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汎用スレpart1

16 ◆maj0cqbB5s:2011/10/02(日) 05:17:19 ID:GOmDbEy6
「『エンディミオンの悪鬼』……? あんなガキがか?」
「シッ、聞こえるぜ……」

すれ違いざま、青年は連邦軍兵たちの囁きを耳にした。
今更気にはしない。これまでに渡り歩いてきたどの艦でも、乗員は似たような反応をした。
恐らくは、次の異動先撿撿シュタールなる艦でも、似たような視線に晒されるのだろう。

廊下を抜けた先の格納庫で、青年は悪鬼の片割れと対面する。
その濃紺の機体の胸部へ、無重力を活かして一足に跳ぶと、何やら計器類を繋げて悪戦苦闘している男たちの背に言葉をかける。
「『ESシステム』の調整でしょう? やりますよ」
静かだが通りのいいその一声に、整備士の一人がギョッとして振り返る。
「やりますったって、お前…」
「慣れてます。それに、俺以外には無理ですから」
手際よく身を切り返して、開け放たれたコックピットのシートに背を合わせる。
その瞬間に、気持ちが落ち着くのがわかった。
エンディミオンを発ったあの日から、このシートの感触だけは常に変わらない。
まるでこのコックピットだけが自分に許された居場所であるかのようで 、
青年は安堵と共に、微かな嫌悪の念を覚える。

(いつまで、こんなことを続ける……)

瞳を閉じれば、念に共鳴したマシンの駆動音が低く響き始めた。


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