レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
投稿するまでもないSSスレ 7/7
-
本当に此奴は運がいい。
西の辺りまで来れば、折しも日も傾き、この深い竹林にも日が差す所、其処彼処。
合わせて地をよくよく見てみれば、其処等が盛り上がっていると判る。
少し待て。地に落ちた竹葉を掻き分ければ…見つけた。
「へー!これがタケノコってヤツか!なんかキノコって感じしないな。」
当たり前。茸と筍は全く違う。
「なるほどなぁ。で、これ食えるのか?」
ああ。旨い。
腰の物を使う。若竹の刺身、山椒を一振。ほら、と渡してやる。
しゃくしゃく、小気味良い咀嚼音。そうすること暫くの後
「これ、うまい!いやーやっぱ探してみるもんだな!」
何もしていない此奴がよく言う。なら序に筍狩。
「この、少し盛り上がってるところにあるんだろ?オッケー!じゃ競争な!」
一々競争する必要無い。晩飯の為。
「何言っているんだよ?どーせやるなら楽しい方がいいに決まってるじゃないか。ほら!もう一つ見つけたぜ!」
やれやれ。騒がしい事この上無い。
こんなものか、と山となった筍を前に
「ケッコウたくさん見つかったな!ホントラッキーだったよ。」
確かに。本当に此奴は運が良い。これだけあれば明日の分も充分だろう。
さて、と今度は太目の竹を一本。一節で分け節目で抜く。
ほら、と手渡すのは出来たばかりの水筒。
すぐ其処に清水がある。汲んで来い。…どうした?
「いやー器用だなーって思ってさ?」
別に。いつもやってること。
「ふーん?ま、水だろ?オッケー行ってくる!」
竹葉・枯竹を寄せ、火を附ける。
火が充分に熾るのを眺めつつ、竹を割り、箸、小皿。
「待たせたな!ほらよっ!」
受取り、粟麦筍酒と竹に詰め、水。
火に架け、待つこと暫く。肴に刺身で、竹の椀にと注いで渡す。
「何かいいな、こういうの。」
別に変わった事も無い。
「判らないのか?ま、いいか。ところでこれ、なんかうまいな。」
別に。普通のものでしかない。と、口から吹いてきた。
火から下し、縦に割る。食べるといい。
…
…
…
「えーとなんだろ?うーん」
口に合わなかったか?
「いやそうじゃないんだ。んー何だろ?言葉にしにくいんだけどさ?」
はっきりしない。何?
「んー多分あれだ。…幸せ?」
馬鹿?
「はははっひどい事言うな!いやーあんまりにもうまくってさー!言葉に出来なかったんだよ!」
成程。褒め言葉としては出来が悪い。
言葉に出来ないなら黙って食え。冷めたら旨い物も不味くなる。
「それもそうか、んじゃ遠慮なく。」
食べるのはいいが呑む方は少しは遠慮しろ。
「悪い悪い、ついうまくってさ!」
全く。騒がしい事この上無い。
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板