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汎用スレpart1
83
:
【4】
◆Tg./UqnJ52
:2012/11/16(金) 08:20:59 ID:276WmNrY
【外伝「月を斬る剣」:余談】
「ふう……」
三輪剣術道場から出てきて、そんな吐息ともつかぬ声を漏らしたのは、黒色の軍服にこれまた黒色の軍装マントを羽織った、長い銀髪の女性。
年の頃は二十そこらといったところだが、同年代の市井の女性とは違った空気を持つ。
無論、その服装の影響もあるのだろうが、それだけでないこともまた、確かだった。
「年寄りの話は長くなりがちだな。まあ、おかげで興味深い話も聞けたし、良しとするが……」
ちらりと女性が目を向けた先には、黒塗りのいかにもな車と、その側に立っている、腰まで届くほどに長い、薄い赤色の髪が印象的な、
十代後半ほどに見える小柄な人物。
車の横に立っているその人物は、柔和な微笑みを女性に向けていたが、対する女性は呆れたような顔で額に手を当て、
「如月博士、長くなるから先に帰れと私は言ったはずだが?」
「ホテルに帰ったところで、話し相手の特尉が居ないのですから、結局暇になります。
ですがこうして待っていれば、少なくとも帰る途上の特尉を拾える分、多く話せる。
実に合理的な理由だとは思いませんか?」
「やれやれ……私は女性週刊誌の代わりか?」
「まさか! 安全保障委員会直属部隊の隊長を女性週刊誌の代わり扱いなどできませんよ。
そんなことをしたら私の脳天に突然穴が空く怪事件が起こるじゃないですか!」
「君とは一度、うちの部隊をどう思っているか、よく話し合う必要があるようだな?」
「そうですか? まあ私としては、特尉と話せる話題が増えて嬉しいですけどね」
「君を喜ばすために言ったわけではないぞ。念のために言っておくが」
呆れと困りを7:3くらいに混ぜ込んだ複雑な顔をしつつ、「特尉」は黒塗りの車の助手席に乗り込んだ。
相変わらずの微笑みを見せていた、如月博士と呼ばれた人物もそれに倣って運転席につく。
「…………で、成果はどうでした?」
「面白い話は聞けたが、これまでと同じさ。消息不明。そろそろ諦める時期に来ているのかも知れんな、ミリア・シュヴァルツァーの捜索は」
「元トロイエ隊、とか元教導隊、とかのネームバリューがありませんしねぇ。
知る人ぞ知ると言うか、マイナーな人物のようですし」
「しかし、その「知る人」から得られる情報にはほぼ誤差がない。彼女の師匠からのお墨付きも今日、得た。
彼女の「特殊な技」……師によると「新月剣」という名だそうだが、その存在と効果は確かなようだ」
「にわかには信じられませんがねぇ、姿が消える、だなんて。錯覚の類なんでしょ、それ?」
「おそらくな。だがその錯覚は彼女に対した全員が経験したことであるし、その全員が彼女に敗北している点から見ても、強力な技能であることは疑いようがない。
……ああくそ、喉から手が出るほど欲しい人材だ」
「特尉の人材好きも変わりませんねぇ」
「やかましい、ほっとけ。そしていいからとっと出せ。腹が減った」
「はいはい」
はい、は一回でいい、と特尉が如月博士を小突くのと同時に、二人の乗った車は町並みに消えていった。
甲斐が地球に戻る少し前の話であった。
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