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投稿するまでもないSSスレ 7/7

294積節 2/3:2009/11/27(金) 13:03:19 ID:RHNqditE0
本当に此奴は運がいい。
西の辺りまで来れば、折しも日も傾き、この深い竹林にも日が差す所、其処彼処。
合わせて地をよくよく見てみれば、其処等が盛り上がっていると判る。
少し待て。地に落ちた竹葉を掻き分ければ…見つけた。
「へー!これがタケノコってヤツか!なんかキノコって感じしないな。」
当たり前。茸と筍は全く違う。
「なるほどなぁ。で、これ食えるのか?」
ああ。旨い。
腰の物を使う。若竹の刺身、山椒を一振。ほら、と渡してやる。
しゃくしゃく、小気味良い咀嚼音。そうすること暫くの後
「これ、うまい!いやーやっぱ探してみるもんだな!」
何もしていない此奴がよく言う。なら序に筍狩。
「この、少し盛り上がってるところにあるんだろ?オッケー!じゃ競争な!」
一々競争する必要無い。晩飯の為。
「何言っているんだよ?どーせやるなら楽しい方がいいに決まってるじゃないか。ほら!もう一つ見つけたぜ!」
やれやれ。騒がしい事この上無い。

こんなものか、と山となった筍を前に
「ケッコウたくさん見つかったな!ホントラッキーだったよ。」
確かに。本当に此奴は運が良い。これだけあれば明日の分も充分だろう。
さて、と今度は太目の竹を一本。一節で分け節目で抜く。
ほら、と手渡すのは出来たばかりの水筒。
すぐ其処に清水がある。汲んで来い。…どうした?
「いやー器用だなーって思ってさ?」
別に。いつもやってること。
「ふーん?ま、水だろ?オッケー行ってくる!」
竹葉・枯竹を寄せ、火を附ける。
火が充分に熾るのを眺めつつ、竹を割り、箸、小皿。
「待たせたな!ほらよっ!」
受取り、粟麦筍酒と竹に詰め、水。
火に架け、待つこと暫く。肴に刺身で、竹の椀にと注いで渡す。
「何かいいな、こういうの。」
別に変わった事も無い。
「判らないのか?ま、いいか。ところでこれ、なんかうまいな。」
別に。普通のものでしかない。と、口から吹いてきた。
火から下し、縦に割る。食べるといい。



「えーとなんだろ?うーん」
口に合わなかったか?
「いやそうじゃないんだ。んー何だろ?言葉にしにくいんだけどさ?」
はっきりしない。何?
「んー多分あれだ。…幸せ?」
馬鹿?
「はははっひどい事言うな!いやーあんまりにもうまくってさー!言葉に出来なかったんだよ!」
成程。褒め言葉としては出来が悪い。
言葉に出来ないなら黙って食え。冷めたら旨い物も不味くなる。
「それもそうか、んじゃ遠慮なく。」
食べるのはいいが呑む方は少しは遠慮しろ。
「悪い悪い、ついうまくってさ!」
全く。騒がしい事この上無い。




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