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東方キャラに演じてほしい名(迷)台詞・シーンスレ その7

96H×H:2008/04/25(金) 02:23:26 ID:hqVX6HD20
姫が視線を切ると再び時が動き始めた。
いや、姫以外の時間は凍ったままである。
姫を殺らんと侵入してきたはずの曲者までが固唾を飲んで足を止めた理由は、
血に染まる妖怪兎、そして、その身体を抱く月人なる者の所作全てが、
見間違う事なく優しさに溢れていたからに他ならない。

「永琳」

通常の姫の表情に戻っていた。
それが逆に永琳を不安にさせた。
──が、

「イナバを治しなさい」

「頼んだわよ」

姫。
その声は有無を言わさぬ尋常を超えた迫力で漲っていた。
同時に永琳は動いた。
全身は歓喜で満ち震えている。
頬を伝うものがどこから来るのかわからない。

その間──、敵の動きをただ立ち止まって見守るという愚挙を百戦錬磨の2人が続けたのは、敬意の表れである。
1個の生命に対する慈愛溢れる振る舞い、これを侵してはそもそもの大儀を失い人妖ですらなくなる。

「話が随分違うじゃないのよ」

霊夢がそう問い詰めるのも無理はない。
同様の思いは紫にもあった。
不明瞭な呟きと共に立ち上がった姫から、思慮外の提案。

「場所を変えるわ。
 その方が都合が良いのは、貴方達も同じでしょう?」

姫と護衛の分断。
そのために巨額を費やし霊夢の力を借りた紫である。
異存のあるはずもない。
しかし、

「まあ…、ね」

先手を取られたという思いは拭えない。
永琳が治療を開始した瞬間、

致命的な油断。
一瞬2人がそう覚悟したのも無理はない。
それ程に容易く悠然と姫は2人の視線を横切った。
敵もまた遥か怪物。




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