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デフォシナ&オリシナキャラを喋らせて遊ぶスレ8

471名無しさん@謹賀新年:2016/01/12(火) 19:00:04 ID:???
(お館様は一体何を・・・。こんなか細い少女一人に、耐えられるはずもない)
(お館様の死に一番深く絶望しているのはこの少女だというのに)

それでも伝えねばならなかった。主の遺言を、自分の独断で包み隠すことなどできようはずもない。
リューネ騎士団を、故郷を思えばそれもまた英断なのかもしれない。ただオーティは、今は無き主の裁量を信じた。
何か、考えがあるのだろう、と。
それでも目の前で絶望に打ちひしがれる少女の姿が、喉元まで迫った言葉に蓋をした。

「・・・?
・・・オーティ殿・・・?
私に何か・・・」」

傍らで噛みしめるオーティの姿を、虚ろな瞳が捉えた。
オーティを促したのは他ならぬセレンであった。

言えるものか。確かにこの子は天才だ。いずれはその才覚を剥き出しにし一世を風靡するであろうことは想像に難くない。
それほどの神童であろうとも、心はまだ幼い。憧れの存在の死に耐えうるほどの精神力は持ち合わせていない。
そんな子どもの背に、騎士団の命運を、死んでいった、死にゆく兵士達の骸を引きずれというのか。
そんなことをすれば、彼女は壊れてしまう。言えるか。言えるものか!!

「・・・アルティナ様より・・・」
ああ、私はこんなにも。
「言伝を預かった」
こんなにも無慈悲だったのか。
「リューネ騎士団総長であるアルティナ様は自身が死した際に次期騎士団総長の権限を譲渡する旨を明かしておられた」
私は何も背負えない。自分で考える事をやめ、お館様の言葉を免罪符に少女に全てを押し付けている。
「私とガルダームがその証人である」
先ほどまで詰まっていたはずの言葉が、堰を切ったように流れていく。
「セレン。あなたをリューネ騎士団総長に任命する」
ごめんなさい、セレン。

「その旨、承りました」

あまりのことに、皆目を丸くした。
セレンが次期総長に任命されていた驚きもさることながら、セレンの豹変したような姿に皆驚かされた。
絶望の淵に居た少女の姿は消えていた。目に光を灯し、寸分の迷いもなく応えて見せた。
わかっているのか。
自分の立場が、これからどうなるのか。
わかっているのか、君は・・・!!

「セレン、あなたはっ」

「アルティナ様のお言葉なのですね」

セレンは力強く笑って見せた。

「でしたら、私の命をかけて務めさせて頂きます」

(そこまで・・・そこまで貴女は、お館様を・・・!)
彼女にとってお館様の存在はもはや、神に等しいのだ。
自分を救い上げてくれた存在。それを失って抜け殻のようになっていた。
そのお館様の言葉が、セレンを再び立ち上がらせた。お館様の言葉一つで、彼女は生きる意味を見いだせると言うのか。
(なんて、残酷な・・・)
彼女を突き動かすのはお館様の存在。そして、お館様が存在しない今、彼女は力尽きるまで突き進むのだろう。
私は、とんでもないことをしてしまったのだ。

(・・・私にできることは)
この咎を背負う事。
私より先に、彼女を死なせはしない。


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