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チルドレンレコード~子供達の希望理論~

59速水蒼:2013/12/04(水) 06:48:05 ID:xvE34hFc
>>58の続き


ドアが開く中、ずっと遠い昔の事を思い出していた
私がまだ小さくて、お母さんが生きていた頃の思い出・・・・・・・
ずっと、外へ出るなと言われていたのに、外へ出て花冠を作っていた私
嬉しくって嬉しくって、蝶と遊んだりしていた
だけど、そんな感情も、すぐに消えた
男の人2人が急に私を殴ったり蹴ったりして、縛り上げようとしてきた
「うわぁぁぁぁぁぁっぁん!!!!!」
「静かにしろ!この餓鬼!」
そんな私の泣き声や男の人の怒号はお母さんにも聞こえたようで
ガンッという音と共に一人の男の頭には石がぶつかっていた
そうしてその男の人達が怯んだ隙にお母さんは私の手を引いて逃げようとした
だけど、頭に石が当たって頭から血が出ている人が、お母さんのドレスの裾を掴んでいたせいで
お母さんは扱けてしまい、もう一人の人が木の棒をお母さんと私めがけて振り下ろそうとした
(もう駄目だ・・・・・・・・・・!)
私がそう思った瞬間だった
目の前の人が、灰色一色になって行き、動かなくなった
何で・・・・・・・・?そう思いお母さんを見ると、お母さんの目は赤くなっていた
ホッとしたのも束の間、お母さんが倒れていく
その5秒が私にはスローモーションに見えた
「お母さん・・・・・・・・・・?」
お母さんは起き上がらない・・・・・・・・・・・・
嘘、何で・・・・・・・・・・
私のせいだ、私が勝手に外に出たから・・・・・・・・
「・・・・・・・・わああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!」
大声を出して喚いた
約束を破ってごめんなさい、もう外に出たりなんてしないから・・・・・・!
今更そう思っても、お母さんはもう起きない、分かっている、だけど
今の私にはそれしかできなかった

やだっ、来ないで・・・・・・・・・・・・!
そう思い、目を手で隠し、座り込んで俯いている私にその人は驚いているようで
「目を合わせると、石になってしまうの・・・・・・・・来ないで・・・・・・・・!」
そういって泣きそうになる私、きっとこの人も私を怖がるのだと思ったけど、違った
ちらっとその人を見ると、ただ笑ってた
「あのね、僕も、ずっと、石になってしまうと怯えてたんだ
 だけど、世界はさ、案外怯えなくていいんだよ?」
そう言って私の頭を撫でる人、撫で方や手の温もり、お母さんを思い出した
「・・・・・・・・・・・っ!」
ボロボロと泣き始めてしまった私を前にその人は少しあわててしまったけど、
何かを思い出したようにポケットを探って、四角い物を私に見せてくれた
泣きながらそれを見る私に、彼は私の耳に何かをつけた
「!」
すごい、これ・・・・・・・・・・!
彼が私の耳に何かをつけた時、私の耳に綺麗な音楽が聞こえてきた
つい、感情が高ぶっちゃって髪の毛が揺れた
それを見ていた彼が、フードを私にくれた
「・・・・・・・・・くれるの・・・・・・?」
ねぇ、もしも、君がまたこの森に迷い込んだら
「うんっ!」
私がここにいて、君の事、待ってるから―――

そして数年後・・・・・・・・
とうとう、この家ともお別れだなぁ・・・・・・・・
―拝見、お父さん、お母さんへ―
彼が、今度は迷い込んだのではなく、私を森から助け出してくれようとして、また、この森にやってきてくれたんだよ
外へ出るのは"あの時"以来だなぁ・・・・・・・・
あの時は、本当に、私は何も知らずに居ました
だから、外へ出たとき、人の怖さを知り、自分のおろかさに気づき、ずっと家に閉じこもっていました
だけど、彼が来てくれたおかげで、私の心は少しずつだけど、開くことができました
お父さん、お母さん、私を育ててくれてありがとう
私は今、幸せだよ――――
外へ出て、家の鍵をかけた時、彼が
「おーい!こっちこっちー!」
「うんっ!」
夏風が、行ってらっしゃいと言うかのように、フードを少しだけ揺らしてくれた・・・・・・


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