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19葵春:2017/02/09(木) 22:55:41
【お題キャラ:くま&天満宮ベガ&伊藤早矢梨】
【書いた人:葵春】

満天の星空の下、バルコニーに佇むは儚げな一人の少女。
少女は万感の想いを込め、全ての懊悩と羞恥とを人の目から隠す夜の帳の内へと叫ぶのでした。

「おお、くま……貴方はどうしてクマなの?
 もしも貴方がクマでなく、私がヒトでさえなかったなら。
 私達の愛の睦言(むつごと)を遮る天の霹靂(へきれき)も鳴り響きはしなかったでしょうに。
 どうか、天に坐(ましま)す我が主よ。今夜ばかりはその智慧と理性を眠らせて。
 どうか、自然の摂理を冒涜する私の想いへ、怒りの鉄槌を下すのはやめてください。
 だって、そうでしょう?
 私はただ、一人の女として、
 女が産まれながらに備えている当然の感情を発露しているだけなのだから。
 すなわち、ただ一人の殿方への愛を――!」

深窓の令嬢は種族の垣根を越え、愛を語らうのでした。
彼女の想う相手。許されざる相手。くまへの愛を。
少女の想いは、胸の内から湧きあがる赤い泉の熱は、留まることを知りません。
再び、夜空へ向けて言葉を紡ぎます。

「ああ、くま……もしも貴方が私の事を真に愛するのであれば。
 どうか、私のためにクマという名を捨ててください。
 貴方のためならば、私もヒトという名を捨てましょう。
 薔薇の花は、薔薇という名を失ったとしても芳しい香りを損ないはしない……。
 私達一頭と一人、クマでもヒトでもなく、
 匂い立つ若葉を繁らす大樹の如き未来をどこまでも広げ伸ばしていけたなら――!」

その時、奇跡が起こりました。
バルコニーの下の茂みが大きく揺すぶられるや、黒い影がまろび出てきたではありませんか。
その影こそ誰あろう――くま、その人(クマ)!

「クマー」
(副音声:捨てましょう!)
「まあ、くま! 貴方、どうしてここに?
 ここは高い塀に囲まれた屋敷の奥深くだというのに」
「クマー」
(副音声:愛の翼で飛び越えました。種族の垣根を越えんとする者が、
 この程度を越えられなくてなんとしましょう)

くまは神の怒りも恐れず、想い人のところへと姿を表したのです。
屋敷の警備の目を盗み、高い塀を越え、深い堀を越え、バルコニーへと至ったのです。
そう、彼はそこで、彼女の想いを確かに聞き届けていたのです。
想い人が自分の事を愛し、絶望の淵から希望の叫びを叫ぶ声を確かに聞いたのです。
真実の愛を得たくまに怖いものなど最早ありはしません。
胸を張り、彼女の涙と夜露に濡れた文字にも表せぬ一夜の手紙の末尾に、
愛と若さの筆をもって力強き返礼を書き添えたのでした。

「クマー」
(副音声:私は今宵限り、クマという名を捨てましょう。
 これより先、私は貴女一人のために生きる存在。
 貴女だけが唯一私の名を呼ぶ我が主人となります。
 ですから、どうか我が愛しき君よ! 今こそ私の新たなる名を呼んでください!
 この世に唯一人、私だけが貴女にそう呼ばれるべき、私だけの名――恋人と!)
「ああ……くま! 我が愛しき人(クマ)! いいえ、私の恋人よ!」

――こうして少女とくまは星々のみが見守る星空の夜の下。
二人で寄り添い、そっと蜂蜜を舐め合い、狂おしいその甘さを堪能したのでした。



 * * *



「いやーウケたウケた! お芝居大盛況だったよ! 脚本ありがとう文化!」
「BLラッシュに疲れた頭で書いた妄言がまさかこんなことになるとは……」
「ベガっちもヒロインの雰囲気ピッタリで大人気だし、仕掛け人としてはやりんも鼻が高いよ!」
「そろそろまともなものが書きたい……」

fin


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