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汎用スレpart1
185
:
三姫VS邪神① マヤVSグレートハウンド級
◆h9Hr5c.eFE
:2018/01/30(火) 19:34:44 ID:I/B3CgQE
輸送機は辛うじて胴体着陸に成功した。モーリスの判断によって切り離されたスラスターユニットは直後に空中で爆発四散。一瞬でも判断が遅れれば、取り返しの付かない事態になっていただろう。
しかし、最悪の展開こそ免れたとはいえ、状況は深刻そのものだった。輸送機は完全に推力を喪失。加えて、落下時の衝撃で内部の電気系統が断線を起こした結果、中継衛星との通信システムが使用不能となり、友軍に状況報告はおろか、現座標を伝えることすらできない状況に陥っていた。墜落地点は切り立った大山脈の只中であり、自力での脱出は困難を極める。
そして、識別不明の熱源反応が5つ、不時着地点に向けてじりじりと接近しつつあった。何らかの火器によって砲撃を仕掛け、輸送機を撃墜した張本人かその一味と捉えるのが妥当だろう。
機体底部の貨物室内で予備電源を立ち上げながら、モーリスは焦燥に駆られて声を荒げた。
「嘘だろ……何でこんな便が狙われるんだ!? 大した積み荷なんて積んでないのに!」
ガンッ! と輸送機に衝撃が走る。
といっても目下2000m先にいる敵から攻撃を受けたのではない。目の前で『彼女の愛機』が貨物室の内壁を叩いた衝撃だった。
「もっかい言ってみ? だぁれが大した積み荷じゃないって?」
焔姫は無事起動に成功したようだった。実際に稼働している所は初めて見たが、成程これがダイレクトモーションリンクの力だろう。壁に手を突き、威圧するようにこちらを見下ろす少女型ロボットの仕草は、まさにマヤの生き写しだった。
「てか、まだなわけ? 支度ぐらいさっさと済ませててほしいんだけど?」
「ほ、補助電力の立ち上げ完了しました。これを利用すれば通信ユニットへのバイパスは可能と思われます……しかしランベリーさん、本当に……」
「ハッチ」
「え?」
「ちっ……ハッチ開けなさいって言ってんの!グズグズしてんじゃないわよこのノロマ!」
焔姫の尖ったヒールがモーリスのすぐ脇の床をガツンと踏みつける。彼は慌てて手にした端末にコマンドを打ち込んだ。
「ろ、ロック、解除しました! 非常用ハッチ開放します!」
エアチェンバーの二重ゲートがけたたましい音をたてて開き、貨物室に風が吹き込む。
「ったく……わかってると思うけど、あたしが発進したらすぐここを閉じて、静かに閉じ籠ってなさいよ。
余計な援護とか気遣いとか、そういう邪魔くさいのは一切なし。いいわね?」
敵の移動速度を鑑みるに、会敵まではまだ十分な時間があった。
マヤが自ら敵集団に突撃して輸送機から距離を取った地点で応戦し、その間にモーリスが通信システムを回復させ救援を待つ。一連の対応はマヤの提言によるものだった。
敵性反応の接近を知るや、彼女は迷いなくこの判断を下し、機体に飛び乗っていた。
その勇気と決断力、自分に対する不言の気遣いに対し、モーリスはマヤ・ランベリーという少女に対する認識を少なからず改めた。そして、民間人上がりの彼女に頼らざるを得ない自らの非力を恨めしく思った。
「……可及的速やかに通信システムを復旧します。ご無理はなさらず、耐え凌ぐことだけを考えてください」
「はぁ? たかが雑魚5匹にこのあたしが防戦? なめないでほしいんだけど。
5分足らずで全滅させてやるっての」
焔姫が機体の外へ踏み出す。ツインテールにウサギ耳の可憐な機体の後ろ姿が、今のモーリスには不思議と勇ましく、頼もしいものに思えた。
「こっちはもう、どっかのポンコツとは違うエアコンの効いた快適な輸送機に乗り換えて、むこうでシャワー浴びてのんびりするとこまで考えてんのよ。わかったら、さっさと仕事に取りかかんなさい」
「了解です……どうかご武運を!」
「…ふん」
左手を背中越しにひらひらと振ってみせると、焔姫は猛然と地を蹴り、目的のポイントを目指して駆け出した。
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