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イラスト・SSスレ

4空憂 愛:2011/07/17(日) 00:42:40
>>3


(お金がいるんだ……! 俺は父親なんだ……!)
 愛の将来のためにも、貯蓄をしておきたい。しかし、今の亜貴の収入では、どれだけ切り詰めても貯蓄などする余裕はない。
 アルバイトでも何でもすれば、収入の面では何とかなるかもしれないが……。それでも将来の不安は残る。まだ幼い愛を残して、一人出稼ぎに行くわけにもいかない。
 それに有為は、母親だが、まだ自分からすれば子どもだ。できるだけ自分が側にいて、有為の心の支えになりたい、と亜貴は考えていた。 
 しかし、この現実を前に、あれもこれもとなすには、亜貴もあまりにもまだ子どもだ。
 亜貴は今になって、有為を受け入れてしまったことを後悔しそうになる。
 本気で頑張ればなんとかなる……そう考えていた。祖父の言葉が蘇る。

『お前みたいな若造に何ができる?』

 祖父が正しかったのかもしれない。
 だが、その祖父の言葉を受け入れていれば、今頃、有為を、そして愛を抱きしめることはできなかった。
 そう考えると、やはり祖父の言葉は受け入れられないのだ。
(何、考えてんだよ)
 亜貴は自分の中の弱い心を打ち消すように、大きく声を張り上げた。
 こんなことじゃダメだ。
 頭ではそう分かっている。しかしこの先いったいどうしたら……。
 亜貴は頭を抱える。そのとき、視線の先に、何か紙切れのようなものが落ちているのに気づく。
 亜貴はそれを拾い上げた。
(何だこれ?)
 よく見ると、それは宝くじだった。日付を確認すると、恐らくまだ期限は切れていない。
(……これも運試しか)
 亜貴はそう思い、それをポケットに入れる。
 一万でも当たっていれば、そんな些細なことを祈りながら。


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