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イラスト・SSスレ
16
:
空憂 愛
:2011/07/17(日) 00:49:25
>>15
目の前には老人がいた。実際にはモニターがあり、そこに老人が映し出されているだけだが。
老人のその態度こそ、まさにこの屋敷に仕える人間全ての、私に対する態度の全てを代表しているのだ。
彼は私にとって曾祖父にあたるらしいが、私は彼を曾祖父と思ったことはない。
私にとって、こいつはただの老人だ。
「何か御用ですか?」
私は白々しくそう尋ねる。なぜ呼ばれたのか、そんなことは分かっている。
『いや、用というほどのものじゃないさ』
老人は好々爺のような笑みを浮かべていた。他者を欺き続けているうちに、その表情が、顔に貼りついてしまったのであろう。こいつは、好々爺などでは決してないと、私は断言できる。
モニター越しでしか会話をしないという点でも、信用するに値しない。
『さすがのワシにも我慢の限界というものがある』
老人は優しげな声でそう続けた。
小娘と思って、私を侮っているのが毎度毎度見え見えだった。
「我慢も何も、私をここに閉じ込めているのは、あなたではないですか?」
はっきり言って、こんなやり取りは茶番だ。
私は両親に捨てられ施設にいた。
施設での生活はそれなりに楽しかったし、友達も多かったから、不満があってもそれほど辛くは無かった。
だが、ある日、私は魔人として覚醒する。
それ以来、世界が一変した。やつらが、私の前に現れた。
会長と呼ばれる老人と、黒服の一味。私の曾祖父を名乗り、私の存在を知っていながら、今の今まで私の存在を黙殺していたやつ。
もし私が魔人でなかったら、もし私の能力が老人の役に立つものでなかったら、老人が私に接触することはなかっただろう。
老人は私の能力を、具体的に知りたがっている。それゆえに、老人は私を施設から追いやった(引き取った)。そして、私をこの屋敷に閉じ込めている。
老人は小さく息を吐く。
『一つ覚えておくがいい』
老人の目がカッと開き、その眉間にしわが走った。
『ワシはワシの役に立たない人間は必要としない。役に立たない道具を長く置いておくつもりはない』
老人がそう言い終えると同時に、モニターは暗転した。
黒服が私の肩を掴む。
「終わりだ。行くぞ、『お嬢様』」
「いい加減、その『お嬢様』っての、本当に止めてくれないかな? バカにされてるみたいでイヤなんだけど」
私は声を荒げてそう訴えたが、黒服の答えは無言だった。
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