし、理解もしていた。
ただ早苗は、弾幕ごっこに意味を感じていなかったのだ。
妖怪を討つ事、それが人の幸せに繋がり、妖怪に対抗する力として守矢への信仰が集まる。
心の底からそれを信じていた早苗には、弾幕ごっこなど不要だった。
その意味を身を持って知るまでは。
レミィ「それを一人の、しかも人間の、勝手な都合で、殺し合いにされたら……どうなると思う?」
早苗「……」
早苗は答えなかった。答えられなかったのだ。
恐らく人の側から取り決めを破れば、妖怪は報復として人を襲う。
人と妖の全面戦争の行く末は、どちらかの消滅しかない。
そう、外界で人が鬼を駆逐したように。
そして幻想郷では、どちらが勝つかは解らない――
否、今自分は負けた。本気を出したのに、本気を出していない吸血鬼に負けた。
恐らく、幻想郷では人が負ける。
絶滅はしないだろうが、狩の獲物として、怯え暮らす儚い生き物に成り果てる……。
それを直感的に悟ってしまい、言葉が出せなかった。
レミィ「……解った?」
早苗「……はい」
言葉に詰まった早苗に、レミリアは声をかけ、手を差し伸べる。
その手の持つ意味。幻想郷に生きるために、幻想郷のルールを守ると誓う、意思表示。
それを感じ取った早苗は、一瞬躊躇った後、その手をしっかりと掴んだ。
レミィ「ようこそ、幻想郷へ。幻想郷は全てを受け容れる……ま、誰かさんの受け売りだけど」
早苗「……幻想郷って……いい所、ですね……」
レミィ「当たり前よ、この私が500年住んでるんだもの、いい所でない筈がないわ」
少し前まで死闘を繰り広げていたのに、今は笑って握手をしている。
これが弾幕ごっこの意味であり、幻想郷のルールなのだろう。
心の底に何か暖かい物を感じながら、早苗は後の二人の方を見回す。
アリス「……」
パチェ「……」
にとり「……」
霖之助「……(ぐったり)」
そこには、精魂果てた霖之助を囲んで、その魂を消滅させようと目論む二人の魔女と河童の姿があった。
早苗「……(ああ……本気になった妖怪は、弾幕ごっこを使わないんだ……)」
レミィ「……何考えてるか知らないけど、多分それ違うから……」




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