したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

新・戦場スレ Part1

37 ◆h9Hr5c.eFE:2016/05/28(土) 12:26:59 ID:OX76yAqI
>>35
>>36
「あー、もしもし?」
唐突に、オーダーの2機に対して通信が入った。
「いやあ、不甲斐ない国防軍が毎度お世話になってます。僕はその傘下でFFPの技術主任を務めております、ウェインライト・ウェーバーです。以後お見知り置きを」
モニターに映ったのは、細面の端整な顔に野暮ったい丸眼鏡をかけた長髪の男だった。自己紹介の通り、科学者らしく白衣を身に付けている。
「今上層部に指示を仰いでるんですけどね、指揮系統がだいぶ混乱してるみたいで、皆さんの処遇の決定についてはもうちょっと時間がかかるんじゃないかなーと思います。
助けていただいた所へ何のおもてなしもできなくて申し訳ないけど、その機体…シルキーは早々にこっちで回収するよう命令があったので、今回収用の車両を向かわせてるところです。
僕としてはここに皆さんを迎え入れて、自慢のコーヒーでも振る舞いたいとこなんですけどねぇ。もうしばらくすれば基地にお迎えできると思うんで、その場で待機しててくださいな」
人を食ったような態度で、よく喋る男だった。
間もなくシルキーを回収するための輸送車両が到着し、ツバサは急かされるまま、片足を引いて荷台にシルキーを積載させた。
「あの……!」
ツバサからの通信だった。
「騎士の皆様と一緒に戦えたこと、私、とっても光栄に思います。今日は本当にありがとうございました!」
深々とお辞儀をする姿を最後に、通信は終了し、輸送車両は基地へと繋がる搬入口へと消えていった。

同じ頃、遥か遠くの基地衛星「オービタル・ハイヴ」では、ガナルド・ドナール准将が戦闘の記録データと報告書を、憤慨も露に睨んでいた。
「セレニアンの小娘が、なんてザマだ! 初陣がこれではフェアリー・フォースの商品価値は大暴落だ! 所詮はオーダーの引き立て役と取られかねん!」
「ならば、早急なケアが必要でしょう?」
背後からの声にドナールが振り返ると、そこにはT-スキンに身を包んだ国防大臣令嬢ミレニアと、もう一人、ピンクに近い金髪のツインテールを揺らす小柄な少女が立っていた。
「お、お嬢様!? それにアニーシャまで、なぜパイロットスーツを……?」
「お嬢はね、もうとっくにサイラス行きのワープゲートを手配してたんだって。どっかのカリカリしてばっかりのヒゲおじさんと違って、ちゃーんと先が読めるんだよね♪」
顔をしかめ、言葉を詰まらせるドナールにミレニアが続ける。
「基地の情報が漏洩したことを鑑みれば、サイラス3は必ず再度の襲撃に晒されますわ。住民を最寄りの拠点に避難させるにせよ、防衛戦を張るにせよ、近いうちに戦闘が発生するのは明確ではなくて?」
自信満々と言った表情でミレニアが肩にかかった後ろ髪を払う。後ろではツインテールの少女、アニーシャが口許に手を当て、嘲るような顔でクスクスと笑っている。
扇情的なコスチュームと蠱惑的な仕草は世の大半の男性を魅了して余りあるものだったが、ドナールにとってはそんな感情に浸る余裕の無い状況だった。
「つまり、お嬢様直々に出撃なさると…!? お、お待ちください! 飢狼だの無限城だの、不貞の輩が侵攻してくることがわかっている以上、危険であります! お嬢様の身に万が一のことがあればお父上に示しが…」
「フェアリー・フォースの動向に関して、決定権を持つのは私よ、ドナール」
「ま、そこで書類とにらめっこしながら待っててよね。アニーたちが、ツバサちゃんが早速塗ってくれた泥を綺麗に注ぎ落としてあげるからさっ」
唖然とするドナールをよそに、二人は司令室を出ていった。
「……ったく、小娘どもが! 実戦を知らん分際で、どうなっても知らんぞ!」
デスクの傍らのゴミ箱に足で八つ当たりしながら、ドナールはワガママ放題の令嬢に振り回され、日々胃に穴が開きそうな自らの立場を心底呪った。
そして、漠然とオーダーによる手助けを期待している自分に気が付き、さらに嫌気が差した。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板