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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
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:
名前が無い程度の能力
:2012/11/11(日) 20:52:22 ID:W3UNPllA0
『そば』
蕎麦の旬は晩秋から初冬にかけてである。凩吹く霜月、幻想郷の田んぼでは二毛作の蕎麦が収穫の時季を迎えていた。
収穫した蕎麦の実を天日で干し、石臼で引けば香ばしい風味が漂う蕎麦粉が出来上がる。
あとは新鮮な蕎麦粉を麺にして新蕎麦を頂くだけだ。食事としても酒肴としても価値の高い一品になるだろう。
しかし、そんな新蕎麦を巡って里の外れにある命蓮寺では、ある種の冷戦と称すべき対立が生じていた。
「……………」
「……………」
居間のテーブルを隔てて向かい合うのは、命蓮寺の管理者・聖白蓮と居候・二ツ岩マミゾウ。
マミゾウはいかにも不機嫌さが滲む表情で、丸眼鏡の奥の瞳は鋭利な視線を対峙する白蓮に向けている。
一方の白蓮は柔和な笑みを崩してはいないものの、それは普段の温かさなど微塵も感じられない冷徹な仮面であった。
他のメンバーは、その一触即発の剣呑な様子を恐る恐る遠目に見守っている。
「……ね、ねぇマミゾウ。何もそんなに怒らなくても……」
「そ、そうよ。聖もここは矛を収めて……」
「やかましいぞ、ぬえ。此れは儂と白蓮の問題じゃ……」
「お黙りなさい一輪。今回ばかりは私も笑って済ませられないの……」
それぞれ宥めようと声を掛けた2人に、白蓮とマミゾウは厳しい言葉で仲裁を遮る。
そして、マミゾウがテーブルに肘を乗せ前のめりになって威圧的な口調で白蓮に詰め寄った。
「のぅ白蓮、儂は今日の昼飯は新蕎麦だと言うから楽しみにして天ぷらを揚げておった」
「えぇ、ですからちゃんと此処にみんなで一生懸命打ったお蕎麦があるじゃないですか」
「こんなボソボソした物体の何処が蕎麦じゃ!!」
ダンッとマミゾウが拳で思いっ切りテーブルを叩いた。食器が揺らぐが、幸い引っくり返ることはなかった。
その音に驚いた幽谷響子が肩をビクッと竦ませ、不安げに目を伏せた。他のメンバーも緊張した表情を浮かべる。
「そんなに声を荒げるから、みんな怯えていますよ。このお蕎麦の何処が不満なんですか?」
「蕎麦は布海苔を使ったコシと喉越しの良いツルツルっとした食感が命じゃ! こんな出来損ない、子供の粘土細工じゃ!」
「それは越後のローカルルールではありませんか。これは正当な信州のお蕎麦、海藻なんか入れる亜流とは違うのです」
「なんじゃと!」
「なんですか!」
激流のようなマミゾウの怒号と湖面のような白蓮の反論。睨み合う両者の放つ険悪なムードに、居間全体が重くなる。
「あっ、あのぉ……」
そんな重苦しい空気の中、戦々恐々として挙手したのは毘沙門天の代行代理・寅丸星であった。
「なんじゃい」
「なんです、星」
険しい目つきで星へ視線を移す2人。その眼光にたじろきそうになったが、星は何とか堪えて2人に意見を申し立てた。
「私は蕎麦より饂飩の方が……それにつゆも塩辛くて出汁の風味が全然ないですし」
寅丸星。彼女は熱狂的な阪神ファンにして情熱的な関西人であった。隣でナズーリンが辟易とした表情を浮かべる。
その後、幻想郷を巻き込んで「蕎麦・饂飩異変」が幕を開けるのだが、それはまた別の話。【END】
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