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虐待・虐殺小説スレッドPART.4

401:2007/09/09(日) 16:01:52 ID:???

自分の必死さ。そこに演技はない。
溜まりに溜まったフラストレーションを、腕でなく口で発散する。
激昂せず、ひたすら低く冷たく、重く這うように言い放つ。
だが、そこまでしても男は動かなかった。

「・・・悪いが、俺は今その『少年』は追ってない」

予想だにしない言葉が、男の口から放たれた。
虚をつかれ、今度は様々な憤怒が込み上げてくる。

「ふざけンなよ。銃持てる職のくせに何言ってやがる」

「持ててもホンモノとは違うんだよ。それに・・・」

「・・・それに何だ」

「『少年』よりも凶悪な『化け物』がこの街にいる。俺はそっちを追ってる」

「・・・」

嘘を言っているようには見えない。
だが、化け物なんて言葉はここ最近聞いたことがなかった。
謎のせいで怒りも冷めたし、男の話に耳を傾ける事にする。

「お前もどうせ信じないだろうな」

「何故、少年でなくそいつを追う?」

「顔に包帯巻いたフサギコがいる。フーっていうんだが、アイツの眼はその化け物に刔られたんだ」

「・・・」

「仲間もやられたらしく、現場は悲惨だったよ。新聞に載ってもおかしくない」

次第に男から覇気が消え、自嘲混じりに話をしていく。
曰く、しっかりと化け物を見たというのに、その日以来全く情報ば入らないのだとか。
更に詳しく聞けば、どこかで耳にした都市伝説の化け物と特徴が類似していた。

男の言うことに嘘はない。
だが、銃を握れる立場であるというのに、裏側の事件しか見ていない。
それが、納得いかなかった。

「お前、化け物だけしか見ないつもりか?」

「・・・?」

「フーとかいう奴と、同じような奴をつくりたくないから追うんだよな」

「ああ・・・」

「『片腕が黒い少年』も、その化け物と同じだろうが」

「・・・どういうことだ」

男が食いつく。
先程と一緒の、冷たい怒りを放ちながら。

「被害者の身になれよ。目の前に現れれば、どっちも同じだ」

「・・・」

「見えない所にいる化け物より、目の前の殺人鬼を追えよ」




その時だった。
胸倉を掴んでいた腕が、自分の意思に反して男から離れる。

「・・・お前の言うことも、尤もだ」

「!?」

違う、離れたのではなく、離されていた。
その手首には男の黒い手があり、凄まじい力で引きはがしていたのだ。

「だがな、俺は最初から化け物しか追う気はない」

男は豹変していた。
眼には更に淀みが加わり、目線に触れなくとも凄んでしまう。
力さえも別人のように、しかも自分をも凌駕している。

「理由はお前と一緒だ。フーとその仲間の為の復讐だよ」

譫言のように呟いているその様は、吐き気を催す程悍ましい。

(・・・なんて奴だ)

触れてはいけないモノに触れてしまった。
ギコはそう思い、心の中は恐怖で染まろうとしていた。

この男は、自分と似ているどころか、全く同じだ。
ただ、己を抑制する感情の方が遥かに大きく、厚い殻となっていただけ。
それを突き、割ってしまったということは、逆鱗に触れた事に等しい。
気が付いた時には、既に立場は逆転していた。


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